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オードリー・ヘプバーンの心理サイコなサスペンス [映画・ドキュメンタリー]

オードリー・ヘプバーンがハリウッドで活躍したのは、1950~1960年代がピークで、女優業としてのキャリアは年齢と共に減っていき、後半生はユニセフでの仕事に捧げた。

その全盛時代は、グラマーとは正反対のスリムなボディと、性別を超越した、文字通り”妖精”のような魅力で映画界に独自の地位を築いていった。

そして単に女優というだけではなく、彼女のファッション、ヘアスタイルなどが流行になっていくなどのファッションアイコンとしてのトレンドの発信源だった。


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彼女の作品は、まだ3作品しか観ていない、あとから参入の新しいファンであるが、その作品を観る限り、概ね上のようなイメージがピッタリくるような感じだった。

それが彼女の最大の魅力的なポイントだし、当然のことだと思った。

わずか10年間しか活躍しなかった中で、彼女が出演した映画というのは、じつはそんなに多くないのだ。こうなったら、とことん極めてみたいと思い、彼女の映画作品を全部制覇してみたいと、ここに誓ってみる。

そしてその全作品の感想記を書いてみたいのだ。

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今回観た作品の中で、”銀幕の妖精”というようないままでのイメージをまったく覆すようなとても印象的な作品に出会った。

心理サイコ的なサスペンス映画で、オードリーは全盲の女性を演じるのだが、そこでの彼女は、従来のキュートで可愛いというだけの女優ではなく、心理俳優と言ってもいいほどの全く違った一面を見せてくれるのだ。

正直自分の心の中でも、オードリー・ヘプバーンは、所詮ファッション・トレンドの女優さんという認識は間違いなくあって、そんなイメージとは程遠い正反対で、じつに心にぐっと深く浸みこんでくる見事な心理役者ぶりを見せてくれたので嬉しくなった。オードリーもこのような演技ができるんだ!という驚き。

じつに怖い映画でした。相当ヘビーでした。
下手なホラー映画よりずっと怖い映画でした。

くわしくは、あとで。。。



まず、今回観た映画を順番に感想を。


・パリの恋人 

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ミュージカル作品。古本屋に勤める彼女。彼女に一目を置いていた写真家が、大物編集長に推薦して、ついにファッション雑誌のモデルを頼まれる事に。そしてパリで華々しくデビューする。

パリを舞台に繰り広げられる、古本屋の娘オードリーと写真家との恋ロマンス、そしてファッションショーのデビュー、そんなミュージカル映画だ。

やっぱりオードリー映画の王道「変身物語」はここでも健在だ。

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凱旋門やオペラ座ガルニエ、シャンゼリゼ通り、ノートルダム大聖堂など、パリの名所が目白押しで登場する。

ノートルダム大聖堂はいま見るとやっぱり心傷んだね。

アメリカ人から見た「パリ」のお上りさん的な感覚や描写がとても面白い。

ミュージカルだから、歌う。オードリーは吹き替えなしの本人の歌声だ。「マイフェアレディ」では吹き替えになってしまい、本人もとても悔しい想いをしたらしいが、みごとに雪辱。

オードリーの素の歌声、はたして?・・・と観る前はちょっと心配したが、全然よかったですよ。

酒場のバーで、オードリーが、男性2人と踊るシーンがあるのだが、これが圧巻!
上下の黒のピッタリした服に身を包んでのダンスなのだが、これが最高に俊敏で絵になって格好いい。

オードリーっていったい何頭身あるんだ?というくらい頭が小さく、足が長い長身のスレンダー。

子供の頃、ずっとバレエを習っていたそうなので、こういうダンスはお手の物で最高にカッコイイ。
素地がある感じ。背が高すぎたのが、バレエの道を諦めた理由だそうで、それで女優の道に進んだ。

ふつうの女優さんではできない芸当ですね。

この場面はすごい印象に残りました。

もうひとつお相手の写真家の男性の路上での即興ダンス。ミュージカルらしい場面なのだが、これがまた格好良い。傘を使って、いろいろアクロバティックなダンスをやるのだが、この時代ってCGなんかない時代だよなぁ~?というくらい傘の空中芸など、もうびっくり。あまりのセンスの良さに、私は思わず吹き出して笑ってしまい拍手してしまいました。(笑)

1967年のミュージカル映画ですが、この時代の映画って本当に古き良き時代というか、じ~んとくるいいものを持っている。

お互いの愛を語る場面での「ス・ワンダフル」。

もう名曲中の名曲ですね。ジャズのスタンダードナンバーとして女性ジャズ歌手がよくカバーしている名曲です。

いい映画には、必ずいい音楽が存在します。

唯一うん?と思ったのは、オードリーと男性写真家があまりに年が離れすぎているところでしょうか?(笑)

オードリー映画の中で、この「パリの恋人」を最高傑作という人は多いです。



・シャレード 

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まさにこれはヒッチコック映画だよな~と思わせるようなスリリングなサスペンス映画。 誰が味方で誰が敵なのか、こいつが犯人、と思いきや、殺されちゃうし、あいつが犯人と思いきや、はたまた殺されちゃうし、一番オードリーに近いあの方が、じつは犯人なの?そのときの裏切られたような恐怖感、でも最後はえ~まさか、一番の見方だと思っていたあの方が犯人・・・最後はやられた~!かっこうよすぎる!というようなまさにヒッチコックの映画でした。(笑)

扱うテーマは怖いサスペンスで、二転三転の展開だけど、洒落た会話の数々で、会話のテンポやリズムが良くて、全体の雰囲気はコメディーっぽい。そこにオードリーの雰囲気がぴったり嵌って、ミステリー・コメディという作風ですね。

オードリー・ヘプバーンが名コメディエンヌぶりを発揮、といったところでしょうか。


ジバンシィがすべて担当したオードリーの衣装が彼女の魅力をさらにいきいきとさせていて、この映画を決して怖くて暗くならないように華やかな雰囲気にしていたと思います。

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シャレードは、ヘンリー・マンシーニが音楽を担当している。

やっぱりマンシーニはいい。この「シャレード」もいつもiPodで朝の通勤で聴いている自分のスタンダード曲です。今回この映画を観てみようと思ったのも、普段聴いているマンシーニの「シャレード」だから、というところから来ていました。



・暗くなるまで待って 

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いよいよその問題作。(笑)

自分のブログのコメントに、オードリー・ヘプバーンの映画を観るなら、ぜひ「暗くなるまで待って」を観てみてください!というリコメンドがあって、観てみようと思ったもの。

1966年にフレデリック・ノットが書き下ろし、ブロードウェイで初演され、1967年に映画化、大ヒットを飛ばしたサスペンス劇の傑作。

ロンドンのアパートの1室で繰り広げられる、スリリングな密室のミステリーである。

舞台設定がアパートの1室で済んでしまい、すべてそこで展開される物語なので、とても低予算で、映画だけでなく、ふつうの舞台にも向いていて、よく上演されるベストセラー作品のようです。


自分はいままで知らなかったです。

日本でも今年の春、2019年2月に福岡で舞台化されたみたい。


オードリー・ヘプバーンが本格的に活動していた時期の最後の作品(1967年公開)だそうだ。
最後の作品にて、いままでファッションアイコン的なイメージの存在から、一気に心理俳優へ、という女優としての脱皮進化。

オードリーは全盲の女性を演じている。

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すべてはこの人形から始まった。

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この人形を奪うために、怪しい悪党3人組が、全盲のオードリーの家を訪れ、彼女が目が見えないことをいいことに、言葉巧みに騙そうと演技をして、あれこれ手を尽くしていくのだ。

まさにそこは奇妙な心理戦。

観ていて、本当に心臓がき~んと痛くなってくるのだ。

やがて、彼らの言動に不信を抱いたオードリーは、いつものお世話係の少女の協力を得て、男たちの正体を次々と暴いていく。

まさに心理戦。観ていてドキドキ。

半分を過ぎたあたりからは加速度的に緊張感が増し、手に汗握る展開となってくる。

最大の見どころは終盤。

真っ暗になった部屋は盲目のヒロインの世界と恐怖感を、観る側に疑似体験させる。


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もう超こわ~い!ってな感じでホラー映画顔負け。
めちゃめちゃ怖いです。

自分の心臓の痛みはこのラストで思いっきりピークに。

オードリー死なないで!って祈りました。


この心理戦、そして衝撃のラスト。

本当にコワイ映画です。

観終わった後、冷や汗たっぷりでした。

これは自分は本当に傑作サスペンスだと思います。

アパートの1室だけの設定ですべてが実現できてしまい、これだけの心理戦、観ている者をドキドキさせ夢中にさせることのできる脚本シナリオ。

傑作中の傑作だと思います。

舞台の大ベストセラーになっている、ということも理解できます。

この全盲のヒロインを演じたオードリーは、本当に新境地を開拓。
でもこれが最後の作品だったんですね。

なんかこの日記を書いているだけで、これを見終わった時の興奮が蘇ってきました。(笑)

オードリー・ヘプバーンといえば、「ローマの休日」、「ティファニーで朝食を」、「マイフェアレディ」・・・など名作が多々ありますが、ボクはオードリーの最高傑作は、この「暗くなるまで待って」だとここに確信しました。









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