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超ひさしぶりに、ベルリンフィルDCH(Digital Concert Hall)を観ました。 [オーディオ]

超ひさしぶり、9年ぶりだろうか、ベルリンフィルのDCH(Digital Concert Hall)を観ました。


いまCOVID-19問題で、ベルリンフィルハーモニーは閉鎖され、DCHを無料開放している最中。観ようと思ったきっかけは、”マーラーの歌曲”という日記を書くために、大地の歌については、どうしても自分にとって忘れられない公演があり、それは、2011年5月18日にベルリンフィルハーモニーで開催されたマーラー没後100周年記念コンサートであったからだ。


アバド&ベルリンフィル、そしてメゾソプラノにアンネ・ゾフィー・フォン・オッター、テノールにヨナス・カウフマンというまさに当代きっての最高の布陣で開催されたコンサート。マーラー大地の歌のコンサートでは、この公演が自分にとっては最高の公演なのだ。


日記を書くため、このコンサートをもう1回確認したかった。


そのためには、DCHを観るしかない。


DCHはいまちょうど無料開放キャンペーン中で、尚更いまがチャンスだ、と思ったのだ。DCHを観るなんて、2011年以来だからじつに9年ぶり。


いろいろ触って体験してみると、じつに大きく進化しており、ずいぶん驚かされた。自分が知っているDCHでは全然なかった。


DCHは、2008年にローンチした。
そのときは、自分は小躍りした。


ベルリンフィルの定期公演がインターネットで、どの公演でも視聴できる。これは当時すごい画期的なことだったのだ。


ベルリンフィルの定期公演というのは、それ以前は、NHKが現地フィルハーモニーに出張録画をして、NHKのBSテレビで放映する、というのが常であった。だから年に2回か3回の非常にレアで貴重な放送だったのだ。クラシックファンは、これをちゃんと録画しておくのだ。それが唯一の楽しみだった。


自分は、この頃の1900年代から2000年代にかけてのNHKの定期公演放送分のDVD録画したものをコレクションしている。友人がVHSに録画してあったのをDVDにダビングしてくれたのだ。


そんなレアな定期公演を、インターネットでどの公演でも、いつでも好きな時間に視聴できる。これは最高に興奮だった。


と同時に、このDCHが世に出ることで、NHKのベルリンフィル定期演奏会の出張録画というビジネスはなくなるな、と直感しました。


2008年にローンチしたとき、パソコンで視聴するわけだが、動画音声を再生するには、それなりにPC側にスペックを必要とした。(CPU速度、メモリー容量など。)自分は、DCH見たさに、PCを最新のAV再生専用の最新スペックのPCに買い換えましたから。(笑)


当時からライブ放送とアーカイブはあったが、なにせ画期的だったから、SNS仲間の間では、ライブ放送をちゃんとリアルタイムで観ること、そして感想をシェアするなんて感じで盛り上がっていたな。朝3時~4時ですよ。(笑)当時のみんなの熱狂はすごかった。


自分はPC内蔵の貧祖なSPで聴くのがいやだったから、PCにHDMI I/Fがあるので、それをAVアンプに接続して画像は、TVモニターで、音声はメインステレオで聴く、という方法で視聴していた。これが視聴するたびにいちいち繋ぎ変えないといけないから結構疲れるんだな。(笑)


そのうち、DCH視聴モジュールがTVに内蔵されだし、DCHはTVで視聴できる時代になった。さすがにすぐにTVを買い替える予算がなかったから、DCHは、それ対応のTVを買い替えたときに楽しむことにしよう。


DCHはTVで観るもの・・・。


こういう流れになってからDCHから遠ざかっていった。


最高に自分がDCHを視聴したピークは、2010年/2011年だったかもしれない。
ラトル&ベルリンフィルのマーラー全曲演奏会を、全部制覇して観ましたから。


DCHから遠ざかった理由のもうひとつに、料金体系があった。
そんなに頻繁に見るわけではないのに、年会費が高いと感じ、だんだん予算的に負担になってきて、それも観なくなる理由の一つであった。


あと、自分の中で、いつまでたってもベルリンフィルじゃ進歩がないだろう、という思いもあった。世界中にはいろいろな国際バラエティ溢れるオーケストラが存在する。


そしてなによりも日本のオーケストラがいる。


海外の演奏家はあくまでもこちらの一方通行の片思いの恋愛だけれど、日本人の演奏家は、こちらの想いが通じるというかわかってくれている、という気持ちもあり、段々日本人演奏家のコンサートに主軸を移していったし、外来オケや外国人演奏家よりも日本のオケや日本人の演奏家のほうに愛着を感じるようになった。


ベルリンフィルのコンサートに5万円を払うのなら、それと同額でいろいろなオーケストラを体験できるほうが自分のクラシック人生の素養を豊かにする、という考えもあったな。


とにかくDCHは自分にとって過去のモノであった。

9年ぶりに超ひさしぶりにDCHをいろいろさわってみた感想。


なんと GUIが日本語表記である。
当時は英語表記しかなかったからね。
これがまず驚いた。これは普及しますね。
しかもものすごいわかりやすく使いやすくなっている。


そして料金体系。


契約料金JPG.jpg


これも驚き。ずいぶん安くなっている。月額契約で1760円ということは、いまのふつうのレーベル音源でのサブスクのハイレゾ・ストリーミングとまったく変わらない金額。自分はmora qualitasとAmazon Music HDの両方を契約しているので、退会しない限り毎月自動継続である。そうすると年会費もこのくらいになるという換算。


これだったら、DCHも年会費契約してしまおうかな。17600円。
ついに年間契約してしまいました。


だって、今年度内の生演奏、コンサートを体験するのはなかなか難しそう。
これくらいの金額だったら、公演チケット1回分の代金の安いほうくらいの金額ですよね。

DCHがこんなに手頃な料金体系になっているとは思ってもいなかった。
彼らも世の中の金額設定に合わせてきたんだろうね。
昔はもっと高かったような・・・。


そしてGUIの操作性。


選曲方法JPG.jpg


まず、指揮者、作曲家、ソリスト、ジャンル、シーズンなどで選択する。たとえば指揮者で選択し、さらに具体的にラトルを選択し、そして作曲家でマーラーを選択するという感じ。


ずいぶんわかりやすい。
昔は結構スキルがいりました。(笑)


こういう分類をしておくと、ベルリンフィルの首席指揮者や客演指揮者は、ベルリンフィルを指揮したとき、どのような作曲家を振ったのかの傾向がわかりやすいですよね。


たとえばカラヤン、アバド、ラトルでベルリンフィルでマーラーをどれくらい演奏し指揮したのか?を検索してみると


カラヤン 0回
アバド   5回
ラトル  24回


と出てくる。アバドが5回はうそだろう?と思ったが、本拠地ベルリンフィルハーモニーで5回という意味で、世界各地のホールではもっと演奏しているはず。あと、これはあくまで本拠地でのライブ演奏という意味で、録音は入っていませんね。アバドは、ベルリンフィルでマーラーを全曲演奏しています。


ラトルが本拠地でのライブ演奏だけで、マーラーを24回演奏しているというのはスゴイ!いかにラトルが、マーラー指揮者であったかがよくわかる。


ベルリンフィルを指揮して、これだけマーラーを演奏したのはまさにベルリンフィルの歴史上の快挙であろう。


非常にわかりやすくカテゴライズされていて、秀逸なGUIだと思うけれど、たったひとつ難点をあげれば、このプルダウンの中から選ぶという作業は、候補がたくさんある場合、結構大変です。(笑)


直接入力で検索できるような欄があるといい。一番上に直接入力の検索欄があるけれど、ヒット率があまりよくなく使えなかった。曖昧検索でもヒットするようにしてほしい。


あと、音質も自分が知っている時代に比べて格段に良くなっている。あの頃はPCオーディオというのがなかったからね。いまはPCオーディオ全盛だから、なによりもUSB-DACというものが存在する。


だから自分のメインオーディオシステムにも音楽再生専用MacBookProとUSB-DACがペアになってすでにつながっている。PCオーディオでハイレゾ再生ができるから昔と比べて格段にPCでの再生音はよい音で聴ける。MacBookProでそのままDCHを再生すれば、すぐにUSB-DAC経由でメインオーディオシステムでハイレゾ音声で聴ける。再生音は96/24でした。


画質も格段に良くなっていました。


これはライブストリーミングというビジネスのじつは肝になるところではないか、と思っているのだが、アーカイブはけっして消去してはいけないということですね。


その楽団のライブ演奏はずっとアーカイブに貯蓄していかないといけない。そして未来永劫に続いていくであろうライブ演奏もこれから永遠に貯蓄していかないといけない。そうするとじつは肝になるのはサーバー側の容量の問題ですね。


いわゆるコンテンツDBです。このDBの容量は莫大なキャパシティのサーバーでないといけない。いやパソコンのHDDのように満杯になっていったら、その都度外付けHDDでその容量を増築していくようなアドイン・スタイルになるのかもしれない。


映像や音声のデジタルデータって、ふつうの文字データや写真データと違って容量がけた違いに大きいですから、それを過去から未来永劫にむけて、全部貯蓄していくとなるとこのコンテンツDBの容量の問題というのは大きな課題になると思われる。


ライブストリーミングのサービスというのは、いわゆるその楽団の過去の演奏は全部格納されていて、音楽評論家の方々や、一般の方々が仕事上などで、あの頃の何年何月何日のあの名演奏をもう一度観てみたい、というような百科事典的な使い方ができるようになるのが理想なのだと思う。


そのためには過去の演奏は全部格納されていないといけなく、さらには未来永劫、生演奏を格納し続ける必要がある。ライブストリーミングというのは最近の新しいビジネスなので、まだそういう問題まで認識されていないかもしれないけど、これからの課題になると思われる。


ベルリンフィルのDCHが唯一そういうことを実現しているサービスだと思うのである。


自分の体験談であるが、クラシック演奏会のライブストリーミング・サービスであるPrimeSeatでそういう問題に突き当たったことがある。自分が普段愛聴しているサービスであるが、ここでRCOのストリーミングを何本も購入して楽しんでいたのだが、3か月後とか6か月後になると、その購入したストリーミングがいきなり消えているのだ。


えぇぇ~それってありか?と思ったが、すぐに思いつくこととして、おそらくコンテンツDBのサーバー側の容量が足りなくなって、古いコンテンツから消去しているんだろうな、と推測した。


新しいコンテンツを提供するたびに古いコンテンツを消していく。


まぁサーバー側の容量の問題で仕方がないといえば仕方がないが、でもカスタマーの立場からすると、自分がお金を投資したものは、永遠に自分のものとして未来永劫いつでも聴きたい訳であって、それが消えてなくなるというのは、ちょっとひどい仕打ちというか詐欺とも思ってしまうのだ。


少なくともカスタマーが投資したコンテンツについては消去してはいけない。


というのが前提にあると思う。


ライブストリーミングの配信プラットフォームを構築していく上では、このコンテンツDBのサーバー容量の問題は1番キーになる問題だと思われる。


繰り返すが、ライブストリーミングのアーカイブは、音楽評論家や一般の人々が、仕事などであの頃の何年何月何日のあの名演奏がいつでも視聴できるという百科事典的な使い方ができないといけない。


ベルリンフィルDCHを除き、いま始まったばかりのライブストリーミング・サービスの1番頭の痛い問題になるかもしれない。



では、じつに9年ぶりに視聴したDCHで自分がぜひもう一回観てみたかったコンテンツ3本。


2011年5月18日 マーラー「大地の歌」
アバド&ベルリンフィル
アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(メゾ・ソプラノ)
ヨナス・カウフマン(テノール)


2011年 マーラー没後100周年記念コンサートと題してベルリンフィルハーモニーで演奏されたマーラー大地の歌。オッターとカウフマン、そしてアバド&ベルリンフィルで奏でるマーラー大地の歌なんて最高のキャストである。自分にとってマーラーの大地の歌といえばこの公演なのである。宝物の想い出の公演。


男性オペラ歌手ならカウフマンが最高、女性オペラ歌手ならオッターが最高と思っていた当時の自分でした。(笑)



ヨナス様!カウフマン、最高!カッコいい!
男性アーティストはどうしても経年とともに腹回りとか肉付きがよくなってしまうのは仕方がないけれど、この頃のカウフマンは人気絶頂で最高にカッコいい時だった。


カウフマン2 JPG.jpg


オッター様!
自分のもっとも愛するディーヴァである。彼女の声は、心をつかむ歌声にある「1/fのゆらぎ特性」を持つ天からの授かりものの声なのだ。オッター様サイコー!


オッター3JPG.jpg



カーテンコール。


オッター、カウフマン、アバド、カーテンコールJPG.jpg




2011年6月2日 
ラトル&ベルリンフィル 
マーラー交響曲全曲演奏会 マーラー交響曲第6番


自分が現地の本拠地で観た忘れ得ないラトルのマラ6である。最後の離任コンサートのマラ6もBlu-rayで観たけれど、やはり男性指揮者も経年と共に腹回りと肉付きがよくなるのは仕方がない。この頃のラトルはスマートで格好良かったし、指揮にキレがありましたね。もちろん離任コンサートの時より、このときの公演のほうが最高です!


これをきっかけに、もう一回、2010/2011年シリーズに演奏されたラトル&ベルリンフィルのマーラー交響曲全曲演奏会をDCHで全部コンプリートして観てみようかな?


ラトルマラ6-2 JPG.jpg


ラトルマラ6-1 JPG.jpg



カウベル


カウベルJPG.jpg


ハンマー!


ハンマーJPG.jpg




2010年12月22日 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
ヴァレリー・ゲルギエフ&ベルリンフィル
デニス・マツーエフ(ピアノ)


自分にとって、ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番は、ピアノ協奏曲の中での最高峰に位置する自分にとっての王様の曲。


最近の新しいピアニストのラフ3は全然フォローしていないけれど、自分の中でラフ3の最高のパフォーマンスだと思う演奏が、このベルリンフィルハーモニーで演奏されたゲルギエフ&ベルリンフィル、そしてマツーエフのラフ3。


いままで2004年サントリーホールで演奏されたゲルギエフ&ウィーンフィル、ブロンフマンの演奏が最高だと思っていたけれど、このマツーエフの演奏を観て、度肝を抜かされたというか、とにかくびっくりした。


この強大なるダイナミックレンジを叩き出すマツーエフの演奏には、ただひたすら唖然。自分のラフ3の演奏のイメージをガラ変させてしまったすごい演奏です。


ここまでピアノを乱暴に弾けるのか、という・・・(笑)


ラフ3は女性ピアニストでも素晴らしい演奏はたくさんありますが、マツーエフのこの演奏を観てしまうと、どうしてもラフ3は男性有利な曲だなぁと思ってしまいます。ボクにとってのラフ3の最高峰の演奏なので、ぜひご覧になってください。


ラフ3-1 JPG.jpg


ラフ3-3 JPG.jpg


ラフ3-2 JPG.jpg


ラフ3-4 JPG.jpg



最近ライブストリーミング配信というサービスやビジネス形態が注目されてきているけれど、ベルリンフィルはいまから12年前にはすでに世の中でサービス開始していたんだよね。ベルリンフィルは常に業界一を目指す集団ではあるけれど、さすがと思うところです。2008年にローンチだけれど、実際の技術開発を開始したのは、その4~5年以上前だと思うから、彼らの先を見る目、ヴィジョンを描ける才能はさすがだと思うところです。


日本のオーケストラも、今後の将来はぜひ実演の収入だけでなく、実演+ライブストリーミングの両方で収益を上げていく二段構造でいくとよいと思うので、ベルリンフィルのDCH(Digital Concert Hall)は、大いなる手本になると思います。


 





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