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アビイ・ロード [海外ロック]

ビートルズの12枚のオリジナル・アルバムの中で、自分が最高傑作だと思うもの、自分が1番好きなアルバムがアビイ・ロードである。これは自分だけじゃなくて、他のビートルズファンの方もそういうファンが多いと思う。


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ビートルズのアルバムの中で最も売れたレコードである。
世界中のビートルズファンから愛されているアルバムですね。


「じつはホワイト・アルバムが素晴らしい!」の日記でも書いたけれど、自分は初期、中期のしっかりとした曲としての形式感が整っている感じより、どこか退廃的で、崩れている感じの美しさが漂う後期の曲のほうが好きである。


そのもっとも後期のビートルズらしい美しさを兼ね備えているのが、このアビイ・ロードだと自分は思っているのだ。


特に超有名なB面のメドレー。


ビートルズのアビイ・ロードといえば、もうこのB面メドレーというのは誰もが納得いくところではないだろうか。当時のローリング・ストーン誌は「本作のB面のみで、「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」に匹敵する」と評している。


このB面メドレーはじつに美しい至高の芸術品の集まりと言っていいですね。


ロックやポップスって1曲あたり大体3分から5分。


それをアルバムに収める数だけ作曲する、というのが、いままでのアルバムの概念だったと思う。(現代のいまでもそうですね。)こうやって1分もかからない小片の旋律メロディーの数々をずっと連続でメドレーにして、レコード片面を埋める、という発想ってかなり斬新なのでは?


こういう手法って1969年当時、マーケットは相当衝撃に感じたと思う。そんな大昔の時代に、すでにこういう手法を考え出していた彼らはやっぱり天才だよ!と思います。


ところが、じつはそんな美談の話ではなく、その真実というのは、未完成の楽曲を寄せ集め、「それらしく」聴こえるようにするための「苦肉の策」だったことが後に明らかになってくる。(笑)


いくつかの楽曲は個別にレコーディングされ、ミックスの段階でテープ編集によって繋げられたもの。


ポールはビートルズ初期の頃から、ウィングスの時代に至るまで、結構このメドレーという手法を好んで録音に取り入れていたようだ。


ともあれ、中学生のとき、このB面メドレーの美しさにすっかり惚れこんでしまった自分は、ビートルズはやっぱり後期の作品がいいなーと思うようになった、そんなきっかけを与えてくれたアルバムでもあったのだ。


そのB面メドレーの最後のThe Endのときは、あ~ビートルズは本当にこの曲が自分たちの最後という意を決して書いた曲なんだなぁと子供心に感傷に浸っていました。


当時はアナログレコードだから、A面、B面という楽しみ方ができましたね。
アルバム作るアーティスト側もこのA面とB面でコンセプトを変えたりという工夫ができた。


それがCDになったら、A面もB面もひと続きになってしまうから、そういう楽しみができなくなった。アビイ・ロードは、A面の最後の「アイ・ウォント・ユー」のジョンのヘヴィーなロックンロールの後に、レコードをひっくり返してB面をかけたときに、冒頭に流れるジョージの「ヒア・カムズ・ザ・サン」の美しさ。


世界がガラ変しますね。
この落差がたまりませんね。


そこから怒涛の美しさのB面メドレーが始まる。


ポリスの「シンクロニシティ」もそうですね。A面とB面とで楽しみ方、趣が全然違います。


このメドレーについてジョンは「A面は良いけどB面はちょっとね。あれはジャンク(ガラクタ)を集めただけだと思うよ」と述べているが、ポールとリンゴは「B面のメドレーは僕らの最高傑作のひとつ」と発言している。


ポールは解散後のソロ・コンサートにおいても、このB面メドレーの中の「ゴールデン・スランバーズ~キャリー・ザット・ウェイト~ジ・エンド」をコンサート終盤に必ず演奏します。


自分もポールの東京ドームでのソロコンサートを2回も経験できたけれど、この終盤でのアビイ・ロードB面メドレーは聴衆が一堂にドッと沸くところなんですよね。


ビートルズを知らない世代の人には、ぜひ1度このアビイ・ロードのB面メドレーを聴いてみてほしいです。


アビイ・ロードってそんな奇跡のアルバムなのだけれど、そんなビートルズの最高傑作が、じつはバンドとして崩壊しつつある1番最後のときに造られた、というのは、本当に奇跡の賜物としかいいようがないのではないだろうか。



「ゲット・バック・セッション」が事実上の頓挫という厳しい現実におかれたビートルズ。バンド崩壊が現実のものとなりつつある状況の中、最後はきっちりと締めくくりたい。「GET BACK」が未完成のまま放置されてはいたものの、覚悟を決めたポールは、最後のスタジオ・アルバムのプロデュースをジョージ・マーティンに託す。


ポールは、ジョージ・マーティンに「GET BACK」に代わる新作~しかもバンドとしての 有終の美を飾るための実質的なラスト・アルバムのプロデュースを託したのだ。


7月から本格的に始まった「ABBEY ROAD」のセッションは精力的に続き、約2か月かけてアルバムは完成した。たとえ4人がバラバラになってしまっていても「ABBEY ROAD」は奇跡的に”ビートルズの音”をきっちり伝えていること。しかもこの期に及んでなお革新的な音つくりを目指し、バンドとしてさらに進化し続けていることに心底驚かされる。


そして「ABBEY ROAD」は9月26日に発売され、ビートルズの最高傑作として印象的なジャケットを含めて今でもなお世界中で高い評価を受け続けるアルバムとなった。


こうした状況の中にあったビートルズのアルバムをプロデュースしたジョージ・マーティンは当時の経緯をこのように話している。「「レット・イット・ビー」の悲惨な経験のあと、彼らがまた集結するとは思いもよらなかった。ポールが電話をくれた時はひどく驚いたよ。「もう1枚レコードを作りたいんだ。僕たちをプロデュースしてくれない? 本当の意味でプロデュースしてほしい」と言われて「いいとも、もし本当の意味でプロデュースさせてもらえるならね。また私にあれこれ指図して困らせようというんなら断る」と答えたんだ。結果的にはとてもよかった。もっとも連中は自分のことにかまけがちで、それぞれ違うスタジオにいたりしたから、私はあっちこっち飛びまわらなきゃならなかったがね」と語っている。



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このアビイ・ロードでもうひとつ特筆すべきことはジョージのメロディメーカーとして佳曲を生み出す才能がこの最後の最後のアルバムで一気に花開いたというところではないだろうか。


ジョージは中期のリボルバーあたりから、作曲してアルバムに曲を提供するようになっていたのだが、それでもどこかジョン&ポールについでの3番手という位置付けの感は拭えなかった。


でも、このアルバムでの「サムシング」、「ヒア・カムズ・ザ・サン」は、まさにジョン、ポールの作品を凌駕する素晴らしい作品で、とくに「サムシング」はジョージの最高傑作だと思う。


ジョージが亡くなってから、ポールは自分のソロコンサートで、このジョージの「サムシング」を披露するようになった。


これが本当に泣ける演出なんだよね。


ポールはマンドリンのような小さなギターを抱えながら歌うんだけれど、後ろのスクリーンに在りし日のジョージのフォトが次々と投影されるんだ。


そしてポールがサムシングを歌っている。


あの「サムシング」の美しいメロディーと相まって、もう涙腺ドバーって決壊してしまう。


歌ったあと、ポールは、「この曲はほんとにいい曲だ。」ってコメントする。
ジョージへの哀悼の意ですね。


ここはポールのソロコンサートの中でも自分が1番泣けるところです。



自分はジョージのメロディーメーカーとしてのセンス、才能は、卓越していると思っている。ジョージにとって、ビートルズの中にいるということは、つねにジョンに弟分として蔑られ、ポールには技量も含めて下に見られ続けているという、あくまで3番手という不満をずっと抱えて過ごしていたのではないだろうか?


「ゲット・バック・セッション」でも自分が作曲した曲を演奏してみせるんだけれど、ジョンやポールはまったく興味を示さない・・・というような。。。


やはりバンドというのは、結成当時は一致団結だけれど、そののち絶対各個人に自我が芽生え、目指す音楽性の相違などがでてきて、そのような昇華する気持ちを自分のソロに向けていく。そうすることで、自分を主張できる。人間ってそういう自分の立ち位置を確保できるか、という生き物ですよね。


友人関係にしても、お互いのリスペクトできるところ、その人が自分はここが一番大事と思っているところを尊重してあげられる、そういうお互い認め合う気持ちがないと、友人関係は絶対うまくいきませんね。夫婦生活にもいえるかも?ロックバンドもそうなんだと思います。


そういう意味で、ジョージは解散後ソロになって、本当に自分の好きなことをやれるし、そして自己主張できる。そういう意味でぶつかるものがなくなって最高に幸せだったのではないか、と思います。


これはジョンやポールにも言えることですが。


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アビイ・ロードといえば、そのジャケットが有名である。ロンドン・EMIスタジオ前の横断歩道で撮影されたジャケット写真は、レコードジャケット史上最も有名なものの一つである。


本作の大ヒットで、録音に使ったこの「EMI・レコーディング・スタジオ」は、それまで愛称だった「アビイ・ロード・スタジオ」を正式名称に改称している。


COVID-19のパンデミックで、自分の今年のヨーロッパツアーはまさに風前の灯になっているのだが、じつはロンドン滞在のために確保しているホテルが、このアビイ・ロード・スタジオまで10分もかからないところにあるご近所さんなのだそうだ。


ぜひこのスタジオを訪問して、世界一有名な横断歩道を見てきたいと思っている。


この横断歩道は、もうロンドンで有数の観光地として超有名になっていますね。この横断歩道は世界中から多くのビートルズ・ファンが訪れる名所となり、その文化的背景から景観の保存が検討され、横断歩道を英国政府が2010年12月に英国の文化的・歴史的遺産に指定している。


アビイ・ロード・スタジオ


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おそらく世界でもっとも有名なレコーディング・スタジオであろう。


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ボクは、最新のB&Wモデルのデザインが好きではないので、この旧型の800Diamondがあったころのスタジオ風景のほうに愛着を感じる。いまや最新の800D3でフロント3本が賄われているのを見ると悲しくなる。(笑)

編集するコントロールルームだけではなく、レコーディングするスタジオも併設している大規模なスタジオだ。



この有名なジャケット写真ができるまで紆余曲折があった。最初は、あのヒマラヤ山脈のエベレストの麓まで行って、そこでエベレストを背景に4人のジャケットを撮るという企画だった。アルバムのタイトルも”エベレスト”。


でも「ヒマラヤにまでジャケット写真を撮りにいくのはごめんだ。ちょっと外に出てそこで写真を撮り、アルバム・タイトルを(通りの名前である)アビイ・ロードにすれば良いのでは?」とポールが提案し、他のメンバーも同意して、それで決まってしまった。



1969年8月8日金曜日午前11時35分にイアン・マクミランによって、横断歩道を左右に渡る4人を10分間ほどかけて6枚(3往復分)撮影し「ジャケットに使った写真(5枚目に撮影された写真)+別テイク2枚」の計3枚(後に残りの3枚も公開された)を公開した。


これがその全6枚である。


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実際にジャケットに使われた写真(5枚目に撮影されたもの)では、左から右にジョンを先頭に、リンゴ、ポール・ジョージの順番で並んでいる(他の5枚も全て同じ順番)。この写真のみメンバーの歩調や写真全体のバランスがきれいに取れているので採用された。


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この裏ジャケットの写真は、スタジオ近くの"ABBEY ROAD"と表示のある塀を撮影したものだが、その際に偶然青い服の女性が横切ってしまった。これを面白がったメンバーがその写真に「BEATLES」の文字を合成したものが裏ジャケット写真になっている。


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この撮影時のときの非公式のオフショットを披露しよう。横断歩道を渡る前の4人、スタジオ前で待っている4人、横断歩道を渡るいろんなアングルからのショットなど。

Copyrighted By THE BEATLES FB。


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これがアビイ・ロード50周年記念の時に撮ったショットなのかな?
現在のポールがアビイ・ロード・スタジオを訪れて、そして横断歩道を渡っているところ。


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このアビイ・ロード・ジャケットでとても有名な噂が駆け巡ったこともあった。


それが「ポール死亡説」。


「アビイ・ロード」のジャケット写真においてメンバー4人のうちポールが1人だけ目をつぶっているように見えて、更に裸足であり、左利きなのにタバコを右手に持っている。路上に駐められたフォルクスワーゲン・タイプ1のナンバープレートが「28IF」であるのが


「もし(IF)ポールが生きていれば、(数え年で)28歳(発売当時のポールの実際の年齢は27歳)」。


白いスーツで長髪にひげを蓄えているジョン・レノンは「牧師」、黒いスーツを着ているリンゴ・スターは「葬儀屋」、スーツ姿で目をつぶって裸足のポール・マッカートニーは「死人」、デニムシャツにジーンズ姿のジョージ・ハリスンは「墓堀人」などと解釈され、いわゆる「ポール死亡説」の根拠の一部になった。


ボクは当時、これをすごく信じましたよ。(笑)
えぇぇ~いまのポールは、ポールのそっくりさんなんだって。(笑)


リアルタイム世代ではない自分のような世代でもビートルズにカリスマを感じるのは、こういう話題があるところも神秘的だからなんですね。



アビイ・ロードも発売以来50周年になり、50周年記念アニバーサリー・エディションが発売された。


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これは日記ですでにお知らせしたとおり、リマスターだけではなく、リミックスまでに挑戦していて、まさに世のビートルズファンをあっと驚かせている。単にハイレゾというだけではなく、Blu-ray 5.1chとか、Dolby Atmos 9.1chに至るまでスゴイ!


自分はPCオーディオで、このアニバーサリー・デラックス仕様を楽しんでいる。


そしてこのアビイ・ロード50周年記念ということで、こんなムック本も出版されている。


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50年目に聴き直す「アビイ・ロード」深掘り鑑賞ガイド (シンコー・ミュージックMOOK) 藤本 国彦、 ヤング・ギター 企画編集部




「ゲット・バック・セッション」の本で紹介した藤本国彦さん監修の本だ。アマゾンで藤本さんの書籍ライブラリーを拝見したのだけれど、本当に日本でのビートルズ研究の第一人者と言っていい所感で、素晴らしいですね。


この本では、やはりリミックスのところを結構大きく取り上げている。自分はビートルズを本当に十数年以上聴いていなかったから、最初このリミックス仕様を聴いたとき、音が良過ぎて、奥行き感が出過ぎだし、分離しすぎでちょっと違和感というか、ビートルズ音源ってこうじゃないだろう?的なコンサバな意見だったのだけれど、このムック本では当然のことだけれど、今回のリミックスをとても前向きに捉えている。



「ビートルズ・マニアにはオリジナルを尊重するあまり、リマスターやリミックスを認めない人もいますよね。でもマスター・テープは本来、こんなに瑞々しくて躍動感のあるいい音だったということは、こうしたリミックスを聴かないとわからないんです。そういう原理主義とうか固定観念にとらわれることなく、もうちょっと自由な気持ちでチャレンジして、この50周年記念盤を楽しんでもらいたいんですよ。特に、僕と同世代の頑固な人たちにもそうお願いしたいですね。」(オーディオ評論家:和田博已)




その他、アビイ・ロードを鑑賞するなら、こんなところが聴きどころという本当にビートルズマニア、アビイ・ロードマニアにとって垂涎の本と言ってもよいのではないだろうか?



以上、ふっと自分の思いつきで「ゲット・バック・セッション」から突然始まったビートルズ連載。


これにて終了。


本当に今年の秋に公開される映画ドキュメンタリー「GET BACK」は最高に楽しみだし、COVID-19のおかげで行けるかどうか極めて厳しい状況になってしまったが、アビイ・ロード・スタジオ、横断歩道を訪問できることを本当に楽しみにしている。


ビートルズもやはり自分の人生に関わってきた、幼少の頃のロック人生で大切な偶像だったから自分の日記で熱く語らないといけないという使命感に燃えたのが、この連載を始めた理由だったのでした。










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