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小澤さんの勇姿を顧みる 前編 [クラシック指揮者]

いま病気療養中で長期お休みをいただている小澤さん。もちろん予定されていた公演もすべて降板キャンセル。残念なことだが、早く良くなってまた復帰してほしいもの。そんなことがふっと頭をよぎり、小澤さんの若かりし頃の勇姿を映像で観てみたい、と急に思いついた。

これは例によって、急に思い立つことなので、いつもの通り、自分でも予想できません。(^^;;


2,3日前から無性に小澤さんの若き頃の勇姿を観たい衝動に駆られ、ガムシャラに観まくって日記も書いた。(とくにカラヤン先生とのこと)

そういった自分の突然の思いつき、胸騒ぎがハッピーなことでよかった!
25日、各新聞発表の記事。 

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「小澤征爾さんは3月2日に大動脈弁狭窄症と診断されて入院。4月上旬に手術を受け、10日に退院。現在は自宅療養中で、夏の8月、9月長野松本市での音楽祭「セイジ・オザワ松本フェスティバル」で活動を再開する予定ですすめている!」

よかった!自分が心配していたのは、大動脈弁狭窄症という心臓の病気。ちょっと素人では事のシリアスさを十分把握できないため、余計に不安を募らせた原因だった。


とにかく自分の考えたこと、ふっと突然思いついたこと、行動などが、なぜか周りの事象とシンクロしちゃうんだよねー。(^^;;

2年前あたりから意識するようになったんだが、こればかりは、自分で意図できることではないし、どうしようもできないことなのだ。

だから、今回も不安に思った。なぜ?急に小澤さんのことを考えたんだろう・・・?と。
もしや?なんて心配したわけだ。

自分は、やっぱりハッピーなことを予知する専門でいきたいです。(笑)


小澤さんの若い頃の勇姿を顧みる。

それも最近のサイトウキネンのコンサートとかではなく、ちょっと自分特有の変わったコレクションにて実行してみたいと考えた。

前職時代の友人が、1984年~2006年に渡るNHKのクラシック番組を、家庭用記録メディアにコレクションしていたものを、永久保存版としてそれらの映像素材をデジタイズしてBD-Rに一斉にダビングして整理しようという「VHSダビングプロジェクト」をやってくれたのだ。

いまから7年前の2011年のこと。

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ご存知のように家庭用記録メディアはアナログテープからディスクへと記録フォーマットがどんどん変遷していくので、その時代に応じた記録フォーマットで録画して保管してあった訳だ。

友人のご好意により、そのライブラリー全てをダビングして譲ってくれるというのだ。

大変貴重なライブラリー。

市販ソフトでは手に入らない貴重な素材ばかり。

簡単にダビングというけど、今でこそHDDなどから32倍速、64倍速などの高速ダビングで短時間でダビングすることが当たり前になっているこの時代に、アナログテープからダビングするということは、120分の番組を録画するのに、そのまま120分かかるということなのだ!!!

アナログテープのライブラリーは、ED-β,Hi8,VHSとあって、合計80本くらいあった。その他にもLD,VHDなどの市販ソフトからのダビングもあった。

いまでこそ、DVDなどのアナログ出力はマクロビジョンがついていて著作権対策でダビングできないようになっているのだが、当時のLD,VHDにそのような発想はなく、アナログ出力からダビングし放題な訳だ。いまはもう映像機器としてアナログ出力は出していないんじゃないかな?

写真のように全部で24枚のBD-R (記憶容量25GB)。1枚のBDに4番組くらいは入っているから、96番組のライブラリーになる。



しかも1枚1枚に、このようにカラープリンターでラベリングされている。
これもディスクの中身をいちいち再生して確認してはラベリングという凄い重労働だと思う。見てください!この細かい詳細なラベリング。

恐れ入りました。

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友人にはひたすら感謝するしかない。


この録画ライブラリーも大半はベルリンフィル、ウィーンフィルの番組。ベルリンフィルの3大コンサートであるヨーロッパ/ヴァルトビューネ/ジルベスターのコンサートも毎年すべて録画されている。あと90年代のベルリンフィルの定期公演やウィーンフィルのニューイヤーコンサートも網羅。ザルツブルグ、ルツェルンの音楽祭関連やドキュメンタリーももちろん。

こういったコンサートで実際の市販ソフトになっているのは数が限られていて、しかも廃盤になっていたりするから、この毎年のライブラリーは本当に貴重な財産だと言える。

もっと貴重だと思ったのは、ドキュメンタリー関係が充実していること。
ふつうのNHKの番組でドキュメンタリーとして造られた特別番組だったりするから、よっぽどのことがない限り、絶対市販ソフトにはならない。

たとえば1989/7/16 カラヤンが死去したときのNHKニュースセンター9時(キャスターは木村太郎さん)の生映像をはじめ、テレビ朝日のニュースステーション(キャスター久米宏さん、若い!)とか、カラヤン死去ニュースを片っ端からはしごで録画。(笑)

若かりし頃の小澤征爾さん、安永徹さんのコメントも映っている超お宝映像だ。
これを持っているのは自分しかいないと自負していました。(笑)

やはり巨星カラヤンが死去したときのクラシック音楽界への衝撃は大きく、NHKが盛んにカラヤン特集を急遽制作したのだ。



1989/7 栄光の指揮者カラヤン&カラヤン懐かしの日本公演。
1989/7 帝王カラヤン氏逝く。

1989年7月16日に自宅で急性心不全で亡くなったカラヤンは(ソニー大賀さんとの商談中に起こった)、翌17日午後9時半には、11人の手によって、アニフの教会に埋葬された。

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ザルツブルク郊外にあるアニフの教会、自分も2013年にザルツブルク音楽祭に行ったとき、アニフに寄ってカラヤンのお墓詣りをしてきた。

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本人の希望により、これだけの偉人にしては、じつに質素なお墓であった。
もう一度行ってみたいな。


カラヤンの訃報に対して、やはり日本人指揮者として、代表でインタビューを受けるのは、当然小澤さん。

その若かりし頃の小澤さん(当時はボストン響の音楽監督)のインタビューをずっと観ていた。

カラヤン先生は、とにかく音楽家、指揮者として本当に素晴らしい人だったんだけれど、晩年は帝王とか、楽団員とのイザコザとか、本来の先生の素晴らしいところとは別のところで話題に上がっていたのは、なんとも残念だった。

とにかく最初はとてもとても怖い人だと思って、全く近づけなかったのだけれど、一度中に入ってしまうとメチャメチャ暖かい人だった。

カラヤン先生から学んだことは、オーケストラの基本は弦楽四重奏。そこから弦メンバーの数増やして、木管、金管などの管楽器、そして打楽器など、どんどん増えていってイメージを膨らませることが指揮者にとって重要、それが指揮をするためのひとつの手法なんだ。

これは後の小澤さんが始める小澤奥志賀国際アカデミーへとつながるんですね。

カラヤン先生はよく日本人の指揮者で自分がいいと気になる人がいたら、かならず僕(小澤さん)のところに連絡をよこすんだよね。

「征爾、〇〇知っているか?」当時の高関健さん、小泉和裕さん、山下一史さんとか。当然知っているんだけど、先生は、誰それは、こういうところがいい、とか事細かく小澤さんに話してきたのだそうだ。


カラヤン先生は、いわゆる独特の指揮法で、みんなすぐに真似をしたがるんだけれど、それは全くダメ。指揮はやはり自分のスタイルを確立すること。僕はカラヤン先生、斎藤秀雄先生の両方から指揮を学べたので、本当にラッキーだったとしかいいようがない。

こんなことを小澤さん、インタビューで話していました。


上の急遽制作されたドキュメンタリーでは、カラヤンの訃報がちょうどザルツブルク音楽祭の開幕直前だったこと、そしてこの音楽祭はまさしくカラヤンとともに、育ってきた音楽祭と言ってもよかったので、そのザルツブルクで急遽取材。音楽祭がまさに開かれているその最中で、正装した紳士淑女たちに、インタビューしていた。



ひとつの大きな時代が終わった。
すぐには彼に相当する後任は出てこないんじゃないか?

晩年は、人間性を疑われるような傲慢な面も報道されていたので、特別な感慨はない。

彼がいなくなって、音楽祭の品位の高さが失われるんではないか?

後任は誰だと思う?

オザワと答えたのが、日本人を含め、2人いた。(^^)
あとはアバド、ムーティ。

クライバーもいいけど、彼は気まぐれだからダメね。

マゼールが適任だと思います。

音楽祭の観客は、意外にも冷静に受け止めているような感じがした。


自分が小澤さんの勇姿を観たいと漠然と思ったのは、

1989年ベルリン・フィル ジルヴェスターコンサート(小澤征爾指揮)。

あの小澤さんのオルフの「カルミナ・ブラーナ」。このジルヴェスターの公演も最高なのだが、前年の1988年、小澤さんが日本から晋友会という、まあいってみればアマチュアの混声の合同合唱団を率きつれてベルリン・フィルハーモニーホールへ乗り込み、ベルリン・フィルの定期演奏会でカルミナ・ブラーナを披露しちゃったという逸話付きの演奏会なのだ。


合唱のような大所帯を海外遠征に引き連れていくというのは、その経費含め、じつに大変なこと。

この晋友会というのが半端な合唱団ではなく、もう、ベルリナーを唖然とさせるくらいのすばらしい合唱団だったのだ。 わざわざ小澤さんが晋友会全員を連れていったというのが頷けるという。。。

合唱を現地メンバーで賄えば、それで済む問題だったのかもしれないが、そこを敢えて日本人合唱団で押したことに、現地ベルリンでの晴れ舞台での、日本人としての心意気を観た感じがした。

これぞ日本のレヴェルを世界にアピールした晴れ舞台という感じで誇らしかった。

このときのソプラノが、エディタ・グルベローヴァだというから、尚更自分にとって感慨深い。

この1988年の定期公演のCD、当時収録されていて、いまも発売されています。 



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カルミナ・ブラーナ 小澤征爾&ベルリン・フィル、
晋友会合唱団、グルベローヴァ、他

http://urx2.nu/JG1S

もちろん翌年の1989年のジルヴェスターでもこの晋友会を引き連れて乗り込んでいて、このオルフのカルミナ・ブラーナを披露している。このときは、ソプラノはキャサリーン・バトルが務めている。

今回観るのは、このジルヴェスターの映像素材。


この公演以来、小澤さんはベルリンフィルのジルヴェスターとは遠ざかっていて、2010年にチャンスが1度あったのだが、ご存知食道がんでキャンセル。

いやぁ、このカルミナ・ブラーナ。まさに合唱のための曲ですね。
最初から最後まで合唱ずっと大活躍!

1番最初の「全世界の支配者なる運命の女神」は、誰もが知っているあまりに有名なフレーズ。
ゾクゾクっとする。

この当時、つまり1980年代後半って、まさに自分の青春時代。日本が絶好調のバブリーな時代だった頃。晋友会の合唱団は、ずっとカメラアップされて映るんだが、女性陣はみんな当時の聖子ちゃんカット(笑)、男性陣も当時の髪型ファッション、明らかに今とは違う違和感、あの当時の世相を表していたよ。

懐かしく見てました。

21番目のフレーズの「天秤棒に心をかけて」のソプラノ・ソロ。

これもあまりに有名な美しいソロ。キャサリーン・バトルの美声に酔いました。
彼女は決して声帯が広くて声量豊かとは言えない歌手かもですが、やはりディーヴァとしてのオーラが際立っていた。

やっぱり華形スターだ。

最後のカーテンコールでも晋友会への拍手はひと際大きかったです。

まさに小澤さん全盛のときの指揮振りですね。
このときはタクト棒を持つスタイルでした。

この公演を観ることで、今回の自分の本懐を遂げられたと言ってもいい。

でもまだまだこれからなんですよ。



つづく


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