マーラー・ユニヴァース [海外音楽鑑賞旅行]
マーラーフェスト2020のフェスティバルの中心テーマは、”マーラー・ユニヴァース MAHLER'S UNIVERSE”である。
彼らはこのように造語した。
日本語に直訳すると”マーラーの宇宙”ということになるし、少し意訳しても”マーラーの世界”ということになるだろう。
でも、どうもしっくりこない。
ここはもうそのまま”マーラー・ユニヴァース”でいいのではないだろうか?
マーラーの人生、作品、そして伝説。
そういったマーラーの世界を全部統括して、”マーラー・ユニヴァース”なのである。
今回のマーラーフェスト2020は、単にマーラーの交響曲、歌曲をアムステルダム・コンセルトヘボウのホールで全曲演奏する、というだけではないのだ。
このマーラー・ユニヴァース、マーラーの世界のすべてを現代のみなさんに見てもらいたいという心意気がある。したがって、演奏会以外に、そのマーラー・ユニヴァースを具現化するイヴェントとして、このようなことをやります。。。というのが、この記事の主旨である。
●マーラー・ユニヴァース MAHLER'S UNIVERSE
「マーラーを知ることは、究極的には、我々自身を知ることである。」
イギリスの音楽ジャーナリストのノーマン・レブレヒトはそのように書いている。我々は、マーラーフェスティバルの間に開催される講演、インタビュー、そしてガイド・ツアーなどのとてもユニークなプログラムを通して、みなさんがマーラーのことをより理解できるように、”マーラー・ユニヴァース”に誘うつもりである。
●インタビューと座談会
マーラー・フェスティバルの期間中、マーラーの音楽、マーラーとアムステルダム、コンセルトヘボウ・オーケストラとの結びつき、そしてマーラーの音楽的、そして人間的な遺産など、マーラーについて、多くの英語でのインタビュー、座談会が開催される予定である。
そうすることにより、訪問者は非公式な形で、マーラーの音楽的な印象を言葉や文章に置き換えることができ、そしてマーラーの人生がいかに我々の中に深く織り合わせられているかを理解する絶好の機会となる。
●ガイドツアー
マーラーにとって第2の音楽の故郷であったコンセルトヘボウ・ホールの中を1世紀以上も昔にマーラーが歩いたそのルートと同じルートを歩むことで、マーラーの足取りを辿っていく。マーラーが指揮した場所、そして彼の友人であるウィレム・メンゲルベルクがロイヤル・コンセルトヘボウ・オーケストラをリハーサルしていたときに、マーラーが見ていた場所を紹介していく。有名な階段の一番上のところには、マーラーの子孫、娘のアンナ・マーラーが作ったマーラーの胸像。この胸像は、マーラーの孫娘によって、マーラーフェスト1995のときにコンセルトヘボウに寄付されたのだ。
●展示会
ファスティバル期間中、コンセルトヘボウはひとつの大きな展示会場スペースになる。マーラーの個人的な所持品などが展示される。~たとえばマーラーの未亡人であるアルマの家族アルバム(マーラーの孫娘:マリナ・マーラーからお借りできるもの)からの写真の数々。そして同様に、パリのマーラー音楽図書館からお借りできる物の数々など。
訪問者は、あのマーラーの有名なメガネ、スコア原稿、指揮棒、そしてシャツのカウフスボタンのようなものを実際じかに見ることができてさぞかし感激することであろう。
●マーラー研究者による講演
マーラーはこう言った。「もし私が言葉でなにかを言わなければならないと思ったときに、なぜそれを音楽という形で表現しようとしたのだろうか?」しかしながら、その後、人々は、マーラーの音楽を言葉で表現しようと最善を尽くした。
マーラー・フェスティバルの期間中、著名なマーラー研究者がそれぞれの交響曲についての講義をプレゼンテーションする。英語でやる。夕方の各々の交響曲のときだが。研究者たちは、年季の入ったマーラーファン、そして新しいファンの両方にも受け入れられるように、マーラーの交響曲の本質を表す音楽の実例を使いながら言葉を使って説明する。
●シンポジウム
マーラーは、交響曲は、すべてのものを含んでいないといけない世界だと信じていた。
しかしながら、とくに作曲家の世界はどういうものを持っていないといけないのか?
しかしながら、とくに作曲家の世界はどういうものを持っていないといけないのか?
フェスティバルの最初の1週間、リサイタル・ホールのほうで、オランダ・グスタフ・マーラー財団と国際グスタフ・マーラー組織とのコラボレーションにてシンポジウムをおこなう予定である。主題は、マーラーが歌曲や交響曲を作曲する上で使用した文学や哲学について語られるものになる。フェスティバルが閉幕する週には、マーラーの哲学や精神的なものが遺したものについて、語られる。
マーラー・フォーラムの期間中は、強力な国際的な研究者たちが、マーラーの作曲家としての影響力が、音楽という境界線を超えて、いかに今尚この世に残っているかを熱く語ることになるであろう。
ちなみに、”マーラーフェスティバルのスポンサーになる。”の日記で、マーラー・パビリオンの企画の紹介をした。あの東京駅の原型となったアムステルダム中央駅の前の広場であるミュージック・スクエアで、大型テントを造営して、コンセルトヘボウのマーラー全曲公演を大型スクリーンでライブストリーミングする企画だ。
コンセルトヘボウ・ホールとアムステルダム中央駅は全然遠く距離が離れている。トラムでないと行けない。そんな距離感でもそういうことが実現できるのは、現代の最新技術であるライブストリーミングだから可能になったとも言える。
自分もぜひこのマーラー・パビリオンを体験してみたいと思っていた。
どんな大型スクリーンで、どんなスピーカーを使っているのか、画質はどうなのか、音質はどうなのか、画質はブロックノイズが出ていないか、音質はブツブツと途切れていないか、とかいろいろオーディオマニア目線でレポートできればいいと思っていた。
ところが世の中そんなにうまくいかないのだ。(笑)
マーラーフェスティバル2020の公式HPを見ると、このマーラー・パビリオンのチケットが販売されている。(有料なのだ!)それは、まさにライブストリーミングなのだ。決して聴き逃し配信ではなさそうなのである。
ストリーミング開始時間が、生演奏の時間と同じ時間帯なのだ。
だから、チケット争奪戦に敗れ、コンセルトヘボウ・ホールで生演奏を体験できなかった人たちが、代わりにこのマーラー・パビリオンで楽しむという主旨のようなのである。
超がっかり!(笑)
自分には、マーラー・パビリオンはフェスティバル期間中は経験できない、ということになる。
なんだぁもう!!!
仕方がないから、コンサートが始まる前に、このマーラー・パビリオンの大型テントの写真を撮影してくるぐらいしかないのかもしれない。でも開演前にはテントの中には入れないかも?
でもだ、でもだ。
逆を言えば、コンサートチケットをゲットできなかった人でも、諦めずにアムステルダムまでやってこれば、このマーラー・パビリオンでリアルタイムに演奏を楽しめると言えると思うのだ。(ただしチケットは買っておいてください。先日教えしましたマーラーフェスティバル2020の公式HPからチケット売り場のページに辿り着きます。)
そのためにアムステルダムに来てもいい。
そしてさらにはだ!
上述のマーラー・ユニヴァースを具現化したいろいろな座談会、インタビュー、ガイドツアー、シンポジウム、講演会、そして展示会を体験するだけでも、かなり価値があるのではないか?
何十年に1回のフェストだから、こんな企画は普段滅多にお目にかからないし、相当希少価値のある体験だと思う。これだけでも雑誌の記事や日記の投稿としては十分過ぎるボリュームある内容になると思う。
まさにマーラー・ユニヴァースを体験せよ!である。
2020-01-26 07:41
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