体験!いずみホール [コンサートホール&オペラハウス]
最近は、大阪にもどんどん新しいホールが建設されていっているが、自分にとって、大阪を代表するホールといえば、シンフォニーホールとこのいずみホール。
なかなか大阪に行けることもないので、最新ホールは大阪の友人のみなさんに任せた、という気持ちが幾分にあるのだが、このシンフォニーホールといずみホールだけは、どうしても自分が抑えておきたかった。
シンフォニーホールは過去に3回訪問している。
(飯森範親&日本センチュリー、アラベラ・美歩・シュタインバッハー&NDR、エレーヌ・グリモー)
(飯森範親&日本センチュリー、アラベラ・美歩・シュタインバッハー&NDR、エレーヌ・グリモー)
そのとき必ずセットでいずみホールを体験しよう、と試みるのだが、コンサートカレンダー的にどうしてもいい公演がないのだ。無理をして行こうと思えばコンサートもない訳ではないのだが、自分の意にそぐわぬコンサートに行っても満足感があまり得られないと思うし、ホール体験記もテンションが低くなってしまう。
今回は、もういずみホールを体験することだけを主眼において大阪行きを決めた。
コンテンツも専属オーケストラのいずみシンフォニエッタ大阪を選ぶのが筋だとは思ったが、これも自分のスケジュールと合わず、結局、ハーゲン・クァルテットの弦楽四重奏を聴くことにした。
これであれば、万事自分の満足のいく体験記になりそうだと感じた。
ところが折しも台風18号が接近して、なんと公演日の10/4には、進路が大阪上陸のような気配をみせた。これは心中穏やかではなかった。その週は毎日台風の進路に憂鬱になっていたりした。
つくづくいずみホール体験するには壁が立ちはだかるな、とまで感じてしまった。
幸いにも台風は北側の日本海側に抜け、4日には温帯低気圧に変わっていった。
幸いにも台風は北側の日本海側に抜け、4日には温帯低気圧に変わっていった。
やれやれ、である。
いずみホールは、大阪環状線の大阪城公園駅が一番アクセスが近い。
今回の大阪行きの目的には、いずみホールを体験することと、大阪城を体験することの2つがあり、なんといずみホールのすぐ手前が大阪城公園なのだ。想定外で1日にしてすべての目標を達成することができてしまった。(コンサート開演までの時間もかなり持て余した。)
いずみホールは、もう大阪ではコンサートホールのパイオニア的な存在で、歴史あるホールなので、もうみなさんにとっては既知の事実かもしれないが、あくまで自分のために調べて、自分のためにこの日記に改めて書き留めておきたいと思う。
いずみホール
いずみホールは住友生命保険相互会社の60周年記念事業の一環として、1990年4月にオープン。
理想の音場の原点をウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地「ウィーン楽友協会大ホール」に求めた、シューボックス型で821席のコンサートホール。天井や壁のデザインをはじめ、床、椅子、さらに8基のシャンデリアなどの緻密に計算された音響効果により、「楽器の集合体」に包み込まれるような空間を実現した。
残響時間はクラシックの室内楽にふさわしい1.8秒~2秒。明るくやわらかな音色が特長の、フランス・ケーニッヒ社製のパイプオルガン、ベートーヴェンと同時代の1820年代のナネッテ・シュトライヒャー製フォルテピアノなど、他のホールでは味わうことのできない特色ある楽器を備えている。
また、ホール独自の企画を主催公演として年間30公演程度開催している。
1990年から2018年まで、故礒山雅が音楽ディレクターを務めた。
ホールを運営する一般財団法人住友生命福祉文化財団は、昭和35年10月に住友生命保険相互会社の寄付により財団法人住友生命社会福祉事業団として設立、平成25年4月1日より一般財団法人住友生命福祉文化財団に移行、社会の福祉および文化の振興に貢献すべく事業を展開している。(いずみホール公式HPより)
自分の大阪に住んでいるオーディオの友人たちも一様にいずみホールの音響の素晴らしさを絶賛しており、「大阪屈指を誇る音響」、「おそらく大阪で1番音響が素晴らしいホールではないか?」そういう武勇伝をずっと長い間聞かされてきたので、ホールマニアとしては、どうしてもこのホールを体験しないといけないだろう、という使命感みたいなものがあった。
要は日本のコンサートホールを語るのであれば、このホールはどうしても訪れないといけない。ここを体験しなくて、偉そうに語ってはいけない、そういう無言の圧力プレッシャーがあったことは確かである。
自分がまだ訪問する前に、いずみホールにずっと抱いていたイメージは、821席という非常にコンパクトな容積で、しかもシューボックス。これは音響が素晴らしいのは間違いないよな。しかも内装空間がヨーロッパの古いホールのような美しさがあり、その壁面は拡散体で覆われている。もう素晴らしい音響の条件がすべて揃っているようなイメージだった。
そしてなによりも、いずみホールは、ウィーン楽友協会大ホールを模して造られた日本で最初のシューボックス・ホールであるということ。(厳密に言えば、洗足学園音楽大学の前田ホールが、ウィーン楽友協会を模した日本で最初のシューボックスホールなのだが、内装空間の美しさなど、断然いずみホールの方が上だし、こちらのほうが実際商用ベースのホールですよね。)
こういう本格的なヨーロッパ・テイストの内装空間を持ったシューボックス・ホールの日本での最初のさきがけのホール、という認識だった。
いずみホールの音響設計はYAMAHAが担当している。
いずみホールは、日本のコンサートホールビジネスの始まりの時期に創設された歴史あるホールで、
1986年に東のサントリーホール、1990年に西のいずみホール、そして1994年に岐阜のサマランカホールの3ホールが姉妹ホールとして提携し、情報交換や共同企画、事業協力、人材育成などについて協力するレリーフなどを交換したこともあったようだ。
いずみホールはオープンするにあたり、音楽学者礒山雅氏を音楽アドバイザーとして、特定のテーマをかかげ、演奏家、聴衆とともに音楽を探求し、創り、また楽しむという主張を打ち出していた。
礒山雅氏のかかげる企画の柱は、
(1)音楽の原点への旅
(2)音楽の未来への旅
(3)マイ・ディア・アマデウス
(2)音楽の未来への旅
(3)マイ・ディア・アマデウス
の三つである。中でも特色あるのが“音楽の原点への旅”のシリーズ。ベートーヴェン時代のピアノ“ナネッテ・シュトライヒャー”、“ナーゲル”のチェンバロなどという吊器を揃え、古楽器によるバロック音楽の新しい探求の旅を目指している。
“音楽の未来への旅”はわが国の作曲家、音楽家を中心として新しい音楽を創り出すというアトリエとしての活動である。三番目の“マイ・ディア・アマデウス”はモーツァルトの全作品を気楽に楽しむことを狙った企画である。
これらの企画のコンセプトの特色がホールのオープニング記念コンサートにそのまま反映された。
いずみホールのオープニング・ガラ・コンサートは礒山雅氏自らの司会、鈴木雅明氏のオルガン、有田正広氏のフラウト・トラベルソ(バロックフルート)、小林道夫氏のフォルテピアノとチェンバロ、吉野直子さんのハープ、仲道郁代さんのピアノ、岡坊美子さんのソプラノ、それにヤナーチェク弦楽四重奏団、大阪フィルハーモニー交響楽団、最後は指揮者なしで「ハフナー《を演奏したプラハ室内管弦楽団などで4時間を越える多彩なプログラムであった。
このホールの音響については、担当されたYAMAHAの川上福司氏の詳細な記事がオープニングの総合プログラムに紹介されている。
この開館記念の総合プログラムは音楽ファンにとってもの凄い読みごたえの内容だそうで、定価2,500円、ぜひ一読をお薦めされている冊子で、サントリーホールの黒本と同じように、いま一生懸命中古市場で探しています。(笑)
客席数821席、室容積約10,000m3、室幅21m、室の高さ15.5mの直方形という基本条件だけで、このホールの響きは高いレベルにあるといってよい。
室内楽から小編成のアンサンブルまでを余裕を持って受け止めるだけの空間が約束されており、また、大型ホールで苦慮する初期反射音についても特別な仕掛けに悩む必要はない。現実的な問題として客席数の約1/3をしめる通路前方席の音響をどう考えられたのかが気になった。音響設計の課題としては、むしろ拡散の程度とその周波数範囲をどう設定するかが最大の課題であろう。
また、響きのバランスも考えれば難しい課題である。
ところで、このような直方形のホールで一番悩むのはむしろ建築家ではないだろうか? 壁、天井とも拡散体で埋めつくされた空間を見てそんなことを思ったのである。
コンサートホールの運営では貸し館事業と自主事業とのバランスが現実面の大きな課題である。しかし、ホールの品格は自主企画のコンセプトと内容に懸かってくることは明らかである。わが国もやっと欧米諸国に誇れるホールをもつにいたったものの、専用の楽団のフランチャイズが始まったのは最近であり、ホールと一体となって独自の音楽を創り出すまでには長い道程が必要であろう。(いずみホール、オープン時の永田音響設計ニュースより)
ホールの品格は、自主企画のコンセプトと内容に懸かってくる。。。
そういう意味でも礒山雅氏(2018年にご逝去)の存在は、このいずみホールにとっては大変大きな存在だったのだと推測する。
前置きはこのくらいにして、さっそくホールの体験記である。
もう開館前は、心臓がバクバクで大変でした。(笑)
もう開館前は、心臓がバクバクで大変でした。(笑)
エントランス
チケットオフィス。赤色がかなり映えていてかなりお洒落な色使いです。
そしてホワイエ。
赤色の絨毯が敷き詰められていて、非常にシックな感じの空間。室内楽ホールもしくは小編成のオーケストラ専用のホールに見合ったとてもコンパクトである、というコンセプトがこのホワイエにも反映されていると思いました。
レセプショニストの女性のみなさんは、赤いジャケットがユニフォームのようでした。とても素敵です。
クローク側を臨む。
そしてクローク(やはりとてもコンパクトなのが可愛い感じがします。)
売店。
2階に上がる階段からホワイエを臨む。
インターミッション用のドリンクコーナー。
ここはかなり素敵な空間でした。雰囲気あります!
そして思ったより空間スペースが割かれているな、と思いました。
ここはかなり素敵な空間でした。雰囲気あります!
そして思ったより空間スペースが割かれているな、と思いました。
そしていよいよホールに突入。
これは美しい!
思わず息を飲んでしまった。いつものことなのだけれど、自分にとって初めてのコンサートホールに入った瞬間、自分の目の前に一面に広がるその空間を見たときは、一瞬息が止まります。
自分が逝ってしまう瞬間と言っていい。
全体的にブラウンを基色とした国会議事堂の衆議院会議場に近いビクトリア調の調度な感じですね。
その内装空間の美しさはあまりに驚いてしまい圧巻であった。
その内装空間の美しさはあまりに驚いてしまい圧巻であった。
まさにヨーロッパの古いコンサートホールが持つ古色蒼然とした佇まい、というのがここにある、という感じ。こういう内装空間を持つホールって日本にはあまりないですよね。
ステージ側から見たホール空間。
最初に驚いたのは、正面センターに上階席が存在しないこと。
こういうホール構造はあまり体験したことがないかも。唖然としてしまいました。
いわゆる両側面側に申し訳なさ程度に座席がある程度で、基本は1階席中心のホールなんですね。
1階席は前方は平土間ですが、センターあたりからスロープがついています。
こういうホール構造はあまり体験したことがないかも。唖然としてしまいました。
いわゆる両側面側に申し訳なさ程度に座席がある程度で、基本は1階席中心のホールなんですね。
1階席は前方は平土間ですが、センターあたりからスロープがついています。
そして奥行きが思ったほどなく普通のシューボックスより浅めの感じ。
本当にコンパクトな空間という印象。
ということは、まず思ったのは、上階席がほとんど存在しないということは、観客席の人が音を吸うことがほとんどないので、ホール観客席上部で、ダイレクトに壁に反射して反射音が高次反射するような音の濃い空間なのだろうな、ということ。ちなみにホールの四隅はラウンドさせています。
ホール側面側。
ご覧のように申し訳なさ程度に客席が存在する。
でも見てほしい。ドアの部分がとても装飾性のあるデザインの素晴らしさで、これがきちんとした拡散性の凹凸を造っていますね。ウィーン楽友協会はロココ調のデザインだけれど、ここはちょっと雰囲気が違う。
でも昨今の最新型ホールの設計の傾向に見られる無機質な凹凸の作り方ではなく、このようなヨーロッパ・テイストな自然な美しさの装飾が彫られていて、それがきちんと拡散性の役割を果たしている、というのはまさに内装空間のデザインを損なうことなく音響が素晴らしいという両立を果たしていますね。
ドアの両側の赤いカーテンがまた全体の色の配色バランスで鍵を握っていて、とてもお洒落な空間を造っている要因です。でもこれは、また同時に吸音の効果も狙っていて、シューボックスが持つ最大の問題の定在波の問題の解決のひとつの策なのでしょう。
赤いカーテンの両サイドに縦にスリットが入ったデフューザー(拡散体)の柱がある一定間隔に配 置され立っているのがわかりますか?これもこのホールの壁の音の拡散の大切な役割を果たし ているのです。
天井
ここにもきちんと音の拡散の仕掛けがしっかりと施されていた。
格子状のデザイン。これはアムステルダム・コンセルトヘボウがまさにそのようなデザインである。
そしてポリヒムニアのスタジオの天井もそうなっている。それは彼らがホームグラウンドのコンセルトヘボウの天井を真似たからにすぎないのだが。。。
そしてポリヒムニアのスタジオの天井もそうなっている。それは彼らがホームグラウンドのコンセルトヘボウの天井を真似たからにすぎないのだが。。。
ここのホールの天井は、さらにその格子状の中に三角錐の凹凸拡散体が施されているのだ。いずみホールの荘厳な内装空間の美しさからすると、この天井のデザインはちょっと武骨な感じがしないでもない。(笑)でも普通の観客は天井を見たりしないからね。(笑)
完璧な音響対策。
椅子と床
これは岐阜サマランカホールと全く同じ形状タイプの椅子。観客が座る部分、お尻と背中の当たる部分だけクッションで座ったら隠れるようになっていて対吸音対策。その縁は木がむき出しになっていて、反射重視となっている。
客席の床を見てほしい。大理石(?)と思われるツルンツルンの固い床であった。
自分がホールに入った瞬間まずオッと思ったのはこの床の造りだった。吸音ゼロの全反射オンリーの床。ホールが全方位面で反射に囲まれる構造の役割をこの床も担っているのだと思いました。
自分がホールに入った瞬間まずオッと思ったのはこの床の造りだった。吸音ゼロの全反射オンリーの床。ホールが全方位面で反射に囲まれる構造の役割をこの床も担っているのだと思いました。
でもステージの上は中が空洞の木のような感じでした。
ステージ上の発音体の大きな鳴りに対して、その振動がきちんと返ってくるような感じですね。
ステージ上の発音体の大きな鳴りに対して、その振動がきちんと返ってくるような感じですね。
電子掲示板
これもちょっと自分は初体験。(他のホールではあるのかもしれませんが、自分は初体験。)
ステージ後方に休憩時間(インターミッション)の時間がきちんと表示される。
ステージ後方に休憩時間(インターミッション)の時間がきちんと表示される。
いずみホールのホール空間は、内装空間がとても美しいホールで、そこにはヨーロッパの古いホールにあるような自然の芸術的な彫刻がなされ、それが同時に拡散体となるような仕組みが施されていた。
そこには現代の最新型ホールの内装設計の無機質な凹凸拡散体の造り方とはあきらかに違う造形美、芸術性があって心を和ませてくれる。自分はあまりに空間が美しかったので、休憩時のインターミッションではトイレに行く時間も惜しみ、ずっとその空間を眺めていた。またいつ大阪に来れるかわからないからである。(岐阜サマランカホールでもそうだった。)
色使いがブラウン系の調度で、全体的に暗めの照明。これが返って聴衆の音を聴く精神状態を静謐で深いものにしていることは間違いないと思う。この美しい内装空間で音楽を聴いていると、特別な感情に陥ってしまう。
ウィーン楽友協会のコンセプトを模して造られたと言われている、この内装空間の美しさの果たしている役割はかなり大きいと思う。
日本にこういうホールはあまり見かけない。
そして音響だが、これは予てからの噂に違わぬじつに素晴らしい音響体験であった。
「豊かな響きに明晰で引き締まった音像。」
控えめな容積で、シューボックスでこれだけの拡散体に囲まれている構造であれば、もう響きが豊かなのはもう結果として分かり切っていたことであった。驚いたのは、響きが豊か過ぎると各楽器のパーツの音が混濁してしまい響きに埋没気味になって音像が膨らむ感じになってしまうのだが、弦楽四重奏で聴く音響は、じつに見事な明晰な音であった。
不思議だったのは、ホールの壁が見掛け木目調に見えるので、木のホール独特の暖色系な音質だと推測していたのだが、硬質な透明感のある音で、まるで石造りのホールで聴いているようなクリアな音であった。
各弦楽の解像感の高さというか弦の聴こえ方のばらけ具合が非常にシャープネスな音で、音が立っている感覚だった。自分はこのとき、このいずみホールの音響を体験するのに、まず弦楽四重奏を選んだことは偶然とはいえ、結果として大正解だったと思う。
ここでは室内楽だけではなく、小編成のオーケストラも演奏される。
実際、専属オーケストラのいずみシンフォニエッタ大阪や関西フィルなどこのホールをホームにしている。
12型,14型,16型・・・どれくらいの規模の編成で普段やっているのかわからないが、これだけ慎ましやかな容積で、これだけ響きが豊かであると飽和してしまうんじゃないか、という心配もしてしまう。
一度聴いてみたいものだと思う。
いずれにせよ、ウィーン楽友協会のコンセプトがベースにあるこのいずみホールの最大の魅力は、この美しい内装空間と素晴らしい音響の視覚と聴覚の両方を同時に刺激する豊かな感覚なのだと思う。
こういう芸術性の高い空間で音楽を聴いていると一種独特な雰囲気、アドレナリンが湧くことは間違いない。
最近の新しいホールの設計企画でこのような内装空間を設計することはもう難しいのではないだろうか?
新しい時代にはその時代に適した新しいホールの内装空間というのがある。
そういう意味でもいずみホールは、大阪のとても貴重な国家財産なのだと思います。
さて、ハーゲン・クァルテットの演奏。
ここの座席から。
弦楽四重奏の王者に相応しい堂々とした演奏であった。
ハイドン、バルトーク、そしてシューベルトの弦楽四重奏を演奏してくれたが、自分は特にハイドンがよかったと思う。音響ありきの鑑賞の仕方で、申し訳ないと思うが、ハイドンが一番このホールの音響の素晴らしさを体感させてくれたからだ。ホール音響は一番最初の出音ですべてわかってしまう。それ以降いかに長時間聴いていようが、その印象が変わることはほぼない。そういう意味でハイドンは素晴らしかった。
コンサートの目玉としては、バルトークや特にシューベルトのロザムンデが一番の聴きどころなのだろう、と思う。ロザムンデは、逆に弦の弱音表現が素晴らしく印象的で、それを4人の完璧なまでのアンサンブルで仕立て上げていたところに素晴らしさを感じた。ある意味完全無欠で、非の打ち所がないようなまでの冷血漢的なところもあったような演奏だったと思う。もっと温度感のある暖かみ、呼吸感のある演奏も選択肢としてはあったと思う。
ハーゲン・クァルテット演奏会
2019年10月4日(金)19:00~ いずみホール
ハイドン 弦楽四重奏曲 第77番 ハ長調 op.76-3「皇帝」
バルトーク 弦楽四重奏曲 第3番 BB93
バルトーク 弦楽四重奏曲 第3番 BB93
休憩(インターミッション)
シューベルト 弦楽四重奏曲 第13番 イ短調 op.29-1 D804 「ロザムンデ」
~アンコール
ハイドン 弦楽四重奏曲 第76番 ニ短調「五度」Hob Ⅲ:76,op.76-2
第4楽章 Vivace assai
第4楽章 Vivace assai
2019-10-06 17:41
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