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アナログレコードって壊れやすいんですね。 [オーディオ]

まさかなことが起こってしまった。


エミール・ベルリナー・スタジオによる渾身のダイレクトカットLPの第3弾のヤクブ・フルシャ&バンベルク響のスメタナ「わが祖国」のレコードを床に落としてしまった。


ラックの上にちょこんと無造作に置いていて、しかもそのレコードを聴いている最中だったから、ハードケースから取り出している状態だ。


ラックの高さは1mもない90cmくらいの高さ。


そこで、自分はそのラックの傍を通るときに、そのレコード一式に体が触れてしまい、そのレコード一式3枚を床に落としてしまったのだ。


バン!という音が鳴って床に落ちた。

「あちゃ~(号泣)」


慌てて、レコード盤面を眺めたが、割れたりとか、ヒビが入っていたりとか、損傷は見た目ではまったくなく、あぁぁ~大丈夫だった。


よかったぁと胸をなでおろした。


そして翌日、またそのレコードを聴こうと思って、ターンテーブルにかけて再生すると、いきなり強烈なスクラッチノイズみたいな音が、「バリバリバリ」と鳴る。


スクラッチノイズのちょっと大きい感じだったから、レコードを何回もクリーニングしたり、カートリッジの針先をクリーニングしたりしたが、症状変わらず。


れれれ~?レコードプレーヤーが壊れてしまったかな?

もう大ショック。

またプレーヤー買う予算なんてないよ~!

でもいい機会だから、これを機に高級ターンテーブルを購入といきますか?(笑)

なんて邪な思いも頭を過り、困ったな~どうしよう?と思っていた。

昨日までごく普通に再生できていたのだ。


プレーヤー、もしくはオーディオのPHONO経路の故障なのか、はたまたレコード盤の損傷なのか、原因の切り分けをしないといけない。


他の33回転のLPを再生したところ、別に問題なし。

フルシャのダイレクトカットLPは45回転なのだ。

45回転だけおかしい、ということはなかろう。


あちゃぁ~そうするとレコード盤の損傷。
そういえば昨日、床に落としたしなぁ。

でも見た目、全然綺麗でいっさい異常なし。


正直大ショックだった。


貴重な貴重なダイレクトカットLP。限定生産1111枚で、当然もういまや全部どこでもソールドアウトの完売。


しかたがないので、ネットで中古市場を探しまくった。

苦労して探した結果、あった!

eBayでアメリカ出品で新品未開封なものが。

もうすぐに落札。

USD$250


もうまた今月のクレジットカード決済の請求書、大変なことになっているはず。

まさかダイレクトカットLPを2組セット買う羽目になるとは思いもよりませんでした。(笑)


もしこれで再生してダメだったら、オーディオ側の故障。そうなると修理費用など大変なことになるなぁ。またアナログはしばらく聴けないということか・・・


ちょっと落ち込んでブルー気分に。

そうして1週間後、新品未開封が送られてきた。
急いで開封して、ドキドキしながら再生してみる。


いっさい異常なし!!!


よかった~~~。


レコード側の損傷だったんですね。見た目、まったく問題なくいっさい外傷などないのだけれど、やはりレコードの内なる内層のところでひび割れが入っていたんでしょうね。


3枚ともNGだったから、3枚とも逝ってしまったとは。

しかしアナログレコードって壊れやすいんですね。

1mもない高さからでも成仏してしまうとは。


昔のSPレコードなら、割れやすいので床に落としたりしたら割れたりするのは当然だった時代があったけれど、LPレコードもこんなに損傷しやすいものだったとは改めて驚きました。


まっ床に落とすということ自体やった経験がありませんでしたので。(笑)


でも結果オーライ。


お高くつきましたが、貴重なダイレクトカットLP第3弾が無事復活してよかった、よかったです。こうやっていま我が家には、フルシャ&バンベルク響のスメタナ「わが祖国」が2組セットあるのでした。(笑)


DSC03647.JPG



ちょっとこの場を借りて一席ぶつことをお許し願いたい。自分が常日頃思っていたこと、考えていたことで、いつか日記で書きたいと思っていたことだ。


アナログレコードとCDの違い。


もちろんその音源の録音の良さに左右されることはもちろんだけれど、記録媒体そのものがもつ音質の差というのは、いまから書くことに起因しているのではないだろうか。


アナログレコードとCDの自分の聴感上の1番の違いは、アナログレコードは、周波数レンジ(F-レンジ)が広大であること、高音域や低音域の軸方向に音が伸びていると感じること。


つまり音が濃い、すごい濃厚なんですよね。


この表現が一番わかりやすいしっくりくる表現なのではないかと思う。よくCDは音が冷たいけれど、アナログは音に温かみがある、なんていう印象もここに起因するんじゃないかな。


CDを聴いて、アナログレコードを聴くと、「音がいい」と感じる感覚は、この周波数レンジの違いが1番大きいのではないか、と自分は思うんですよね。


CDは、高域は20KHz以上をLPFでカットしているし、低域も20Hz以下をHPFでカットしている。CDが20kHz以上の高周波数帯域をカットしている理由は、人間が聴くことの出来る音の周波数が、平均的に20Hz~20,000Hz (20kHz)であるということに基づいている。


超低域は耳の健康に悪いし、まずオーディオ機器を壊しますよね。(笑)


でも・・・


音楽、とくにクラシック音楽は、楽器や声の基音に対して、その倍音成分が音を素晴らしく美しく聴こえさせるために重要な役割を果たしていることはみなさんも知っての通り。


それをフィルタで倍音成分を全部カットしてしまったら、その音を美しく聴こえさせる成分がなくなってしまうんだから、それはなんとも味のない音になってしまうのはもちろんのことだ。


コンサートホールの生の音は、周波数帯域の高音側も低音側も全くカットしていない。


人の可聴領域の外の超高音や重低音を本当に人が音としては感じていない可聴領域の外の情報に、じつは人間の快感や感動があるということだ。


もっとぶっちゃけた感想をいうと、アナログを聴いた後にCDを聴くと(最近同じアルバムをCDとLPの両方買って聴き比べることが多い。)なんか音の情報の欠落感、角が全部取れて情報が欠落している感覚がありますね。


それもここに起因するところなのではないか、と思います。


自分は昔からアナログが音がよく聴こえてしまうのは、ここなんじゃないかな、と常々思っている。でもアナログの場合、カートリッジの性能次第で、この周波数レンジは違っていたりする。高音質に対応するカートリッジとレコードプレイヤーを使用して再生することが不可欠であろう。アナログレコード (LPレコード)の録音は周波数帯域がカットされていなくても、カートリッジ(レコード針)の仕様に再生可能な周波数帯域が決められていて、そこで制限されていたりする。


九州へオーディオオフ会、地方遠征に行ったときのお宅で聴いたあのアナログレコードの音の濃さは忘れられないです。あのぶっ太い濃い音は、自分のアナログ再生ではまず無理です。


これがアナログの音かぁと思いました。(まだアナログブームの始まりかけた昔でしたが。)


いっぽうで、自分はアナログ派か、というとそんなことはまったくない。(笑)
アナログはまったくの腰掛程度である。

やはりここはCDのほうが優れていると思うところもたくさんある訳で。


自分が、CDのほうが断然いいと思うのは、そのダイナミックレンジ(D-レンジ)の広大さだ。これはダイナミックレンジというのは音のレベルの高低範囲、いわゆる深さのことをいっていて、いわゆる記録媒体での器の大きさみたいなものだ。


これは文句なしにCDのほうがいい。


特にオーケストラの大編成の音楽を聴いていると、ダイナミックレンジの違いはあきらかに違うし、その空間表現、ホール感の再現なんか、完全にCDのほうが卓越していると感じる。


自分の録音の嗜好は、クラシック音楽の録音だったなら、やはりダイナミックレンジがとれているかどうか、を非常に重要視していて、D-レンジが広いと、必然とこの音源は録音がいい、と自分の耳が反応してしまう。


ダイナミックレンジが広いと、その音空間が立体的に聴こえますね。


逆にアナログレコードはダイナミックレンジがあまり広くない記録媒体なのだ。


音声信号は、解析軸として周波数レンジ(F-レンジ)(高音域~低音域)とダイナミックレンジ(D-レンジ)(高レベル~低レベル)の2つがあり、周波数レンジに思わず耳が反応してしまう人と、ダイナミックレンジについつい耳が反応してしまう人と、その人の固有な耳の特徴なのだと思う。


ハイレゾ表示の96KHz/24bitの96KHzが周波数レンジで、24bitがダイナミックレンジのことです。

16bit録音と24bit録音では、もう天と地の違いがあります。クラシックのオーケストラ録音は16bit録音はだめですね。絶対24bitはD-レンジが必要です。


2chステレオ再生よりサラウンド再生のほうがごく自然で素晴らしいと思うのも、このダイナミックレンジの違いがダントツに素晴らしいことが一番の理由である。


人間の耳は、生まれた赤ん坊のときからサラウンド環境なのである。
いろいろな方向から音が飛んでくるのを、2つの耳が感じ取っている。


コンサートホールの座席で聴こえる音も、ステージからの直接音、天井、壁、床からの四方からの反射音など、いろいろな方向から飛んでくる音を聴いている。


その空間を正確に再現するには、やはりマルチチャンネルでないと不可能なのである。前方に置いた2本のスピーカーからの再生では無理、限界があるのだ。


その空間を多数のマイクで集音し、それぞれの音が伝搬、やってくる方向から同じようにきちんと再生してあげることで、本来の生音の空間に近づけるのではないか。


オーディオ界はいろいろなポリシーを持った人の集まり、いわゆる流派というのがあるけれど、自分はこの論者の派閥に属する。


CDのほうがアナログレコードより優れているところは、まだまだある。


レコードの持つノイズ、回転ムラ(ワウ・フラッター)の排除、ダイナミックレンジの拡大、チャンネルセパレーション(左右の音声信号の分離度)の向上といった点は、やはりCDのほうがいい。・・・というか、こういうレコードの持つ欠点を改善するためにCDというフォーマットが生まれたのであるから当たり前といえば当たり前だ。


特にS/N感の良さ、クリアな感じ、そしてなんといっても定位感の良さは、やっぱりCDのほうが断然いい。ノイズフロア自体がすごく低いレベルにある感じで、このメリットは大きいと感じる。


最近のアナログレコードの大飛躍、そしてCDの衰退、というギョーカイ現象を逆手に、「アナログこそ最高、CDなんてクソくらえ!」的な世評があることに自分は1席ぶち込みたいと常日頃から考えていた。(笑)


オーディオだってCD再生できちんとCDの中身を完全に出し切ることのできない人が、アナログレコードを再生しても、いい音を出せるはずがないのだ。


自分の趣味嗜好で言わせてもらうならば、音の濃いアナログレコードで聴くならば、ロックやポップス、そしてジャズ、そして空間再現性が優れているCDで聴くならばクラシックという感じでしょうか・・・。



アナログレコードは、やはりターンテーブルであの再生するまでのひとつの儀式がいいですね。あの一連の所作がやはり音楽を聴いている、という実感を深いものにしてくれますね。


自分は、疲れているとき、面倒なときは、やはりCDのほうが再生するのは簡単だし、曲のスキップなんかも簡単にできるので、CDのほうがいいと思いますが、休日でやる気満々なときはレコードをかけるという作業がとても趣があっていいと思います。


やはりアナログレコードが好きな人は、やはりその世界というのがある訳であって、そこをとやかくいう資格はないわけです。


アナログレコードでないと醸し出せない価値観というのがあります。


自分もそういうアナログの世界を自分のモノにしたいと思うけれど、やはり高級なターンテーブルと豊富なレコードコレクションがないとなかなかそういうレベルの気持ちに到達できないんじゃないかな、とも思います。


自分もレコードショップで”漁る”という作業をやってみたいです。(笑)









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SACDのロゴ [オーディオ]

これはずっと昔から思っていたことなのだけれど、SACDのロゴってものすごくカッコいいし、高級感、ブランド感があって、このロゴが貼ってあるディスクを見るたびに、この盤は音がいいという印象を直感的に持つ。


それはSACD再生機器に付いている場合もまったく同じ。この再生機器はいい音がするという印象を持ってしまう。


SACDロゴ.jpg



ロゴの果たす役割はとてつもなく大きいと思う。

その後、ハイレゾのロゴとかいろいろ出ているが、SACDのロゴに勝るものはないような気がする。


SACD-Hi-Res[1].jpg



ロゴを見ると、わかると思うが、上列の左から横に、そして下の左から横の流れで”SACD”という文字を絵象化したデザインなのだと思う。


意匠権、デザインは誰なのかは、私にはわからないが、オーディオの場合、基本ロゴのデザインや権利関係は日本オーディオ協会が管理していると思われる。そこからデザイナーに受注して、機器にロゴを認可するための管理うんぬんという感じなのだろう。


自分は昔からこのSACDのロゴが大のお気に入りでカッコいいな~とずっと思っていたのだが、それを別に特別に口外することもなかったのだが、今日、久しぶりにタワレコでSACD特集コーナーがきちんと組まれているのに感動してしまい興奮した。そのときにそのパネルにSACDのロゴが大々的に強調されているのに思いっきり反応した。


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自分のしばらく忘れかけていた”SACD愛”が一気に爆発という感じである。


SACDは、サンプリング周波数は2.82MHzである。いまでこそDSDハイレゾには、5.6MHz,11.2MHzもあるが、”ハイレゾに名盤はなし!”はまさにその通り。


かつての名盤は、ふつうにSACDとして復刻され、2.82MHzなのである。

”名盤を良い音で聴く”というニーズの具現化としてSACDはいまだに有力な手段である。


そして、またPENTATONE,BIS,Channel Classicsのような新しい録音のレーベルの場合も5.0サラウンドとしてSACDをこれまでどおり、推進していく。


SACDは永遠に不滅である!


まさに高音質フォーマット。どんなに世の中、ハイレゾとか、ストリーミングとか、騒いでいてもSACDを愛するコアなファンは永久に存在するのだ。


実際問題、ハイレゾよりパッケージメディアのほうが音いいと思うよ。(笑)


そういう自分の”SACD愛”がひさしぶりに一気に爆発した緊急事態宣言解除後の渋谷散策であった。






 

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Victor DD-V7とTrio KT-1010 [オーディオ]

オーディオ機器もそうだし、映像機器もそうだけれど、デザインというのは近年になるにつれ、そのフォルムというか様式美というのが変わってきますね。


この分野はどうしても”男の城”の領域だったから、昔の時代の機器のフォルムは、いかにもメカニック、航空機のコックピット状態のようなデザインに人気があったし、それが主流であった。


でも最近は女性や現代の若者が抵抗感を感じないようなsophisticateされたデザインが主流である。お洒落なリビングに置くオーディオ装置は、その空間に溶け込むようなデザインでないといけない。昔のようなゴツゴツした装置を置くと、お洒落なリビング空間があっという間に男の城と変化してしまい、奥さんに怒られてしまう。(笑)


もう時代ですね。


自分は、そんな男の城の時代の生き物だから、やっぱり装置はがっちりメカニックでないと、なんか高級感とか所有感を感じられず物足りない。いまのオーディオ機器にまったく魅力を感じないのは、そのデザイン、空間に放つ存在感、オーラに物足りなさを感じるからかもしれない。


オーディオ機器は音がよければ、それが最高という、そんな簡単なものではない。自分は音よりもまず見た目、デザインを第一優先にする。


どんなに音が良くても、見た目が気に入らないと、それを自分の空間に迎え入れることは到底できない。自分のリビングにあるということは、生活の一部でつねにそれを眺めていないといけないから、それが自分の好みでないと甚だ苦痛なのである。


ハイエンドオーディオを購入するときは、やはり額が額だけにショップでの試聴はどうしてもやっておかないといけないだろう。


自分の好みの音かどうか。


それ以前に自分はまずデザインで先に選んでしまう。デザインが良ければ、ぶっちゃけた話、試聴もせずに、もうこれに決めた、というような覚悟ができてしまうところがある。


自分にとってオーディオというのは、音以上にデザインなのである。音は、購入後に自分の好みに調教することも可能であるが、デザインはそうはいかない。





大学生のときに、猛烈にそのデザインに憧れた機器があった。


下宿をしている友人の家に遊びに行ったときに、その機器を見たのだが、もう一瞬にてひとめぼれ。猛烈に欲しい病が沸き上がってきた。


当時はアナログレコードの時代だから、ターンテーブルで回して、カセットテープにダビングして聴いている時代。またFM/AMチューナから、カセットデッキにエアチェックする時代。


それにアンプとスピーカーがある、というのがスタンダードな、いわゆる”ステレオ装置”と呼ばれるものであった。当時立派なステレオ装置を持っている大学生なんてほとんどいなかったが、その友人は金持ちの奴で、部屋に行くとラックにビシッと当時のステレオ一式が収められていた。


その中で、自分が猛烈に反応したのが、


Victorのカセッテデッキ DD-V7
Trioのチューナ KT-1010


である。


Victor DD-V7


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Trio KT-1010


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見よ!まさにコックピット状態のカッコよさ!
超カッコいい!


今ではあり得ない、その当時でないとわかってもらえないフォルムであろう。


自分は、いまこのデザインを見ても、やはりカッコいいな~という感じで惚れ惚れしてしまう。全然古臭いとは思わない。


この格好良さは永遠である。


この2台がラックのてっぺんに2段重ねで置いてあったのだが、超最高に格好良かった。猛烈に欲しくなった。


Victor DD-V7のほうは、1982年発売で79800円。
Trio KT-1010のほうは、1983年発売で59800円。


学生にとっては高嶺の花だったね~。
やっぱり無理だったな~。


そのとき自分が決意を固めたのは、いまは買えないけれど、就職したら絶対買うぞ!と思ったこと。


あと、もうひとつ気にくわないことがあって、それはオーディオ機器のデザインが、シルバーからブラックへという業界の流れが顕著になったことだった。自分は断然シルバーのほうが好きだ。シルバーのほうが高級感を感じる。


あの当時、お店の商品棚に並んでいる機器はほとんどブラックという当時の流行であった。


自分が目指していたVictor DD-V7も、ご多分にもれず、そのブラックが後継機種になった。


Victor DD-VR7


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これも1983年発売の79800円。


たしかにデザインはそのまま継承はされているのだけれど、う~ん、やっぱりシルバーのほうがカッコいい。


大学の生協で、このブラックのVictor DD-VR7が陳列されているのを見て、もしシルバータイプがもう売っていなくて手に入らなかったら、このブラックでもいいかな?確かにシルバーが欲しいけれど、ブラックのデザインも悪くない。・・・と、当時の大学生だった自分が考えていたこと。


チューナのTrio KT-1010の方もブラックになってしまった。


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そして、就職して東京に上京して、お給料をもらえる身分になったときに、自分がまずやったことは、Victor DD-V7とTrio KT-1010を都内の中古オーディオショップでしらみつぶしに歩いて探し回ったことだった。


当時はインターネットとか、ヤフオクとかなかった時代であるから、自分の足で中古店を探し回るしかなかった。いろいろな街を歩いたけれど、そうしたらこの2機種を見つけることができたのだ!


中古ショップの商品棚に、これらが陳列展示されているのを発見した時は、心臓が止まるほど感激したのは言うまでもない。


もう即決で購入した。


そして当時の寮の部屋に、これらの2機種が届いたときの自分の感激!!!

もちろん友達がやっていたのと同じように、ラックの1番上段に重ねるように設置する。


そのフォルムの美しさをしげしげと眺めて、あぁぁ~あの大学生の時、友達の部屋で欲っすい~!と思ったあの憧憬の念がいま成就した。と感慨深げに満足したのであった。


でも、この2商品は、もうディスコン(生産していないこと)の機種だから、壊れてしまったらそれでお終いになってしまうので、それの対策として同じモデルを何台もコレクションしておく、という方法しかなかった。


そこからまた中古探しの旅が始まる訳だが、ここから自分の記憶が定かではないのだけれど、北海道の札幌のオーディオショップで見つけたような記憶がある。


そして札幌から東京の寮に配送してもらうのだ。日時指定配達で。最後はインターネットが普及して、ヤフオクでこの2機種をゲットした記憶がある。


だから合計して、このVictor DD-V7とTrio KT-1010は、3台保有しているのだ。


そのうち、チューナのTrio KT-1010は、今なお、現役のFM/AMチューナとして活躍しています。いわゆる今ラジオを聴くときは、このTrio KT-1010で聴いています。


このTrioという会社、その後KENWOODに社名変更し、KT-1010のさらに上の高級デラックスバージョンのKT-3030も猛烈に憧れましたね~。


KENWOOD KT-3030


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デラックス高級仕様のチューナーが欲しいと思っていたので、このKT-3030は憧れました。Trioという会社は、この当時、チューナーと言えばTrioというくらい、チューナーがTrioの看板商品だったんですよね。


Victorは、その後ブランド名をJVCへ(現状、Victorブランドも復活して両刀使い。)Trioは、その後ブランド名をKENWOODへ。


そして2007年には、JVCとKENWOODが合併して統合会社のJVCKENWOODへ。


自分が大学生時代に超憧れた機種だった2つのブランドが、そのような合併の運命をたどるなんて、当時の自分は思う由もなし。(笑)


思えば、子供時代に親に初めて買ってもらった家電製品は、ソニーのラジカセ。
これでNHK FMの英会話の番組を聴いて勉強していました。

そして初めて買ってもらったミニコンポがTrioのミニコンポ。

そして大学生時代に憧れたVictor DD-V7とTrio KT-1010の2機種。
そうしたらその後起こったVictor(JVC)とTrio(KENWOOD)の合併。


なんか、自分が社会人になって歩んできた運命が、子供の頃に縁のあった家電製品と強烈にリンクしていることに気づき驚くばかりです。(笑)


人生って結局神様が作り上げたレールの上をただ歩んでいるだけなんだな、ということを学びました。輪廻というか、かならず赤い糸の繋がりってあるもんなんですよね。


自分の人生に出てこなかった場所に、自分を無理して置こうとすると、神様が異常を察知し、天変地異の異変(地震とか)が起こるようになっているんだと思います。


それは別にこのことだけにとどまらず、自分との現在の人との繋がり、これも単なる偶然ではなく、運命というか、なるべくして繋がっているという運命なんだと思うことしかりです。


ここ数年はとくにそう思うことが強いです。

人間って神様の敷いたレールの上を歩いているんだと思います。


自分が現在所持しているVictor DD-V7とTrio KT-1010。(これを両方とも3台所有しています。)まぁ、当時これを揃えた瞬間、時代はアナログレコードからCDへ、カセットテープからMDへ、と時代はすぐに変わっていってしまったんですけどね。(笑)


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超ひさしぶりに、ベルリンフィルDCH(Digital Concert Hall)を観ました。 [オーディオ]

超ひさしぶり、9年ぶりだろうか、ベルリンフィルのDCH(Digital Concert Hall)を観ました。


いまCOVID-19問題で、ベルリンフィルハーモニーは閉鎖され、DCHを無料開放している最中。観ようと思ったきっかけは、”マーラーの歌曲”という日記を書くために、大地の歌については、どうしても自分にとって忘れられない公演があり、それは、2011年5月18日にベルリンフィルハーモニーで開催されたマーラー没後100周年記念コンサートであったからだ。


アバド&ベルリンフィル、そしてメゾソプラノにアンネ・ゾフィー・フォン・オッター、テノールにヨナス・カウフマンというまさに当代きっての最高の布陣で開催されたコンサート。マーラー大地の歌のコンサートでは、この公演が自分にとっては最高の公演なのだ。


日記を書くため、このコンサートをもう1回確認したかった。


そのためには、DCHを観るしかない。


DCHはいまちょうど無料開放キャンペーン中で、尚更いまがチャンスだ、と思ったのだ。DCHを観るなんて、2011年以来だからじつに9年ぶり。


いろいろ触って体験してみると、じつに大きく進化しており、ずいぶん驚かされた。自分が知っているDCHでは全然なかった。


DCHは、2008年にローンチした。
そのときは、自分は小躍りした。


ベルリンフィルの定期公演がインターネットで、どの公演でも視聴できる。これは当時すごい画期的なことだったのだ。


ベルリンフィルの定期公演というのは、それ以前は、NHKが現地フィルハーモニーに出張録画をして、NHKのBSテレビで放映する、というのが常であった。だから年に2回か3回の非常にレアで貴重な放送だったのだ。クラシックファンは、これをちゃんと録画しておくのだ。それが唯一の楽しみだった。


自分は、この頃の1900年代から2000年代にかけてのNHKの定期公演放送分のDVD録画したものをコレクションしている。友人がVHSに録画してあったのをDVDにダビングしてくれたのだ。


そんなレアな定期公演を、インターネットでどの公演でも、いつでも好きな時間に視聴できる。これは最高に興奮だった。


と同時に、このDCHが世に出ることで、NHKのベルリンフィル定期演奏会の出張録画というビジネスはなくなるな、と直感しました。


2008年にローンチしたとき、パソコンで視聴するわけだが、動画音声を再生するには、それなりにPC側にスペックを必要とした。(CPU速度、メモリー容量など。)自分は、DCH見たさに、PCを最新のAV再生専用の最新スペックのPCに買い換えましたから。(笑)


当時からライブ放送とアーカイブはあったが、なにせ画期的だったから、SNS仲間の間では、ライブ放送をちゃんとリアルタイムで観ること、そして感想をシェアするなんて感じで盛り上がっていたな。朝3時~4時ですよ。(笑)当時のみんなの熱狂はすごかった。


自分はPC内蔵の貧祖なSPで聴くのがいやだったから、PCにHDMI I/Fがあるので、それをAVアンプに接続して画像は、TVモニターで、音声はメインステレオで聴く、という方法で視聴していた。これが視聴するたびにいちいち繋ぎ変えないといけないから結構疲れるんだな。(笑)


そのうち、DCH視聴モジュールがTVに内蔵されだし、DCHはTVで視聴できる時代になった。さすがにすぐにTVを買い替える予算がなかったから、DCHは、それ対応のTVを買い替えたときに楽しむことにしよう。


DCHはTVで観るもの・・・。


こういう流れになってからDCHから遠ざかっていった。


最高に自分がDCHを視聴したピークは、2010年/2011年だったかもしれない。
ラトル&ベルリンフィルのマーラー全曲演奏会を、全部制覇して観ましたから。


DCHから遠ざかった理由のもうひとつに、料金体系があった。
そんなに頻繁に見るわけではないのに、年会費が高いと感じ、だんだん予算的に負担になってきて、それも観なくなる理由の一つであった。


あと、自分の中で、いつまでたってもベルリンフィルじゃ進歩がないだろう、という思いもあった。世界中にはいろいろな国際バラエティ溢れるオーケストラが存在する。


そしてなによりも日本のオーケストラがいる。


海外の演奏家はあくまでもこちらの一方通行の片思いの恋愛だけれど、日本人の演奏家は、こちらの想いが通じるというかわかってくれている、という気持ちもあり、段々日本人演奏家のコンサートに主軸を移していったし、外来オケや外国人演奏家よりも日本のオケや日本人の演奏家のほうに愛着を感じるようになった。


ベルリンフィルのコンサートに5万円を払うのなら、それと同額でいろいろなオーケストラを体験できるほうが自分のクラシック人生の素養を豊かにする、という考えもあったな。


とにかくDCHは自分にとって過去のモノであった。

9年ぶりに超ひさしぶりにDCHをいろいろさわってみた感想。


なんと GUIが日本語表記である。
当時は英語表記しかなかったからね。
これがまず驚いた。これは普及しますね。
しかもものすごいわかりやすく使いやすくなっている。


そして料金体系。


契約料金JPG.jpg


これも驚き。ずいぶん安くなっている。月額契約で1760円ということは、いまのふつうのレーベル音源でのサブスクのハイレゾ・ストリーミングとまったく変わらない金額。自分はmora qualitasとAmazon Music HDの両方を契約しているので、退会しない限り毎月自動継続である。そうすると年会費もこのくらいになるという換算。


これだったら、DCHも年会費契約してしまおうかな。17600円。
ついに年間契約してしまいました。


だって、今年度内の生演奏、コンサートを体験するのはなかなか難しそう。
これくらいの金額だったら、公演チケット1回分の代金の安いほうくらいの金額ですよね。

DCHがこんなに手頃な料金体系になっているとは思ってもいなかった。
彼らも世の中の金額設定に合わせてきたんだろうね。
昔はもっと高かったような・・・。


そしてGUIの操作性。


選曲方法JPG.jpg


まず、指揮者、作曲家、ソリスト、ジャンル、シーズンなどで選択する。たとえば指揮者で選択し、さらに具体的にラトルを選択し、そして作曲家でマーラーを選択するという感じ。


ずいぶんわかりやすい。
昔は結構スキルがいりました。(笑)


こういう分類をしておくと、ベルリンフィルの首席指揮者や客演指揮者は、ベルリンフィルを指揮したとき、どのような作曲家を振ったのかの傾向がわかりやすいですよね。


たとえばカラヤン、アバド、ラトルでベルリンフィルでマーラーをどれくらい演奏し指揮したのか?を検索してみると


カラヤン 0回
アバド   5回
ラトル  24回


と出てくる。アバドが5回はうそだろう?と思ったが、本拠地ベルリンフィルハーモニーで5回という意味で、世界各地のホールではもっと演奏しているはず。あと、これはあくまで本拠地でのライブ演奏という意味で、録音は入っていませんね。アバドは、ベルリンフィルでマーラーを全曲演奏しています。


ラトルが本拠地でのライブ演奏だけで、マーラーを24回演奏しているというのはスゴイ!いかにラトルが、マーラー指揮者であったかがよくわかる。


ベルリンフィルを指揮して、これだけマーラーを演奏したのはまさにベルリンフィルの歴史上の快挙であろう。


非常にわかりやすくカテゴライズされていて、秀逸なGUIだと思うけれど、たったひとつ難点をあげれば、このプルダウンの中から選ぶという作業は、候補がたくさんある場合、結構大変です。(笑)


直接入力で検索できるような欄があるといい。一番上に直接入力の検索欄があるけれど、ヒット率があまりよくなく使えなかった。曖昧検索でもヒットするようにしてほしい。


あと、音質も自分が知っている時代に比べて格段に良くなっている。あの頃はPCオーディオというのがなかったからね。いまはPCオーディオ全盛だから、なによりもUSB-DACというものが存在する。


だから自分のメインオーディオシステムにも音楽再生専用MacBookProとUSB-DACがペアになってすでにつながっている。PCオーディオでハイレゾ再生ができるから昔と比べて格段にPCでの再生音はよい音で聴ける。MacBookProでそのままDCHを再生すれば、すぐにUSB-DAC経由でメインオーディオシステムでハイレゾ音声で聴ける。再生音は96/24でした。


画質も格段に良くなっていました。


これはライブストリーミングというビジネスのじつは肝になるところではないか、と思っているのだが、アーカイブはけっして消去してはいけないということですね。


その楽団のライブ演奏はずっとアーカイブに貯蓄していかないといけない。そして未来永劫に続いていくであろうライブ演奏もこれから永遠に貯蓄していかないといけない。そうするとじつは肝になるのはサーバー側の容量の問題ですね。


いわゆるコンテンツDBです。このDBの容量は莫大なキャパシティのサーバーでないといけない。いやパソコンのHDDのように満杯になっていったら、その都度外付けHDDでその容量を増築していくようなアドイン・スタイルになるのかもしれない。


映像や音声のデジタルデータって、ふつうの文字データや写真データと違って容量がけた違いに大きいですから、それを過去から未来永劫にむけて、全部貯蓄していくとなるとこのコンテンツDBの容量の問題というのは大きな課題になると思われる。


ライブストリーミングのサービスというのは、いわゆるその楽団の過去の演奏は全部格納されていて、音楽評論家の方々や、一般の方々が仕事上などで、あの頃の何年何月何日のあの名演奏をもう一度観てみたい、というような百科事典的な使い方ができるようになるのが理想なのだと思う。


そのためには過去の演奏は全部格納されていないといけなく、さらには未来永劫、生演奏を格納し続ける必要がある。ライブストリーミングというのは最近の新しいビジネスなので、まだそういう問題まで認識されていないかもしれないけど、これからの課題になると思われる。


ベルリンフィルのDCHが唯一そういうことを実現しているサービスだと思うのである。


自分の体験談であるが、クラシック演奏会のライブストリーミング・サービスであるPrimeSeatでそういう問題に突き当たったことがある。自分が普段愛聴しているサービスであるが、ここでRCOのストリーミングを何本も購入して楽しんでいたのだが、3か月後とか6か月後になると、その購入したストリーミングがいきなり消えているのだ。


えぇぇ~それってありか?と思ったが、すぐに思いつくこととして、おそらくコンテンツDBのサーバー側の容量が足りなくなって、古いコンテンツから消去しているんだろうな、と推測した。


新しいコンテンツを提供するたびに古いコンテンツを消していく。


まぁサーバー側の容量の問題で仕方がないといえば仕方がないが、でもカスタマーの立場からすると、自分がお金を投資したものは、永遠に自分のものとして未来永劫いつでも聴きたい訳であって、それが消えてなくなるというのは、ちょっとひどい仕打ちというか詐欺とも思ってしまうのだ。


少なくともカスタマーが投資したコンテンツについては消去してはいけない。


というのが前提にあると思う。


ライブストリーミングの配信プラットフォームを構築していく上では、このコンテンツDBのサーバー容量の問題は1番キーになる問題だと思われる。


繰り返すが、ライブストリーミングのアーカイブは、音楽評論家や一般の人々が、仕事などであの頃の何年何月何日のあの名演奏がいつでも視聴できるという百科事典的な使い方ができないといけない。


ベルリンフィルDCHを除き、いま始まったばかりのライブストリーミング・サービスの1番頭の痛い問題になるかもしれない。



では、じつに9年ぶりに視聴したDCHで自分がぜひもう一回観てみたかったコンテンツ3本。


2011年5月18日 マーラー「大地の歌」
アバド&ベルリンフィル
アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(メゾ・ソプラノ)
ヨナス・カウフマン(テノール)


2011年 マーラー没後100周年記念コンサートと題してベルリンフィルハーモニーで演奏されたマーラー大地の歌。オッターとカウフマン、そしてアバド&ベルリンフィルで奏でるマーラー大地の歌なんて最高のキャストである。自分にとってマーラーの大地の歌といえばこの公演なのである。宝物の想い出の公演。


男性オペラ歌手ならカウフマンが最高、女性オペラ歌手ならオッターが最高と思っていた当時の自分でした。(笑)



ヨナス様!カウフマン、最高!カッコいい!
男性アーティストはどうしても経年とともに腹回りとか肉付きがよくなってしまうのは仕方がないけれど、この頃のカウフマンは人気絶頂で最高にカッコいい時だった。


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オッター様!
自分のもっとも愛するディーヴァである。彼女の声は、心をつかむ歌声にある「1/fのゆらぎ特性」を持つ天からの授かりものの声なのだ。オッター様サイコー!


オッター3JPG.jpg



カーテンコール。


オッター、カウフマン、アバド、カーテンコールJPG.jpg




2011年6月2日 
ラトル&ベルリンフィル 
マーラー交響曲全曲演奏会 マーラー交響曲第6番


自分が現地の本拠地で観た忘れ得ないラトルのマラ6である。最後の離任コンサートのマラ6もBlu-rayで観たけれど、やはり男性指揮者も経年と共に腹回りと肉付きがよくなるのは仕方がない。この頃のラトルはスマートで格好良かったし、指揮にキレがありましたね。もちろん離任コンサートの時より、このときの公演のほうが最高です!


これをきっかけに、もう一回、2010/2011年シリーズに演奏されたラトル&ベルリンフィルのマーラー交響曲全曲演奏会をDCHで全部コンプリートして観てみようかな?


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ラトルマラ6-1 JPG.jpg



カウベル


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ハンマー!


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2010年12月22日 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
ヴァレリー・ゲルギエフ&ベルリンフィル
デニス・マツーエフ(ピアノ)


自分にとって、ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番は、ピアノ協奏曲の中での最高峰に位置する自分にとっての王様の曲。


最近の新しいピアニストのラフ3は全然フォローしていないけれど、自分の中でラフ3の最高のパフォーマンスだと思う演奏が、このベルリンフィルハーモニーで演奏されたゲルギエフ&ベルリンフィル、そしてマツーエフのラフ3。


いままで2004年サントリーホールで演奏されたゲルギエフ&ウィーンフィル、ブロンフマンの演奏が最高だと思っていたけれど、このマツーエフの演奏を観て、度肝を抜かされたというか、とにかくびっくりした。


この強大なるダイナミックレンジを叩き出すマツーエフの演奏には、ただひたすら唖然。自分のラフ3の演奏のイメージをガラ変させてしまったすごい演奏です。


ここまでピアノを乱暴に弾けるのか、という・・・(笑)


ラフ3は女性ピアニストでも素晴らしい演奏はたくさんありますが、マツーエフのこの演奏を観てしまうと、どうしてもラフ3は男性有利な曲だなぁと思ってしまいます。ボクにとってのラフ3の最高峰の演奏なので、ぜひご覧になってください。


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最近ライブストリーミング配信というサービスやビジネス形態が注目されてきているけれど、ベルリンフィルはいまから12年前にはすでに世の中でサービス開始していたんだよね。ベルリンフィルは常に業界一を目指す集団ではあるけれど、さすがと思うところです。2008年にローンチだけれど、実際の技術開発を開始したのは、その4~5年以上前だと思うから、彼らの先を見る目、ヴィジョンを描ける才能はさすがだと思うところです。


日本のオーケストラも、今後の将来はぜひ実演の収入だけでなく、実演+ライブストリーミングの両方で収益を上げていく二段構造でいくとよいと思うので、ベルリンフィルのDCH(Digital Concert Hall)は、大いなる手本になると思います。


 





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鍵を購入する [オーディオ]

ここ最近の日記の連投で、25年前の記憶が、徐々に蘇ってきた。
昔々、一生懸命PCのパワポで図面を書いて勉強していました。
同じような図面を何枚も何枚も書いたね。


だから脳裏の深いところにしっかりと刻まれているから、絶対忘れられないんですよね。久しぶりに書いてみたら、全然悩むことなくスラスラと10分くらいで書けました。


IBM配信システム Vol.1.jpg




当時、”インターネット音楽配信”と呼んでいた配信ビジネスの黎明期のブロック概念図。インターネットで音楽を配信するなんてどうやるんだ、という手引書みたいなもの。


ネットの配信システムのほうはIBMのシステムで、ユーザーホームネットワークが家電メーカーが提供するというような役割分担。


もう音楽配信ビジネスなんていまのご時世、当たり前のコンコンチキだから、もうこのブロック図は全然秘匿性もないからオープンにしてもよいだろう。


役割分担は、


コンテンツプロバイダ:レーベル(レコード会社)
サービスプロバイダ:配信事業者
第三者機関(クリアリングハウス):著作権権利団体
ユーザホームネットワーク


コンテンツプロバイダは、たとえばこのように複数考えられるだろう。


レーベル1:ソニーミュージック
レーベル2:ビクターエンターティメント
レーベル3:ワーナー・ミュージック
レーベル4:ユニバーサルミュージック
レーベル5:ワーナー・ブラザーズ


などなど多数。


サービスプロバイダは、たとえばこのように複数考えられるだろう。ただし当時は、ファイルダウンロードのみの発想でいまのようにストリーミングはなかったけど(あったとしても地下に潜っていた。)わかりやすく、いまのストリーミング配信事業者を割り付けよう。


配信事業者1:Amazon Music HD
配信事業者2:mora qualitas
配信事業者3:Spotify
配信事業者4:Apple Muisc
配信事業者5:Line Music


などなどこれまた多数。


第三者機関(クリアリングハウス)というのは、いわゆるJASRACのような音楽の著作権を管理する権利団体のようなところが担うものという発想だった。


そしてユーザーホームネットワークである。Gatewayというのは外のインターネットとつながる窓口、ゲートウエイだ。まぁ普通に考えればPC(パソコン)ですね。


まず、コンテンツプロバイダは、クリアリングハウスにコンテンツを提供して、配信用コンテンツをオーサリングする。配信用コンテンツというのは、いわゆる暗号化コンテンツである。ある鍵で暗号をかけ、そして暗号を復号するときはその鍵で復号する。もちろんコンテンツ単位で鍵はひとつひとつ違う。


そしてその暗号化コンテンツにコンテンツIDを付与して、コンテンツDBに格納する。


つぎにサービスプロバイダは、クリアリングハウスから、自分のショップで販売したい配信用コンテンツをよりどり好みでたくさん取り寄せる。


サービスプロバイダというのは、つまり商品の棚に、いろいろなレーベルのいろいろなアーティストのコンテンツを並べる、といういわゆるお店、販売ショップという立場ですね。つまりWEBデザインされた自分のショップのHPにジャケ写を羅列して、展示する、そんな感じです。


サービスプロバイダというのはレーベルのコンテンツを売る販売ショップの方々のことですね。もちろんレーベル自身が売る場合もあるから、そのときはコンテンツプロバイダとサービスプロバイダを兼務することになる。


そしてユーザは自分の好みのサービスプロバイダにサービス登録して、そこからコンテンツを買う。(ユーザーはコンテンツをサービスプロバイダから買います。)


そのとき、ユーザはクリアリングハウスに対して課金決済をして、その暗号化コンテンツを復号化する鍵を購入するわけだ。


”暗号化コンテンツを視聴するために、課金決済してその鍵を購入する。”というのが、システムの大前提の発想だ。


いまの時代の感覚でいえば、ふつうはサービスプロバイダが、こういう課金決済、鍵配信などをやるのがふつうですよね。ユーザーはサービス販売ショップに対して課金決済している感覚のはず。


でもこの当時はJASRACのような著作権権利団体が、こういうクリアリングハウスのようなDB集合体を第三者的な立場で管理して、各々のコンテンツプロバイダ、サービスプロバイダを登録して全体を一元管理するという考え方だったんですよね。


そして課金DBで権利者に対して契約で決まっているパーセンテージで配分率を計算し、その料金をコンテンツプロバイダやサービスプロバイダに利益分配する、という段取り。


これが黎明期のインターネット音楽配信のブロック図だ。


やっぱり黎明期だけあって、古いというか、こなれていないね。(笑)まずJASRACのような著作権権利団体がこんな複雑で大規模なDBを管理できるはずもなし。(笑)


現在は、間違いなくサービスプロバイダの中で、課金決済などの処理を全部完結させてしまうはず。ショップ単位で課金して、権利者に払っているという感じでしょうか。


さもないと、レーベルなんて世界中に存在するわけだし、ネット配信業者だって世界中に乱立している。それをクリアリングハウスで一元管理なんて事実上無理な問題だ。


ペーパー上での理論図と実際のビジネス様態は違う、ということですね。


万が一、クリアリングハウスで一元管理する、としよう。そうするとクリアリングハウス内でコンテンツオーサリングで配信用コンテンツを作成するわけだが、そうなると音声Codecやいっしょに内包するメタデータの形式など、どのサービスプロバイダでも共通になってしまい、サービスの差異化、差別化ができなくなってしまう。おれっちのところはDSD配信に限定とか、おれっちのところはPCM192KHzでしかもなんと32bitだぞ!
というような他社との差別化ができない。やっぱり伝送フォーマットのCodecはサービスに応じてグレード差異化したいですよね。


メタデータだってそうだ。メタデータというのは音楽データの付帯情報などが記載されているデータのことなのだが、ROONのようにこのメタデータの仕掛けでシームレスに検索できるような仕掛けも作るわけだから、このメタデータの作り方でおらっちだけの差別化はしたいはず。


ということで、上の図のクリアリングハウスの中にある数々のDBは、ほとんどサービスプロバイダ自身の中で各々持っていてショップ自身で完結してしまっている、と思っていいと思う。そしてショップ単位で権利者に利益分配しているんだろう。


ちなみにインターネットでの通信では、かならずセキュリティ上、暗号化、認証をおこなって通信する。公開鍵暗号による認証と、共通鍵暗号によるコンテンツ暗号である。


上の図のコンテンツプロバイダ、サービスプロバイダ、クリアリングハウス、ユーザーホームネットワークの間の通路パスでの通信のことである。


クリアリングハウスの中にあるDB集合体。


コンテンツDB
メタデータDB
顧客管理DB
鍵DB
認証DB
個人嗜好DB


はコンテンツ電子データのEC(E-Commerce):電子商取引で最低限必要なDBたちである。


いまのご時世では、サービスプロバイダのそれぞれにこれらのDB集合体を持っていると思われる。この黎明期のときと、いまのご時世の違いといえば、


たとえばいまはファイルダウンロードじゃなく、ストリーミングが主体。そうするとストリーミングの暗号化ってどうやるんだろう。どういう鍵の受け渡しをするんだろう?


そして課金決済も、サブスクリプションである。
定額の少額決済。そうすると再生回数をカウントする必要がある。


それに応じて、再生1回あたり何円と決まっているから、その再生回数に応じて総額が決まり、それを各権利者に利益分配するということだろう。


たしかに時代に流れに応じて、この黎明期の頃から、随分と紆余曲折してきたけれど、でも骨子となる屋台骨、考え方の基本はそんなに違ってないと思うんですよね。


ボクの青春時代の熱中していたテーマでした。


当時は、ネット配信なんて音楽ビジネスの根本を壊すということで、ずいぶん白い目で見られていた。あれから25年経過したわけだが、ものごとがちゃんとモノになるというのはずいぶん時間のかかることだな、とProject Xのオヤジのような想いにふけっています。(笑)



これから新しい取り組みとしては、コンサートホールでのライブストリーミング配信ということになると思われるが、このプラットフォームに合わせると、オーケストラの楽団がコンテンツプロバイダで、ライブストリーミングをするサービスがサービスプロバイダになるのであろうか?ライブストリーミングというビジネスは比較的新しい分野なので、注目だ。





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電子商取引 EC(E-Commerce)は全然新しい技術じゃない [オーディオ]

全然新しい技術じゃないです。はっきり言って進歩はしているだろうけれど、すでに枯れた技術です、ハイ。


みなさんがネットで買い物するとき、たとえばアマゾンとか、いわゆるネットショッピングするとき、俗にいう”ポチる”というやつですね。


あれはもうすでにEC(E-Commerce)、電子商取引のシステムが出来上がっているから、そういうことができるのです。


インターネット側のサーバーにそういうシステムがあるのです。

ネットから拾ってきた図ですけど、こんな感じ。


EC.jpg

この図は異業種だからピンとこないけれど、これを音楽配信用にmodifyしているだけです。


課金するには、


顧客管理DB
コンテンツDB(ID,コンテンツ)
暗号鍵DB
課金DB


この要素を組み込めばいい。


と言いましたが、ここで言っている各々のDBの要素は、どの業種のネットショッピングのECでも必ず必要になるものです。


どのインターネットショッピングのサイトでも、


カスタマーID(ふつうはメールアドレス?)、パスワードとか、クレジットカード登録とかPayPalとか、そしてインターネット上で通信するにはセキュリティ上、絶対暗号化、認証は必要になります。


音楽配信の場合は、コンテンツはデジタル電子データなので、購入したらネット上でそのままユーザ宅にネットを通してダウンロード、あるいは音楽ならストリーミングできるだけで、アマゾンのような物販だったら、注文をこのサーバー群で受けたら、そこで課金処理をおこなった後、倉庫に連絡通信が行って、ユーザ宅にその商品が宅配されるだけの違いです。


だから課金決済するところのサーバー群は同じ発想です。


だからいまじゃ当たり前のコンコンチキの技術なんですね。


自分が1995年頃にこのECを知ったとき、すげえ〜そんなことができるんだ!と慄きましたが、今のご時世誰もが当たり前に自宅でネットショッピングで体験している技術なのです。


全然そんなすごいことを言っているわけではありません。


だからサブスクリプションで定額の少額決済をしたり、再生回数をカウントしたり、権利者に契約で決められたパーセンテージで利益分配するとかそういう音楽配信特有のことをちょっとmodifyするだけだと思うんですよね。


購入履歴を分析することによるデーターマイニング技術も、いまや当たり前のコンコンチキ技術ですね。


アマゾンでも、うっとしいと思うくらい余計なリコメンドしてきますね。(笑)


だからこういうサーバーソフトというかDB集合体のパッケージ商品って今のこの世の中、どこからでも出していると思うんですよね。(商品名思いつきませんが・・・)


だれでもすぐにEC:電子商取引が始めれます、という感じで。


だからお金出して、パトレオンから提供してもらって、いちいち管理料、手数料を売り上げから、差し引かれるくらいだったら、自分で作っちゃったほうが早いです。


日本人の技術力は凄いです。


サーバー管理はソフトウエア開発ですね。おそらく。


じゃあお前がやれ!と言われれば、できませんが・・・(笑)


アーティストの公式HPに、こういうEC機能を組み込むことは、そんなに敷居の高いことじゃないと思います。


パトレオンの宣伝に慄いてはいけません。


ところで、ノンノンさん、いったい誰に言ってんだ?と言われるかもしれませんが。(笑)





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iTunesライブラリーをPCからMacに移植する。 [オーディオ]

これからは歳をとるだけだから、耳を大切にしたいので、もう耳を塞ぐインナータイプ型のオーディオ(iPodやウォークマンなどのDAP)は、やめることにした。


そうなると、iPodの中に入っている曲がもう聴けなくなる。
これを救済したかった。

なんせ自分のいままでの財産ですから。
たぶん1000曲以上入っている。


最初はソニーのウォークマンだったのだけれど、2004年からiPodに変えた。


自分のお気に入りのCDを、WindowsPCでしこしことリッピングして、iTunesに取り込んで、iPodに移してきた。15年間の自分の財産です。


インターネット音楽配信は、1990年後半にムーヴメントとして起こって、なかなか本流にならなくて、24年経過した現在、紆余曲折を重ねながら、ようやく現実味を帯びてきた。


幸運にもその黎明期の時に自分も関われたので、なんか感慨深い。
長いよね。研究の段階から、ビジネスになるってそういうもんだよね。

試行錯誤を重ねながら、モノになる、世間に受け入れられるって時間がかかるよね。


1990年代当時、メーカーでディスカッションされていて、いまだにきちんとしたビジネスになっていないものって、あと「デジタル放送とインターネットの融合」と「量子コンピュータ」がそうであろうか?(笑)


日本でも始まったハイレゾ・ストリーミングをやることにしたのと、このiPodライブラリーの救済をしなければいけないことで、なんか自分のPCオーディオ・ライフが急展開し始めた。



iPodライブラリーの救済。


これはすなわち、WindowsPCにあるiTunesライブラリーを、音楽再生専用にしているMac BookProに移植して、iTunesを再生エンジンにしてPCオーディオしたいのである。


iTunesのライブラリーを、メインスピーカーで聴きたいのである。


これはWindowsのミュージック・フォルダにあるiTunesライブラリーをUSBメモリーにコピーして、それをそのままMacにペーストすればいいだけ、と思っていたが、PCとMacの異環境に跨る作業は、初めてなので、やはり安全のため、Appleに確認。


そうしたら、そんなに簡単ではなかった。(笑)


こんな移植マニュアルをいただいた。


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「ファイルを統合」という作業が必要で、マニュアル通りに・・・そしてUSBメモリーにコピーしようとしたら、容量が足りません。(笑)っもう!もっと大容量のUSBメモリーを購入して、今日決行。


やっぱり一発ではうまくいかなかった。


みんなのSNSの投稿見ていると、すごく簡単そうにやっているもんだから、あまり心配していなかったのだが、自分の場合、うまくいかなかった。


まず、USBメモリーのファイルシステムがデフォルトではWindows専用のFAT32なんだね。
これをMacでも読めるようにexFATのファイルシステムでフォーマット初期化しないといけなかった。


音源を3時間かけてコピーして、いざMacにUSBメモリーを挿し込んだら、コピーしたはずの音源データが見えないんだよね。自分はWindows派の人なので、そのことを知らなかった。


もう一回やり直し。


今度はMacでデータが見えるようになったけれど、うまくMacのiTunesに移植できない。

仕方がないから、Appleサポートセンターにヘルプして、画面共有してやった。


でも最初のサポートセンターの人でも解決できなくて、結局iTunesのプロの専門部署の人がヘルプしてくれた。やっぱり一発ではいかなかった。ドツボに嵌ったようだ。


その専門のプロの人も相当難儀。


その人が指示するように、ただその通りにクリック進めるんだが、その専門プロもなにが原因なのか、わからなかったようだ。


まず原因追求のための切り分け分析。

結局1時間半ぐらいやっていたんじゃないかな。


本来ならMacのミュージック・フォルダのiTunesのフォルダにその音源データを置くだけで一発でいくものを、自分の場合はドツボに嵌ってしまい、ことごとくマニュアルでやらないといけなかった。


様々なトラブルがあったようだけれど、1番大きかったのは、Macのミュージック・フォルダにiTunesライブラリーを複写したのだけれど、それがMacのiTunesに統合されない、連携しないのだよね。


ファイル統合がうまくいっていない。


もうマニュアル作業で、苦労していろいろやりましたよ。


まさに苦心中の画面。


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朝10時にスタートして、巨大音源データのコピー時間も含め、無事完了したのが夜の8時。(笑)


丸1日かかってしまった。


ついに完成!


ただし、1発で出来なくて、トラブりながら、ことごとくマニュアルでやったので、iPodの中の全曲がちゃんと全部移植されているかどうかは定かではありません。


1000曲以上あるので、確認できません。


音楽再生専用のMac BookProでのiTunes再生。


アルバムごと。


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アーティストごと。

 

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曲ごと。


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最新のストリーミングのGUIに比べると、iTunesってなんて地味なんだろう。(笑)


またCDリッピングしたとき、ちゃんとネットのCDDBでジャケットを拾ってこなかったから、ジャケット写真も歯抜けだらけだ。(笑)


AppleはもうiTunesはやめたからね。


そして音源再生。

おぉぉぉ~ちゃんと再生できている。


PCオーディオしている!


iTunesはAACとMP3の圧縮音源。
自分はAAC圧縮で取り込んでいたと思う。


AAC圧縮音源なのに、すごいいい音!


ハイレゾ・ストリーミングとそんなに遜色ないよ。ホントに。すごくいい音。

まぁそこら辺は、自分は年寄りの駄耳ですから、あまり信用しないでください。


予想以上にいい音で再生してくれたので、もう丸1日潰した疲れも飛んでしまい、うれしくて堪らない。


だって自分の好きな曲だけを集めた言わば最高の個人嗜好、データーマイニングされたライブラリーが救済され、いまここにPCオーディオで聴けるんですから・・・やったーです。


個人嗜好の解析はいまや当たり前の技術で、そのような解析ソフトウエアが埋め込まれて、履歴、ジャンル分けなど解析するんだけど、iPodのライブラリーはそんなソフトウエアの力を借りない、まさに自分がこれが好き!て自分の意志で選んだ曲ばかりなので、まさに世界最強の個人嗜好のマイベスト・ライブラリーなのです。



急展開した我がPCオーディオ。


音楽再生専用のMacには、このようなコンテンツ・プレーヤーを集中して管理することになった。


MAC コンテンツプレーヤー.jpg


これでROONをインストールすれば、横串検索で、ローカル・ストレージと、外のクラウドとを見境なくシームレスに、縦横無尽に自分にカスタマイズされた検索できるようになるんだろうが、まだまだ先の話。まずインストールするお金がない。(笑)


ROONってローカル・ストレージしかない場合、あまり意味がないような気がします。


ストリーミングをやって初めて、外のクラウドと連携込みで考えて、初めて大きな効果がでるような気がするんだが・・・違うのかな?


でもやっぱり自分はパッケージメディアが最高です!(笑)











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ハイレゾ・ストリーミング [オーディオ]

自分のPCオーディオ感。


PCオーディオってどこか音として線が細く、S/Nが悪く、解像感は高いけど、もっとオーディオとしての基本である定位感やクリアな感じは、やっぱりパッケージメディアがいい、という意見だった。


PCってノイズの海だし、そもそもオーディオ再生に適応されて生まれた機器じゃないですから。音楽を聴くための機器じゃない。そこにある程度割り切ることが必要なのだと思っていた。


徹底的に改造に改造を加えて、ブラッシュアップをかければ素晴らしいPCオーディオが聴ける、という話もあるが、そういうことをしなければいけないこと時点で、もう普及させないといけないミッション、世の中のスタンダードになる、という点でアウトである。結局一塊のマニアだけの世界で終わってしまうだけで、話にならない。


普通のITやオーディオに詳しくない方々にも簡単に再生できる高品質なPCオーディオというスタンダードなステータスに持っていくことが、大事なことなのではないか、と思っている。


逆に、そういうITやオーディオに詳しくない人にユーザーフレンドリーで、そういうノイズの海を避けるという点では、PCよりネットワークレシーバーのようなネットワーク・オーディオ機器のほうがいいのではないか、と思われるかもしれないが、ネットワーク/ITの世界は技術進歩が著しくスピードが速く、商品として出しても、あっという間に時代遅れ、古臭いものになってしまうというデメリットがある。もちろん機器自体をDSPなどのファームウエアアップデートできるようにはなっているのは当然のことと思うが。。。


そういう点では、自分はPCを使ってのシステム構築のほうが、そういう技術進化のスピードを十分吸収囲い込むことができ、そんなに買い替えも必要ないと考えていた。


だからノイズの海のPCとお付き合いしていかないといけないのだから、音楽を聴くための機器ではないし、そのように作られていないのだから、そこはある程度割り切りが必要、と思っていたのだ。


だから最低限のノイズ対策、PCオーディオ構築のマナーを投資している。できれば外部クロックの使用は、絶対やったほうがいい、と思うが、ノンノン2020のため予算不足のため断念。(いつかはやりたい。)


PCオーディオはソースのハイレゾ感、解像感はあるかもしれないけれど、上のような理由から長時間聴いていて、オーディオとして楽しくないのである。


オーディオマニア垂涎のソフトを聴いているときのあの豊潤な世界、いわゆるハイエンド・オーディオの世界、そういう高級なリッチな気持ちになれない。とにかくPCオーディオは聴いていて面白くない、楽しくない、という気持ちの一念で、PCオーディオのシステムを構築したけれど、あまり稼働率も高くなく、普段はやっぱりパッケージメディアを聴いているという日々だった。


そのほうが定位感、クリアな感じで、解像感だけでは絶対得られないオーディオの大切なものをパッケージメディア再生のほうが持っていると思っていた。


本当に素晴らしいPCオーディオの音を聴いたことがない。


ある意味そうかもしれない。
そうなるにはどれだけ時間が必要なのだろうか、と思っていた。


お気に入りのCDをリッピングして、NASに格納して、再生するときにたとえば再生エンジン、コンテンツプレーヤーのほうでDSD5.6MHzでアップサンプリングして聴く。Native DSD Musicやe-onkyoのサイトから音源をダウンロードしてそれをNASに格納して聴く。


いわゆるNAS主導型。ある意味初期時代のPCオーディオの基本型ですね。


自分もこれだったが、そのときの感想が、上の内容だった。(聴いていて面白くない。ハイエンド・オーディオを聴いているようなリッチな気持ちになれない。)


こういうNAS主導型の難点は、NASに格納されたデジタルファイルをどのようにファイルシステム管理していくか、などの管理手法、タグづけとかやらないといけない。リモコンであるiPadでジャケット写真を並べてとか、そこからコントロールできるようなシステム、いわゆるコントロールGUI(Graphic User Interface)を作らないといけない。これらは全部自分がやらないといけない。


これも初心者には普及しない障壁だと思っていましたね。


これがストリーミングだと一気に解決されてしまうんですよね。


デジタルファイルが自分の手元のローカル・ストレージにあるから、どうしてもそういうファイルシステム管理が必要になってしまう。GUIも自分が作らないといけない。


ストリーミングだとそういうファイルシステム管理やGUIを作る面倒・苦労はいっさいない。


全部コンテンツプロバイダー&サービスプロバイダー側がやってくれる。


ストリーミングは、そのサービスプロバイダーがGUIを作っていて、ストリーミングでは当たり前の機能、マイアルバムなどのお気に入り登録、アクセス履歴、個人嗜好の解析などのデーターマイニング技術が組み込まれている。


ただそれだけである。ユーザがなにかやらないといけない、というのはあまりない。
なんて楽なんだろう!と思いました。
これが自分のストリーミングの第1印象。


この簡易な操作性の一般大衆化は、絶対一般人に受け入れられる、と間違いなく思いました。


インターネット音楽配信は、もともとダウンロード型よりストリーミング型のほうが主流になっていくだろう、とういうのは、著作権者にとって、自分のコンテンツがどんどんコピーされて、世界中に拡散されていって、それを著作権者が管理できないというのが最大の問題であって、やっぱり自分のコンテンツはサーバー側にあり、ユーザーはそれを手元にコピーできなくて、あくまでストリーミングで聴くだけ、というのが著作権者に好まれる管理体制である、のが1番の理由である。


ストリーミングは、SpotifyやDeezerなどあるが、これらは音源のフォーマットがCD諸元以下もしくは同等である。やはり自分がやるならハイレゾストリーミングからやりたい、と思っていた。


欧米ではTIDALやQubozが先行してサービスをやっていた。これらは日本からは契約できないし禁止されている。それをVPNを使ってやるマル秘の契約方法があって、オーディオマニアは結構契約して密かにやっている人がいるが、日本からは契約できないことになっているサービスに日本から勝手に違法契約してはいけません。(笑)


そういうことで、日本向けのハイレゾストリーミングとして、ようやくAmazon Music HDとソニーのmora qualitausがスタートした。自分はここからやろうと思っていた。


まず、Amazon Music HDを契約。


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予想以上に全然いい音じゃん。ULTRA HDで聴いているんだが192/24だ。拙宅はパイプが細いのでストリーミングだめと思っていたけど全然OK。なんでも10Mbpsのビットレートらしいからまったく楽勝だ。


宇多田ヒカル最高!


Amazon Muisc HDのほうは、音源のフォーマット諸元の数値を表現しない。
HDかULTRA HDで表現。


PCMで44.1/16,96/24,192/24の3種類と思う。


44.1/16をHDと表記するのは確かに自分は抵抗がある。

ULTRA HDは192/24ですね。


Amazonのインタビュー記事を読んだが、初心者ユーザにとって、96/24とか、192/24とかわかりずらい。画像の世界で、HDってメジャーだから一般大衆に浸透しているからそれに倣ったとのこと。


彼ららしい鋭いアイデアだ。


自分はオーディオマニアだから、やはり96/24,192/24のほうが全然いい。



そしてソニーのmora qualitasのほうも契約。


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こちらは、ハイレゾは96/24のみ。音源の諸元の表現に、44.1/16や96/24と数値で表現してくれるからオーディオマニアにとって全然こちらのほうが実感が湧くし、わかりやすい。


さっそく、Amazon Music HDとソニー mora qualitasを使い勝手、比較試聴をおこなった。


じつはまだたくさんの曲を聴き比べした訳でもないし、まだ慣れていなくて使い勝手を徹底的にマスターしたわけでもない。だからmixiのつぶやき以上のことは書けない。


まぁこれから徐々にまた発信します。


まず、GUIの使い勝手。


これはやっぱりAmazonのほうに分があるかな~。


Amazonのは、GUIを見た瞬間、どこを押せばどういう機能になる、というのが初心者に一見してわかりやすいことですね。ユーザーフレンドリーです。


それに対して、ソニーのほうは、徹底的に勉強してマスターしないとダメ。一見して理解できない。彼らは丁寧にもちゃんと機能説明のページを作ってくれているので、それを読んで自分で何回か触ってみれば、あっソニーもストリーミングの機能として最低限のものを完璧に備えていて、ストリーミングのGUIとして全然問題なし、と断定できた。


ソニーのGUIでわかりにくい最大の欠点は、GUIの左下にある「。。。」のボタンを押さないとすべてが理解できないところだろうか。なにも書いてなく、ただ「。。。」とあるだけだから全然気が付かなく、ここを押さないと前に行かないため、いろいろなボタンを押しても全然ダメで自分は、最初ソニーはバグが多すぎると早合点してしまった。(笑)


GUIのセンスってデザイナーの感覚と一般庶民の感覚とずれがあるとダメですね。
デザイナーがいかにいいセンスと自分で思いながら設計しても、ユーザの感覚は千人十色。


難しい仕事です。


肝心の音は、ソニーのほうが音はいいと思う。


まだいろいろな曲を聴いたわけではなく、限られた音源しか聴いていないので、判断時期尚早かもだけれど、同じ宇多田ヒカルのFirst Loveで聴き比べたら、やはりソニーのほうが音がいい。


まずソニーほうが10dBくらい録音レベルが高いんですよね。
慌ててAVアンプのボリューム下げました。


音の鮮度感が高くて、ソニーの96/24が決して、Amazonの192/24に負けていない。
音の輪郭もソニーの方が明瞭だし、ソニーのほうが音はいいと思いました。


ソニーは自社の3D Audio技術である360 Reality Audio技術を、Amazon Music HDに提供している。ライバルに太っ腹だな、とも思うが、自社のみで抱え込むより、いろいろなサービスプロバイダーに使ってもらってdefactoスタンダードにしてしまったほうが有利だと思ったのだろう。


ソニーのハイレゾストリーミング・ウォークマンもソニーのmora qualitasだけでなく、Amazon Music HDも当然聴けないといけない訳だから、自社の3D Audio技術がサービスプロバイダの上手側で採用普及してくれると下手側の他社のDAPメーカーにも、この3D Audioモジュールの搭載が必須になっていくからね。ビジネスとして儲かっていくはず。(この技術がDAP側にそういうデコードモジュール・プラグインが必要かどうかもわかりませんが。)


ソニーはこの3D Audio技術はライバルのAmazonに提供するとは言っているけれど、自分のところには入れているのかね?まったくアナウンスしていないので、最初は入っていないのかもしれないけれど、自分はひょっとしてソニーのほうが音がいいのは、この360 Reality Audioの技術がdeaultで入っているんじゃないの?と思ってしまいました。


3D Audio技術で言えば、Emil Beliner Studios(EBS)のほうでも、Amazon Muisc HDの自分たちの音源に、自分たちの3D music productionのプロジェクトで開発した3D Audio技術をバッチ処理した、という発言をしていました。
3D Klassikで検索できます。


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あと、Amazonにはないが、ソニーのほうには排他モード(USB-DACに直結できる)ができることを確認。ソニーのmora qualitasのほうは、せっかくソニーなんだからPCMのハイレゾだけじゃなく将来はDSDストリーミングもライブラリーに加えてほしいと思いました。DSDはデータ容量が大きいから工夫が必要だけれど、そうしたほうがソニーらしくていいと思います。


あと登録してある曲数は、これはもう圧倒的にAmazonのほうが多い。ソニーはまだまだ曲が全然足りないと思います。


ハイレゾストリーミングの音を聴いて、まず抱いた感想は、予想より高S/Nでクリアな音で、全然いい音じゃん!ということだった。既述のようにPCオーディオの音に対して、あまり前向きな印象ではなかったので、あまりにいい音にびっくり。ハッキリ言って、このときこれはヤバイと思いました。(笑)


そしてなによりもNAS主導型にあるような面倒なユーザ設定、ユーザ管理がいっさい払拭され、ユーザの管理の負担がまったくなくなったこと。この障害がなくなって、とにかくストリーミングは便利なので、これは確かに一般大衆に受け入れやすいし、普及することは間違いないと確信します。


でも自分はストリーミングに対して、すべてが全歓迎でウエルカムではありません。


それはストリーミング・サービスの決済方式、サブスクリプション(定額利用料の月決め決済)方式、通称”サブスク”。これは昔からストリーミングに抱いている問題点なのだが、アクセス回数に応じて収入が決まったり、スキップレート(ちょい聴きでつぎつぎ飛ばすこと)で一定時間じゃないと収入にならないとか、あまりに著作権者に対して酷すぎる。演奏家の方々、生活に支障を及ぼすんではないか、と心配しています。


パッケージメディアだったら1回買ってしまえば、あとはそれを何回家で聴こうが関係ないですからね。そのほうがやっぱり収入安定していると思います。アクセス回数に応じてってかなり酷ですよ。サブスクがビジネスとして成り立っている仕組みは詳らかにされていないけれど昔からそこが気に入らないのですよね。


ボクは演奏家の方々の味方ですので。


ストリーミング、サブスクを心から傾倒、のめり込みたくないのは、そういうどこか黒の部分があるからなんですよね。よくSpotifyのポップ広告で、「~万曲無料で聴き放題。」というのを見るけど、吐き気がするね。


いまの若い層は、音楽はただで聴ければそっちのほうが全然いいじゃんくらいの感覚しかないのかもしれない。そして、サブスクの宣伝文言はそういう”蛇口をひねれば、水はタダで無限に飲み放題”的なニュアンスを隠すこともなく、そのほうが返って集客しやすい、ユーザはアクセスしやすくなる的に見ているところがあって、そこにつけ込んでそれを堂々と宣伝文句にしている。


ここに自分はものすごい生理的に受け付けない嫌悪感があり、彼らの手口には乗りたくないという反骨芯があるんだよね。これでも一応前職でインターネット音楽配信の著作権の仕事をやっていたことあるので。(笑)


作曲家、演奏家など音楽家にとって、音楽をやる、制作していくにはお金がかかるものなのです。
 
ソニーもAmazonも月額1900円台ですから!これで本当に食べていけるというか、収入になるのか、サブスクってそんなにうまい帳尻あわせの仕組みがあるのか、昔から疑問視しています。この部分って触れて欲しくないのか、なんかきちんとパブリックに公表している記事って見たことありませんね。



そんな昔から気に入らない部分もあるストリーミング、サブスクなのだが、やはり便利であることは認めざるを得ない。


アラベラさんに対するPENTATONEの最近のプロモートの仕方に変化があります。
それはアルバム・リリースの前にシングル・リリースするようになったこと。


ストリーミングをうまく使うようになりました。
確かにこういうときストリーミングは便利。


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昔ならシングルカットはシングルCDという8cm版のミニCDを買わなければならなかったけれど、ストリーミングなら検索してすぐに聴けてしまう。


上は来年の新作アルバム、ヴィヴァルディの四季と、ピアソラのブレノスアイレスの四季からのファースト・シングルの秋です。


そしてこれが、シングル・リリース第2弾のヴィヴァルディの冬です。


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アルバムはもちろんのことシングルごとに、こうやってジャケット写真を撮ってくれるのはファンとしては、とても嬉しい。シングル・カットという販売方法がこの時代にまた復活するとは!


J-Popではアルバムからのシングル・カットって当たり前だけど、クラシックはアルバム中心の世界ですからね。交響曲とか4楽章もあるのに、1楽章だけとか、あり得ないよね。(笑)クラシックでシングル・カットできるのは、今回のような向いてる作品ってありますね。あるいは不向きの作品もあるし。


とにかくストリーミングは便利。
聴きたいと思ったら、すぐにその場で聴けますから。


でも・・・


自分は深い深いソフト愛好者なので、今後もパッケージ愛好者で居続けると思います。ハイレゾストリーミングとの住み分けは、なにか新譜など聴いてみたい時に、まずストリーミングで聴いてみて、気に入ったら、そのパッケージソフトを買う、という使い分けになるんだろうと思います。ストリーミングは便利だし、これだけ音が良ければね。


やっぱり所有感の時代に生まれ育ったので、パッケージソフトじゃないとさびしいんですよね。


あと、邦楽を聴くようになるかな?


ご存知のように、自分はお金でアナログレコードやCDを買うなら、幼いころからクラシック、ジャズ、そしてロックと決まっていた。邦楽にお金を出してCDを買おうという気持ちにはなかなかなれなかった。


でもストリーミングだと、その場ですぐに聴けちゃうので、邦楽を聴くのも億劫にならずに済む。


これは大きいね。

自分の未体験の音楽を聴くチャンスが増えますね。


今回じつに久し振りに宇多田ヒカルを聴いて嵌ってしまいました。
宇多田ヒカルを聴いたのは、あの大センセーショナルなFirst Loveを聴いて以来。


CD売り上げ新記録樹立とか大変なフィーバーだったね。もちろん自分もあのときは夢中になりました。


今回ストリーミングで集中して聴いているのは、「Utada Hikaru SINGLE COLLECTION Vol.1」というベストアルバム。


宇多田ヒカルは本当に素晴らしい。
このベストアルバムを聴いていると、First Loveの曲だけでなく、かなり聴いたことのある曲が多いので、そういえば、宇多田ヒカルは結構いいシングル曲が発売になって自分が気に入ったら、シングルCDを買って、MDに録音してよく聴いていたな~と思い出しました。


邦楽の中でも彼女はかなり聴いていましたね。


彼女の曲のスゴイところは、あの独特のリズム感と韻をふむ感じのメロディがまったく日本人離れしていることだと思います。だから昔から自分は思っていたのだけれど、彼女の曲は日本語の歌詞が合わないんだよね。


日本語の文節の区切りとかに、メロディのノリとかリズム感が合わない。


だからメロディ、リズム感主体の音楽で、そこに無理やり日本語歌詞を詰め込んでいるというかパッケージしている感じなんですよね。


だからメロディ主体の音楽だと当時から思っていた。


だからこそちょっと日本人では出せないリズム感、ヒップホップな感じのメロディでそれが他の普通の日本人歌手の歌とはかけ離れている独自のキャラクターができているのだと思っていました。


昔からずっとそう思っていた。


最近の新譜は、ずっと大人になってきたというか、そういう日本語の歌詞が染み入るようにはなったと思います。


ストリーミングを始めなければ、宇多田ヒカルに再びフィーバーで聴くこともなかっただろうし、自分の音楽生活の大変革のときなのだろうとは思います。


ROONの導入はまだ必要性(横櫛検索)を感じない。まだずっと先。


各々のサービスプロバイダーのGUI,データーマイニング機能で十分だし、各サービスのGUIを楽しむのがとても楽しいから。ROONで統一されると返って・・・かな?










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B&W 800 歴代シリーズの聴き比べをしました。 [オーディオ]

都内某所のオーディオショップで、そんな興味深いイヴェントがあった。定員6名で抽選制。これは面白そうだな、と思い、ダメ元で申し込んでみたらすぐに確約の回答。さぞかし激混みの争奪戦なのだろうと思ったのだが、当日お店に行ってみると、なんと自分含めて2名しかいなかった。(笑)


店長さんも、いやぁこれは面白い企画だから、たくさん申し込みがあると思ったんですけどねぇ。
なんか予想外でがっかりですね。(苦笑)


店長さんの話だと、もともと中古でB&Wの800シリーズが、偶然とはいえ、過去一式のシリーズが集まってしまったのだそうだ。


Nautilus→D→Diamond(いわばD2)→そしてD3のB&Wの歴代シリーズが全部集まってしまった。


しかもこのデモの日の1週間後にSignature800も入荷予定だそうで、ついに800リーズ、全コンプリートすることになったそうだ。


年代的には言うと、Nautilus(2001年)→D(2005年)→Diamond(2010年)→D3(2015年)。


こうしてみると、B&Wは、5年間隔で新型SPの発表をしてきたことになる。
そうすると来年の2020年は、順当にいけば、ついにD3の後継バージョンが出る年だ。(本当?)


せっかく歴代シリーズが全部集まったんだから、じゃあ、同一ソースで同じときに聴き比べをしてみたら面白いんじゃないか? B&Wの技術の進化が実際その場、その瞬間で確認できるんだから、これは絶対面白いに決まっている!そんなことを体験したことのあるオーディオマニアって案外いないんじゃない?


そのショップの視聴ルームでのデモとなった。
正味1時間のデモ。そんなに時間がない。


800シリーズが全部って、どのように視聴ルームに格納されて、どうやって比較デモするのかな?とまず不思議に思ってしまった。


1時間も早くお店に着いてしまい、店内の展示品を見ながら時間をつぶす。
心はドキドキ。


そして2名で、視聴ルームに通されたら、こんな感じになっていた・・・(笑)


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カッ、カッコイイ!

そして美しすぎる!


壮観ですね。感動しました。


もうこれはオーディオマニアの方の間では有名な話ですが、B&WのSPって、真横から見ると男性の性器なんです。そして真上から見ると女性の性器なんです。そのように意図されてデザインされているんです。


数あるブランドのSPの中でも、まさにプロのスタジオでのモニターSPとしての王道の道を歩んできた。まさに堂々たる美しいフォルムです。


自分はオーディオマニアになってから、ずいぶんSP遍歴がありますが、でもずっとB&W一筋の人生を歩んでいました。その中でも800シリーズは最高峰。


送り手の駆動系含めたシステムはこんな感じ。


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エソのトラポに、プリ、パワーはマッキン。

デモソフトは4枚のCD。


(1)サラブライトマンの女性ボーカル。
(2)ベートーヴェン 9番第2楽章。
(3)Jazz Bigband系。
(4)宇多田ヒカル 女性ボーカル。


デモのやり方は、1世代づつ駆動系につなげて聴いて、終わったら、次の世代のSPにつなぎ替えて・・・その繰り返し。そうやって聴き比べをしていく。


B&WのSPは、底面にキャスターがついているからコロコロと床を転がして、交換していく訳だ。


こんな感じ。
最初はNautilus。写真では映っていないが、この左側に送り手側の駆動系がある。


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では順番に、印象を書いていってみよう。


●B&W Nautilus 800


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B&Wの最初のSPであるNautilus。そのフラグシップがこのNautilus800。これの塗装バージョン違いでSignature800というのがある。


Signatureの中はNautilusと同じで、塗装が違うだけである。


B&WのSPはなにをターゲット基準に新開発されてきたか、というと、”どんどん鳴らしやすくなるように!”というところだと言える。新型になればなるほど、簡単に鳴ってしまう、というところがミソだ。


この1番最初の頃のNautilusは、いかに鳴らすのが難しかったか!
簡単には鳴らないSPだった。


それこそオーディオマニアの腕の見せ所が試される。逆を言えば、いまの最新型のSPは誰もが苦労せずに簡単に鳴らせてしまう、簡単に鳴ってしまう・・・そんなところに特徴がある。骨のあるマニアの方は、最近のSPは簡単に鳴っちゃうから、すぐにいい音が出ちゃうから面白くないんだよね、という。苦労のし甲斐がない。なかなか鳴らないSPをいかに鳴らすように苦労するから、面白みがある訳であって・・・そんな時代のSPだった。Nautilusって。


でもクラシックのレーベル・スタジオは、いまだにこのNautilusが多い。プロは一度決めた自分のものさし、基準は簡単には変えない。どんなに新型が出ようが、スタジオはNautilusのままだ。でも最近はアビーロード・スタジオもD3にしちゃったし、そんなこだわりもなくなったのかも。


今回のデモのパワーはマッキンのMC462は、このNautilusを鳴らすには、ちょっと非力かもしれない、と店長さんは言っていた。ちょっと、無理がある。その後のシリーズは問題なく鳴らせるのだけれど、このNautilusはちょっと厳しいかな?


SPを鳴らすには、やっぱりパワーアンプが大きな影響力を及ぼす。
単にW数が大きければいいという問題ではなく、パワーからSPへ押し出す瞬発力の力があるアンプほど、SPを鳴らす能力がある。じゃあその瞬発力って具体的に、定量的に数字があるの?と言われれば、う~む、難しい問題。


ふつうはパワーアンプは、商品のグレードや価格帯などのランクで、判断しているところが多いのではないだろうか?


のちの新型バージョンと比較すると、Nautilusの特徴は、ツィーター(高域)がアルミドーム・ツイーターであること。そして、ウーハー(低域)がめちゃめちゃ固いことですね。後の新型になるほどウーハーが柔らかく、低域にスピード感と軽さが出ますね。このNautilusの頃の低域は、固いときはまともな満足な低音はでないのだけれど、こなれてくると、どっと押し寄せてくるような低域が出ますね。

でもちょっと重くて緩いかも?低域のリズムを取るのが難しいSPですね。自分はSignatureで相当この低域に苦労しています。いまでもですが。。。


デモソフトの最初のサラブライトマンをかけたら、予想以上によく鳴っていたので驚いてしまいました。ショップのデモや地方遠征のオフの時は、自分と同じSPでよく鳴っているのを聴かされると、青ざめますよね。


ヤバイという感じで。(笑)


でもその後のクラシックのベートーヴェンを再生したら、自分のところの鳴りとあまり変わらなくホッとしたりしました。

そのときに思ったこと。オーディオのこと考えるの久しぶりだったので、思い出しました。こういうデモの場合は、やっぱりポップスやジャズなどの女性ボーカルは絶対有利だと思うことです。
クラシックは不利ですね。同じものさしでは比較できませんね。


音の捉え方が違いますね。ポップスやジャズはオンマイク録音の音像型の録音。クラシックはオフマイク録音で、ホール全体を捉える音場型の録音。やっぱりポップスやジャズのほうが音の芯が厚く、定位感があって音がすごく良く感じる。デモ向きですね。時系列的にその後にすぐにクラシックをかけると、音が遠くて薄い感じがする。解像感や定位感も劣る感じがしてしまう。ワンポイントが基本だからある意味当然と言えば当然なのですが。ちょっと聴き劣りするような感覚になってしまう。


でも自分は普段オーディオでは、クラシックばかり聴いているから、そのことがわからないんですよね。その基準の中で暮らしているからわからない。その慣れた環境の中でいい録音とか、言って評価している。こういうデモのときに他ジャンルと比較して久しぶりに気づくという感じです。


これは単純にはどちらがいいとか、断言できないと思います。
クラシックの音の評価の基準はそれ独自に存在しますから。単純に他ジャンルとは比較できません。
評価基準と頭の切り替えが必要ですね。自分のオーディオ音楽脳は完全なクラシック脳です。


昔、オーディオの地方遠征で、クラシックの録音はよくない、と仰った御仁がいらっしゃったのを思い出しました。(笑)


今回のこのショップのNautilus800は、パワーが非力と言ってましたが、よく鳴っていたと思います。Nautilus/Signatureは自分のSPなので、想い入れが強く詳細に語りましたが、この後の新型シリーズは、自分の知らない世界のSPなので、印象だけサッと流していきます。



●B&W 800D


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前の世代のNautilusとの大きな違いは、ツィーターがアルミドームからダイアモンド・ツィーターに変わったこと。ネットワーク特性も18オクターブから6オクターブに切り方が変わった。位相特性も大きく改善していますね。


やっぱりサラブライドマンを聴いたときにはっきりと違うと感じたのは、音の拡がりや音場感が豊かに感じることですね。ベートーヴェンを再生した時も背景の空間の広さに結構差があるような気がします。でも自分が想像した思ったほど大きな違いではなかったですが、はっきり聴感上わかります。ダイアモンド・ツィーターの影響力は大きいと思いますね。


拡がりだけでなく当然ながら音の濃密度(情報量)も若干増えることと、これはオーケストラものを聴くとわかったのですが、各パートの分離度がよくなって混濁が少なくなりますね。Nautilusとの差はそれなりにあるかも?



●B&W 800Diamond


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言うところのD2と呼ばれている。その前のDとの大きな違いは、ウーハー。マグネットフェライトからネオジームへ変更。あくまで自分の駄耳での聴感上の印象ですが、この800全シリーズの中で、一番音がよくなったと感じたのは、このDiamond(D2)のときに切り替えたときでした。やっぱり低音が軽くなりましたね。低域にキレとスピードがあります。


ジャズなどでもベースのリズムが軽やかにリズムを刻むような感じで、音楽的に軽快な要素が強くなった。洗練された音ですね。前の世代のぐわっとくる量感的な低音がお好きな方はちょっと不満かもしれないけれど。ミッドレンジ(中域)、ツィーター(高域)もいい感じ。空間の拡がりや前後の感覚、オーケストラや声楽のパートの分離もよくなっていて、情報量が多くなったような印象ですね。洗練されたいい音ですね。自分はこのDiamondが好きですね。



●B&W 800D3


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Nautilus→D→Diamond(D2)までは、もう外観上のデザインを変えず、なんとかやってきたのだけれど、やはりこれ以上は限界。さらなる改善を図るには、もう大幅にデザインを変えるしかない。で、こういうデザインに。


もうあらゆる大幅な改善があるんだけれど、いままであまり変わっていなかったミッドレンジが、ケプラーから新型に変更。(名称忘れた。)世間巷では、みんなこのD3大絶賛してますよね。「スピーカーの存在が消えた!」とか・・・でも自分にはそこまでの衝撃はなかったです。(笑)


このミッドレンジの変更で音の立ち上がりは元より、ケプラー時代にあった音の立下り時のわさわさ感がなくなったとか・・・。


音のヌケ感がよくて、音の拡がりや濃密度(情報量)はさらに磨きをかけた感じで、みんなが大絶賛するのがよくわかる感じ。でも自分の駄耳では、D2のときのショックほどの衝撃がなかった。あまりそんな大きな差を感じなかったです。


自分にとって、オーディオというのは単に音がよければ最高。。。そんな単純なものではないです。
自分のオーディオ哲学に、”オーディオはインテリアである。”というのがあります。

オーディオは格好良くないといけない。


自分のリビングルームに置いて、音を聴くのはもちろんのこと、ずっとそれを眺めて生活していく訳ですから、そのデザインが、自分のお気に入りで格好良くなければ、自分の空間に自分の嗜好のもとにフィットしていないと、かなり苦痛だと思うのです。


そういう意味でデザインが自分にとって音以上に最優先かもしれない。
男性にとっての車に憧れるのと同じですね。格好よさ、フォルムの美しさがないとダメです。


そういう定義からすると、自分が気に入っていた以前のデザインを踏襲しつつ、音的にも衝撃的だったDiamond(D2)が自分の理想なのかな、と思いました。


800全シリーズを同一ソースで同じときに聴き比べて、その技術の進歩はかなりはっきりと聴感上わかります。技術の進歩はすごいと思います。


その進歩はなにか、と言えば、新しくなればなるほど、簡単に鳴りやすくなり、誰もが簡単にいい音が出せるようになったこと。そしてスピード、切れのある低域、空間の拡がり、情報量の多さ、3D的に空間表現が豊かになっていくということだと思います。


でも、自分はもうそんなにSPを買い替えるほどオーディオに投資するつもりは毛頭ないです。
音楽や旅行のほうにお金をかけたいです。(笑)











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30歳を過ぎると、新しい音楽を聴かなくなる。 [オーディオ]

村上春樹さんが初のラジオDJに挑戦した「村上RADIO」。興味深く拝聴した。どのように文章を書いているのか、その部分は自分もふだん日記を書いていることもあって、とても参考になった。

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もともと小説家になろうと思っていたわけでなく、誰かの小説技法を学んだという訳でなかった。
ずっと音楽関係の仕事をしていたから、その音楽から文章を書く書法だった。もともと音楽の人だということが、滲み出ているようで、文章にリズム感がある秘訣はそこにあるのだと納得した感じ。


村上さんの話で、ちょっと自分にも心当たりがあったのは、ヨーロッパなどの旅行先で小説書くときは、iPodのような携帯音楽プレーヤーで音楽を聴きながら生活したり、原稿を書いていたりするのだけれど(たしか、ノルウエーの森だったかな?)、それを何年も経った後に、その音楽をたまたま聴き返すと、そのときのその場、その風景が走馬燈に蘇ってくるという話。


これは自分にもドンピシャ。まさにその経験の嵐のようなところがあった。


昔、ベルギーで暮らしていた時、車のCDプレーヤーでホイットニー・ヒューストンの曲をもうエンドレスで聴いていて、24年以上も経過したいま彼女の曲を聴くと、本当に車の中から眺めていたあのときのブリュッセルの街並みが輪郭ハッキリ思い出すのだ。

それもかなり刻銘に。


つい最近では、夏、秋、春と3回に及んだ京都ツアーで京都市交響楽団の演奏を聴きに行ったとき、このときはiPodでサリナ・ジョーンズの曲をこれまたエンドレスでずっと聴いていた。そうするといまでも通勤時間に彼女の曲をよく聴くのだが、まさに信じられないくらい鮮明に、京都の街並みを歩いて寺院巡りや紅葉時期の混雑など、あの頃のあの様子が蘇ってきて、正直切なくなってきて、また無性に旅に出かけたくなったりするのだ。


いま聴いている音楽と視覚から入ってくる映像というのは、脳のどこかで、リンクして紐づいているんだろう。

逆に自分は、海外で旅行するときは、そういうiPodなんかで、音楽を聴いたりすることはしないようにしている。せっかくの海外の街並みは、通り過ぎていく市民の会話から街の喧騒の音まで、街並みの景観とリンクさせて体験しておきたいから。


あと、耳を音楽で塞いでいると、注意力が散漫になって、海外の場合、スリとかふくめ危険ですね。


ここでもうお分かりになったと思うが、自分が普段iPodで聴く音楽は、ポップスやロックやジャズなどの曲ばかり。クラシックも結構何曲か入れているが、ほとんど聴かない。というか聴いたためしがない。

やっぱりiPodで音楽を聴くのは、通勤時間と国内の旅先が圧倒的なので、そこでクラシックを聴くという選択肢はほとんどない。

だって長いんだもん。(笑)退屈してしまう。


こういうときは、3分位で終わるポップスが絶対いい。

逆に家でどっしり落ち着いてオーディオ・システムで音楽を聴くときは、ほとんどクラシック。
そしてコンサートに行くのもいまやクラシック専門。

なんかそんな使い分けをしている。もちろん意識している訳でなく、自然とそんな風。
そういうところで人間的なバランスを取っているような感じがする。

携帯音楽プレーヤーで聴くのは、やっぱりポップスが一番合ってると思う。
クラシックはそういうのに合わないと思う。(あくまで私の個人の意見です。)


自分はクラシック専門と思われている方も多いと思われるが、自分にとって、やっぱりポップスやロック、ジャズを聴く時間も必要。やっぱり幼少時代や若い時は、そういう音楽が専門で好きだったからね。

通勤時間なんて、なんというか、感情が抑揚するような、自分の精神がぐっと興奮してくるような、そんなポップスを聴くのが唯一の楽しみ。

これでアドレナリンが湧いてきて、仮想興奮状態に陥って、文章を書くときの気持ちの持っていき方とか、エネルギー源になっていたりする。


村上春樹さんが音楽から文章を書くトリガーを得ている、という発言を聞いて、まさにそこに我が意を得たり、という感じでうれしくなったりしたのだ。


一番最初の頃は、ソニーのウォークマンだったけれど、iPodに切り替えてからは、ずっとそちら専門。長いことiPodやっていると、ずっとCDリッピング&ダウンロードしてきた財産があるので、簡単に他のシステムに移れないのだ。それらの財産がパーになって、いちからリッピング&ダウンロードしなおさないといけないから。

ソニーの30万するウォークマン聴いてみたい気もするけどね。(笑)

いま使っているのはもう旧型のiPod。ハイレゾなんか全然無関係。mp3などの圧縮音源ですね。
でも音楽聴いている分ではぜんぜん気になりません。これで十分です。

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どんな曲が入っているか、というと恥ずかしいので、ちょいとだけ・・・bird,akiko,ホイットニー・ヒューストン,Keiko Lee,Mondo Grosso,Lisa,Sting,POLICE,スティービー・ワンダー,ビートルズ,カーペンターズ,宇多田ヒカル,平井堅,山下達郎などなど。圧倒的ボーカルものが多い。

通勤時間聴くのはやっぱりボーカルが一番いい。

ここで、今回の日記の核心をつくテーマなんだが、ふだん通勤時間に自分が聴いている音楽って、自分が若い時に聴いていた古い曲で、しかも連日同じ曲を何回も繰り返して聴いているような気がするのだ。

そこには、自分がいま流行っている新しい曲を開拓して聴いていたりするとか、今日はちょっと変わったこの曲などという選択肢は、ほとんどなくて、毎日同じこの快感、興奮を得たいから、毎度おなじみのこの曲を今日も再生。。。てなことを無意識に毎日やっているような気がする。


最近では日本でも音楽ストリーミングサービスがすっかり浸透し、スマートフォン一つあれば好きな曲をいつでもすぐに聴くことができるようになった。最新のヒットチャートから懐かしの定番曲まで、数千万曲もの音楽を低コストで手軽に楽しむことができるようになったのだが、その結果、かねてより言われていたことがデータとしてはっきり数値に表れるようになった。

それは「30を過ぎた頃から新しい曲を聴かなくなる」こと、さらには「同じ曲を繰り返し楽しむだけ」になりがちだということ。(笑)

ストリーミングだとそういう数値データがしっかり把握されてしまうんだな。ある意味プライバシーの侵害のような気もするが。

でも自分はストリーミングはやらないけれど、この数値解析はまさにふだん自分がiPodで経験している、まさにそのままで、まったくその通り、ドンピシャだと思った。

ある音楽配信会社の調査では60%のユーザーが同じ曲を繰り返し聴いているだけで、25%は好みのジャンル以外で新しい曲を探すことはないと答えているという。


音楽ストリーミングサービスのデータは、33歳になると人は新譜を聴かなくなるという客観的な事実も示しているという。

海外のデータではあるが、10代は人気の音楽ばかりを聴いているが、20代では年を取るにつれてトレンドを追いかける人は着実に減るそうだ。

そして33歳にもなると新譜を明らかに聴かなくなるという。


新譜を探すのを止め、同じ曲ばかりを聴くようなる。


なぜ年を取ると昔なじみの音楽ばかり聴いてしまうのか? 理由の一つは音楽が過去の記憶や感情を強く呼び起こす作用をもっているからかもしれない、のだそうだ。古い研究であるが、高齢者に青春時代の曲を聴かせると当時の思い出が強く蘇ることを実証している。


どうやら人は十代前半、特に13~14歳の頃に良く聴いていた曲を、その後もずっと聴き続けるらしい。

なぜそんなことが起きるのか? 一つは10代前半という成長過程にあり感受性の高い時期に強い感情と結びついた音楽からは、その後何年経っても同じような感情を味わえるからかもしれない、と考えられているからなのだそうだ。


音楽というのは我々が漠然と考えている以上に、人々の心に強い影響を残すものらしい。

なんか、この記事を読むと、自分がいままで無意識でやっていたことが、それは特に通勤時間帯に音楽を聴く、という過程においてだけれど、全部この最近の解析結果に当てはまるので、正直ドッキリと言うか、冷や汗たらりである。



そういうもんなんだね。

確かにいまの自分のiPodに入っている曲は、本当にお恥ずかしい限りだが、古いというか若い時代に聴いていた曲ばかりだ。


でもそう悲観ばかりもしていられない。


家でがっちりオーディオ・システムでクラシック音楽を聴くとき。

これは自分は、必ずレーベルが出す新譜を必ずチェックするようにしている。
新しい録音技術の成果を聴いてみたい、確認してみたい、という技術的な見地もある。
もちろんお気に入りのアーティストとか、自分のアンテナにビビッと引っ掛かったものになるけれど、そういう意味では、常に進歩もしている。

またクラシックのコンサートに行くときも、確かにアーティストありきのところはあるけれど、そのときにやる演目については、観客である以上は選り好み出来ないので、そういう意味でつねに新しいチャレンジはしているとは思う。

そうすると、自分の場合、クラシック、それにオーディオが絡んでくる分野では、つねに新しいものにチャレンジしているけれど、通勤時間のiPodで聴いている分野では、まさに解析結果どおり、若い時代に聴いた曲を毎日繰り返して聴いているだけで、新譜を聴こうとしない、という現象は確かに当て嵌まっていると言えると思う。



でも、だからといって、通勤時間まで、新譜を聴いて新しい分野を開拓するのって、ちょっと疲れないですか?(笑)

そういうのって家でじっくりやっている訳だから、通勤時間くらい息抜きというか、自分のマイポジションでいるのが、心地よいと思うんですよね。


ロックのライブなんて、いくら新作CD発売記念のワールドツアーと言っても、新曲ばかりのオンパレードじゃ盛り上がらなくて、やっぱりエンディングやアンコール、そして要所要所で、そのアーティストの18番のオハコの曲やってくれるから、それがファンにとって最高に盛り上がったりするわけで。。。

そんなセットリストは作成側は当然考えてるに決まってる。(近年で、ポール・マッカートニーやスティングのライブでの経験を言っています。(笑))

そういう自分が1番旬で多感な青春時代に聴いた、そのアーティストの18番の曲は永遠なのです。

気持ちいいと思うポジションは常にキープというか、そういう大事なところは常にどこかで確保しておかないと健康に悪いだけだと思います。


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画像は「Thinkstock」より引用







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ジャレット・サックスの強烈なインタビュー 技術編 [オーディオ]

Channel ClassicsのSACDやDSDファイルについているジャケットを見てもらえばわかると思うが、本当にこのレーベル独特のセンスのあるカラフルさで、自分はこのレーベルは、本当にジャケットにセンスがあると思っている。サウンドと同様にとても個性ある。

これも全部サックスがカメラマンなのだ。

しかもアーティストをどう構図の中にポーズをとらせて、収めるか、周りの装飾、デザイン含め、すごいセンスある。

ちなみにブックレットの中に挿入されている録音セッションのときの写真とかも、全部サックス。
クレジットにphoto by Jared Sacksと書いてある。

彼は、カメラのほうもかなり好きみたいだ。

そしてやはり1番驚くのは、Channel Classicsのアルバムの楽曲の良さ、音楽性の多様さ。所属しているアーティストも本当に魅力的だけれど、自分のレーベルに契約をしてもらうスカウト行為、そして、そのアーティスト達とどのような曲をテーマにして、レコーディングをやっていくか、を決めていく作業。

これ全部サックスが1人でやっているんだと思うんだよね。

とにかくディレクター兼プロデューサーなのだ。

全部自分が決めている。そして自分が動いている。

録音だけじゃないのだ。

こうしてみると、朝令暮改みたいだけど、やっぱりChannel Classicsは、ジャレット・サックスによるワンマンな会社と言っていいのではないか?

それは別に他人に任せられない、とかいう悪意的な意味ではなくて、本当に作品をプロデュースして作っていくこと自体が大好きで大好きで堪らないだけで、全部自分がやりたい、そういう純粋な気持ちからなんだと思う。

そしてスタジオも自宅。

HMVでもAmazonでもタワレコでのオンラインショップでもどれでもいい。Channel Classicsのラインナップを見てほしい。あれだけ、いろんなジャンルで、たくさんのクオリティの高いアルバムの数々・・・それが全部サックス中心に少数精鋭メンバーで作られたもの、という事実に驚愕するしかないだろう。

Channel Classicsというレーベルは、その華々しい作品群からは予想すらできない、じつはその実態はとても手作り感満載のレーベルだった、と言えるのかもしれない。




いよいよインタビューの後編、ぐっと技術的に掘り下げた内容になります。


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記者:

あなたは、Andress Koch氏のDSD over PCMでの再生の技術は成功すると思いますか?


サックス氏:

彼は、かなりテクニカル・サイドのほうに行ってるよね。私にとっては、DSDの優位性というのは、感情の起伏、深さ、そしていかにSPから音離れさせられるか?というところにあると思っています。それはもはやブロック形状の感覚ではないんですよね。

あなたが、PCMの音を聴くとき、SPからは文字通り、ブロック形状の音が聴こえるような感覚を持つと思います。そういう感覚は、DSDでは絶対起こらないのです。

DSDの音は空気のような存在のサウンド。その空気のような存在の音について語り合いましょう。


私にとって、もし、あなたがワイン・テイスティングをやるならわかってもらえるでしょうけど、録音はワイン・テイスティングのようなものでないといけないと思っているのです。なぜなら、他の人があなたが言っているところの意味を理解できないといけないからです。

あなたがサウンドを造る、そしてミュージシャンがやってきて、それを聴く。そして彼らが、それをどのように聴こえたのかを説明できないといけない。

私達はお互いを理解しないといけないですし、形容詞を使って、そのサウンドを表現しないといけない。なぜなら、彼らがヴァイオリンのEの弦をどのように聴こえたのかを彼らが説明していることを、理解するために、いちいち本を広げてられないからです。

私はすぐにその箇所に戻って、物理的に彼らが感じたレベルの正しさになるように、いろいろ調整しないといけないのです。そこには本類はいっさい必要ない。経験上からくるカット&トライの世界なのです。

特に我々のオーディオの世界では、他人が理解できるように、SPやAMPから放たれるサウンドが、どのように表現できるか、というその表現の言葉を探し出すことが大切な仕事なのです。

PCMとDSDのサウンドの違いを表現することは、さほど難しいことではありません。




記者:


あなたが、DSDは感情の起伏を運んでくる、そういうところに優位性があると語るとき、それは人々がDSDの音を聴くとき、それはより音楽を聴いているような感覚に近くなる、ということを意味している、と理解していいですか?



サックス:


まさにその通り!もちろん、人はそれぞれどのように聴こえるかは違って当然。コンサートで、まずあなたは、オーケストラの概観をヴィジュアルで感じることになるでしょう。

でも、もし実際そのサウンドを聴く段階になると、ここのコンサートホールの音響はいいかどうか、まず確認するはずです。

なぜ、あなたはそのとき鳥肌が立つくらい感動するのか?それはホールの直接音だけでなく、側方や後方からの反射音を聴いているからなのです。そして、我々は、それらの直接音、反射音の関係を、マルチチャンネルのフォーマットで、そのままキャプチャーしようとするわけです。

しかし、2chステレオのリスナーとして聴く場合、もう少し工夫してやる必要があるのです。
DSDは、とくにそのダイナミックレンジという観点から、それが可能になるのです。

高域では、音は空気のような感じの繊細さになると言うことができます。音楽は、まさにこの空気のような感覚が必要なのです。DSDを使うと、特に録音機材がどこにあるかという意識を分散させてくれるメリットがあると思うのです。DSDは優れています。

もし、私が録音したブタペスト祝祭管のマーラー1番「巨人」を聴くとき、そのサウンドの明瞭さ、そしてその深さの表現において、特に成功した録音だな、と感じます。

これが、まさに音を表現するための形容詞なのです。

しかし、結局のところ、やはり感情の起伏の表現、そこに行き着いちゃうのです。私にとって、そういう表現を実現してくれるフォーマットは、DSD以外にありません。



記者:

native DSDで録音しているのは、実際どのようなところがやってますか?



サックス:

スターターとして最初に取り組んでいるのは、PENTATONE、ハルモニア・ムンディ、BSO、そしてAlia Voxかな?

BISやLINNはやっていない。コンセルトヘボウでさえやっていない。なぜなら彼らは、いまのラジオ放送局の設備を使わないといけないから。

Challenge Classics(彼らは、私がずっと昔に教えていた生徒です。)の数枚のディスクは、native  DSDだね。おそらくドイツの中の15の小さなレーベルがnative DSDを採用している。日本のExton(Octaviaレコード)もそうです。

録音機材のフロント部分はいくつかの新しい機材となる。マイクプリアンプやA/D-D/Aコンバーター(Horusと呼ばれているMerging Technologiesのもの)は、扱いやすくなったね。すべてが1Box-typeに収納できるようになっているので。

まぁ、値段が高価ではあるけれど、昔に比べたら、それでもずいぶん安くなったもんです。そこが大きな違いかな?

私はサンプリング周波数 64Fs(2.82MHz)で録音している。特に最近は、さらに128Fs(5.6MHz)や256Fs(11.2MHz)でも録音できるようになった。オーディオファイル(オーディオマニア)は、サンプリング周波数が2倍になれば、それだけよくなると感じるかもしれない。

たとえば64Fsで録音することを考えましょう。そこから128Fsになると、周波数スペクトラム的にもノイズレベルがオクターブが急になって、さらに高域に追いやられて(ノイズシェーピング)扱いやすくなる。

でもそんな技術的なことは自分にとっては、あまり重要ではない。まずリスニング試聴テストをやらないといけない。


我々のビジネスでは、ポストプロダクションをやらないといけません。

しかし常時やるわけではありません。私はいつもステレオ2chにミックスダウンしないといけない。サラウンド音声のチャンネルは、ダイレクトにA/Dコンバーターを通るが、そのままミキサーを通過するわけではない。

その部分のデータを取り出して、ポストプロダクションを通さないマスターを造ることにしている。(言い換えれば、シグマデルタ変調のコンバーターを通す前)

ミキサーを通す前に、いくつかのEQをかけて、ある程度の音に装飾をつけないといけない。もちろんハイレベルのDSDになってくると、DXDのフォーマットにして、ポストプロダクションをやる、という方法もある。

現在、これが真のやり方というのが統一されている訳ではない。それは将来的に解決されるでしょう。

でもこれだけは確実なことは、この処理をするために、他の外部録音製作会社に委託するというソリューションはない、ということです。(笑)

もし、あなたがいわゆるRAWデータを聴いたとき、それをポストプロダクションした音と比較したとき、機材の周りの空気感や深さの表現に違いを感じることでしょう。それはグラデーションする前のプロセスのサウンドで、軽い程度だけど確かにその違いは存在します。残念ながら、それについて対応する策はありません。


192PCMとDSDの音の違いを、あなたは尋ねたいかもしれない。

その違いを聴こえるようになるには、まずあなたは、本当によいオーディオ機器を持っていないといけない。もちろん曲のレパートリーに依存することもある。私は特にダイナミックレンジという観点から、その比較をする。

もし192PCMのダウンサンプリングするなら、絶対に、その音はPCMの音として聴こえます。

私のGrimmのコンバーターは、とてもよい。私の特別の自家製のミキシング・ボードでつなげるんですが。そして私が最近の2年間で使っているバッテリー駆動のマイクのプリアンプ、そしてvan  del Hul T-3 cable、これらを使うとサウンドは信じられないくらい素晴らしいよ。

私のマーラー1番の録音をしっかりと聴いてみてほしい。サウンドはとてもオープン、大音量の音の部分でさえもその空気感が抜群です。感情の起伏、そして深さの表現は、あなたを包んで堪らない気持ちになるでしょう。

私は、ライブイヴェントにはなるべく接するようにしたほうがいいと思っている。そして録音のレビューもきちんと気にしたほうがいい。

私は、このライブと録音のレビューの2つのコンビネーションを参考にしながら、録音をやり続けています。



記者:


DSDの欠点は、編集できないこと。そこで、DSDの次なる改良プロセスとしては、DXDで編集できるようになることでしょうか?


サックス:

その通り。私がマーラー1番のRAWデータを君に送ることができたとしたら、その違いがわからなくなるでしょう。人々は私にオリジナル・マスターを要求してくることになる。

2012年でエキサイティングだったこと。私がネットコンテンツのDSDファイルを提供し始めたとき、DSD DACを提供できたメーカーは2社しかなかった。それがいまや60社を超える勢いなのです。

いま私はマルチチャンネルのDACを提供できるように働きかけている。Mytek, Oppo, and  ExaSoundなんかがリーディング・カンパニー。我々の方向性は、マルチチャンネルの方向に向いていることは間違いないことです。

将来、私は、普通のCDを造ることに戻りたいと思っている。

私が、いま直面している問題点は、ハイブリッドのSACDを造るとき、それをノーマルのCDの値段で売ろうとしたときに、そのマージン利益が限りなく小さいものとなってしまうことなのです。それに比べて、ダウンロードコンテンツでは、2chステレオとマルチチャンネルのファイルをまったくその同じ値段で造れてしまいます。

アメリカの問題は、実際のところ、ディーラーであるところのレーベル。ここ数年、彼らはSACDを扱いたいと思っていないし、またそのための普及の教育をしたいと思っていないところに問題があると思っています。これはこれからもずっと抱える問題でしょう。

だから、私はリスナーを教育するための雑誌とWEBサイトを必要としています。



記者:


あなたの録音の中で、ポストプロダクションを通さないRAWデータが含まれることはありますか?


サックス:

あります。かなりの部分ある。最初の頃の録音、Ragazze String Quartet (Haydn, Schubert,Widmann)新しい録音では、レイチェル・ポッジャーの守護天使。とか。。。


記者:


聴くときの再生システムは、どのようなものをお使いですか?


サックス:


15年前、私はとてもアベレージだけど、とてもリニア特性に優れたオランダのオーディオメーカーの2Way SPを録音のために購入した。

私はスタッフを持たないといけなかったし、いつもリスニングルームでは、教会のような信じられないような響きをもったアコースティックな音響のサウンドを聴かないといけないので、とてもベーシックなモニターに適したシステムのほうがいいと思うようになりました。

私は、10台のSPを購入。うち5台はうちのスタジオに、そして残り5台を出張先のロケーション用とした。

私の他のスタジオでは、マルチチャンネル用のB&W 803Dを5本にクラッセの5つのアンプが内蔵されたパワーアンプ、そしてカスタムメイドのプリアンプ、そして van den Hul のケーブルを使っている。

大体、出張先のロケーションのところで、ほとんどすべての編集は終わってしまいます。
ステレオで編集するとき。そしてマスターを造る瞬間のマルチチャンネルで聴くときのみ。

大体、普通の一般ユーザーは、95%の人がステレオ2chで聴いていると思うので、自分にはそれがベスト。加えて、マルチチャンネルのプロセスはとてもシンプルだからね。

ときどき、ステレオ2chのために、私はサラウンド音声のアンビエンスをちょっとだけ加えることがある。そのようにしないと、2chではコンサートホールの空間が表現できないから。

ミックスダウンを終わった後、私は台所や私のオフィスや息子のラジカセのところに持っていきます。

特にボーカルの部分、Barbara Hannigan が歌うBritten's Les Illuminations。

私は、いわゆるハイフェッツ・エフェクトのようなヴァイオリンの響き効果、また別の場所でのピアノやオーケストラの響きの部分を造って足しこむようなことをする人間ではありません。

というのは、声というのは楽器の一部。特にディクション(発音)は明快に理解できるように聴き取れないといけない。だから、ここに特別の注意を払う。だから違う部屋に行って、その声を邪魔しないように、十分周りが低いレベルかどうか聴いてみるです。


私は、2chステレオミックスは、出張先ロケーションでも十分納得できるまで造りこむ。
しかし、もし必要ならばソロトラックや他のトラックをあとで追加することもある。
だから私のステレオミックスでは、私は常に加えている作業のみ。取り除くことは絶対しない。

でもときどき、出張先で、話し声さえ聴こえずらい悪いロケーションに遭遇するときもある。
そのようなときは、ソロトラックは別のトラックに格納して、後で処理する。

しかし、native DSDマスターのときは、編集できないので、DXDにて、ポストプロダクションによって処理する場合もある。



記者:

一般大衆が、DSD DACを購入して、あなたの192PCMファイルを持っていたとしたら、DSDファイルとは違う対価になるべきだと考えますか?


サックス:

はい。異なった解像度には、異なった対価を払うべきです。

120年の長いオーディオの歴史の中で、最初の時代、シンプルなダウンロードでどれも全く同じ解像度クオリティのファイルしか存在しない、という信じられない時代がありました。オランダの問題は、21%のtax。我々はダウンロードのために25ユーロ払わないといけない。我々は、クーポン・コードシステムを作って、購入ごとにポイントが溜まり、その25%のtaxを減算していくような工夫をしています。


我々は、音楽配信サービスのNative DSD Music.comをスタートさせました。
DSDでの音源の2chとマルチチャンネルのファイルを供給する音楽配信サイトです。

すべてのレーベルが、そのサイトには、自分のページ領域が割り当てられていて、録音をプロモートできます。

ファイル形式は、DSFファイル。メタデータは、JRiverとコンパティブルなソフトウエア上では、ファイルにタグづけされます。

我々は、64Fs DSDだけでなく、さらに128Fs DSD、256Fs DSDも対応させていくつもりです。
DXDファイル形式も、録音時にいっしょに付加されます。

1ヶ月単位でたくさんのレーベルの録音がどんどん追加されますので、ぜひご期待ください!






DSDは空気のような存在で、音楽の再生はまさにそうあるべきだ、というのがサックスの主張。

世間一般的には、PCMはロックやポップスのようなメリハリの効いたアタック感のある曲に向いていて、DSDは、繊細で柔らかい質感で空間を感じやすいような特徴があって、クラシックに向いている、というような通説がある。

サックスはその繊細な信号レベルを表現できるところが気に入っているようだ。

あと、最近、アーティストの新譜をSACDでは造らなくなって、物理メディアはCDで出して、あとはネットコンテンツ(DSDファイル)でavailableというビジネスのやり方も、結局コストの問題だったんですね。

サックス自身がノーマルなCDの原点に帰還したい、という考えを持っていたのは驚きました。
すべて伏線があったということです。

このインタビューで、Channel Classicsのすべてが理解できたと思う。
公式HPなんかより、その核心をついた内容だと思う。

これで、最後の砦であった、このレーベルの日記をかけてホッと安堵です。

もう思い残すことない。(あれ?CHANDOSは・・・?(笑))







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ジャレット・サックスの強烈なインタビュー レーベル創立編 [オーディオ]

Channel Classicsに関する情報は、公式HPに通り一辺倒のことは書いてあるのだが、正直表面的で、自分にはイマイチ欲求不満であった。

スタジオの写真もネットで探してみたが、そのような類のものは一切見つからず、またディスクの中のクレジットも、録音スタッフは、JARED SACKSとあるだけで、創始者によるワンマンな会社で、結構クローズドで秘密主義のレーベルなんだな?とか思っていた。(笑)

これだけ魅力的なコンテンツを回転率よく新譜を回して、大変魅力的なレーベルで自分は大好きだったのであるが、どうもその素性がようわからん、という感じでミステリアスな感じだった。

その欲求不満を、このインタビューがすべて解決してくれた。
いままで謎に思っていたことをすべてジャレッド・サックス自身が、自分の口から喋ってくれた。


2014年にステレオファイルという雑誌媒体でインタビューを受けている。

https://www.stereophile.com/content/jared-sacks-dsd-present-and-future

ここにすべてが書かれていると思う。

この2014年というのは、いわゆるハイレゾが話題に成り始めた頃で、”ハイレゾ=DSD信仰”みたいな乗りが業界全体にあって、SACDはフォーマット普及としてはイマイチだったけれど、DSDはネット配信で開眼する、みたいな勢いがあった。(いまはハイレゾ疲れというか、マーケット的に売れてなくて、すっかり披露困憊らしいですが・・・(笑))

その広告スターとしてジャレッド・サックスがノミネートされ、「DSDの現在と将来」というテーマでインタビューを受けた、という感じだ。

2014年当時も読んで、そのときもずいぶんと衝撃を受けたが、4年後に、まさか自分が、このレーベルのことで日記を書くとは露にも思っておらず(笑)、再度読み返してみたら、本当にショックというか、生々しい、というか、自分にはかなり衝撃だった。


いまのオーディオ事情からすると、インタビューの中身自体は、2014年当時の古さは感じるけど、貴重な証言だと思う。

サックスの喋っている理論を、本当に自分が理解して和訳している訳ではないので、訳の文に自然さがないところも多く、字ヅラだけ追っている感じのところもあるが、容赦ください。

力作です!


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私はアメリカ人で、37年間オランダに住んできた。レーベル創立以来、妻と、2人半のスタッフだけで運営してきた少数精鋭の会社だった。

常に小さい規模をキープしてきた。すべてのことは私がやっている。妻はブックレットの作業を分担している。

録音が本当に好きで、他のレーベルのように録音はエンジニアに任せて、自分は録音に関わらない、という立ち位置も可能だったが、それは自分には合わないと思った。いまのレーベルはコピーされたものを受け取り、それを売るだけという会社が多い。

でも自分にはそれは耐えられなかった。自分は素晴らしいアーティスト達とレコーディングをすることがなによりも楽しかった。そのコピーを受け取り、単に売ることは、そのアーティスト達への罪だと考えた。

最初、私はホルン奏者だった。オブリン大学の2年生の夏のとき、スイスでオーケストラで演奏してくれないか、と頼まれた。

彼らからずっとこのオケに居続けてほしいと頼まれたとき、私はそうしたが、それが自分の人生の究極のゴールではないような気がした。

オブリンではラジオ局でディレクターをやっていた。そして同時にボストンのWCRVでインターンシップとして働いていた。自分もそのスタッフが好きだった。

スイスでコンセルトヘボウの第1ホルン奏者とギグをやったときに、アムスに一緒に勉強しに来ないかと誘われた。これはいいアイデアだと思った。スーツケースやホルンをそのまま残し、オランダ・アムスに行った。

彼のおかげで、自分の音楽大学での勉強は強制終了となった。私はいわゆるフリーランスの奏者となって、オーケストラでのホルン奏者となった。

私はKanaal Straatに家を買った。その家こそが、いまのChannel Classicsのオフィスになっている。1階は、アーティストの演奏するスタジオになっている。1900年初頭のRijks Museum のような塗装がされている。北側から陽が差し、ちょっとした高級な航海セーリングをしているような雰囲気だ。

私は室内楽が大好きだ。私のアンサンブルはすべてここでやっていた。

1982年か1983年ころ、月末の日曜日にコンサートを企画するようになった。
マイクロフォンを入手し、アナログで録音した。

コンセルトヘボウ設備会社は、古い椅子を売ってくれた。私はそれを50個くらい購入した。
私はバルコニーを造って、そこに人を招待することになった。

その当時は、私はまだ演奏していた。でもこれらの録音機材を所有していた。その頃になって、私は自分で演奏するより、こうやってプロデュースをやってコンサートをレコーディングすることのほうがずっと好きだと思うようになった。

1987年までに、私にデモテープを造ってくれ、という仕事の依頼が多く舞い込むようになった。特に歌手。

私の子供の頃、母親が毎週の土曜の朝にMilton CrossとMETでライブをやるので、子供のころからソプラノを聴き過ぎるくらいの経験があるので、今回も少々歌手に対して辟易な気分を抱くこともあった。




・・・ここから雑誌記者とのインタビュー形式。


記者:

ではSACDやDSDの話に行きましょう。あなたは、いわゆるSony/Philips系とは違う系列で、SACDレコーディングを始めた方の1人ですか?


サックス:

そうです。彼ら(Sony/Philips)は、設備投資に際し、ベータテストやプロモーションなど手助けが必要か聞いてきました。彼らは、私がソフトウエアの編集をやる隣の部屋にいたのです。

私はそこから40分離れたところに住んでいて、そこが同時に、唯一独立したSACDで録音するレーベルとなりました。

PENTATONEは、その後から参入してきました。ポリヒムニアのメンバーは、同様にそこによく手助けに来てくれました。でも唯一独立したレーベルだったのです。

私は、2001年に最初のハイブリッドのSACDを発売しました。Peter WispelweyによるRococo  Variations。(イアン・フィッシャーの)ブタペスト祝祭管弦楽団とも何度かレコーディングのトライアルをしました。BOXのものでは、彼らが最初の商品でした。

商業的な意味で、公式のSACDとしては、Channel Classicsのものが最初なのです。ドイツでレコーディング・セッションをやっているとき、Philipsのスタッフは、ある一つの部屋で作業をやって、私は隣の部屋で作業をやるなどのパラレル録音もありました。

その頃は、まだすべてがソフトウエアの処理ではなかった。そしてまだオープンなPCボードでの処理でした。当時はコンピュータ処理するのに、4か月かかったりして、数分間間隔でクラッシュしていたりしていました。(笑)

いまはソフトウエアで処理することが当たり前で、すべてシンプルにできてしまいます。私はMerging Technologiesのソフトウエア、そしてDSDの処理はPhilipsのソフトウエアで作業をやっています。

15編集単位で、コンパイルするようになっていて、私は200編集ぐらいの規模が必要でした。
コンピュータでの処理はまだ完全にハンドルできる領域ではありませんでした。

彼ら(Philips)は、SACDフォーマットをプロモートするために、いろいろ送ってくれて、私の録音もそれに沿って行われたのです。



記者:

あなたはかつて、南米に行かれたこともありましたよね?私が正しければ・・・


サックス:

私はボリビアに行ってました。Bolivian Baroque のレコーディングとして。ボリビアの至る所に行って、SACDのプロモーションをやってきました。SACDはどういうところにメリットがあるのか?マルチチャンネルがあればベストだけど、そうじゃなくて2chステレオでもメリットあるんだよ、みたいな・・・。



記者:

いまはまさにアナログとダウンロード型のハイレゾ(特にDSDフォーマット)の時代が来ますかね?私にはわかりませんけど・・・


サックス:

イエス! レコーディング機材の観点から、本当に信じられない時代です。悪い機材や悪い録音をすること自体が難しいことになるくらい進化している。

でも私の問題は、常にミュージシャン・ファーストだということです。
良質の録音、再生を楽しむという観点で、それらを利用してエンジョイしているだけです。

しかも私はオーディオファイル(オーディオマニア)ではありません。

私にとって、オーディオファイル用のレコーディングというのは、ピアノ録音のときにも、音をキャプチャーできるように、マイクをピアノのハンマーの上方や横のほうに設置するようなことのことをやるレーベルのことを言います。

私はそのようなことにあまり興味がありません。ユーザの方には、倍音が聴こえて、それがどのようにミックスされたのかが聴こえないといけなく、そして聴取距離が必要。もちろんそこが”(ワインの)テイスティング”とみたいなもんなんですが。。。

私は、Channel Classicsがオーディオファイル御用達のレーベルだ、なんていうつもりはサラサラありません。私はただ、DSDテクノロジーを使えることがハッピーなだけ。なぜならそれらは、もはや音楽を聴く方法でしかないからです。

それを使うことで感情(情緒)の起伏を表現できて、それを聴くことが可能になります。



記者:

あなたがDSDに行った理由は、感情の起伏のため?


サックス:

そう!絶対に。


記者:

あなたは以前はPCMで録音していましたよね?


サックス:

そうですね。最初の時代、1990年から2001年あたりかな。でもDSDはスーパー。
いまはハイブリッドのSACDであり、そしてダウンロード経由でも。
DSDは以前聴いたことのある音よりも、ずっと大きな改善がある。

私はいまでも改良を重ねてきた。2010年に、オランダの会社、Grimm(Philips系です。)の新しいコンバーターを入手した。ファンタスティックだった。

私が以前使っていたdCSやMeitnerのものよりずっとステップアップしている、と思う。ユーザはなにが起きたんだ?と思っていると思うよ。



インタビューは長いので、2部に分けます。






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Channel Classics レコード [オーディオ]

ポリヒムニア/PENTATONEや、Channel ClassicsのようにオランダにSACDを採用するレーベルが多いのは、Philipsの本社HQがオランダにあるからだ。Philipsの本社HQや研究所は、オランダのEindhovenにある。同じオランダ内のNijmegenにもブランチがある。自分がいたとき、Philipsでお付き合い含め、はっきりその存在の意識があったのは、他に、イギリスのSouthampton、そしてドイツのHamburg。遠い大昔の記憶では、Hamburgのオフィスは訪問した記憶がうっすらある。

当時、欧州最大の電機メーカーであったPhilipsは、それこそヨーロッパのどこにでもブランチはあったに違いない。

進化衰退激しい電機業界、自分の知っている当時のPhilipsは、どこまでその規模が現在まで維持されているのか、興味があるところではある。(笑)


そんなオランダのChannel Classicsを創始者ジャレット・サックスがどのように立ち上げてきて、現在に至るかを日記にしてみたいと思った。これでPENTATONE,BIS,myrios classicsと来て、最後の砦であるChannel Classicsを制覇できれば言うことない。あとは、CHANDOSくらいかなぁ。心残りなのは・・・。


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Channel Classicsは、ディレクターで、プロデューサー、そして録音エンジニアでもあるジャレット・サックスによって創立された。

まさに彼のワンマンの会社といってもよい。

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ジャレット・サックス氏はアメリカ人。ボストン・マサチューセッツで育った。アメリカ合衆国のリベラル・アーツ・カレッジ大学であるオーバリン音楽大学で学び、さらに渡欧してアムステルダムの音楽大学で15年間フレンチ・ホルンの奏者として学んだ。

ジャレットは、1987年に録音を自分の趣味にしようと決意した。

そして、ついにレーベルを創立。名前を当時、自分が住んでいたアムステルダムの街の通り名(Kanaalstraat)から由来して、Channel Classicsとした。


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ジャレットはオランダ人と結婚し、その妻、Lydi Groenewegen と、その他2人のスタッフ、そして所属するアーティストのCD/SACDとダウンロードファイルを世界にプロモートする30か国のdistributorとでレーベルを運営している。



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オランダとアメリカに二重市民権を得ているジャレットだが、2015年に、そのChannel Classicsの世界中への功績を讃えて、オランダの国王、Willem-Alexander王と、Maxima 王妃から、”Dutch-king”の称号を授与された。その背景には、英グラモフォンのレーベル・オブ・ザ・イヤーの受賞があることはもちろんである。


Channel Classicsの録音の歴史は、YouTubeとしてフィルムを作成している。

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ジャレット・サックスは、2014年にステレオファイルという雑誌媒体でインタビューを受けている。自分が昔読んだインタビューはこれだったかもしれない。

Channel Classicsの創立時代の想い出から、SACDビジネスの立ち上げの時期、そして彼の絶対的なDSD信仰、かなり読み応えある。

2014年ころだから、いまのオーディオ事情からすると、ちょっと昔感あって古い感じもするが、貴重なインタビューであることに違いはない。これはみんなにジャレット・サックスという人をわかってもらいたいためにも、和訳しないといけない。

これがかなりの長文インタビューで和訳大変。(笑)

ちょっと別途日記にする予定。いましばらく時間をください。



そのインタビューで詳らかにしているのだが、このChannel Classicsについて、自分には長い間、大きなナゾがあった。

それはスタジオの写真がないこと。

一生懸命、ネット、SNS含めて探してみるのだが、まったく見当たらない。
これはやっぱりスタジオの写真は公開しない、という彼の大きなポリシーがあるのではないか、と考えていた。

そうしたら、そのインタビューを読んだら、そのナゾが一気に解けた。

Channel Classicsのオフィスというのは、ずばりオランダのKanaal Straatにあるジャレット・サックスの自宅のことだったのだ。(笑)

それは公開できんわな。(笑)

ジャレット・サックスはもともとはアメリカ人だが、オランダに移住した時に家を購入して、そこをレーベルのスタジオ兼にした、ということらしい。

モニターSPは、B&W 803D×5本で、パワーアンプは、CLASSE 5200で、これが5つのアンプを1筐体に内蔵しているタイプのもの、やはり5つのパワーをバラバラで使うより、ずっと性能面でいいんだね。そしてプリアンプが自家製のカスタムメイド。プリを自作する人、多いですね。

現場での録音機材としては、マイクプリアンプやA/D-D/AはMerging Technologiesを使っている。もちろん教会やコンサートホールに出張録音するのが基本であるから、それらをハンドルしやすいように1Boxタイプのまとめてあるようだ。(パッと見たところマイクの情報はなし。後でよく確認しておきます。)

サックスは、じつは大の室内楽好き。ちょっとしたアンサンブルが演奏できるようなスペースも自宅にはあるようだ。



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サックスのことを、自分はワンマンと一言で片づけてしまったが、そのインタビューを読む限り、ちゃんとしたポリシーがあるようだ。

アメリカ人で、37年間オランダに住んできて(その間結婚もした)、レーベル創立以来、妻と、2人半のスタッフだけで運営してきた少数精鋭の会社だったようだ。

常に小さい規模をキープすることをキモとし、すべてのことはサックスがやっている。妻はブックレットの作業を分担しているそうだ。

録音が本当に好きで、他のレーベルのように録音はエンジニアに任せて、自分は録音に関わらない、という立ち位置も可能だったが、それは自分には合わないと思ったらしい。いまのレーベルはコピーされたものを受け取り、それを売るだけという会社が多い。

でもサックスにはそれは耐えられなかった。自分は素晴らしいアーティスト達とレコーディングをすることがなによりも楽しかった。

そのコピーを受け取り、単に売ることは、そのアーティスト達への罪だと考えた。

そこに彼の原点がある。

だからワンマンというよりは、本当に彼がやっている、というのが正しい。


このインタビューを読んで、もっと驚いたことに、SACDのフォーマットが世に出て、世界で最初のハイブリッドのSACDを出したオリジネーターは、Channel Classicsなのだそうだ。フィリップスのPENTATONEは、その後に参入というタイミングらしい。

サックスはアメリカ人で単身オランダに移住してきた、いわゆるコネクションなし。いわゆる非Sony/Philips系の人で、そこからSACDビジネスを立ち上げるのは、いろいろ苦労したようだ。当然、その録音機材含めて、設備導入にあたって、Philipsとかなり綿密にコンタクトしていたことが、そのインタビューで告白されている。

いまのポリヒムニアのメンバーも、自宅に手伝いに来ているとか、やっぱり同じオランダ、狭い世界なんだね。(笑)

みんな繋がっているんだよ。(笑)

サックスのDSD信仰はすざましいものがある。これはインタビューを読んでみると、刻刻と感じるのだが、そこまで好きじゃないとやってられないよね、という気はする。

とにかくそのインタビュー記事の和訳を楽しみにしてほしい。


ちょっとHPや公式FBのほうから写真を拝借してみます。

まず録音セッション。

ブタペスト祝祭管弦楽団との録音。イアン・フィッシャーと関係者でディスカッション。

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ベルリン・イエス・キリスト教会にも現れます。(笑)

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レイチェル・ポッジャーの録音セッション。

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その他にも・・・

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Channel Classicsのサウンドを聴くと、楽器の音がすごい前へ前へ出てくるような感じで、エネルギー感や鮮度感が抜群なので、かなり楽器の前にビタッとスポットマイクが乱立していてオンマイクで録っていて、それをいじっているのかな、と思ったのだが、これらの写真を見ると、そんなに極端でもないようだ。

インタビューでも言っていたのだが、ジャレット・サックスは、自分はオーディオファイル(オーディオマニア)ではない、だからマイキングなどレーベル常識にこだわらない、というようなことも言っている。

常にミュージシャン・ファーストの立場だと言っていた。

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ジャレット・サックスのプレゼンテーション。

SPにGrimmオーディオのを使っている。GrimmはオランダのPhilips系のオーディオメーカーで、アムステルダム・コンセルトヘボウの屋根裏部屋のポリヒムニアの編集室のSPも、以前はB&W N805を使っていたが、いまはこのGrimmオーディオのSPを使っている。

オランダにPhilips強し!ですね。


たくさんの魅力的なアーティストを抱えるChannel Classicsであるが、自分が注目している女性ヴァイオリニストがいる。


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ロザンヌ・フィリッペンスというオランダ人の新鋭ヴァイオリニストで、ご覧のように、ふくよかな感じのいかにも女性らしい美人である。


オランダのハーグ王立音楽院、ドイツのハンス・アイスラー音楽大学でヴァイオリンを学び、2009年のオランダ国際ヴァイオリン・コンクールで第1位、また2014年のフライブルク国際ヴァイオリン・コンクールでも見事第1位に輝いた、というオランダの華麗なる才女だそうである。

こういう地元の優秀なオランダ人アーティストを、しっかりキープするのは、オランダのレーベルとしては、至極当然のことなのだろう。

自分が思うには、Channel Classicsの次世代を背負うホープで、レイチェル・ポッジャーの後任は彼女しかいない、と思っている。新作が出るたびに聴いているが、実力も確かだ。

あとは、ポッジャーの古楽&バロック・ヴァイオリンのように、自分の音楽の方向性をどのように持っていくか、が大きな課題だろう。


ロザンヌ・フィリッペンスの最新作はこちらになります。 


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ヴァイオリン協奏曲第2番、無伴奏ヴァイオリン・ソナタ、他(プロコフィエフ)
ロザンヌ・フィリッペンス、タウスク&ザンクト・ガレン交響楽団、他

https://goo.gl/soFdMm

残念ながら、Channel Classicsは、このサックスの判断なのか、ネットビジネスに移行しつつあって、SACDはレイチェル・ポッジャーやイアン・フィッシャー&ブタペスト祝祭管のような看板スターしか出せないようになってきた。

このロザンヌ・フィリッペンスも最初の頃は、SACDを出してくれていたのだけれど、最近は物理メディアはCDのみ販売で、あとはダウンロード型のファイル(DSDファイル)のみavailableというビジネスのやり方だ。

このChannel Classicsが立ち上げたダウンロード型音楽配信サイトが、Native DSD Musicというサイト。


Native DSD Music

https://www.nativedsd.com/


まさにDSDファイルに拘った音楽配信で、PENTATONE,Channel Classics,LSO LiveなどいわゆるDSD音源を持っているレーベルだけを寄せ集めた特殊なサイトで、いま覗いてみると、なんと、61レーベルの参加、1410のアルバムを格納しているようだ。

そんなにDSDレーベルってあったっけかな?(笑)と思ったが、マスターがPCMでもDSDのファイルに変換してるんだろう。

DSD256(11.2MHz)まで対応している。

強烈なDSD信仰のあるジャレット・サックスらしいビジネス。

2015年ころにちらっと覗いて、実際ダウンロード購入したことも数回あるが、自分の家はマンションのナローバンドなので、ダウンロードは時間喰ってちょっとキツイ。

懲りて、以来縁遠かった。

最近はダウンロードよりもストリーミングのほうに世の中流れているので、日本のPrimeSeatと協力して、DSDストリーミングの実験をやっているような告知も観た。

PriemSeatはライブ演奏をストリーミングする”ライブストリーミング”が、ふつうでは得られないコンテンツということで売りなのだが、この実験で普通のDSD音源もストリーミングするつもりなのでしょうか?(笑)


ネットに移行するのは仕方がないにしても(クオリティはまだ不満です)、ネットサービスは2chが基本。サラウンド・コンテンツのファイルも用意されていることはいるが、それに対応するUSB-DACなりのサラウンド用DACというのが、あまりお目にかからない。

I/Fとかどうやるのかな、とも思うが。

サウンド・クオリティ含め、SACDのメリットは、やはりサラウンド再生。
これが実現しないと、自分はやはりまだネットコンテンツにはあまり興味が湧かない。


Channel Classicsがやっている、このNative DSD Musicも推奨サラウンドDACというのを掲載しているが、自分にはイマイチ。(笑)まだ次世代ステップなのだろう。



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彼らが推奨している内のひとつのマルチチャンネルDAC。
New “Mark II” edition of exaSound’s popular e28 Multichannel DAC

実際日本で使用されているユーザの感想も読んだことがある。

まぁ、まだ自分には先のことで眼中にありません。
オーディオに散財するのは、虚しくなるだけなので、もうやめようと思っているので・・・(笑)


強烈な印象だったジャレット・サックスのインタビュー記事。当時2014年だから4年も経過している訳で、移り変わりが激しいオーディオ業界、いまのサックスの考え方はどのように変わっているのか?

Channel Classicsは今後どのように変わっていくのか?

おおいに興味がわくところではある。









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オレがこの25年間で録ったベスト25テイク [オーディオ]

Channel Classicsを、単なるオーディオマニア御用達の高音質指向型のマイナーレーベルだと侮ってはいけない。

彼らは、あのクラシック界で権威高いイギリスのグラモフォン誌で、2015年に”レーベル・オブ・ザ・イヤー”を見事受賞しているのだ。

Label of the Year 2015 "Channel Classics" GRAMOPHONE

https://www.gramophone.co.uk/awards/2015/label-of-the-year

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受賞する創始者ジャレット・サックス


この年は、ちょうどレーベル創立25周年にあたる祝年でもあった。
この受賞はインディーズ、いわゆるマイナーレーベルとしては、画期的な事件だった。

英グラモフォンといえば、選考員および一般大衆による投票によって決められる賞で、アーティスト、曲、アルバム、レーベルなどカテゴリーごとにその年の最も印象的だったものを選ぶもの。

ここに選ばれることは、とても名誉なことだ。

メジャーとインディーズの垣根の定義は正直難しい。アーティスト、そしてレパートリーなどのマーケットが大きいメジャー、そしてそれらがニッチ市場であるインディーズ。

今回、そのまさにインディーズの代表でもあるChannel Classicsに受賞という大きな名誉が与えられたのは、メジャーでは至極当たり前に行われている、アーティストがレパートリーを増やしていく過程に伴うリスクを許し、さらに彼らを積極的にサポートしていくその姿勢が、評価されたというのが理由であった。

まさにインディーズでこれがやれている、というところを評価された訳で、まさにインディーズ代表としての受賞と言ってもよかった。

Channel Classicsを支えている大黒柱は、英国人のレイチェル・ポッジャーとハンガリー人のイアン・フィッシャー(ブタペスト祝祭管弦楽団)。

彼らが、この25年間にこのレーベルでリリースしてきた膨大なレパートリーは、まさにこのような大きなサポートがなければ実現しなかった。

この2人の他にもたくさんのとても華やかなアーティスト達が在籍している。

同時に、このレーベルのサウンド・クオリティーも大きな評価の対象であった。
創始者、ジャレット・サックス氏による新しいレコーディング・フォーマットに挑戦し続けるあくなき探求心にも称賛の対象であった。

”アーティストと録音技術”。

レーベルにとって、最も大切なこの2要素が、素晴らしい、メジャーなみと評価され、まさにインディーズ代表としての受賞と相成ったわけだ。


そんなその年のグラモフォン受賞の記念、そして創立25周年を祝してリリースされたのが、この記念盤。SACDではなくCDである。 

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「オレがこの25年間で録ったベスト25テイク」というのは、自分が勝手につけた邦題である。(笑)正式名称は、「JARED SACKS 25 Takes From 25 Years of Recordings」。

自分は、これをどのように入手したのか覚えていないのだけれど、Channel Classicsのアルバムをまとめて何枚か注文したら特別にもらった記念盤だったような覚えがある。

先日のレイチェル・ポッジャーの日記を書くときに、彼女のディスクをまとめてラックから探しているときに、偶然に見つけた。

普通の販路では売っていないディスクであるが、Channel ClassicsのHPでネット経由で購入できるようだ。

https://www.channelclassics.com/catalogue/SEL6615-25-Takes-from-25-Years-of-Recording/


物理メディアのCDだけでなく、デジタル・ファイルも存在する。こちらはDSDファイルだ。
DSD64(2.8MHz)で、2chとMultiChannelが存在する。

自分は、CDで持っていて、先日発見するまで新品未開封だったのだが(笑)、今回聴いてみた。
レイチェル・ポッジャーからスタートして、本当にじつにバラエティに富んだアーティスト、そして選曲。

中心レパートリーである古楽を中心に、大編成のオーケストラ、ピアノ、アカペラ、合唱に至るまで、ひとつのレーベルでよくこれだけ、いろいろなジャンルに溢れているのが信じられない。

このレーベルは、普段はSACDサラウンドで聴いていて、そのサウンドの印象はポッジャー日記で書いた通りだが、CDで聴いても全然いい。その録音のよさがわかるし、やはり独特のサウンドだ。

やっぱりサウンドって、マスターからユーザー宅に届けるまでのフォーマットがどうこう、というより、やっぱり収録現場での収録、そしてその編集の部分で、優秀録音になるかどうか決まってしまう、パーセンテージが大きいと思う。(まさに収録するときの諸元の高さは最重要。伝送フォーマットのレベルアップは、その助けにはもちろんなるとは思いますが。)

昨今のハイレゾブームに応じて、CDを馬鹿にする風潮にある中、あえて、そのブームにチクりと嫌味を。(笑)

いい録音というのは、CDで聴いても、じつに素晴らしい音なのだ。
CDをちゃんと再生できない人が、ハイレゾに先走ってもその効果はたかが知れている。(笑)

この記念盤、本当に素晴らしい!

Channel Classicsの25年間がすべて詰まってると言っていい。

ぜひ聴いてみてほしい。






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PENTATONEの新契約 [オーディオ]

2人のビッグ・アーティストと契約。ビッグ・ニュース!数年前までは、オーディオマニア向けの小さなマイナーレーベルという認識だったけれど、近年の躍進ぶりは驚くばかり。

1人目は、マグダレーナ・コジェナー。ご存知サイモン・ラトルの奥さん。

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バロックから現代音楽まで幅広く歌えるメッゾ・ソプラノ。ラトルと結婚してからは、ベルリンフィルの独唱ソリストとして呼ばれることが多い。

録音も、旦那様関係が多く、DG,EMIから数多くリリースされている。

PENTATONEとは長期間の契約を結んだそうだ。複数枚のアルバムがリリースされる予定。

自分はコジェナーは、ベルリンフィルのDVDやBlu-rayでよく拝見していた。
旦那さまのラトル&ベルリンフィルのマタイ受難曲のBDでの彼女の熱唱、熱演はすごく良かったと記憶している。

でもCDとしてオーディオの対象として聴いたことはないのだ。

いままでは、DG,EMIやARCHIVEの多数のレーベルからアルバムをかなりリリースしているようだ。なぜ、彼女のような大物がPENTATONEなの?という素朴な疑問も湧くのだが(笑)、このニュースリリースを聞いて、ドキッとしたことは事実。やるな~という感じ。

これをいい機会に、彼女の歌をオーディオの対象として聴いてみよう。
5.0サラウンドで聴けるのだから、とても魅力的だ。

なんといっても美人で映える存在、スターのオーラありますよね。
語学力がマルチリンガルで堪能で、オペラ界ではうるさいディクション(発音)も素晴らしいそうだ。


2人目が、いま売り出し中のアメリカの若手チェリスト、アリサ・ワイラースタイン。これまたビックリポンのニュース!


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乗りに乗っている将来有望株の若手1番手で、DECCAの看板スターでもあるのに、なんでPENTATONEなの?(笑)という驚き。

multi-album dealとあるから、これも数枚リリースの契約のようだ。

今回の新譜は、今年8月にリリース予定で、ウィーン楽派(ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン)と、新ウィーン楽派(ベルク、シェーンベルク)などの曲を取り上げ、ハイドンの2つのコンチェルトとシェーンベルクの曲の3曲構成の予定。

なんでもノルウエーの弦楽室内合奏団のTrondheim Soloistsのメンバーとしての契約を結んで、今回の録音は、その最初のコラボの一環のようだ。

じつは、彼女も自分はCDとしてオーディオの対象としてじっくり聴いたことがないのだ。

でも、2011年のイギリスで開かれたベルリンフィルのヨーロッパコンサートでの録画が超印象的で、それを何回も何回も擦り切れるくらい観ていた記憶がある。

このヨーロッパコンサートのとき、彼女は、まだ無名の新人で、そのときの指揮だったバレンボイムが、自分のかつての奥さんであったジャクリーヌ・デユ・プレに相通じるものを感じての大抜擢という舞台裏だったと記憶している。

眩しい赤いドレスを着て、強者のベルリンフィルに対して一歩も後を引かない堂々とした熱演に、自分はくぎ付けになった。

何回も何回も繰り返し観た。素晴らしい新人が出てきたなーとたいそう感心したのだ。

それから7年経過した訳だが、彼女のCDは買ってないけれど、その大活躍ぶりは、メディアを通じてよく知っていた。だから今回の契約成立のニュースは心底驚いたし、久し振りに彼女の存在を認識した。

これもいい機会だから、5.0サラウンドで堪能してみるか?(笑)

弦楽合奏団で、優秀録音でさらにサラウンドであれば、その弦の音色の立ち具合など、楽しめるに違いない。

高音質が売りのオーディオマニア向けのマイナーレーベルだったPENTATONEも、いまやその抱えるアーティスト陣はとてもスター性を兼ね備えた有望株ばかり。アーティスト陣が豊富だとレーベルのイメージも明るくなりますよね。

やぱりレーベルは、単に技術志向だけじゃダメだと思います。

「音が良ければ、売れなくてもいい」では、あまりに寂しいものがある。

優秀な技術スタッフだけではなく、それを支えバックアップしてビジネス基盤を作る優秀なプロデューサーがレコード会社にはやっぱり重要なんだということを認識しました。


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DG祝120周年 カラヤンボックス [オーディオ]

カラヤンは、DGに生涯330枚のLPの録音を残した。


カラヤンが残した1番の功績と言ったら、アナログレコードで一般大衆にクラシックを啓蒙したこと。まさにクラシックを大衆文化にした人だった。それまで、クラシックって一般大衆にとって敷居が高かったし、ごく限られた階層の人々の娯楽で、また楽しめる音源も少なかった。


DGビジネスを支えてきたのも、このカラヤンの膨大な録音であったことは言うまでもない。


自分はそれまで単盤でカラヤンの録音をずっと集めてきたのだが、2008年にカラヤン生誕100周年という一大イヴェントがあって、ボックスものが一斉に発売された。そのときダブりは覚悟の上、このボックスものを片っ端から買いあさって、コレクターした。大変な出費だった。たぶんかけた費用総額50万は軽く超えていたと思う。あれから10年経って、今年2018年にカラヤンの生誕110周年記念。例によって、またカラヤン・ボックスが発売された。


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ヘルベルト・フォン・カラヤン DG、DECCA録音全集
(330CD+24DVD+2ブルーレイ・オーディオ)




値段が10万円ってずいぶん安くなったもの。びっくり。10年前は、DG全集だけで、30万はした。今回のボックスは、DG全集だけでなく、DECCA録音も網羅されていて、さらに映像ソフト全集も網羅されている。これで10万で売るというのは、やっぱり10年前に比べて、すごい進歩があると思う。


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自分が感心したのは、CDを収める紙ジャケが全部、1枚1枚、当時のLP時代のオリジナルジャケットをちゃんと踏襲していること。これは嬉しい心配り。自分が買ったDG全集300枚セットは、全部同じ絵柄だった。さらに10年前にもついていた木製のラックも、今回も常設されている。


こういうカラヤンボックスは、もう区切りのいい年度に渡って、毎回発売されるいわゆる定番ビジネス。これからも120,130,140・・・ってな感じで、10年サイクルくらい(あるいは5年サイクルでもやるかな?)で繰り返されるキラービジネスなんだと思う。


ボックスの魅力とは何なのか?


それはやはりその演奏家、音楽家の全ての作品が網羅されている、それを購入することで、達成感を得る一種の音楽ソフトマニアのコレクター癖をくすぐるような感覚なのかな?と思う。


はっきり言って、こういうボックスもんを買っておくと安心しますよね。
その指揮者、演奏家に対する征服感というか・・・。


逆に演奏家側や製作者側からしても、たとえばベートーヴェンの交響曲全集など、全集を録音して発売することは、ひとつの大きなイベントで、その作曲家に対する克服感、達成感などがあるんだと思うのです。コンサートならいわゆるチクルス(全曲演奏会)。


ところが最近思うのは、こういうボックスもんを買っても普段聴かないのだ。
ボックスを取り出して聴く、というのはなぜか気が重い。


やっぱり普段聴きやすいのは単盤のもの。単盤のほうが、その盤に対する印象度や思い入れが深く印象に残りやすい。だから棚の膨大なソフトからアクセスする頻度が多いのは、やはり単盤のものが圧倒的に多い。ボックスはいわゆる百科事典的な使い方で、この演奏家のこの年代の録音が聴きたいなどのときにとても重宝するのではないか、と思うのです。


でも全集やBOX-CDの場合、その目的の盤を探し出すのが大変。

必ず冊子として入っている目次を見ないとどのCDなのかアクセスできない。 
今回発売されたカラヤンボックスは、ここら辺のアクセスの問題は、どこまで改善されているのだろうか?結局普段気軽に聴くというのではなく、百科事典的な役割になってしまうのは、まさにここがネックですね。




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この写真は、10年前の2008年に購入した一連のカラヤンボックス。

一番下の木製ラックに入っているのがDG全集ボックス。300枚は超える大全集で、当時30万はした。当時カラヤンは単盤でも結構持っていたので、ダブりになるし、買うかどうか、相当悩んだのだけれど、やっぱり全部揃えるというコレクター魂に負けてしまった。


その上が、カラヤンの映像ボックス。ソニーのカラヤンの遺産シリーズですね。カラヤン&ベルリンフィルの映像素材が全部コレクターされている。


その上が、EMI全集。これもEMIでの録音音源を集めたボックス。
あと写真に写っていないけれど、DECCA録音集ボックスもある。


カラヤンの映像ボックスは、「カラヤンの遺産」シリーズを収めたもの。
こんなお洒落なボックス仕様だった。(なんと指揮棒もついている!)


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これも一通り観たが、やっぱり思うのは、カラヤンって映像ソフトのセンスはまったくないな、ということ。(笑)


これは業界一般に言われている定説なのだが、カラヤンの造った映像ソフトは、かなりつまらないのだ。見ていて、まったく面白くない。カラヤンは、指揮者&音楽家にとっては珍しいくらいの技術マニアで、自分の映像素材を後世に残すべく、その記録媒体の技術動向には相当関心を持っていた。当時のビデオディスク(後のレーザーディスク)の行く末に深い関心を寄せていた。


もちろん他人に任せっきりにする人ではないので、自分が、その撮影時点からその映像作りに口を挟むどころか自分が主導でやっていく。ザルツブルクの自宅の地下室に編集室があって、そこでカラヤンは自分の映像素材の編集作業をしていたのだ。なんでもソニーの機材でびっしり固められていて、それを大賀典雄さんに見せて自慢したとかの逸話も残っている。


ずばりカラヤンの創るオーケストラ映像というのは、作られた映像なのだ。
プロモビデオみたいな感じで、かなり人工的で意識的に作られた演奏画像。
スタジオを借り切って、もしくはコンサートホールで観客を入れず、一糸の乱れも許さないような画一的なプロモビデオ。


これは観ている立場からすると、一回観たら飽きてしまう、というか、かなりつまらない。


オーケストラ映像というのは、いわゆるライブ収録、録音が、臨場感、いわゆるライブ感があって面白い訳であって、現在昨今のオーケストラ映像は、100%こちらだ。


でもカラヤンは、このライブ映像が大嫌いだった。
「あんな雑な映像のどこがいいんだ?」
というのが、彼の常日頃の発言で、彼のオーケストラ映像に対する考え方。


上のカラヤンの「カラヤンの遺産」ボックスに納められている膨大な映像素材は、ほとんどこのプロモビデオ的な撮影手法によるもので、正直つまんない&飽きてしまう映像そのものの集まりだった。


唯一数点の映像素材のみがライブ収録されているものがあって、特にベルリンフィル創立100周年記念コンサートということで、ベルリンフィルハーモニーで開催された「ベートーヴェン交響曲第3番(英雄)」の演奏、これは最高の出来だった。


自分が観てきた英雄のライブ演奏の中でも3本の指に入る屈指の作品で、まさにこれぞカラヤン&ベルリンフィルといった演奏。シュバルベ&ブランディス&シュピラーといったカラヤン黄金時代を支えてきたコンマス3人体制に、まさに女人禁制だった時代のオーケストラの独特の世界を描き出していた。


このカラヤンの遺産の映像素材は、カラヤン×大賀さんの商談により、ソニーが版権を取って、ソニーから出された。でも商品化されるまで時間が結構かかって、いつまでも商品化されないので、業を煮やしたエリエッテ夫人から、いつになったら商品化されるのだ?というお手紙をソニーにいただいた、という話を友人から聞いたことがある。


大賀さんが後世に、ザルツブルクにあるカラヤンのお墓詣りをしたときに語っていたことで印象深かったのは、「残念なのは、カラヤン先生は、ハイビジョンという存在を知らずして亡くなられた。もしそれまでにご存命であったならば、ハイビジョンでもう一回ベートーヴェンの交響曲全集を撮ろうと仰ったに違いない。」と述べられたことだった。


ということで、このカラヤンの遺産ボックスは、1回見たらあとは、お蔵入りという感じなのだが、たとえば、カラヤン体制を大いに揺るがせたザビーネ・マイヤー事件で、試用期間中のマイヤーが、クラリネットを当時のベルリンフィルで吹いている姿なんかが写っていたりして(アルプス交響曲)、そんなときに、どれどれ、という感じで引っ張り出してきて見ている、という感じだろうか。


いまじゃオーケストラに女性団員は不可欠で、ビジュアル的にも華があるのだが、当時は閉鎖的な男性社会のオーケストラに一風を吹き込んだ事件だった。ザビーネ・マイヤーはご存知美人だし、マントみたいなものを着ていて、それを払う姿がすごい格好いいという当時の話だった。


カラヤンの映像では、こんな素材も当時の2008年に発売された。

カラヤン&ベルリンフィルの初の映像素材で、クルーゾーによって撮られた映像。


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「カラヤン/クルーゾー指揮の芸術」というタイトルで発売されたDVDだが、モノクロだが、とても貴重な素材だと思う。確かに当時のオーケストラ撮影は、プロモビデオ的な撮り方なのだけれど、これはカラヤン初の映像作品ということで、とても存在価値があった。


これも2008年のアニバーサリー・イヤーに発売されたレアなボックスで、NHKアーカイブスの中に残っていたNHKが撮ったカラヤン&ベルリンフィルの当時の映像素材をパッケージ化したDVD。これはとてもレアで貴重な作品だ。


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カラヤンが、1950年代にベルリンフィルやウィーンフィルと初来日した模様とか、ドレスリハーサルの模様とか。ちょっと普通の作品ではありえないような貴重な映像が残されている。それこそ当時のオーケストラコンサートホールだった日比谷公会堂や普門館での公演。また大学のオケへの指導も実現して、その映像とか、これは本当にレアで貴重な映像素材だと思う。


このようにカラヤンっていう人は、まさに音源、映像素材の宝庫のような人なので、何年かおきに、こうやってボックスビジネスが循環して起こるのは当然のことだし、それはそれでいいのではないか、と思う。


ストリーミングやダウンロードの台頭で、劣勢に追いやられている物理メディアだけれども、こういうボックスビジネスは、まだまだ彼らの有利なビジネス・エリアだと思うし。


カラヤンは、まさにベルリンフィルのシェフとして35年も在籍していた訳であって、大きく60年代、70年代、80年代と3つの時期に分けることが出来ると思う。自分は、その中で、やはり70年代が最強で絶頂期の時期だと思う。60年代はやや青臭さが残るし、80年代は、もう体も動かなくなってきて、枯れてきた時代。やはり70年代の彼らが、演奏、サウンド、そしてヴィジュアル的にも最高の時期だったのではと思っています。


そんな音源の宝庫のDGだが、自分はカラヤンだけでなく、アバドやポリーニとかたくさん保有しています。まさにDGならではのビジネスですね。


今年はバーンスタインの生誕100周年でもあるので、バーンスタインのが出たら買うかもしれない。


と言っていたら、出てしまった。バーンスタインのボックス。(笑)


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レナード・バーンスタイン/DG&DECCA録音全集
(121CD+36DVD+1ブルーレイ・オーディオ)

https://goo.gl/vctaEF


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ベートーヴェンの交響曲全集はもちろんのこと、マーラーの交響曲全集も網羅されている。
自分は、マーラーはバーンスタイン音源、映像で勉強したと言ってもいい。
クラシック界で、マーラーを1番最初に、商業的に成功に導いたのはバーンスタインなのだ。

DVD36枚組はバーンスタインがユニテルに行ったライヴ収録。

まさに盛沢山。

カラヤン、バーンスタインは、まさにDGに莫大的な売り上げセールスを呼び込んだ二代横綱であることは間違いない。そんな彼らが、今年生誕110周年、100周年というのだから、本当に奇遇な1年だと思う。

まさに今年は、DGにアニバーサリーイヤーにふさわしいお祭りイヤーになりそうな予感ですね。



じつは自分が持っているコレクション中には、さらにアバドのDGボックスもあったりするのだ。(笑)




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Deusche Grammophoneの120年の歴史 [オーディオ]

イエローレーベル。


演奏家、我々のような聴衆などクラシックを志す者であれば、誰もが親しみと崇拝の念を抱くクラシック・レーベルの王様的存在。

世界No.1のクラシック・レーベル。 

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今年2018年で、創立120周年を迎えるそうだ。

現在Deusche Grammophone(以下DG)は、ユニバーサル・ミュージックの傘下に入っており、新たに「ドイツ・グラモフォン120周年記念サイト」を立ち上げて、このアニバーサリー・イヤーを徹底的に盛り上げようという計画。

自分も微力ながら、このお祭りを下支えしながら盛り上げるのをお助けできればと思っていたりする。

自分のようなオーディオファンからすると、DGのサウンドというのは、まさにクラシック王道の極みのサウンドで、分厚くて、骨格感のしっかりした硬派なサウンド。クラシック・ファンのオーディオマニアであれば、このDGの録音を鳴らせない時点で、もう失格だと思うのである。あと、このレーベルはピアノの音が本当に綺麗に録れていますね。優秀で旬なピアニストがみんなDGと契約するのは、そんなところもあるのかな、と思います。

DGの歴史というのは、数々の著名な演奏家の作品を世に送り出してきた以上に、この録音技術の開発の歴史と言ってもいい。

特にアナログレコードは彼らが開発したもので、それの歴史と言っても過言ではない。

そして、最近に至ってはストリーミング技術にも積極的に取り組んでいて、今回自分も、その事実を新たに知ったところが多いので、ぜひ勉強して、近日中に日記にしてみたい。

以前、DGのSACDを徹底的に特集した時に、このDGサウンドを作り出しているエミール・ベルリナー・スタジオ(Emil Berliner Studios)を紹介した。自分自身、ずいぶんこのスタジオの録音にはお世話になっていて、ライナー・マイヤール氏をはじめ、トーンマイスター達には親しみと尊敬の念を抱いている。 


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彼らは、当時はDGのお膝元であるハノーファーに研究所を持っていて、そこで録音技術の研究などをやっていた。そこから彼らは、レーベルから独立して録音制作会社として1人立ちする。ロケーションもハノーファーからベルリンに移る。

今の世の中、録音制作会社は、外注企業が基本なのだ。レーベル内部にそういう組織体はいまや持たないのが普通である。

エミール・ベルリナー・スタジオは独立して、現在では、DGだけでなく、EratoやSONYなどいろいろなレーベルの録音、マスタリングを受け持っている。

ポリヒムニアがPENTATONEやRCO LiveそしてDECCAの録音を受け持っていたり、そしてBISに対するTake5 Productionなどの関係と同じように。

残念ながらDGはSACDから早々に撤退した。エミール・ベルリナー・スタジオのHPを覗き込んで、彼らのスタジオの機材リストを見てみると、確かにDSDの信号処理に関わりそうなものは現時点ではないような感じがする。

でも自分の妄想レベルでは、これからの時代に合った形で、DSDに関わってくるのでは、と勝手に妄想しています。(笑)

このような技術面からのアプローチは、詳らかになった時点で、自分も徐々に日記に取り上げていこう。


さて、元に戻って、DGが歩んできた120年。


ユニバーサル・ミュージックのHPのところに、このDGの120年の歴史を特集した記念サイトがめでたくオープンしたのだ。ドイツ・グラモフォン120周年記念サイト~ドイツ・グラモフォンの歴史のページで、ここにDGのすべてが書かれている! 


このドイツ・グラモフォンの歴史のページは、もちろん原典は、ドイツ現地のDGのHPにあるものを、ユニバーサル・ミュージック・ジャパンが日本語に和訳したもののようだ。

DGのすべてを知りたい方は、ぜひこのホームページを訪問してください。



ドイツ・グラモフォン120周年記念サイト

http://www.universal-music.co.jp/classics/dg120/



この歴史を俯瞰しただけでわかることは、如何に彼らがアナログレコードの制作技術を育んできて、そしてクラシック業界を支えてきた数多のビッグ・アーティスト達をたくさん世に送り出してきたか、ということだ。


まさに世界一のクラシック・レーベル!!!


自分としては、このDGがストリーミングに触手を伸ばしてきているところを、もう少し調べてみたい。いろいろ自分が理解できたところを日記にしてみたい。


このDG祝120周年である今年だが、カラヤンの生誕110周年やバーンスタインの生誕100周年にもあたるそうで、記念BOXなどにぎやかになりそうである。他にもいろいろイヴェント目白押しで、なにかトピックスがあるたびに、私の方でも日記で取り上げて盛り上げていきたいです。


なんだか華やかな1年になりそう。。。(^^)





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早稲田大学 1ビット研究会 [オーディオ]

早稲田大学で、年2回開催される「1ビット研究会」。

今回で16回目ということなので、8年目ということだと、スタートは2009年ということになる。意外と新しい歴史なんですね。

今は教授の職を定年退官されたのだが、早稲田大学でデルタシグマ(ΔΣ)を含むさまざまな研究をしている山崎芳男先生という方がいらっしゃる。その山崎先生が早稲田大学を中心として、「1ビットオーディオ研究会」という組織を作った。

この「1ビットオーディオ研究会」は、年に2回「1ビット研究会」という研究発表会を開いていて、一般の人も聴講できる。

発表会に「オーディオ」の文字が入らないのは、現在の1bit(ΔΣとその他の1bit技術を含む)技術はオーディオに限らず、組み込みマイコンのA-Dコンバータや、電波の変調など様々な分野に応用されているからだ。


この日も、山崎先生はパネラーとして登場された。

どのパネラーの方も、必ず山崎先生のことに言及して、敬意を表する感じなので、最初、山崎先生って何者?(笑)という感じで、後で帰ったらネットで調べてみようと思い、そういうことだ、ということを認識できた。

この世界、いかに自分が狭い世界、見識なんだろう、ということだ。(笑)

今日開かれたのは、早稲田大学 理工学部の西早稲田キャンパス 55館。

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ちょっと話しかけてみたが、大学生って、本当に初々しいし、世間の荒波を生きてきた自分にとっては、なんと純粋な生き物なんだろう?と思った。話したら、わかるのだ。社会に出て30年生きてきたのは伊達ではないと思ったよ。(笑)

会場は、第1会議室。

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きちんとデモの準備もされていて、否が応でも期待が高まる。

プリもパワーもアキュフェーズだ。プリの上に、USB-DACがちょこんと乗っている。1bit再生で使うDAC。DSD11.2MHzまで対応できるRMEのADI-2 ProというDAC。いま個人的に、もうひとつ欲しいDACなのだ。


1ビットオーディオに関しては、自分の頭は前職時代に接していた1992~1999年あたりの技術でまったく止まっているので(笑)、その後世の中どのように変わっているのだろう?ということで興味津々だった。

正直、1ビット信号処理そのものの進歩というよりは、その世界はあくまで変わっていなくて、その1ビットを応用利用した研究、製品紹介など、どちらかというと応用分野が盛んなのかな、という印象を抱いた。


13:00~18:00という長丁場であったが、受けてみた印象は、全然ハードでなく、かなり面白かった。時間が経つのがあっという間だった。

これなら年2回なら定期的に受講してもいいな、という印象だった。

今日の発表テーマは、下記の通り。


(1) 国内オーディオ市場の現状とハイレゾを含むオーディオ協会の考え方
  校條亮治 (一般社団法人 日本オーディオ協会 会長)

(2) 高速1ビット伝送技術の応用 ~リアルタイム伝送と J アラート~
  山﨑芳男 (早稲田大学名誉教授 / 東京都市大学教授)

(3)「PrimeSeat」における世界初 11.2MHz / 1bit ライブストリーミング配信
  大石耕史 (株式会社コルグ 執行役員 / 技術開発部 部長)
  冨米野孝徳 (株式会社インターネットイニシアティブ 経営企画本部 配信事業推進部 担当部長)
  西尾文孝 (同社 経営企画本部 配信事業推進部)

(4) 高速 1bit 信号を用いた大規模三次元音場再現システムと身体的音空間知覚研究
  池田雄介 (東京電機大学)、山中悠勢・久世大 (元早稲田大学)、竹内大起・及川靖広 

(5) 津田塾大学&早稲田大学で教えている音楽理論の面白さと、新レーベル設立について
  麻倉怜士 (オーディオビジュアル評論家、津田塾大学 / 早稲田大学講師)


自分は、(3),(5)狙いだった。(4)が学術的に基礎研究分野という感じでためになるかな、という期待だった。しかし予想を超えて全部面白かった。

では、(3),(5)を中心に各テーマについて、簡単に印象も踏まえて述べてみようと思う。

(1) 国内オーディオ市場の現状とハイレゾを含むオーディオ協会の考え方

マーケティングの話ですね。こういう話に接する機会もあまりないので、いま世の中がどのようなマーケット市場になっているのか、ハイレゾという切り口で説明するのは面白かった。

自分は正直オーディオ協会というところは、お役所的な感じで、あまりいい感じを持っていないのであるが(やっぱりこの世界は、現場が重要。)、こういうまとめ的見解では、彼らの存在意義、長所が際立つと思いました。

校條会長自ら登壇された。

いまのオーディオマーケット。

* ヘッドフォン、イヤフォンのインナーカテゴリーは成長したが、正直頭打ち状態。
* 据え置き型カテゴリーは、一定化しているが、CDプレーヤーは終息方向。
* アナログプレーヤーは急激に伸びていて、マスコミによるアナログブームという報道もあるが、
 正直コンテンツ不足の感否めない。意外に伸び悩み。

 新譜が少ないし、まっ国内でもプレス工場も少ないしね。(ソニーがアナログプレスを開始した
 ニュースがありました。)

* カーオーディオのマーケットはデカい。5411億。車の中って意外とオーディオマニアの視聴室に
 なっている。

* ライブ(演奏会)は、この10年間全く落ちていない。ライブは絶好調。

* ハイレゾの定義について。

オーディオ協会として、2014年6月にハイレゾ世界発信をした。

最初、CDより上のスペックはみんなハイレゾで、なんじゃそれ?(笑)という感じだったが、いまは大分その行先が固まりつつある。

次世代デジタルオーディオのスペックとして、192/24でやれ!でも96/24でも可とする、だそうだ。ダイナミックレンジを決める値である量子化ビット数は、もう16bitはあり得なくて、24bitは必須条件。

でもプロユースの世界では、もう32bitの時代が着々と来ているんですけどね。

ハイレゾで良い音を求めるには、録音(マイクの性能含め。)から見直さないといけない。→当然です!

自分はオーディオマニアの端くれだが、昔から、Hi-Fiという言葉は、かなり違和感、抵抗感があった。古臭い言葉という感覚がして、時代遅れのような感じがするのだ。オールドファンの方は、いまだにHi-Fiという言葉をよく使われる。(ゴローさんも使っていた。(笑))

その「Hi-Fiの定義」というのは、オルソン博士によって作られたものなんですね。初めて知りました。
 
予想以上に面白かったです。こういうオーディオのマーケティング情報は定期的に聴きたいですね。でも車載機器メーカーに勤めている者からすると、カーオーディオのマスがデカいというのは意外。ウチの社内の常識では、ナビは、まだ余地はあるが、カーオーディオは安定期でもうやることがなくて、成長が見込めない分野という認識なんですけどね???



(2) 高速1ビット伝送技術の応用 ~リアルタイム伝送と J アラート~

山崎先生登壇。(笑)

昨今の北朝鮮問題で、現実味を帯びてきた弾道ミサイル問題。Jアラートの存在は、ニュースで知っていたが、実際どんな音なのか?は聴いたことがなかった。(ニュースではやっていたみたい。)

まずその音を聴かせてもらった。

なんとも不気味で、不快で異様な音。

この告知音、警告音であるJアラートに1bitを導入したのだそうだ。
KDDIのサーバーを介したリアルタイム伝送実験に成功したそうだ。(東京~ハワイ)

このJアラートの音って、じつは様々な周波数の音の複合音(いわゆる和音)で成り立っているんですね。

要は、一般市民の聴覚能力って、年齢によって、様々な周波数帯域を持つので、その全員に音が行き渡るように、いろんな周波数の音を混ぜている。

基本波形は、のこぎり波、三角波、そして矩形波、これらを1bitにして、様々な周波数の音を加算して作る。

1bitの波形は、まったく驚かないのだが、それをいままで静止画で見ていた訳で、実際PCの画面上で、横方向にそのパルス幅がリアルタイムで変わっていく瞬間、つまり動いている1bitの波形を観たときは、ちょっと感動しました。(笑)



(3)「PrimeSeat」における世界初 11.2MHz / 1bit ライブストリーミング配信


自分にとっての今日のメインテーマ。もうメディアを通じて内容は、よく知っていたので、特に新しいニュースはなし。まっ1ビット研究会の場での確認会の意味もありましたね。



奥のほうから西尾さん、大石さん

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右から冨米野さん、大石さん
                                                       
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この方々は、まさにこのプロジェクトのキーパーソンなのだ!

ベルリンフィルハーモニーで開かれるベルリンフィルの演奏会を、DSD 1bitで配信しようというプロジェクト。IIJの配信ネットワークを使う。

IIJは、日本の総合的なネットワークソリューション提供会社の先駆者だが、現IIJ会長の鈴木幸一さんは、いまやすっかり上野の春の風物詩となっている東京・春・音楽祭を自分のポケットマネーで開いたこの音楽祭の創始者でもあるのだ。

クラシック音楽への造形も深く、毎年の東京春祭の企画にも参画している。

いままでは、DSD5.6Mで配信していたが、今回のセールスポイントは、世界初のDSD11.2Mでのライブストリーミング配信。最低限でも25Mbps、安定再生で、50Mbpsのビットレートが必要なブロードバンド・サービスで、IIJのネットワークをふんだんに使う。


これが、そのシステム図。

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ベルリンフィルハーモニーでの演奏データを、いったんロンドンにあるIIJの支社に送る。ロンドン~日本の間には、IIJのぶ太っといバックボーンネットワークがあって、この部分は、IIJとしては、いろいろ細工をし易いということもあって、ここを使う。

だからベルリンからいったんロンドンに送って、そこから日本に送るというネットワーク。

このベルリンからの演奏データをインターネット形式に変換するエンコーダ(PrimeSeat  Broadcaster)を今回新規開発した(KORG開発)。

このDSD11.2M配信の技術のポイントは、次の3つにある。

1.エンコーダ(PrimeSeat Broadcaster)
2.プレーヤ(PrimeSeat)
3.IIJ配信ネットワーク

工夫したポイントとしては、11.2Mのストリームだけではなく、5.6MやPCM 96/24のストリームも作って、その3本の複合ストリームを提供できるようにしたこと。

さっそく、DSD11.2Mのライブストリーミング配信の音を聴かせてもらう。
ハイティンク指揮ベルリンフィルで、ブルックナー9番。


う~ん、確かにワンポイントで録った典型的な音の聴こえ方がする。
指揮者のちょうどすぐ後方にワンポイント・ステレオマイクを配置して、そこから全体を俯瞰したような聴こえ方。

だから木管以降の金管や打楽器は音が遠い。

いやその部分だけではなく、全体的に、やはり音が遠い感じがする。
定位感が乏しいというか、フラフラしている感じで重厚感・安定感がない。

これは普段、自分の聴くオーディオのクラシックの音が、典型的なマルチマイクのセッション録音でエンジニアが十分に調理をし尽した録音が多いからなのだと思う。

その差がはっきり分かる。

DSDライブストリーミングは、

ワンポイント録音。
ミキシングなどの調理はいっさいなし。

を基本としている文字通りリアルなライブストリーミングなのだ。

だから聴いていると、とても薄化粧のサウンドのように聴こえる。普段自分が聴いている音がいかにきっちり空間バランスがとれた厚化粧のサウンドであるか!

DSD11.2Mであるが故の鮮度感やリアルな気配感の向上は確かに感じられる。
大きな躍進ですね。


自分は、かねてよりじつはこのライブストリーミングで大きな疑問点があった。
ふだん自宅で、このPrimeSeatを聴いているときに、それは感じることであった。

それはPrimeSeatのハイレゾストリーミング音源には、ベルリンフィルアワーと言って、ベルリンフィルから提供されている定期公演の音源と、アムステルダム・コンセルトヘボウで演奏されているRCO(ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団)の定期演奏会の音源がある。

ベルリンフィルのほうは、彼らの自主組織であるベルリンフィル・メディアがやっていて、RCOのほうはポリヒムニアがやっている。

ベルリンフィルの音源のほうは、PCM 48/24、RCOのほうは、DSD5.6M で聴いている。

どうもベルリンフィルの音源のほうが、鮮度感も高く、音がすごい良く感じるのだ。やたらと音がいい、という感じ。PCM 48/24なのに、ここまでよく聴こえるとは!という感じだった。特にホール内の暗騒音の聴こえ方が全然違った。定位感もこちらのほうが抜群にある。

これは日記でも公開せず、自分の中で永らく伏せていた事実だった。その理由は、自分でその違いを理論づけることができなかったから。

でもこの日、彼らのプレゼンを聴いて、その原因が理解できたのだ。


それは、この部分だった。

Digital Concert Hall用音声(デジタルコンサートホール用音声)

ステージ上に配置された約60本のマイク(具体的には天井から60本を吊るしている)の位置を調整して、デジタルコンソールでミックスして制作。 ~HD映像とのマッチングを意識したクリアな音像と定位


PrimeSeat用音声

1F客席最前列上方に設置した1対の無指向性マイク(ゼンハイザーMKH8020)のみを用い、マイクの位置、間隔、角度を調整しダイレクト収録。 ~コンサート会場の空気感と音場の再現。


これですべてがわかったような気がした。

DCHの音は、マルチマイクでエンジニアによる調理の音なのだ。PrimeSeatは純粋なワンポイントで、調理いっさいなしの音。

PrimeSeatのベルリンフィルアワーの音源は、元々はDCHの音源を、PirmeSeat用のPCM 48/24のストリームとして音源を作り直しているのだ。

だからベルリンフィルの音源を聴くと、やたらと音がよく感じるのは、マルチマイクで調理された音を聴いているからなのだと思った。RCOの音源のほうは、純粋なPrimeSeat用に造ったワンポイント録音、調理なしの音なのだ。

そこに差があった。ようやく自分が永らく伏せていた事実を理由づけることが出来た。納得いった!

これは別にマルチマイク・調理あり、がいい、ワンポイント・調理なし、がいい、という優越論の話をしているのではない。もうこれらの手法がそれぞれで、異なった価値観を持っているということ。優劣の次元の話ではないのだ。(好き嫌いはあるかもしれない。)

だから、ふだん自分が聴いているのは、マルチマイク・調理あり、の音が圧倒的なので、そこに親近感がわいただけに過ぎない、ということだけだと思った。

PrimeSeatのDSDライブストリーミングは、やはりコンサート会場の雰囲気、ライブ感を感じてもらおう、というところに主眼があるので、そこに彼らの目的があって、それが十二分に達成されているレベルだと感じることしきりなのだ。

こちらが、今回のIIJ配信システム、エンコーダ(PrimeSeat Broadcaster)、プレーヤ(PrimeSeat)のデモ機の展示。

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あくまで、これは勝手な自分の妄想に過ぎないけれど、彼らは近い将来、スゴイことをやってのけて、公表をすると確信しています。

お楽しみに!(笑)



(4) 高速 1bit 信号を用いた大規模三次元音場再現システムと身体的音空間知覚研究

この分野は、1番学会らしいアカデミックな内容だということで、期待していた。
ただ、どうなのかなぁ?プレゼンターが、ちょっと不慣れな感じ。プレゼン資料の作り方がイマイチ洗練されていない。やたらと文字が多いし。

絵や図を多く使って、なるべく文字を使わない。一見みただけでわかりやすく!というプレゼンの基本が成り立っていないような気がした。

自分のような社会人生活30年もやっている社会人からすると、こういうプレゼン資料は、完璧NG!という感じだった。

内容は、SPを高速1bit信号で、直接駆動すること。それをかなり膨大なマルチチャンネル数のSPを配置して、3次元の音場を作ろうという内容だと理解した。

まだ、お金がかかり過ぎて、商品化レベルまで落とし込めていない現実的でない基礎開発レベルのテーマだと感じた。



(5) 津田塾大学&早稲田大学で教えている音楽理論の面白さと、新レーベル設立について

AV評論家 麻倉怜士さんの講義。

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まさに引く手あまたの超人気者で、毎日世界中を飛び回っている麻倉さんだが、いままでの技術論的なテーマではなく、ちょっと変わった毛色の内容を披露してくれた。

それは、「音階、調、コード進行」についての音楽理論についての紹介。
これは普段、麻倉さんが勤めている津田塾大学や早稲田大学で教えている内容でもある。

特に今年に入ってから、1月から6月に渡って、「ビートルズのコード進行」について研究をなされていて、それも紹介してくれたのだが、その見識の深さには舌を巻いた。

いろんな音階、調性、転調、そしてコード進行の話をしてくれるのだが、その説明には、電子オルガンを実際自分で弾いてみて、説明する、という手法。

心底、驚いたのは、麻倉さんのピアノのレベルがかなり高いということ!
かなりの腕前!うまいなぁー、やるなーという感じで、驚いてしまった。

これだけうまいと、このテーマの説明にも説得力が出ますよね。

そうして、もうひとつのニュースとして、ついに自分のレーベルである「UAレコード」を設立する、ということ。

目的は、「厳選した演奏家のパフォーマンスを、最上段のクオリティにて音楽制作すること」なのだが、それは表向きの建前。

ぶっちゃけ本音トークは、オーディオ評論家をやるからには、結局自分の音源を持たないとダメということ。このSPは低域が足りないと言ったら、そのリファレンスの音源を自分が持っていないといけない。

どうも本音はそこにあるようだ。

コンプレッサーやりません。
イコライザーかけません。
継ぎ接ぎしません。
一発録り。

これがモットーだそうです。(笑)

さっそく近日中に発売される第1段のデモディスクを聴かせてもらったが、なかなかのレベルであった。高域を強調したヴァージョン、低域を強調したヴァージョン、そしてこれに落ち着きました、ってな感じでデモしていました。

でも、偉いと思います。普段毎日、超多忙な身でありながら、自分のリファレンスの音源を持つべく、自分の新設のレーベルまで作っっちゃうというのは、行動力抜群だと思います。

頑張ってください!


以上が、1ビット研究会初体験の内容。なかなか内容も充実して、面白かった。

あっという間の5時間だった。

まっこれに味をしめて、次回も楽しそうであったら、参加してみたいですね。






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オーディオのちょいと気になる投稿。 [オーディオ]

FBのオーディオサイトで、ちょっと気になる投稿があったので日記にしてみる。 (写真ちょいとお借りしますね。)

1999年のSONYのSACDフォーマット発表時のフラグシップ旗艦機であるSCD-1/TA-E1/TA-N1/SS-1EDのフルセット。

合計400万。

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憧れた!

オーディオって男のロマンだと思った。

当時はとても買えなかったけれど、あれから10年後に中古市場に出始めて買える値段になった。

結局265万かかって揃えた。(^^;;

いまじゃ考えられん。当時は金持ってたんだな。

ソニーがプリ・パワーというセパレートタイプのアンプを開発したのは、おそらくこれが最初で最後。

パワーのTA-N1は故長岡鉄男先生の愛機として有名だった。

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中は、こんな感じ。これぞオーディオという巨大ケミコン。まさに物量投資型設計。

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プレーヤートランスポートのSCD-1は、ベストセラーのスタンダード名機となった。
固定光学ピックアップ方式の珍しい方式でお金かかっていた。

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スタビライザー装着の贅沢さ。スライド式の開閉スピードが重々しくて高級感ある。
でもピックアップがすぐに不調で読み取り不良になることで有名で自分も何回取り替えたことか!(笑)

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なんというのかなぁ、フォルムが美しいというか、このフルセットには、何とも言えない高級感が漂っていて、これぞハイエンドオーディオというものだと思った。

最近のハイレゾ機器に見られるような安っぽさを見ると、この時代に育った自分としては萌えないんだよねぇー。オーディオ機器ってやっぱりデザイン、フォルムってすごく大事。

そして、なんといっても、フルシステムの中でもっとも入手しずらかったのが、このスピーカーのSS-1ED。

定価210万!

日本に15台しかないと言われている。中古市場でも滅多に出なかった。ショーで見るぐらいしか縁がないと言われたSPだった。


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中の構造は、こんなになっていたのか!ウレタンが生々しい。

これを自分はあるオーディオの友人から、喫茶店でそのまま置きっぱなしになっていて普段も鳴らされていないようで、死蔵でインテリアと化しているようだから、売ってくれないかどうか商談してみる、と言われ、回答は翌日。

もう天にも昇るような気持ちで、ドキドキして待っていた。あんなに胸ときめいたことってなかったんじゃないかな?

そして商談成立の電話がかかってきたときは、もう昇天の気持ち。日本に15台しかないSPで、それを入手できる。

確か140万で買った。

他のSCD-1/TA-E1/TA-N1はすでに中古入手済みで、残るはこのSS-1ED待ちという状態だった。

代替えで、B&W Nautilus 803で、このソニーのシステムを鳴らしていたのだ。


なんとかこの稀なSS-1EDを入手できないものか?


毎日国内、海外のネットを睨めっこしていた毎日だった。

SS-1EDが配達される日、もうドキドキ。(笑)部屋に運ばれて、毛布を取られて、その姿を見たときは、あんな最高で、ときめく気持ちは、今後もそうないだろう。

SACD神話を裏付けるてっぺんに、スーパーツィーター付きで、100KHz再生可能。

ふつうSPって、30KHzまでが普通。高くて50KHzがせいぜいなもんだ。100KHzうたっているSPは、このSS-1ED以降いまでも聴いたことがない。

でも先だって、ダイナミックレンジの日記を書いたとき、DSDの信号処理って、ノイズシェーピングで、帯域内ノイズを高域に押しやっているので、50KHz以降はノイズの姥捨て山状態だということを書いたばかりだから複雑な心境。

自分も当時は、このSACD神話の広大帯域再生に騙されていた。(笑)

日本に15台しかない、このSS-1ED、そしてこのソニーの初代フラグシップ旗艦機フルセットの音をじっくり長期間に渡って聴いたことのあるオーディオマニアはそうそういないだろう。(笑)

みんなデモのブースなんかでちょい聴きくらいしかないはず。

自分は類まれな貴重な経験の持ち主かもしれない。

なんか記憶によると、インターコネクトやSPのケーブルは、PADの高級ケーブルを使っていたはずだった。SS-1EDはスパイク装着の3点支持。


ずばりサウンドは、というと、中域がガッチリした典型的なピラミッドバランス型のような感じだった。音の芯がとてもぶっ太くて、中域から低域の土台感がしっかりした感じのサウンド。量感の出るサウンドだった。

クラシックというより、ジャズやポップスのほうがいい感じもした。でも毎日クラシックをそれで聴いていた。

STW付きで、100KHz再生を唄っているほど、高域の伸びやかさはあまり感じなかったかな?
まぁ当時の自分のスキルの足りなさもあって、十分調教できていなかった、鳴らしきれなかったというのもあるだろう。

信じられないことに、同じ部屋にいまのB&W Signature 800のシステムも入れていたのだが(笑)、B&Wの音のほうが繊細さというか、解像度が高いような気がした。同じ部屋で同じソースで聴き比べしてるんだから間違いない。逆にB&Wでは量感が足りないと思った。

でもB&Wのほうは、あれから10年鳴らし続けてエージングして、だいぶ自分の好みのサウンドになってきた。Signature 800は本当に気難しいモニターSPです。

でも最近の新しいSPは、あまりに買ったときから簡単に鳴っちゃって逆に面白くないよね。(笑)

SS-1EDとSignature 800とでは、まさに正反対のサウンド。

その後、同じ部屋に2セットは、やはりサウンド調教的に無理と感じて、ソニーのフルセットのほうは売却した。

SS-1EDは珍しいSPなので、売るときはゴローさんが一声かけてね、と言われたので、そうしたら、ちょうど二子玉川別室で、DAITONEのDS-8000を鳴らし始めたときだったので、縁がなかったということになった。

その後、オークションは面倒だし、売れるまで時間がかかるので、御茶ノ水のオーディオユニオンで売却したら、それをゴローさんが発見。(笑)

なんだー!オークションで高く売るつもりだろうから、やめとこうと判断したのに、中古ショップで安く売っちゃうんだったらーあーなんだぁー!ってな感じで、残念がられていた。


結局何年保持していたかな? 4~5年くらいだろうか? でもいまでもそのサウンドはしっかり脳裏に焼き付いている。もう一回、調教してみたい気もする。

このフルシステムの音を長期間に渡って聴いたことのあるオーディオマニアは、日本でもほとんどいないと思う。



さて、もうひとつの投稿。

B&Wから801シリーズが姿を消えてから何年経つだろうか?

あまりに鳴らすのが難しすぎて、一般のオーディオマニアの手には負えないSPだから、とか、いろいろその理由の噂は飛び交った。

Matrix時代の801をはじめ、スタジオのモニターSPとしては、いわゆるプロユースの領域では、このクラシックな801をモニターの基準にしているスタジオは多い。

モニターSPというのは、ふつうの一般家庭で使われるリスニングSPとは、やはり区別される。鑑賞の場合なら、”ジャズっぽく聴こえる””クラシックっぽく聴こえる”などの色の付いたサウンドの鳴らし方をする設計も多い。

でもスタジオで使う用途は、エンジニアが正しく作業できないといけないので、正しく再生されるSPでないといけない。

つまり、周波数特性がフラットであることが大前提。

あと定位の分かりやすさ。これもコンソールで振り分ける作業をするうえで大切な要素ですね。

そんなNautilus 801を5本使ってサラウンドを組んでいる写真が投稿された。(笑)

すっげー!(笑)

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801が前に3本ある姿は、あまりに武骨でスゴイ。センターが802くらいが、美しいバランスが取れていると思うが。。。

どういうジャンルの音楽をミキシングするスタジオなんでしょうね。


世の中って面白い!








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2Lのマルチフォーマット音源 [オーディオ]

高音質指向型のマイナーレーベルと言えばPENTATONE,BIS,Channel Classics, CHANDOS,RCO Live,SIMAX,そしてmyrios classicsというところが、自分の愛聴している定番のレーベルであった。

北欧のレーベル 2Lの存在は、もちろんよく知っていたが、不思議と所有しているディスクは少なく縁がなかった。

今回、3Dサラウンド、イマーシブオーディオとか立体サラウンドと呼ばれるDolby Atmos/Auro-3Dなどのデモソフトとして急に脚光を浴びた感じだった。

デモソフトとして重宝がられる理由は、同一音源を、SACD,LPCM 2.0,DTS HD Master 5.0,Dolby Atmos 9.0,Auro-3D 9.0 とマルチなフォーマットでエンコードしていて、会場でフォーマットの違いによる聴き比べができるからだ。

SACDと、後半の4フォーマットは、Blu-ray Audioに格納しての2枚組としてパッケージされている。BD Audioのほうは、静止画のメニュー画面のオーディオ設定のところで、フォーマットを切り替える。

こういうマルチなフォーマットを全部対応してくるというのは、かなり音質に拘る高音質指向型のレーベルだといえる。

2Lは業界初で、BD-Audioを導入したレーベルだそうで、そういった大容量の物理媒体を手に入れたからこそ、こういう芸当が実現できたのだと思う。

自分が聴いてみて、驚いたのは、録音が素晴らしいのだ。

かなりいい。

後述するが、録音場所に拘りを持っていて、その空間の捉え方が絶妙で、なんか独自のカラーというか、トーンポリシーを持っている感じがする。

かなり強烈で独特なサウンド。

2Lについては、AV雑誌のAV REVIEW Vol.264に詳しく特集が組まれている。大変参考になった。

ぜひご覧になってみてください。

ここでもちょっと紹介してみる。

2Lはノルウエーのオスロで2001年に誕生したレーベル。北欧ならではの音楽を制作したいというモーテン・リンドベルグ氏によって設立された。

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モーテン・リンドベルグ氏



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2016年11月にドイツ・ケルンメッセで開催されたトーンマイスターグング2016での公開ディカッションにも参加した。(1番右)




2Lの録音の特徴は、3次元の2L-Cubeと呼ばれる独自のメインマイクアレイを使用していること。

2L-Cube

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写真を見ていただければ分かるように、上下の2段構成になっていて、下段のほうが、L,C,R,SL,SRの5本の水平サラウンドの配列になっている。

そして上段のほうが、その真上に存在するハイト・チャンネルの4本のマイク。

補助のピックアップはほとんど使わないそうだ。

編集のときも、イコライザーやダイナミックレンジの処理をほとんどおこなわないことをモットーにしている。これはあくまで自分の推測だが、そういう処理が必要ないのは、その録音をおこなっている場所、ロケーションによるところが大きいのだと思う。

彼らが録音をおこなう場所は、大抵が北欧の天井の高い教会や大聖堂の大空間。だから天然エコーなのだ。もうその時点で、そういう空間&アンビエンスを,十分なレンジを確保さえして収録すれば、余計な人工的なイコライザー、ダイナミックレンジの処理はやらないのだと想像する。

2Lのサウンドは、いかにもそういった大空間の感覚が味わえ、残響感たっぷりの天然エコーにまみれたサウンドという感じなのだ。

特に高さ方向の空間をかなり強烈に感じる。上の方向に突き抜ける感覚というか。

聴いていると、まさにその教会、大聖堂の空間に自分がワープした感覚に陥る。

昔、長岡鉄男先生の長岡ソフトと呼ばれたオーディオファイルなら誰でも知っている「カンター・デ・ドミノ」。あれのサラウンド・ヴァージョンだと思ってくれればいい。(笑)

それプラス透明感が増した感じ。

2Lのサウンドの特徴を一言で言えば、そんな感じなのだ。

そして、もうひとつの2Lの収録の特徴と言えば、収録現場の空間の残響成分をリアに振り分けるという一般的なサラウンドの手法というよりは、マイクを中心に置いて、演奏者&楽器をぐるりと円形に配置すること。

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こうすることで、すべてのチャンネルを同等に利用したサラウンド手法が彼らのやり方。確かに彼らの録音を聴いてみると、フロントL,C,RとリアのSL,SRの成分が、直接音、残響音の関係というより、5本から同等に直接音が出て合成されているサラウンドなのだ。リアから確かにダイレクトの音が聴こえる。

もちろんハイトチャンネルに関しては、高さ方向のアンビエンス、残響音専門となる。


こうすることで、演奏家自身が体験する響きに近づき、聴いている側が、演奏家同士のやり取りなどが体感できるなどの効果があるのだそうだ。

先述のトーンマイスターグング2016での公開ディカッションでも創立者モーテン・リンドベルグ氏は、この演奏者&楽器とマイクの配置関係について自分たちの独特のカラーを打ち出す特徴だと述べていた。


ただいつもこういった配置関係で録音しているか、というとそうでもなくて、マイクに対して普通の位置関係での場合もある。ケースバイケースなのだろう。

下の写真は、いたって普通。昔は普通配置だったのかな?

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そんな独特の2Lサウンド。

2枚ほど、購入してみて聴いてみた。2枚とも、バランスエンジニアは、創立者のモーテン・リンドベルグ氏が直々にやっている。 


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「マニフィカト~アルネセン、カーニス、ヤイロ」
トロンハイム・ソロイスツ、ニーダロス大聖堂少女合唱団、他
(SACD+ブルーレイ・オーディオ)


https://goo.gl/kT8Zpj


ニーダロス大聖堂少女合唱団と、1992年の創設から合唱団を指揮する芸術監督アニタ・ブレーヴィクの委嘱による作品。合唱、オルガンと弦楽オーケストラに、曲によってソプラノとピアノが加わる。

ノルウェー、トロンハイム、ニーダロス大聖堂で収録された。
まさにこんな大空間!


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2Lサウンドで3Dサラウンドの代表作とも言える作品。
透き通った合唱の声やソプラノが、天井方向に突き抜けるように抜けていく感覚は圧巻。
恍惚に浸れる。そしてなによりも音楽が美しいウットリするような調べなのだ。

透明感があるサウンド。天使の音楽、そんな感じですね。
じつに秀逸な作品だと思う。ぜひお薦めの1枚です。 


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「わたしの愛も~現代合唱作品集」 
ニーナ・T・カールセン&アンサンブル96
(SACD+ブルーレイ音声ディスク)

https://goo.gl/5Brxiv


オスロの室内合唱団「アンサンブル 96」のアルバム。
オスロのウラニエンボルグ教会で収録された。

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これは、じつはまだ届いていない。(笑)
でも先日のシアターAVショップでのAuro-3Dデモのときに先行で聴かせてもらった。
合唱が全体を成すアルバム。これもじつに美しい声のハーモニーが織りなす音のさまに圧倒される。やはり同じ2Lサウンドのカラーで、天然エコーで突き抜ける高さを感じる秀逸なサウンド。
早くじっくり聴いてみたい。


2Lサウンドに接してみた印象は、じつに録音がよくて、透明感のあるサウンドで驚いた。高音質指向型で拘りのあるオーディオファイル向けのレーベルだという印象を抱いた。


逆に考えてみると、いち早く3Dサラウンドの導入を決めたのも、単に新技術に敏感に反応するという先進的な立ち位置もさることながら、彼らの環境が、教会、大聖堂が豊富に存在して、そこを録音の本拠地にしているというところが、”高さ”を必須条件としている立体サラウンドにも合致したのだと確信してきた。

誉めてばかりもなんなので、敢えて辛口のコメントを一言、言わせてもらうと、ある意味ワンパターンかな、という感じもしない訳でもない。いわゆるどのアルバムを買って聴いても全部同じに聴こえるという・・・。

北欧の教会、大聖堂の大空間の天然エコー、突き抜ける高さ、透明感のあるサウンド、合唱、女声ソプラノ。。。


これが2Lサウンドのキーワード。

自分は、普通にコンサートホールでオーケストラを聴きたい、室内楽を聴きたい、というアベレージな欲望もあるので、そういった意味で、2Lはたまに聴くなら最高。録音もいいし、という感じの位置づけかな。


でも、それがトーンポリシーなんだからいいのだ、と思う。自分のレーベルのサウンドのカラー。どのレーベルでもその録音の特徴が各々違っていて独自の特徴、独特のカラーがある。

だから、これが2Lのトーンポリシーと堂々としたこれだけのカラーを打ち出せているのだから、立派なものだと思えるのだ。






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SACDとBlu-ray Audio [オーディオ]

3Dサラウンドは、音声のコーデックがPCMのハイレゾなので、それをさらに9.0ch分とかなると、記録媒体のお皿の容量は、大きいものを使わないと、その巨大のデータを格納できない。

いままで、デジタルオーディオの記録媒体といえば、CDとSACD、そして最近になってBlu-ray  Audio(以下BD-Audio)、そして映像用のBlu-ray(以下BD)とある。


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SACDというのは、じつは物理媒体としては、DVDのディスクを使っているのだ。

昔、DVDフォーマット戦争のときに、ソニー・フィリップス陣営と東芝陣営が争ったときに、ソニー・フィリップス陣営が主張していたお皿を、そのままSACDの物理媒体として採用しているのだ。(SACDはソニー・フィリップスのフォーマットです。)

だから記録容量は、4.7GBしかない。

そのソニー・フィリップス陣営のDVDのお皿の中に、格納する音声信号の処理の仕方がDSD(DirectStreamDigital)を施して納めているのがSACDだ。

DSDとPCMのコーデック(信号処理)の違いはこれ。

上がPCMで下がDSD。

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PCMは、音声の原信号を、あるサンプリングタイム(サンプルする時間軸の幅)で振幅を、デジタイズしていくやりかた。

このサンプリングの間隔が狭くなるほど、ハイレゾな訳で、CDで、44.1KHz、ハイレゾになると48KHz,96KHz,192KHzとなっていく。

狭くなれば狭くなるほど、原波形に近い形にデジタイズできる。

一方で振幅方向の細かさは、ビット深度と言われ、CDは16bit(2の16乗の細かさ)、ハイレゾになれば、24bit,32bitとなっていく。ビット深度も大きくなればなるほど、振幅方向に細かくデジタイズ(高さの表現の細やかさ)できる。

結局PCMは、この縦(振幅)と横(時間軸)の細かさで、ハイレゾの度合いが決まる。

ハイレゾとは、縦(振幅軸)や横(時間軸)でサンプルする間隔が細かくなるので、それだけ原波形に近くなり、それイコール、デジタル化された後のデータ量は膨大になっていくことを意味する。



一方で、DSDは、音声の原信号を、ビット深度は1bitで固定、その1bit波形のパルス幅を可変させてその幅の長さで原信号を表現していく。

ある意味パルス変調みたいな感じ。サンプリング周波数(つまりこの場合は幅の長さの細かさに相当する)は、2.822MHzとかなり高い。

だから、こういう波形処理なので、DSDってある意味、原波形のアナログ波形に近い形で表現できるわけで(この波形をD/Aすればそのままアナログ)、それがSACDはアナログに近い音で、柔らかい質感と呼ばれる所以である。その原因は、その音声処理のコーデックの仕方にあった。空間が広く録れる感じもこちら。クラシックはこちら。(ジャズもSACDが多いです。)

逆にPCMは振幅単位でデジタイズして、サンプリング周波数もKHzオーダーなので、いわゆるガクガクの波形であって、いわゆるメリハリがあってアタック感がある明瞭な音の質感と言われている。ロックやポップスはこちらかな。

DSDのハイレゾは、このパルスの幅の間隔の表現が細かくなっていくことで、もちろん細かくなればなるほど、原波形に近い形で表現できることを意味する。(それイコール、データ量がどんどん多くなる。)

SACDで、2.822MHz、そしてハイレゾとして、5.6MHzと11.2MHzがある。

でもこういうパルス変調の場合、サンプリング周波数が高くなるほど、こういう変調方式で、しかもPCMと違って、もともとのサンプリング周波数が高い訳だから、それをさらに何倍かに逓倍処理したら、それこそノイジーになる傾向になるのは当たり前で、必ずしもハイサンプリングになればいいとは限らないと聞きます。サンプリング周波数をどんどん上げていくほど、音質が上がるように感じる聴感カーブは、停滞気味になるらしい。リニアじゃないのだ。これはサンプリング周波数が低いPCMハイレゾでも言えると思います。


PCMのハイレゾの2chやサラウンド5.0ch(5.1ch)、そして3Dサラウンド9.0ch(9.1ch)を格納するのがBD-Audioや映像BD。BDは、片層25GB、両層で50GBで大容量。

だからハイレゾのような大容量のデータを格納できるのはBD。ましてや3Dサラウンドのような9.0chのような多チャンネルのハイレゾの大容量データを格納できるのは、もうBDしかない。

映像ソフトの場合、5.0(5.1)サラウンドの場合、DTS HD Masterというロスレスの圧縮をかける場合が多い。これは決まったお皿の容量に、映像ソフトと音声ソフトを格納しないといけないので、音声は圧縮するためである。

3Dサラウンドの場合は、いまのところ圧縮しないで、そのままPCMハイレゾの多チャンネルで格納されている場合が多い。(たとえば、Dolby Atmosは、PCM 48/24,Auro-3DはPCM 96/24)

あくまで私観としてだが、BD-Audioはフォーマットしては、マーケット的に正直成功しているとはまったく言えないのではないか、と思っている。

再生するのに、メニュー設定でモニター画面が必要だし、静止画を見ながら音楽を聴く、というスタイルが、オーディオとも言えないし、ヴィジュアルとも言い難い、なんとも中途半端な立ち位置に感じるからだ。

でも最近、3Dサラウンドのデモソフトとして、BD Audioが見直されている。
北欧のレーベル 2Lのソフトがその最先端にある。

彼らは、マルチフォーマット音源という実験的なアプローチで、同一音源をSACD,LPCM2.0,DTS HD Master 5.0,Dolby Atmos 9.0,Auro-3D 9.0でエンコードして、SACDと後者の4フォーマットはBD Audioに収めて、2セットで提供するというスタイルを提供している。

まさにこういうケースの場合、大容量のBDという物理媒体が活躍するのは必然の経緯だと思う。

2Lは、BD Audioを最初に導入したレーベルだそうで、こういう実験的で、先進的なアプローチも納得いくところだ。

自分は、3Dサラウンドは、BD Audioとしてよりは、映像ソフトBDの音声フォーマットして採用されるケースが、ビジネスの本流だと思う。


SACDは、CDに対して差別化するマニア向けの高音質ディスクとしての路線を歩んだ。
結局、普及というよりは、高音質指向型のマイナーレーベル中心に、ニッチな市場となった。

でもBD Audioが映像機器であるBDプレーヤでの再生になってしまうのに対して、SACDは純粋にオーディオ機器としての再生という位置づけ。

やはりオーディオファイルにとってハイエンドオーディオは、映像機器と隔離するべき、という古の拘りがあって、SACDはその象徴的な位置づけでハイエンドオーディオの道を歩んできたと感じる。

(でも最近はOPPOのようなユニバーサルな機器が出てきて、そうでもなくなっている現状。でも自分は古い時代の人間なので、ユニバーサルプレーヤという発想はどうも好きになれない。)

自分はSACDの最大の魅力は、広帯域化による2.0ch再生というよりは、ダイナミックレンジの広い5.0サラウンド再生に最大の魅力を感じる。

SACDは、映像とは別次元の、音楽サラウンドの象徴的存在である。

現在も、これをモットーに最大の”SACDサラウンド”愛好家である。

DSDのハイレゾ(5.6MHz,11.2MHz)は、それを格納するお皿の物理媒体がないので、どちらかというとネット配信の世界で、その活路を見出しているように見える。ストリーミング再生、そしてファイルダウンロード再生である。


3Dサラウンドの登場で、それらの大容量を格納できる唯一の物理媒体であるBDに着目をせざるを得ず、思わず基本に戻ってみたい、と思って、日記にしてみた。

さらにその先には、UHD BDがあるんでしょう。







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Auro-3Dのデモンストレーションを聴いてきました。 [オーディオ]

いまのサラウンド以上に家庭内での実現の敷居は高いと思うが、まずは夢がある。3次元立体音響や3Dサラウンドと呼ばれるフォーマット。

期待はしていたが、自分の中で、現実問題どの程度のものなの?という、どこか懐疑的だったことは認める。

Dolby Atmos/DTS-Xについで、待望のAuro-3Dが上陸。
3Dサラウンドについては、Auro-3Dの製品が市場に出たら、デモを聴きに行こうと決めていた。

きっかけは、ポリヒムニア。

彼らがPENTATONEのSACDを収録をするときに、マイキング含めた収録方法にAuro-3Dを使い始めたことで、その存在を知った。

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彼らの映像素材を扱うスタジオ。

「5.0.4」の9.0chの構成。彼らは、クラシックのサラウンドなので、ウーハーLFEの0.1chは使用しないのだ。天井SPには、B&W N805を使い、逆さまにして天井から吊るしている。

このスタジオでオーサリングされたAuro-3D音声の映像ソフトもすでに市場に出始めているのだ。 


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ダニエレ・ガッティ指揮ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団
マーラー2番「復活」

https://goo.gl/rUW6Uy

世界的な名ホールであるアムステルダム・コンセルトヘボウのホール空間を、3次元立体音響であるAuro-3Dで切り取ってくる。

ホームグラウンドにて、ここの音響を十二分に知り尽くしている彼らだからできる試みともいえる。

3Dサラウンドについては、いろいろAV雑誌で特集されているから、ここでは詳しくは書かないが、自分のために簡単に整理しておく。

まずSPの配置。

こちらがDolby Atmos/DTS-X (地上サラウンドが7chだが)。「7.1.4」という型。

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天井SPは、屋根に埋め込み型で、特にここの位置という特定のルールはなさそうだ。
この屋根埋め込み型をトップSPと呼ぶ。


こちらが、Auro-3D。「5.1.4」という型。

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天井SPは、地上SPの真上に位置する。ハイトSPと呼ぶ。フロントL,Rの真上にハイトL,R、そしてリアL,Rの真上にハイト・リアL,R。

さらに飛行機の頭上の移動感や天井の高い教会の響きなどを表現するために、ど真ん中の屋根埋め込み型のトップも規定している。


Auro-3Dの規格として、つぎの3つのレイヤーに分けている。

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自分の耳から水平方向に取り巻いているサラウンドをLAYER1、そして耳の高さから抑角が30度にあたる高さ成分を認識するハイト成分としてLAYER2、そして頭上のトップ成分をLAYER3。

それが上のSP配置にそのまま反映されている。


Dolby AtmosとAuro-3Dは何が違うのか?

映画のDolby Atmos、そして音楽のAuro-3Dという住み分けがある。

作成手法の大きな違いは、Dolby Atmosはオブジェクトベース。Auro-3Dはチャンネルベース。

Dolby Atmosは、サラウンドに対して、高さ成分を”オブジェクト音”として追加していく。
個々の音の要素(オブジェクト)をレンダリング(描画)して3次元空間に立体的に配置していく感じ。


レンダリングというのは、そもそもCGの世界の言葉だから、極めて映像的な手法で、処理も難しくて負荷も重い。でもSPの配置を決めつけることなく、異なるSP配置でも実現、適合できるというメリットがある。

一方Auro-3Dは、製作者側であらかじめ定められた3次元のSP配置(チャンネル)に合せて音を振り分けて作り込まれる。だからSP配置は決まっているのだ。いままでのオーディオの制作、オーサリングの延長線上にある考え。いままでに高さ成分のチャンネルが増えた、というだけ。処理の負担も軽い。


ステレオ2chというのは、厳密にL,RのSPの位置決めをクリティカルに調整しないと、音像の位置のポイントや音場が広大になるポイントが現れてこない。そこを探るのが難しい。

でもサラウンドというのは、ある意味、そこまで厳密に調整しなくても、音像のピント・豊かな音場というのが簡単に実現できてしまう。サラウンドのほうがより簡単にこれらを手に入れることが出来る。もちろん難しい厳密な調整をすれば、お化けなサウンドが出来上がる。

自分は最初この意見にかなり抵抗があった。サラウンドとはいえ、最低限の決まりごと、セッティングを施さないとダメなはず。でも時間が経つにつれて、この考え方にも一理あると思うようになった。

3Dサラウンドについても同様のことがいえる。Auro-3Dの開発者の意向では、ハイトのSPは、地上のSPの真上に置いてほしいこと。そしてリスポジから30度の抑角にしてほしい。そうすると水平方向の音場空間と垂直方向の音場空間とシームレスに繋がるとか。


Auro-3Dのセッティングの要は、フロントの構成(地上&ハイト)をしっかりルールどおり準拠して欲しいとのこと。フロント重視のシステムなのだ。


ハイトSPの役割は、完全に直接音に対する反射音と限定している。ハイトSPから直接音が出てくるようなサラウンドの構成はあり得ないとのことだった。

音声のコーデックは、Dolby AtmosもAuro-3DもPCMのハイレゾ。2Lのソフトだと、Dolby Atmosは、48/24で、Auro-3Dは、96/24。


はじめて、この立体サラウンドの音を、自分の耳で聴いたのは、TIAS 2017でのDENONのブース。国内初のAuro-3D対応AVアンプということで、彼らのAVR-X6400Hの初お目見えのデモだった。

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全チャンネルともDALIのSPを使用。ハイトSPの設置には、写真のようなスタンド・ポール型を使っていた。


主に2Lのソフトや映画ソフトを使ってのデモだったが、自分が予想していたよりは、まともな音場空間であった。確かに高さ成分を感じ取れる。ただ、歌い文句や予想していたより、イマーシブ感(包み込まれる感じ)は、いまいちかな?という印象。

やはりIASの国際フォーラムの部屋はオーディオ再生に向いていないし、第一部屋が広過ぎと感じた。フロントとリアの音場空間がつながっていないのが原因かな、とも思った。

エム5邸や、全国のツワモノ達のすごいサラウンド・システムをたくさん聴いてきた自分の耳の経験からすると、これくらいならもうみんな実現しているよ、という感じで、それよりも若干高さの改善があるかな、というレベルの感じだった。

これでは手放しでは称賛できないし、もうちょっと実ベースのいい環境で聴いてみたい、という欲望があった。

そこで、自宅の近くのホームシアター専門のAVショップの視聴ルームで、Auro-3DとDolby Atmosの聴き比べができる、というニュースを掴んで、行ってみようと思ったのだ。


視聴ルーム。

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約18畳の広さ。専用リスニングルームとしては平均的な適切サイズ。ここでの視聴であれば、もっと真っ当な3Dサラウンドの評価ができると確信。

SPは全チャンネルとも、フランスのCabasse(キャバス)を使う。自分は知らなかったが、同軸ユニット搭載で世界中から高評価を得ているとか。オンキョウが代理店。

ハイト用のSPは、こんなに小さい。設置はスタンド・ポール型。

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ハイト・リア。

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こんなに小さくても、恐ろしく素晴らしい広い音場空間を実現するのだ。たぶん値段も一般コンシューマ向けと思われ、普及ベースの商品。現実離れしたハイエンドな世界よりも、3Dサラウンドの場合、こういう身軽で安い普及前提の商品のアプローチのほうがいいかも。より現実的だ。

結論からすると、こんな簡易型システムでも全然十分すぎる音場空間で、見事な素晴らしい立体空間だった。


もちろんDolby Atmos用には、すでに天井に埋め込み型のトップSPが設置されていた。

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まず、一番自分が感動したのは、非売品のAuro-3Dのデモソフト。

ステレオ2.0→DTS HD Master 5.0→Auro-3D 9.0というように同一音源で、順次切り替わっていくソフト。確か森林の中の鳥のさえずりのようなネイチャーサラウンドだったと記憶する。


いわゆるサウンドの立体空間の移り変わりの効果を感じ取ってもらうデモソフト。

昔ゴローさんが、NHKでサラウンド特番を作ったとき、同じように、モノラル1.0→ステレオ2.0→サラウンド5.0と切り替わるデモソフトを作っていた。(ヨーロッパの街中で舟をこぎながらの音)

あれの3Dサラウンド版と思ってくれればいい。

これが効果てきめん!!

この非売品ソフトほっすいぃぃ~!

まずステレオで前方に平均的な音場空間が構築されると、そこから5.0サラウンドに切り替わると、一気に水平方向にサウンドステージが拡がる感じで、自分の周りが包み込まれる感じになる。そこから3Dサラウンドの9.0になると、高さ成分が加わるのがはっきり認識できるのだ。自分の耳の上から、ちょうどハイトSPのさらに上部辺りに音場空間が追加される感じ。

全体として、かなりリッチな音場空間になる。

これはふつうのソフトを聴いているよりも、ずっとその増設効果がはっきりと認識できると思います。

このデモソフトで、かなり正当な評価ができる、部屋の広さも適切、ということを認識した。

つぎに、2Lのマルチフォーマット音源のソフト。同一音源をDolby AtmosとAuro-3Dで収録してある。もちろんLPCM2.0やDTS HD Master 5.0でも。

これらはBlu-ray Audioに収録されているが、それとは別にSACDサラウンドのディスクもある2枚組なのだ。

2Lについては、別途日記にしようと思っているので、ここでは深く触れない。

かなり実験的で先進的なサウンドアプローチをするレーベルで、録音はかなりいいと思う。
3Dサラウンドのソフトとして、ここにきて、注目されているレーベルですね。 


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「わたしの愛も~現代合唱作品集」 
ニーナ・T・カールセン&アンサンブル96

https://goo.gl/5Brxiv


天井がとてつもなく高いオスロのウラニエンボルグ教会で録られた室内合唱団の録音。

最初DTS HD Master 5.0で聴くが、これでも十分すぎるくらい音場空間で、この教会の大空間がよく録れていて、そこにワープしたような感覚になる。これをAuro-3D 9.0に切り替えると、明らかに高さが加わった感じがよくわかり、特に合唱の声の突き抜け感がかなり増える感じになる。

おぉぉ~明らかに高くなったね、という感じ。

Auroのモードには、Auro-2Dという設定モードもあり、ハイトSPを鳴らさないという設定もできる。Auro-3Dを聴いていて、そこからAuro-2Dに切り替えると、高さ方向の成分がスパッと切れてなくなり、水平方向のみ残るという感じで、その差分にガクッと来る。


さらに言えば、ある意味、Auro-3Dから、ステレオLPCM2.0に切り替えると、これは、もう本当に悲しくなるのだ。(笑)

ここで面白い実験をしてみた。

Dolby Atmosの適切な再生には、天井SPには埋め込み型のトップSPを使う。Auro-3Dの適切な再生には、天井SPには地上SPの真上に設置してあるハイトSPを使う。

Dolby AtmosをハイトSPの条件で聴くとどうなのか?

2LのソフトをDolby Atmosモードにして聴いてみる。

確かに高さは感じるが、合唱の声がAuro-3Dのときのように突き抜けるような感じではなく、自分側の前のほうに被ってくるような違和感がある。やはりハイトSPの設定の場合は、Auro-3Dで聴くほうがずっと適切だと感じた。

Dolby Atmosはオブジェクトベースなので、SP設定を選ばないで自由に空間にレンダリングするのが特徴なので、この現象はちょっと不思議だったのだが。。。

じゃあ、Dolby Atmosの本領発揮の条件で聴きましょう、ということで、SP設定を埋め込み型のトップSPにしてDolby Atmosの映画を視聴してみた。


やっぱり音楽のサラウンドと映画のサラウンドは、根本的に聴こえ方が違うし、聴き方も違うと思う。あの映画独特のド迫力のサラウンド効果は、もう本当に映画館、シアター。

音楽が静的な3次元空間の表現だとしたら、映画は動的な3次元空間の表現。移動感のリアルさがハンパない。

本当に頭の上の天井から音が振ってくる、という感じだった。(笑)

自分は映画は大好きだけれど、ふだん時間があまりなく映画をあまり観ない人なので、映画サウンドのクオリティの評価は、偉そうにしないほうがいいと思う。(笑)


ここで、考えさせられたのが、Auro-3Dは専門の音楽だけじゃなく映画にも触手を伸ばしているけど、将来、映画のDolby Atmos、音楽のAuro-3Dということになると、家庭の天井SPは埋め込み型のトップにしたほうがいいのか、ハイトにしたほうがいいのか、まさか両方設置するのはどうなのか?など両フォーマットの併用は、かなり家庭に負担を強いるし、ここがひとつの問題だよなぁと新たな課題を感じた。


Dolby AtmosやAuro-3Dが、天井SPの配置スタイルとして、トップでもハイトでもどちらでも兼用できるのかもしれないが、それが各々において最適なクオリティかどうかは疑問が残るところだ。


もうひとつの驚きなデモのひとつに、毎年正月元旦にウィーン楽友協会で行われるウィーンフィルのニューイヤーコンサート。

じつは、2014年から、今年の2017年までの3年間、ずっとこのコンサートをAuro-3Dで収録していたのだそうだ。 




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ニューイヤー・コンサート2017 
グスターボ・ドゥダメル&ウィーン・フィル

https://goo.gl/TZMDZB


最近のニューイヤーコンサートはソニーがパッケージしているようだが、パッケージは正式にはAuro-3Dとは表記されていない。でもAuro-3D対応機器で再生すると、オーディオ設定のメニュー画面のところに、LPCM2.0やDTS HD Master 5.0のほかに、きちんとAuro-3D 9.0と表記されるのだ。

それを選択して再生すれば、Auro-3Dで再生される。つまり隠しコマンドなのだ。いままでパッケージに表記されていなかったのは、世の中にAuro-3D対応機器がなかったからだと思う。すでに世の中に発売されたのだから、来年からは正式にパッケージ表記されるようになるだろう。

残念なことは、このソフトを再生するときに、Auro-3DとDTS HD Mater 5.0の切り替えをしなくて、その差分を確認できなかったこと。訪問した時に、このソフトがかかっていて、じゃあ、本番デモ行きましょう、という感じ(笑)だったので、よく吟味できなかった。

TIASのほうで、ある程度視聴できたが、やはり音の沈み込みが秀逸かな、と感じはした。

クラシックのコンサートの映像ソフトは、自分が一番視聴している得意分野なので、このテレトリーできちんと評価したかった。

でもウィーン楽友協会という世界最高の音響空間も、すでに3次元立体音響で切り取っていた、という事実は非常に興奮した。


以上が体験したデモの全貌。

ハイエンドな世界ではなく、安価でコンシューマ向けの現実的な装置で、ここまでの立体音場空間が形成できるなら、自分は十二分に可能性のあるフォーマットだと確信した。

いますぐ自分の自宅に天井SP、3Dサラウンドの環境を敷くことは全く持って不可能だけれど、夢を見させてもらった。一般家庭にこれを施工するのは、やはりハードルは高いと思うが、技術の行く末として夢があることは絶対必要なこと。

サラウンドの次なる行先は高さ方向の3Dというのも必然だと思う。

まぁ、まずは映画館などのプロユースへの導入というのが当然の敷かれているレールかな?

もちろんSP設定が普通の5.1サラウンド環境でも、Auro-3D対応AVアンプがあればアップミックス機能を使うと、高さ成分が疑似ミックスされて、効果は作れるとのこと。

でも、でもだ。自分のかねてからの疑問だった、3Dサラウンドで収録した素材は、それをダウンコンバートした下位互換の5.1サラウンドでもその高さ成分が付加されていて、5.1サラウンドの収録機材、マイキングで収録した従来素材よりもメリットがあるのではないか、という疑問は、この日も解決できなかったのであった。(笑)













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BISレーベル [オーディオ]

今月のPROSOUND 10月号に、スウェーデンのクラシック音楽レーベルのBISの特集があった。

名古屋芸術大学の長江和哉氏がスウェーデンのBISレーベル本社を訪問した、その訪問記が掲載されていたのだ。

大変興味深く拝読させていただいた。

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PENTATONEのポリヒムニアや、DGのエミール・ベルリナー・スタジオは、よく素性を知っていたのだが、有力なSACDサプライヤーのひとつであるBISレーベルは、なかなか秘密のベールに包まれていて、スタジオやトーンマイスター含めて知る機会がなかった。

もちろんBISのSACDは、いままで数多にディスクを買ってきたので、家に大量のライブラリーがあって、彼らの録音のテイストはよく知っていた。

ワンポイント録音の先駆けのレーベルで、マイクから程よい距離感があるオフマイク録音で、聴いていて、ちょっと温度感低めのクールなサウンド。全般に録音レベルが低いのだけれど、その代償としてダイナミックレンジが広い録音、というのが彼らのサウンドの特徴だと思う。


記事の内容を詳しく書いてしまうと、営業妨害になってしまうので、詳しく知りたい人は、本を買ってください。(笑)


BISレーベルのヘッドクォーター。

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BISは、1973年にロベルト・フォン・バール氏によって設立された。

ロベルト・フォン・バール氏。(調理中(笑)) 

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中世の音楽から現代音楽までを範囲とし、いままで約2200タイトルを制作していて、いまも、1か月に5タイトル=1年間で60タイトルの新譜を制作している、というのだから、なかなか回転率が良くてビジネスも順調に回っているのだと思う。

北欧の音楽、指揮者、演奏家を中心に取り上げ、そのエリアを世界の様々な音楽の分野に広げている。

いまや数少ないSACDのステレオ&マルチチャンネルのハイブリッドで提供してくれるレーベルで、自分はとても重宝している。

これは自分は知らなかったのであるが、2006年にはBISが設立した音楽配信サイト eClassicalでは、2015年より96/24 FLACのステレオ/サラウンドで配信しているのだそうだ。

Channel ClassicsがやっているDSD配信サイトのNative DSD Musicには、BISは音源を供給するのを頑なに拒否しているので(笑)、配信ビジネスには、あまり興味がないのかと思っていた。


現在、BISレーベルは、7人の精鋭で運営されているそうだ。

とても興味深かったのは、いままでBISの録音制作を手掛けてきたトーンマイスター5人が独立して、「Take 5 Music Production」 という別会社を設立していること。

主なミッションは、BISの録音制作を担う、ということらしいので、フィリップス・クラシックスの録音チームが、ポリヒムニアになったことや、ドイツ・グラモフォンの録音チームが、エミール・ベルリナー・スタジオとなったことと同様のケースのように確かに思えるのだが、ただ唯一違う点は、現在もBISには、社内トーンマイスターが在籍して、音に関わる分野の責任を持っていることなのだという。

これまで通り、BIS作品の制作を担いながら、同時に他のレーベルの制作も担当できる、さらには、ダウンロードのプラットフォームも構築していくという視野もある。


BISには、3つのスタジオが整備されていて、ひとつは、DSDサラウンド環境で、スピーカーはB&W 802 Diamond 5本が配置され、DAW Magix Sequoia、YAMAHAのデジタルミキサー、EMMのDSD DACなどでSACDサラウンドをマスタリングしている。

収録は、PCM 96/24でおこない、マスタリングするときにDSD 2.8Mにアップサンプリングする。

自分がよくチェックしていたBISのSACDのクレジットには、Nautilus 802と書いてあったので、モニタースピーカーは、やっぱり音色に色のつかないNautilusなんだな、と勝手に思っていたのだが、これはちょっと予想外だった。


DSDサラウンドスタジオ

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スタジオにしては、少し天井が低いかな、と思ってしまう。

もう2つのスタジオは、PCMステレオ環境で、スピーカーは、QUAD ESL-63とB&W 801 Matrix S3といったクラシック音楽録音のリファレンススピーカーが配置されている。やっぱりこのポイントは、どこのスタジオも同じですね。(笑)

彼らのスタジオは、サラウンドもステレオもクラシック録音の王道だと思う。


彼らは、ポリニムニアと同じで、編集、マスタリングするスタジオはあるけれども、ミュージシャンが演奏するスタジオは所有していないので、録音現場は北欧を中心に世界中のコンサートホールや教会になる。

そうすると基本は出張録音。そうするとその場で簡単にミキシング、チェックする出張モバイルキットが必要になるのだ。

でも、録音の際に毎回機材を運ばなくてもよいように、これらの機材は、本社のほか、アメリカ、オーストラリア、日本に保管しているのだそうだ。

収録機材は、DAW Magix Sequoia/SamplitudeとRMEのMADI機器のヘビーユーザー。

BISのSACDのクレジットで、他のレーベルにはないことで、よく感心していたのは、収録機材、マイクなどの情報を必ずクレジットしていることであった。彼らが技術集団であることの主張なのだろう、と思っていた。

その他、BISの音楽プロデューサーのロバート・サフ氏、Take 5のトーンマイスターへのメールインタビューと、とても興味深い。

Take 5のトーンマイスターであるHans Kipfer氏は、もう数えきれないくらいクレジットで、その名前を見かけたなぁ。まさに中心人物のトーンマイスターでしたね。こんな方だったとは!

日本の演奏家で、BISと契約してSACDを出しているのは、鈴木雅明&バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)と、ピアニストの小川典子さん。

特にBCJのバッハの教会カンタータ全集は、22年かけて、日本の神戸松陰女子学院大学チャペルでずっと録音してきたBISとの共同作業の賜物。

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このカンタータ全集が完成した暁に、鈴木さんのインタビューを読んだとき、当時この何十年もかかるカンタータ全集の録音をしたいといろいろなレーベルに話を持ち掛けたときに、どこも相手にされなくて、BISだけが興味を持ってくれた、と語っていた。

近代のレーベルにある場当たり的なリリース計画、マーケット戦略ではなく、何十年という先を見据えた戦略、眼力を持っていた創立者ロベルト・フォン・バール氏ならではの成果なのだと思う。

レコード業界の中でも完遂の数少ないバッハのカンタータ全集。それをSACDという高音質フォーマットで世に出してくれた作品はこのBCJの作品しかなく、その功績は大きいと思う。


自分にとって、永らく秘密のベールに包まれていたBISレーベルの全貌が見えたような気がする。

PROSOUNDのほうには、さらに詳しく掲載されていますので、ぜひ買って読んでみてください。







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第1ヴァイオリンはどこから聴こえるべきなのか? [オーディオ]

いまから6年前の2011年11月のラトル&ベルリンフィルの来日公演、サントリーホールでマーラー9番を演奏したときのこと。当時のラトルが使っていた対向配置に、ひとつの疑問があった。


普通の対向配置って、1st Vn→Vc(チェロ)→Va(ヴィオラ)→2nd Vnで、ステージ左奥にコントラバスだ。


ところがラトル・ベルリンフィルのヴァイオリンの対向配置って、左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリンでステージ右奥にコントラバス群となっていて、とてもユニークな印象を受けた。


当時調べてみたら、ラトルのこの対向配置というのは、ベルリオーズの「管弦楽法」に載っている方法ということがネットに記載されていた。


それぞれの配置の特徴を書くと(あるヴィオラ奏者目線)、


●Vn1 Vn2 Va Vc
  音の高さの順なのでVn2とVaなど隣り同士の連携がとりやすい。
●Vn1 Vn2 Vc Va
  Vaの音が客席によく聞こえるとか。Va目立つけどVn2との連携が難しい。
●Vn1 Vc Va Vn2
  いわゆる対向配置。ステレオ効果があるけどVn1とVn2の音量差が気になる。
●Vn1 Va Vc Vn2
  ベルリオーズの「管弦楽法」に載ってるらしい。正直やりづらかった。


こんな感じだった。


奏者が「正直やりづらかった」(笑)と言っているくらいだから、よっぽど珍しい配置なんだろう。

6年前の友人とのやりとりだけど、鮮明に記憶に残っていて、昨日ふっとこのことを思い出し、このラトルの対向配置のことをもっと深く調べて、その効果を知りたい。そしてついでに、オーケストラの配置について整理してみたいと思った。情報源はネットです。


●アメリカ型配置


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二次大戦後、アメリカのストコフスキーという指揮者がはじめた配置で、現在主流となっている、
左から順に第1ヴァイオリン→第2ヴァイオリン→ヴィオラ→チェロという配置。

音響の悪いホールで演奏せざるを得なかったために響きが良くなる方法を研究した結果だと言われている。


ステージ左から高音域→低音域の順番で並んでいる配置。

音域が近い楽器同士を隣り合わせにした方が、弦楽器全体で聴いた時の響きは良くなる。
このことは特に、編成の大きい曲や、大きなホールで演奏する時に重要になる。


なので、こう配置することでコンサートホールでの響きが豊潤になるという利点とともに、1950年代頃から一般的に行われるようになったレコードのステレオ録音にも適しているとみなされ、20世紀後半には世界中のオーケストラに広まっていった。


また奏者は隣の奏者の音をじかに聴きながら演奏している訳だが、自分の両隣の音は、自分の楽器の音域に近い音のため、連携を取りやすいというメリットがある。


この配置はチェロが外側に来ることにより、より重低音サウンドが期待でき、音の輪郭がはっきりするが、ヴィオラが内側に入ることにより、中音域が聴こえにくくなるというデメリットがある。



●ドイツ型配置


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アメリカ型配置に対して、ヴィオラとチェロを入れ替えた配置で第1ヴァイオリン→第2ヴァイオリン→チェロ→ヴィオラという配置。アメリカ型の改良バージョン。


ヴィオラは、ヴァイオリンとチェロのちょうど間くらいの音域で、その主役割は主旋律を歌う楽器に対しての内声的な役割。またヴィオラは楽器特有の事情により響きが出にくい構造で(音域的には楽器をもっと大きくしないと充分な響きが出ないのに、それだと奏者が持てなくなるため、本来あるべきサイズより小さいらしい)そのヴィオラの音が良く聴こえるための配置。


この配置は高音域・中音域・低音域の各声部がなめらかに溶け込み、バランスの良い音響効果を得ることができる。だが、演奏によっては、音の輪郭がいまいちはっきりしないというデメリットもある。




●古典配置(対向配置)


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客席から見て、左側から第1ヴァイオリン→チェロ→ヴィオラ→第2ヴァイオリンという順に配置される。この配置は、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンがお互い向かい合って配置されることから、対向配置とも言われる。


対向配置の1番の目的は、ベートーヴェン以前の古典派作品では第2ヴァイオリンが内声部や伴奏に徹するよりも、第1ヴァイオリンと対等の立場の掛け合いで主旋律を演奏するケースも多いことから、そのやり取りをステレオ効果のごとく聴覚・視覚の両面で明快に表現しようという意味合いにある。


このように「作曲当時と同じ」であることを強く意識する場合には対向配置(古典配置)を取る。


この配置のメリットは、ずばり高音域・中音域・低音域の各声部がくっきり聴こえるという点である。各パートの音がよく分離してクリアに聴こえる。


逆にデメリットは、弦楽器全体の響きとしては弱くなる。理由は、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリン、第2ヴァイオリンとヴィオラが離れてしまうため。


アメリカ型&ドイツ型のように隣接した楽器がお互い音域が近い者同士だと、それが連携すると全体として響きが大きく豊潤になるメリットはあるのだけれど、輪郭がクッキリしないというデメリットがある。


逆に対向配置で、隣接した楽器がお互い音域が離れている者同士なので、各声部が分離してクリアに聴こえるのだが、弦全体としての響きが弱くなるというデメリットがある。
 

この対向配置の、もうひとつの問題点は、技術的に相当のテクニックを奏者に要求すること。


普段第1ヴァイオリンの横で弾いている第2ヴァイオリンが離れた位置に配置されるため、非常に高度なアンサンブルの技術が必要になる。


第2ヴァイオリンというのは基本的に第1ヴァイオリンのメロディーを補強する役割を受け持つので、第1ヴァイオリンと離れてしまうと非常に演奏しづらい。だから、この配置は高度な演奏テックニックをもったプロのオーケストラでもないかぎり、いかなる理由があろうともやるべきではないらしい。


アマオケがこの配置でやっても、この配置の特性を生かせないのはもちろん、アンサンブルの崩壊をまねく可能性も強い。そこまでして、奏者に強いる負担が大きい配置なのだ。



●ラトルの対向配置



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これが問題のラトルがよく使っている対向配置である。
ふつうの対向配置と違うのは、ヴィオラとチェロが入れ替わっていること。

これについては、基本の効果は、たぶん普通の対向配置と同じだと思うのだが、ヴィオラとチェロを入れ替えるところの効果は、調べたのだがわからなかった。このようなマイナーな配置は載っていなかった。(笑)


以前調べたときは、ベルリオーズが書いた「管弦楽法(オーケストレーション)」の中に記載されている配置という記事があったのだが、それさえも、現在ではなかった。もう6年前のことだからなぁ。


残念!6年越しのミステリー解決にはならなかった。


でも当時のラトルが、このような配置を使っていたことは確かなのだが、現在では、ふつうの対向配置のようだし(昨年のベートーヴェン交響曲全曲演奏会でもそうだった。)。


現在オーケストラの配置ということで、挙げられるのは、アメリカ式、ドイツ式、そして古典配置(対向配置)のこの3つだけと言ってよさそうだ。


それを指揮者が決めるのか、オケが決めるのか、他の誰かが決めるのかは指揮者によって、オケによって、演奏会によって事情が違うのでケースバイケースなのだと思う。



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この配置問題をクリアした上で、敢えて考えたいのは、オーケストラ・サウンドをオーディオで再生する場合。


2chで録音が造られているもの、2chステレオで達成できるもの、解決できる課題は2chシステムの方で追及していきたいし、一方で、2chステレオの再生に対する疑問や問題点を解決する新たな手法としてサラウンドの録音・再生に取り組んでいるのである。


確かにサラウンドは、システムのユーザへの負担、部屋のエアボリュームの問題もあって、いまいちユーザへの敷居が高く、普及がニッチ市場であることは間違いないのだが、でも最近は3Dサラウンドという3次元立体音響のフォーマットも出てきて、コンサートホールでのオーケストラサウンドの空間の切り取り方に革命的な変化をもたらす可能性も出てきていることは否めない。


そのひとつにこんなことがある。


それは、オーケストラのストリングス(弦楽器セクション)の鳴り方。

自分がオーディオに目覚めた頃最初に聴いたオーケストラ再生の印象は、第1ヴァイオリンが左から チェロ・コントラバスが右から聴こえて、センター奥から 木管楽器やティンパニーが聴き手に向かって響き渡ってくるように感じられた。


ステレオって凄え!これが立体音響かと感動した。


しかし その後、時代が経過、経験が豊富になるにつれて、そうしたいわゆる「ステレオ効果」に対する疑問が生まれてきた。先述のオーケストラ配置や、実際にオーケストラを見るとわかるが、第1ヴァイオリンは、ステージの左端から センターに陣取る指揮者のすぐ横までの拡がりがある。


音のエネルギー感にしても ストリングス(弦楽セクション)のエネルギーの核は、指揮者がいるいないにかかわらずセンターにあって、そうしたストリングスの凝縮感みたいなものがある。


それをきちんと録音されたものを聴いてみたいと考えるようになった。


ベートーヴェンからブラームス・チャイコフスキーに至る交響曲を美味しく味わうためには ストリングスをちゃんと鳴らすということが一番の肝だと今でも考えている。だから一聴して解像度が高く音色が魅力的なスピーカーであってもオーケストラのストリングス・セクションがきっちり描けないスピーカーを自分は受け入れられない。


センターにぐっと凝縮感があって そこからエネルギーが炸裂・拡散していくようなストリングスを録音・再生すること、そんな課題を持ってオーディオに取り組んでいるといくつかわかったことがあった。


先ずいろいろなオーケストラの録音を聴いていると、センターまで厚みのあるように弦楽セクションを捉えることは、別に難しいことではないのだが、そうすると 今度は奥行きも出しにくくなってしまい、全体に拡がりの無いモノーラルっぽい、いわゆる分離の悪いオーケストラ録音となる。


センター付近で密集する弦楽器のパワーを出そうとすると、奥にいる木管楽器が埋もれてしまうというバランスの悪さはいかんともしがたいものがある。


されど補助マイクで 木管楽器をレベルアップすれば 音場がどんどん平面的になってしまう。

結局 弦楽器セクションのサウンドは、センターを薄くして 左右に開き木管楽器を 補助マイクのレベルをあまり上げずして浮かび上がらせる方が聴いていて気持ちが良いのだ。


いろいろなオーケストラ録音を再生するとメジャー・レーベルの優秀なオーケストラ録音というのは およそ そういう風に出来ているということに気がついた。



そこには、2chステレオによるオーケストラ録音・再生の約束事というか限界があるのだ。
自分が、サラウンドの録音・再生に求めているのは、それを超えたものだ。


「第1ヴァイオリンが、ステージの左端からセンターまで席を埋め、第2バイオリンやヴィオラが 音楽を内から高揚させるように内声をきっちり表現していて、かつチェロ・バスの低音弦にも ちゃんと拡がりと音としてのボディー感がある。まず、そんなストリングス・セクションを眼前に再現したい。それでいて 奥の木管楽器から金管・打楽器に至るまでの遠近感・立体感が曇りなく見渡せる。」


自分が、オーケストラの生演奏、そしてオーディオ再生を聴くときに、いつも理想とする空間の描き方、はこんなイメージ。


3Dサラウンドが、実際のオーケストラ録音に実用化され始めたら、どんな革命、聴こえ方の革新が生まれるであろうか?

ホール空間の切り取り方は、まさに実際、自分がホールにいるかのような感覚を家庭内で再現することが出来るであろうし、オーケストラの聴こえ方そのものに、生演奏のリアリティが増すに違いない。


2次元平面で解決しようと思っていたことが、奥行き、そして高さというディメンジョンも増えて表現力に迫真がでる。


また、それこそ先に書いた様々なオーケストラ配置による様々な聴こえ方の違いも、その通りに家庭内でも再現できるに違いない。


いままで書いてきたようなことは、2chステレオ時代だから、苦労してきたことであって、録音にしろ、再生にしろ、チャンネル数が増えるということは、そういうことを一気にブレークスルーして解決してくれるものという確信みたいなものが自分の中にはあるのだ。






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DSD11.2MHzライブストリーミング [オーディオ]

時間の問題とは思ってはいたが、突然のプレスリリースで驚いた。IIJがやっているDSDライブストリーミングで、世界初のDSD11.2MHzでストリーミングサービスを開始するという。

N響のミューザ川崎でのコンサートで初披露。

えっえっえっ?視聴環境なんかの事前の情報リリースはいっさいなかったので、まず関心事はそこ。

どうやって聴くの?

プレスリリースなんかの記事を観ても、視聴環境については、どこにも書いていないというか、積極的にページを紹介していないみたいだった。

なんか訳ありというか、不親切だなぁ(笑)という感じで少々ストレスを感じた。

時間はかかるけれど、まずはお問い合わせフォームにて、問い合わせてみる。

自分の関心ごとは、このDSD11.2MHzストリーミングをどうやって聴くのか?

その視聴環境を知りたかった。 

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①USB-DACは、11.2MHz専用のDACが必要になるのか?それに応じて、KORGのDACであれ
  ば、再生エンジンであるAudioGateも次のバージョンの5がリリースされるのか?

②PCのCPUの動作スペック的に、5.6MHzのときに比べて、さらに上のものが必要なのか?
 つまりPCをまた買い替えしないといけないのか?

③家へのネット回線スピードはどれくらい必要になるのか?

④アプリであるPrimeSeatを新しいバージョンに入れ替えないといけないのか?

この4項目だった。


まず、

①USB-DACについて

これは、DSD11.2MHz対応のUSB-DACが必要になる。
いま、このIIJのサービスが推奨しているUSB-DACメーカーの中で、KORGをはじめ、11.2MHz対応のものは、まだ世の中に出ていない。(笑)つまり11.2MHzライブストリーミングを受信できるUSB-DACは、まだこの世に存在していないのだ。(笑)

どうりで、視聴環境について積極的に紹介していないわけだ。(笑)

自分が持っているのは、KORGのDS-DAC-10RというDACなのだが、5.6MHzまでで、11.2MHzは再生できない。

これに応じて、たぶんAudioGateもバージョン5がリリースされるはず。
このGUIの中に、11.2MHzの関するボタンが必要になるから。


②PCのCPUのパフォーマンスについて。

推奨スペックの変更はなし。

CPUはCore 2 Duo 2.66GHz以上を推奨する。

PrimeSeatでDSD5.6MHzの音源が問題なく再生できているPC環境であれば、DSD11.2MHzの音源も再生できる。

これは心底ホッとした。自分にとって最高に朗報だ。音楽再生専用としてMacBook Proを新規購入したばかり。これでまた買い替えだと金銭的にも、あと、PCの今後の展望においても無理だ。

PCってオーディオ機器などの家電と違って、ライフサイクルがすごく短くて、USB I/Fとか規格がどんどん変更になって、対ノイズ対策という点では、どんどん悪くなる一方だそう。

というのはPCを開発している人たちって最初からオーディオを再生することを考えて設計していないから。今後PCオーディオのような音楽再生に適したNotePCなんていうのは、もうあり得ないんじゃないかなぁ、という話。

新型のMacBook ProもいまいちUSB I/F含め、ノイジーだという話。


ただ、これは、11.2MHzをそのまま11.2MHzの再生環境、5.6MHzをそのまま5.6MHzの再生環境で再生する場合で、このような場合は、CPUの負担ってそんなにかからないのだけれど、これをダウンコンバートやアップコンバートするともろにCPUの負担が大きくなるそうだ。

だからCPUに負担がかかって音声途切れになったりすることもある。

このダウンコンバートやアップコンバートに関しては、サポート対象外だそうだ、11.2MHzに関しては。


③ネット回線スピード


DSD11.2MHz音源の再生には、常時24Mbps以上の通信速度が必要。常に安定して再生するための推奨速度は50Mbps以上。有線LANでの接続を推奨。

これは厳しい。DSD5.6MHzのときは、推奨速度は、常時12Mbps。

回線はDSD5.6MHzと比較すると倍の回線帯域が必要になる。


うちのマンションの回線速度は、28Mbps。


マンションというのは、入り口までは光回線で100Mbps来ているけれども、その屋内に入ってしまうと、既存の電話線の上位規格であるVDSLなので、ガクンと落ちてしまって、さらに多数の部屋に分岐されてしまうので、スピードが落ちるのは仕方ないのだ。

28Mbps出ていれば、御の字だと思う。

そうすると、11.2MHz再生するには、ギリギリで、常時安定であれば50Mbps必要とあれば、ちょっと無理。

やっぱり11.2MHzという大容量のネックはここなんだな、と思った。

ストリーミング再生では一番大切なポイントですね。


④再生アプリのPrimeSeat


再インストールの必要はなしで、いまので使えるらしい。従来の音源に関しては、5.6MHzまでだからGUIは変わらないし、今後の音源に関して、11.2MHzの選択肢のボタンが増えるだけなので、アプリそのものには関係ないようだ。


ただ、11.2MHzのストリーミング再生のためには、PrimeSeatのバッファサイズを最大にすることを推奨されている。

ストリーミング再生には、受信機側でのこのバッファという概念が必須で、リアルタイムでストリームを構築していくのでサーバー~家庭間でネット環境に応じて、時間軸管理で途切れた場合に、再生音がブツ切れにならないように、あらかじめ受信機側のメモリーでデータをプールしておく必要があるのだ。

ネットで途切れても、それをメモリーのデータである程度の時間、補うみたいな感じ。

やっぱり11.2MHzの大容量のストリーミングでは、このメモリーの容量、つまりデータをプールしておくのを最大限にしておく必要がある。



こんな感じだろうか。


結論は、11.2MHzになることで、視聴環境的に変わることは、

・USB-DACを11.2MHz対応のDACを新規に購入すること。
・ネット回線を太くすること。


ということになりそうだ。


ということで、いまの自分のマンションの環境では無理。1軒家に引っ越してダイレクトで100Mbpsが使える環境でないとダメだ。

敷居は高そうだ。


でも、自分はこのDSDライブストリーミングに将来的には5.1サラウンドも対応して欲しいと思ったりしているのだけれど、そうなると5ch分のストリームを通す回線となると、これまた太い回線が必要になるんだな、ということに気づいた。(笑)

結構大変なことなんだな。

11.2MHzの5.1サラウンドなんて、もう大変だし、5.6MHzのサラウンドでも容量的に大変そうだ。

あと、5chのサラウンド再生をやるなら、5ch分の位相ってどうやって合わせるの?というのもあるよね。サーバーからのストリームを家庭で再生するときに、5本のSPから出る音は全部が位相が揃ってないといけない。これって結構大変なことなんじゃないかな、とも思ったりする。


対応USB-DACもまだないのに、プレスリリースで発表してしまったのは、やっぱりDACが揃うまで待てない、ということだと思います。

ストリームの音源ができてしまったので、”世界初の11.2MHzストリーミング”ということを、まず発表してしまいたかった、というのが真相じゃないかな、ということを邪推したりします。

わかる~その気持ち。(笑)

別に攻めたりしません。その気持ちよ~くわかるから。(笑)

あと、11.2MHzのUSB-DACってどれくらいの値段で売られるかですね?


ストリーミングというのは、ふつうの音源のサービス、Spotifyとか、TIDALとか、Amazon Musicとか。。。

でもそれって、定額聴き放題だったりして、自分はどうもそこに抵抗があって、やってみようと思わないのだけれど、ライブストリーミングは、まさに演奏会のライブをストリーミングで流すので、ふつうのCDとかでは絶対手に入らない音源だし、ストリーミングというビジネス形式では、こちらのほうがユニークだし、将来性あるように思えます。

いま世界中のどこのコンサートホールやオペラハウスでも、自分のところの公演を映像&音声のストリーミングでネットに流してサービスするというビジネスは定着してきていますよね。 


                                                                                                                                                      

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そしてDSD11.2MHzというスペックについて。


自分はこのスペックが出始めたときから、なんかオーディオ業界に昔から根強く蔓延る「スペック至上主義」の象徴のような感じで生理的に受け付けなくて嫌いだった。(笑)

オーディオ商品を出すときに、スペックが高いと、それだけで、なんかグレードが高い製品のような感じでマーケット商戦に強いんだと思う。逆に他の製品が高いスペックを唄っているのに、自社だけそれより劣るスペックを唄うこと自体、それだけで商戦に負けてしまうみたいな。

そういうユーザ心理をうまく突いたところにあるものなのだ。スペックって、昔から。

オーディオ、音楽って、スペックでは一義的には決まらないです。

それだけで判断してしまう人は、聴いている音楽のことをよくわかっていない、オーディオ的快楽だけ求めている、生の音を知らない、自分からするとまだまだ底が浅いと思う。

そういう自分は、まだ11.2MHzの音をじかに聴いたことがないので(笑)、偉そうなことは言えないし、改心するかもしれないけれど。

やはり生の音とあまりに乖離しているのはダメですね。いくらオーディオ的に快感であっても。

先日の仲道郁代さんのサントリーホールライブのBD。あれはたったのPCM 48/24ですよ。それなのにあれだけ生演奏の臨場感をうまく表現できていて、仲道さんのピアノを表現するのに、あれで必要十分だと思った。あれ以上のスペックは必要ないと思った。

あと、同じIIJのベルリンフィルアワーのライブストリーミング。あれもPCM 48/24。これも恐ろしく鮮度が高くて、生演奏のありようを完璧に表現できていた。あれ以上のスペックって必要?ってな感じで。

その音楽を表現するのに最適なスペックって様々に存在すると考えたほうが絶対適切だと思う。

逆にスペック高すぎの音って、人工的なHi-Fi(死語(笑))サウンドで、あまりに現実離れして自分には違和感を感じると思う。


出来る限りのハイサンプリング、ハイビットで録れば、それだけもともとの原波形に近い形で録れて再生できることになるということだから、音声信号はもとより、現場の気配感など、いままで聴こえなかった音がどんどん聴こえることになるのだろう。

でも捉えられる情報が多過ぎて、普段聴こえない音が聴こえすぎるとどうなるのか?

鮮度感が高すぎると、長時間聴いていると心臓が痛くなったりする。また一度ゴロー調布邸で、マルチチャンネルDATの音を聴かせてもらったことがあるのだが、さすがテープの音、中域にがっちりと厚みがあっていい音なのだが、暗騒音があまりに生々し過ぎて聴いていて気持ち悪くなった。

あと通常のCD製作では低域カット処理をするもんだが、そういう処理をせず、そのまま超低域までを再生しているCDもある。(なにを隠そうEmil Berliner Studiosのライナー・マイヤールさんの作品 (笑)。)そういうCDの類は音楽を楽しむというより実験的な意味合いも多かったりする。


人間が長時間リラックスして音楽を聴く上で、聴こえなくていい音、音域というのは必ずあると思う。


また確かにDSDはPCMと比べてサンプリング周波数が高いので情報量が多いかもしれないが、DSDであればなんでもいいという訳でもなく、DSDの波形処理(1bit)の仕方にあう音楽、PCMの波形処理(Multi-bit)の仕方にあう音楽というのが絶対に存在するはず。


まずは音楽ありき、のはずだと思う。

音楽を表現するのに、生音を知らない、スペックだけで判断する人は、浅はかすぎる。

(まぁこれはある意味その人の勝手でしょ?というところもあって、スペック高で税に入れる人は、その人にとって 幸せなのでしょう。)

あと、数人の専門家の方の意見を読んだことがあって、ちょっと詳しくは忘れたのだけれど、サンプリングレートが高ければいい、というもんでもなく、その弊害、後遺症が出るので、青天井に上げていけばいい、というもんでもない、と書いてあった。

その弊害、後遺症の理論をちょっと忘れてしまった。

自分の周りにも、11.2MHzに対しては否定的な意見の人が多く、我が意を得たり、という感じでもあった。もちろん肯定的な人もいます。

こればかりは、自分の耳で、聴いてみないとダメですね。

5.6MHzで聴いていても、時間帯にもよるが(夜はビジー)、2時間聴いていれば、必ず1回は途切れてしまう現象が起きてしまう。

それだけストリーミングって技術的に難しい。

そんな中で、11.2MHzにすることで、そのネット回線など負担も大幅に増になるけれど、そこまでしても、いい音なのか!!?


やっぱり旭化成のようなところが、このようなバブルのようなAD/DAのICを開発してしまうから、青天井にどんどん上に上がってしまうんだと思う。(じつは、DSD22.4MHzとか、DSD44.8MHzというのも現に存在するのだ。)

オーディオ、音楽の再生のクオリティってそんなもんじゃないんだよね。

でも確実にオーディオ業界には、スペック神仰の考えは昔から根強く存在することは紛れもない事実なのだ!










ベルリンフィルのダイレクトカットLPを聴く [オーディオ]

巷で話題のベルリンフィルのダイレクトカットLPを聴いた。なにせ9万円もする大変バブリーなLPで、自分はアナログはやらないし(正確にはやっていても腰掛程度で、アナログマニアではな い。)とても自分では買えない。そこにオーディオ仲間が購入した、ということで、お聴かせいただく幸運に恵まれた。

もう数量限定の限定販売なので、すでに完売。現在は入手することは不可能。

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通常のアナログレコードというのは演奏を収録するときにまず、アナログマスターテープに収録し、それをもとに編集、ミックスダウンというプロセスを経て、アナログレコードに溝としてカッティングしていく。

でもダイレクトカッティングというのは、そういうアナログマスター、編集、ミキシングというプロセスを介さず、演奏の収録からいきなりダイレクトにリアルタイムで、アナログレコードにカッティングしていくことをいう。

ダイレクトカッティングでは、とにかく演奏およびカッティングが一発勝負であるため、失敗は許されないという極度に緊張をともなうのだ。

こういう一発勝負も、ベルリンフィルだからできた、とも言われていて、やり直し含め、2テイクで録ったようだ。聴いてみると最終楽章では観客の拍手が入っているので、まったく空席ホールでのセッション録音ではなく、いわゆる本物のライブ録音ということになる。2テイクということは、別に日にもう一回集客して録ったということか?


2014年9月にベルリンのフィルハーモニーで行われたブラームス交響曲全曲演奏会である。

ひと組のステレオ・マイク(ゼンバイザーMKH800Twin)でのワンポイント録音で、その拾った音(波動)を、直接カッティング・マシーンにつなぎ、ラッカー盤に刻み込むというプロセス。

今日では、ダイレクトカットで録音が行われることはほとんどないそうだ。ベルリンフィルも、最後にこの方式で収録を行ったのは、70年前。

今回そのマスタリングを担当したのが、Emil Berliner Studios(エミール・ベルリナー・スタジオ)で、トーンマイスターがライナー・マイヤール氏。まさにDGの黄金時代の録音をいっきに担ってきた超一流の技術集団だ。

収録で使用されたのは、LPレコード制作の金字塔と呼ばれるノイマンのカッティングレースVMS-80。

重さ400キロのカッティング・マシーンを500メートル先のフィルハーモニーに運び込み、音声スタジオ「第4スタジオ」で収録が行われた。まさに、失敗が許されない1発勝負のベルリンフィルのメンバーのただならぬ緊張感、そして録音チームの強い意気込みが刻み込まれた一大企画であった。 


どんな音がするのか?

試聴に使ったシステムは、SP、そして送出系も上流から下流までハイエンドなシステムなので、ソフトの録音クオリティに忠実なサウンドが出てくるはずだ。

ブラームス交響曲第1番の第1楽章だけで、片面使うこの贅沢なカッティング。

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簡潔にまず結論から言おう!

ダイレクトカットLPの印象は、コンサートで、前方座席のかぶりつき正面で聴いているような、まさに”生演奏を聴いている感覚とまったく同じ”聴こえ方をする、というものだった。

とにかくステージ前方のストリングス(弦楽器群)の音がやたらと大音量で迫力あって、自分に迫ってくるように聴こえてきて、オケの中段から後方にある木管群、金管群、打楽器群が、それなりに遠近感を持って聴こえてくる。つまり近くではなく遠いのだ。

いわゆるホールの前方席で聴いているときに、ステージ上で、前方から奥行きのほうにオケのそれぞれの楽器が並んでいる、その遠近感に従って聴こえてくる感じなのだ。特に木管の聴こえ方がすごく自然で、ステージ中段からすぅ~と前方客席に流れてくるようなあの聴こえ方は、まさに生演奏での客席の聴こえ方とまったく同じ。後方の金管などは、やはりそれなりに遠くて生演奏っぽい。

このとき、聴きながら自分の頭の中をグルグル考えていたのは、やはりワンポイント録音で、編集いっさいなし、というところに起因しているのではないか、と思ったことだ。

普通の録音であるメインマイク&数々のピックアップでの編集、ミキシングでの音だと、ステージ中段から後段にいる木管、金管、打楽器群も遠くに聴こえないように、編集時にピックアップで録った音をミックスしてそれなりに明瞭、鮮明に聴こえるように編集するはずだ。

だからオーディオで聴く普通のオーケストラ録音は、ステージ前方、中段、後方との距離感に関係なく、中段、後方の楽器群も明瞭に聴こえるように、全体のバランスがよく聴こえるように、空間バランスをつくる。だから聴いていて気持ちがいいのだ。

でも、今回のダイレクトカットLPの聴こえ方は、まさにそれとはあきらかに違って、ワンポイント録音で、おそらくそのメインマイクが設置されているであろう指揮者の後方あたりの上空から録っている方向感を感じるのだ。

ある意味、普段のオーディオでのオーケストラ録音の聴こえ方と、かなり違う感じで、どちらかというと生演奏で聴いているような聴こえ方をするのでこれは独特だなぁという感じで、生演奏派でもある自分にとっては、これはこれで、とても自然なオーケストラの音の聴こえ方をする、と思い感心したのである。


編集ナシということはどういうことなのか?

ふつうのオーケストラ録音で、ホールで収録した時の編集前の録りっぱなしの音を聴いたことのある人は、録音エンジニアでもない限り、一般市民ではほとんどいないであろう。もちろん自分も聴いたことがないのだけれど、いろいろ日記やコメントで見かけるのに、録音エンジニアが編集で化粧をする前の音って、すごい埃っぽい感じで聴けたもんじゃない。化粧をして強調するからはじめて人様に聴かせられるような感じになる、的なのをよく見かける。

でも今回は、まさに編集ナシの録りっぱなしの音をカッティングしている訳だから、まさに化粧をしていない音を聴いているのである。自分は埃っぽいとはまったく思わなかったし、まさに生演奏で聴いているようなリアル感、現実感があった。


音はとても鮮度感が抜群で、解像度も高くていい音だと思った。

そしてなにより客席での咳き込みとか暗騒音の生々しさもかなりリアルなことも、その解像度の高さに所以するところだと感じた。

自分が以前に日記で取り上げたIIJ等がやっているDSDライブストリーミングでもそうで、彼らもワンポイント録音で、編集、ミキシングなどいっさいなしで、演奏をそのまま録って、エンコードしてリアルタイムにインターネットに流しているのである。彼らの目的は、ふつうの音源ではなく、あくまで、演奏をしているところをじかにライブで流そうというところにコンセプトがあるので、そういうソリューションに行く着くのだと思う。

今回のダイレクトカットLPもじつは、LPという物理メディアとインターネットストリーミングの違いはあるにせよ、目的、コンセプトは全く同じのことなのだと自分は考えた。生演奏のリアル感、現実感を具現化するのであれば、ワンポイントで編集ナシというのがポイントなのかも。


別にどちらが主流になるとか、優劣があるとかというのは愚論であって、今後もそれぞれのメリットをいかしつつ、それぞれの分野で両立してくのだろう。

今回、ベルリンフィルのダイレクトカットLPを聴いた印象は、まさに”ライブレコーディング”ってやつで、生演奏をそのまま録るので、実際の生演奏で聴いているような聴こえ方をして生演奏派からすると不自然さがいっさいなく、ふつうの収録の仕方の音源とは、ちょっと違ったジャンルのLPだな、というのが正直な感想であった。


また次回もこういう企画ものがあるといいと思うけれど、ブラームスの4曲くらいだから緊張も持続できるのであって、ベートーヴェンの9曲とか無理かもしれませんね。(笑)



今回のLP(日本版)に同封されていた写真。


Emil Berliner StudiosのLPカットマシーン。

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ベルリンンフィルハーモニーでの演奏風景。

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トーンマイスター ライナー・マイヤール氏のサイン入り品質保証書(500プレス中428枚目とある。)

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オーディオオフ、広島遠征 [オーディオ]

昨今ずっと、鳴くことを忘れたカナリア状態であったが、久しぶりに本業のオーディオに復帰した。
広島のオーディオ友人のアテンドのもと、4軒のオーディオファイルのお宅を回ってきた。

毎年恒例でやってきた地方遠征オフ。

どちらかというと、近辺にいる者との切磋琢磨するオフというより、親交を深めるセレモニー的な意味合いが強いオフといったほうがいい。

幸せなことに、自分には地方のオーディオの友人さんが多いことから、1度も顔を合わせないで、オンラインだけで付き合っているより、1度お会いしてお互い大好きなオーディオでオフしましょう、ということで出向くというのが主旨なのだ。

これを済ませると、不思議と以前よりも、”つながっている”という感覚が強くなるから、不思議なのだ。

四国遠征×2回、関西遠征、九州遠征とやってきて、今回ついに広島遠征。

今回を最後に、この遠路オフ、一応完結しようかな、とも考えている。

今回のコンタクト・パーソンは、ひでたろうさん。

いろいろ根回し、事前準備していただき、本当にありがとうございます。(毎度、地方遠征するときは、このコンタクト・パーソン様には、本当に頭があがらない想いなのです。)

広島に行くなら、必ず寄らなければいけない場所であった原爆ドーム。

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ここで、将来にわたって不戦の誓いを自分の心に刻んだのであった。

原爆投下という悲劇があった場所の割には、周りが木々、草原の緑が多く、また川も前に流れていることから、結構、風光明媚な場所にあるんだなぁと思った。

たくさんの人が集まっていて、さすがに観光名所である。


広島市内は、プロ野球の広島東洋カープの25年振りのセリーグ優勝(V7)で、垂れ幕があちらこちらに下がっており、否が応でも賑わいを見せていた。

今回の広島オフはとても信じられないようなハイエンドなシステムを持っているお宅を回ることができた。

常々思うことなのだが、一般庶民の感覚から、あまりに金銭感覚的に離れているハイエンドなシステムというのは、たぶん普段のオーディオファンからすると、実際聴くチャンスというのは、ほとんどないであろう。

あったとしてもショップかオーディオショーくらい。

でもショップといっても、SPだけ、とか、アンプだけとか、の個別で入荷しているくらいで、それも店頭にポン置きで調教もなく、ただつなげている状態だけ。良心的なショップであれば、試聴に向けて、ある程度セッティングしてくれるところもあると思うが、周りの環境もリスニング環境として、適切とはいいがたいところも多く、せっかくのハイエンドも、きちんと鳴っているところなんて、なかなかないだろう。

これはオーディオショーにも言える。さすがにポン置きとまでは、いかないまでも展示会場は再生環境に適していないし、短時間でセッティングしただけのはずだから、きちんと鳴るはずもない。

オーディオの調教というのは、持ち主が長年かけて、試行錯誤で努力した結果で、ハイエンドであればあるほど、調教に時間がかかるし、エージング含め、鳴るようになるには時間がかかるはずだ。

そういう点で、このようなオーディオオフ会でそのようなハイエンドのフルシステムを持っていらっしゃるお方のお宅を回れるというのは、十分に調教されたシステムの音を十分に出し尽くしたサウンドを聴ける、つまりそのハイエンドのポテンシャルを十分に聴くことができる最高の幸せなのだ。

(さらにホストの方は、このオフ会に向けて、当日に最高潮ボルテージになるように調整をしているはず。)

そういう意味で、こういうお宅を訪問できて、その音、サウンドを聴けるというのは、オーディオファンにとって人生の宝といってもいいし、そのようなお宅と知り合っている友人を持っていること自体、人生の宝だと思うのだ。

そんなことを実感した今回のオフ会であった。


もうひとつ感じたことは、やはり地方のオーディオマニアの方のオーディオにかける情熱、財力がハンパでないこと。みなさん、社会的ステータスの高い職業でいらっしゃり、収入も高い。これだけのハイエンドな機器を購入できるならそれも納得のいくところ。それでいながら、お会いしたら、みなさんとても紳士的で、人格者な方ばかりなのだ。

やっぱり人徳とお金って結びつくものなのだな、と感じた。
(だから、ハイエンドオーディオを趣味にしている方は、全国でも人数が限られていて、とても狭い世界なのだ。)

我々首都圏のオーディオマニアは、もちろん素晴らしいリスニングルームを持っていて、ハイエンドなシステムを持っていらっしゃる方もいるが、やはり首都圏は土地代、リスニング環境にハンデがある。

それを補ってくれるのが、コンサートホールがたくさん集中していて、生演奏に接する機会が容易であるということ。生の音を知っている、というところがアドバンテージになるのでは、と常日頃思っているところ。

自分もそれを唯一の心の支えにして、これからもオーディオをやっていくのかな?


そして、これもとても大切なことなのだが、オーディオの場合、やはり他人の音を聴いてみること。それもたくさん聴くこと。他人の音を聴くと、自分には持っていないサウンド、自分にはなにが足りないのか、さらにその反対で、ここは自分のほうが優れていて、自分のサウンドの長所がわかるものなのだ。

自分の音しか知らないと、これは永遠に解決しないし、井の中の蛙。

他人の音をたくさん聴いてみて、こういうところを自分のサウンドにも取り入れたい、という欲が出てきて、そのためにどういう風にすればいいのか考えて、さらに調教をして切磋琢磨するものなのだ。

素晴らしいオーディオサウンドというのは、やはり経験値がものをいう。

これは自分がコンサートホールをたくさん経験したい、とコンサート通いする理由にも当て嵌まる。

やっぱり数多く通うしか解はない。いろいろなホールを通って、回数多く通うと、自分の耳の感覚に、あるリファレンスというものが出来てくるものなのだ。回数、経験が少ないと判断できないと思う。

なにを持ってホールの音響をジャッジするのか、音響がいいホール、音響がよくないホール、自分の好みの響きのホールとか、響きの質という判断は、いろいろなホールを通い尽くして、自分の耳に"ある基準"が出来てきて、その経験に基づいて、判断できるようになる。

あと、この音響をどのように表現するか、”意識して聴く”ということだろうか?自分が心がけているのは。。。

音響だけじゃない、コンサートホール(内装、外観、などいろいろな点)に対する着眼点なども、数多いホールを通い尽くすと、いろいろなところに対してピンと自分の感覚、アンテナに反応するものなのだ。(あっこういうところが、このホールは面白い、とか。)

そのアンテナの敏感な感度も、経験値がものをいう。


コンサートホールでの生演奏のサウンドを多く聴いていると、自分のオーディオルームでどのようなサウンド造りを目指せばいいのか、という基準が自分の頭の中にイメージされるので、そういうメリットでコンサート通いをしていることも確かだ。

コンサートホールのサウンドを、自分の部屋で再現するというのも、もちろん定説なことで、異論はない。でも、最近の自分の考え方は、生演奏は、生演奏、オーディオはオーディオというように、楽しみ方を分けて考えたほうがいいという方向にある。

生演奏なら、あの低域の再現力、そして信じられないくらいの広大なダイナミックレンジ、空間表現力の豊かさ、これはオーディオでは適わない。でも生演奏は、定位が甘いというか、雑というか、オーディオを聴いているほうが遥かに気持ちがいいと思うことも数多くある。

オーディオのほうが完璧な理想形の演奏でもある。録音は編集に編集を重ねているから、臨場感がなくてイヤだという人もいるが、自分は全く反対。オーディオのような完璧な演奏を聴いているほうが快感である。また録音というプロセスについて評価する楽しみというか、録音のいいディスクに出会うと、それを作成した録音エンジニアたちの苦労を心から讃えたくなる、そういう楽しみもあるのだ。録音は一種の芸術作品。その過程、作品を称賛するという姿勢を常に持ち続けたい。

オーディオは、限られた制約の中で、自分の好みのサウンドに仕立て上げていく、その過程が面白いし、オーディオ機器という所有感(男性にとっての車と同じ。)を楽しみながら、人生、心を豊かにしてくれる、そんな大切な趣味だと思っている。


生演奏は、その日の演奏の出来不出来も多く波がある。

でも反面、生演奏は、その瞬間に立ち会えている、という、その臨場感を楽しむもので、公演が大成功した場合のその瞬時の感動は爆発的なものがあるだろう。一生の思い出に残る。

もう、やめておこう。生演奏派か、オーディオ派か、という話題になると、ウルトラ長文になるので。(笑)


今回の広島遠征オフで、勉強になったのは、ホーン型SPを勉強できた、ということだろうか?
ドライバーというユニットの存在をお恥ずかしながら、知った。要は、現代SPでいうならミッドレンジのことなのだが、ドライバーにホーンを取り付けて、ウーハーとツィーターといっしょに組み上げる。そしてクロスオーバー周波数調整する。

こんなホーンSPでは当たり前のことを、いままで薄っすら認識していた程度であったが、はっきり理解できたことであった。ゴローさんのGOTOのSPの形態がやっと理解できた。(笑)

そして、今回のお宅(ホーン型SP利用の方はみんなそうなのかも?だが)は、SPについている既存のネットワークを使わず、外部でチャンデバを利用して、ユニットごとにマルチアンプ駆動されておられた。

いわゆる自作SPの原点ともいえるものなのだが、みんな筋金入りだと思った。こういうオーディオ友人を持てて(いまのご時世じゃこういうマニアは皆無でいないだろう。)、幸せだと思った。

今回廻った4軒は、以下の布陣。

●ALTEC A5とアキュのホーン型マルチアンプ駆動。

ALTECのホーン型SPは、都内でA7を聴いたことがあるのだが、今回のA5で組まれたシステムの音は、経験してた、予想していたALTECの音とは違って、かなり美音系で驚いた。いい意味でALTECらしくない音といおうか・・・そしてなによりも34畳ある広大なエアーボリュームを見事に埋めていたし、定位感が抜群であった。

●JBL4550系を4組組み合わせた38cmウーハー8発のホーン型マルチアンプ駆動。

38cmウーハー8発と聴いていたので、さぞかし低音過多と想像していたが、予想をはるかにいい方向に裏切る中高域ふくめて帯域バランスの取れたいい秀逸なサウンドであった。波長の長い低域を再生するには、十分すぎる30畳のエアーボリューム。このとき感じたのは、低域がしっかりしていて土台を支えると、その上に乗る中高域が逆にもっと煌びやかに映えて聴こえるものだ、ということ。オーディオ再生では、部屋スペースが大きく取れないために低域の再生ってボトルネックになるものなのだが、それが見事にクリアされていた。

なによりもいままで聴いたことのない初めて体験するスケールの大きいサウンドであった。音場が広いのとはちょっと違う感じなのである。

●オリジナルノーチラスと純正チャンデバおよび自作4chアンプ×2台で駆動。

オーディオマニアになって生まれてはじめてB&Wのオリジナルノーチラスを聴く。やはりB&Wらしい、細やかで繊細な解像度の高いサウンドで、これは普段自分が聴いているB&Wサウンドの延長線上にある等身大のサウンドだと感じた。オリジナルノーチラスは低域が鳴らないSPということで有名だそうだが、きちんと低域は出ていたし、音場も豊かであった。やはりクラシックをかけると、とてもよく鳴っていたというか、クラシック再生にぴったりだと感じた。オリジナルノーチラスは、ネットワークがついていない。どうやって駆動しているか、というと、初期の頃のオリジナルノーチラスについていた純正チャンデバと、なんと自作の4chアンプを2台で駆動していた。部屋は8畳のニアフィールドリスニング。

●初期型パラゴンを真空管アンプで駆動。

パラゴンというSPほど鳴らすのが難しいSPはないだろう。
都内の知り合い宅でパラゴンは見たことがあるのだが、調子がいまいちで、音は聴けなかった。今回はじめてパラゴンを聴く。友人のコメントでは、パラゴンのバックキャビティって凄く小さいので難易度メチャ高い。 ユニットもまるで前期と後期の性質がまるで違うし、部屋も含め、調整は大変らしいとのこと。 ほんとうに美しいデザインで、珍しいSPだが、貴重な体験であった。このお宅のは初期のパラゴン。サウンドは、あまりにも素晴らしかった。音場がすごく豊かで低域から高域まで隈なく出し尽くしていたと感じた。ほんとうに鳴っている、という感じ。こんな難しいSPで、こんなに鳴っているのを聴けたのは、貴重な体験であっただろう。


オーディオオフ訪問記は、詳しくは、写真付きも含めてmixiのほうで。。。

しかし、これだけのシステム、サウンドを聴いて、空港の帰路で考えたことは、確かに、いまのご時世、若い世代を含め、低額でオーディオライフを楽しめる、オーディオを身近にするという考えが基軸になっていて、それ自体、なんら異論はないし、マーケット的には正しいことだとも思うが、いまのハイレゾ&ヘッドフォンのスタイルの方向に進んでいくのを見ていると、自分は、今回の経験を踏まえて、やはり音楽は、ちゃんとスピーカーで聴こうよ!と思ったことも確かである。


広島でのひととき。。。

広島お好み焼き。

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これは最高にウマイ!関西風となにが違うかというと、具を混ぜるのが関西風だとのこと。あと空気の入れ方も微妙に違う。広島の方からすると、お好み焼きは広島が元祖で、関西のが、あくまで「関西風」、「広島風」と言ったら広島市民に怒られてしまうとのことでした。(笑)

そして、瀬戸内海での名産物の小いわしと広島産牡蠣。

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うますぎ!都内でも出店あるかもですが、意識しないと行かないし、地元名物を堪能できてよかった。

ひでたろうさん、本当に今回の貴重な体験の調整、アテンドをありがとうございました!


エム5邸訪問........そしてオーディオオフ [オーディオ]

ゴローさんは、仕事で自分の作品、たとえばNHKプレミアムシアターで放映予定、もしくはNHKエンタープライズでのBD発売の素材デモ~たとえば小澤征爾さんのサイトウキネンの映像作品など。~をオンセール前にBD-Rに焼いて、よくエム5邸オーディオルームでその作品の完成度合をチェックしていたのだ。

NHKにも編集スタジオはたくさんあるのだが、やはり機材の品質や、モニター室としての広さ、グレードに限界があって、やはり世の中に出す前に、1度、一般家庭の大画面、高音質環境でどう映るのかを確認したい、という意向があって、エム5邸オーディオルームは、その用途に使われていた。(ゴローさんは毎週エム5邸に通っていたときもあったらしい。)

そこでエム5さんのスゴ耳(ゴールデンイヤー)のチェックを受けるのだそうだ。(笑)

ボクも1回だけ、そういう場面に出くわしたことがある。ゴローさんがかなり入れ込んでいたエベーヌ四重奏楽団の番組を作っていたときで、そのデモBD-Rをエム5邸で3人で観て評価した。

そんなエム5邸だが、フロント3本を観ると、L,RがN801なのに、センターが802Dと、センターが1ランク落ちているSPを使っていることに気づくだろう。


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ポリヒムニア・スタジオもまったく同じ布陣で、両サイドがN801なのに、センターがN802と1ランク落としている。これには訳がある。

映画ではなく、音楽のサラウンドをやる場合、5本のSPは全部同じSPを使うことがサラウンドの原則。

そうしないと製作者側がスタジオで意図して作った空間表現を、家庭側で同一条件で聴かないと、それを再現できないから。

でも、このサラウンドシステムは、5.0chサラウンドだけを再生するのではなく、もちろん2chステレオも再生する。そうすると、5.0サラウンドで広大な音場で再生していたものを、2.0ステレオに切り替えたときに、フロント3本が、全部同じランクだと、2.0chにしたときに、ガクッと音場感が落ちてしまう。

なので、2.0ステレオ再生で使うL,Rは少しランクを上のものを使って、Cに1ランク落としたものを使うのだ、とゴローさんに教えてもらったことがある。

エム5邸の場合、さらに2.0ch再生のときに、L,RのSPから音場が広がるため、センターの位置にSPがあるとその妨げになってしまい、そうならないために、ちょっとセンターSPをL,Rに対して、後方に下げていたりするのだ。

同一システムで、5.0サラウンドと2.0ステレオの両立って難しい。(ゴローさんのように全く別のシステムで組む、という考え方もあるけどね。)

でもじつは、もっと迫真に満ちた、ある意味こっちが本音じゃないの?という理由もある。

それは、フロント前方に、801が3本並ぶことのほうが、観た目、スゴイ暑苦しい(笑)というか、そういう美観のセンスの問題のほうが大きいようだ。

でもボクは見つけてしまっただ。(笑)

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O Ganho Do Somというミキシング&マスタリングを専門に行う会社のスタジオ。

確かに、801がずらっと3本は暑苦しいかな。(笑)
でも慣れてくると、それなりに....思えてしまうから、フシギだ。

アビーロード・スタジオの800のフロント3本は、スマートさがあって、こちらのほうがよさげですね。

さて、ようやく本題のオーディオオフの模様。

ボクは大きく3つのお題をエム5邸に持っていった。

①DG SACDの再生。
②3次元立体音響 Auro-3Dの効果。
③ベルリンフィル自主制作レーベルの再生。

エム5さんは、もちろん新進の高音質レーベルから、メジャーレーベルまで万遍なく聴かれるが、とりわけ本人が大好きなレーベルなのがDG(ドイツグラモフォン)。

エム5さんのレーベルのサウンドの好みって、ずばりガチっと骨太というか肉厚というか芯のある「骨格感」のあるサウンドが好きなのだ。エム5さんって男っぽいので、やはりなんかそういう好みってわかるなぁ、という感じ。(笑)

まさにそういうサウンドなのがDG。エム5さんの「DG愛」は、それは、それは、大変深いものがあって、拙宅に来ていただいたときも、そこら辺の話をたくさんしていただいた。

この日のオフ会でも、「PENTATONEも確かにいいんだけれど、温度感が高いというか、全体に柔ら過ぎなんだよね。やっぱりガッシリ実在感のある硬質のサウンドのDGがいいよね。」という話をした。

ボクがDGのSACDを集めようと思ったのも、そこにある。

じつに苦心して集めてきたDG SACDたち。どのトラックをかけるかのセットリストも作成した。

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そうやって万全を期して、乗り込んだんだけれど、ボクが苦労して集めたDG SACDは、結構エム5さん、持ってたりした。(爆笑)

いろいろかけたんだけれど、やっぱり音楽的というより、オーディオ的にエンタメ性があるというか、驚かせる要素があるのは、やっぱりサロネンの「中国の不思議な役人」。

これはやっぱり来るね~。冒頭の曲の低音のグイグイ彫深い音色で押し迫るように鳴ってくる、その迫力。そして「中国の~」での何とも言えないアングラというかアバンギャルドな旋律。こういうのって音楽的というより、やっぱりオーディオ的に来るものがある、という感じ。

あと、いろいろかけました。オッターのシューベルト歌曲集もよかった。あとエム5さんに録音がイイと評判がよかったのは、ガーディナー&フィルハーモニア管の「惑星」の木星(ジュピター)のトラック。これもホントにいい録音です。

DG SACDは、万遍なくかけて楽しんだ。ホントに素晴らしいサウンドでした。

このときに感じたサラウンドの鳴り方で面白かったのは、リアの効果。これはエム5さんに言われてみて、初めて気づいたのだけれど、リアって単に包囲感が出るだけなくて、このリアが加わることで、フロントの3本の鳴り方に厚みが出るというか、フロントに影響が出るもんなんだよ、ということ。

リアの前に立って音を遮ったり、逆に音を通したりすることで、フロント3本の鳴り方がずいぶん違うのが実験でわかったのだ。

これは拙宅じゃあまり意識しなかったんだけれど、エム5邸では、それがよく認識できた。
目から鱗というか、ちょっと驚きました。


お次に、3次元立体音響のAuro-3Dの再生。 
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チャイコフスキー:組曲『白鳥の湖』、ショスタコーヴィチ:組曲『黄金時代』、
ストラヴィンスキー:サーカス・ポルカ、他 

山田和樹&スイス・ロマンド管

http://goo.gl/9Vrd41

じつは、これには伏線があった。

いま考えると、その前に、長時間ずっとDG SACDでいわゆる普通のSACDサラウンドを聴いていたから、そしてその直後にこのAuro-3Dを再生したから、その違いがはっきり認識できたんだと思う。

ある意味ラッキーだったかも?

とにかく再生して出てきた出音の一発目を聴いた瞬間、エム5さんが、「(高さが)ある、ある!」。

ボクが聴いていても、ものすごくハッキリわかった。驚きとともにホッとしたというか、肩の荷が下りた感じ。

ふつうのSACDサラウンドだと、大体SPのツィーターより音場のエリアも含めたちょっと上部辺りを中心に水平に取り巻くように鳴るんだけれど、このAuro-3Dを再生した途端、その高さが、天井に向かって部屋の上位のほうから、そして下端は、いままでの水平エリアに至るまでの、幅広い上下感覚の感じで鳴るのだ。

あきらかに高さがある。

悔しいかな、拙宅ではここまではっきり認識できなくて、高さというより深さ、空間が広いのはわかる、そしてエネルギッシュに鳴ることが両立している、というところまで、だった。それがエム5邸では高さもしっかり認識できるのだ。

やはりある程度再生環境のレベルの差はありますね。

その後、メディア含めて、誰もこのことを話題にした記事を観たことがなかったので、正直持論や自分の印象に自信がなくなってきた訳だ。

1番のキモは、天井SPや対応AVアンプを使って、9.1/11.1/13.1chとかやれば、それは効果あるの当たり前でしょ?(笑)

でも映画館ならともかく、それを(特に天井SP)一般家庭に強いるのは無理があるんじゃないの?ということだった。

だから自分が知りたいのは、ロスレスで、9.1→5.1→2.0に変換できるんなら、その5.1で聴いたとき、つまりいまのふつうのサラウンドシステムで聴いたら、ちゃんと効果がある、高さがあるんですか?ということだった。

これに言及した記事は観たことがない。開発者のインタビューで、「5.1にダウンスケールするときに、高さ情報をどのくらい付加するかは、技術者に任される」、というコメントだけだった。これだと、ふつうのシステムでも効果がある、と読めるのだ。

それを確かめたかった。そして、それが見事に立証された。

ちなみに、2.0ステレオでの効果もtomoさんに確認してもらったところ、きちんと効果があるようだ。

ある意味、この結果は影響は大きい。世の中は、2.0ステレオのマーケットのほうが圧倒的なのだから、2chでも高さを感じ取れるとなると、この録音方法が浸透してこれば、2.0ステレオの音質でも高さを感じ取れる3Dオーディオが可能になる、ということだ。

なんかワクワクしてきた。

そして1番最後は、ベルリンフィルの自主制作レーベルのシューマン交響曲全集。 
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じつは、このCDはウチでは全く鳴らない。

購入当時、自主制作レーベル発足ということで、かなり期待していたのだが、期待を裏切られた感じで、かっ~と頭に血が上り、逆切れ状態の感じで怒りの日記を投稿してしまった。

その後、そのSACDが日本ファン向けということで、発売されたが、確かにCDよりも若干良さげだが、あまり印象は変わらなかった。

これをエム5邸で確認してみたかった。

事前に、エム5さんと、「もし、これで鳴っちゃったら、どうする?(笑)」という感じで笑っていた。

.....が現実となってしまった。(>_<)

なんとエム5邸の2chでは、かなりいい塩梅で鳴ってしまうのだ。
もうこのときの私の青ざめた、冷や汗タラタラと言ったら.......

もちろん万全にすべてが優秀録音という訳でもなく、若干、いままでの印象通り、音場感がやや少なくて、音像型の録音というイメージは、エム5邸でもそうだった。

でもそのつぎにかけたSACDのほうが、ものの見事にその欠点を克服すべく、見違えるように、音場感が豊かになり、潤いのある響きのあるホール感漂う相当いい録音となって化けていた。

SACDのほうが遥かに優れた録音に化けていたのだ。

もうこれには弁解の余地はない。

あえて言い訳をする訳ではないが、拙宅の2chシステムでも、きちんと鳴ってくれる2chソフトは多いのだ。だから、今回鳴らなかったときは、すぐにソフトの録音が悪いせい、と決めつけてしまった。

オーディオマニアの陥りやすい罠として、鳴らなかった場合、それをソフトの録音が悪いせい、にして、自分のシステムを疑うことをしない、ということ。大きな反省点である。

「まず自分のシステムを疑うこと。」

逆切れの投稿を、自分のブログに投稿したのが、2014年7月であるから、ほぼ2年間もの間、ベルリンフィル自主制作レーベルに対して、負のイメージを自分がずっと抱き続け、それがトラウマにもなっていた。

この罪をどうやって償っていこう.....せめての償いとして、「黙秘権を使って、聴かなかったことにしよう」ではなく、きちんとカミングアウトする、ということ。

いみしくも今週末、ベルリンフィルが来日して、彼らの最後の大仕事であるベートーヴェンの交響曲全曲演奏会がサントリーホールで開催される。これよりも前に、きちんとパブリックにしておく、というのが自分の使命だと思った。

もちろん彼ら自主制作レーベルのベートーヴェン交響曲全集も購入している。


最後にオマケとして、映像のほうも楽しんだ。

150インチのスクリーンの大画面で、持参したアラベラ・美歩・シュタインバッハー&NDRの公演の様子を楽しませてもらった。 


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彼女の演奏姿の映像作品としては、この公演がベストの作品だと思っている。

麗しき、愛しのアラベラ・美歩ちゃんのお姿を、150インチの大スクリーンで、しかもサラウンドで観れたことは最高の幸せでした。

以上が、エム5邸オーディオオフの全貌。ホントに楽しかったし、深い議論も多く勉強になりました。

ありがとうございます。

エム5邸オーディオオフをきちんと自分の日記で書くというケジメをつけられて、本当に安堵しました。

最後に、その昔、ゆうあん邸オーディオオフ直後の食事の時に、ゆうあんさんと話をしたことを......

日本全国で、超金持ちで、目が飛び出る様な超ウルトラハイエンドなオーディオ機器を買いそろえているオーディオマニアの人は、結構いるかも、だけど、その中できちんとそれらを調教して、鳴らしきって素晴らしいサウンドを出している人って、はたしてどれくらいいるのかね???

エム5さんのように、オーディオ機器、そして部屋全体を使いながら、サウンドを追い込んでいってあれだけのサウンドを出している人って日本でもほとんどいないんじゃないの?たぶん日本の3本の指の中に入ると思うよ。

.....と話していたことを思い出しました。


エム5邸訪問 [オーディオ]

エム5邸には、いままで7回訪問している。そのうち過去6回は、ゴローさんに誘われて、いっしょに訪問していて、3人でオフ会していた。

「○町においしいトンカツを食べに行きませんか?」といういつもの定型文が携帯メールで来て、ゴローさんの金魚のふんのように、後ろについていった、という感じである。

だからオフ会の主導は、いつもゴローさん&エム5さんで、ボクは見習いADで横にいる感じ(笑)。

そしてそのオフ会の様子は大半がゴローさんが日記に書いていたので自分が書くこともなかった。

残り1回は、ゴローさんが亡くなった後、偲ぶ会を兼ねてエム5邸でオフをやろう、という企画があがって、マイミクさん(Dolonさん、たくみ@深川さん、gfyさん)とで訪問した。

でも、このときも日記は書かなかった。

結局、恐れ多くも、エム5邸に7回も訪問して、1回もオフ会日記を書いたことがない。

今回は、ぜひサシで乗り込んで、じっくりエム5サウンドを堪能、そしていろいろ勉強させてもらって、ぜひ自分の日記にしたい、というのが大きな目的だったのだ。

それが、いつもお世話になっている人への礼儀というものであろう。

前回、訪問させていただいてから、たぶん2年くらいは経つ。

エム5邸も大きく変わった。

リアにB&W N801の導入(ゴローさんの遺言)。そしてGPSクロックの導入。

自分が前回聴いたサウンドからは予想もつかない進化を遂げているはずだ。

エム5さんのサウンドの作り方というのは、ふだんの日記の投稿を読んでもわかるように、第1前提にまずSPから完全に100%の出音を出し尽くす。

(SPからちゃんと音が出ていないのに、ルームアコースティックもあったもんじゃなくて、まずこちらが最優先。)

そして、その後に、SPのポジショニング調整、壁からの1次、2次反射、吸音など、オーディオ機器だけでなく部屋全体を使いながら部屋トータルで自分のサウンドを作り出す、追い込んでいく、というやり方が、エム5さんのやり方なんじゃないかな、と思うのだ。

これって簡単に言うけど、専用のリスニングルームを持っているから、できることで、地方ならいざ知らず、土地代がバカにならない首都圏でこういう素晴らしい環境で聴けるオーディオマニアなんて、どれくらいいるだろう?

みんなマンションのリビングだったり、厳しい制約条件の中でオーディオやっている訳で、ボクは、エム5さんの最大の魅力は、その持っている超弩級の機器群もスゴイけれど、やっぱり部屋なんじゃないかな、というのが自分の意見。

(もちろん全部トータルでマネジメントできる本人の能力が1番なのは当然ですが。)

ゴローさんのオーディオ部屋も、魅力的だけれど、でもある意味、ルームアコースティックという考え方を、最初から切って捨てている考え方のような部屋だった。片側に大きなラックがあるし、ピアノも入っているし。。。

でもこれはゴローさんの考え方・主義なんだよね。

それでいて、奏でる音色が信じられないくらい凄かったりするから、ホントにフシギな人だった。。。

でもエム5さんのオーディオルームは、そのルームアコースティックも完璧なのだ。
きちんとした室内音響理論のもと、エム5さんも、ここにはかなり敏感というか、きちんとした専門的知識を持っていて拘る。実際のところ、エム5邸オーディオルームは、かなりライブな響きで、なにをやっても相当敏感に反応する部屋のように思える。


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フロント3本(L,R=B&W N801,C=B&W 802D)色も黒で統一されていて、まさに和製ポリヒムニア・スタジオ!(ソファに座っていて、このフロント3本の絵ズラを見ているとホントにカッコいいんだ!)



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ゴローさんの遺言で、リアもB&W801Dで揃える。


エム5邸オーディオルームは、故瀬川冬樹先生のIEC規格の室内音響理論(当日その理論が書かれた雑誌を見せてもらいました!)に基づいた設計で、24畳で、高さ3.2m。高さがある部屋を作るために、地面を深く掘って高さを稼いでいる。

ふつうの家庭用のホームシアタールームだと、センターSPが横型なので、スクリーンを視聴目線に下げられるけれど、エム5邸はセンターSPにふつうのフロントSPを使うので、スクリーン(150インチ)を下げたときに、センターSPが隠れないように、上方に吊るす感じになるんですよね。やや上向き目線。そのために天井が高い。

これが究極のサラウンド音声を楽しめて、映像も楽しめるという感じでかなりカッコいい。

(ゴロー邸では、もう天井の高さがふつうなので、スクリーンを下げたときに、もうセンターSPを全部隠しちゃって、最初から4chサラウンドで映像重視というように割り切っていた。)

壁は漆喰塗り。ウィーン楽友協会の壁も漆喰ですね。響きが広帯域に均一で、どこかでピークを持つなどの強調される帯域がないことが特徴。室内音響としては理想の壁質ですかね。実際近くて触ってみたけれど、もっとザラついた肌触りと思ったけれど、意外やツルツルしていた。色はベージュで品格があって部屋全体が明るい感じでいいですね。

天井も相当に頑丈に作っているらしい。

なんか首都圏だったら、この広さなら、ここに人が住めちゃうというか生活できちゃいますよね。(笑)

なんでも過去に2~3回くらい専用オーディオルームを作り直して、3回目にして、ようやくこの現在の部屋に落ちついたのだそうだ。

もしも、もしもだよ、宝くじにでも当たって、ボクも専用リスニングルームを作れるような幸運に恵まれたら、このエム5邸オーディオルームをデッドコピーだな!(笑)

機器群は、送出系は、メインはEMM Labsで、サブにSONYのAVアンプソリューションという布陣。

やはりDSDマルチチャンネルの権威としては、EMMは世界一だろう。エム5さんの話では、やはりEMMは音が厚いというか肉食系サウンドで、自分の趣向に合う感じなのだそう。

それに対して、国産の機器はどうしても音が薄いというか、草食系サウンドで欲求不満でいまひとつ物足りないという感じなのだそうだ。

でもその中でもこのSONYのAVアンプソリューションは、なかなかのサウンドを出してくれて、サブとしては気にっているとのことでした。(実際は、AVアンプをDACとして使っていて、そのアナログ出力をプリに入力する。)

(ボク自身はサラウンドの送出系としてSONYのAVアンプソリューションをメインに使っています。かないまるさんこと金井さんが渾身をこめて設計した物量投入型の初期の頃のAVアンプを使っていて、自分の5.0chサウンドつくりの基軸になっています。)

GPSクロックは、EMMのほうに注入されている。今回は、EMMメインで聴かせてもらった。

そしてエム5さんのパワーはクラッセ。フロント3本にモノ3台、リアにステレオ1台。

ポリヒムニア・スタジオは、同じクラッセでも1台の筐体の中に、5ch分のユニットが入っている特注品なのだそうだ。やはり電源供給の関係(?)もあり、モノでバラバラで調整するより、こういう1台の筐体のほうが理想だ、とポリヒムニアスタッフは言っていたそうである。

そしてオーディオルームではお馴染みの光景である、SPの前の絨毯によるSPの出音の床からの反射(低音域の全体に対する相対量が多すぎてしまう)対策のための吸音。

結構絨毯の生地にもいろいろ拘って整音のさじ加減を調整している。

面白い話を聞かせてもらったのは、ポリヒムニア・スタジオには、こういう床に絨毯という整音スタイルはないんだそうだ。


.....理由は、目の前に、調整卓があるから。

その代わり、両サイドの壁にそのような調音の仕掛けをしていて、それが絨毯の代わりをしているのではないか、ということでした。

さて、前置きが長くなった。

ずばり今回聴いたエム5サウンドの印象のアウトラインは、まず言えるのは、

①この広いキャンバスなのに、サウンド全体に抜群の定位感があること。がっちりこのエアボ リュームを音で埋め尽くしていたこと。

②音像も明晰だけど、やっぱりエム5サウンドの特徴は、部屋全体を使ったグラデーション豊かな空間表現に魅力があること。

③残響の滞空時間、音の空間への消え行くさまが非常に美しいこと。

この3つにまとめられるんじゃないかな、と感じた。

特に②は、ボク対策として(笑)、普段より、かなり内振りセッティングにしていて、直接音が、2次反射音より早くリスポジに到達するようなSPセッティングをしてくれていたようだけれど、なにせ2年ぶりなので、前がどうだったか、覚えていなくて(笑)、昔と比べると、音像編重なのかもしれないけれど、でもボクには、やはり②のようなイメージが大きく印象深かった。

音像も音場もものの見事に両立していた、ということですかね?

あと①では、なんというのかなぁ.....音のエネルギー感がハンパじゃないというか、なんか根本的に拙宅とは大きく電源事情が違うんではないか、と思えるほど、音の迫力が素晴らしかった。これだけエネルギー感が大きくて、定位感抜群、というのもエム5サウンドの大きな特徴ですね。

やっぱりエム5サウンドはスゴイと思いました。

今回、ボクから下記の大きな課題を持っていった。

①DG SACDの再生。
②3次元立体音響 Auro-3Dの効果。
③ベルリンフィル自主制作レーベルの再生。


スマン!(^^;;

今回のオフ会日記は、相当リキを入れて書こうと思っていたので、思わずエム5邸紹介から書き出してしまい、予想を超えて、長文になってしまった。肝心のオフ会日記はここからなのだが。。。

申し訳ないが2部構成に分けさせてくれ!(笑)


 


立川シネマシティの極上音響上映 [オーディオ]

自分はもちろん映画は昔から大好きなのだが、最近ご無沙汰で、いまは映画1本、最初から最後まで観る体力がない。

映画館の音響は、昔からあまり好きなほうではなく、PA(拡声装置)を通すことが前提のサウンドで、なんかこう電気的な音で、大音量、爆音になるとシステムのDレンジがオーバーになる感じで歪む、というイメージがつきまとって、ちょっと苦手意識が昔からあった。

だったら、映画公開のときはガマンして、Blu-rayやDVDになってから、買うなりレンタルするなりして、ウチで観たほうがずっと安心できる音だと思っていた。

そこに立川シネマシティの「極上音響上映」や「極上爆音上映」という笑える(失礼)キャッチフレーズを知って興味が湧いた。

それもそれだけではなく、小澤サイトウキネンのNHKエンタープライズから出ているBD「幻想&巨人」を上映するというからさらにそれに惹かれた。ゴローさんの渾身作である。

昔、ゴローさんが編集制作用のスタジオとして、二子玉川のマンションの1室を借り切って、そこにオーディオシステムをセッティングしていた。

そこにはじめてお邪魔した時に、まずオフ会の前に、近くのレストランでランチでもしよう、ということで、サシで食べながらお話をした。その中に、この「幻想&巨人」の話が出たのを思い出した。

確かに小澤さんのBDでは、「悲愴」が圧倒的に有名でエポックメイキングだったかもしれないけれど、じつは自分のこれは!、と思う渾身作としては、「幻想&巨人」なんだよね。だから、ノンノンさんにも、ぜひ「幻想&巨人」を観て、聴いてもらいたいと思っているんだよ。

と、かなり強力にプッシュされたことを思い出した。もちろん、その後購入した。

これは、あくまでいま考えた自分の推測なのだけれど、「悲愴」というのは、業界ではじめてBDでオーケストラコンサートを収録するというビッグイベントで、オケはベルリンフィル、映像はNHKが担当して、音声はDGのエミール・ベルリナー・スタジオが担当して、トーンマイスターはライナー・マイヤール氏だった。だからまず成功することが必須だった。

でも「幻想&巨人」は、小澤さん手兵のサイトウ・キネン・オーケストラで、映像、音声ともNHKの自分たちのスタッフで作り上げたものだった。だから本当に自分たちの力だけで作り上げた、ゴローさんが本当の意味で自分の渾身作と力説していたのは、そういうところにあるんじゃないかな、と今考えると思うのだ。

立川市というのは小澤さんと縁のある土地だそうで、その小澤さん生誕80周年を記念して、立川シネマシティで、その「幻想&巨人」を極上音響上映で放映する、ということになった。

なんか、偶然とはいえ、ゴローさんから誘われている気がしてならない。

これは絶対行かないといけない。

ようやく時間を作って、今日実行。

立川シネマシティというのは。立川シネマシティと立川シネマシティ2と二つの映画館からなる。

立川シネマシティ
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立川シネマシティ2
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小澤さん映画を上映するのは、立川シネマシティ2のほうである。

チケット売り場。
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上映フロアであるCフロア。
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やはり自分の最大の関心は、「極上音響上映」と堂々と唄う限り、映画館サウンドとしてどのレベルなのか、いじわる試験じゃないけれど確認したかったのである。

小澤映画は「極上音響上映」で、「極上爆音上映」ではない。

ドキドキしながら入ってみた。
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入ってみて、驚いたのはこれ!
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天井SPじゃないけれど、側面にはサラウンド用のSPが壁に貼りつけられていた。

昨今の3次元立体音響の走りですね。もちろんSP配置自体、Dolby Atmosでもなければ、Auro-3Dでもない。思わず笑ってしまった。

自分は全く知らなかったのであるが、立川シネマシティはふつうの映画館フロアもたくさんあるのだけれど(映画館としては規模はかなり大きい。)、この「極上音響上映」をするフロアは、映画館というよりは音楽ライブ用のSPを備えた音響設備だそうで、さらに日本を代表する音響家によって、この小澤BDを放映するために、綿密な調整をしたそうで(驚)、これまでの映画館の音響の概念を変えるクオリティを実現したのだそうだ。

まさに、「音響のシネマシティ」としてクラシック音楽に挑戦!だそう。

この作品のために、そこまで準備されていたとは!そのことを知って、考えすぎの自惚れかもしれないが、映画サウンドにいいイメージを抱いていなかった自分に、映画館でもここまでできるんですよ!ということをゴローさんの渾身作「幻想&巨人」で証明してくれる、ということなのか、と勝手に思い込み、涙した。

やはり今日来てよかった!

そのSP配置なのだが、

スクリーン下にセンターSP。
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そしてフロントL,Rに相当するのが、スクリーン横の真ん中のポジションに設置されたSP。(写真が暗すぎて、ちょっとSPの存在がわかりにくいですね。)
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家庭用のサラウンドのポジショニングとほぼ同等で違和感はない。


そして、左右両側の壁に3ch分の側面SPが配置されているのだ。
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天井はこんな感じ。
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リアにSPがあったかどうかは、オフの時も館内は暗いので、わからなかった。たぶんあるでしょう。


館内前方の左右の下方側面にはルームチューニング用の調音パネルが設置されていた。デッドニング(吸音)目的なのだろうか。(それともこれもSP?暗くてよくわかりませんでした。)

左前方側面
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右前方側面
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さっそく本編のサウンドの印象について述べよう。

結論からすると、確かにいままでの概念とは違う(いわゆる自分の映画館サウンドのイメージとは違う)垢抜けたサウンドだったと思う。

電気的で滲んでいるようないままでのイメージよりもずっとピュアで、澄んでいる音だと思った。
映画館なのだからPAを通すことは仕方がないにしろ、ロックコンサートで経験するPAサウンドの幻滅さ(ピアノの音色なんて電気を通すと幻滅。)とは縁遠い素晴らしいサウンドだった。

歪曲されず、ちゃんと各々の楽器のイメージに適した音色が出ていたし、オーケストラサウンドとして立派であった。

弦楽器の艶感とか、低弦のゾリゾリ感や拡がりと音としてのボディー感、木管の艶やかさ、金管の圧倒的な咆哮、打楽器の炸裂感など、きちんとオケサウンドに必須の表現ができていた。


昔ゴローさんが、ベルリンフィルのヴァルトビューネを観に行ったとき、野外のPAとは思えない本当にベルリンフィルハーモニーで聴いているかのようなサウンドで、PAエンジニアが優秀だとこうも違うんだなぁ、と感想を言っていたのを思い出した。

自分は中央より数席前方のど真ん中センターで聴いたのだが、やはり左右側面のサラウンドSPの影響もあるのか、全体の包囲感が抜群に素晴らしい。生演奏では、絶対こうは聴こえないオーディオライクなアプローチ。

自分は生は生、オーディオはオーディオという考えの持ち主なので、こういう快感は大歓迎。(生演奏では絶対こういう風~包囲感~には聴こえない。)

いま話題の3次元立体音響も映画館や家庭内で成功すれば、こんな感じなのかなぁというイメージが抱けた。


もうひとつ考えさせられたのは、映画館の音響とはまた別問題で、このソフトの収録技術というか、いわゆるゴロースタッフの卓越した収録。映画館で聴くと新たな発見があるのだ。

まず、今日聴いたサウンドには、自分のウチでは聴こえない音がたくさん聴こえたのだ。(笑)

現場の臨場感を醸し出す、生々しいホール内の暗騒音。

ゴローさんは完全な暗騒音派だった。

ホールの暗騒音が静かに部屋に溶け込むように鳴ってそれから音楽が立ちあがる方が リラックスして音楽に入っていける。

音が空間で混じり合う響きを美味しく捉えるにはある程度マイクを離して 暗騒音が入ってもやむをえない、それより自然な響きを大切にしよう。

そういった考えを重視していて、ゴローソフトには、かなり暗騒音がたっぷり入っているものが多い。

暗騒音や演奏ノイズは 臨場感を高める働きがあって、ピアノ録音でもペダルノイズが入ったものを結構好んで聴いていた。

もうひとつ収録技術で驚いたのは、各楽器の佇まい、定位の問題。

第1/2ヴァイオリンの音色は、きちんと左側のほうから聴こえて、チェロやコントラバスの低弦はきちんと右側から聴こえる。そして打楽器、木管などの遠近感も曇りなく見渡せて、らしく聴こえる。

要はオーケストラの配置にピッタリ合うように編集時できちんと各チャンネルに音が振り分けられているのだ。生演奏で聴いているのと変わらないように。

昔、第1ヴァイオリンはどこから聴こえるべきなのか?というテーマに挑んでおられて、木管を綺麗に浮かび上がらせるために目の前にいる大群の弦楽器群をどうさばいてマイクアレンジをするか、話されていた。

そういうのを感じながら、映像を観ていたら、ゴロースタッフのサイトウキネンを録るときのマイクアレンジは、相当なマルチマイクだということもわかった。(笑)

おびただしい立脚式のピックアップに、天井もふつうのワンポイントではなくて、かなり多数のマイクがぶらさがっていた。

おびただしいマルチマイクで録って、編集時にオケの実際の配置に沿った編集は、なかなか大変だろう、と思った。


これらの問題は、今日映画館の大空間で聴いてみて、はじめて気づかされたことで、驚きだった。

新鮮だった。

敢えて不満を言えば、映像かなぁ。
やはりBDの2K HDの画像を、200~300インチはあろうか、というスクリーン大画面に映すこと自体に無理がある。

解像度が悪くて、画面がざらついていてあきらかにS/Nが悪い。

これは仕方がない。

とにかく今日この映画館に来てよかった。確かに映画館サウンドのイメージが変わった。

ゴローさんからの誘いのように思えた。

終わるときに、スクリーン下部にスタッフの名前が流れるのだが、1番最後に、
”Director Goro Kobayashi”で終わった時は、さすがに泣けた。


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