SSブログ

KD SCHMID [クラシック雑感]

クラシックの指揮者や演奏家のマネジメントをする事務所というのは、レーベル(レコード会社)との契約とはまた別なのだと思う。そういうアーティストとして音源をリリースすることも含めた音楽活動、ライブ演奏会の出演、イヴェントへの参加、ツアーマネジメントとか、とにかくアーティスト活動として総合的なマネジメントをする事務所が必要なのだと思う。


自分はその辺は素人なので、あまりはっきりとしたことは断言できないのだけれど・・・。


たとえば日本でいえば、KAJIMOTOさん、ジャパン・アーツさん、ヒラサ・オフィスさん・・・とかが代表的なクラシック関連の事務所。日本の指揮者、演奏家の方々はみんなこういう事務所に所属して、自分の活動をマネージメントしてもらっている。


今回この日記で紹介するKD SCHMIDというマネジメント会社は、自分は初めて知ったのであるが、歴史としては1959年創業で、歴史あるワールドワイドに展開するアーティスト事務所のようだ。


KD SCHIMD.jpg


KD SCHMID




なぜ、このKD SCHMIDというマネジメント会社の存在を知ったか、というとアラベラさんが、自分のSNS投稿で「私、KD SCHMIDに移籍することになりました~。」的な動画を投稿したからだ。


アラベラKD SCHMID.jpg



オイオイ、そんな動画サイトに出ている場合か~?赤ちゃんはどうなったんだぁ~?(笑)と思わず、ツッコミを入れたくなったのだが(笑)。


このKD SCHMIDというマネジメント会社、専用のご自身のサイトも持っていて、かなりワールドワイドなマネジメントをやっているようなので、紹介してみよう、という試み。


KDSCHMID_Teaser_Jobs[1].jpg



KD SCHMIDは、つぎのマネジメントをやる会社と言ってよさそうだ。


Strategy.jpg


・アーティスト・マネジメント


我々の基本は、長い間、育ててきた信頼関係と持続性のもとに、将来を約束された若いアーティスト、そして世界に名を馳せたアーティストを、マネジメントをすること。


・オーケストラ


我々のスペシャリストなスキルを持った高度なプロジェクトチーム、ロジスティクス、ツアーマネージャーがプロフェッショナルで、クリエイティヴなインターナショナル・ツアーソリューションを提供する。プレゼンター、コンサートホール、フェスティバル、そして指揮者、ソリストが我々のこの数十年蓄積された経験から恩恵を受けることは間違いなし。


・スペシャル・プロジェクト


我々はクラシック音楽パフォーマンスというメインストリームを超えた、スペシャル・プロジェクトを促進する。そこにはライブ音楽で聴衆を集客するため、そしてセキュリティなどを司るプロモーターを提供するなどのお手伝いする。


・パブリック・リレーション


我々は、アーティストやオーケストラのPRキャンペーンを提供したり、クライアントのソーシャルメディア活動のサポートを提供する代表的なPRエージェンシーと密な関係を持っている。


・インターナショナル・ネットワーク


我々は、ワールドワイドなネットワークとして、ハノーヴァー、ロンドン、ベルリンに3つのオフィスを構えているのと同時に、ハンブルグではドイツのリーディング・プロモーターとも密な協力関係にある。


OUR NETWORDK.jpg




KD SCHMID EXECUTIVE BOARD


csm_KDSCHMID_Cornelia_Schmid_Karen_McDonald_6023f9a232[1].jpg


Managing Director
左がドイツ人のCornelia Schmidさん、
右がイギリス人のKaren McDonaldさん


この2人がEXECUTIVE BOARD。


発祥はドイツの方だから発起人だったドイツ人のSchmidさんはドイツ・オフィスにいてMcDonaldさんはイギリス人でイギリスのオフィスにいるという感じだろう。


各オフィスの社員のリストは、こちら。



csm_KDSCHMID_Teaser_Standorte_e8913ab84b[1].jpg



具体的にもう少し掘り下げてみよう。


まずアーティストマネジメント。


マネジメントの対象のアーティストとして、指揮者、ソリスト、歌手、ナレーター、そして室内楽アンサンブル、これだけのジャンルのアーティストたちのマネジメントをおこなっている。


そのアーティストリストはこちら。



ちょっとかいつまんで、紹介するとこんな感じ。(ごく一部です。)


ソリスト-2.jpg


ソリスト-3.jpg


ソリスト-1.jpg




この中で、一番の関心ごとは、やはりアラベラ・美歩・シュタインバッハーがこのマネジメント会社に移籍したことだ。自分はこのことで、このKD SCHMIDというマネジメント会社の存在を知った。


Steinbacher_Arabella_c_Sammy_Hart_THUMB[1].png


アラベラさんは、いままでもドイツを中心に、世界中をワールドツアーで駆け巡ってきたが、これからはよりメジャーなオーケストラとの共演も多くなり、よりワールドワイドな活動ができるようになるであろう。


キャリアのステップアップですね。


この中で、注目なのは、さきの第56回ブザンソン国際指揮者コンクールでみごとに優勝した沖澤のどかさんだ。


Okisawa_Nodoka_3_c_Taira_Nishimaki_THUMB[1].jpg


沖澤さんもこの事務所に入ることで、よりワールドワイドな活動ができそうだ。
これからの指揮者生活は明るい未来が待っていそうだ。


他にも上の写真を眺めていると、内田光子(ピアノ)、山田和樹(指揮者)、イエフム・ブロンフマン(ピアノ)、カティア・バニュアシュヴェリ(ピアノ)、ラファウ・ブレハッチ(ピアノ)、シュテファン・ドール(ホルン)、グシュタフ・ヒメノ(指揮者)、トーマス・ハンプソン(バリトン歌手)、マーティン・ヘルムヘン(ピアノ)、ザビーネ・マイヤー(クラリネット)、アンドリウス・ネルソンズ(指揮者)、クリスチャン・テツラフ(ヴァイオリン)、タニア・テツラフ(ヴァイオリン)


など蒼々たるメンバーが名を連ねているようだ。


なんせ、1959年から創業のマネジメント会社だからね。
歴史、伝統のあるマネジメント会社だ。



世界で有名なアーティストから、まだ世の中に名が知られていないアーティストに至るまで、我々はすべてのアーティストに対して信用できるパートナーであるし、彼らがクリエティヴイティ&創造性を発達させるための情熱、経験を手助けてしていき、最高のプロフェッショナル・レヴェルに到達するまでともに歩んでいく。


KD SCHMIDのアーティスト・マネジメントは、我々のロンドン・オフィスだけでなく、内部でつながっていて、ワールドワイドに展開している。我々はアーティストと契約すると同時に、若いアーティスト達に対しては、戦略的なキャリア開発、長期間に渡るキャリア育成などに努める。


イヴェント計画では、我々は管理上の詳細なコンサートのための準備やアーティストやオーガナイザーのための広範囲にわたるサービスを提供する。



Your contact persons:


Karen McDonald.jpg


Karen McDonald
Managing Director

+44 20 7395 09-15
karen.mcdonald@kdschmid.co.uk



Artist's roster 2019/20(アーティスト名簿 2019/2020)


という記載があるので、おそらくそのシーズン単位で契約していく期限単位の契約制ということもあるかもしれない。いや、でも長期間で戦略的に育てていく、と書いてあるから、そういうこともないかな?


そのことは次の記載のオーケストラ部門の記載でより明瞭になる。


いわゆるこのマネジメント会社が持っている数十年以上のキャリアによるデータベースの中のアーティスト、オーケストラ、室内楽アンサンブルなどの組み合わせを彼らが間に介在して紹介していき、企画するイヴェント・オーガナイザーなんだろうと思う。


Schmid-2.jpg



そしてオーケストラ部門。


リストはこちら。



ちょっとかいつまんで紹介するとこんな感じ(ごく一部です。)


オーケストラ1.jpg


オーケストラ2.jpg


オーケストラ3.jpg




ロンドンフィル(アンネ=ゾフィー・ムター)、サロネン&フィルハーモニア管、アムステルダム・シンフォニエッタ、チェコ・フィル、ニューヨーク・フィル、BBCフィル、ケヴァントハウス・ライプツィヒ管、ベルリン・ドイツ交響楽団、スウエーデン室内管、ボストン交響楽団、ラトル&ロンドン交響楽団、NDRエルプルフィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(RCO)


などなどこちらの蒼々たるメンバーだ。


自分は気づいたのだけれど、このKD SHMIDというマネジメント会社は、ドイツ(ベルリン、ハノーヴァー、そしてハンブルグ)と、ロンドンにオフィスを構えるだけあって、やはりイギリスとドイツのオーケストラが圧倒的に多い。でもニューヨークやアムステルダム、スウエーデンなども、それなりにネットワークを広げているようだ。


そして基本はツアーマネジメントなんだよね。上の写真を見てくればわかるように、サポートする期間というのが有限で決まっているのだ。だから契約はツアー単位で、この期間のツアー単位でツアーマネジメントを契約しているに違いない。


だからオーケストラに関して言えば、終身雇用制のマネジメント会社ではないのだ。(笑)


Orchestra Tours 2020/2021

Orchestra Tours 2021/2022


のようにカテゴライズされていて、シーズンでツアー単位で契約していることがよくわかる。



我々は、数十年の経験から、オーケストラ、コンサートホール、フェスティヴァル、指揮者、ソリストをオーガナイズする。我々の40年以上蓄積されたカスタマーベースから、世界中の著名ないろいろなアンサンブルの組み合わせを構築することができる。


私たちは、オーケストラ、ソリスト、オーガナイザー、そしてフェスティバルなどのすべての間に入るインタフェースになる。我々のゴールは、芸術イヴェントをいっしょに企画して成功させることである。これは我々の長期間に渡り精密な計画に基づいて構築してきたロジスティック・ワークによって可能なメイン機能なのである。弊社内部で訓練・経験を経てきたツアーマネジャーによるトップクラスのオーケストラ・ツアーの企画コンセプトに至るまで、我々は完璧なポートフォリオを提供することができる。



そうかぁ、彼らは単にアーティスト、オーケストラ、歌手などのアーティストたちを登録してマネジメントするだけなのではなく、演奏ツアーそのものの企画イヴェントのオーガナイザーなんだな。やっぱり・・・。そしてそれを成功させるためのロジスティック機能を世界の各地にコネクションを持っているに違いない。


いわゆるPRキャンペーン、ソーシャルメディア活動などのプロモート、宣伝活動に至るまで完璧にポートフォリオ(Portfolioというのは知財用語です。私の専門分野です。(笑))として提供する用意があるということなのだろう。


Your contact persons:


Scmid JPG.jpg


Cornelia Schmid
Managing Director

+49 511 36607-73
cornelia.schmid@kdschmid.de




Nicol JPG.jpg


Nicole Apitius
Senior Director of Operations

+49 511 36607-53
nicole.apitius@kdschmid.de



なにもクラシックだけではないのだ。それ以外のライブパフォーマンスに関するマネジメントもやっている。それがSpecial Projectだ。


SpecialProject-1.jpg


Special project-2.jpg



日本のKAJIMOTOさんだって、パリに支局を持ってワールドワイドに活躍している。


若手アーティストをパリ在住させて経験を踏ませるなど。やっぱり日本に限らず、どこのアーティスト・エージェントだってやっていることに違いない。


ただ、これだけは言える。


アーティスト・マネジメント、イヴェント企画会社にとって、いまのCOVID-19の問題は死活問題である。


これだけは間違いないことだ。



まさにいまが試練の時だ!












nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。