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B&W 800 歴代シリーズの聴き比べをしました。 [オーディオ]

都内某所のオーディオショップで、そんな興味深いイヴェントがあった。定員6名で抽選制。これは面白そうだな、と思い、ダメ元で申し込んでみたらすぐに確約の回答。さぞかし激混みの争奪戦なのだろうと思ったのだが、当日お店に行ってみると、なんと自分含めて2名しかいなかった。(笑)


店長さんも、いやぁこれは面白い企画だから、たくさん申し込みがあると思ったんですけどねぇ。
なんか予想外でがっかりですね。(苦笑)


店長さんの話だと、もともと中古でB&Wの800シリーズが、偶然とはいえ、過去一式のシリーズが集まってしまったのだそうだ。


Nautilus→D→Diamond(いわばD2)→そしてD3のB&Wの歴代シリーズが全部集まってしまった。


しかもこのデモの日の1週間後にSignature800も入荷予定だそうで、ついに800リーズ、全コンプリートすることになったそうだ。


年代的には言うと、Nautilus(2001年)→D(2005年)→Diamond(2010年)→D3(2015年)。


こうしてみると、B&Wは、5年間隔で新型SPの発表をしてきたことになる。
そうすると来年の2020年は、順当にいけば、ついにD3の後継バージョンが出る年だ。(本当?)


せっかく歴代シリーズが全部集まったんだから、じゃあ、同一ソースで同じときに聴き比べをしてみたら面白いんじゃないか? B&Wの技術の進化が実際その場、その瞬間で確認できるんだから、これは絶対面白いに決まっている!そんなことを体験したことのあるオーディオマニアって案外いないんじゃない?


そのショップの視聴ルームでのデモとなった。
正味1時間のデモ。そんなに時間がない。


800シリーズが全部って、どのように視聴ルームに格納されて、どうやって比較デモするのかな?とまず不思議に思ってしまった。


1時間も早くお店に着いてしまい、店内の展示品を見ながら時間をつぶす。
心はドキドキ。


そして2名で、視聴ルームに通されたら、こんな感じになっていた・・・(笑)


DSC01315.JPG

                                                    

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カッ、カッコイイ!

そして美しすぎる!


壮観ですね。感動しました。


もうこれはオーディオマニアの方の間では有名な話ですが、B&WのSPって、真横から見ると男性の性器なんです。そして真上から見ると女性の性器なんです。そのように意図されてデザインされているんです。


数あるブランドのSPの中でも、まさにプロのスタジオでのモニターSPとしての王道の道を歩んできた。まさに堂々たる美しいフォルムです。


自分はオーディオマニアになってから、ずいぶんSP遍歴がありますが、でもずっとB&W一筋の人生を歩んでいました。その中でも800シリーズは最高峰。


送り手の駆動系含めたシステムはこんな感じ。


使用機器.jpg


nIPJnLzH5lntUeD1567425638[1].jpg




エソのトラポに、プリ、パワーはマッキン。

デモソフトは4枚のCD。


(1)サラブライトマンの女性ボーカル。
(2)ベートーヴェン 9番第2楽章。
(3)Jazz Bigband系。
(4)宇多田ヒカル 女性ボーカル。


デモのやり方は、1世代づつ駆動系につなげて聴いて、終わったら、次の世代のSPにつなぎ替えて・・・その繰り返し。そうやって聴き比べをしていく。


B&WのSPは、底面にキャスターがついているからコロコロと床を転がして、交換していく訳だ。


こんな感じ。
最初はNautilus。写真では映っていないが、この左側に送り手側の駆動系がある。


DSC01300.JPG




では順番に、印象を書いていってみよう。


●B&W Nautilus 800


DSC01303.JPG


B&Wの最初のSPであるNautilus。そのフラグシップがこのNautilus800。これの塗装バージョン違いでSignature800というのがある。


Signatureの中はNautilusと同じで、塗装が違うだけである。


B&WのSPはなにをターゲット基準に新開発されてきたか、というと、”どんどん鳴らしやすくなるように!”というところだと言える。新型になればなるほど、簡単に鳴ってしまう、というところがミソだ。


この1番最初の頃のNautilusは、いかに鳴らすのが難しかったか!
簡単には鳴らないSPだった。


それこそオーディオマニアの腕の見せ所が試される。逆を言えば、いまの最新型のSPは誰もが苦労せずに簡単に鳴らせてしまう、簡単に鳴ってしまう・・・そんなところに特徴がある。骨のあるマニアの方は、最近のSPは簡単に鳴っちゃうから、すぐにいい音が出ちゃうから面白くないんだよね、という。苦労のし甲斐がない。なかなか鳴らないSPをいかに鳴らすように苦労するから、面白みがある訳であって・・・そんな時代のSPだった。Nautilusって。


でもクラシックのレーベル・スタジオは、いまだにこのNautilusが多い。プロは一度決めた自分のものさし、基準は簡単には変えない。どんなに新型が出ようが、スタジオはNautilusのままだ。でも最近はアビーロード・スタジオもD3にしちゃったし、そんなこだわりもなくなったのかも。


今回のデモのパワーはマッキンのMC462は、このNautilusを鳴らすには、ちょっと非力かもしれない、と店長さんは言っていた。ちょっと、無理がある。その後のシリーズは問題なく鳴らせるのだけれど、このNautilusはちょっと厳しいかな?


SPを鳴らすには、やっぱりパワーアンプが大きな影響力を及ぼす。
単にW数が大きければいいという問題ではなく、パワーからSPへ押し出す瞬発力の力があるアンプほど、SPを鳴らす能力がある。じゃあその瞬発力って具体的に、定量的に数字があるの?と言われれば、う~む、難しい問題。


ふつうはパワーアンプは、商品のグレードや価格帯などのランクで、判断しているところが多いのではないだろうか?


のちの新型バージョンと比較すると、Nautilusの特徴は、ツィーター(高域)がアルミドーム・ツイーターであること。そして、ウーハー(低域)がめちゃめちゃ固いことですね。後の新型になるほどウーハーが柔らかく、低域にスピード感と軽さが出ますね。このNautilusの頃の低域は、固いときはまともな満足な低音はでないのだけれど、こなれてくると、どっと押し寄せてくるような低域が出ますね。

でもちょっと重くて緩いかも?低域のリズムを取るのが難しいSPですね。自分はSignatureで相当この低域に苦労しています。いまでもですが。。。


デモソフトの最初のサラブライトマンをかけたら、予想以上によく鳴っていたので驚いてしまいました。ショップのデモや地方遠征のオフの時は、自分と同じSPでよく鳴っているのを聴かされると、青ざめますよね。


ヤバイという感じで。(笑)


でもその後のクラシックのベートーヴェンを再生したら、自分のところの鳴りとあまり変わらなくホッとしたりしました。

そのときに思ったこと。オーディオのこと考えるの久しぶりだったので、思い出しました。こういうデモの場合は、やっぱりポップスやジャズなどの女性ボーカルは絶対有利だと思うことです。
クラシックは不利ですね。同じものさしでは比較できませんね。


音の捉え方が違いますね。ポップスやジャズはオンマイク録音の音像型の録音。クラシックはオフマイク録音で、ホール全体を捉える音場型の録音。やっぱりポップスやジャズのほうが音の芯が厚く、定位感があって音がすごく良く感じる。デモ向きですね。時系列的にその後にすぐにクラシックをかけると、音が遠くて薄い感じがする。解像感や定位感も劣る感じがしてしまう。ワンポイントが基本だからある意味当然と言えば当然なのですが。ちょっと聴き劣りするような感覚になってしまう。


でも自分は普段オーディオでは、クラシックばかり聴いているから、そのことがわからないんですよね。その基準の中で暮らしているからわからない。その慣れた環境の中でいい録音とか、言って評価している。こういうデモのときに他ジャンルと比較して久しぶりに気づくという感じです。


これは単純にはどちらがいいとか、断言できないと思います。
クラシックの音の評価の基準はそれ独自に存在しますから。単純に他ジャンルとは比較できません。
評価基準と頭の切り替えが必要ですね。自分のオーディオ音楽脳は完全なクラシック脳です。


昔、オーディオの地方遠征で、クラシックの録音はよくない、と仰った御仁がいらっしゃったのを思い出しました。(笑)


今回のこのショップのNautilus800は、パワーが非力と言ってましたが、よく鳴っていたと思います。Nautilus/Signatureは自分のSPなので、想い入れが強く詳細に語りましたが、この後の新型シリーズは、自分の知らない世界のSPなので、印象だけサッと流していきます。



●B&W 800D


DSC01305.JPG




前の世代のNautilusとの大きな違いは、ツィーターがアルミドームからダイアモンド・ツィーターに変わったこと。ネットワーク特性も18オクターブから6オクターブに切り方が変わった。位相特性も大きく改善していますね。


やっぱりサラブライドマンを聴いたときにはっきりと違うと感じたのは、音の拡がりや音場感が豊かに感じることですね。ベートーヴェンを再生した時も背景の空間の広さに結構差があるような気がします。でも自分が想像した思ったほど大きな違いではなかったですが、はっきり聴感上わかります。ダイアモンド・ツィーターの影響力は大きいと思いますね。


拡がりだけでなく当然ながら音の濃密度(情報量)も若干増えることと、これはオーケストラものを聴くとわかったのですが、各パートの分離度がよくなって混濁が少なくなりますね。Nautilusとの差はそれなりにあるかも?



●B&W 800Diamond


DSC01309.JPG



言うところのD2と呼ばれている。その前のDとの大きな違いは、ウーハー。マグネットフェライトからネオジームへ変更。あくまで自分の駄耳での聴感上の印象ですが、この800全シリーズの中で、一番音がよくなったと感じたのは、このDiamond(D2)のときに切り替えたときでした。やっぱり低音が軽くなりましたね。低域にキレとスピードがあります。


ジャズなどでもベースのリズムが軽やかにリズムを刻むような感じで、音楽的に軽快な要素が強くなった。洗練された音ですね。前の世代のぐわっとくる量感的な低音がお好きな方はちょっと不満かもしれないけれど。ミッドレンジ(中域)、ツィーター(高域)もいい感じ。空間の拡がりや前後の感覚、オーケストラや声楽のパートの分離もよくなっていて、情報量が多くなったような印象ですね。洗練されたいい音ですね。自分はこのDiamondが好きですね。



●B&W 800D3


DSC01311.JPG



Nautilus→D→Diamond(D2)までは、もう外観上のデザインを変えず、なんとかやってきたのだけれど、やはりこれ以上は限界。さらなる改善を図るには、もう大幅にデザインを変えるしかない。で、こういうデザインに。


もうあらゆる大幅な改善があるんだけれど、いままであまり変わっていなかったミッドレンジが、ケプラーから新型に変更。(名称忘れた。)世間巷では、みんなこのD3大絶賛してますよね。「スピーカーの存在が消えた!」とか・・・でも自分にはそこまでの衝撃はなかったです。(笑)


このミッドレンジの変更で音の立ち上がりは元より、ケプラー時代にあった音の立下り時のわさわさ感がなくなったとか・・・。


音のヌケ感がよくて、音の拡がりや濃密度(情報量)はさらに磨きをかけた感じで、みんなが大絶賛するのがよくわかる感じ。でも自分の駄耳では、D2のときのショックほどの衝撃がなかった。あまりそんな大きな差を感じなかったです。


自分にとって、オーディオというのは単に音がよければ最高。。。そんな単純なものではないです。
自分のオーディオ哲学に、”オーディオはインテリアである。”というのがあります。

オーディオは格好良くないといけない。


自分のリビングルームに置いて、音を聴くのはもちろんのこと、ずっとそれを眺めて生活していく訳ですから、そのデザインが、自分のお気に入りで格好良くなければ、自分の空間に自分の嗜好のもとにフィットしていないと、かなり苦痛だと思うのです。


そういう意味でデザインが自分にとって音以上に最優先かもしれない。
男性にとっての車に憧れるのと同じですね。格好よさ、フォルムの美しさがないとダメです。


そういう定義からすると、自分が気に入っていた以前のデザインを踏襲しつつ、音的にも衝撃的だったDiamond(D2)が自分の理想なのかな、と思いました。


800全シリーズを同一ソースで同じときに聴き比べて、その技術の進歩はかなりはっきりと聴感上わかります。技術の進歩はすごいと思います。


その進歩はなにか、と言えば、新しくなればなるほど、簡単に鳴りやすくなり、誰もが簡単にいい音が出せるようになったこと。そしてスピード、切れのある低域、空間の拡がり、情報量の多さ、3D的に空間表現が豊かになっていくということだと思います。


でも、自分はもうそんなにSPを買い替えるほどオーディオに投資するつもりは毛頭ないです。
音楽や旅行のほうにお金をかけたいです。(笑)











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