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世界の朝食を食べさせてくれるお店 フランスの朝ごはん [グルメ]

年末年始は、いろいろ立て込んでいて、今回のフランスの朝ごはんはすでに体験していたのだが、それを日記にするのが遅くなってしまいました。


申し訳ありません。


1月いっぱいでこのメニューが終わってしまうので、すでに遅しと思ったが、フランスの朝ごはんは、ものすごく評判がいいようで、異例の2月中旬まで延期になったそうだ。


これは自分がこのカフェレストランを体験しはじめて、初めての体験である。
自分の日記リリースが少し間に合った感じがして救われました。(笑)


次回からこのようなことがないようにオンタイムできちんとリリースしましょう。


フランスの朝ごはん。


ついに王道、直球ど真ん中が来ましたか、という感じですね。フランスと言っても、その国土はヨーロッパで一番広い国。どう的を絞ればいいか、わかりませんね。


まずは、フランスの地理感。


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フランス共和国

首都・最大の都市:パリ(約214万人)
人口:約6,699万人
面積:約55万平方キロメートル(日本の約1.5倍)
公用語:フランス語
宗教:カトリック、イスラム教、プロテスタント、ユダヤ教
民族:ケルト人、ゲルマン人、その他。
通貨:ユーロ
政体:共和制



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国旗があらわすもの


白は王家、青と赤はパリ市の色、自由、平等、博愛の象徴とされるトリコロール(3色旗)

協力)Amelie Bonhomme  Emile Bayon de Noyer
       山平 敦史(写真)


これだけ広いフランスだけれど、自分の体験は、パリ専門。そして友人とドライブでノルマンディー地方のモンサンミッシェルを訪れた、その2箇所しか経験がない。マルセイユとかニースとか、いわゆる南フランスは観光地としては最高なのかもしれないけど、自分は経験ありません。勿体ないことをした。


あの頃は若かったので、観光、文化を深める、という人間味あふれる時間の過ごし方に無頓着でしたね。


ただひたすらがむしゃら、という感じです。自分がいま人生の中でいかに貴重な時間、場所で過ごしているのか、ということを自覚していなかったんですね。そんな人生に何回もチャンスがある訳ではないのに・・・。


あの頃は、またいつでも来れる、みたいな身近な感覚がありました。

でも人生そうじゃないですね。


歳を取ったからわかる、あのときもっと経験、満喫していれば・・・と必ず後悔します。


人生そんなうまくいかないものです。自分のときはそれを自分にアドバイスしてくれる人がいなかった。


だから自分はこの日記で、いま海外に住んでいる人にアドバイスします。


後年にまたいつでも来れる、というのはないです。

後悔しないように、いま徹底的に勉強、経験してきてください。


ベルギーに住んでいたとき、パリへは車でそのまま一直線なので、本当によく訪れていました。毎週のように行っていた。この頃の自分の行動パターンって大体決まっているんですよね。もう移動手段は車で、友人が住んでいる北のアムステルダムに行くか、南のパリに行くか、のどちらか。


いまのようにメトロや徒歩で観光するのではなく、車でパリ市内を徘徊するので、パリが放射線状の環状スタイルの街だということがよくわかるのです。そしてパリから出るその放射線状の出口のところが、その円状に何か所もある訳ですが、そこが必ず「Porte de xxxxx」という名称がついています。


ブリュッセル→パリ、帰りのパリ→ブリュッセルのときは、その目印のPorte de xxxxxで、おっ大丈夫だ、この道で間違いない。そこにさえ乗っかってしまえば、あとは1本道ってな感じ。


車の運転は自分の性格には向いていませんが、あちらでは運転しないと生活できないし、生きていけないから、あの頃の想い出って車の運転しか自分の記憶に残っていませんね。ひたすら車運転してましたね。


つい先日車遍歴の日記を書きましたが、本当にひたすら運転していた。車窓から眺める街の風景が一番自分の記憶の深い所に刻まれている。


車を通して、ヨーロッパの街を体感していた。


いまと体で感じる感覚が全然違いますね。
いま考えてみると、若いときはかなり無茶していてしんどかった。
もっと人間らしい生活をしていれば楽だったのに・・・と思います。


なので、パリの観光スポットはバッチリです。ちょっとその頃に貴重な体験だったのが、友人とパリの新市街の街のホテルで一泊したこと。パリといえば旧市街ですが、新市街はなかなか行こうと思わない限り経験できないかも?


近代ビルなどいくつもそびえ立っていて、大昔のあの当時でも都会だなぁと思いましたし、有名な旧市街とは全然違うな、と思いました。


パリに行ったらよく食べていたモノにFruits der merがあります。
直訳すると「海の果物」ということで要は海産物の盛り合わせのこと。


このメニューはフランス語源の通り、もともとフランスがオリジナルということで、赴任時代よくパリで食べていた。パリにはこれを食べれるお店が至る所にあるのです。別にパリでなくても、ブリュッセルのレストランもメニューは大半がフランス語表記で、この海産物の盛り合わせが常連メニュー。


要は、自分はこれが大の好物だったんですね。(笑)


生牡蠣とかバクバク行ってました。
まったくもって若いというのは怖いもの知らずというか・・・
 

パリのコンサートホール、オペラハウスもその頃にそういう嗜好があれば、いまこんなに大金はたいて海外旅行なんてしなくて済むのに・・・と思う悔いるポイントです。


パリ・オペラ座 ガルニエとバスティーユ。いまはクラシックのコンサートをやらなくなったサル・プレイエル、そしてその代わりに、新しく建築されたフィルハーモニー・ド・パリ。これはバッチリです。(笑)


シャンゼリゼ劇場とシャトレ座は、なかなかタイミングが合わず。体験できるのはいったいいつのことになるのでしょうか?


そしてパリと言えば、スリ。不思議なことに自分がヨーロッパに住んでいた時は、まったくそういう経験をしたことがなかったし、パリ市内を歩いていても、全然無警戒。気をつけながら、歩くということもなかった。街内もメトロの中も。いま考えれば、怖いもの知らずでしたね。


自分が人生で初めてスリに会ったのが、ご存知いまから5年前の2015年の海外音楽鑑賞旅行のとき。


結局パリで経験しました。


超有名なあの「ジャム野郎」の手口に引っ掛かってしまいました。(笑)

ジャム野郎を知らないこと自体、あまりに恥ずかしい過ぎる、と友人には笑われましたが。(笑)


おっいけない、いけない。世界の朝ごはんの日記のときは、必ず自分の体験を入れることをモットーとしていますが、パリはあまりに想い出が多すぎて、この紙面だけでは語りつくせないので、また今度にでも。



ここからは、Copyrighted by WORLD BREAKFAST ALLDAYの情報になります。(あの種明かしのリーフレットです。)


フランス


西ヨーロッパで最大の面積を持つフランスは、工業と農業がともに盛んで、「ヨーロッパの穀倉」と呼ばれています。芸術と美食の国としても知られ、フランス料理は世界三大料理の一つに数えられています。


ビオ BIO


農業大国フランスは近年、世界有数のBIO(オーガニック)先進国へ進化。環境意識・健康志向の高まりから、有機農産物や有機加工品である「BIO商品」を取り扱うスーパーマーケットや専門店多く見かけます。



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そしてパリと言えば、なんといってもカフェ文化。


交差点ごとに1~2軒のカフェがあると言われるほど、パリの街と暮らしに根付いているカフェ。朝早くから夜遅くまで営業しているので、朝ごはんを食べたり、ワインと軽い食事を楽しんだりと、使い方はいろいろある。


カフェの外のテラスがいかにもヨーロッパっぽくていいですね。


ブロンド美人はサングラスがよく似合う。


この外のカフェテラスでカフェしているブロンド美人は本当にサマになっています。
ヨーロッパの最高の写真ショットのアングルだと思います。


ここからはフランスの食文化について。Copyrighted by WORLD BREAKFAST ALLDAY


プティ・デジュネ


フランス語で朝ごはんを指す言葉が、プティ・デジュネ。直訳すると「小さな(プティ)昼食(デジュネ)」という意味です。バターとジャムを塗ったバゲットやヴィエノワズリーにコーヒーやカフェ・オ・レなどを組み合わせるのが一般的。


タルティーヌ


フランスの朝ごはんの定番の一品。バゲットなどのパンをスライスして、バターやジャム、スプレッドなどを塗ったものをタルティーヌと呼びます。それをカフェ・オ・レなどに浸して食べるのもフランス流です。


ヴィエノワズリー


バゲットなどの主食となるパンとは異なり、卵とバターがたっぷり入った菓子パンはヴィエノワズリーと呼びます。直訳すると「ウィーンのもの」、代表的なのはクロワッサンやパン・オ・ショコラ、パン・オ・レザン、ショソン・オ・ポムなど。


バター


フランスはたくさんのバターのブランドがあり、その種類も豊富。大きく分けると無塩(doux)と有塩(demi-sel)があり、塩気の多いものといっしょに食べることが多いフランスでは無塩のバターが一般的です。


チーズとハム


フランスの家庭料理は意外なほど簡素。火を使わずに食事を調えることもしばしばです。カットするだけで食べられるチーズやハムはどちらも種類が豊富で、朝昼晩を問わず、フランスの食卓には欠かせない食材です。


フロマージュ・ブラン


フランス語で「白いチーズ」の意味。ヨーグルトよりも酸味が少なく、生クリームやクリームチーズなどよりもさっぱりしています。朝ごはんではヨーグルトの替わりとして、カソナードなどをかけて食べられています。


チョコレート


フランス人はチョコレートが大好き。一人当たりの年間消費量は6.4kgと、日本の3倍以上です。
そんなフランスのデザートの定番はフォンダン・オ・ショコラ。
寒い冬には、ショコラ・ショー(ホットチョコレート)も人気です。


カフェ・オ・レ


フランスではコーヒーにミルクを混ぜた飲み物を総称したものをカフェ・オ・レと呼び、コーヒーとミルクの分量によって呼び方が変わります。日本でイメージするカフェ・オ・レはカフェ・クリーム。


ヴァン・ショー


ショコラ・ショーと並んで、フランスの冬に欠かせない飲み物がヴァン・ショー。ヴァンはワイン、ショーは熱いの意味。料理で余ったワインや安価なテーブルワインに好みのフルーツやスパイスを加えて作ります。


ポタージュ


日本ではポタージュと聞くと牛乳や生クリームを加えたとろみのあるスープをイメージしますが、フランスではあっさりと澄んだものから濃厚なものまで、スープ全般をポタージュと言います。


紅茶とハーブティー


フランスでは紅茶や緑茶はテ、植物の葉や茎、花などからつくるハーブティーはティザンと呼び、区別されています。近年は健康志向の人々を中心に、ハーブティーの人気が高まっています。


デザート


フランス料理ではデザート以外の料理は基本的に砂糖を使いません。そのため糖分を補う意味もあってか、食事の最後にデザートを食べます。朝ごはんの最後にはフルーツがよ食べられます。


ブーランジェリー


パンが主食のフランス人にとって、生活になくてはならないのがブーランジェリー(パン屋さん)。バゲットやヴィエノワズリーなど焼きたてのパンを求めて、馴染みのブーランジェリーに毎日足を運びます。


う~む。いつも世界の朝ごはんでこの食文化の記載をすると、とても珍しい~という気がするのだけれど、フランスの朝ごはんは、どれも日本に馴染みの深いものばかりですね。いかにフランスの食文化が日本文化に浸透しているか、ということですね。


これがフランスの朝ごはん。


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今回のフランスの朝ごはんのワンプレート。


バターとイチゴジャムを塗ったタルティーヌにクロワッサン、ジャンボン・ド・バイヨンヌとカマンベールチーズ、カソナードをふりかけたフロマージュ・ブランとフルーツサラダを合わせた。


食材はほぼすべてフランスのものを使用している。


全然珍しい気がしない。(笑)普段私たちが日本で味わえるような身近な食材ばかりだ。


スライス状のパン(タルティーヌと呼ぶ)にイチゴジャムとバターが塗ってあるもの。
一番視覚的にヴィヴィッドなので、一番先にいただく。


写真で見た通りの味がします。(笑)
クロワッサンもクロワッサン。
カマンベールチーズもカマンベールチーズ。


唯一、ちょっとフランス特有と思うのが、見た目、ヨーグルトに見えるもの。
フロマージュ・ブランというらしい。


ヨーグルトよりも酸味が少なく、生クリームやクリームチーズなどよりもさっぱりしている、とのこと。でも食べてみたらほとんどヨーグルトのように思えました。


フランスの朝ごはんは、どれも日本人に馴染みの深い食材によって構成されていて、フランスの食文化がいかに太古の昔から、長い時間をかけて日本に浸透してきたのかが、よ~くわかりました。


大変美味しかったです。


このフランスの朝ごはん、大好評により異例の期間延長で2月中旬までやっています。
間に合ってよかった。


ここでとっても残念なニュース。


2号店として開店以来、ずっと長い間通い詰めてきた原宿店が吉祥寺に移転するのだそうだ。
大ショック!


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1号店の外苑前店と比べ、すごく店内が広くて綺麗。そしてなにより立地が良く近いので、すごく愛用していました。


メディアにも取り上げられて、お客さんもかなり入っていたので、ビジネスとしては順調だと思っていたんだけれどな~。やっぱり原宿は家賃が高くて、経営を圧迫していたのでしょうか?(笑)


吉祥寺はいい街だけれど、遠すぎです。
自分の家からは、ちょっと通えませんね。


吉祥寺店オープンの最初のときは行って取材をしてみたいと思いますが、レギュラーで通うには、また1号店の外苑前に戻ってしまうのでしょうか?




 

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DGの新譜:庄司紗矢香のベートーヴェン [ディスク・レビュー]

今年2020年は、ベートーヴェン生誕250周年イヤー。


日本のみならず世界中、クラシック業界、ベートーヴェン一色で盛り上がる。そのような中で、自分がベートーヴェンの録音で取り上げたいのは、庄司紗矢香のベートーヴェン・ヴァイオリン・ソナタ全集とベートーヴェン・ヴァイオリン協奏曲の2枚。




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ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全集 
庄司紗矢香、ジャンルカ・カシオーリ(4CD)






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ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 

庄司紗矢香、ユーリ・テミルカーノフ&サンクト・ペテルブルク・フィル




なぜ庄司紗矢香さんのアルバムを選ぶのか、というと、自分がいままできちんと庄司紗矢香というヴァイオリニストに面と向かい合っていなかったと感じていたからである。


庄司さんの実演は、いままで2回ほど経験した記憶がある。初めての体験は、水戸芸術館館長で音楽評論家の故吉田秀和さんが命名結成した「新ダヴィッド同盟」。2010年に結成された水戸芸術館専属の室内楽ユニットである。


ヴァイオリン 庄司紗矢香、佐藤俊介
ヴィオラ 磯村和英
チェロ 石坂団十郎
ピアノ 小菅優


庄司さんの呼びかけで集まった、気心の知れた若い音楽仲間と、庄司さんの尊敬する東京クヮルテットメンバーの磯村和英によって構成される。


懐かしいなぁ。あのときはかなり話題になっていました。
佐藤俊介さんもいたんだね。いまやオランダバッハ協会芸術監督への大出世。

小菅優さんもいます。


佐藤俊介さんと小菅優さんのコンビで、松本ハーモニーホールでの公演も聴いたことがあります。


この新ダヴィッド同盟のコンサートを体験したくて、水戸芸術館まで足を運んだのでした。
忘れもしない、2011年12月17日(土)の冬の日のコンサート。


シューベルトやモーツァルト、シェーンベルク、そしてブラームスの室内楽をやった。


それが庄司さんの生演奏を体験した初体験。


でもP席だったんですよね。(笑)

ここに、自分のまず1回目の悔いるポイントがある。
後ろ姿で庄司さんはじめ、みんなの演奏姿を拝見していた。


記憶が薄っすらだけれど、若手の演奏家らしい初々しくて勢いのある歯切れのいい演奏だったように記憶している。


そして2回目が、これも忘れもしない2012年の10月の東京文化会館の大ホールでの相方ジャンルカ・カシオーリとのヴァイオリン・リサイタル。


リサイタルなのに、小ホールではなく大ホールでやっていた。


おそらく主催者側の判断による集客数目的なのかもしれないが、それでも大ホールが超満員で埋まっていたような記憶がある。


なぜ、このコンサートが自分にとって忘れ得ないのか、というと、ちょうどその数日前かあるいは前日に、ゴローさんが亡くなったからだ。エム5さんの日記でそのことを知って、その翌日か、数日後のコンサートが、この庄司紗矢香さんの東京文化会館大ホールでのヴァイオリン・リサイタルだったのだ。


自分に親しい人が死ぬってこんなにつらいことなのか?

自分の親が死ぬよりショックを引きづっていた。


ステージで庄司さんが演奏するその姿はただ目に映っているだけ。


そしてその奏でるヴァイオリンの音色もただ、左の耳から入って、右の耳に抜けていくだけ。


人を失う悲しみで胸が締め付けられるような苦しみ。
コンサート中に、つい弱音を吐きましたもん。
「こりゃダメだ。全然ダメだ。」


結局、おそらくは名演だったであろう庄司紗矢香のヴァイオリン演奏は、まったく身に入ってこなかった。演奏中、ずっとゴローさんとのセンチな感傷に浸ってばかりいて、まったく演奏を覚えていない。


そのように自分にとって、庄司紗矢香というヴァイオリニストは、不運にもとても残念な体験しかなかった。


録音アルバムは、プロコフィエフのヴァイオリン・ソナタを1枚持っている。
当時、とても話題になったアルバムで、演奏、そして録音とも素晴らしい出来栄えであった。


あれから8年経過した訳だが、どうしてもここで自分が庄司紗矢香というヴァイオリニストときちんと対峙したい、しっかり自分が理解したいという衝動に駆られ、そのタイミングにベートーヴェンイヤーに相応しいベートーヴェン・アルバムをリリースしてくれたこと。


そしてサロネン&フィルハーモニア管弦楽団の来日公演でソリストとして登場すること。
この2つが相重なって、これはいまがまさに”その時”なのだと思ったのだ。


自分が庄司さんの存在を知ったときの印象は、1999年、パガニーニ国際ヴァイオリン・コンクールにて史上最年少で優勝、という印象が圧倒的に大きくて、数々の名門オケや指揮者との共演を果たし、海外を活動の拠点とするアーティストというイメージがまず頭にあった。


それでどちらかというと”若手の有望株”、”若手スター”、という・・・1999年からずいぶん年数は経っているけれど、いつまで経っても自分の中では永遠の若手で、いわゆる自分の年代とはやや隔世感がある感じ、なぜかちょっと世代のギャップを感じる存在だった。


自分がオヤジなだけだと思いますが。(笑)


やっぱり過去にしっかりとした審美眼で演奏姿を見ていないからだ、と思いました。

だからこそ、今回の実演に接するのは最高に楽しみで最大の試練だと思ったのです。



まず、アルバムからの感想。


ベートーヴェン・ヴァイオリン・ソナタ全集のほうは、2009年~2014年に録音されたものを今回ベートーヴェンイヤーということで、全集発表したもの。ぞれより前に、スプリングソナタこと第5番の「春」やクロイツェル・ソナタの第9番「クロイツェル」などは先行してアルバムとして発売されたようだが、こうやってきちんと全集として全10曲をまとめたものは今回が満を持して発表ということになる。


全曲録音を完成させたとき、2016年に全曲完成記念といういうことで日本縦断ツアーもおこなったようである。ベルリンとハンブルクで録音されたようで、非常に録音がよくて、聴いていてすぐに気に入ってしまいました。


大方の人にとっては、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタと言っても、「春」や「クロイツェル」くらいしか馴染みがないことだろう。自分もそうである。ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタを全曲聴くには相当な努力が必要なことは明らか。自分もこの日記を書くためにこのアルバムで全曲通しで聴くことを2回やった。かなりエネルギーを消耗した。ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲を通して聴くということは、一人の音楽家がどのように自己の精神と向き合い、どのようにそれを音楽に昇華させていったかということを目の当たりにする、またとないチャンスなのだろう。


録音ではプロコフイエフのソナタしか聴いたことのなかった庄司さんのヴァイオリンだが、きちんと根の張った非常に力強い音を奏でる奏者だな、と感じた。ご本人のシルエットからするとどちらかというと線が細くてパワーがない感じにも思えてしまうのだが、全然その真逆を行く感じだった。


解釈自体もとても現代的なニュアンスを感じ取れる新鮮さがあり、現代を代表するベートーヴェン・ヴァイオリン・ソナタ全集と言っても過言ではない出来上がりとなっている。



ベートーヴェン・ヴァイオリン協奏曲は、シベリウスのヴァイオリン協奏曲とカップリングになっている。


ベートーヴェンは奏者にとって難しいコンチェルトだが、見事な演奏を披露してくれている。


余談になってしまうが、自分にとって、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲で最高のパフォーマンスだと思っているのは、カラヤン生誕100周年イヤーのときのウィーン楽友協会で演奏された小澤征爾さん&ベルリンフィルでアンネ=ゾフィー・ムターの演奏。新しい近代解釈の演奏としてこれに勝る演奏には出会ってませんね。


Blu-ray&DVDになっています。


いままでベートーヴェンのコンチェルトはどこか地味というか、乗り切れないまどろこっしさを感じていたのだけれど、このムターの演奏を見て、この曲の良さがわかったというか、この演奏でこの曲に開眼したのでした。この演奏を観て、ゴローさん曰く、「ムター、ウマすぎなんだよ。」と吐き捨てた瞬間に同席していました。


そういう点から判断してしまうと、なかなか厳しいものがありますが(どうしてもこの曲を聴くと、自分の頭の中にはムターの演奏が教科書として存在してしまうために、どうしても比較してしまうのです。)、庄司さんの演奏も説得力あるものだと思います。


今回、1/23と1/28に開催されたサロネン&フィルハーモニア管の演奏会では、庄司さんはシベリウスとショスターコヴィチの協奏曲を披露してくれた。


あとで、レビューするが、シベリスも良かったけれど、ショスターコヴィチのコンチェルトは凄すぎた!


みんな大絶賛の感想で溢れていたが、まさに”神がかっていた!”というのはまさにその通りだと思う。


庄司さんのショスターコヴィチのアルバムは持っていないので、ストリーミングでもう一回聴いてみる。


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ソニーにはなくて、アマゾンにしかないのだが、なんとアダージョ版しかなく、楽章が抜け抜けなんですよね。


なんでそんなことするのかな?


でもその破片のアダージョ版を聴いてもあの晩のあの興奮が蘇ってくる。


もうこれは我慢できない。

もうCD買うしかありませんね。



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ショスターコヴィチ ヴァイオリン協奏曲第1番、第2番

庄司紗矢香、リス&ウラル・フィル




あの神がかっていたあの日の演奏をもう一回味わいたいと思います。


サロネンにとって、フィルハーモニア管弦楽団の首席指揮者、芸術監督としては最後の任期としての来日公演。いままさにサロネン・ウィーク。


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東京芸術劇場に馳せ参上した。


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1/23の座席

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1/28の座席

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1/23の日は、当初はサロネン作曲のチェロ協奏曲が演奏される予定だったが、チェロ奏者の急病により、代役として庄司さんが、シベリウスのヴァイオリン協奏曲を演奏することになった。まさに急遽のピンチヒッターである。


8年振りに姿を拝見する庄司紗矢香さん。


女性ヴァイオリニストのノーマルなドレスと違って、パンツスタイルなど、ちょっと新人類っぽくて、やはり自分にとってはいつまで永遠の若手スター、というイメージが崩れない。


シベリウスはおそらくご自身の得意のレパートリーなのだろうけれど、それでも急なピンチヒッター。それで、よくぞここまでの見事な演奏を魅せてくれた。


フィンランドの湖畔の風景がそのまま頭に浮かんできそうな寒色系の旋律、自分の大好きなシベリウスコンチェルトだが、もうゾクゾクと体の震えが止まらなかった。


ようやく直に集中して拝見できた庄司紗矢香のヴァイオリン奏法。


奏法は非常にオーソドックスで教科書のようなクセのない綺麗なフォーム。華奢で細身だが、力強さがあって、剃刀のような切れ味の鋭さがある。音色にキレがあるので、かなり場内を威圧するパワーあります。


細身だけど音量もかなり大音量派です。

音色のキレ、威圧感、そして大音量。。。


と来るので、かなり聴衆に感動させる要素持っていると思います。


それをまざまざと体験させてくれたのが、2日目のショスターコヴィチのヴァイオリン協奏曲。

普段あまり聴かないコンチェルトだけれど、こんなに素晴らしい曲だったとは!(笑)


前衛的で、現代音楽っぽくて、いかにもオーディオファンが喜びそうな音のすき間を確保しながら、エネルギー感のある音を連発。


そして誰もが絶賛した第3楽章のパッサカリアのカンデンツア。


場内シーンと誰一人固唾を飲んで見守る中、延々と雄弁に語り続ける。

そして第4楽章にそのまま流れ込む。


終止のとき、思わず感嘆の漏れ声が出てしまう。


ふつう終演のときは、ブラボーや歓声も客の方で事前に意識系でやっているのが多い中で、今回は、本当に思わず漏れ出てしまったという人間の本能のありのままの声が出てしまった・・・という感じ。


もうこの意識系と本能での歓声(溜息に近い)の違いはあきらかに聴いていて違います。


それだけ、まさに神がかっていました。


自分も鑑賞歴としてはベテランの領域ともいえるヴァイオリンの演奏会で久し振りに興奮しました。(笑)


長い間、庄司紗矢香というヴァイオリニストに抱いていた不完全燃焼な気持ちが一気に吹っ切れた感じでよかったです。



サロネン&フィルハーモニア管の演奏会については、多くの人が書かれると思うので、私の方では割愛。


でもあのすざましいダイナミックレンジの音を、ある決められた器の中にコンプレッション(圧縮)したりしたら、あの迫力って絶対損なわれると思いますね。初日、NHKが収録していましたので、放映されると思います。ライブ生演奏であれだけ大感動したのに、収録放送を見ると、全然迫力がなくてガッカリした、というのは、まさにそういうことだと思います。




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(c)庄司紗矢香Twitter



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(c)庄司紗矢香Twitter (Hikaru)




東京芸術劇場 海外オーケストラシリーズ
フィルハーモニア管弦楽団
指揮:エサ=ペッカ・サロネン
ヴァイオリン独奏:庄司紗矢香


2020/1/23(木)19:00~


ラヴェル/組曲「クープランの墓」
J.シベリウス/ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 op.47


休憩(インターミッション)


ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」


ソリストアンコール
パガニーニ
「うつろな心」による序奏と変奏曲から”主題”



2020/1/28(火)19:00~


J.シベリウス/交響詩「大洋の女神」
ショスターコヴィチ/ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 OP.77


休憩(インターミッション)


ストラヴィンスキー/バレエ音楽「火の鳥」全曲(1910年原典版)


ソリストアンコール
シベリウス「水滴」


オーケストラ・アンコール
ラヴェル「マ・メール・ロワ」より「妖精の園」














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マーラーフェスティバル期間中のレストランLIER [海外音楽鑑賞旅行]

マーラーフェスティバル期間中は、レストランLIER(おそらくコンセルトヘボウの中にあるレストラン)でとてもゴージャスな美味しい体験ができるようである。


それもフェスティバル仕様の世界。


ザルツブルク音楽祭でも、ルツエルン音楽祭でも、そしてバイロイト音楽祭でも、優雅な音楽祭には、必ず社交界のような場がつきものである。そこには美しい食の世界がある。


そこで思い出したのだが、マーラーフェストは正装なのだろうか?
ビシッとタシキードや礼服で正装する必要があるのだろうか?


自分がよく知っているオランダ人気質を考えると、とてもザックバランで気さくな私服のような気がするのだが、これは直前に確認しないといけませんね。


4年前のバイロイト音楽祭のときに礼服を作りましたが、おそらく体型の肥大化により、たぶんもう入らないかもしれない。(笑)


また新たに作るのは予算的に無理。
ジャケット着用でいいと思うのですが。

やや気がかりです。


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マーラーフェスティバルの期間中、コンサートが始まる前と終わった後、レストランLIERで、とても素晴らしいひとときを満喫することができます。グスタフ・マーラーは、彼の時代からするとずいぶんと先に進んでいた人で、そのことはレストランLIERの私たちにとって、インスピレーションの源となっています。


メニューを通して、昨今のトレンドと同様に、マーラーの本質と結びついた内容、そしてその可能性を、そのメニューに反映させようと思っています。


そうです!


あなたは、その日の交響曲に合わせたメニュー、そしてワインを、毎日楽しめるのです。


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ランチ


ランチは、フェスティバル期間中、5月8日の金曜日と、5月13日の水曜日を除いて、毎日提供されます。ランチをオーダーするとき、あなたはレストランの特別なランチタイムのオープニングアワーに出会えます。全部で3コースあって、2コースは38.50ユーロ(約5000円)で、3つめのコースは、47.50ユーロ(約6000円)です。


ディナー


フェスティバル期間中、5月8日の金曜日と5月9日の土曜日を除いて、毎日、夕方のコンサートに先んじて、レストランLIERで食事をすることができます。LIERのディナーは、5:30pmからやっています。LIERのディナーは3コースあって、62.50ユーロ(約8000円)で、ワインもさらにパッケージするなら、さらに25ユーロ(約3200円)かかります。


インターバル・パッケージ


5月12日の火曜日、5月16日の土曜日、そして5月17日の日曜日の夕方のメインホールのコンサートのインターバルでは、インターバル・パッケージのサービスが用意されます。ドリンクとお菓子で、17.50ユーロ。(約2240円)


晩餐


5月15日の金曜日と5月16日の土曜日は、コンサートの終了後、晩餐が開かれます。
晩餐は、2つの小さなお皿でサーブされ、37.50ユーロ。(約4800円)


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予約


あなたは、つぎの3つのうち、どれか1つの方法で、予約することができます。


1.コンサートチケットを購入するときに予約する。


上のパッケージは、あなたがコンサートチケットを購入するときに、オンラインで簡単に予約することができます。パッケージは、あなたが選んだコンサートのページに記載されています。あなたが座席を選んだ後、そのパッケージをショッピングカートに入れるのです。あなたはコンサートチケットを購入するときに同時にパッケージの代金も一緒に支払うのです。


2.My Accountを使って予約する。


もしあなたが、すでにコンサートにチケットを持っていて、LIERのパッケージも予約したいと思ったなら、My Concert下にあるあなたのアカウントを使って、予約することができます。あなたはそこで、パッケージの代金を支払うことができます。


3.電話予約する。


コンセルトヘボウ・ライン +31(0)20 671 8345 (電話は現地時間 10:00amから5:00pmの時間帯につながります。)に電話してください。もしくは、5:00pm以降にレストランに直接電話をしてみてください。電話番号は、+31(0)20 573 0578 (レストランは空いている日で、現地時間 11:00amから10:00pmの時間帯につながります。)6人以上の予約は、電話 +31(0)20 573 0578かE-Mail reserveren@restaurantlier.nl.のみ可能です。


ランチやディナーを予約するとき、レストランでの座席を取る際その時間帯を選ぶことができます。これらの時間帯は、あなたのコンサートがスタートする時間に合わせるといいと思います。コンサートホールに到着したら、まずコートを脱いで、中央のクロークルームにそれを預けます。


そうすることで、あなたはコートをかけるために列に並ぶ必要はないのです。そして、あとでそこからコートをピックアップすることができるのです。あなたのチケットは、LIERでスキャンされ、デザートの後にすぐにコンサートホールに入ることができます。それさえしてしまえば、あなたは、無用な心配はいっさい要らずにコンセルトヘボウをエンジョイして訪れることができるのです。




はっきり言おう!

高杉。(笑)


さらに自分の普段のおこないの悪さから、ただいま食生活節制中。
これは予算もないし、無理だなぁ。


アムスはもう自分にとってとても所縁のある街で青春時代に遊びつくして知り尽くした街。今回の旅行は、あまり観光もそんなに力を入れないかも。


そしてそんなグルメな体験もしない。

だからホテルもアムス市街ではなく、コンセルトヘボウの傍を希望した。
音楽体験重視。


おそらく、毎日の食生活は、コンセルトヘボウの向かいにあるスーパーマーケットで食材買い込んで、ホテルの部屋の中で済ませる感じになるかなぁ?


コンセルトヘボウの傍にあるレストランは夜は早くみんな閉店してしまい、終演後22~23時に開いているお店って限られるんですよね。


ゴローさんに教えてもらった夜遅くまでやっているあのレストラン、まだやっているのだろうか・・・?



もちろん、それは貧乏人の私のことであって、ぜひ!と思われている方は、この素敵な晩餐に 参加なされてはいかがでしょうか?

記念すべきフェスティバルの素敵なメモリアルになることは間違いなし!です。

音楽祭に社交界の晩餐、ディナーは必ずつきものだと思います。






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マーラー・ユニヴァース [海外音楽鑑賞旅行]

マーラーフェスト2020のフェスティバルの中心テーマは、”マーラー・ユニヴァース MAHLER'S UNIVERSE”である。


彼らはこのように造語した。


日本語に直訳すると”マーラーの宇宙”ということになるし、少し意訳しても”マーラーの世界”ということになるだろう。


でも、どうもしっくりこない。


ここはもうそのまま”マーラー・ユニヴァース”でいいのではないだろうか?

マーラーの人生、作品、そして伝説。


そういったマーラーの世界を全部統括して、”マーラー・ユニヴァース”なのである。


今回のマーラーフェスト2020は、単にマーラーの交響曲、歌曲をアムステルダム・コンセルトヘボウのホールで全曲演奏する、というだけではないのだ。


このマーラー・ユニヴァース、マーラーの世界のすべてを現代のみなさんに見てもらいたいという心意気がある。したがって、演奏会以外に、そのマーラー・ユニヴァースを具現化するイヴェントとして、このようなことをやります。。。というのが、この記事の主旨である。




●マーラー・ユニヴァース  MAHLER'S UNIVERSE




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「マーラーを知ることは、究極的には、我々自身を知ることである。」


イギリスの音楽ジャーナリストのノーマン・レブレヒトはそのように書いている。我々は、マーラーフェスティバルの間に開催される講演、インタビュー、そしてガイド・ツアーなどのとてもユニークなプログラムを通して、みなさんがマーラーのことをより理解できるように、”マーラー・ユニヴァース”に誘うつもりである。



●インタビューと座談会


マーラー・フェスティバルの期間中、マーラーの音楽、マーラーとアムステルダム、コンセルトヘボウ・オーケストラとの結びつき、そしてマーラーの音楽的、そして人間的な遺産など、マーラーについて、多くの英語でのインタビュー、座談会が開催される予定である。


そうすることにより、訪問者は非公式な形で、マーラーの音楽的な印象を言葉や文章に置き換えることができ、そしてマーラーの人生がいかに我々の中に深く織り合わせられているかを理解する絶好の機会となる。



●ガイドツアー


マーラーにとって第2の音楽の故郷であったコンセルトヘボウ・ホールの中を1世紀以上も昔にマーラーが歩いたそのルートと同じルートを歩むことで、マーラーの足取りを辿っていく。マーラーが指揮した場所、そして彼の友人であるウィレム・メンゲルベルクがロイヤル・コンセルトヘボウ・オーケストラをリハーサルしていたときに、マーラーが見ていた場所を紹介していく。有名な階段の一番上のところには、マーラーの子孫、娘のアンナ・マーラーが作ったマーラーの胸像。この胸像は、マーラーの孫娘によって、マーラーフェスト1995のときにコンセルトヘボウに寄付されたのだ。



●展示会


ファスティバル期間中、コンセルトヘボウはひとつの大きな展示会場スペースになる。マーラーの個人的な所持品などが展示される。~たとえばマーラーの未亡人であるアルマの家族アルバム(マーラーの孫娘:マリナ・マーラーからお借りできるもの)からの写真の数々。そして同様に、パリのマーラー音楽図書館からお借りできる物の数々など。


訪問者は、あのマーラーの有名なメガネ、スコア原稿、指揮棒、そしてシャツのカウフスボタンのようなものを実際じかに見ることができてさぞかし感激することであろう。



●マーラー研究者による講演


マーラーはこう言った。「もし私が言葉でなにかを言わなければならないと思ったときに、なぜそれを音楽という形で表現しようとしたのだろうか?」しかしながら、その後、人々は、マーラーの音楽を言葉で表現しようと最善を尽くした。


マーラー・フェスティバルの期間中、著名なマーラー研究者がそれぞれの交響曲についての講義をプレゼンテーションする。英語でやる。夕方の各々の交響曲のときだが。研究者たちは、年季の入ったマーラーファン、そして新しいファンの両方にも受け入れられるように、マーラーの交響曲の本質を表す音楽の実例を使いながら言葉を使って説明する。



●シンポジウム


マーラーは、交響曲は、すべてのものを含んでいないといけない世界だと信じていた。
しかしながら、とくに作曲家の世界はどういうものを持っていないといけないのか?


フェスティバルの最初の1週間、リサイタル・ホールのほうで、オランダ・グスタフ・マーラー財団と国際グスタフ・マーラー組織とのコラボレーションにてシンポジウムをおこなう予定である。主題は、マーラーが歌曲や交響曲を作曲する上で使用した文学や哲学について語られるものになる。フェスティバルが閉幕する週には、マーラーの哲学や精神的なものが遺したものについて、語られる。


マーラー・フォーラムの期間中は、強力な国際的な研究者たちが、マーラーの作曲家としての影響力が、音楽という境界線を超えて、いかに今尚この世に残っているかを熱く語ることになるであろう。






ちなみに、”マーラーフェスティバルのスポンサーになる。”の日記で、マーラー・パビリオンの企画の紹介をした。あの東京駅の原型となったアムステルダム中央駅の前の広場であるミュージック・スクエアで、大型テントを造営して、コンセルトヘボウのマーラー全曲公演を大型スクリーンでライブストリーミングする企画だ。


コンセルトヘボウ・ホールとアムステルダム中央駅は全然遠く距離が離れている。トラムでないと行けない。そんな距離感でもそういうことが実現できるのは、現代の最新技術であるライブストリーミングだから可能になったとも言える。


自分もぜひこのマーラー・パビリオンを体験してみたいと思っていた。


どんな大型スクリーンで、どんなスピーカーを使っているのか、画質はどうなのか、音質はどうなのか、画質はブロックノイズが出ていないか、音質はブツブツと途切れていないか、とかいろいろオーディオマニア目線でレポートできればいいと思っていた。


ところが世の中そんなにうまくいかないのだ。(笑)


マーラーフェスティバル2020の公式HPを見ると、このマーラー・パビリオンのチケットが販売されている。(有料なのだ!)それは、まさにライブストリーミングなのだ。決して聴き逃し配信ではなさそうなのである。


ストリーミング開始時間が、生演奏の時間と同じ時間帯なのだ。


だから、チケット争奪戦に敗れ、コンセルトヘボウ・ホールで生演奏を体験できなかった人たちが、代わりにこのマーラー・パビリオンで楽しむという主旨のようなのである。


超がっかり!(笑)


自分には、マーラー・パビリオンはフェスティバル期間中は経験できない、ということになる。

なんだぁもう!!!


仕方がないから、コンサートが始まる前に、このマーラー・パビリオンの大型テントの写真を撮影してくるぐらいしかないのかもしれない。でも開演前にはテントの中には入れないかも?


でもだ、でもだ。


逆を言えば、コンサートチケットをゲットできなかった人でも、諦めずにアムステルダムまでやってこれば、このマーラー・パビリオンでリアルタイムに演奏を楽しめると言えると思うのだ。(ただしチケットは買っておいてください。先日教えしましたマーラーフェスティバル2020の公式HPからチケット売り場のページに辿り着きます。)


そのためにアムステルダムに来てもいい。


そしてさらにはだ!


上述のマーラー・ユニヴァースを具現化したいろいろな座談会、インタビュー、ガイドツアー、シンポジウム、講演会、そして展示会を体験するだけでも、かなり価値があるのではないか?


何十年に1回のフェストだから、こんな企画は普段滅多にお目にかからないし、相当希少価値のある体験だと思う。これだけでも雑誌の記事や日記の投稿としては十分過ぎるボリュームある内容になると思う。


まさにマーラー・ユニヴァースを体験せよ!である。






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一目惚れで恋に落ちる [海外音楽鑑賞旅行]

マーラーフェスト2020の公式HPはオーガナイザーによって正式に立ち上げられた。


マーラーフェスティバル2020 (Mahler Festival 2020)



マーラーフェスト2020に関するすべての情報は、すべてここに詰め込まれる。
私がいつも開示する情報もすべてここからの情報に過ぎない。

いわゆるこの音楽祭の情報の発信源である。

ぜひ参考あれ!


ここには、マーラーフェストがどのような音楽祭なのか、どのようなイヴェント、催しがあるのか、そしてエッセイなどの寄稿、など大変興味深い記事が投稿されている。


だからちょくちょく普段から目を通しておかないと、知らない間にすごい貴重で興味深いイヴェントが企画されていたりするから要注意だ。Day By Dayでブラッシュアップされている。


本日から、このマーラーフェスト2020の公式HPで興味深い記事を自分が厳選して邦訳を贈っていきたいと思う。


こうすることで、本番の5月まで、この音楽祭の概要を理解してもらうのと、マーラーに関する知識、マーラーとアムステルダムの関係などをお知らせする。同時に自分が確認する意味があり、この音楽祭を盛り上げていきたいというのが自分の思うところである。


知る人ぞ知るユニークなフェストなので、主要なクラシックメディアにはあまり取り上げてもらえないのでは?(笑)とも心配したり・・・。


ぜひ特集してください!!!


今年は、日本のみならず世界中のクラシック業界あげて「ベートーヴェン生誕250周年イヤー」一色。その片隅でじつはマーラーもあるよ、とささやかにアピールしていきたいと思います。


言い出しっぺの自分がきちんと責任を持って盛り上げていかないとね。


翻訳して感じることは、そして、これは今回の翻訳に限らず、いつも海外のクラシック批評を翻訳したりする機会があるたびに思うことなのだが、海外のクラシックメディアの文体というのは、少し日本と趣が違いますね。少しキザというか、なにかに比喩しての礼賛の言葉が上手で、文章に独特のリズムがありますね。そして韻を踏む文体であること。


批判するときはかなり容赦なく手厳しい。


自分は日本の音楽評論家などの文体をよく知っているので(過去に渡ってまで全般とはいきませんが)、海外クラシック評論の文体とは随分雰囲気が違うよなぁと思うことしきりです。


自分には日本のほうが穏やかで配慮があって紳士的にも思えます。


今回彼らの寄稿を訳してみて、エッセイなんかは小説家が書いていて、とにかくこの音楽祭がいかに何十年に1回しか開催されない貴重な音楽祭なのか、そしてマーラーが遺していった手紙、歴史的資料に基づいて、じつにドラマティック、劇的に書き上げている。だから尚更そのように感じるのかもしれません。


第1回目は、今回のフェストのマネージング・ダイレクター サイモン・レイニンク氏が、この公式HPに寄稿をしてくれている。


前回の1995年大会のとき、サイモン氏は、父といっしょにこのマーラーフェスト1995を楽しんだ思い出がある。学生時代にそんな経験をしていたサイモン氏が、いまや今回の2020年大会では、マネージング・ダイレクターを務めるというのだから、時代の流れ、経過に感慨深いものを感じる。


ぜひサイモン氏の2020年大会への熱い意気込みを感じ取ってほしい。





●一目惚れで恋に落ちる。(Love at First Sight)




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マーラーとコンセルトヘボウは、一目惚れで恋に落ちたようなものだった。


1903年、マーラーがはじめてアムステルダムを訪れた後、こう書いている。

「アムステルダムは、私の第2の音楽の故郷だ。」


彼の人生の中で、アムステルダムほどマーラーの交響曲が賞賛されたところはなかった。20世紀初期の批評でみられた中のひとつの見解として、「マーラーは我々を魅了した。我々は、彼の音楽の魔力の虜になっていたのだ。」コンセルトヘボウ・オーケストラの首席指揮者であるウィレム・メンゲルベルクがマーラーを初めてアムステルダムに招待した。


メンゲルベルクは、マーラーがドイツのクレーフェルトという街で第3交響曲の初演をやったときに、マーラーに陶酔したのだ。


メンゲルベルクは、マーラーは彼の時代におけるベートーヴェンであると言い切った。


だが、そのときは誰もそのことに賛同しなかったし、それどころか実際その逆の批評であった。マーラーがハンス・フォン・ビューローの”葬礼”(この交響詩は後の第2交響曲の一部になる運命なのだが)のピアノ稿を弾いたとき、フォン・ビューローは耳を覆った。


長い沈黙の後、その著名な指揮者はこう言った。「もしそれが音楽であるならば、私はもうなにも理解できない。」ウィーンやベルリンのような音楽的メトロポリスが”指揮者マーラー”を盲目的に崇拝している一方で、彼らは、マーラーの交響曲を真に理解しているとは言えなかったのだ。そのため、少なくともマーラーの人生の中では、彼はアムステルダムに旅をする必要があった。


「オランダの音楽的文化は驚くべきものである。」

マーラーはそう言ってため息をついた。


「まさにここの聴衆の聴き方が自分の理想そのものである。」



●世代を通して伝えていく。


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我々の街の影響力、そしてその魅力は、マーラーがそのときに決して一時の気まぐれでそう思ったのではなく、ある世代から次の世代へと引き継がれていった。それはメンゲルベルクがロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団に演奏させたことで大成功しただけではなく、アムステルダムの熱狂的な聴衆そのものにもその要因があるのだ。


1987年の秋の10月のある夕方、私が若い学生だった頃、父がいまや伝説となってしまったレナード・バーンスタインによるマーラー交響曲第1番のコンサートに連れて行ってくれた。そのアメリカ人は、「マーラーは、交響曲の分野で、20世紀の最も重要なイヴェントになると確信している。」と予言していた。


そして私がその夕方に感じたことは、バーンスタインによれば、そのときと同じようなレベルの経験はこれからもないだろうと思われるくらいの美しさを全身にシャワーのように浴びたことだった。


それが私がその夕方に感じたことで、けっして忘れることのできない出来事であった。


その日のことは深く、そして鮮明に記憶の中に刻み込まれているので、コンサートの前に父と私がロデガ・カイザーのお店でどのような食べ物をオーダーしたのかさえも鮮明に思い出すことができる。


そしてその8年後、父と私は、忘れることのできないマーラーフェスティバル(マーラーフェスト1995)を一緒に楽しむことになったのだ。



●マーラー・ユニヴァース


いま、コンセルトヘボウは、第1回のメンゲルベルクによるマーラーフェスティバルから100年を経て、そして第2回から4半世紀25年を経て、第3回目のマーラーフェスティバルを開催することを誇りに思う。


私たちは、ふたたびそのパワフルな音楽に浸ることができるのだ。


マーラーの音楽は、他に例を見ないほど、豊かなもの、そしてその取るに足らないもの、すべてを含んでいる。そしてその音楽を体験することで、荒れ果てた谷を通っていき、そしていろいろな感情豊かな風景を見ながら、その激しい頂に到達する感覚を得ることになるのだ。


「マーラーは魂の冒険者である。」

マーラーの信頼する友人であるブルーノ・ワルターの意見である。


はたして、マーラーは、いまの喧騒の世代の階級の中で新しい旅の仲間を見つけることができるのであろうか?


フェスティバルの中心テーマは、”マーラー・ユニヴァース”である。


10日間の間、マーラー・スピリッツが、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、ミュージック・スクエア、そして近在する文化的な機関を支配する。


4つの最も優れた世界的なオーケストラ・アンサンブル、もちろんマーラーも指揮したこともあるロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン指揮するニューヨーク・フィル、そしてウィーンフィルやベルリンフィルが、彼の交響曲を通じて、マーラーを横断する旅に着手する。


2つの躍進著しいマーラーのスターたち、ブタペスト祝祭管弦楽団そしてグスタフ・マーラー・ユーゲントオーケストラも参加する。両方のオーケストラとも、彼らの燃えるだぎるようなその解釈で、コンセルトヘボウのメインホールで聴衆を魅力してきたのだ。


我々は、マーラー財団(Mahler Foundation)と、とりわけ、マーラーの孫娘のマリナ・マーラーが協力体制にあることをとても誇りに思っている。



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マーラーの孫娘マリナ・マーラー
Marina Fistoulari Mahler (1943)


マーラーの音楽は、現在、過去、そして未来をひとつに結ぶ。マーラーの遺産は、今尚、現代の人類と関連性を持ち続けているのだ。


また、カールハインツ・シュトックハウゼン(ドイツの現代音楽の作曲家)が50年前に一言でこのように言ったことを最後に添えておこう。


「もし遠い星から神様がやってきて、人間の本性について学びたいと思ったなら、まず彼もしくは彼女は、マーラーの音楽を知らずにいてはいけない。」


マネージング・ダイレクター
サイモン・レイニンク


Simon Reinink
Managing Director







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ハクジュホール リクライニング コンサート [コンサートホール&オペラハウス]

ハクジュホールは首都圏の室内楽ホールの中でも屈指の音響を誇る素晴らしいホールであろう。数年前に行って、大感動した。300席という非常に慎ましやかな空間で、そのあまりに計算しつくされた近代的な内装空間、そしてステージの音が減衰することなく飛んでくるダイレクト感、自分的には衝撃なホールであった。


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電位治療器などを手掛ける白寿生科学研究所本社ビルの7階にあり、同社が運営を行う。


ひさしぶりに、またこの芸術的に濃厚な空間に行ってみたいと思ったのは、このホールだけがおこなっているリクライニング コンサートに行ってみたいと思ったからだ。


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コンサートホールとして世界初のリクライニングシートが採用されている。


電位治療器ヘルストロンで知られる白寿生科学研究所は「健康のトータル・プロデュースを提案」する企業。


このコンサートで使われるリクライニング・シートは、ヘッド・レスト付きで45度まで倒せるオリジナルなシートだ。まさに音楽を聴きながら寝ながらいい気持ちでお過ごしください、という狙い。


このリクライニング・コンサート、コンサート時間は60分。
チケット代金も2000円台と破格なサービスだ。


ハクジュホールは2003年に開館して、それ以来ずっと、このホールだけが持つこのリクライニング・シートによるリクライニング・コンサートを開催してきた。2019年度で第143回というから、その歴史にも重みがある。


このリクライニングシートに思わず反応してしまったのは、じつは個人的な体験による。


オーディオの世界では、リスニングチェアはローバック(背もたれの高さが低いこと)が基本というルールがあるからだ。大昔、オーディオを試聴するときの椅子として、どのようなものがいいか、いろいろ物色していたところ、ヘッドレスト付きの聴きながらそのまま寝てしまいそうな、いかにも座り心地の良さそうなハイバック(背もたれの高さが高いこと)の高級椅子があり、これがいいと思った。


さっそく自宅に納品されてきた。


ウキウキしながらセッティングして音楽を聴いてみたところ、予想もしない弊害があることがわかった。


部屋の後ろから、横からの壁からの反射音がまったく聴こえないのだ。自分はサラウンド派だから、さらに厳密に言うと、リアチャンネルからの音がまったく聴こえなかった。


これは椅子のハイバックの高さに、みんな音が遮られているからだ。


その前の椅子はローバックな椅子だったので、サラウンドは囲まれ感があって気持ちよかったのだが、このハイバックな高級椅子に変えた途端、リアからの音が聴こえなくなり、フロントのサウンドステージだけしか聴こえない感じだった。


自分は青ざめた。
これはダメだと思った。


すぐに椅子のハイバックのせいだと判断した。


納品されたその日に、中古に売却をして廃棄処分にしてしまった。

たった1日の短命である。


そしてまたカタログを物色して、ローバックな椅子に変更した。背もたれが、腰の部分ぐらいの高さしかないので、本当に座り心地は最悪なのだけれど、サウンド的にはバッチリだった。自分の耳の高さの360度の空間に音を遮るものがなく、すべてが耳に入ってきた。


やっぱりこれだ!


それ以来、オーディオのリスニングチェアはローバックが基本!というのが自分の経験則なのだ。


だから最初ハクジュホールのリクライニング・コンサートの存在を知ったとき、それってありか~?と思わず疑ってしまったのだ。(笑)


健康によいリラックスしながら音楽を聴く、という健康プロデュースの側面からの発想アイデア。全然悪くないし、もちろんいい企画だと思うし、そういう発想が生まれるのも当然だと思っていたが、個人的に音楽鑑賞の椅子はローバックじゃないと。。。という考えがあった。


コンサートホールだってオーディオルームと同じだ。


ステージからの実音に対して、四方の壁、天井、床からの反射音を聴いて、そのミックス状態の音を聴いて気持ちいいと思うのだ。椅子がハイバックだと、その横、後方からの反射音が遮られて聴こえない状態になってしまい、自分はダメだと予想していた。


だから気持ちはよ~くわかるんだけれど、それはちょっとなー?というのが、このリクライニング コンサートへの予想だった。


だから見て見ないふりをしていたのだが、やはりどうしても気になってしまい、ちょっと体験してこようと思ったのだ。もしダメだったら、そのまま沈黙をしていればいいし、よかったら日記にすればいい。


そんな軽い気持ちで体験してみた。


ハクジュホールのリクライニング コンサートは、その日専用にホールの椅子を設定する。だからいつも体験できる訳ではなく、その特別に椅子がチューニング設定された日じゃないと体験できないのだ。


これが実際、そのリクライニング コンサートがある日に行ったときのハクジュホールの椅子の状態。


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奇数列単位にヘッドレストをつけて45度で傾きをつけられるようにする。


偶数列にはお客さんを入れないのだ。

一列おきなのだ。


予想よりもハイバックでなく、そんなに影響もなさそうという第一予想。

さっそくこの状態でコンサートを体験。


結論から言うと、まったくそのような弊害はないと思われた。


聴いている途中、体を起こしたりして、その違いがあるかどうかも確認してみたが、あまり差異は感じなかった。自分が考えるには、オーディオルームの容積と違って、コンサートホールの容積はべらぼうに広い。だから1人の座席の占める容積に対して、ホールの容積があまりに大きいのでそういう弊害は感じないのだと思った。


オーディオルームの狭さだと反射音の遮りを感じてしまうのかもだが、1人の座席での聴感覚に対して、対ホール容積は全然大きいので、そのような弊害はあまり感じないほど無視できるものなのではないか、と自分なりに考えた。


よかった!


ハクジュホールの伝統的なリクライニング コンサートはなんの問題もなく素晴らしいアイデアだった。


ただ・・・45度に傾いて寝ながらコンサートを聴くという体験はいままでにないので、居心地が悪いというか、やっぱりどうしても体を起こして立って座って聴いていたほうが、体が楽。


寝ながら聴くというのは体勢的に結構疲れるのでは?(笑)


でも結構面白い体験でした。


伝統あるサービスにいちゃもんをつけるオヤジにならなくてよかった。(笑)


以上が本題。



この後は、その素晴らしい室内楽ホールであるハクジュホールのご紹介。


ハクジュホールは、東京都渋谷区富ヶ谷にあり、最寄り駅は代々木公園。
徒歩5分位かな。白寿生科学研究所本社ビルが見えてくる。
このビルの7階にある。


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開場までの間は、この1階の待合スペースで待っている。


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そして開場時間になったらエレベータで7Fまで上がる。
そうするとホールのホワイエ空間が現れる。

近代彫刻・美術にあしらわれた空間は芸術的で美しい空間だと感じました。


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そしてハクジュホールへ。


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なんと美しい空間なのだろう。モダンアートを感じさせる空間ですね。


自分のコンサートホールの内装空間の好みからすると、ヨーロッパ調の伝統ある装飾空間が好みで、あまり近代的な無機質な凹凸空間は好きではないのだけれど、このホールの内装空間はそういう古式な感じではなく、逆に近代的で造りこまれた感のある人工的、芸術的な美しさがありますね。


音の流れを計算しつくした美しさ、というか。


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そしてホール内の内装の仕掛けがあまりにオーディオルームのルームチューニングを思い起こさせるような身近な感覚でオーディオファンにとってはかなり刺激的な空間内装です。(笑)


ホールをこの斜めから撮影するのが、自分のいつもの好みのアングルだったりします。


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ステージから後方を眺める。


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そしてかならず天井も撮影します。
この反響板の独特の意匠!


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ハクジュホールの音響なのだが、自分が一番印象に残るのは、ステージの実音が減衰することなく観客席に飛んでくるダイレクト感が素晴らしいこと。300席という容積もあるが、非常に音が濃厚で、ステージと観客席の距離感が近いと感じることが一番なのではないだろうか?響きもとても豊かだ。間違いなく首都圏の室内楽ホールではトップクラスの音響だと思う。


自分は初めて体験したときから、このホールがとても大好きだ。



そしてなんと!ホワイエにこんなものがぁあああ!(笑)


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開場時間になってホール内へどんどんと人が入場していくのをよそ目に傍らに、ポツンと佇むN801くん。


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接写!やはり美しいフォルム!


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なんでこんなところに、N801があるのかレセプショニストの方に聞いてみたら、ホール内の音、音楽をホワイエ空間に流すためだという。時間内にホールに入れなかった観客はホワイエで待たされる。その間にホール内の音楽を!という意味合いなのでしょう。



そしてこの日のコンサートは、上野由恵さん&曽根麻矢子さんのデュオ・リサイタル。


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上野由恵さんはいま注目の若手期待のホープ。東京六人組などで有名で、ぜひ実演に接してみたいなぁと切に思っていたのでした。とても深窓のお嬢様のような感じで育ちが良さそうなのがとてもいい印象です。


リクライニング コンサートを体験してみたいと思っていたところにジャストタイミングでした。


東京六人組はSNSのクラシックコミュでもみんなでプッシュして応援していこう、若手の音楽家を応援していこう、という大きな応援の流れがあって、自分はとても微笑ましく思っていました。


予算不足の情けない体力のおかげで、なかなか若手音楽家の公演に足を運べませんが、これを機会に・・・という意味合いもありました。この日をきっけかに、3月の横浜みなとみらいでおこなわれる東京六人組のコンサートにも足を運んでみようと思っています。


上野さんは東京藝術大学をアカンサス音楽賞を得て首席卒業。同大学大学院修士課程修了。いままで数多の音楽賞を受賞して、世界中のオーケストラとも共演して着実にキャリアを重ねてきている。


2016年はアメリカを拠点として、ワシントンでのソロリサイタルやカーネギーホールでのソロ演奏など、各都市で公演を重ねる。2017年秋よりパリに拠点を移し、フランス及びヨーロッパ各国で活動。2018年夏に完全帰国。



曽根麻矢子さんは、先日のサラマンカホール開館30周年記念ガラコンサートで実演に接したばかり。


フランスの名門レーベルERATOの名プロデューサー、ミシェル・ガルサンにスコット・ロスの遺志を継ぐ奏者として認められ世界デビューを果たした名アルバム「バッハ:イギリス組曲集」(1991)から約30年。


今やチェンバロ奏者の世界的第一人者として活躍する。


まさに日本を代表するチェンバロ奏者といっても過言ではないのではないでしょうか?


こういう実演に接してみてそのプロフィールを再確認するたびに、自分もチェンバロは普段なかなか経験することができなくて、普段からもっと古楽を聴かないとだめだなぁと思うことしきりです。


自分にとって古楽の世界ってそんな距離感かも。


チェンバロの音色はとても魅惑的でこの音色を聴くと、自分はどうしてもなぜかバッハを思い出してしまいます。2014年にライプツィヒ&ドレスデンに行くために、バッハを思いっきり勉強していた時が走馬灯のように頭に流れます。またコンサートの演目の中にもありますが、自分にとってチェンバロといえばクープランのクラウザン曲集が定番で、アルファレーベルのクープランのクラウザン曲集のCDが自分にとっては、オーディオオフ会の定番ソフトでした。


これがぶったまげるぐらい超優秀録音で、オフ会の一発目にかけると度肝を抜かされるという有難いソフトでした。自分にとってチェンバロと言えばこの曲、このソフトの影響イメージが大きいです。


チェンバロの音色はとても倍音が豊かに出るそうで、ピアノよりもはるかに倍音成分がでる楽器なのだそうです。一度、曽根さんのソロコンサートに趣き、チェンバロだけの世界に浸ってみたいです。


2020年秋より、ハクジュホールにて、J.S.バッハの主要作品を数年間に渡って演奏するコンサートシリーズをスタートさせるそう。


スイス在住のチェンバロ制作者デヴィッド・レイが曽根麻矢子のために長い時間をかけて制作した18世紀フレンチモデルの楽器を使用し、バッハのチェンバロ主要作品を5年をかけて演奏する話題のコンサート・シリーズ。


古楽の世界ってクラシックピアノもそうですが、こういう楽器そのものにも価値観がありますね。


これはぜひ行ってみたいコンサートです。




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(c)上野由恵Twitter



第152回 リクライニング・コンサート

上野由恵&曽根麻矢子 デュオ・リサイタル

2020年1月15日(水)15:00/19:30
主催:Hakuju Hall/株式会社 白寿生科学研究所


C.P.E.バッハ:ハンブルガー・ソナタ ト長調Wq.133/H564

クープラン:クラウザン曲集 第3巻 第15組曲より <チェンバロ・ソロ>

作曲家不詳:「グラウンドによるグリーンスリーブス」による変奏曲

細川俊夫:バスフルートのための<<息の歌>>

J.S.バッハ:フルートソナタ ホ短調 BWV 1034


アンコール~

クープラン作曲
「恋のうぐいす」

バッハ作曲、グノー編曲
「アヴェ・マリア」











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マーラーフェスティバルのスポンサーになる。 [海外音楽鑑賞旅行]

マーラーフェスト2020の大ホールの全公演は、各家庭にライブストリーミングされる。
詳細なニュースはいましばらく待て!(笑)


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いまのご時世、世界のオーケストラはどこも自分の公演パフォーマンスを、自分の公式HPなどでライブストリーミングしているなんて当たり前のことだ。どこのオーケストラもやっている。


自宅にいながら世界中のコンサートホールの公演を見ることができる。


ネット時代を迎えての、クラシック業界の大きな基幹の流れなのだろう。


そのようなことは自分の周りで起きているごく当たり前のことなのでなんとも思わないのだけれど、それがマーラーフェスト2020にも当てはまるとなると一気に事情が違ってくる。(笑)


前回の1995年大会では、コンセルトヘボウの前の公園の広場で、パブリックビューイングを行った。そして、ごく一部に流通配布された非売品CDとしてその記録は残った。


映像は残さなかったのか?


オランダのTV局のマスターテープ保管庫の中に眠っているのではないか?
ぜひ掘り起こしてお宝映像として世に出してほしい、と思う次第である。


マーラーフェストは、第1回は1920年。メンゲルベルクが1人でRCOを振り、全曲を演奏した。第2回は、1995年。第1回から75年振り。RCO/BPO/VPOなど贅沢な布陣でフェストを飾った。そして、今回の第3回目の2020年大会では、第2回大会から、25年振り。そして第1回開催から100年目という記念すべき節目の大会となる。


しっかりと後世に記録を残してもらいたいのである。


第1回の1920年は、記録に残っていないのは仕方がない。第2回の1995年だったら、残っていてもいいのだが、RCO/BPO/VPOなどが一緒だと権利処理の件で難しかったのかな?


2020年はネット&ITも進化し、その記録を残す技術バックグランドは十分にある。


自分が妄想で望んでいること。


まずライブストリーミング。


PrimeSeatにマーラーフェスト2020の全公演をDSDライブストリーミングしてほしい。


自分は生演奏で体験するので、後日、聴き逃し配信で楽しみます。


PrimeSeatは、IIJのブロードバンドなネットワークでクラシック音楽のコンサートなどの生演奏を非圧縮のDSDやPCMのハイレゾ・ライブストリーミングをしているサービス。


PrimeSeatと言えばベルリンフィルの配信が有名だが、サービス開始時は、RCOのライブストリーミングもやっていたのだ。自分はベルリンフィル配信よりもRCO配信の方が好きだったし(笑)、RCOのほうを頻繁に利用していた。


それがなぜかなくなってしまった。なぜ?


だからアムステルダム・コンセルトヘボウやポリヒムニアともパートナーシップ関係がある。


PrimeSeatサービス・スタート時のポリヒムニアのDSDライブストリーミング用スタジオ。

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KORGが新発売した1bit USB-DAC/ADCのKORG Nu I

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すごく欲しいけれど価格帯が・・・(笑)


KORGとしては、やはりプロユースでも使えるフラグシップを持っておく必要がある、という考え方があったのではないだろうか?普及価格帯の一般庶民向けが大事なのはわかるけれど、DSD11.2MHz対応でバシッとフラグシップを持っておきたいと・・・。


自分はいまはとても買えないけれど、将来オーディオに投資できる余裕が出来たら、このNu Iを3台大人買いしてデジチェーン接続して使いたい。


そういう夢がある。


自分がNu Iを買うなら、DSD11.2MHzのハイレゾ・サラウンドをやってみたいのだ。


DSDの雄、EMM Labもそうだけれど、いまのサラウンド用のDACプリは、みんなステレオ2chを3台接続して実現する。昔みたいに一筐体にマルチチャンネルのユニットが入っていないのだ。ステレオ2chでも商売できるし、マルチチャンネルでも商売できるというスタンス。


サラウンド対応するには、DACだけ対応してもダメで、AudioGateのコンテンツプレーヤやUSB IFの伝送プロトコルもマルチチャンネル分の音声信号を乗せれるようにしないといけないとか、素人考えでもいろいろありそうだ。ただ3台大人買いしても動きませんでした、チャンチャンにならないように時期とタイミングを計る。


自分が進む道は、このハイレゾ・サラウンドの道しかないのかな、と思うのです。



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普及価格帯の一般大衆向け(DSD5.6MHz)。自分もこれ。これは本当に素晴らしいですよ。Nu Iの次なる商品は、ぜひこういう普及型タイプのDSD11.2MHzを出してほしい気がします。


これは自分がPrimeSeatに抱いている印象なんだけれど、ここはあまり商売っ気がないというか、ビジネスライクでない、儲けることにあまり執着がないような淡泊な感じがします。


儲けること度外視みたいな感じで、最先端の技術を世の中に啓蒙していく先導を切る役割で、希少価値が高く、品質の高いコンテンツを供給していく、そんな風に非常に割り切っているような感じがします。


あくまでボクが勝手に抱いている印象ですよ。あまりギラギラしていないというか、マイペースで淡々と進めている感じがするんですよね。



自分はPrimeSeatは、昔はRCOコンテンツのヘビーユーザーだったけれど、いまはベルリンフィルのDSD11.2MHz配信サービスを必ず聴いています。聴き逃し配信の方ですが。年5,6回かな。


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マーラーフェスト2020の音声担当は、間違いなくポリヒムニア(Polyhymnia International BV)。


だからパイプはある。


このコンセルトヘボウホールでの演奏会の音声収録はポリヒムニアの独壇場。
このホールでのRCOの録音は、自主制作レーベルRCO Liveに提供している。


アムステルダム・コンセルトヘボウの屋根には数十か所の大きな穴が開いており、そこからマイクを吊るしてオケの音声を収録するような仕組みになっている。こういう仕組みができるようにこのホール自体の大改修工事があって、それから20年以上が経過して、マイクの位置や高さなどのデータが蓄積していき、録音の精度、ノウハウが高まっている。


エベレット・ポーター氏は1時間以内に24本のマイクをセッティングしたり、1時間以内に撤収することが可能だと豪語している。


下の写真が、そのアムステルダム・コンセルトヘボウの屋根裏には、このように24個の穴が開いており、そこから24本のマイクを吊るしてオケを収録する箇所。マイクの信号は微弱で長く引き回せないので、すぐ傍にラックを設けて、ポリヒムニア特製のマイクプリアンプへ。その他、A/Dなどが格納されている。そして例の屋根裏のスタジオへ送られるのだ。


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そして、ここがコンセルトヘボウの屋根裏部屋にあるミキシング・チェックルーム。
天井にたくさんの拡散パネルが!(笑)


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ここで24本のマイクで録った音源データをまず最初にミックスして大方の形を作ってしまう。もちろん最後にはスタジオでのポスプロで最終仕上げをするが、録音の良し悪しの骨子は、1番最初のここでほとんど決まってしまう。演奏家にリクエストを出したり、録り直しできたりする。だからこの時点での作業がとても大切だ。


昔、ここのモニターSPは、B&W N805だったのだけれど、いまはGrimm AudioのSPを使っていますね。Grimm Audioは旧フィリップスの技術メンバーによるオーディオメーカーです。やっぱり技術の世界では、舶来品より自分の出身の技術を尊重します。この世界にいれば当然ですね。



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そして最終の仕上げは、アムステルダム郊外のBAANにある彼らの専用スタジオで最終調整。
映像素材だからモニター付きで、Auro-3D対応のスタジオでやるに違いない。
マーラーフェスト2020の収録は、絶対Auro-3Dでやるに違いない。




じゃあコンセルトヘボウホールでの映像収録チームは?というと、ポリキャスト(Polycast International BV)というチームがいて、ここがコンセルトヘボウホール内の各ポイントに設置されたカメラの映像をスィッチングしたり動画コントロール業務をしているのだ。彼らのチームが映像関連をすべて管理している。


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そして映像素材として期待したいこと。

やっぱり映像収録にはNHKに参加してほしい。
彼らの自慢の8Kシステムでバシッと8Kで撮って欲しい。


そしてBSプレミアムシアターでマーラーフェスト2020全公演を放映してほしいのだ。
もちろんパッケージソフトとしても販売してほしい。
何十年に1回のレアなフェストだよ。この絶好の機会を逃してどうする!



NHK 8K撮影クルーは、数年前にベルリンフィルハーモニー、ウィーン楽友協会、そしてここアムステルダム・コンセルトヘボウにて8K撮影デモンストレーションに訪問している。


NHK 8K専用撮影トラック

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8K撮像素子業務用カメラ

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そして22.2ch音声収録。

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少し疑問なのは、22.2ch音声収録にこんなに大規模な仕掛けが必要なのだったら、セッション録音だからいいのであって観客が入っているライブ録音では難しいだろう?


そして22.2ch録音とAuro-3Dとの互換性は?


ポリヒムニア エベレット・ポーター氏とNHK 8K撮影クルーと記念撮影。

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だから、パイプ、下地がある。
可能性十分ありだ。


つくづく思うのだけれど、もしゴローさんがご存命だったら、もうこんな話あっという間に乗っちゃって、上を説得して実現してくれたんだろうな、と思うこと。(笑)



「アムステルダムは、マーラー演奏のメッカである。」


過去にこのアムステルダム・コンセルトヘボウでRCOがマーラーの全曲を演奏した映像素材Blu-rayがあるのだ。


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2013年頃に発売されたもので、2009年~2011年にRCOがコンセルトヘボウホールで演奏したマーラー公演を全曲収録し続けて、そしてついに映像パッケージソフト化したものだ。


クレジットには、音声収録は、ポリヒムニアでエベレット・ポーター氏が全曲担当している。


指揮者はダニエル・ハーディング、マリス・ヤンソンス、イヴァン・フィッシャー、ダニエレ・ガッティ、ロリン・マーゼル、ピエール・ブーレーズ、ベルナルド・ハイティンク、エリアフ・インバル、ファビオ・ルイージ。


マーラーフェスト2020とけっして引けを取らない豪華な布陣だ。


このDSDライブストリーミング、テレビ放映、そして映像パッケージソフトと自分の願い、言いたい放題でただ言っているだけだが(笑)、どれかひとつでも願いが叶えばいいな。




最後にマーラー・フェスティバル2020ではスポンサーを募集しています。



2020年5月8日~5月17日、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団は、彼らの歴史上3回目の大規模なマーラー・フェスティバルを開催する。この10日間で、世界でもっとも素晴らしいオーケストラたちが集い、10日間に渡って、マーラーの10曲の交響曲を演奏する。


1.ミュージック・スクエアでのマーラー・パビリオン(大型テント)


来るべきマーラー・フェスティバル2020に関する関心はついに圧倒的なものになってきた。3日間のパッスパルトゥ(passe-partouts→このフェスティバルの全公演のセット券のこと)はすでにソールドアウト。コンセルトヘボウは、よりたくさんの人に、このユニークなフェスティバルを楽しんでもらいたいために ミュージック・スクエア(アムステルダム中央駅の前の広場)に広大なマーラー・パビリオン(大型テント)を造営する予定である。


これにより、数千人のお客さんが、このパビリオン(大型テント)の中や外で、マーラー・フェスティバルのコンサートをライブストリーミングで楽しめるようにする。これを実現するために、ビジネス企業体からのサポートが必須になる。


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マーラー・パビリオンをサポートしてくれる企業は、つぎのようなメリットがある。



2.マーラー・ユニヴァース(マーラーの世界)でのディナー


ミラーホール(コンセルトヘボウの中にあるレストランのことだと思う。)で、あなたの会社の10名を特別なテーブルに招待して、素晴らしいディナーを独占的に提供します。そして伝統的なメインホールでの2020年5月11日の月曜日のベルリンフィルのマーラー交響曲第4番、そして2020年5月12日の火曜日のウィーンフィルのマーラー交響曲第5番のファースト・カテゴリーのチケットを提供します。



3.ミュージック・スクエアでのフライデーナイト


カジュアルな雰囲気でクリエイティブなインスピレーションを受け、マーラーのことをよく学ぶことができ、そして繋がることができる。これらはすべて、2020年5月20日のフライデーナイト(金曜の夜)のミュージック・スクエアでのマーラー・パビリオンで実現することができる。


ぜひあなたのビジネスの仲間や同僚を、このマーラーの音楽の美しくて深いその世界に紹介してあげてください。あなたはこの20枚の入場チケットを受け取ることができます。


あなたの会社の名前は、ミュージック・スクエアに目立つようにディスプレイされ、そしてコンセルトヘボウによって最も重要なマーケティングの情報として使われることになります。唯一の機会です。



4.スポンサーになることの他の形態


スポンサーはマーラー・フェスティバルの実現には絶対かかせないものです。フェスティバルへの協力の他の形態として、あなたのニーズを上手にカスタマイズされたものであれば実現可能である。その可能性についてはマーゴット・パルメン氏(Margot Palmen)と話し合っていただれば幸いである。



Contact
Margot Palmen, Head of Sponsorship
T: +31 (0)20 - 573 05 72 
E: m.palmen@concertgebouw.nl




志のある者、来たれ!である。



情報元:原文サイト




















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神尾真由子さんのメンデルスゾーン・ヴァイオリン協奏曲 [国内クラシックコンサート・レビュー]

昨日の病院での検査結果は本当に参った。11月検査値まではふつうだったんだよね。年末年始はかなりやりたい放題だったので、じつは今月病院に定期検査に行くのがかなり憂鬱だったのだ。


絶対悪いだろうな、と思っていた。


ショックなことはさっさと午前中に終わらせて、午後のコンサートを楽しもう、すぐに頭の切り替えをしようと思っていた。


しかし、あそこまで悪化しているとは思ってもいなかった。
いままで経験したことのないような前代未聞の危険水域にまで達していた。


もうめまいがしてしまい、相当具合が悪くなってしまいました。
日常の創作活動に影響を及ぼすと思いました。


コンサートが始まる直前にホールの椅子で座って待っていた時も、もう頭の中はグルグル状態で憂鬱でショックを引きずっていた。


でもコンサートが始まると、一気に復活!
終演後には、ようやくつぶやきや日記などを投稿できるいつもの自分に戻っていた。


趣味の世界って本当に大切。
人生を救ってくれますね。


健康あっての人生。
体を壊しては、趣味も何もあったものではありませんね。


これから徹底した食生活の改善で、旅行の5月まで節制した生活をする。


毎度この繰り返しなんですけどね。(笑)

悪くなって、節制生活をして下がってきたら、また油断して食べ過ぎて悪化する・・・。
そのタイミングは、やはり年末年始になります。魔の季節ですね。




ひさしぶりの神尾真由子さんの実演は、予想以上に素晴らしかった。
ショックを引きずっていた自分を一気に現実の世界に引き戻してくれた。


メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は、もうヴァイオリン愛に溢れた自分の人生の中でも実演、録音双方において、もっとも縁のある曲。


女性的で優しいこの曲を、男性的なアプローチの神尾さんがどのようにパフォーマンスするか、がひとつの見所だった。


昔と違って、いまは柔和で温和な雰囲気になったと思っていたが、まったく全然だった。(笑)


昔とまったく変わっていなかった。

相変わらずすごいパワフルで情熱的だった。


ビブラートをたっぷり効かせ、とにかく泣きの旋律に溢れ、すごい濃厚な演奏。

濃い!演奏だなぁとずっと思っていた。


スペインや南米の情熱の赤のカラーが似合うような感じです。


自分は、たくさんの女性ヴァイオリニストが、このメンデルスゾーンのコンチェルトを弾いているのを数知れず聴いてきたが、それらの演奏が、みんな美しいけれど淡泊な演奏に思えてしまうほど神尾さんの演奏は濃かった。


メンデルスゾーンのあの旋律って、なんか女性が泣いているような泣きの旋律じゃないですか?
その泣き方がかなり訴えかけてくるような感じで深い泣きなんですよね。


そう思わせる要因に、やはりパワフルなので、ヴァイオリンの発音能力がずば抜けていたこと。
自分はホールのやや後方だったけれど、ヴァイオリンが本当によく鳴っていた。


そして大仰ではなく、ごく自然な振る舞いの範囲内でタメを作ったり、全体のテンポ構成に抑揚を作っていた。


だからとても愛情たっぷりのとても濃厚な演奏に聴こえてしまった。

ある意味、神尾真由子というヴァイオリニストには、こういうパワフルで濃い演奏、というのはもうそのままイメージ通りなんだと思いますね。


ヴァイオリンの奏法としては、弓を少し縦気味にボーイングする特徴があって、動的なパフォーマンス。昔と全然変わっていなく、ある意味安心したところもあったかも。


いやぁじつに神尾さんらしい素晴らしいパフォーマンスでした。



この日の公演は、沼尻竜典さん指揮で東京都交響楽団のパートナー。
都響はやっぱりうまいなー。


1番冒頭のヨハン・シュトラウスの曲の演奏を聴いた途端、もうびっくり。


一糸乱れぬアンサンブルとはこのことで、厚みのある弦の音色がピタッと全粒揃って、破たんする箇所などまったくない、完璧なビットパーフェクトな演奏。


もう病院宣告であまりにショックだったので、今日どこの楽団が演奏するのか、事前にまったく確認してなかったのだけれど、この冒頭の曲であまりにウマいんで、思わずチケットでどこの楽団か確かめてしまいました。(笑)


都響は、たぶん在京楽団の中でいま一番ウマイんじゃないですかね。

冒頭の曲から終演時まで、このパーフェクトな演奏は終始、変わることはなかった。

そういえば都響はここしばらく聴いていなかった。
恐れ入りました。


神尾さんの公演は、旦那さまとのリサイタルを含め、何候補かあったのだけれど、この日の公演は、指揮が沼尻竜典さんだったので、この日に決めたのでした。


そうしたらメンデルスゾーンだったのです。(笑)
運命ってそんなものです。


沼尻さんは、自分にとって本当に久しぶりで、日記で紐解いてみたら、なんと!2011年の当時は、サイトウキネンフェスティバル松本と呼んでいたときのバルトーク・シリーズで、「中国の不思議の役人」以来。


まさに公演直前で小澤征爾さんが体調不良で降板。
まさに突然のピンチヒッターでした。


あの金森譲さん率いるNoismが大活躍した公演ですね。
衝撃でした。


そのときのカーテンコール、しっかり撮っていました。


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じつに9年振り!!!


沼尻さんは、最近では自分に飛び込んでくる近影は、びわ湖ホールで、ワーグナーのニーベルンクの指環の4部作を、京都市交響楽団(京響)とやっていらっしゃる。


確か今年の3月は最後の神々の黄昏ではなかったでしょうか?

このびわ湖リングと呼ばれるシリーズ、もうすごい人気なんですよね。

全年とも必ず満員御礼となるプラチナ公演。
ものすごい盛り上がるんですよ。(笑)

いつも羨ましい気分でした。


びわ湖ホールやこのびわ湖リング、1回は経験してみたかったけれど、予算が・・・(笑)
あと海外で活躍されているのではないでしょうか?


そんな思いもあって、今回はぜひ沼尻さんの指揮で!という決断だったのでした。


超テクニック集団の都響をものの見事にコントロールしていらっしゃって、パフォーマンスというような指揮者としての派手な演出を嫌う?とても堅実な指揮ですね。


カーテンコールの挨拶を見てもとても謙虚というか腰が低くて、指揮者って大体みんなすごいオーラで威圧感たっぷりなのですが、沼尻さんは視線がボクら聴衆と同じ位置に感じる方と思いました。


9年前の中国の不思議な役人のときは、ピットの中だったのでよく見えませんでしたので、
ある意味、沼尻さんの指揮を見るのは今回が初めてかも?


この日の自分の座席はここ。


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サントリーホールはいつも皇族VIP席のRBブロックを取るのですが、ここRCブロックもいい音響でしたね~。最近自分の好みの座席が変わってきたかも?


つい最近までは、かぶりつきで腹に響き渡る前方席が良かったですが、最近はステージを上から見渡す上階席がいいですね。ステージからオーケストラの音が上に上がってきて、位相差なくバランスよく聴こえてくるステージに近い上階席が好みになってきました。


そして今日のコンサートは、自分の今年度の初聴きの日。
この日の公演はニューイヤーコンサートという位置づけでした。
日本赤十字へのチャリティーコンサートなのでした。

ホールの飾りつけもニューイヤーコンサート!


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あ~せっかくいい気分で落ち込んだ気分が復活したのだから、早く健康体を取り戻さなければ!(笑)



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(c)神尾真由子FB


2020年1月11日:サントリーホール大ホール

第61回日本赤十字社 献血チャリティー・コンサート
ニューイヤーコンサート2020


指揮:沼尻竜典
ヴァイオリン独奏:神尾真由子
管弦楽:東京都交響楽団


ヨハン・シュトラウスⅡ:ワルツ「春の声」
メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲


休憩(インターミッション)


モーツァルト交響曲第41番「ジュピター」


アンコール~

グリーグ作曲:「ホルベルク組曲」より第一曲












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シューマン ヴァイオリン協奏曲 [ディスク・レビュー]

アラベラさん、やはり無理だったんだねー。仕方がないね。去年のクリスマスに待望のお子さんを授かり、出産したばかり。本来であれば、今年の3/5(サントリーホール)と3/7(横浜みなとみらい)に、読響とシューマンのヴァイオリン協奏曲を披露してくれるはずだったのだ。


ところがこんなお知らせのハガキが届いていた。


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「3月5日(サントリーホール)と3月7日(横浜みなとみらい)に出演を予定していたヴァイオリニストのアラベラ・美歩・シュタインバッハーは、本人の都合により出演できなくなりました。代わって、ドイツの名手カロリン・ヴィトマンが出演します。曲目の変更はございません。」


無理しないでゆっくりと休んでください。お母さんが代わりに面倒見てくれるという感じなのかな、とも思っていたが難しかったようですね。いいよ、いいよ、無理しないこと。


この公演で楽しみにしていたのは、シューマンのヴァイオリン協奏曲。


数多のヴァイオリニストを聴いてきたけれど、そしてたくさんのヴァイオリン・コンチェルトを聴いてきたけれど、シューマンのコンチェルトは聴いた記憶がない。シューマンがヴァイオリンのコンチェルトを作品として遺していた、ということも知らなかった。アラベラさん、なぜシューマンなの?という感じで、とてもレアな体験ができるのかもしれない、と楽しみにしていた。幸いにもピンチヒッターだけれど曲目に変更がないということだから、レアな体験は楽しめそうだ。主催者側の配慮に感謝である。


ピンチヒッターは、カロリン・ヴィトマン。


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ミュンヘン生まれの女性ヴァイオリニスト、カロリン・ヴィトマン。彼女の兄は2016年7月に来日し、オーケストラ・アンサンブル金沢を指揮した作曲家、クラリネット奏者イェルク・ヴィトマンであり、彼女自身も来日経験があるなど、すでに日本では知られた存在。


デビュー当初は現代音楽のスペシャリストとして活動していたが、ECMへ録音を行うようになってからは、シューベルトやシューマンなどロマン派の作品でも独自の解釈を施し、雄弁かつ抒情的な演奏を聴かせている。そんなヴィトマンの最新録音は、メンデルスゾーンとシューマンの2作の協奏曲で、有名過ぎるメンデルスゾーンのホ短調と「演奏不能」とまで評されたシューマンの作品を、彼女はオーケストラを絶妙にコントロールしながら鮮やかに描き出している。


ベルリン・フィル、バイエルン放送響、ライプツィヒ・ケヴァントハウス管、フランクフルト放送響などと共演し、ザルツブルク音楽祭などで活躍。ラトル、シャイー、ノリントン、ヤノフスキ、カンブルランらと共演している。ECMレーベルからリリースされたシューマンのヴァイオリン協奏曲のCDは評価が高く、数々の賞を受賞した。


これが彼女の演奏家としてのキャリア。


自分は実演に接したことがないけれど、このキャリアを見る限り、かなりの実力派。一流の最先端の道を歩んできているのがよくわかる。


そしてなんと言っても所属レーベルがECMなんだよね。
調べたらECMから5枚のCDをリリースしている。


シューマンのヴァイオリン協奏曲の入った注目のアルバムがこれ。



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メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲、シューマン:ヴァイオリン協奏曲 
カロリン・ヴィトマン、ヨーロッパ室内管弦楽団




2014年7月にバーデン・バーデン祝祭劇場で録音されたアルバム。


ヨーロッパ室内管弦楽団は、イギリス・ロンドンを本拠地とする室内オーケストラ。1981年にECユース管弦楽団(現EUユース管弦楽団)の出身者を中心としてクラウディオ・アバドにより自主運営団体として設立された。音楽監督などは置かず、様々な指揮者・ソリストと共演しているが、アバド、ジェームズ・ジャッド、ニコラウス・アーノンクールらが中心に客演している。団員が若く、一般的に敬遠されるノーノやシュトックハウゼンなどの現代音楽もこなすため、アバドなどが録音にこのオーケストラを起用している。


アバド&ヨーロッパ室内管は、何枚かCDを持っているので、親しんでいたが、自分はアバドのオーケストラだと思っていた。でも基本は音楽監督を置かずに、いろいろな指揮者に客演されているオケなんですね。


シューマンのコンチェルト以外にもメンデルスゾーンのコンチェルトも入っている。


自分はおそらく、そして間違いなくいままで通ってきたヴァイオリン協奏曲のコンサートの中で1番実演に接しているのがメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。アラベラさん1人だけで5回は体験している。もうたくさんヴァイオリニストのメンコンを聴いてきた。


メンデルスゾーンは、おそらく主催者側からすると、1番集客しやすい曲なんでしょうね。


この曲を選んでおけば間違いない・・・というような。。。


女性的で春のシーズンがとても似合う美しい曲ですね。


実演、そして録音と、いろいろなヴァイオリニストのメンコンを聴いてきたので、この曲の演奏を聴けば、そのヴァイオリニストがどのようなタイプの演奏家なのかが、わかってしまうと言っても過言ではない。


今回カロリン・ヴィトマンのこのアルバムに録音されているメンコンを聴いて、彼女に抱いた演奏スタイル。


フレージング、フレーズの納め方は比較的クセのない演奏をするタイプ。かと言って、女性的かというと、そういう感じでもなく、弓の返しとかボーイングの力強さが随所に感じ取れるようなアクセントの強さが曲間の至る所に感じる。かなり男性的な力強い演奏をするヴァイオリニストなのではないか、と思いました。


デビュー当初は現代音楽のスペシャリストだったというから、そういう鋭利感のシャープな切れ味は天性として持ち合わせていると感じますね。


演奏する姿を見たこともなく、ただメンコンの録音を聴いているだけで想像する姿です。


そしてシューマンのヴァイオリン協奏曲であるが、自分は実演でも録音でも聴いたことがない。あれ?シューマンってヴァイオリン協奏曲って書いていたっけ?という感じで寝耳に水だった。


調べてみると、作曲者シューマンの死後80年間忘れ去られていた作品だったそうだ。

わずか2週間程度で作曲されている。


ヨーゼフ・ヨアヒムの要請を受け、またシューマン自身もヨアヒムが弾くベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を聞いて感銘を受け、このヴァイオリン協奏曲を書いた。しかし、なぜかヨアヒムはこのヴァイオリン協奏曲を取り上げることなくシューマンの自筆譜を封印し、クララ・シューマンは「決して演奏してはならない」と家族に言って聞かせていたという。


それは、シューマンがライン川に身を投じる直前に書き上げていたピアノ曲「天使の主題による変奏曲」の主題と協奏曲の第2楽章が酷似していたためだという。


シューマン自身はこの曲を、「天使から教えてもらった曲だ」と語っていた。


結局シューマンのヴァイオリン協奏曲は、1937年にベルリンの図書館でヨアヒムの蔵書から発見されるまで陽の目を見ることはなかった。世界初演はナチス・ドイツの宣伝省主導で、同年11月26日にゲオルク・クーレンカンプの独奏、カール・ベーム指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の共演で行われた。


しかしこのときの演奏は、クーレンカンプ曰く「シューマンの自筆譜のままでは演奏不可能」として、自身が大幅に書き換えた版によるものであった。実際にクーレンカンプが言うように演奏不可能な箇所はあるが、クーレンカンプの改訂は演奏不可能な箇所を修正するだけではとどまらないものとなっていたそうだ。


また、パウル・ヒンデミットもこの改訂にかかわった(ノルベルト・ホルニック)。翌12月にセントルイスでアメリカ初演を行ったユーディ・メニューインが「自分こそが真の初演者」と宣言するほどであった。


20世紀後半以降に録音の増えてきている曲であるが、それでもシューマンの他の協奏曲に比べると今日も演奏の機会は少ない、とのこと。


どうりで知らないはずだ。


だからいまのシューマンのヴァイオリン協奏曲というのは、シューマン以外の人による改訂版なんだね。シューマンのこのコンチェルトは、よく「演奏不能」と呼ばれているのは、こういう経緯がある、ということもわかりました。


さっそくシューマンのヴァイオリン協奏曲を聴いてみたい。
それも今回のピンチヒッターのカロリン・ヴィトマンの録音で。


こういうときにストリーミングは大活躍します。


CDを買うまでいかず、とりあえずどんな曲なのかを聴いてみたい、というだけの目的。
すぐその場で検索して聴けちゃうのだから本当に便利。


そして実際聴いてみて、よかったらパッケージソフトのほうも買えばいい。
自分はやはり気に入った音源は物理媒体として手元に残しておきたい所有感の旧世代の人なので。


こういうストリーミングの利便性は、Spotifyを昔からやっている人は当たり前のことなのかもしれないけれど、自分はストリーミングはつい最近始めたので、その利便性に今さながら感心している。


Spotifyはやっぱりロッシー(損失)の非可逆の圧縮音源なんですよね。
これが自分は気に入らなかった。


音楽データを圧縮するということは、特に高域成分が失われている場合が多く、音のアタック感とか失われ、聴いていると、角がとれた丸みの帯びた音に聴こえるんですよね。


ポータブルオーディオで聴いている分は、そういう圧縮音源の態様はあまり気にならないのだけれど、きちんとしたオーディオ装置で聴くと一発でわかってしまう。きちんと本気出して椅子に座ってオーディオ鑑賞しようとすると、圧縮音源はとても鑑賞に堪えられないです。


元の音のデータを削ってしまうということは、やはりしてはいけないことです。


どうしても伝送路が細く、データ容量を少なくしないといけないというコンシューマ的な理由以外では・・・です。


だから自分はSpotifyに手を出さなかった。自分がストリーミングをやるならハイレゾ・ストリーミングから始める、とずっと誓っていたのでした。


日本にも2つのハイレゾ・ストリーミングがローンチしたけれど、自分の使い方は、ソニーのmora qualitasがメインでAmazon Music HDがサブという位置づけ。


やっぱりソニーのほうが音がいいから。


ソニーで楽曲検索して、希望の曲が存在しなかったら、Amazonのほうで探す、という使い方。


さっそく今回のカロリン・ヴィトマンのシューマンのヴァイオリン協奏曲をmora qualitasで検索。


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そうするとあった!
全アルバム5枚とも登録されていた。

さすがECMレーベルだけあって、どのアルバムもジャケットがECM特有の寒色系の感じがいいですね。



さっそくシューマンのヴァイオリン協奏曲を聴いてみる。


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有名なヴァイオリン協奏曲というのは、やはりきちんとした音楽としての造形がありますね。


ポップスでいうところのフックの仕掛け(聴いている人がついつい惹きつけられるサビのメロディ)がきちんと存在するし、音楽としての型がきちんとしている。


シューマンのヴァイオリン協奏曲を聴いていると、そこら辺のいわゆる音楽の型というのが、曖昧でこなれていないというか、聴いている側にとって脳裏に焼き付けられるほどのインパクトがどうしてもありませんね。散文的な構造なんですよね。


そこに2週間足らずで作曲した推敲を重ねた作品ではないこと、シューマンのヴァイオリン協奏曲へのアプローチが手探りであったことが慮れます。


だから自分のものにするには、何回も聴き返さないといけない。
それでも曲としての特徴を捉えるのは難しかった。


いわゆるヒット・ソングではないと思います。


でも何回も聴き返すと、そのわかりにくさのベールが剥がれてきて、その渋さ、自分への引っ掛かり方がわかってきます。


結構ヴァイオリンが走ってオーケストラを引っ張っていくという感じよりも、対等な感じですね。オーケストラの重厚な弦の音色が朗々と鳴るパートが多く、結構自分はヴァイオリン協奏曲としてはちょっと珍しいなと思いました。


対等な関係といえば、あのベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲と同じですね。
たぶんヴァイオリニストにとってやりずらいというか難しい曲なのかもしれません。


そもそもこのシューマンがヴァイオリン協奏曲を作曲しようと思ったきっかけが、シューマン自身がヨーゼフ・ヨアヒムが弾くベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を聞いて感銘を受けことから、このヴァイオリン協奏曲を書いたと言われている。


だからベートーヴェンのコンチェルトに似ているのもそりゃ当たり前のことなのかもしれない。


ヴァイオリンのソロパートも結構ハイスキルなテクニックがあり、カロリン・ヴィトマンの男性的なパワフルな奏法と相まって、スリリングを味わえます。


そしてその第2楽章が美しいです。


シューマンのヴァイオリン協奏曲。


曲としての全体のイメージ、音楽の型を捉えるのは難しい曲だけれど(いわゆる渋い曲)、ヴァイオリニストとしてはテクニックが必要な曲。というのが自分のこの曲への第一印象です。


3/5(サントリーホール)、3/7(横浜みなとみらい)で、この曲の実演に接するわけですが、正直貴重な経験だし、かなり楽しみになってきました。









 

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謹賀新年2020 [雑感]

あけましておめでとうございます。


昨年は拙ブログを読んでいただき、誠にありがとうございました。
今日から今年の仕事始めでした。


また気持ちを新たにすべく、とてもフレッシュな気持ち。
そして今年はやってやるぞー!という意気高揚とする気持ち。


すでにご存じのように、じつはこの3年間というのは、とても自分に節制を効かせたとても我慢をしてきた3年でした。


耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び・・・


節約のために欲望を抑える毎日というのは本当に精神を病むんだな、と思いました。

3年間、海外音楽鑑賞旅行をずっとお休みをしていたのも、この2020年の大目標のためでした。


今年5月8日からオランダ、アムステルダムで開催されるマーラーフェスティバル2020に行く予定です。この目的のために、必死に予算を確保するべく節制してきました。


このフェストについては、概要は先日の日記で紹介しましたし、詳細はこれから日記で連載して本番までにムード、気持ちを高めていくつもりです。


楽しみにしていてください。


マーラーフェスト終了後にロンドンに渡り、ウィグモア・ホールの室内楽とロイヤルオペラも体験する予定です。


ロンドンのホールはどうしても今回の旅程で決着をつけてしまいたかったのです。
この3年間お休みしたおかげで、いろいろ行かないといけないところが溜まっている状態なので。


マーラーフェスト2020のために、ずっとその優先度を、それが終わってからと我慢して後回ししてきたものも、6月から再スタートするつもりです。(後回しにしてきたそのプロジェクトとして、少なくとも2つの大きなイヴェントがあります。)


ふっ~、なんか生き返ったぞー!というような人間らしい生活を取り戻す、それが今年のモットーでもあります。


3年間の鬱血した溜まりに溜まった気持ちが、5月のフェストで一気に噴き出す、そんな爆発があります。


やっぱりなにをするにつれても世の中って先立つものがすべてですね。(笑)


仕事のほうは、おかげ様で、自分の確固たる存在価値が築けており、とても安定しています。趣味に生きる人生と言いながらも、やっぱり公私の公である仕事がきちんと安定しているから、こうやって趣味の世界を謳歌できていることは言うまでもありません。


自分は公私の切り替えが非常にきちんとできるタイプですが、やはり仕事の方でトラブルや悩みがあると、どうしても頭から離れなくなり、きちんと切り替えできなくなり、趣味も楽しめなくなります。やっぱり生活の中で公がきちんとしていることが第一前提であることが一番大切なことです。


もちろん自分の周りの状況だけでなく、弊社の状況、私の所属しているカービジネスの取り巻く環境も厳しくなっており、予断を許さない状況です。


公私の気持ちの落差は大きいでしょうね。


マーラーフェスト2020の後は、厳粛な予算確保や節約な生活はしないつもりですので、ゆったりとした自分らしい人生のエンジョイの仕方が出来ると思います。


自分のペースを戻せると思います。

グルメや小旅行もどんどん行っちゃうかも?


でもオーディオに投資することはまずないでしょう。(笑)
また人生のバランスを崩すことになります。


技術系は頭で理解して、知識を得ることでアドレナリンが湧く知識欲で処理をします。
実践には移しません。


でもこの3年間の苦労は、ただ苦しかっただけではありません。
自分の人生ってなんて無駄遣いが多かったのだろう、という反省もできたことでした。


一度引き締まった生活が身に着けば、今後もそのペースを知っているだけに、すぐに思い出して軌道修正できます。そういう意味で、自分にとって勉強にもなった3年間でした。

 

今年は東京2020、東京五輪の年。
いろいろ言われていますが(笑)、やはり大成功で終わって欲しいと思います。
楽しみにしています。


自分は1964年生まれ。そう!東京五輪イヤーに生れた世代なのです。
自分が生きているうちに、日本で再度夏季五輪を体験できるとは夢にも思っていませんでした。


そういう意味で、今年2020年は、自分にとっては躍進の年、大爆発の年になるのです。

 


最後に年末年始に故郷北海道に帰省したときの写真のいくつかを紹介。


今年の北海道は雪がほとんど積もっていませんでした。
3月の雪まつりはどうなるのだろう?と心配もしました。


雪まつりに使う雪というのは、そこら辺で降っている雪を使う訳にもいかず、かならず綺麗な雪を使わないといけない決まりごとがあります。自衛隊のトラックで豪雪地帯から雪を運んでこないといけないのです。


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札幌の時計台。


旅行会社のパンフレットでは、爽やかな夏の青い空とともに下からのアングルでこの時計台を撮ります。でも日本の観光地の中でも実際の現地に行くと、ガッカリしてしまう観光地も多いです。


札幌時計台はそんな代表格です。(笑)
プロのカメラマンはやっぱり凄いのだなと思います。


パンフレットはこのアングルからでしょうか・・・

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でも真実のお姿 その1

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真実のお姿  その2

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真実のお姿 その3

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札幌には宮越屋珈琲というチェーン店のコーヒーショップがあります。


ここはなにがいいか、というとそんな凄いシステムではありませんが、それなりのオーディオシステムが置いてあり、オーディオマニアにとっては、ジャズ喫茶のようなそれなりの楽しみ方ができます。


普通のカフェよりもそういうところがちょっと楽しいです。

自分が入ったのは、偶然前を通りかかった大通店。


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中はすごい狭いスペースですが、夫婦で切り盛りしている雰囲気のいいお店でした。


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このお店のシステムは、BOSEのスピーカー、マランツのCDプレーヤー、DENONのプリメインアンプという布陣でした。ごく小音量で、JazzをBGM的に流す感じでいい音で鳴っています。


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珈琲は、ガテラマをオーダー。メニューにはいろいろなコーヒーがあって、かなり専門なお店。ガテラマ、渋い香りで美味しいです。


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帰京時に撮影した新千歳空港。まだクリスマスの雰囲気が残っています。


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最近はいつもLCCを使いますが、LCC専用ターミナルである成田空港第3ターミナルのいかにも即席で作りました感のある貧乏くさい感じと違って、ここ新千歳空港のLCC発着ゲートはとても綺麗。そんな格安の差別感など全然なく、とても普通っぽい扱いでした。


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