Victor DD-V7とTrio KT-1010 [オーディオ]
オーディオ機器もそうだし、映像機器もそうだけれど、デザインというのは近年になるにつれ、そのフォルムというか様式美というのが変わってきますね。
この分野はどうしても”男の城”の領域だったから、昔の時代の機器のフォルムは、いかにもメカニック、航空機のコックピット状態のようなデザインに人気があったし、それが主流であった。
でも最近は女性や現代の若者が抵抗感を感じないようなsophisticateされたデザインが主流である。お洒落なリビングに置くオーディオ装置は、その空間に溶け込むようなデザインでないといけない。昔のようなゴツゴツした装置を置くと、お洒落なリビング空間があっという間に男の城と変化してしまい、奥さんに怒られてしまう。(笑)
もう時代ですね。
自分は、そんな男の城の時代の生き物だから、やっぱり装置はがっちりメカニックでないと、なんか高級感とか所有感を感じられず物足りない。いまのオーディオ機器にまったく魅力を感じないのは、そのデザイン、空間に放つ存在感、オーラに物足りなさを感じるからかもしれない。
オーディオ機器は音がよければ、それが最高という、そんな簡単なものではない。自分は音よりもまず見た目、デザインを第一優先にする。
どんなに音が良くても、見た目が気に入らないと、それを自分の空間に迎え入れることは到底できない。自分のリビングにあるということは、生活の一部でつねにそれを眺めていないといけないから、それが自分の好みでないと甚だ苦痛なのである。
ハイエンドオーディオを購入するときは、やはり額が額だけにショップでの試聴はどうしてもやっておかないといけないだろう。
自分の好みの音かどうか。
それ以前に自分はまずデザインで先に選んでしまう。デザインが良ければ、ぶっちゃけた話、試聴もせずに、もうこれに決めた、というような覚悟ができてしまうところがある。
自分にとってオーディオというのは、音以上にデザインなのである。音は、購入後に自分の好みに調教することも可能であるが、デザインはそうはいかない。
大学生のときに、猛烈にそのデザインに憧れた機器があった。
下宿をしている友人の家に遊びに行ったときに、その機器を見たのだが、もう一瞬にてひとめぼれ。猛烈に欲しい病が沸き上がってきた。
当時はアナログレコードの時代だから、ターンテーブルで回して、カセットテープにダビングして聴いている時代。またFM/AMチューナから、カセットデッキにエアチェックする時代。
それにアンプとスピーカーがある、というのがスタンダードな、いわゆる”ステレオ装置”と呼ばれるものであった。当時立派なステレオ装置を持っている大学生なんてほとんどいなかったが、その友人は金持ちの奴で、部屋に行くとラックにビシッと当時のステレオ一式が収められていた。
その中で、自分が猛烈に反応したのが、
Victorのカセッテデッキ DD-V7
Trioのチューナ KT-1010
Trioのチューナ KT-1010
である。
Victor DD-V7
Trio KT-1010
見よ!まさにコックピット状態のカッコよさ!
超カッコいい!
超カッコいい!
今ではあり得ない、その当時でないとわかってもらえないフォルムであろう。
自分は、いまこのデザインを見ても、やはりカッコいいな~という感じで惚れ惚れしてしまう。全然古臭いとは思わない。
この格好良さは永遠である。
この2台がラックのてっぺんに2段重ねで置いてあったのだが、超最高に格好良かった。猛烈に欲しくなった。
Victor DD-V7のほうは、1982年発売で79800円。
Trio KT-1010のほうは、1983年発売で59800円。
Trio KT-1010のほうは、1983年発売で59800円。
学生にとっては高嶺の花だったね~。
やっぱり無理だったな~。
やっぱり無理だったな~。
そのとき自分が決意を固めたのは、いまは買えないけれど、就職したら絶対買うぞ!と思ったこと。
あと、もうひとつ気にくわないことがあって、それはオーディオ機器のデザインが、シルバーからブラックへという業界の流れが顕著になったことだった。自分は断然シルバーのほうが好きだ。シルバーのほうが高級感を感じる。
あの当時、お店の商品棚に並んでいる機器はほとんどブラックという当時の流行であった。
自分が目指していたVictor DD-V7も、ご多分にもれず、そのブラックが後継機種になった。
Victor DD-VR7
これも1983年発売の79800円。
たしかにデザインはそのまま継承はされているのだけれど、う~ん、やっぱりシルバーのほうがカッコいい。
大学の生協で、このブラックのVictor DD-VR7が陳列されているのを見て、もしシルバータイプがもう売っていなくて手に入らなかったら、このブラックでもいいかな?確かにシルバーが欲しいけれど、ブラックのデザインも悪くない。・・・と、当時の大学生だった自分が考えていたこと。
チューナのTrio KT-1010の方もブラックになってしまった。
そして、就職して東京に上京して、お給料をもらえる身分になったときに、自分がまずやったことは、Victor DD-V7とTrio KT-1010を都内の中古オーディオショップでしらみつぶしに歩いて探し回ったことだった。
当時はインターネットとか、ヤフオクとかなかった時代であるから、自分の足で中古店を探し回るしかなかった。いろいろな街を歩いたけれど、そうしたらこの2機種を見つけることができたのだ!
中古ショップの商品棚に、これらが陳列展示されているのを発見した時は、心臓が止まるほど感激したのは言うまでもない。
もう即決で購入した。
そして当時の寮の部屋に、これらの2機種が届いたときの自分の感激!!!
もちろん友達がやっていたのと同じように、ラックの1番上段に重ねるように設置する。
そのフォルムの美しさをしげしげと眺めて、あぁぁ~あの大学生の時、友達の部屋で欲っすい~!と思ったあの憧憬の念がいま成就した。と感慨深げに満足したのであった。
でも、この2商品は、もうディスコン(生産していないこと)の機種だから、壊れてしまったらそれでお終いになってしまうので、それの対策として同じモデルを何台もコレクションしておく、という方法しかなかった。
そこからまた中古探しの旅が始まる訳だが、ここから自分の記憶が定かではないのだけれど、北海道の札幌のオーディオショップで見つけたような記憶がある。
そして札幌から東京の寮に配送してもらうのだ。日時指定配達で。最後はインターネットが普及して、ヤフオクでこの2機種をゲットした記憶がある。
だから合計して、このVictor DD-V7とTrio KT-1010は、3台保有しているのだ。
そのうち、チューナのTrio KT-1010は、今なお、現役のFM/AMチューナとして活躍しています。いわゆる今ラジオを聴くときは、このTrio KT-1010で聴いています。
このTrioという会社、その後KENWOODに社名変更し、KT-1010のさらに上の高級デラックスバージョンのKT-3030も猛烈に憧れましたね~。
KENWOOD KT-3030
デラックス高級仕様のチューナーが欲しいと思っていたので、このKT-3030は憧れました。Trioという会社は、この当時、チューナーと言えばTrioというくらい、チューナーがTrioの看板商品だったんですよね。
Victorは、その後ブランド名をJVCへ(現状、Victorブランドも復活して両刀使い。)Trioは、その後ブランド名をKENWOODへ。
そして2007年には、JVCとKENWOODが合併して統合会社のJVCKENWOODへ。
自分が大学生時代に超憧れた機種だった2つのブランドが、そのような合併の運命をたどるなんて、当時の自分は思う由もなし。(笑)
思えば、子供時代に親に初めて買ってもらった家電製品は、ソニーのラジカセ。
これでNHK FMの英会話の番組を聴いて勉強していました。
これでNHK FMの英会話の番組を聴いて勉強していました。
そして初めて買ってもらったミニコンポがTrioのミニコンポ。
そして大学生時代に憧れたVictor DD-V7とTrio KT-1010の2機種。
そうしたらその後起こったVictor(JVC)とTrio(KENWOOD)の合併。
そうしたらその後起こったVictor(JVC)とTrio(KENWOOD)の合併。
なんか、自分が社会人になって歩んできた運命が、子供の頃に縁のあった家電製品と強烈にリンクしていることに気づき驚くばかりです。(笑)
人生って結局神様が作り上げたレールの上をただ歩んでいるだけなんだな、ということを学びました。輪廻というか、かならず赤い糸の繋がりってあるもんなんですよね。
自分の人生に出てこなかった場所に、自分を無理して置こうとすると、神様が異常を察知し、天変地異の異変(地震とか)が起こるようになっているんだと思います。
それは別にこのことだけにとどまらず、自分との現在の人との繋がり、これも単なる偶然ではなく、運命というか、なるべくして繋がっているという運命なんだと思うことしかりです。
ここ数年はとくにそう思うことが強いです。
人間って神様の敷いたレールの上を歩いているんだと思います。
自分が現在所持しているVictor DD-V7とTrio KT-1010。(これを両方とも3台所有しています。)まぁ、当時これを揃えた瞬間、時代はアナログレコードからCDへ、カセットテープからMDへ、と時代はすぐに変わっていってしまったんですけどね。(笑)