SSブログ

名古屋駅の立ち食いきしめんは、なぜ新幹線ホームより在来線ホームのほうがいいのか? [雑感]

名古屋駅の立ち食いきしめんは、なぜ新幹線ホームより在来線ホームのほうがいいのか?
それもなぜ3番、4番ホームが最強なのか?


これはみなさんがそう仰るのだが、自分はどこが違うのか、さっぱりわからなかった。
今度、岐阜サラマンカホールに行くので、そのときに比較してみよう、と気軽に考えていた。


ところがあることをきっかけに、ふっとネットでググってみると、出てくる、出てくる。(笑)
これは世間では有名な事実なんですね。


みんなJR名古屋駅のホームにある立ち食いのきしめん屋さんで、どこのホームが美味しいのか?
新幹線ホームより、在来線ホームのほうが美味しい理由。
3番、4番ホームが最強説。


みんなすごい熱く語っているのだ。


それを隅々読んでみると、そう言われている理由が、やっと自分にも理解することができた。


そうなると今度、名古屋、岐阜の方に行くので、是が非でも自分でじかに体験して、自分の日記で、自分の言葉で熱く語ってみようと思った訳だ。


自分もその世界に混ぜて~混ぜて~という感じ。(笑)


ドキドキするという点では、サラマンカホールのコンサートより未知体験だったかも。(笑)


ここでは、ネットから収集した情報を結論として先に述べて、本当にそうだったのか?
実際体験してみて、自分の意見はどうなのか?という論法で書いていきたい。



自分の人生で、駅のホームの立ち食い屋さんと言えば、立ち食いそばだ。そばとうどんがある。サラリーマンなもんだから、いつも出勤の朝とか、帰路とかで、ホームにいると、あのぷ~んとする凄いいい匂い。あれはサラリーマン殺しですね。少し小腹に一杯という感じで、ついつい入ってしまうというのが常だ。


ところがここ名古屋では、同じ立ち食い屋さんでも、うどんではなくきしめんなのだ。
きしめんとそばの選択。(うどんというものはない。)


名古屋駅の各ホームには、必ず1軒は立ち食いのきしめん屋さんがある。


テレビや雑誌でも度々取り上げられる「住よし」は、JR名古屋駅の各ホームにある立ち食いきしめんの有名店である。名古屋方面へ行く出張者の密かな楽しみ、途中下車してでも食べたいと、古くから定評がある。


「住よし」を運営するのはジャパン・トラベル・サーヴィスという会社で、名古屋駅には9店舗を構える。(2018年3月時点)テレビや雑誌の影響で、きしめん店としては抜群の知名度を誇る「住よし」。主に新幹線ホームの店舗のことを指す場合が多いが、在来線ホームにもある。


しかも各ホームに必ず1軒はある。


名古屋駅は、

在来線ホーム=1・2番線~7・8番線、10・11番線と12・13番線まで計6本
新幹線ホーム=14・15番線と16・17番線の2本

のようだから、各ホームに1軒ということは、8軒は確実に存在することになる。

さらにホームによっては、2軒あったりするのだ。


全部が、住よしか、というとそうでもない。でも大半は住よしと言っていい。



「なぜ、新幹線ホームより、在来線ホームのほうが美味しいのか?」


新幹線ホームは利用客が多く、天ぷらを揚げている時間がないそうだ。
そのため、かき揚げの味が在来線と新幹線ホームとでは違う。


中でも3・4番ホームの「住よし」は、電車の発着数が少なく利用客が少ないため,新幹線ホームの天ぷら分もここで揚げているんだそうだ。かき揚げ、えび天、いか天の3種をここで揚げ、新幹線ホームに輸送しているそうである。


つまり、新幹線ホームは、揚げたての天ぷらは食べれないということになる。3・4番ホームが評判になったのは、(麺、ツユが)美味しいからということではなく空いていて揚げたての天ぷらを食べれるということがその理由らしい。


あと、新幹線ホームはとにかく人、人、人で大変な込み具合なので、店の回転率をよくしないとやっていけない。だからきしめんのメニューも数少ないし、店内もすごく狭い。回転率勝負みたいなところがある。


それに比べ、3・4番ホームというのは、全ホームの中でももっとも人が少ないホームだそうで、住よしさんの店内もゆったり広いスペース、そしてメニューも数が豊富だそうだ。


そしてなによりも、注文してから揚げてくれる、揚げたてのかき揚げが食べられる、ということが1番の売りである。


本当に3・4番ホームが最強なのか?


3・4番ホームしか揚げたてをしないのか、というとそれは違うらしい。在来線の全店舗にはすべてフライヤー(揚げ物用機器)が完備しているから、どのお店も天ぷらは揚げたてを提供している。


新幹線ホームのお店にはフライヤーがないため、ここ3・4番線のお店で揚げたものを運んでいる。ところが、どういうわけか「3・4番線が唯一、揚げたての天ぷらを提供している」という話になってしまっているそうだ。(笑)


そうすると新幹線ホームより在来線ホームのほうが美味しい、というのは、フライヤーの設備があるかどうかで、在来線は全店舗ともフライヤー完備のため、どのホームでも揚げたてを食べられるが、新幹線ホームは3・4番ホームで揚げたものを輸送する作り置きというところが、その理由となる。


3番、4番ホームは電車の本数が少なく、きしめんを調理して出すという仕事量は、ほかの店よりも少なくなる。その分、新幹線ホームのお店で提供する天ぷらを揚げる作業を負担してもらっているというのが真相のようだ。


ここまでが、自分がネットから拾ってきた情報である。
この情報をまず自分の頭に叩き込んだ。


あとは、実際名古屋駅に行って、新幹線ホームと在来線ホーム全部の店舗を食べ歩きして(こういうことをするのは強者らしい。(笑))、本当に上記の情報が正しいのかどうか、自分の目と舌の味覚で確認するだけである。


とくに新幹線ホームと在来線ホームのお店の区別をはっきり認識するためにも、フライヤーが完備されているかどうか、を自分の目で確認することに重きを置いた。




新幹線ホームの住よしさん


DSC01806.JPG


店舗の色が黒でお洒落である。
でも確かに店内はすごい狭い。
そしてすごい大行列である。
やっぱり新幹線ホームはすごい人混みだ。
自分も随分待たされた。



メニュー


DSC01808.JPG


いろいろなトッピングのきしめんがあるのだが、やはり今回の一番の目的は揚げ物。
揚げ物のきしめんは、かき揚げ、海老天、イカ天の3種類。


全店舗を食べ歩いた自分からすると断然にかき揚げが一番おいしい。
海老天やイカ天は、なんか小さいというか食べ応えがないんですよね。
やっぱりかき揚げが一番大きいし、揚げたてのかき揚げは本当に美味しいです。


かき揚げに玉子をトッピングする「揚げ玉」が一番お勧めです。

今回はかき揚げを頼む場合、全部それに統一しました。


さっそく調理場を拝見。


DSC01823.JPG


確かにフライヤーの存在を見つけることはできなかった。
新幹線ホームにはフライヤーがない!というのは事実であった。


つまり新幹線ホームのお店は、揚げたてのかき揚げを食べることはできない、というのは真実であった。


ちなみにこれが作り置きのかき揚げ。
これはおそらく間違いなく3番、4番ホームで揚げて、輸送されてきたものに違いない。


DSC01838.JPG


これが新幹線ホームの住よしさんのかき揚げ&玉子のきしめん。


DSC01830.JPG


トッピングのさらに上に大量のかつおぶしを乗せるのが、名古屋流きしめんの特徴ですね。


これが最高に美味しいです。


きしめんの作り方は、麺はもともと乾麵になって保管されていて、注文が入れば、それをお湯で解す。そしてあらかじめ、秘伝のだしで造られたおつゆをかけ、かき揚げなどの天ぷらを乗せて、最後に上に大量のかつおぶしを乗せて、ハイどうぞ、という感じである。


新幹線ホームの住よしさんのきしめんは確かに作り置きのかき揚げを使っていたけれど、それでも十分暖かくて自分は美味しいと思った。作り置きとは思えない美味しさだった。



そしていよいよ在来線ホームへ。

まず当然最強説と言われている3番・4番ホームへ。


名古屋駅の在来線3番・4番ホームと言えば東海道線のようですね。


DSC01999.JPG


ここが最強、3・4番ホームの住よしさん。


DSC01846.JPG


なんか新幹線ホームに比べると地味。(笑)
店自体は確かに新幹線ホームに比較すると大きい。


メニュー


DSC01871.JPG


在来線ホームのほうが、人が少ないので、調理する時間も多いので、メニューが豊富というのはウソだと思いました。パッと見た感じ、新幹線ホームのメニューとあまり変わらない。



お店には、うちは揚げたてを提供します、という張り紙が貼ってある。
噂は本当であった。


DSC01847.JPG



そしていよいよ店内へ。


DSC01862.JPG



最大の注目ポイント。フライヤーの設備があるかどうか?
これだ!!!


DSC01861.JPG

DSC01858.JPG



在来線ホームで一番先に訪問したので、後から分かったのだが、3・4番ホームのフライヤーが1番大きいです。他のホームの在来線ホームのお店のフライヤーはもっと小さいです。


なぜ、大きいかというとご多分に漏れず、新幹線ホームの分の天ぷらを同時に挙げるという作業があるためだと思います。


見てください!フライヤーの横に揚げたての作り置きがいっぱい置いてあるでしょう。
しかも油の中はたくさんの海老天を揚げている最中。


やっぱりネットでの情報は正しかったんだな、と思いました。


これが最強説の在来線3・4番ホームのかき揚げ&玉子のきしめん


DSC01867.JPG



これを食べてみて、ここで、自分は、3・4番最強説のネット情報にふっと疑問を持つことになった。

それはかき揚げが思っていたほど、アツアツじゃなかったからだ。


揚げたてってこんなもんじゃないだろう?


自分の分を作ってもらうときによく見ていなかったせいもあって、あくまで類推だが、3・4番ホームはたくさんの揚げ物をするので、たくさん作り置きがあるのだ。


だから注文が入ったら、その作り置きからポイっと持ってくるという感じだったのではないか、と思うのだ。それは揚げたてではない。


たくさんの作り置きがあるからの悲劇。


これは後で体験してわかるのだが、他の在来線ホームのお店は、もっともっとフライヤーが小さく、作り置きはいっさいない。注文を受けてから、揚げ始めるのだ。だから本当にアッツアッツの揚げたてなのである。


自分は、ここに新幹線ホームの分も揚げないといけない3・4番ホームの負の宿命があると感じた。巷では3・4番最強説が揺るぎないものとなっているが、本当のアッツアッツを食べるなら、他の在来線ホームのほうが確率は高いと思います。



つぎに在来線ホームの5・6番へ。
サラマンカホールのある岐阜に行くには、この5・6番ホームを使います。


ここで、住よしさんではない「憩い」というお店を発見。
この5・6番ホームは、立ち食いきしめん屋さんは2軒あります。


DSC01875.JPG



ここのフライヤーはこんなに小さいんです。
そして作り置きもほとんどない。
実際、自分が食券を買ってお店の方に差しだしてから、揚げ始めましたから。


DSC01879.JPG



在来線ホーム5・6番ホームのかき揚げ&玉子のきしめん。


DSC01883.JPG



これが本当に正真正銘の在来線ホームのかき揚げきしめんだと思いました。
もうかき揚げを口の中に入れたら火傷をするくらいアッツアッツ。
おぉぉ~これぞ本物!と自分は確信しました。

これは新幹線ホームのモノは比じゃないね、と思いました。
自分がこの日最高に美味しいと思ったかき揚げきしめんです。


つぎに、同じ在来線ホームの5・6番の住よしさんへ。


DSC01977.JPG



在来線ホームの住よしさんは、どのホームも大体同じ店舗のデザインなのですが、ここだけちょっと違っていました。


店内に入って、さっそくフライヤーをチェック。


DSC01984.JPG



やはり小さい。
そして作り置きがいっさいない。
いままさに自分のために揚げようとしてくれているところです。



ボクが食券を発券してお店の人に渡してから、揚げ始めます。
揚げ物の中で、今回は海老天を頼んでみました。


在来線ホーム5・6番の海老天のきしめん


DSC01988.JPG


これもアッツアッツで最高に美味しい。
でも海老天は小さくて、ちょっと食べ応えが足りない。
自分はかき揚げの方が美味しいとこのとき思いました。



そして7・8番の在来線ホームの住よしさんへ。


DSC01989.JPG


ここもフライヤーは小さく、作り置きも少ないです。
注文を受けてから揚げ始めます。

揚げ物の最後のイカ天を頼みました。


DSC01995.JPG


在来線ホームの7・8番の住よしさんのイカ天のきしめん


DSC01998.JPG



イカ天は、海老天以上に味わいが自分にとってはイマイチ。(笑)
やっぱりかき揚げが最高に美味しいです。


あと、1,2番の在来線ホームも体験して(ここは元に戻ってかき揚げを注文)、名古屋駅の全ホームの立ち食いきしめん屋さんを制覇しました。


こういう輩を相当アホというかツワモノというらしいです。(笑)


でもいっぺんに食べた訳ではありません。
名古屋に着いたときと、帰京するときの2回に分けて実行したのです。


相当血糖値が上がってしまった、と思いましたが、先日検査を受けたらそうでもなかったのでホッと一息です。


今回の立ち食いきしめんプロジェクトを実行してみて、自分なりの結論としては、ネットで熱く語られていたことは、ほぼ事実である、ということ。


在来線ホームのお店には全店舗ともフライヤーが完備されています。
そして注文を受けてから揚げ始めるアッツアッツのかき揚げきしめんが食べられます。
これも事実。


ただし、3・4番ホーム最強説か?という話になると、必ずしもそうでもない。
というのが自分の結論です。


それは先述のたくさんの揚げ物をしないといけない宿命から、注文したら、ふいと作り置きから持ってきてしまう悲劇の可能性もある。もちろんちゃんと注文を受けてから揚げたものを差し出してくれる場合もあるでしょう。自分がたまたま不運だったのかもしれません。


でもそれ以外のフライヤーの小さい在来線ホームのお店は、100%間違いなく、注文を受けてから揚げてくれるので、本当のアッツアッツのかき揚げきしめんが食べられる可能性が高いと自分は確信しています。













nice!(0)  コメント(0) 

サラマンカホール開館25周年記念ガラ・コンサート [国内クラシックコンサート・レビュー]

さて、コンサート全般について。


とにかくこれだけの豪華な顔ぶれが集まったコンサート。
まさに祝祭コンサートといっていいほど贅沢三昧で心豊かになった。


どの演奏が良かったか、それぞれにランク付けするのはあまりに野暮というもの。
そういうことはここではやりません。


自分が一番感銘を受けたのは、工藤重典さんと荘村清志さんによるF.ボルヌによるカルメン幻想曲。これは素晴らしかったねぇ。工藤師匠は、本当に久しぶりに実演に接しました。昔は、毎年年初に水戸芸術館で水戸室の演奏を聴いたときに、必ず工藤さんの演奏に触れていましたが、最近は予算体力がなく、ご無沙汰。


やっぱり工藤さんのフルートは本当に素晴らしいです。ホール音響の素晴らしさもあるのか、フルートの音色が天井方向に青天井に突き抜けていくような”ぬけ感”があって、凄いダイナミックレンジの広さ。フルートの音色でこのような突き抜け感ってオーディオマニアの方であれば大体想像できるでしょう。そして超絶技巧のフルート。これは聴いていてかなり痺れました。やっぱり工藤師匠はスゴイ!という感じです。荘村さんのギターバージョン用に編曲されたものだと思いましたが、カルメン幻想曲はやっぱりキラーコンテンツだと思いました。



新倉瞳さんは、デビューアルバムを始め、3枚のCDをこのサラマンカホールで録音していて、デビューリサイタルもここサラマンカホールでおこなったというとてもこのホールと所縁の深いアーティスト。こんな素敵なホールと縁が深いのは羨ましいです。


ウィーンフィルのヘーデンボルグ直樹さんと、サラマンカホール・フェステイバル・オーケストラとで、ヴィヴァルディの2つのチェロのための協奏曲。これも素晴らしかったですねぇ。自分の心を捉えました。特にヘーデンボルグ直樹さんと新倉瞳さんの丁々発止の演奏が、かなり格好良く痺れました。


つぎにライナー・キュッヒル氏、ヘーデンボルグ直樹・洋のトリオによるJ.シュトラウスの「青きドナウ」。これも素晴らしい。ウィーンフィルのニューイヤーコンサートで定番の曲ですが、それをヴァイオリン、チェロ、ピアノで編曲演奏すると、こんなに素敵な聴こえるのか、という感じで白眉でした。ウィーンでご活躍している3人の本当にウィーンの香りがしてくる素晴らしいアンサンブルでした。


ライナー・キュッヒル氏は、曽根麻矢子さん(チェンバロ)、そしてサラマンカ・フェスティバル・オーケストラとで、ヴァヴァルディの四季の秋。このときの祝祭オケの弦楽合奏を聴いて、このホール音響の大編成は本物だと確信した瞬間です。当たり前のことを言うけれど、キュッヒル氏は本当に凄い!


仲道郁代さんは、おそらく出演回数が一番多いと思われ、どれも本当に素晴らしかったけれど、その中でどれかひとつを挙げるなら、自分はサラマンカホール・フェスティバル・オーケストラとのショパンのピアノ協奏曲第1番の第2楽章「ロマンス」。この曲は本当に大好きだけれど、大体自分は第1楽章と第3楽章ばかりを注目してしまう傾向にあるんですよね。そこにこの第2楽章のじつに美しいゆったりとした旋律を聴いて、心から美しいと感じました。


最後は、J.オッフェンバックの喜歌劇「天国と地獄」序曲を今回のソリスト全員が各パートを演奏できるように倉知竜也さんが編曲した特別ヴァージョン。これはいままで演奏してきたソリストが、逐次登場して連携で演奏してくゴージャスさで、エンディングに相応しいフィナーレとなりました。



でも感動はこれでは終わらなかった。


アンコールがエルガーの威風堂々。


この曲は、自分的には年末のカウントダウン用の曲というか、特別なセレモニー的な祝祭のときに演奏される曲という印象があって、普段のレギュラーのときに演奏する曲ではないという勝手な思い込みがあった。


ところがいざ全員で演奏されるこの曲を聴いていたら、こんなに格好良い曲だったのか!


本当によくできた素晴らしい曲。


この曲、いまここで演奏されているのを聴いていたら、今日いままでたくさん演奏されてきた名演も、この曲で本当にフィナーレという感傷が胸にぐっと押し寄せてきて、大河の流れのような分厚い弦合奏の音色が心地よく、メロディーラインが格好良い。


やはり思わず目に涙が溢れてきましたよ。
これは本当に素晴らしい演奏でした。

この曲を本当に見直した一瞬でした。


サラマンカホール開館25周年記念ガラ・コンサート。


じつに素晴らしいメモリアルなコンサートでした。


アンコール、エルガーの威風堂々を演奏した後のカーテンコール


75392750_2646474212041151_7891545791246893056_o[2].jpg
(C)サラマンカホールFB


ボクの写真と同じで、水平が傾いています。(笑)




サラマンカホール開館25周年記念ガラ・コンサート
2019年11月16日(土)15:00~18:15
岐阜サラマンカホール


第1部


R.ジャゾット:アルビノーニのアダージョ
フルート:工藤重典、オルガン:石丸由佳

C.シューマン:3つのロマンス 作品22より第2曲、第3曲
ヴァイオリン:ライナーキュッヒル、ピアノ:仲道郁代

L.v.ベートーヴェン:モーツァルト「魔笛」の主題による12の変奏曲 作品66
チェロ:ヘーデンボルク直樹、ピアノ:仲道郁代

L.ポッケリーニ/J.ブリーム:序奏とファンダンゴ
ギター:荘村清志、チェンバロ:曽根麻矢子

A.ヴィヴァルディ:チェロ・ソナタ 第5番 ホ短調 RV.40
チェロ:新倉瞳、チェンバロ:曽根麻矢子

F.ショパン:ポロネーズ 第6番 変イ長調 作品53「英雄」
ピアノ:仲道郁代

F.ボンヌ:カルメン幻想曲
フルート:工藤重典、ギター:荘村清志

J.シュトラウス2世:ワルツ「青きドナウ」
ヴァイオリン:ライナー・キュッヒル、チェロ:ヘーデンボルク直樹、
ピアノ:ヘーデンボルク洋


休憩(インターミッション)


第2部

J.ウイリアムス:スターウォーズ・メドレー
オルガン:石丸由佳

A.ヴィヴァルディ:「四季」作品8-3 ヘ長調”秋”RV.293
ヴァイオリン:ライナー・キュッヒル、チェンバロ:曽根麻矢子
弦楽合奏:サラマンカホール・フェスティバル・オーケストラ

A.ヴィヴァルディ:2つのチェロのための協奏曲 ト短調 RV.531
チェロ:ヘーンベルク直樹
チェロ:新倉瞳
チェンバロ:曽根麻矢子
弦楽合奏:サラマンカホール・フェスティバル・オーケストラ

F.ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 作品11 第2楽章「ロマンス」(室内楽版)
ピアノ:仲道郁代
弦楽合奏:サラマンカホール・フェスティバル・オーケストラ

J.オッフェンバック/倉知竜也き:喜歌劇「天国と地獄」序曲
全員合奏


アンコール

E.エルガー 行進曲「威風堂々」作品39
全員合奏


サラマンカホール・フェスティバル・オーケストラ

第1ヴァイオリン:平光真爾、西村洋美、二川理嘉、松村宣子
第2ヴァイオリン:鳥居愛子、波馬朝加、荒巻理恵
ヴィオラ:新谷歌、太田奈々子
チェロ:福本真琴、城間拓也
コントラバス:酒井敬彰








nice!(0)  コメント(0) 

サラマンカホールのオルガンの音色を聴く [国内クラシックコンサート・レビュー]

岐阜サラマンカホールについては、どうしてもやり残したことがあった。


・それは辻宏さんが建造したパイプオルガンの音色をまだ聴いていないこと。
・ホール音響を大編成で聴いていないこと。


前回は、藤村実穂子さんのリサイタルだったので、ここのホール音響を語るには、どうしてももう少し大編成で聴いてみたいと思っていた。


コンサートカレンダーで上の2つの条件を満たすコンサートを探しましたよ。
正直両方同時に満たすのは無理かな、少なくとも2回は通わないといけないかな、と覚悟していました。


それが両方の条件を満たす素晴らしいコンサートを発見。


サラマンカホール開館25周年記念ガラ・コンサート


サラマンカホールは、1994年に開館ということで、今年で25周年。
それを祝おうという記念ガラ・コンサートなのです。


コンサートホールの開館〇〇周年記念ガラ・コンサートといえば、あのサントリーホールの開館30周年記念のときの凄さ。男性はブラックタイや礼服、女性はドレスに和服の正装のドレスコード、まさに祝祭という感じのホールの飾りつけ(ステージには花の飾りつけ)、これでもか、というほどの豪華な出演者陣に演奏曲目、本当に贅沢を極めつくすような凄いコンサートでした。


そんなイメージがあるから、このサラマンカホールの開館25周年記念ガラ・コンサートも相当期待しました。


というか、これは行かないとダメでしょ?


じつは今から5年前の20周年の祝祭コンサートが全国的にも話題を呼び、多くのファンの方から、「あの興奮を再び」とリクエストの声をいただいての今回の25周年記念ガラだったようです。


今回の記念ガラの出演者陣。


850x510-20191116-25anni_gala-01[1].jpg



ライナー・キュッヒル(ウィーンフィル・元コンサートマスター)
ヘーデンボルク直樹(ウィーンフィル・チェロ)
新倉 瞳(チェロ)
工藤重典(フルート)
荘村清志(ギター)
仲道郁代(ピアノ)
ヘーデンボルク・洋(ピアノ)
曽根麻矢子(チェンバロ)
石丸由佳(オルガン)
サラマンカホール・フェスティバル・オーケストラ
朝岡聡(司会)



凄いですよね。


パイプオルガンの演奏もあるようだし、オーケストラでの演奏もあるみたい。


これはもう即決でした。


これはどうしても行かないといけない、抑えておかないといけないコンサートだと思いました。

開館〇〇周年記念ガラはやっぱり凄い贅沢なコンサートです。


サラマンカホールに行くには、新幹線で名古屋まで行って、そこから在来線で岐阜まで行きます。そして岐阜駅からバスで20分くらい。(とても徒歩ではいけません。)バスの時間間隔が結構本数が少なくて、終演後は無料バスで西岐阜駅までのチャーター便のサービスをホール側で用意してくれます。その西岐阜から名古屋まで在来線で、そして名古屋から新横浜まで新幹線で帰ってくる、という感じです。


名古屋駅に着いたら、新幹線ホームや在来線ホームで、名古屋駅名物の立ち食いきしめんを食べるのがなによりの楽しみです。今回は立ち食いきしめんは新幹線ホームより、なぜ在来線ホームのほうがいいのか?を命題に取材してきました。


サラマンカホールはOKBふれあい会館の中の一角に存在します。


OKBふれあい会館というのは、岐阜県の公共施設のこと。会議室であるとか、岐阜県行政窓口、岐阜県の行政機関とかが密集している公共施設ですね。かなり大きな建物で、サラマンカホールはその中の1施設という位置づけ。フロントから入って、大きな広場が広がっているのですが、そこには岐阜県の地方銀行の出張所や、パスポートコントロールのような出張所もあります。


こんな感じです。
サラマンカホールは一番奥に位置します。


lq51prNv6QJaANs1574576057[1].jpg

7LMNKmiQD8LLB3o1574576172[1].jpg



サラマンカホール


DSC01914.JPG


今日は開館25周年記念ガラ・コンサート


DSC01917.JPG



さっそく開場。
今回の記念ガラを祝して、サプライズが用意されていました。


まずは特製ワイン。


DSC01919.JPG



今回、25周年を記念して、同ホール名の由来となったスペイン・サラマンカ市のワイナリーにオリジナルラベルのボトルワイン「ラ・ゾーラ2016」の製造を依頼。今日のこの25周年記念ガラを祝して、サラマンカ市から直輸送され、こうやってホワイエで販売されていたのです。(1本3000円)


もう大盛況のようで、あっという間に完売だったようです。


今回のガラコンサートに来てくれたお客さんにはドリンク券のサービスがついていて、これと引き換えにこのワインを少々嗜むことが出来ます。お酒が弱い方は、ソフトドリンクも用意されています。


こんな感じ。


DSC01929.JPG



自分は、もちろんこの特製ワインをチョイス。とてもフルーティーで甘口、舌で転がすと浸み透ってくる深い味がしますね。ワイン通でもない素人の自分でもその美味しさがわかります。



ホワイエは、さすがに正装という感じではありませんが、岐阜県地元の品格のあるお客さんが集まってくれたようです。自分もジャケット着用で臨みました。岐阜県地元のオーディエンスの方は、とても暖かい感じがしますね。東京と比較すると。


DSC01937.JPG



そしてある意味、これが最大のサプライズ・イヴェントだったようです。


この記念ガラの2,3日前のギリギリに情報解禁で、みんなをびっくりさせよう・・・というより、情報解禁をこの記念ガラに合せて華を添えようという意味が強かったのかも?


本当にサプライズでした。


ぎふ弦楽器貸与プロジェク<<STROAN>>。


97BXbSo7iSImisQ1574576530[1].jpg

DSC01925.JPG

RJX7PtxbWw3QPdV1574576640[1].jpg



ホールに寄贈されたヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ40挺を、意欲ある弦楽器奏者たちの支援・育成を目的として無償で貸与する取り組みです。この記念ガラで、ホワイエにその40挺が展示されました。


素晴らしいプロジェクト。


「弦楽器(STRINGS)」と、「貸し出し(LOAN)」の2つの意味を合わせて、「STROAN」なのだそうです。


今年、開館25周年を迎えたサラマンカホールが、音楽家を目指す若者たち、さらなる研磨を積む意欲ある弦楽器奏者たちの支援・育成を目的として「ぎふ弦楽器貸与プロジェクト<<STROAN>>を始動する。同ホールが愛知県在住の音楽愛好家から受けた、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ計40挺を弦楽器を学ぶ人たちに無償で貸与するという新たな試み。日本、イタリア、ポルトガル、フランスの製作者たちによる弦楽器は「サラマンカホール清流コレクション」と名づけられた。


貸与期間は原則として2年。


また、楽器の貸し出しにとどまらず、弦楽器のワークショップやマスタークラス、コンサートを企画し、コレクションの楽器が同ホールで演奏される機会を提供する。


ということだそうです。素晴らしいですね。

貸し出しは、来年2020年3月からスタートします。


貸し出しする人を審査する審査員長にチェリストの原田禎夫さんが就任していますね。


ホワイエに展示されているその傍にいた説明員の女性と少し話をしましたが、やはりターゲットは学生の若い人で、カルテット(四重奏)に貸与というのが予想しているところ、と仰っていました。もちろんそれに制限されることはありませんが。


40挺もの弦楽器をサラマンカホールに寄贈して下さった愛知県在住の音楽愛好家・間瀬穗積(ませほづみ)氏。穂積氏への感謝の意を表し、岐阜県庁にて感謝状の贈呈式が行われました。


いくら音楽愛好家とは言え、1人が40挺の弦楽器を所有している、というのは本当に信じられないこと。世の中には本当に凄い人がいるものだな、と思いました。


このプロジェクト、ホワイエの展示会場に、さっそくメディアが取材に入り、NHK岐阜放送局などで、オンエアされる予定だったり、と結構賑わっています。


素晴らしいプロジェクト、大成功してほしいですね。



さっそくサラマンカホール。
久し振り。1年振りだろうか。


DSC01952.JPG


本当に美しいホール。息を呑みますね。


スミマセン、写真が横に傾いています。一生の不覚。ホール空間を撮るときって、この水平に撮るって結構難しいんですよね。かなりの枚数失敗します。いつもデジカメに水準計の機能が欲しいと思っています。


撮るとき、ちょっと焦ってしまいました。


ホールの内装空間については、前回来た時に大体の空間の撮影をしているので、今回は前回のときに撮影していないショットを狙おうと思っていました。


ここのホールはこのサイトラインから眺めた空間が美しいんですよね。


DSC01960.JPG



ホール内装空間はブラウン系の色調なのだが、天井部が白くて、このブラウンとホワイトのバランスが、またなんともお洒落なバランス感覚で美しい。本当にセンスありますね。



DSC01962.JPG



そして天井部分。ホールを紹介するときに、天井を紹介する人ってあまりいないと思いますが(笑)


ホール音響マニアからするとこの天井って結構大事なのです。
こうやって格子状の意匠でした。回折、反射などを考慮したデザインですね。


ホールへのエントランスの部分。


WpRF4FZXoNxosBP1574576726[1].jpg



これは前回も解説しましたが、もう一回。


これは世界最古の大学、サラマンカ大学(中央)と、サラマンカ大聖堂(左右)のレリーフを模した もの。石材に現地のビジャマジョール石を用い、スペインの職人によって三年かけられて作られ たそうだ。


真ん中の中央のサラマンカ大学レリーフのレプリカは、唐草模様の中に隠れている多くの動物たちや、翼をもった女性、どくろなどが彫られている。さながら我々の世界のよう。レリーフの中には一匹のカエルが彫られており、このカエルを見つけられたら幸運に巡り合える、といわれている。
 

そして左右のサラマンカ大聖堂レリーフのレプリカは、さまざまな楽器を持った人が点在し、音楽のある幸福な世界が表現されている。


各々のレリーフに、ホールへの扉があります。なんとも素敵な雰囲気。

このデザインは、このサラマンカホールの独特の特徴、意匠。
ここでしか観れない意匠ですね。



今回はこの座席で聴きました。


DSC01967.JPG



さっそくホール音響について。


やはり前回の印象と変わることなく、素晴らしい音響と確信しました。

このホールの音響はやはりほんとうに素晴らしい。


前回のメゾ・ソプラノ・リサイタルで、その音空間の佇まいの美しさはしっかりと捉えることができたのだけれど、大編成で聴くと、その圧倒的な響きの量には驚かされる。


残響の長さはやや長めといったところで、かなり密度の濃い豊潤な音空間である。


自分は比較的前方の席だったので、実音である直接音は非常に明瞭で引き締まった音像で実音にその豊かな響きが被る感じには聴こえなかった。


ホール容積はかなり控えめなのだが、いわゆる大編成で飽和するという感じはいっさい感じなかった。音質自体は、暖色系からやや硬質に差し掛かるぐらいの感じの質感で、内装にオーク(楢)をふんだんに使っているそうで、全体に柔らかな空気感を感じて、やはり木のホール独特の品のある美しい響きだと感じました。


やはり素晴らしいホール、特に日本のコンサートホールは、海外のホールと比較しても、室内音響設計の素晴らしさは決して引けを取るどころか、歴史ある海外ホールの上のレヴェルに確実に超えていると思われ、その建築技術には本当に日本人として誇りを感じますね。


とくに海外のホールと比較して1番違いを感じるのは、ホールの静けさ、遮音性能ですね。


ホール空間に入った瞬間のS/Nの良さ、とくにNoiseレベルの低さは、日本のホールは圧倒的に海外ホールの上を行っていると思います。


遮音、防音のこの両方の技術が日本のホールは優れている。


海外の古いホールは、外の外気の暗騒音がそのまま中に入って来てしまっているような感じがしますから。


その静けさが素晴らしいので、実音や響きの消え去っていく余韻というのが、本当に美しい。
それは静けさのレヴェルが高いから実現できることだと思うんですよね。

全体の音の佇まいが美しく芸術的なのは、この静けさはかなり重要なポイントだと思います。


サラマンカホールの内装空間は、意図的な凹凸デザインはいっさいなく、建物の内装空間としてとても芸術的で自然な彫刻で、それが凹凸の役割を果たしているので、内装空間の美しさ、上品さを保ちつつ、乱反射で響きが豊かであるという両立性が成立しているのだと思います。



今回のプログラムで、巻頭のところに岐阜県知事 吉田肇さんのご挨拶、そしてサラマンカホール開館25周年に寄せて、ということで、サントリーホール館長 堤剛さん、いずみホール 支配人の殿納義雄さんがメッセージが寄せられ、祝辞を述べられていた。


DSC02014.JPG



サントリーホール、いずみホール、そしてサラマンカホールは提携ホールで、特にいずみホールとサラマンカホールは姉妹ホールなので、この祝辞メッセージとても嬉しく思いました。


いずみホールは、先だってようやく訪問でき、感動したばかりだが、こうやってみると、いずみホールとサラマンカホールは内装空間の雰囲気は本当にそっくりで似ていると思います。


内装空間のデザインは、多少違うけれど、ホールに入った瞬間の視覚に飛び込んでくるあの雰囲気、イメージは本当にそっくり。全体がブラウン系の調度、色使いで、容積控えめのシューボックス(いずみホール 821席、サラマンカホール708席)、内装空間がオシャレでありながら凹凸を造っていること、そして椅子、そしてなによりも控えめな容積のショーボックス独特の音の濃い空間、響きの豊かさなど、本当にこの2つのホールはそっくりだと思います。



つぎにようやく本懐の辻宏さんが建造したサラマンカホールのパイプオルガンの音色を聴くことについて。


DSC01957.JPG



今回のオルガニストは石丸由佳さん。


いままで自分は実演に接したことがなく、今回初めての体験。
とても美人で魅惑的なオルガニスト。


石丸さんはオルガン奏者への道を歩みはじめ、大学院在学中にデンマークとドイツに留学。権威のあるフランスのシャルトル国際オルガンコンクールで、みごと優勝を飾る。優勝後はヨーロッパ各地の教会から招待されてコンサートを行うようになった。しかしそれは“武者修行”とも呼ぶべきハードな日々だったそうだ。


帰国した現在の夢は、日本独自のオルガン文化を発信することだという。


そんな石丸さんが「オルガン・オディッセイ」というアルバムをリリース。


映画「スター・ウォーズ」のメインタイトルをはじめ、映画「惑星ソラリス」で使われたバッハの「われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ」、ホルストの「惑星」、アニメ「宇宙戦艦ヤマト」の曲など、バラエティ豊かなアルバムになっている。なかでも、「スター・ウォーズ」は圧巻。


「スター・ウォーズ」は、このアルバムのために山口綾規さんが編曲。何十人ものオーケストラで演奏する曲を、オルガン奏者ひとりの2本(手)と2本(足)で演奏するというチャレンジ。まさに“ひとりオーケストラ”。


だそうです。


石丸由佳さんについては、YAMAHAの音遊人で特集されています。
上の記述もそこからお借りしました。




辻宏さんのパイプオルガンをスターウォーズ・メドレーで聴くのか!という感じで最初は驚いたが(笑)、これが結構パイプオルガンに合うんですよね。驚きでした。パイプオルガンの音色を確認するには、あまりに十分過ぎる素晴らしいオルガン版編曲だと思いました。


石丸さんの説明トークで、このパイプオルガンの説明があった。


サラマンカホールのパイプオルガンは、スペイン様式と北ドイツ様式が混ざったもの。


パイプの使用本数 2997本で3000本まで後3本足りないのだが、それはオルガン上部にある3人の天使が吹いているラッパである。


そのパイプオルガンだが、この写真のようにオルガンの鍵盤の両側にストップ(音程を決めるボタン)がついている。



オルガンストップ.jpg
(C)サラマンカホールFB


石丸さんがオルガンを弾くとき、その両側に女性の人が付き添っているんですよね。
最初、譜めくりの人なのかな、と思いましたが、それでも両側に2人いるのはおかしい。


それは、いまのパイプオルガンはかなり電子化されていて、使用するストップの登録などができるようになっているが、サラマンカホールのパイプオルガンは従来の手動式なので、ストップ操作をされる人が両側にそれぞれついての(2人)演奏だった、ということだった。


さて、辻宏さんのパイプオルガンの音色を、スターウォーズ・メドレーで聴いたわけだが、とても重厚だけど、やや軽めの暗さというか重みがあって、ヨーロッパの教会で鳴っているような本場の音だったように思う。


日本の場合、オルガンを聴くのは、コンサートホールでぐらいしかなく、本場ヨーロッパの教会で聴くようなシチュエーションはあまり自分は、経験していないから比較や詳細な感想は述べられないけれど、ヨーロッパの教会で聴く本場のオルガンはこのような雰囲気なんだろうな、という気持ちがありました。


辻宏さんが修復したサラマンカ大聖堂の鳴らずのオルガン「天使の歌声」のなんと表現したらいいか、そういう遺伝子がきちんとレプリカされていたように思う。


サラマンカホールのパイプオルガン。45のストップを持ち、三段手鍵盤にペダルから成る、辻さんの制作に よる楽器のうち最大規模のもの。


なぜ古いオルガンを修復するのか?
修復作業とは、元に戻すことであって、決して改良することではない。


古いオルガンの音を聴いてみると、ほんとうに美しい音がする。新しいオルガンの多くは、古いオルガンほど美しい音はしない。そうやってイタリアやスペインの古いオルガンを、5台修復し、その経験をもとに、81台のオルガンを制作してきた辻さんの最高傑作のオルガンの音色をここでちゃんと聴くことができました。


本懐を遂げたというところです。








nice!(0)  コメント(0) 

ニューヨーク・シェア・スタジアムでのシンクロニシティー・コンサート [海外ロック]

1983年~1984年にかけてのポリスのシンクロニシティー・ツアーの最頂点となったのは、間違いなく米ニューヨーク・シェア・スタジアムでのライブだ。70000人を動員したと言われる最大級のスタジアムでのライブ。


このとき、全米だけでなく世界の頂点に立った。


このスタジアムは、もともと野球場なのだが、あのビートルズがライブをおこなったスタジアムで超有名だ。ロック史上、スタジアムでライブをやったのは、ビートルズが初めてだったのだ。「The Beatles at Shea Stadium」としていまもDVD映像素材になって残っているし、我々も入手することができる。


自分が子供の頃、このシェア・スタジアムでのビートルズ・ライブが時々、TV番組のビートルズ特集なんかで取り上げられたとき、目にする訳だが、もうとんでもない大興奮だったりする訳だ。


以前にも日記に書いたけれど、この頃は、自分の頭の中で想像する時代でしたからね。


バカでかい会場に5万人を超える観客が集まり、そこで人気バンドがコンサートを行なう。日本も海外も、日常化しているスタジアム・ライヴ。それを半世紀以上前に最初に実現させたのがザ・ビートルズだった。


1965年8月15日のこと。


ビートルズがライヴ・バンドとしての頂点を極めたのがこのシェア・スタジアム公演だったというのは、誰もが認めるところだろう。


いまや、スタジアム級の大会場には、大画面の電子スクリーンが設置され、どんなに遠くの座席でも、まったく困らなくショーを楽しめるようになった。


まさに巨大電子スクリーンはロック界の革命だと自分は思います。


そんな伝統のシェア・スタジアムで、ポリスがライブをやったのだから、まさに、このシンクロニシティー・ツアーの頂点とも言える公演だった。


自分は、このとき大学1年生だったけれど、ミュージックライフでその特集記事を読んで、大層興奮したのだった。相当興奮しました。


何回も何回も擦り切れるくらい読み返しました。


やっぱり写真が衝撃だった。


カッコイイ!


多感な少年時代には目の毒でしたね。
しばらく勉強が手につきませんでした。


その雑誌も社会人になるときに整理してしまい、その後、社会人生活に馴染めなく、ホームシックにかかったりで情緒不安定だった時代がありロックから自然と身を引くようになった。


2004年ころに、ヤフオクというものを覚え、なんと便利なんだろう!自分の欲しい昔のものが個人間売買で簡単に手に入る!ということでかなり夢中になった。


そのときに、自分の青春時代のこのポリス at シェア・スタジアムを特集していたミュージックライフがヤフオクに出ていないかどうか、確認した。


そうしたらあったのだ。


ただその1冊だけでなく、20冊まとめて売り、という感じで、このポリス特集の1冊を読みたいがために、他の19冊も購入する羽目になった。(笑)


今から15年前の2004年に、ふたたびその記事を読んだわけだが、やっぱり衝撃だった。
すごい興奮しました。


これはずっと宝物にしておこう、と思ったのだけれど、引っ越しなど繰り返すうちにどこに行ったか、わからなくなった。そして現在に至る・・・である。


自分の人生に関わってきた人は、みんな自分の日記で、自分の言葉で語っていこう!というのが自分のポリシー。去年ポリスやスティング愛について熱く語った。そして先日、スティングの総決算のコンサートにも出向いた。


そうすると、どうしても、あのときのミュージックライフの、このニューヨーク・シェア・スタジアムでのシンクロニシティー・ツアーの記事についてどうしても語らなければいけないだろう、と使命感に燃えてきた。


さっそくヤフオクへ。

あった!


ミュージックライフ 1983年10月号。


DSC02006.JPG


この本を買うのは、これで人生3度目です。(笑)
今度はなくさないように、しまっておこう。


ブツを手にして、気づいたのだが、この頃の本って左から開いていくんですね。
今の本は、右から開いていきます。
昔は逆だったんだね。


さっそく1ページ目の写真から衝撃!目の毒。(笑)


最強、ポリス帝国

BEAT IT! THE POLICE AT THE NEWYORK SHEA STADIUM !


DSC02007.JPG


さらに!大興奮!


DSC02008.JPG



シンクロニシティー・ツアーの時のステージ衣装は、全部で3パターンあるのだが、その中で最も代表的な衣装が、このスタイルだった。スティングは、白のジャケットで、赤パンツ。


アンディは、その反対で赤のジャケットに白パンツ。ステュアートは、白のホットパンツに無地の白のTシャツ。


これが最も代表的な衣装だった。シェア・スタジアムのライブではこの衣装だった。


1983年8月18日、ポリス・ビートがあのニューヨーク・シェア・スタジアムを揺るがした。7月23日から空前のスケールで始まったこの全米ツアーは、25か所でなんと100万人を動員し、シェア・スタジアムのチケットは、たったの5時間でソールドアウトになったという。シェア・スタジアムでコンサートをおこなったのは、ビートルズ、ザ・フーに続き、ポリスが3番手。この日、ロック史上に新たなる金字塔がうちたてられた。



興奮を抑えきれずに、そのまま本文に。。。


DSC02010.JPG



シェア・スタジアムが揺れた!!

大感動ポリス・ニューヨーク・コンサート・レポート。


レポーターは、当時のミュージックライフのニューヨーク在住レポーターの林洋子さんだ。
そのときの模様をじつに生々しくレポートしてくれている。


その中で、一部を抜粋紹介しよう。



「7万枚のチケットが5時間でソールド・アウト!!」


シェア・スタジアムは、野球ファンなら知っているところと思うが、毎年最下位のあたりをうろうろしている”もうひとつのNYの野球チーム”で、成績の方はいつもヤンキースに押されがちだが、負けてばかりいるのが、返ってご愛敬で、地元に熱心なファンの多い、愛すべき球団NYメッツのホームグランドだ。


そしてこのスタジアムは、ロックン・ロール・ファンにはビートルズが何万人のニューヨークっ子達を熱狂させ、失神させたあの”THE BEATLES at Shea Stadium"のシェア・スタジアムとして、しっかりと記憶されているはずだ。


スタジアムとしては比較的小さいほうで、同じNYにあるヤンキース・スタジアムに較べ、収容人数も4万と約3分の2だ。しかしポリスのコンサートは、観客席だけでなくグラウンドも使うため、7万枚の切符が売り出されたのだが、何とこれが4~5時間で売り切れたというのだから凄い。


ビートルズのコンサートが観客席に限られていたことを考えると、ポリスの今回のコンサートは約2倍のスケールというわけだ。観客動員数だけを考えた場合、ローリング・ストーンズやザ・フーなど、他のスタジアムでこれ以上の動員数を記録したバンドはあるが、ロックン・ロールというものが世界的なインパクトをもつようになったそのきっかけが、ビートルズのシェア・スタジアムでのコンサートであったことを考えると、ポリスのこのコンサートは、やはり特別な意味を持っていると言える。


8時10分には、今ニューヨークをはじめ、各地で注目を浴びている新人バンドで、骨っぽいタイトな演奏が評判のREMがスケジュール通り登場。前座での演奏をおこなった。


・・・・・・



「粋な”ティー・ブレイク”に大喝采。」


お目当て、ポリスが出てきたのは10時30分。それまでには、上空を賑わしていたジェット機も姿を消し、雲の切れ目からは月さえ顔を出した。大スーパースターになったポリス登場のお膳立てが出来たところで、会場を照らし出していた電気が消え、スタジアムの7万人の歓声に包まれ、ポリスがステージへ。



・・・・・・



”イギリスではティータイムをとらないと、労働法に反するので・・・”ということで、ティーブレイクをはさんだ彼らのセットの第1部は、”サハラ砂漠でお茶を”ではなく、”キング・オブ・ペイン”で締めくくられた。「3分間のティーブレイクをとったら戻ってきます。」というスティングの言葉とともに、彼らはステージを去ったが、周りが騒がしいので何かと思ってステージの方を見ると、ステージ真上と左右に配置されたビデオ用のスクリーンに奥に向かって歩いていく3人の姿が映し出されている。


ショートパンツ姿のスチュアートが映った時には、”あれ?!3人ともビデオ・カメラに映されているのに気がつかないで、カメラの前で裸になってしまうのではないかしら”と期待(!!)したのだが、次に3人がシルク・ハット(といっても普通の4~5倍の高さがある)をかぶった時には、この寸劇が初めから計算されていたことがわかった。


観衆がそれを見て笑い出したので、よく聞き取れなかったが、テーブルクロスのかかった大きなテーブルは”不思議な国のアリス”の中に出てくるあのティーパーティの一場面のような、銀のティーポットなどが置かれ、3人が気取ったポーズでお茶を飲み始めた。


イギリスの習慣、特に上流階級のそれ、を皮肉ったか、それともイギリスのこの洗練された習慣をユーモラスに取り入れたのか、とにかくこのバックステージのティーブレイクは大当たりで、彼らがステージに現れたときは大喝采で、彼らのショーが始まった時からあった観衆との間の暖かい交流は、これによって一段と深く、強いものになった。



「We'd Like To Thank The Beatles!」


2時間程度続いたコンサートであるに関わらず、”もう終わるの?”と物足りなく思った。この頃のコンサートの大半は、30分も聴くと”もう十分”と思うのに、これは驚くべき現象だ。身も心も一杯に満たされていながら、あと何時間でも聴ける気がした。


スティングがコンサートの終わりころに、"We'd like to thank the Beatles for lending us their stadium.(僕らに自分たちのスタジアムを貸してくれたビートルズに感謝します。)”と言ったとき、ポリスは、”ビートルズと同じようにシェア・スタジアムでコンサートをやった”という事実のためではなく、彼らの素晴らしい演奏によってロックの歴史を1項を飾ったといえる。




コンサートの解説は割愛させてもらったが、この抜粋文章だけでも、十分にこの歴史的コンサートの興奮が伝わってくる。


自分は学生の頃、この写真とこの文章に相当興奮して、何回も繰り返して読んでいたんだね。


あの頃と自分が違うのは、いまはこうやって日記で書くことで、自分の想いをしっかりと掃き出すことができ、ストレス解消になる、ということだ。


1983 THE POLICE SYNCHRONICITY CONCERT at NEW YORK SHEA STUDIUM


SHEA STUDIUM-1.jpg


SHE-STUDIUM-2.jpg


SHEA STUDIUM-3.jpg



本題はこれくらいにして、rockin'on 2019.12月号もしっかりと読ませていただきました。


DSC02011.JPG



44ページ!


rockin'onは硬派な文章が売りなのだが、これは読みごたえがありましたねぇ。


それぞれのセクションを担当するライターさんのポリスへの熱い想いがよく伝わってきて、かなり読み応えがあって感動しました。さすが!rockin'onです。


ポリス・サウンドでひとつの変革期にあたったのが、4作目のゴースト・イン・ザ・マシーン。


いままでギター、ベース、ドラムスという最小限のスリーピースのサウンドでやってきたのが、この作品からシンセサイザーやホーンセクション、サックスなどをバックに音を重ねるような人工的な音造りをするようになった。それは自分でも聴いていて、よくわかるんだが、そのときの現場の様子が書かれていて、かなり興奮しました。


スティングがスタジオに持ち込んだデモ音源の時点で、既にシンセ・パートが織り込まれていたことからも、この方向性を推し進めたのがメイン・ソングライターのスティングだったことは言うまでもないし、アンディとスチュアートは彼が示した新機軸に必ずしも賛成だったわけではない。


オープニングの”マテリアル・ワールド”にイントロのスカ・ビートを刻むのが、ギターではなく、シンセである時点で本作の変貌はあきらかだ。そんなシンセの後ろで息を潜めるように刻まれていたドラムとギターが、強引にど真ん中に切り込んでくるスリリングなブリッジの展開が堪らないが、3人の間でサウンド・バランスを巡る緊張があったのは明らかで、本作のレコーディングはさながら「戦場のようだった」とアンディは自伝「ポリス全調書」に記している。


スリーピース・バンドの純血主義を守りたいアンディと、アンサンブルに捉われず曲を書きたいスティング、その両者の葛藤は3年後のバンド崩壊へとつながっていく。



これはわかるわ~。


よくわかる。


自分が当時そう思っていたし、そのバンド内情をよくうまく表現してくれた、と感心した箇所でした。


とにかくすごい読み応え。


ライターさん達は、みんなその時代を経験してきたリアルタイム世代。だからこそお互いがあ・うんの呼吸でわかる、書いてある内容に説得力があるし、素直に感銘できるのだ。


この本も自分のお宝として残していこう。
失くさずに。(笑)


スティングの総決算のコンサートでひと段落したつもりでしたが、どうしてもニューヨーク・シェア・スタジアムのライブのことは書かないといけないと思いました。



PS:松村雄策氏が元気でいまも尚、rockin'onに投稿されていたのを発見し、嬉しく思いました。自分が学生だった頃、NHK FMの渋谷陽一氏のラジオでのロック番組を聴いていたのと、このrockin'onで 渋谷陽一×松村雄策の対談を読むのが毎月の楽しみでしたから。








nice!(0)  コメント(0) 

東京・春・音楽祭2020 波乱の先行予約初日 サーバーダウン [クラシック雑感]

今日は朝早くに起きて、もうスタンバイOK。勝負は10時スタートだ!


東京春祭2020.jpg


東京・春・音楽祭2020の先行予約開始日である。


もちろん自分の狙いは、この音楽祭の目玉であるN響&ワーグナーの演奏会形式公演のチケット。

2010年からスタートしたこの連載、ついに来年の2020年が最終年。


演目は「トリスタンとイゾルデ」。
指揮がマレク・ヤノフスキ。


最高のお膳立て。
もう絶対に獲らないといけない。


まっ最初は繋がらないけれど、10分くらいしたら繋がるかな?
毎年経験しているプロだから、もうそんな感覚でいた。


さっそく15分前に、PCに向かってサイトにアクセスをする。

・・・・・・

そうするとあれ?繋がらないのだ。(笑)


何回やっても、いろいろなリンク先からもトライしても

Error Database Connection

とエラーメッセージが出る。


あちゃ~みんなこの日は争奪戦だからアクセス集中して、ついにサーバーダウンしてしまった。サーバーダウンということは、みんなもアクセスできない訳だから、チケットがどんどん売れていくということはないにしても、なんか気持ち的に焦る~。(笑)


いろいろ健闘したところ、どうやら表の入り口のところがダウンしているようだ。
そして東京・春・音楽祭の特に2020年分のところがダウン。


ネットで東京・春・音楽祭で検索して、そのキーワードをクリックしてもダウンで入れない。

仕方がないから、表を通らずダイレクトで、枝分かれのリンク先から入ると、すんなり購入画面に入ることができた。


毎年いつもは、ビジー状態でしばらく待たないと繋がらないが、いまダウン中で、この裏技から入っている人は少ないと思われ、何回トライしても一発でスイスイと購入画面に繋がる。(笑)


もう自分はドキドキでしたよ。
間違ってないよな?


確かに2020年のトリスタンとイゾルデだよな?

もう何回も繰り返し確認しました。


トラブルあったから、早くチケットを確定したい気持ちもあって、クレジットカード払い、郵送ではなく、コンビニで現金支払い、その場でチケット受け取りにして、すぐ今日のうちに処理してきました。


DSC01790.JPG


あ~すっきりした。


紙のチケットの印字でちゃんとトリスタンとイゾルデと書かれていることをもう一回確認したりして。。。(笑)これでようやく波乱のドキドキから気持ちが落ち着いた。


いやぁ~こんなことってあるんだね。
N響&ワーグナー公演は8年間チケット獲ってきたけど初めての経験です。

東京春祭運営サイドもまさかのドッキリでしたでしょ。(笑)


東京・春・音楽祭の最大の目玉であったN響&ワーグナー演奏会シリーズ。
こんな歴史でした。


2019年 vol.10 《さまよえるオランダ人》

2018年 vol.9  《ローエングリン》

2017年 vol.8 『ニーベルングの指環』 第3日 《神々の黄昏》

2016年 vol.7 『ニーベルングの指環』 第2日 《ジークフリート》

2015年 vol.6 『ニーベルングの指環』 第1日《ワルキューレ》

2014年 vol.5 『ニーベルングの指環』 序夜《ラインの黄金》

2013年 vol.4 《ニュルンベルクのマイスタージンガー》

2012年 vol.3 《タンホイザー》[ドレスデン版]

2011年 vol.2 《ローエングリン》
※ 震災の影響により中止となりました。
 
2010年 vol.1 《パルジファル》


自分は2012年のタンホイザーから参加したから、結局初年度のパルジファルだけが観れていなくて、N響の演奏会形式で、ワーグナーオペラ10大作品のうち、9作品までをこのコンビで鑑賞してきたことになる。


本当に感慨深いですよ。
自分を誉めてやりたいです。


ノンノン2020プロジェクトのおかげで、アウトの支出をできる限り抑えて、貯蓄に回さないといけなかったので、2018年度から座席もかなりランクを下げてコストダウンを図りました。


でも最終章の2020年は、文句なしにS席で歌手ものには最適の”超前方かぶりつき”の席にしました。


来年でこのシリーズ終わってしまうので、次の年からなにをやるのかな?
楽しみです。


来年の最終章のトリスタンとイゾルデ。


自分は密かに、シュテファン・グールドにニーナ・ステンメの黄金タッグを期待していた。
特にイゾルデ役100回以上を演じてきた、まさにこの役と言ったらステンメ様な訳だが、ぜひ生でステンメ様のイゾルデの愛と死を聴きたかった。


今回の配役は、アンドレアス・シャーガー、ペトラ・ラングのコンビ。他にもエリザベート・クールマンも登場、そして常連のアイン・アンガー。日本勢もこれまた常連の甲斐栄次郎さん。


harusaisenkou[1].jpg


もうファイナルに相応しい豪華キャストです。


アンドレアス・シャーガーは、この東京春祭でジークフリートのときがあまりに凄すぎて自分の中では最高のバリトンの1人。ペトラ・ラングは、自分がバイロイト音楽祭に行って、トリスタンとイゾルデを観劇した時に、イゾルデを歌っていたのが、このペトラ・ラングだった。そのとき、自分は日記で、ステンメと比較すると、イゾルデとしての声の陰影感、深さなどまだまだの感がある、なんて日記に書いていた。(笑)


でもペトラ・ラングは年々成長著しくて、2018年のローエングリンでは、演奏会形式なのに、まさに役に入りきったプロとしての表情、演技作りに完全に主役を食っていたところに心底本物感を感じました。


ペトラ・ラングの愛と死、本当に楽しみです。


もう来年の大興奮が待ち遠しい。


ノンノン2020プロジェクトのおかげで、どうしてもアウト(支出)を抑えないといけない。


「定額のインに対して、予想だにしないアウト。」


というのが世間の常識ですが、この東京春祭のN響&ワーグナー演奏会形式だけは、もうこれは年初の期初予算作成の時に、すでに予算計上されている案件なのです。


ですから、この出費はもう覚悟の上。


だから、昔は東京春祭は、たくさんの公演に行っていたけれど、昨今の緊縮財政モードに入ってからは、N響&ワーグナーシリーズと川本嘉子さんのブラームス室内楽の2公演だけに絞っています。


川本さんのブラームスは、今年は去年に引き続き、ピアノにエリザーベト・レオンスカヤが登場という大物ビックリポンでこれまた非常に楽しみです。


川本さんのチケットはこれから獲ります。






nice!(0)  コメント(0) 

種明かしのリーフレット [グルメ]

世界の朝ごはんを極めようとして始めたのが3年前。みなさんも気づいているかもしれないけれど、最近のこのシリーズの日記は凄い熱筆で、ものすごい博識な内容に変貌しつつある。


始めた当初は、ただ朝ごはんを体験して、メニューを紹介して、その食べた感想を述べる、というシンプルな内容だったのだけれど、最近の日記はその国の基本情報、観光ポイントにまで至り、そしてその国の食文化にまでもの凄い専門的な内容を紹介している。


特に”その国の食文化”については、いつも日記の後半に登場するのだけれど、その国の事情がよくわかっていないと書けない専門知識なので、これはどうやって知っているのだろう?という読者の疑問は絶対あるはず、と推測する。


この部分の記載についてのcopyrightのクレジットをどう書こうか、ずっと昔から悩んでいたのだけれど、表現や説明することが難しく、今日こうやって別スレッドの日記を1本書くことで種明かししたいと思う。



まずお店に行きます。
テーブルの上にはこのようになっています。


DSC01691.JPG


三角折りにされたリーフレットが見えるでしょう。(今回はポルトガルだからPortugalと書かれている。)このリーフレットに、じつは、そのときに特集している国の食文化について詳細に書かれているのです。


DSC01698.JPG

DSC01695.JPG



このような感じです。
この情報を参考に書いています。


ふつうのラフなお客さんはそこまで気にしなくて、このリーフレットをそのまま残して店を去ったり、あるいは持ち帰ってもすぐにゴミ箱にポイかもしれません。


このリーフレットにそんな大事なことがみっちり書かれているなんて、たぶん大半のお客さんは気づいていないと思います。(笑)


このリーフレットの記載内容は、公式HPにもあまり書かれていないと思います。
(公式HPはメニューの紹介がメイン。)


だからお店側の狙いとしては、きちんとお店まで食べに来てくれた人だけが得られる情報、というような特権的な使い分けなのかもしれません。


自分の記憶ですけど、この連載を始めた2017年当時は、このようなリーフレットはなかったと思います。最近ですね。少なくとも2018年に入ってから。


ボクもいままでゴミ箱ポイだったんですが、ある日、偶然広げてみて、じっくり目を通して見るとすごい貴重な情報、まさにその国の食文化についてかなり深く書かれているではありませんか!


びっくりして、これは日記で紹介したほうが絶対いいと思いました。


紙に書かれているので、それを文字起こしする苦労はありますが、そのほうが、自分が理解できる深さが出ます。もしパソコン上でコピペで済んでしまうなら内容をきちんと理解しないままの可能性が多いです。


でも複写してほしくない内容だから紙オンリーという解釈のほうが正しいと思いますが。(笑)


ですから、”その国の食文化”に関する記載は、もちろんcopyrighted by World Breakfast Alldayになります。


基本、理系人種の自分がこんな畑違いのことにこんなに詳しい訳ないじゃないですか?(笑)


その国の食文化について詳しい記述だったのは、このリーフレットによるもの、というのが種明かしでした。これで今後は、copyrighted by World Breakfast Alldayとクレジットできます。


みなさんもお店に行ったときは、世界の朝ごはんを食べながらこのリーフレットを読んだり、大事に持ち帰ってください。(このリーフレットを世界中ヴァージョンをコレクションしておくと面白いかも?)ただ朝ごはんを食べるだけでなく、事前に目を通すと、世界のそのときの朝ごはんに対する理解度なんか全然違ってくるのでぜひおススメします。



いままでメニューの紹介と食べた感想だけだった日記に、この”その国の食文化”の記載が加わると、俄然、日記自体の充実度に厚みが出てきます。


そうすると欲が出る訳です。もっと完成度を高くして、クオリティの高い記事にしようという欲が出ます。


まず、その国がどこにあるのかの地理感の地図とか、国旗の画像とかも加えようと思いました。


そして、リーフレットには食文化についての記載が主ですが、それをさらに肉付けして、観光ポイントだとか、どういう国だとかを加えていきます。


読んでいる人が、その国に実際旅行しているみたいな感覚にしてあげようという感じです。


このお店のコンセプトが、”朝ごはんを通じて、世界を旅行する、体験する”なので、その手助けをしてあげるのです。リーフレットやHPの記載では、基本食べ物関係に偏ってしまうので、それ以外の分野をサポートしてあげるのです。(もちろんリーフレットには簡単な国の基本情報、観光情報も記載されています。)


そしてこれが結構大切なポイントなのですが、自分の経験談(主にヨーロッパの国になってしまいますが・・・)や自分のその国に対する想いを必ず入れることです。ここ大事です。


これで結構自分の色のついた記事にすることが出来ます。


あと、これは基本ですが、食べた感想は必ず入れることですね。
自分、もしくは日本人に合いそうもない場合は、辛口できちんとそう書きます。


このお店を紹介しているSNSを拝見すると、こんな感じです、という写真だけの場合が多いように感じますが、感想まであまり書いていないような・・・でもそのほうが当たり障りなくていっか。(笑)


そうやって研磨していくにつれて、やたらと充実度満載のすごい濃い内容の記事が出来てしまったという経緯です。


この世界の朝食を食べさてくれるお店

World Breakfast Allday



もともと外苑前のお店でスタートして、自分もSNSのTLで偶然知って、このコンセプトは素晴らしい!ぜひ自分の日記で紹介したいと思って特集を始めました。


いつも置いてあるレギュラーメニューと、2か月に1回のタイミングで特集するメニューとあって、いまは後者を紹介しています。


そうこうしているうちに原宿店がオープンしました。


DSC01693.JPG


こっちは素晴らしいロケーションで、店内もすごい広いので自分は大好きで、今や、もっぱらこっちに通っています。


このコンセプト・レストラン、この3年間ですごい成長です。


昔はネットで検索してもあまり出てこなかったけれど、いま検索したらもう凄くてびっくりします。急に知名度アップした感じで、原宿店もオープンしてTVなどのニュース番組でも特集されて、万々歳ですね。


もともとは、経営しているのは、日光の建築デザイン会社の方が副業でやってたとか。
建築の会社が、なぜ東京でカフェを経営することになったのだろうか。


ここに詳しく特集されています。(東洋経済)



この社長さん(木村顕さん)が日光市内にある築50~100年の古民家3棟を借りてリフォームし、民宿事業を立ち上げた。


日光インと名付けた民宿施設。


海外からのバックパッカーや観光客などが多く訪れ、リピーターも増えたが、何年か続けるうち「初期投資が大きく、ビジネス的に採算を取るのが難しい」ことがわかった。


そこで2013年5月から始めたのが「世界の朝ごはん」のサービス。ヒントとなったのが、日光インでの宿泊客との会話だった。


「外国人が皆コミュニケーションが上手かというと、そんなことはありません。私自身、建築やデザインの話に興味がある人となら話が弾むけれど、そうでない人の場合は話題に困るんですね。でも、食なら万国共通の話題となります。それに、食べ物そのものに、その国の文化や暮らし、考え方が凝縮しているということに気づいたんです」(木村氏)


3食の食事の中でも朝食を選んだのは、もっともシンプルで、国ごとの違いが如実に現れる食事だからだ。


「和食というとカツ丼やラーメンも含み範囲が広過ぎますが、朝食に限れば、伝統的なものとして挙げられるのはご飯に魚、みそ汁、納豆などですよね。種類が限られる分、文化の本質が現れる。他国でも同じことが言えるのではと考えました」(木村氏)


原宿から徒歩10分程度という立地を選んだのは、「街中は家賃が高い」というコスト面の事情もあったが、「ある程度落ち着いた雰囲気があり、世界を知ることに興味のある人が来てくれそう」(木村氏)


という理由もあった。


朝ごはんなんて食べないという人も多いが、なんか、いまは朝活ブームだそうだ。


一時は、木村氏自ら、寝ないで仕込みをしなければならない事態になったほどだったが、現在は新たに雇ったスタッフを含め10人で切り盛りできるようになった。(この記事の当時の話です。いまは原宿店もオープンでもっとたくさんスタッフいます。)


今は事務所を東京に移転しており、同店を始めるきっかけとなった日光インについては、サービスをストップしているという。宿泊施設はビジネス的に難しいということもあるが、木村氏自身が多忙なため。


「食事のリサーチや食材の仕入れ、ホームページの更新と、2カ月はあっという間に経ってしまいます」(木村氏)


本業はストップですが、副業の方で、もういまや万々歳で本当によかった、よかったです。


ボクが、2017年から体験し始めて、いままで体験した世界の朝ごはんは全部で21か国。


征服した世界の朝ごはん.jpg




これからもどんどん充実度満載の記事で、紹介していきます。







nice!(0)  コメント(0) 

BBC Proms JAPAN 2019 [国内クラシックコンサート・レビュー]

世界最大規模の夏のクラシック音楽祭である英国のBBC Promsを日本で開催しようというのは、誰の案だったのか、は知る由もないが、そのニュースを知ったときは、とにかく驚いた。


BBC Promsを海外で開催すること自体、2016年にオーストラリア、そして2017年、2019年にドバイですでに実現され、今回の日本が3か国目である。


英国のロイヤル・アルバート・ホールという巨大なコンサートホールで開催されるいわゆるプロムナード・コンサート(散歩やぷらぷらと歩きながら楽しめるコンサート)で、クラシックという敷居の高さを気にせずに、クラシックにあまり詳しくないファン層の人たちにもとにかく気取らないで、ざっくばらんに楽しんでもらおう!というのがPromsのコンセプトである。


自分も2016年に現地の本場で体験できたが、ロイヤル・アルバート・ホールのProms用の飾りつけは視覚的に結構インパクトがあって、カジュアルな場内の客層含め、あの雰囲気を、日本に持ってくる、というのは実際できるのだろうか?という疑問がまず頭に浮かんだ。


BBC Promsは英国のクラシック音楽祭。


彼ら独特のカラーがあるその音楽祭を、安直に日本にそのまま持ってくるだけで、それは成功するものなのか?そういう考えは当然自分の中にもあった。


特に、日本では、渋谷オーチャードホール、大阪シンフォニーホールがロケーションということを知って、それじゃ普通のクラシック・コンサートと何が違うの?ただ、登場するオーケストラがBBCスコティッシュ交響楽団というだけのことじゃないの?


やっぱり日本でPromsをやるなら、東京ドームあたりでやって、ビール、ポップコーン片手に、クラシック音楽を楽しむ、というのがPromsらしくていいんじゃないの?と思ったりもした。


でも東京ドームなら5万人の観客席。本場のロイヤル・アルバート・ホールでも6000人くらいだから、日本でクラシック・コンサートで初の試みをやるのに、5万人の集客はちと苦しいか。(笑)


mainimage04[1].jpg



今回のBBC Proms JAPANは大和証券が特別協賛で、”大和証券プレゼンツ”となっている。
大和証券さんが起案者で主たるスポンサーなのだろう。


ぴあ、テレビ朝日、博報堂DYメディアパートナーズ、読売新聞社、BS朝日、Bunkamura(東京公演)、ザ・シンフォニーホール(大阪公演)の7つの企業団体から成るBBC Proms JAPAN 2019 実行委員会を設立して、その運営にあたる。


そのほか、
 
協賛 KDDI


協力 BBC、東急株式会社、HarrisonParrott、ブルーノート・ジャパン、ローランド株式会社、一般社団法人渋谷駅前エリアマネジメント 後援 ブリティッシュ・カウンシル、一般社団法人日英協会、スコットランド政府、NPO日本スコットランド協会、一般財団法人渋谷区観光協会


これだけの企業団体が、このBBC Proms JAPANのコンセプトに納得してくれて、それを実現するために立ち上がってくれたのだ。


ぶっちゃけた話がスポンサーとして投資してくれた、ということだ。


BBC Promsを運営しているBBCと直接交渉する必要があり、この音楽祭を日本に持ってくると簡単に言うけれど、それだけでもこれだけの企業体の結束、努力がなければけっして実現できなかったことだ。


指揮者のトーマス・ダウスゴー、BBCスコティッシュ交響楽団の遠征費、宿泊費、交通費そして出演料。6日間に渡るそれぞれに出演するソリスト達の出演料を始めとする同様の費用。そして広告費。これだけのアウト(支出)だけでも大変なやり繰りが必要と思われ、それに対しチケット収入のイン(収入)で全体として黒にするには、その見返りなのかはわからないが、随所にコストダウンしているな、と思われるところが散見された。


自分は渋谷オーチャードホールだったが、日本と英国の国旗が飾り付けられているのかな?とも想像したけれど、そのようなものはなし。ごく普通にシンプルな普通のコンサートのときと同じ変わらない風景だった。


そしてホワイエに展示されているパネルや物販関係もお金のかかってなさそうなシンプルなものばかり。


ふつうはコンサートプログラムといって、この音楽祭の演目や出演者のプロフィールなどを書いた総合プログラム冊子が配布されるものだが、これもなかった。


かなりのコストダウンを図っているものと思われた。(笑)
やっぱりアウトが大変なんですよ。


そんな苦労も垣間見えるが、やはりそこは大プロジェクト。


じつは「日英交流年 UK in Japan 2019-20 」の一環でもある「大和証券グループ presents BBC Proms JAPAN 2019」。英国文化・メディア・スポーツ・デジタル省大臣 ナイジェル・アダムズ氏が視察にいらっしゃったそうだ。


BBC Proms.jpg
(c)BBC Proms JAPAN Twitter



日本としてのBBC Proms JAPAN。


6日を要し、そのプログラムがとてもよく考えられていた。



Prom 1 ファースト・ナイト・オブ・ザ・プロムス
Prom 2 BBCプロムス・イン・大阪
Prom 3 ジャズ・フロム・アメリカ
Prom 4 ロシア・北欧の風
Prom 5 日本を代表する次世代のソリスト達
Prom 6 ラスト・ナイト・オブ・ザ・プロムス



クラシック一辺倒に限らず、アメリカのジャズ、そしてロシア・北欧の音楽など、いろいろな切り口で組み立てられたプログラムで、BBC Proms JAPANが総合音楽祭であることを主張していて、自分はよく考えられているプログラムだと感心した。


当初は、ご多分に漏れず、ラストナイトに行こうと思ったが、予想以上の争奪戦。なんと一般発売日のスタートともにサイトにアクセスしたら、すでに完売ソールドアウトであった。


これは、ラストナイトは、少し表現が悪いが、他の日の公演とセットになって売る「抱き合わせ商法」のような扱いで、みんなセット券で買ってしまっていたんだな。だからラストナイト単券売りの日はほとんど残っていなかった、というのが真実だったのではないか、と考えた。


自分はそこで、他のPromの内容を再度吟味し、


Prom 5 「日本を代表する次世代のソリスト達」


を選択した。


いま思うととても賢明な選択だったと思う。
宮田大くん、三浦文彰くんを鑑賞したい、と思ったことがなによりも第1理由である。



では、当日の感想を時間経過順に述べていこう。


今回のBBC Proms JAPANでは、東京公演のほうでは、サテライト会場として、特別に渋谷109の前の広場のところに特設会場を造って、"Proms Plus Outdoors Concert"という無料の野外コンサートが行われた。


DSC01735.JPG



時間割でいろいろなアーティスト達がセッションを繰り広げるのだが、自分が到着した時は、マリンバの塚越慎子さんとピアノの志村和音さんが、コンサートをおこなっていた。


DSC01725.JPG



ジャンルはいろいろ。思い付きのジャム・セッションぽいところもあって楽しかった。銀河鉄道999も演奏してくれました。(笑)


マリンバの塚越さんを初めて、近くで生で拝見させてもらったが、ゴムまりのように弾ける元気いっぱいの明るい女性で微笑ましかった。


でもマリンバって、強烈だなぁ。


あの弾けるような音の躍動感。聴いているとこちらがどんどん乗っていってしまうキケンな楽器ですね。



そしていよいよ、渋谷オーチャードホールでBBC Proms JAPAN 2019。


DSC01741.JPG


自分はここの玄関フロントのところに、日本と英国の国旗が掲げられていると推測していたのだけれど、全然そのようなことはなく至って普通のオーチャードホールであった。


ホワイエ


BBC Proms JAPANのパネル。


DSC01746.JPG



物販関係。


DSC01748.JPG

DSC01762.JPG



大フェスティバルにしてはかなり地味目だと思うのですが、いかがでしょう?(笑)


自分は観客がラストナイトのときのように、国旗を振るようなことを想定して、両国の国旗が物販で売られているとも思ったのですが、そんなこともなし。(笑)


でも今日やるラストナイトではどうかな?



そしてホール内。
自分は3階席を選んだ。



DSC01784.JPG


これは素晴らしかった。


いままでフロント、ホワイエと期待の大フェスティバルにしては、あまりに普通に地味なので、ちょっとがっかりというか気合抜けしてしまったところもあったのだけれど、このホールの飾りつけを見て、救われたというか嬉しくなりました。


本場のPromsのような感じが醸し出されていて、とてもいいと思います。


まず、本番のコンサートが始まる前に、指揮者のトーマス・ダウスゴー氏、宮田大氏、三浦文彰氏、そして女性アナウンサーでプレトークがあった。


ダウスゴー氏は、いかにも英国人らしいきちんとした紳士然としたところもありながら、かなり熱血漢っぽい感じ。そして宮田大くんは、やっぱり優等生だなぁ。とてもきちんとしていて、とても能弁な語り口。さすがです。逆に三浦文彰くんは、反対の路線というか、結構土の臭いがするとても素朴な感じで微笑ましかった。


宮田大くんは、今回演奏するエルガーのチェロ協奏曲を、このBBC Proms JAPANに合せて、トーマス・ダウスゴー指揮、BBCスコティッシュ交響楽団という同じメンバーでイギリス・スコットランドで現地録音をしてきたばかり。


日本コロンビアからリリースされます。(2019/10/31リリースですでにオンセール)


そのときに、イギリス人はきちんとしているところが日本人に似ている印象を持ったとか、あのとき嗜んだウィスキーの味が忘れられないとか・・・わかる~その気持ち。(笑)このコメントが自分には印象的でした。


そしてコンサート。


じつは、自分はProm 5なので、音楽祭終盤。だから前半を体験した人たちのレビューがどうしても目に入ってしまう。そうすると、BBCスコティッシュ交響楽団の下馬評が結構散々たるという感じで(笑)、これは参ったな~と頭を抱えてしまった。


かなりの人数の人が、BBCスコティッシュ響は、「弦が薄くて、管が不安定。」という評価なのだ。1人だったらわかるが、かなり複数人だったので、信憑性も高そうだ。


オーケストラというのは弦楽器が大半のパートを占めるのだから、その弦が薄くてスカスカだったら、これはオーケストラサウンドとしてかなり悲惨なものと思われた。


でも自分が体験したProm 5の日の演奏は、まったくそういうところは感じられなかった。管が不安定なところはいっさいなく安定した吹きっぷりだったし、弦楽器群はとても音色が厚くて安定していて、倍音成分ふくめた潤いの余韻が尾ひれについていた。


なによりもこの日の演奏は一貫して、高いアンサンブル能力、オーケストレーション能力が非常に高いオーケストラだと感じ、自分は「なんだ!全然いいじゃん!」といういい意味での拍子抜け、BBCスコティッシュ交響楽団は、一流のオーケストラと言っても遜色のない素晴らしいオーケストラだと確信した。


おそらくその日の出来具合の違いもあるのでしょう。
そして座席の差は大きいかも。


渋谷オーチャードホールは、クラシックの生音で勝負するホールとしては、ステージから観客席に音が飛んでこないことで有名なホールなのだが、自分はそこを慮って、3階席で勝負した。


これが大正解だった。


これだけ上階席でステージを俯瞰するような感じだと、ステージから上に上がってくるサウンドステージがバランスよく万遍なく聴こえてくるメリットがある。これが平土間の1階席で聴いていると、どうしてもステージの奥行きに行くにつれて、音の伝搬距離の差が出てきてしまい、位相差が出来てしまう。弦楽器、管楽器、打楽器と遠くなるにつれて、どうしてもその差が出来てしまう。


客席の一点として捉えたときのオーケストラとしての音のバランスが悪くなるのだ。


自分は確信犯的に、ここは絶対に上階席の方がいいと思っていた。これだけ上から俯瞰する感じだと、ステージの奥行きに行くほどの位相差は、あまり差がなくなる。


だから全体にバランスよく万遍なく聴こえるのだと予想した。


その分、ステージから遠くなるので、音像が緩く遠くなったり、腹に響いてくる音の実在感は犠牲になるが、それでも音の全体のバランスのほうを自分は選んだ。


結果、この日の演奏のサウンドにストレスのようなものがいっさいなく、この生音クラシックのコンサートが苦手なこのホールで、満足できたのはひとえに、座席選びだったと思っている。



前半の細川俊夫さんの「プレリューディオ」 オーケストラのための。


最初のこの曲で、自分はBBCスコティッシュ響の実力の高さをしっかりと把握することができた。
現代音楽に必要な繊細で透明感のある弦の美しさ、そしてその音色が安定していないといけない。
さらに空気を引き裂くような鋭さを持っていなくてはいけなく、それがきちんと具現化されていた。



2曲目の宮田大くんのエルガーのチェロ協奏曲。


この曲が自分の一番の楽しみであった。
それは先の述べたように、イギリス現地で同メンバーで録音してきたホカホカの話題であること。
そしてなによりも久しぶりに宮田大くんの生演奏に触れること。


大くんは変わんないね。・・・見かけが。(笑)
なんか自分が接していた時とほとんど変わんない。
いつまでも若くて、うらやましいです。


でも演奏表現力は観客に対する訴求力というか説得力が抜群にレヴェルが増したと思う。
自分の座席はステージから遠いけれど、大くんはとても大きく見えました。
チェロの音色も朗々と鳴っていた。
(チェロの音域って本当に人の声に近いというか、どうしても眠くなりますね。(笑))


エルガーのコンチェルトは、チェロ協奏曲としては超有名なドボルザークのコンチェルトと対照的で、非常にシンプルなオーケストレーションが特徴的ですね。エルガーが病床にいるときに書かれた作品ということで、やや短調的なほの暗い旋律が印象的です。ドボコンは有名なので、聴く機会も多いと思いますが、エルガーのほうは、なかなか普段、コンサートで聴く機会が少なくレアな曲なのではないでしょうか。


エルガーのチェロ協奏曲は、特にジャクリーヌ・デュ・プレが盛んに演奏しレコーディングも行っており、彼女が本作を世に知らしめた功績が大きい。


自分も彼女の音源を持っていますが、この日の大くんの演奏のほうがより現代的で洗練された今風のサウンドだと思うし、今回日本コロンビアからリリースされるアルバムも、デュ・プレの作品を超えるものであることは間違いないでしょう。



休憩(インターミッション)


DSC01788.JPG



後半に入り、三浦文彰くんのブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番。


三浦くんは、自分が定期会員だったミューザ川崎の東京交響楽団 名曲全集のコンサートにソリストとして出演したときに1回実演に接したことがあります。


本当に土の香りがするという感じがぴったりな男らしい将来のスター。


ブルッフのコンチェルトは、ヴァイオリニストにとっては、若い新人の頃に修行する曲として有名で、自分は若い頃は弾いていましたが、トータルとしてはあまり弾いたことがない曲だ、とプレトークで言っていた。


自分はこのブルッフのコンチェルトがとても好き。
哀愁があってロマン派的で、メロディーがとても美しい。
ヴァイオリンにすごく合っている曲だと思います。


三浦くんのブルッフは、どちらかというとこの曲が持つ派手でパフォーマンスたっぷりという路線とは違っていて、とても素朴で冷静に淡々と弾ききった、という印象が大きかった。


とても渋い男らしいブルッフであった。



そして最後にトーマス・ダウスゴー指揮、BBCスコティッシュ交響楽団によるラフマニノフの交響的舞曲。


これは素晴らしかったね。


巷に溢れていた同楽団への散々たる下馬評はなんだったんだ?という感じで、こんな素晴らしいパフォーマンスをするBBCスコティッシュ響を大いに見直した1曲であった。


コンチェルトだとどうしてもソリストに耳が行がちになりますが、メインディッシュはまさにオケそのものを堪能、評価できる。アンサンブル能力の高さ、オーケストラとして奏でているサウンドのボリュームと質感の高さ、緻密さ、極めて能力の高いオーケストラだということがこの曲ではっきりと認識できた。


このラフマニノフの交響的舞曲という曲は、自分はRCO Liveのディスクでオーディオでよく聴いていて、大好きな曲なのだが、ひさしぶりに生演奏で聴くと、やっぱりこの曲、オーディオでの聴きどころ、音的に美味しいところ、というポイントがあって、それを生で聴くと、やはり迫力が違うな、と感心しました。


ブラボーの一言です!


指揮者のトーマス・ダウスゴー氏であるが、非常に切れ味鋭くて、熱血漢の指揮ふりですね。正統派の指揮者だと思います。彼らからこれだけのサウンドを引き出していたのもじつはダウスゴー氏によるところが大きいのでしょう。


アンコールは、劇団員が立奏して踊りながら演奏するなどのパフォーマンスがあり、お祭りらしい華やかな雰囲気でフィナーレ。



つくづくこの日、Prom 5を選んでよかったと思います。


ちなみに、松本市音楽文化ホール(松本ハーモニーホール)のほうでもバスツアーを企画して東京に遠征して、この日のProm 5の公演を鑑賞するツアーを組まれていたようです。ツアー参加者のみなさんが楽しそうな笑顔で集合写真に写っていたのを拝見しました。


やっぱりProm 5だったんだね。(笑)



今日はラストナイトの日。


観客は日本、英国の国旗を振るというパフォーマンスはあるのでしょうか?


いろいろ音楽界で論評はあると思うが、自分はこのBBC Promsを日本で開催する、という今回のトライアルは見事に成功したのではないか?と思います。



BBC Proms JAPAN 2019


2019年11月3日(日・祝) 15:00 開演
Bunkamuraオーチャードホール


出演

管弦楽:BBCスコティッシュ交響楽団
指揮:トーマス・ダウスゴー
ヴァイオリン:三浦文彰
チェロ:宮田大


演奏曲目


細川俊夫:「プレリューディオ」 オーケストラのための

エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 Op.85(チェロ:宮田大)


休憩(インターミッション)


ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 Op.26(ヴァイオリン:三浦文彰)

ラフマニノフ:交響的舞曲 Op.45


アンコール

Sibelius:Andante Festivo
Unknown:Eightsome Reel








nice!(0)  コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。