世界の朝食を食べさせてくれるお店 イランの朝ごはん [グルメ]
イランと言えば、つねに核問題でアメリカと揉めている国、そしてイスラム教の国々が集まっている国の中の大国のひとつ。そして石油産出国の大富豪が住んでいる国。そんなイメージを持っているだろう。自分もその一人。観光旅行で行ってみようとは、勇気が必要で、なかなか思わないのではないだろうか?
イラクやアフガニスタンなどに挟まれ、アメリカ~イラク戦争、そしてアフガンのアルカイダ、テロ支援国家との闘いの危険と常に隣り合わせにあった国。そしてイラン自身もアメリカと核製造問題で揉めている。
イランの朝ごはんを取り上げようというのは、とても勇気があるなぁ、という正直な感想であった。
かつてペルシャと呼ばれ、3世紀頃のササン朝の時代より東西の文化が交わるシルクロードの中継地として栄えてきた国イラン。豊かな天然自然が眠り、原油埋蔵量は世界第3位、天然ガスの埋蔵量は、世界第2位で、昔から緊張感のある地域にある。山岳地帯や砂漠地帯もある変化に富んだ美しい国土には、はっきりとした四季があり、豊かな農作物が実る。
そんなイランには、ペルシャ料理とも呼ばれる独特の食文化が発展した。
日本の日曜日にあたる日は、イスラム教の休息日である金曜日である。
週末に当たる木曜日の夜や、金曜日には友人や親戚を招きあっていっしょに食事することが多い。
週末に当たる木曜日の夜や、金曜日には友人や親戚を招きあっていっしょに食事することが多い。
「お客様は神様の友達」
ということわざもあり、イランの人は客をもてなすことが大好きなのだ。
お皿を並べた絨毯の上に座って食べるのが伝統的なスタイルであるが、最近の都市部ではテーブルで食べる家も増えてきた。また豚肉を食べないなどイスラム教の戒律に従った食習慣がある。
お皿を並べた絨毯の上に座って食べるのが伝統的なスタイルであるが、最近の都市部ではテーブルで食べる家も増えてきた。また豚肉を食べないなどイスラム教の戒律に従った食習慣がある。
日本の書道のようなカリグラフィーの文化がある。筆ではなく、竹を使って書く。
イランのお正月(ノウルーズ)は春分の日に当たる毎年3月21日頃になる。
頭文字に5がつく7つのもの(ハフト・スィーン)を集めてお祝いをする。
ハフト・スィーンに加えて、金魚鉢、鏡、卵なども飾ります。
頭文字に5がつく7つのもの(ハフト・スィーン)を集めてお祝いをする。
ハフト・スィーンに加えて、金魚鉢、鏡、卵なども飾ります。
首都:テヘラン
人口:8000万人
民族:ペルシャ人、トルコ人、クルド人、アラブ人、ロルなど。
公用語:ペルシャ語、
通貨:イラン・リヤル
政体:イスラム共和制
宗教:イスラム教(90%がシーア派)
国旗があらわすもの:緑は国家の繁栄と若さ、白は平和、赤は勇気を表す。
中央のシンボルの剣は、力と安定の象徴、4つの三日月はアッラーを表す。
中央のシンボルの剣は、力と安定の象徴、4つの三日月はアッラーを表す。
以上の情報元:
イランーイスラエル共和国大使館
Nahid Nikzad
アミラの店
そんなイランの朝ごはん
イランでは厚みのあるナンの「バルバリ」に野菜とハーブがたっぷり入ったオムレツの「ククサブジ」、バジルやミントといったハーブやニラなどの生野菜、「パニール」という白いフレッシュチーズや生クリームなどの色々なおかずを挟んで食べる。それでワンプレートが出来上がっている。
まず写真左下にあるナンの「バルバリ」。
昼と夜ごはんにはご飯も食べるが、朝ごはんの主食はナンなのだ。ナンは酵母菌を使わないので、あまり膨らんでいない平べったい形をしたパンで、いくつかの種類がある。濃厚なバターや生クリームをつけて食べる。これは、まさにその通りで、もっとナンであったなら、もっと膨らんでもちもち感、フワフワ感があるのでは?と思うのだが、もっと平べったく固い食感のナンであった。その上にある生クリームでいただくとなかなかの味であった。
そのナンの右側にある濃い緑色のものが、オムレツの「クササブジ」。
イランが原産のほうれん草などの野菜やハーブがたっぷり入ったオムレツ。イランの代表的な料理で朝ごはんによく食べる。ドライのラズベリーがよくのっている。これはなかなか微妙な味でございましたなぁ。(笑)オムレツ風に焼き上がってはいるものの、中は卵というよりは、もっとパサパサした感じの焼き上がりで、それにほうれん草などの野菜が入っているということなので、なんか無味無臭のただ食感だけがある、感じの印象でございました。私の舌の感覚では。(笑)
真ん中にある四角い固形ベースの物が、「バニール」という白いフレッシュチーズ。
ギリシャのフェタチーズと似た製法のバニールというチーズをよく食べる。
ナンにバニールをのばして、野菜やハーブをのせて食べる。
そして最後に、お皿の上の方に、サラダが一式ある。
イランではハーブをよく食べる。朝ごはんに生の野菜を食べることが多く、バジルやミントといったハープやニラも生のまま食べる。ドレッシングはかけないのがイランの慣例なのだ。
以前にもこの日記シリーズで書いたと思うが、世界のいろいろな朝ごはんを経験してみると、正直これ美味しいかなぁ?微妙というのがよくある。でもそれを美味しくないと断定してはいけない。
そんなイランの朝ごはん
イランでは厚みのあるナンの「バルバリ」に野菜とハーブがたっぷり入ったオムレツの「ククサブジ」、バジルやミントといったハーブやニラなどの生野菜、「パニール」という白いフレッシュチーズや生クリームなどの色々なおかずを挟んで食べる。それでワンプレートが出来上がっている。
まず写真左下にあるナンの「バルバリ」。
昼と夜ごはんにはご飯も食べるが、朝ごはんの主食はナンなのだ。ナンは酵母菌を使わないので、あまり膨らんでいない平べったい形をしたパンで、いくつかの種類がある。濃厚なバターや生クリームをつけて食べる。これは、まさにその通りで、もっとナンであったなら、もっと膨らんでもちもち感、フワフワ感があるのでは?と思うのだが、もっと平べったく固い食感のナンであった。その上にある生クリームでいただくとなかなかの味であった。
そのナンの右側にある濃い緑色のものが、オムレツの「クササブジ」。
イランが原産のほうれん草などの野菜やハーブがたっぷり入ったオムレツ。イランの代表的な料理で朝ごはんによく食べる。ドライのラズベリーがよくのっている。これはなかなか微妙な味でございましたなぁ。(笑)オムレツ風に焼き上がってはいるものの、中は卵というよりは、もっとパサパサした感じの焼き上がりで、それにほうれん草などの野菜が入っているということなので、なんか無味無臭のただ食感だけがある、感じの印象でございました。私の舌の感覚では。(笑)
まっ食習慣は世界の人種で様々ですから、それをどうこういうのは野暮というものです。
真ん中にある四角い固形ベースの物が、「バニール」という白いフレッシュチーズ。
ギリシャのフェタチーズと似た製法のバニールというチーズをよく食べる。
ナンにバニールをのばして、野菜やハーブをのせて食べる。
このバニールはとても美味しかった。
日本の典型的なチーズの味とはかなり違っていて、もうちょっと酸味が強くてヨーグルトの固形タイプのような感じの味であった。
日本の典型的なチーズの味とはかなり違っていて、もうちょっと酸味が強くてヨーグルトの固形タイプのような感じの味であった。
そして最後に、お皿の上の方に、サラダが一式ある。
イランではハーブをよく食べる。朝ごはんに生の野菜を食べることが多く、バジルやミントといったハープやニラも生のまま食べる。ドレッシングはかけないのがイランの慣例なのだ。
以前にもこの日記シリーズで書いたと思うが、世界のいろいろな朝ごはんを経験してみると、正直これ美味しいかなぁ?微妙というのがよくある。でもそれを美味しくないと断定してはいけない。
世界様々な人種の食感、舌の味覚の構造はさまざまなのだ。
世界のいろいろな人種は、各々が自国の朝ごはんを美味しいと思って食べている。
世界のいろいろな人種は、各々が自国の朝ごはんを美味しいと思って食べている。
それを揶揄してはいけない。
そういう世界の朝ごはんを食べられる、経験できることを貴重な体験と思って食べないといけない。
自分のような日本人の味覚からすると、今回のイランの朝ごはんは、でも確かに微妙な感覚ではございました。(笑)
村中社長のラーメン [グルメ]
すみれ横浜店の衝撃オープンからすでに1か月。逐一報告しなかったが、あれから、すでに10回以上は通い詰めている。(笑)
横浜は家に近いからね。いままで毎度のごとく通っていたのが京都銀閣寺ますたにだったのだけれど、急激にすみれ横浜店に鞍替えした感じ。自分の性格から「思い込んだら命懸け」というタイプで、徹底的に嵌るタイプなので。日本橋には、またすぐ戻ると思いますが。(笑)
横浜は家に近いからね。いままで毎度のごとく通っていたのが京都銀閣寺ますたにだったのだけれど、急激にすみれ横浜店に鞍替えした感じ。自分の性格から「思い込んだら命懸け」というタイプで、徹底的に嵌るタイプなので。日本橋には、またすぐ戻ると思いますが。(笑)
オープンの時は、やっぱり親心があったのだろうな。開店を祝いたい、店の出だしを盛り上げたい。北海道本店からの流れで、絶対いい流れにある、という確信みたいな・・・昔からの老舗の王道の味であってほしい、という自分の親心が、正しい味覚を狂わせていた。(笑)
あれから10回以上通ってみて、すみれ横浜店の味噌ラーメンを味わいつくして思ったこと。
やっぱり自分の昔、通っていた頃の王道の味とは違う。。。
なんか違うんだ。
感動の度合いが違う。
昔は食べるたびに衝撃だった。なんて美味しんだろう!というあの衝撃。いままで食べたことないという感じ。
あのような興奮が蘇らない。
誤解がないように言っておきたいのだが、すみれ横浜店の味噌ラーメンは美味しいことは間違いない。晩年のラー博のあの酷さからすると雲泥の差で美味しい。
その点は救われている。
でも冷静に分析してみて、やっぱり昔のあのすみれの味ではないのだ。
なにが一番違うかと言うと、もっと直球ど真ん中の黄色い味噌の色で、味もかなりパンチの効いたある意味”臭い”レベルまで達するクセのある味噌の香りだった。それが病みつきになる原因だった。
すみれ横浜店は、白味噌系なのだ。
そしてどちらかというとパンチが少なくて、大人しいマイルドな感じで誰にでも好かれる一般大衆向けな味噌味。
そこに従来からの生粋のファンとしては物足りなさを感じるんだよねぇ。
なんか足りねぇみたいな・・・(笑)
そんな煩いファンの味覚レベルから文句を言っているが、でもやっぱり普通の味噌ラーメンと比べると、断然レベルが高いし、そこはすみれブランドなのだ。
だから通い続けている。
最近見つけた新しい発見はチャーハンがすごく美味しいこと。
横浜に店を出そうとした理由は、すみれは横浜に育てられたという感謝の意から。
横浜店のどんぶりの底には、大きく「感謝!」という文字がプリントされているのだ。
スープを飲み干したら、思わずその文字が現れて感激してしまう。
じつはこんな急なピッチで10回以上通っている理由はもうひとつあった。
それは、このすみれ横浜店の裏メニュー、レアメニューとして、「村中社長のラーメン」というのがあるのだ。
村中社長が横浜店にいるときだけ、特別に社長自らが腕を振るうレアラーメン。
これをぜひ経験して日記にしてみたく、足繁く通ってるのだが、まったくもってその気配なし。(笑)たぶん自分の勘だと、村中社長はオープンから1回も横浜店に来ていないのではないか。
券売機にはこのようにちゃんとメニューにある。
村中社長がいない場合は、つねに売り切れ表示なのだ。
この調子だといつになったら日記で発表できるかわからないので、先に言っておく。(笑)
ずばり「村中社長のラーメン」とは?
「あのすみれの味噌ラーメンに豚キムチが乗っているラーメンらしい。」
そうだったのか・・・(^^;;
ネットサーフィンで調べ尽くしたらその情報を写真入りで偶然見つけて知ったのだが、今日日記にするためにその記事を再度探したら見つからなかった。
なんかそんなにレアでもないよね。(笑)
でもすみれの味噌味だから、豚キムチもよく合うかもしれん。
1Fのすみれ横浜店の上の2Fには、すみれプロデュースのフリースタイルバー「nob」がある。
これが3月下旬オープンなので、いままさにオープンしたばかりだと思うのだ。
ここで偶然にも村中社長と飲める可能性もあるらしい。
このバーのオープンに向けて村中社長が横浜店にやってくる可能性は強い。
そうすると、幻の村中社長のラーメンを食べられる日に出会えるかもしれん。
そんな想いを乗せて、これからも足繁くすみれ横浜店に通うんだと思うな。
あれから10回以上通ってみて、すみれ横浜店の味噌ラーメンを味わいつくして思ったこと。
やっぱり自分の昔、通っていた頃の王道の味とは違う。。。
なんか違うんだ。
感動の度合いが違う。
昔は食べるたびに衝撃だった。なんて美味しんだろう!というあの衝撃。いままで食べたことないという感じ。
あのような興奮が蘇らない。
誤解がないように言っておきたいのだが、すみれ横浜店の味噌ラーメンは美味しいことは間違いない。晩年のラー博のあの酷さからすると雲泥の差で美味しい。
その点は救われている。
でも冷静に分析してみて、やっぱり昔のあのすみれの味ではないのだ。
なにが一番違うかと言うと、もっと直球ど真ん中の黄色い味噌の色で、味もかなりパンチの効いたある意味”臭い”レベルまで達するクセのある味噌の香りだった。それが病みつきになる原因だった。
すみれ横浜店は、白味噌系なのだ。
そしてどちらかというとパンチが少なくて、大人しいマイルドな感じで誰にでも好かれる一般大衆向けな味噌味。
そこに従来からの生粋のファンとしては物足りなさを感じるんだよねぇ。
なんか足りねぇみたいな・・・(笑)
そんな煩いファンの味覚レベルから文句を言っているが、でもやっぱり普通の味噌ラーメンと比べると、断然レベルが高いし、そこはすみれブランドなのだ。
だから通い続けている。
最近見つけた新しい発見はチャーハンがすごく美味しいこと。
横浜に店を出そうとした理由は、すみれは横浜に育てられたという感謝の意から。
横浜店のどんぶりの底には、大きく「感謝!」という文字がプリントされているのだ。
スープを飲み干したら、思わずその文字が現れて感激してしまう。
じつはこんな急なピッチで10回以上通っている理由はもうひとつあった。
それは、このすみれ横浜店の裏メニュー、レアメニューとして、「村中社長のラーメン」というのがあるのだ。
村中社長が横浜店にいるときだけ、特別に社長自らが腕を振るうレアラーメン。
これをぜひ経験して日記にしてみたく、足繁く通ってるのだが、まったくもってその気配なし。(笑)たぶん自分の勘だと、村中社長はオープンから1回も横浜店に来ていないのではないか。
券売機にはこのようにちゃんとメニューにある。
村中社長がいない場合は、つねに売り切れ表示なのだ。
この調子だといつになったら日記で発表できるかわからないので、先に言っておく。(笑)
ずばり「村中社長のラーメン」とは?
「あのすみれの味噌ラーメンに豚キムチが乗っているラーメンらしい。」
そうだったのか・・・(^^;;
ネットサーフィンで調べ尽くしたらその情報を写真入りで偶然見つけて知ったのだが、今日日記にするためにその記事を再度探したら見つからなかった。
なんかそんなにレアでもないよね。(笑)
でもすみれの味噌味だから、豚キムチもよく合うかもしれん。
1Fのすみれ横浜店の上の2Fには、すみれプロデュースのフリースタイルバー「nob」がある。
これが3月下旬オープンなので、いままさにオープンしたばかりだと思うのだ。
ここで偶然にも村中社長と飲める可能性もあるらしい。
このバーのオープンに向けて村中社長が横浜店にやってくる可能性は強い。
そうすると、幻の村中社長のラーメンを食べられる日に出会えるかもしれん。
そんな想いを乗せて、これからも足繁くすみれ横浜店に通うんだと思うな。
アラベラさんとルイージ [国内クラシックコンサート・レビュー]
デンマーク国立響、恐るべし!前評判通り凄かった。全国ツアーを組んでいて、東京公演は後ろのほうの日程だったので、先に体験したファンの方の投稿を拝読すると、みんな驚愕とともにスゴイ大絶賛。
嫌が上でも期待が高まる。同時にこんなに評価が高いと、肝心の東京公演のときに調子が出なかったりしたら嫌だなぁというつまらない心配をするほどであった。
自分はアラベラさんとファビオ・ルイージとの共演がお目当てでこの公演のチケットをとった。
デンマーク国立響は初来日。まったくその名を知らなかった。
デンマーク国立交響楽団(通称DR放送交響楽団(デンマーク語: DR SymfoniOrkestret))は、デンマークの首都コペンハーゲンに本拠を置く、デンマーク放送協会(DR)専属のオーケストラ。
本拠はDRコンサートホール。(ワインヤードです。)
首席指揮者としては過去にプロムシュテットが在籍していたこともあったようだが、2017年からファビオ・ルイージが就いている。
主なレコーディングは、様々な指揮者でCHANDOSレーベル(なんと!SACD高音質レーベルでお馴染みです。しばらくご無沙汰でした。)にあるほか、ブロムシュテット指揮でニールセン作品集やグリーグ「ペール・ギュント」、セーゲルスタム指揮でマーラー交響曲全集などがある。
ネット上にも情報が極めて少なく、とても未知のオーケストラであった。
フジテレビさん、東芝さん、よくこのような情報の少ない未知のオーケストラを見つけてきて招聘しようと思ったよなぁという感じで感心。
やっぱりルイージの影響は大きいでしょうね。
そこにアラベラさんをソリストとして迎えるアイデアはとてもグーです。
(Aプログラムは横山幸雄さん、Bプログラムはアラベラさん)
アラベラさんとルイージ、とても新鮮でフレッシュな顔合わせだと思ったし、お互い長いつきあいで、共演回数も多いとのこと。実際素晴らしいコンビネーションであった。
自分と同じで、みんなもデンマーク国立響のことはほとんど、いや全くと言っていいほど知らなかったはず。ところがいざ蓋を開けてみれば、その快演ぶりにびっくり仰天で驚愕してしまった、というのが偽らざるみんなの心境であろう。
とにかくオーケストラとしての発音能力がずば抜けて高いのだ。その凄い鳴りっぷりに圧倒されて、みんなコロッと行ってしまう感じ。近来これだけすごい鳴り方をするオーケストラは、ベルリンフィル以外自分の記憶にない。
弦楽器は極めて分厚いサウンドで、見事なまでのアンサンブルの精緻さ、弦楽器奏者全員の発音が寸分の乱れもなくピタッと揃っている。木管も嫋やかな音色でいて、これまたよく通る音。大音量のオケの中で見事にその音色を浮かび上がらせていた。金管も見事な安定した咆哮だし、打楽器も文句なし。
およそ欠点らしきものがその1回限りの公演ではあまり見つからなかった。
とにかくすごい鳴りっぷりのスケール感の大きなサウンドで、青天井のごとくどこまでも伸びていくぬけ感のあるサウンドでしかも恐るべく大音量。もうオーディオファンとしてはたまらん!という感じの気持ちのいいサウンドであった。
まさにスーパーオーケストラという感じか、というと、実際そうでもないんだな。(笑)
弦楽器奏者や木管など女性奏者が非常に大きなウエートをしめる楽団だと思うのだが、女性奏者の礼服がみんな個人でバラバラで統一感がないのが微笑ましい。(笑)また終演後、男女団員でお互いとても熱く抱擁しあって喜びを噛みしめ合うなど、とても素朴で暖かい人情味溢れる人柄が偲ばれる感じで、確かに凄い音を鳴らすけれど、およそ機能的なスーパーオーケストラのような都会的な擦れた感じでもなく、地方の田舎のオーケストラっぽい野武士軍団のようなワイルドな感じがするオーケストラという印象だった。
彼らが紡ぎ出すそのスゴイ音とのそういうギャップが可愛くてとても微笑ましいのだ。(笑)
最初オーボエ奏者のAによる調音なども、オーボエ奏者がぐるっと一周しながらやるなど、ちょっと自分はいままで見たことがないローカルっぽい慣習のような感じがした。
初来日で、まさに未知の領域であったこのオーケストラを初めて聴いて、みんな呆気にとられ、まさに驚愕という感じでショックに打ちのめされたというのが実情なところではないだろうか。
世界は、まだまだ広いなぁと感じたところだった。
嫌が上でも期待が高まる。同時にこんなに評価が高いと、肝心の東京公演のときに調子が出なかったりしたら嫌だなぁというつまらない心配をするほどであった。
自分はアラベラさんとファビオ・ルイージとの共演がお目当てでこの公演のチケットをとった。
デンマーク国立響は初来日。まったくその名を知らなかった。
デンマーク国立交響楽団(通称DR放送交響楽団(デンマーク語: DR SymfoniOrkestret))は、デンマークの首都コペンハーゲンに本拠を置く、デンマーク放送協会(DR)専属のオーケストラ。
本拠はDRコンサートホール。(ワインヤードです。)
首席指揮者としては過去にプロムシュテットが在籍していたこともあったようだが、2017年からファビオ・ルイージが就いている。
主なレコーディングは、様々な指揮者でCHANDOSレーベル(なんと!SACD高音質レーベルでお馴染みです。しばらくご無沙汰でした。)にあるほか、ブロムシュテット指揮でニールセン作品集やグリーグ「ペール・ギュント」、セーゲルスタム指揮でマーラー交響曲全集などがある。
ネット上にも情報が極めて少なく、とても未知のオーケストラであった。
フジテレビさん、東芝さん、よくこのような情報の少ない未知のオーケストラを見つけてきて招聘しようと思ったよなぁという感じで感心。
やっぱりルイージの影響は大きいでしょうね。
そこにアラベラさんをソリストとして迎えるアイデアはとてもグーです。
(Aプログラムは横山幸雄さん、Bプログラムはアラベラさん)
アラベラさんとルイージ、とても新鮮でフレッシュな顔合わせだと思ったし、お互い長いつきあいで、共演回数も多いとのこと。実際素晴らしいコンビネーションであった。
自分と同じで、みんなもデンマーク国立響のことはほとんど、いや全くと言っていいほど知らなかったはず。ところがいざ蓋を開けてみれば、その快演ぶりにびっくり仰天で驚愕してしまった、というのが偽らざるみんなの心境であろう。
とにかくオーケストラとしての発音能力がずば抜けて高いのだ。その凄い鳴りっぷりに圧倒されて、みんなコロッと行ってしまう感じ。近来これだけすごい鳴り方をするオーケストラは、ベルリンフィル以外自分の記憶にない。
弦楽器は極めて分厚いサウンドで、見事なまでのアンサンブルの精緻さ、弦楽器奏者全員の発音が寸分の乱れもなくピタッと揃っている。木管も嫋やかな音色でいて、これまたよく通る音。大音量のオケの中で見事にその音色を浮かび上がらせていた。金管も見事な安定した咆哮だし、打楽器も文句なし。
およそ欠点らしきものがその1回限りの公演ではあまり見つからなかった。
とにかくすごい鳴りっぷりのスケール感の大きなサウンドで、青天井のごとくどこまでも伸びていくぬけ感のあるサウンドでしかも恐るべく大音量。もうオーディオファンとしてはたまらん!という感じの気持ちのいいサウンドであった。
まさにスーパーオーケストラという感じか、というと、実際そうでもないんだな。(笑)
弦楽器奏者や木管など女性奏者が非常に大きなウエートをしめる楽団だと思うのだが、女性奏者の礼服がみんな個人でバラバラで統一感がないのが微笑ましい。(笑)また終演後、男女団員でお互いとても熱く抱擁しあって喜びを噛みしめ合うなど、とても素朴で暖かい人情味溢れる人柄が偲ばれる感じで、確かに凄い音を鳴らすけれど、およそ機能的なスーパーオーケストラのような都会的な擦れた感じでもなく、地方の田舎のオーケストラっぽい野武士軍団のようなワイルドな感じがするオーケストラという印象だった。
彼らが紡ぎ出すそのスゴイ音とのそういうギャップが可愛くてとても微笑ましいのだ。(笑)
最初オーボエ奏者のAによる調音なども、オーボエ奏者がぐるっと一周しながらやるなど、ちょっと自分はいままで見たことがないローカルっぽい慣習のような感じがした。
初来日で、まさに未知の領域であったこのオーケストラを初めて聴いて、みんな呆気にとられ、まさに驚愕という感じでショックに打ちのめされたというのが実情なところではないだろうか。
世界は、まだまだ広いなぁと感じたところだった。
今日は、いつものこの座席。皇族VIP席エリア。サントリーのこのエリアだから、オーケストラのサウンドも余計に素晴らしく感じたのかもしれない。
今日も収録をしているようで、先日のN響の茂木さんのラストラン・コンサートのときと全く同じマイク・セッティングがされていた。まったく同じ配置であった。おびただしいスポット・マイクの乱立。その従来とは違う独特の天吊りのメインの配置については、これが新しいサラウンドを録るときのマイキングなのだということを理解しました。(笑)
レセプショニストの方に確認したのだが、この収録はスウェーデンの放送のためにやっていることは確かなのですけど、日本での収録という訳ではなく、まだ未定です、ということでした。
一応フジテレビさんに後日確認して、もし放映があるようでしたらお知らせしますね。
これは絶対みんなに観てほしい演奏会です。
最初の曲は、ソレンセンによる現代音楽。
これはじつに極限とも言える最弱音の世界。コンサートミストレスをはじめ、ヴァイオリンの奏法でここまでの最弱音を奏でられるのか、という極限まで挑むようなじつに前衛的な世界だった。いままでに聴いたことがない極限の世界で見事としかいいようがなかった。世界初演。
終演後、作曲者がステージ上に上がり、拍手喝采を浴びていた。
2曲目はいよいよアラベラさんとのブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番。
ブルッフのコンチェルトとしては、その後の2番と3番もあるのだが、なぜか世間一般で広く愛され、演奏されるのはこの1番だけだそうで、ブルッフ本人も残念に思っているという逸話もある。
ブルッフのコンチェルトは、アラベラさんとしては、いままで録音もしているし、演奏も何回もやってきているのだが、日本で演奏するのは初めて。日本初演とのこと。
ブラームスやチャイコフスキーのような技巧の難しさはないけれど、じつに美しい曲。
つねにアラベラさんの傍にあった曲ということでとても想い入れが深いそうだ。
このアラベラさんのブルッフのコンチェルト、じつに素晴らしかった。すごくいい!
自分の本懐を遂げた感じがした。
ドイツロマン派時代の哀愁漂うじつに美しい曲で、なんと官能的な曲なんだろうと思った。
アラベラさんは、華麗に、そして得意の弱音表現もじつに巧みに取り入れながら、曲の緩急にあわせ、見事にブルッフの曲想の根底にある流麗で哀愁漂う美しさのイメージを再現していた。
この曲には大河のごとくのように壮大でスケール感の大きい美しさの1面と、それでいながらなんともいえない哀愁漂うもの悲しさとが交差するような曲想の2面性を感じますね。それをオーケストラとアラベラさんの独奏の交互のやり取りで見事に具現化していたと思います。
このブルッフのコンチェルト、とても大好きになりました。
じつは、このアラベラさんのブルッフのコンチェルト、このSACDで予習をしていました。
コルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲、ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番、
ショーソン:詩曲 シュタインバッハー、L.フォスター&グルベンキアン管
http:// qq3q.bi z/XxQS
いまのPENTATONEとは違って、昔のPENTATONEのジャケットは、このように対角線の片隅がベージュでした。ボクらのPENTATONEといえば、あきらかにこちらの時代でした。
いまのようなとても洗練された音作りで、音の粒子が細かい、いわゆる解像感が高くて、部屋中にふわっと広がる広い音場感、情報量の多い録音と違って、この当時のPENTATONEの録音は、どちらかというとマルチチャンネルの各SPからのダイレクト感が強い尖った感じのサウンドであった。
この録音当時のアラベラさんは、いまほど洗練されていなくて、まだブレークする前の時代であったが、そんな中でもこの録音は当時としては、ずば抜けて録音が良くて、自分の愛聴盤である。
今回のブルッフのコンチェルトのために久しぶりにラックから取り出してきて、聴いてみた。
やっぱり素晴らしい!
まさに、昨日のコンサートのときとまったく同じ感動が得られると思います。
アラベラさんのブルッフを聴くなら、このアルバム録音しかありません。
このアルバムには、じつはブルッフ以外にもコルンゴルドのコンチェルトも収められている。
コルンゴルドはヨーロッパ出身の音楽家である。
でも亡命し、アメリカを基盤に活動を続け、映画音楽を手掛けた。
映画音楽をさげすむ人もいる。
商業的な要素が強いし、純粋な芸術ではなく、エンターティンメントだという理由でだからだ。
でも実際、映画音楽の作曲は難しい。
だから一部の優れた作曲家にオファーが集中する。
短時間で作品をとらえ、曲をつけるのは簡単ではないのだ。
ヒラリー・ハーンがインタビューで答えていたセリフだ。
コルンゴルドの作風には、そういう独特の旋律というか魅かれるものがあるのは、そういう映画音楽という背景があるからかもしれない。このアラベラさんのコルンゴルドもじつに素晴らしいので、ぜひ聴いてほしいです。
後半は、ベートーヴェンの交響曲第7番。通称ベト7。
ルイージはN響の定期公演でもこの曲を取り上げていて、得意演目なのだろう。
とてもルイージらしいベト7だったように思う。
少なくともベト7のスタンダード、教科書のような演奏ではなかった。
ルイージの指揮の特徴としてテンポを揺らすに揺らす傾向があると思う。
今回も第2楽章、第3楽章のようにじつにゆったりとタメを作って、次なる爆発の瞬間に備えるかのような流れを作ったかと思えば、第4楽章のように、煽る、煽るという感じで、まさに疾走感のあるすごい快速テンポで突き抜けるようかのようなオケのドライブ術。
確かにそのような緩急をつけると、曲自体がドラマ性、激情型スタイルを持ち、すごいドラマティックに仕上がる。もう聴いていてとてもハイな気分なベト7のように感じた。
もちろんスピードの問題だけではない。強弱のつけかたもじつに柔軟だ。
それがオペラ指揮者であるルイージのドラマ性を重視する彼のひとつの指揮スタイルの一環なのだろう、と思う。教科書のような演奏ではないので、人によって好みは分かれるに違いない。
もうひとつのAプログラムのほうもメインは、チャイコフスキーの交響曲5番であった。
これもみんなは驚愕の大絶賛だった。
この曲もまさに、そのようなルイージによる独特のテンポのゆらぎを施していたに違いなく、チャイ5であれば、まさにそのようなことをすれば増々大盛り上がりする典型的な曲だ。
なんか大絶賛もわかるような感じがする。
私は、そのようなルイージによる指揮スタイルが大好きだ。
激情型スタイルでドライブ感があって切れ味が抜群。
自分にとって、ルイージといえば、小澤征爾さんに学んでサイトウキネン松本(現セイジ・オザワ松本フェスティバル)を振っていた頃にたくさん彼の指揮を聴いたことがある。オペラ、オーケストラコンサートを両方ルイージの指揮で聴いたことがある。
だから自分にとってルイージと言えばサイトウキネンなのだ。
そんなルイージが、4年振りに今年の松本の夏に復帰する。
久し振りにルイージを聴いて、ますます彼の指揮者としての素晴らしさを認識できた。
数年前までは、コンサートと言えば行きまくって時代があったが、昨今では予算不足のため、自分が行きたいと思うコンサートに絞っている。今年の残りに行く予定のコンサートを考えてみると、今回のデンマーク国立響の公演が、今年のNo.1だったということになりそうな気配だ。
まったく予想だにしていなかったダークホースの健闘で、本当に驚いた公演だった。
今日も収録をしているようで、先日のN響の茂木さんのラストラン・コンサートのときと全く同じマイク・セッティングがされていた。まったく同じ配置であった。おびただしいスポット・マイクの乱立。その従来とは違う独特の天吊りのメインの配置については、これが新しいサラウンドを録るときのマイキングなのだということを理解しました。(笑)
レセプショニストの方に確認したのだが、この収録はスウェーデンの放送のためにやっていることは確かなのですけど、日本での収録という訳ではなく、まだ未定です、ということでした。
一応フジテレビさんに後日確認して、もし放映があるようでしたらお知らせしますね。
これは絶対みんなに観てほしい演奏会です。
最初の曲は、ソレンセンによる現代音楽。
これはじつに極限とも言える最弱音の世界。コンサートミストレスをはじめ、ヴァイオリンの奏法でここまでの最弱音を奏でられるのか、という極限まで挑むようなじつに前衛的な世界だった。いままでに聴いたことがない極限の世界で見事としかいいようがなかった。世界初演。
終演後、作曲者がステージ上に上がり、拍手喝采を浴びていた。
2曲目はいよいよアラベラさんとのブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番。
ブルッフのコンチェルトとしては、その後の2番と3番もあるのだが、なぜか世間一般で広く愛され、演奏されるのはこの1番だけだそうで、ブルッフ本人も残念に思っているという逸話もある。
ブルッフのコンチェルトは、アラベラさんとしては、いままで録音もしているし、演奏も何回もやってきているのだが、日本で演奏するのは初めて。日本初演とのこと。
ブラームスやチャイコフスキーのような技巧の難しさはないけれど、じつに美しい曲。
つねにアラベラさんの傍にあった曲ということでとても想い入れが深いそうだ。
このアラベラさんのブルッフのコンチェルト、じつに素晴らしかった。すごくいい!
自分の本懐を遂げた感じがした。
ドイツロマン派時代の哀愁漂うじつに美しい曲で、なんと官能的な曲なんだろうと思った。
アラベラさんは、華麗に、そして得意の弱音表現もじつに巧みに取り入れながら、曲の緩急にあわせ、見事にブルッフの曲想の根底にある流麗で哀愁漂う美しさのイメージを再現していた。
この曲には大河のごとくのように壮大でスケール感の大きい美しさの1面と、それでいながらなんともいえない哀愁漂うもの悲しさとが交差するような曲想の2面性を感じますね。それをオーケストラとアラベラさんの独奏の交互のやり取りで見事に具現化していたと思います。
このブルッフのコンチェルト、とても大好きになりました。
じつは、このアラベラさんのブルッフのコンチェルト、このSACDで予習をしていました。
コルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲、ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番、
ショーソン:詩曲 シュタインバッハー、L.フォスター&グルベンキアン管
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いまのPENTATONEとは違って、昔のPENTATONEのジャケットは、このように対角線の片隅がベージュでした。ボクらのPENTATONEといえば、あきらかにこちらの時代でした。
いまのようなとても洗練された音作りで、音の粒子が細かい、いわゆる解像感が高くて、部屋中にふわっと広がる広い音場感、情報量の多い録音と違って、この当時のPENTATONEの録音は、どちらかというとマルチチャンネルの各SPからのダイレクト感が強い尖った感じのサウンドであった。
この録音当時のアラベラさんは、いまほど洗練されていなくて、まだブレークする前の時代であったが、そんな中でもこの録音は当時としては、ずば抜けて録音が良くて、自分の愛聴盤である。
今回のブルッフのコンチェルトのために久しぶりにラックから取り出してきて、聴いてみた。
やっぱり素晴らしい!
まさに、昨日のコンサートのときとまったく同じ感動が得られると思います。
アラベラさんのブルッフを聴くなら、このアルバム録音しかありません。
このアルバムには、じつはブルッフ以外にもコルンゴルドのコンチェルトも収められている。
コルンゴルドはヨーロッパ出身の音楽家である。
でも亡命し、アメリカを基盤に活動を続け、映画音楽を手掛けた。
映画音楽をさげすむ人もいる。
商業的な要素が強いし、純粋な芸術ではなく、エンターティンメントだという理由でだからだ。
でも実際、映画音楽の作曲は難しい。
だから一部の優れた作曲家にオファーが集中する。
短時間で作品をとらえ、曲をつけるのは簡単ではないのだ。
ヒラリー・ハーンがインタビューで答えていたセリフだ。
コルンゴルドの作風には、そういう独特の旋律というか魅かれるものがあるのは、そういう映画音楽という背景があるからかもしれない。このアラベラさんのコルンゴルドもじつに素晴らしいので、ぜひ聴いてほしいです。
後半は、ベートーヴェンの交響曲第7番。通称ベト7。
ルイージはN響の定期公演でもこの曲を取り上げていて、得意演目なのだろう。
とてもルイージらしいベト7だったように思う。
少なくともベト7のスタンダード、教科書のような演奏ではなかった。
ルイージの指揮の特徴としてテンポを揺らすに揺らす傾向があると思う。
今回も第2楽章、第3楽章のようにじつにゆったりとタメを作って、次なる爆発の瞬間に備えるかのような流れを作ったかと思えば、第4楽章のように、煽る、煽るという感じで、まさに疾走感のあるすごい快速テンポで突き抜けるようかのようなオケのドライブ術。
確かにそのような緩急をつけると、曲自体がドラマ性、激情型スタイルを持ち、すごいドラマティックに仕上がる。もう聴いていてとてもハイな気分なベト7のように感じた。
もちろんスピードの問題だけではない。強弱のつけかたもじつに柔軟だ。
それがオペラ指揮者であるルイージのドラマ性を重視する彼のひとつの指揮スタイルの一環なのだろう、と思う。教科書のような演奏ではないので、人によって好みは分かれるに違いない。
もうひとつのAプログラムのほうもメインは、チャイコフスキーの交響曲5番であった。
これもみんなは驚愕の大絶賛だった。
この曲もまさに、そのようなルイージによる独特のテンポのゆらぎを施していたに違いなく、チャイ5であれば、まさにそのようなことをすれば増々大盛り上がりする典型的な曲だ。
なんか大絶賛もわかるような感じがする。
私は、そのようなルイージによる指揮スタイルが大好きだ。
激情型スタイルでドライブ感があって切れ味が抜群。
自分にとって、ルイージといえば、小澤征爾さんに学んでサイトウキネン松本(現セイジ・オザワ松本フェスティバル)を振っていた頃にたくさん彼の指揮を聴いたことがある。オペラ、オーケストラコンサートを両方ルイージの指揮で聴いたことがある。
だから自分にとってルイージと言えばサイトウキネンなのだ。
そんなルイージが、4年振りに今年の松本の夏に復帰する。
久し振りにルイージを聴いて、ますます彼の指揮者としての素晴らしさを認識できた。
数年前までは、コンサートと言えば行きまくって時代があったが、昨今では予算不足のため、自分が行きたいと思うコンサートに絞っている。今年の残りに行く予定のコンサートを考えてみると、今回のデンマーク国立響の公演が、今年のNo.1だったということになりそうな気配だ。
まったく予想だにしていなかったダークホースの健闘で、本当に驚いた公演だった。
(C)アラベラさんFB (Rikimaru Hotta)
東芝グランドコンサート2019
ファビオ・ルイージ指揮デンマーク国立交響楽団
2019年3月19日(火)サントリーホール 19:00~
指揮:ファビオ・ルイージ
ヴァイオリン:アラベラ・美歩・シュタインバッハー
デンマーク国立交響楽団
ソレンセン:Evening Land〈日本初演〉
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 Op.26
ヴァイオリン・アンコール~
クライスラー:レチタティーヴォトスケルツォ・カプリスOp.6
ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 Op.92
アンコール~
ゲーゼ:タンゴ・ジェラシー
BBC Proms ラストナイト [クラシック雑感]
毎年7月~9月にかけてロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでおこなわれる世界最大級のクラシック音楽祭BBCプロムス。
この期間、100以上のイベントが行われる、と言われている。
運営はイギリスの国営放送のBBCがやっている。(だから冠にBBCがつく。)
創立当時に、BBC交響楽団が組織され、それがプロムスの中心的オーケストラとなったという経緯もある。
ロイヤル・アルバート・ホールは、もうクラシックのコンサートホールという類のものではなく、野球のドーム球場であった。(笑)
3年前の2016年に訪れたとき、いつものごとく開場前に極秘でスルスルと入り込む。
こんな感じの佇まい。
自分の座席からステージを臨む。
コンセプトは、「クラシックの敷居を低く」であり、創立者の考えは、「通常はクラシック音楽のコンサートを訪れないような人々も、チケットが安く、より親しみやすい雰囲気であれば魅力を感じてくれるのではないか」ということだったらしい。
実際、その通りで、かなりカジュアルな雰囲気で、いつもの厳粛なクラシック音楽専用ホールとは縁遠い空気感。
生音主義のクラシックではあるが、ご覧のようなホール空間なので、はっきり言わせてもらうと、たぶんPAは絶対かけていると思うし、上の写真の座席で聴いている分には、ステージ付近でこじんまりと音が鳴っている感覚で座席まで音が飛んでくるという感じではなかった。
でも目の前に広がるセレモニー的な装飾や華やかさは凄いものがあって、かなり圧倒されます。
さすがプロムス!という感じで、その視覚的な快感だけでも相当楽しめると言っていい。
そのときは、アルゲリッチ&バレンボイムで、ウェスト・イースタンディヴァン管弦楽団の演奏を聴いた。かなりプラチナ・チケットでした。
イギリス国内では、BBCラジオ3でプロムスの全てのコンサートが生中継され、またテレビでもBBC4チャンネル、あるいはBBC1やBBC2での中継放映も多い。BBCプロムス・ウェブサイトでライブストリーミング中継を聴取することもできる。
今回の日記の主旨は、この2か月間に及ぶロングランの音楽祭の最終夜のコンサート。
いわゆる「ラストナイト」。
正式名称は、最終夜「Last Night of the Proms」。
BBCプロムスで最高潮のボルテージで盛り上がる最高の瞬間のコンサートだ。
じつは、このラストナイトのチケットを獲得するのは大変なことなのだ。当然チケットの人気は高い。それ以外のコンサートの少なくとも5回のチケット購入を行うことが最終夜のチケットを獲得するための条件となっているのだそうだ。(Five-Concert Ruleと呼ばれている)
プロムスに足繁く通う、いわゆる「プロマー」と呼ばれる人たちは、当日のより良い立ち位置を確保するため、早くから行列(しばしば徹夜)することとなり、こういったことが否が応でもラストナイトの雰囲気を盛り上げていく。
ラストナイトは確実に超満員なのだ。
加えて、素敵に着飾ることも恒例。ディナー・ジャケットの者もあり、サッカーのイングランド代表チームのユニフォームを着用する者もあり、愛国的な語句を並べたTシャツを着用する者もあり、さらに国や地域などの旗や風船、クラッカーを持って入場することも自由である。
自分が行ったときは、平常時だったので、みんな普段着。でもラストナイトはお祭りだから服装もぶっ飛んでいるのだ。
そしてラストナイトは、観客は、各々がイギリス国旗(ユニオン・フラッグ)を振って愛国心を精いっぱいアピールする。まさに、このユニオン・フラッグを全員が振りまくっているのが、ラストナイトの一番の象徴シーンとも言えよう。
まさに一連の愛国的な曲、そしてユニオン・フラッグを持つ者はそれを振り、聴衆全員で歌う。
最近のプロムスは一連の愛国的な曲や、国歌の演奏時に、ステージ中央やや後方にあるヘンリーウッド(プロムスの創設者)の胸像を中心に、イギリス国旗(ユニオン・フラッグ)をあしらった照明が大きく投影されるようにもなっている。
この時ソリストが歌唱する場合は、衣装のデザインを愛国的にしたり、愛国的なパフォーマンスを行う。
まさにイギリス万歳!とも言えるすざましい愛国心一色の空間となるのだ。
ラストナイト、恐るべし!
日本じゃちょっとこういうのは難しいかもしれませんね。
演奏する曲目も、伝統的に最終夜はより軽く、くつろいだ傾向の構成で、初めにポピュラーなクラシックの曲目、続いて第2部の最後に一連の愛国的な曲である「ルール・ブリタニア」、ヒューバート・パリーの「ジェルサレム」(ウィリアム・ブレイクの詞による)、エドワード・エルガーの行進曲「威風堂々」第1番、国歌「女王陛下万歳」が演奏するのが通例だそうだ。
そんなBBCプロムスが日本にやってくる!!!
BBC Proms JAPAN 2019。
BBCプロムスが海外でおこなわれる、というのは、2016年にはオーストラリア、2017年にはドバイで開催されるなど世界的な広がりをみせていて、2019年に日本で初開催されることになった。海外展開はつい最近のことなんだね。
大和証券さんが招聘元です。
チケット発売含め、詳細はこれから発表なのだが、東京と大阪の2箇所で開催され、東京は渋谷のオーチャードホール、大阪はシンフォニーホールなのだそうだ。
なんじゃそれ?(笑)
普通のクラシックコンサートと何が違うのだろう?(笑)
ただオーケストラが、BBCスコティッシュ交響楽団というだけなことなのではないだろうか・・・
プロムスなら東京ドームあたりでやってもらってビール、ポップコーン立ち売りつきでやってくれないとあの雰囲気が出ないと思うのですが・・・
でもクラシックコンサートで、BBCスコティッシュ交響楽団で東京ドーム収容5万人を埋めるのはちと酷かもしれません。
ではそこは一歩譲って、ぜひ日本でやるなら観客にはラストナイトを日本で再現!ということで、日の丸の小さな旗を無料で現地で配布してほしいと思います。公演中ぜひ振らせていただきます。
演目もまだ公開されていないが、英国の愛国カラーなのか、それとも日本愛国カラーなのか、現地プロムスでは蛍の光も演奏されるそうですから、これは日本でもありだと思います。後者は日本の世論、風土からして難しいとは思いますが。
心なきファンからは、ラストナイトの愛国一色のカラーを出すなら、日の丸よりも旭日旗を振ればいいなどと毒づいている人もいます。(笑)
そんなことしたら、中国、韓国ふくめ猛反発で大炎上必至でしょう。(笑)
まぁ、そんな冗談はさておいて、やはりロンドンで、ロイヤル・アルバート・ホールでやってこそのプロムスだというご意見もよく理解できますが、日本の招聘元の大和証券さんが、せっかくの懇意でやってくれてると思うとBBCプロミスに所縁がある自分としては、それに応えてあげよう!という気持ちがあります。
ぜひ盛り上げていきたいと思います!
この期間、100以上のイベントが行われる、と言われている。
運営はイギリスの国営放送のBBCがやっている。(だから冠にBBCがつく。)
創立当時に、BBC交響楽団が組織され、それがプロムスの中心的オーケストラとなったという経緯もある。
ロイヤル・アルバート・ホールは、もうクラシックのコンサートホールという類のものではなく、野球のドーム球場であった。(笑)
3年前の2016年に訪れたとき、いつものごとく開場前に極秘でスルスルと入り込む。
こんな感じの佇まい。
自分の座席からステージを臨む。
コンセプトは、「クラシックの敷居を低く」であり、創立者の考えは、「通常はクラシック音楽のコンサートを訪れないような人々も、チケットが安く、より親しみやすい雰囲気であれば魅力を感じてくれるのではないか」ということだったらしい。
実際、その通りで、かなりカジュアルな雰囲気で、いつもの厳粛なクラシック音楽専用ホールとは縁遠い空気感。
生音主義のクラシックではあるが、ご覧のようなホール空間なので、はっきり言わせてもらうと、たぶんPAは絶対かけていると思うし、上の写真の座席で聴いている分には、ステージ付近でこじんまりと音が鳴っている感覚で座席まで音が飛んでくるという感じではなかった。
でも目の前に広がるセレモニー的な装飾や華やかさは凄いものがあって、かなり圧倒されます。
さすがプロムス!という感じで、その視覚的な快感だけでも相当楽しめると言っていい。
そのときは、アルゲリッチ&バレンボイムで、ウェスト・イースタンディヴァン管弦楽団の演奏を聴いた。かなりプラチナ・チケットでした。
イギリス国内では、BBCラジオ3でプロムスの全てのコンサートが生中継され、またテレビでもBBC4チャンネル、あるいはBBC1やBBC2での中継放映も多い。BBCプロムス・ウェブサイトでライブストリーミング中継を聴取することもできる。
今回の日記の主旨は、この2か月間に及ぶロングランの音楽祭の最終夜のコンサート。
いわゆる「ラストナイト」。
正式名称は、最終夜「Last Night of the Proms」。
BBCプロムスで最高潮のボルテージで盛り上がる最高の瞬間のコンサートだ。
じつは、このラストナイトのチケットを獲得するのは大変なことなのだ。当然チケットの人気は高い。それ以外のコンサートの少なくとも5回のチケット購入を行うことが最終夜のチケットを獲得するための条件となっているのだそうだ。(Five-Concert Ruleと呼ばれている)
プロムスに足繁く通う、いわゆる「プロマー」と呼ばれる人たちは、当日のより良い立ち位置を確保するため、早くから行列(しばしば徹夜)することとなり、こういったことが否が応でもラストナイトの雰囲気を盛り上げていく。
ラストナイトは確実に超満員なのだ。
加えて、素敵に着飾ることも恒例。ディナー・ジャケットの者もあり、サッカーのイングランド代表チームのユニフォームを着用する者もあり、愛国的な語句を並べたTシャツを着用する者もあり、さらに国や地域などの旗や風船、クラッカーを持って入場することも自由である。
自分が行ったときは、平常時だったので、みんな普段着。でもラストナイトはお祭りだから服装もぶっ飛んでいるのだ。
そしてラストナイトは、観客は、各々がイギリス国旗(ユニオン・フラッグ)を振って愛国心を精いっぱいアピールする。まさに、このユニオン・フラッグを全員が振りまくっているのが、ラストナイトの一番の象徴シーンとも言えよう。
まさに一連の愛国的な曲、そしてユニオン・フラッグを持つ者はそれを振り、聴衆全員で歌う。
この時ソリストが歌唱する場合は、衣装のデザインを愛国的にしたり、愛国的なパフォーマンスを行う。
まさにイギリス万歳!とも言えるすざましい愛国心一色の空間となるのだ。
ラストナイト、恐るべし!
日本じゃちょっとこういうのは難しいかもしれませんね。
演奏する曲目も、伝統的に最終夜はより軽く、くつろいだ傾向の構成で、初めにポピュラーなクラシックの曲目、続いて第2部の最後に一連の愛国的な曲である「ルール・ブリタニア」、ヒューバート・パリーの「ジェルサレム」(ウィリアム・ブレイクの詞による)、エドワード・エルガーの行進曲「威風堂々」第1番、国歌「女王陛下万歳」が演奏するのが通例だそうだ。
そんなBBCプロムスが日本にやってくる!!!
BBC Proms JAPAN 2019。
BBCプロムスが海外でおこなわれる、というのは、2016年にはオーストラリア、2017年にはドバイで開催されるなど世界的な広がりをみせていて、2019年に日本で初開催されることになった。海外展開はつい最近のことなんだね。
大和証券さんが招聘元です。
チケット発売含め、詳細はこれから発表なのだが、東京と大阪の2箇所で開催され、東京は渋谷のオーチャードホール、大阪はシンフォニーホールなのだそうだ。
なんじゃそれ?(笑)
普通のクラシックコンサートと何が違うのだろう?(笑)
ただオーケストラが、BBCスコティッシュ交響楽団というだけなことなのではないだろうか・・・
プロムスなら東京ドームあたりでやってもらってビール、ポップコーン立ち売りつきでやってくれないとあの雰囲気が出ないと思うのですが・・・
でもクラシックコンサートで、BBCスコティッシュ交響楽団で東京ドーム収容5万人を埋めるのはちと酷かもしれません。
ではそこは一歩譲って、ぜひ日本でやるなら観客にはラストナイトを日本で再現!ということで、日の丸の小さな旗を無料で現地で配布してほしいと思います。公演中ぜひ振らせていただきます。
演目もまだ公開されていないが、英国の愛国カラーなのか、それとも日本愛国カラーなのか、現地プロムスでは蛍の光も演奏されるそうですから、これは日本でもありだと思います。後者は日本の世論、風土からして難しいとは思いますが。
心なきファンからは、ラストナイトの愛国一色のカラーを出すなら、日の丸よりも旭日旗を振ればいいなどと毒づいている人もいます。(笑)
そんなことしたら、中国、韓国ふくめ猛反発で大炎上必至でしょう。(笑)
まぁ、そんな冗談はさておいて、やはりロンドンで、ロイヤル・アルバート・ホールでやってこそのプロムスだというご意見もよく理解できますが、日本の招聘元の大和証券さんが、せっかくの懇意でやってくれてると思うとBBCプロミスに所縁がある自分としては、それに応えてあげよう!という気持ちがあります。
ぜひ盛り上げていきたいと思います!
アラベラさんのベートーヴェン・コンチェルト [国内クラシックコンサート・レビュー]
年に1回必ず来日してくれるアラベラさん。毎年春先の3月が多いだろうか。日本に所縁のあるアーティストだけにそのように企画してくれる招聘元にはファンとして、いつも本当に感謝しています。
炎のマエストロ、コバケンこと小林研一郎巨匠と日本フィルとの競演@サントリーホール。
ベートーヴェンのコンチェルト。
以前にも日記に書いたように、ヴァイオリン奏者にとって、このベートーヴェンの協奏曲ってとても難しい演目なのだ。
諏訪内晶子さんがご著書で、「この曲だけは、他の協奏曲と違って、何回弾いても自分で納得のいく演奏ができない。楽譜としては弾けても、音楽として弾けていない。」と告白されていて、奏者でないとわからないその独特の心情を吐露されていた。
他の協奏曲は、ヴァイオリンとオーケストラの比重が圧倒的にヴァイオリン主体で書かれているのに対し、ベートーヴェンはそれが対等の比重で書かれていて、全楽章を通じて独奏ヴァイオリンと協奏のオーケストラとの交互の「語らい」の中で進行する。そのあくまで対等の重きが、独奏者にとって音楽として表現できている、という感覚には、なかなか到達できないということなのだろう。
確かにチャイコフスキーやブラームスに代表されるように、ヴァイオリンの見せ場の旋律が随所に散りばめられていて、ヴァイオリンがぐいぐいとその曲を引っ張っていっているような曲に比べると、ベートーヴェンのそれは、最初自分が聴いたときの印象は、盛り上がりに欠けるなんと地味な曲なんだろう、という感じのものだった。
演奏する立場から言うと、技術的には、チャイコフスキーやパガニーニのほうが遥かに複雑で難しい。でもベートーヴェンの場合、いくら努力してみても自分で納得のいく表現ができない、とまで仰っている。
ヴァイオリンとオーケストラの対等の重き。
そういう”対等の重き”、というある意味制約のある曲の構成の枠組みの中で、聴衆に音楽的な感動を与えることが、この上なく難しいという意味なのではないか、と自分では理解している。
でもそんなベートーヴェンの曲のこの対等の語らいの中でも、自分にはとても痺れる部分がある。
それは、特に第3楽章の中あたりに、独奏ヴァイオリンとファゴットがお互い語らう箇所があり、ここはこの曲の中でももっとも恍惚というか美しい旋律と自分が思う部分。 長い前振りも、この部分がすべてを浄化してしまうような美しさがこのフレーズの中にはある。
そしてまさに終演部分の、ヴァイオリンとオーケストラとの丁々発止の掛け合い。
この部分は、まさに最後の盛り上げにふさわしいじつに感動的なフィナーレ。
ここも、長い語り部の部分をすべてここで終結し、いままでのすべてを浄化してくれる劇的な終結部と感じる。
この日は、1階席18列のややステージより遠い席。
コバケン巨匠や日フィルを聴くのは、本当に久しぶり。
いつ以来か自分でも記憶にない。
アラベラさんはブルーのドレスで、相変わらず麗しく美しかった。
アラベラさんのベートーヴェンのコンチェルトは、2~3年前に所沢と東京でN響&プロムシュテットとのタッグで2回聴いたことがある。その音楽的センスの良さに当時は大変感動したのを覚えている。
今回は、座席がステージから遠かったせいもあるのか、全体に線が細い、とても繊細なベートーヴェンのような印象を受けた。ある意味これは彼女の持ち味なのだが、弱音表現が非常に秀逸で、強奏の部分でも決して強い主張をしない、それが彼女の細身のシルエットと相まって、全体的に繊細な印象なのだ。
2~3年前に聴いたときは、もっとパワフルでかなり凌駕する感じのベートーヴェンだったが、そのときを知っているだけに、やや物足りなさというか、今回は大人しいなぁという印象を受けたことも確か。
すぐに思ったことはステージから遠い音響のせいなのかなとも考えた。
テクニカル的には、完璧で、見事な演奏、美しく繊細なベートーヴェンを見事に演じていたと思う。
自分が先に述べたこの曲の見せ処も、ものの見事に弾きあげた。
アラベラさんはヴァイオリニストとしての技巧レベルは本当に高いですね。
エレガント!
まさにそんな感じの演奏で、アラベラさんのイメージにぴったりで、ベートーヴェンにこういう演奏もありで、ある意味彼女らしいといえば、彼女らしいのかもしれないと感じた演奏だった。
後半は、ストラヴィンスキーの春の祭典。いわゆるハルサイ。
つい先日N響で同じ曲を聴いたばかり。
これはなかなか素晴らしかった。音の立ち上がり、トランジェントの速さ、全体の迫力といった点では、N響のときを上回るのではないか、と思うほどの素晴らしい演奏で、日フィルをかなり見直した。
オーディオファンにとっては、まさに18番の曲で、ある意味この曲に関しては煩いぐらい要求するレベルは高いのだが、そういう瞬発性、アバンギャルドな装い、爆発的な感情を見事なまでに表現していた。
日フィルのオーケストレーションの高さに感心した。
やはりコバケン巨匠の指揮によるところも大きいと思う。
コバケン巨匠は炎のマエストロと呼ばれるのがわかるくらい劇場型の魅せる指揮スタイルだが、でもそのような上位概念だけでは計り知れないもっと計算された緻密なオーケストラとのあ・うんの呼吸はきっとあるに違いない。積年の関係であることの事実だけが成しうるような。。。
見事な一夜でした。
アラベラさんは、いよいよ来週初来日で話題沸騰のデンマーク国立響と、あのファビオ・ルィージ指揮で、同じサントリーホールに登場する。(もちろんいま全国ツアーをしている。)
とてもフレッシュな顔合わせで、とても楽しみだ。
ルイージとどういうコンビネーション、化学反応を魅せるのか?
ブルッフのコンチェルトを演奏する。
いまから楽しみで楽しみで待ちきれない感じである。
(c)アラベラさんFB
(大宮公演後でのショット。サントリー公演ではブルーのドレスでした。)
日本フィルハーモニー交響楽団 コバケン・ワールド Vol.21
2019年3月10日(日)14:00~
サントリーホール大ホール
指揮:小林研一郎
ヴァイオリン:アラベラ・美歩・シュタインバッハー
管弦楽:日本フィルハーモニー管弦楽団
ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲
~アンコール
J.S.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ第3番より「ラルゴ」
ストラヴィンスキー バレエ音楽「春の祭典」
~アンコール
ビゼー:「アルルの女」第2組曲より「ファランドール」
炎のマエストロ、コバケンこと小林研一郎巨匠と日本フィルとの競演@サントリーホール。
ベートーヴェンのコンチェルト。
以前にも日記に書いたように、ヴァイオリン奏者にとって、このベートーヴェンの協奏曲ってとても難しい演目なのだ。
諏訪内晶子さんがご著書で、「この曲だけは、他の協奏曲と違って、何回弾いても自分で納得のいく演奏ができない。楽譜としては弾けても、音楽として弾けていない。」と告白されていて、奏者でないとわからないその独特の心情を吐露されていた。
他の協奏曲は、ヴァイオリンとオーケストラの比重が圧倒的にヴァイオリン主体で書かれているのに対し、ベートーヴェンはそれが対等の比重で書かれていて、全楽章を通じて独奏ヴァイオリンと協奏のオーケストラとの交互の「語らい」の中で進行する。そのあくまで対等の重きが、独奏者にとって音楽として表現できている、という感覚には、なかなか到達できないということなのだろう。
確かにチャイコフスキーやブラームスに代表されるように、ヴァイオリンの見せ場の旋律が随所に散りばめられていて、ヴァイオリンがぐいぐいとその曲を引っ張っていっているような曲に比べると、ベートーヴェンのそれは、最初自分が聴いたときの印象は、盛り上がりに欠けるなんと地味な曲なんだろう、という感じのものだった。
演奏する立場から言うと、技術的には、チャイコフスキーやパガニーニのほうが遥かに複雑で難しい。でもベートーヴェンの場合、いくら努力してみても自分で納得のいく表現ができない、とまで仰っている。
ヴァイオリンとオーケストラの対等の重き。
そういう”対等の重き”、というある意味制約のある曲の構成の枠組みの中で、聴衆に音楽的な感動を与えることが、この上なく難しいという意味なのではないか、と自分では理解している。
でもそんなベートーヴェンの曲のこの対等の語らいの中でも、自分にはとても痺れる部分がある。
それは、特に第3楽章の中あたりに、独奏ヴァイオリンとファゴットがお互い語らう箇所があり、ここはこの曲の中でももっとも恍惚というか美しい旋律と自分が思う部分。 長い前振りも、この部分がすべてを浄化してしまうような美しさがこのフレーズの中にはある。
そしてまさに終演部分の、ヴァイオリンとオーケストラとの丁々発止の掛け合い。
この部分は、まさに最後の盛り上げにふさわしいじつに感動的なフィナーレ。
ここも、長い語り部の部分をすべてここで終結し、いままでのすべてを浄化してくれる劇的な終結部と感じる。
この日は、1階席18列のややステージより遠い席。
コバケン巨匠や日フィルを聴くのは、本当に久しぶり。
いつ以来か自分でも記憶にない。
アラベラさんはブルーのドレスで、相変わらず麗しく美しかった。
アラベラさんのベートーヴェンのコンチェルトは、2~3年前に所沢と東京でN響&プロムシュテットとのタッグで2回聴いたことがある。その音楽的センスの良さに当時は大変感動したのを覚えている。
今回は、座席がステージから遠かったせいもあるのか、全体に線が細い、とても繊細なベートーヴェンのような印象を受けた。ある意味これは彼女の持ち味なのだが、弱音表現が非常に秀逸で、強奏の部分でも決して強い主張をしない、それが彼女の細身のシルエットと相まって、全体的に繊細な印象なのだ。
2~3年前に聴いたときは、もっとパワフルでかなり凌駕する感じのベートーヴェンだったが、そのときを知っているだけに、やや物足りなさというか、今回は大人しいなぁという印象を受けたことも確か。
すぐに思ったことはステージから遠い音響のせいなのかなとも考えた。
テクニカル的には、完璧で、見事な演奏、美しく繊細なベートーヴェンを見事に演じていたと思う。
自分が先に述べたこの曲の見せ処も、ものの見事に弾きあげた。
アラベラさんはヴァイオリニストとしての技巧レベルは本当に高いですね。
エレガント!
まさにそんな感じの演奏で、アラベラさんのイメージにぴったりで、ベートーヴェンにこういう演奏もありで、ある意味彼女らしいといえば、彼女らしいのかもしれないと感じた演奏だった。
後半は、ストラヴィンスキーの春の祭典。いわゆるハルサイ。
つい先日N響で同じ曲を聴いたばかり。
これはなかなか素晴らしかった。音の立ち上がり、トランジェントの速さ、全体の迫力といった点では、N響のときを上回るのではないか、と思うほどの素晴らしい演奏で、日フィルをかなり見直した。
オーディオファンにとっては、まさに18番の曲で、ある意味この曲に関しては煩いぐらい要求するレベルは高いのだが、そういう瞬発性、アバンギャルドな装い、爆発的な感情を見事なまでに表現していた。
日フィルのオーケストレーションの高さに感心した。
やはりコバケン巨匠の指揮によるところも大きいと思う。
コバケン巨匠は炎のマエストロと呼ばれるのがわかるくらい劇場型の魅せる指揮スタイルだが、でもそのような上位概念だけでは計り知れないもっと計算された緻密なオーケストラとのあ・うんの呼吸はきっとあるに違いない。積年の関係であることの事実だけが成しうるような。。。
見事な一夜でした。
アラベラさんは、いよいよ来週初来日で話題沸騰のデンマーク国立響と、あのファビオ・ルィージ指揮で、同じサントリーホールに登場する。(もちろんいま全国ツアーをしている。)
とてもフレッシュな顔合わせで、とても楽しみだ。
ルイージとどういうコンビネーション、化学反応を魅せるのか?
ブルッフのコンチェルトを演奏する。
いまから楽しみで楽しみで待ちきれない感じである。
(c)アラベラさんFB
(大宮公演後でのショット。サントリー公演ではブルーのドレスでした。)
日本フィルハーモニー交響楽団 コバケン・ワールド Vol.21
2019年3月10日(日)14:00~
サントリーホール大ホール
指揮:小林研一郎
ヴァイオリン:アラベラ・美歩・シュタインバッハー
管弦楽:日本フィルハーモニー管弦楽団
ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲
~アンコール
J.S.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ第3番より「ラルゴ」
ストラヴィンスキー バレエ音楽「春の祭典」
~アンコール
ビゼー:「アルルの女」第2組曲より「ファランドール」