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体験!ザ・シンフォニーホール [国内音楽鑑賞旅行]

1982年の開館以来、去年までずっと朝日放送が運営してきたザ・シンフォニーホール。今年に入って、滋慶学園グループが立ち上げた子会社「株式会社ザ・シンフォニーホール」に完全移管、現在に至っている。

建設、開館当時は、「世界一美しい響き」を目標に、満席時残響2秒となる先進音響技術を導入して設計・建設された。

日本初のクラシックコンサート専用ホールであり、その後につぎつぎとコンサートホールが建設されていった、その先駆け的存在となった記念すべき音楽建造物なのだ。

このコンサートホールの存在を強く意識したのは、1984年にカラヤン・ベルリンフィルが来日して、このシンフォニーホールで公演をおこなったことだ。

当時、その公演の模様は、テレビ朝日で放映されている。
 
やっぱり当時ののカラヤン・ベルリンフィルというのは、映像メディアが発達していなかった時代、いわゆるレコードの世界の中の人たちで、レコードを聴きながら、その演奏姿を頭で空想しながら聴いていた、そういう偶像対象だったのだと思う。 
 
この公演の模様は、著作権の問題なのか、なかなかパッケージソフトにならなくて、不思議だったのだが、最近、カラヤンの遺産シリーズでライブイン大阪1984として発売された。

当時のカラヤンは、このホールをまさに世界最高の音響と絶賛した。

そんな日本のクラシックコンサートホールの草分け的存在であるこのホールに不思議と縁がなく、現在に至る。

そしてついに今回初体験となった。

ザ・シンフォニーホール
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外観は1982年の建造物とは思えないくらい非常にモダンな建物だった。

フロント玄関のところでチケットをチェックして入場する。
入場するととても鮮やかな色彩感覚を持ったホワイエの空間が現れる。

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朝日放送からの完全移管に備えてリニューアル工事をおこなっていて、階段をのぼった2階はティーラウンジになっていたり、オリジナルグッズを販売するショップなどがある。

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そして、いよいよホール内に侵入。

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キャパは音響のことを考えて1704席とあるからさほど大きくない。ホールの形状タイプは、ステージを観客席が取り囲むアリーナ型なのだが、かといって両脇、背面の座席数はほんのわずかで、ワインヤードとは言えない、いわゆる拡張型シューボックスというのが一番妥当な表現だと思う。横浜のみなとみらいホールに雰囲気が似ている。

気になったのは、そのホールの奥行きの狭さ。本当に奥行きが浅いホールという印象をいだいた。

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ステージ天井の反響板もかなりの枚数ぶらさがっている。椀方さんの話しでは、昔はそんなに枚数はなくて、つい最近になってどんどん増設されたのだという。

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そしてもうひとつの驚きは、やはり天井が異常に高いと感じることであった。オーディオルームと同じで、やっぱりいい音響を生み出すには、この天井の高さはキーポイントになっていると思う。

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そして、ここが今回の私たちの座席。
ステージ間近の最前列右の方であった。

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ここからステージを俯瞰すると、まず目に付いたのは、床に立脚型のマイクであろう。今回の公演は収録しているとあって、カメラもあるがマイクもこのようにセッティングされていた。

いまどきのホールは、みんな天井に穴が開いていて、その屋根裏部屋から紐でマイクをぶらさげて収録するタイプがほとんどだ。(あの超最悪の音響のNHKホールでもそうなっている!)

ここのホールは草分け時ということもあって、いまでもこういう床に立脚型なのだと思った。


当時の世界最強の音響は、いまの私たちの耳にはどのように感じたのか?

まず、ステージからの直接音は、輪郭がくっきりしていて、実に明瞭。真横にいる我々の観客席のほうにもしっかりと届く好印象であった。かなりの大音量で、それでいて各々の楽器がクリアに分離して聴こえる。

音像はじつに明瞭だ。その反面、間接音の響きのほうは、残響2秒を唄っている割には、その響きの残像というか漂う余韻というのがあまり感じられず、ドライな乾燥質の響きに聴こえた。

対抗配置のVnの音色を聴いていて、それを強く感じた。もうこれは何度も言っている事だが、最前列だと壁や天井から離れすぎているので、反射音のブレンド感覚を感じるには不向き。もっと後方座席でホール固有の響きであるホールトーン全体が堪能できる座席でないと。

ホール空間のS/Nはいいと感じる。そのための大事なパラメータである無音時のホールの静寂さというのが優れている、と思うからだ。澄んだ空気の感覚でいい印象であった。座席は右端だったので、オケの発音を指向性を感じて聴こえるかな、とも思ったが、そんな心配もなかった。

まぁ全体の印象としては、当時としては最強の音響だったかもしれないが、最新のホールが乱立するいまの日本のホールの中では、まあスタンダードレベルかなぁ、という印象。

コンサートは、飯森範親/日本センチュリー管弦楽団の演奏会で、飯森の首席指揮者・音楽監督就任記念コンサートであった。

プレトークで、テレビ東京の元WBSワールドビジネスサテライトのニュースキャスターであった小谷真生子さんと飯森とでトークを広げていた。

小谷さんの好感の持てるクラシックに関するインテリ感覚が素敵だった。

演目はブラ2とブラ4。前半のブラ2は正直こじんまりとしていて、不完全燃焼のイマイチの感があったが、ブラ4の力演は素晴しく圧倒される素晴しい出来だと思った。

こうして日本のクラシック専用ホールの草分け的存在のホールを体験できて、感無量であった。自分的にも想い入れの深いホールで、積年の想いがあったので、体験できて、すべてがすっきりした感じで、今回の大阪遠征の最大の目的を達成できてミッション遂行というところだった。

コンサート終了後、コンサートゴアで、コンサートホール通の椀方さんの話しだと、いま大阪ではフェスティヴァルホールというのが去年リニューアル改装オープンされ最も旬なホールのようだ。オペラハウス&コンサートホールを兼ねた大ホールで、コンテンツの招聘も素晴しいものがある。ぜひ次回行ってみたいホールだ。

今回行ってみたかった「いずみホール」だが、このシンフォニーホールよりも小さい容積で音響はかなり優れているようなのだが、なにぶんコンテンツの運営がいまいちで、いい公演がない。今回もこれが原因で断念。でも次回から日本センチュリー管弦楽団のホームとして使用されるようなので、期待は持てそうだ。

その他、京都コンサートホールや、そして、椀方さんのお気に入りの兵庫県立芸術文化センターなど、とても魅力的なホールが大阪には存在する。京都コンサートホールや兵庫県立芸術文化センターに関しては収容能力で、シンフォニーホールよりも上回っていること等から、関西圏に於ける来日公演の会場として海外演奏家に利用されることが多いようだ。

あと、もうひとつ気になるのが、滋賀県が3年をかけて建設した4面舞台をもつオペラ専用ホールであるびわ湖ホール。

関西でオペラを観る場合は、大体この滋賀県のびわ湖ホールまで出かけることになる。最近話題だった日本初演のコルンゴルドの「死の都」もこのびわ湖ホールが新国立劇場よりも先に初演された。(演出も違う!)

そこにフェスティヴァルホールという器が大きい最新のオペラハウスが大阪に出来たものだから、関西方面でのオペラ鑑賞もますます現実味を帯びてきて、軌道に乗ってきたのだそうだ。

いやぁ~関西のハコ(ホール)情勢も熱い!次回へのお楽しみに、として取っておこう~!

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コメント 2

匿名

最前列は舞台に近すぎて良い音は聞こえないと思います。もう少し後列で聞かれたらもっと違った印象になったと思いますよ
by 匿名 (2014-07-20 22:51) 

ノンノン

最前列ではありません。やや前方というくらいの席です。あまり後方ですと、響きは豊かに聴こえるかもしれませんが、ステージからの直接音が埋もれて不明瞭になります。
by ノンノン (2014-07-21 02:55) 

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