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埼玉初上陸!のだめコンサート@ウエスタ川越。 [国内クラシックコンサート・レビュー]

ついに今週の土曜日に、のだめコンサートがやってくる。今回は埼玉県にある川越市に去年平成27年の春にできたばかりの複合施設「ウエスタ川越」の大ホールでおこなわれる。

ピッカピカの新ホールだ。

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本来は多目的ホールの意味合いが強かったのだろうけれど、写真を見てもらえばわかるように、完璧な音楽ホールで、シューボックスに近い形。(やや扇型で外に広がっている。)天井や両側面には、調音のための反射板パネルが装備されている。

後方になるにつれて外に広がる形なので、後方になるにつれて、反射音がきちんと客席に戻ってくるように反射板パネルがさらに強烈な仕掛けになっている。ちょっと座席に傾斜があるかな?という感じはある。キャパは1700席程度の少なめでウィーン楽友協会とほぼ同じで、シューボックスに適した容積。

こ~れは音響良さそうだ!(笑)

まず、この面だけでも、自分には楽しみ!


のだめコンサートの魅力は、やはり心が暖かくなるというか、とても楽しいコンサートというところにあるのかもしれない。

ふつうのクラシックコンサートにあるような高貴な趣味という佇まいの雰囲気もいいのかもしれないが、のだめコンサートは、もっと庶民的で、とても人のぬくもりを感じる暖かい雰囲気のコンサート。

この点が自分には、とても気に入っている。

その証拠に驚くのは、その若い客層だ。

ふつうのクラシックコンサートって、自分の経験上、かなり高齢層のファンで占められている。サントリーホールやミューザ川崎で、自分の席に座ると、キョロキョロ見回してみるのだが、やはり年齢層が高いよな~、クラシックを支えているファン層って、やはり高齢層なんだな~と毎回思うものだ。

もちろん例外もあって、人気テノールのヨナス・カウフマンのリサイタルなんか、女性ばっかり、というのも確かにある。(笑)

最近クラシックを仕事面から考えることも多く、車の中でコンサートホールを実現というけれど、自分が長年経験してきているクラシックコンサートの客層って、間違いなく高齢層によって支えられているもので、そうするとシニア層による運転を狙うのか?

どういう運転層を狙うのか?とかマーケット面を真剣に考えたりするのだ。(笑)

それに対し、のだめコンサートは、信じられないくらい客層が若い。50歳台の自分が、ちょっと居心地悪いというか、恥ずかしくなるような感じがするくらい。若い男女カップル、若い女性同士、とにかく、周りの空気がパッと明るくなるような若い客層で占められている。

これって、とても大切なこと。
若いファン層に、クラシックに接してもらうとてもいいチャンス。

そして、こののだめコンサート、毎回開催すれば、必ず満員御礼の集客力。
その果たしている役割って大きいと思うのだ。

とにかくアットホームで心暖まる雰囲気で、客層がとても若い、ここに、いつもとは違う新しい形態のクラシックコンサートがあって、自分はそこにとても魅力を感じる。

企画、そして司会進行MC、そして指揮者が、現在NHK交響楽団の首席オーボエ奏者の茂木大輔さん。(以下写真はFBからお借りしています。) 

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大変マルチタレントな方で、有識者でもあり、いろいろな面で才能豊かな方でもある。ずっと応援してきている。茂木さんと、「のだめカンタービレ」の原作者の二ノ宮知子さんとの交流から、このコンサートは始まった。まさに茂木さんが引っ張っていっている企画なのだ。


そして、今回出演される高橋多佳子さん。 
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もう20回以上、そして毎回レギュラー出演で、高橋さん抜きののだめコンサートは考えられない。茂木さんと高橋さんのコンビで支えてきた企画と言えると思います。

超美人で優しい感じの方で、でもどこか3枚目キャラのあるところが魅力だったりします。(笑)ショパンコンクールで第5位という輝かしい経歴を持っていて、そのショパンの故郷 ポーランドにも12年暮しており、ショパンとともに人生を歩まれてきた。

現在も第1線のピアニストとして活躍されていて、桐朋学園講師、そしてコンサート活動、教育関連と幅広く活躍されています。



そして、もう1人、出演される岡田奏さん。 
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これは自分の考えなのだが、ある意味今回ののだめコンサートの主役は、この岡田奏さんなのではないかな?とも思っていたりする。北海道函館の出身で、パリ音楽院~パリ・コンセトヴァトワールをご卒業されたばかりの期待のホープ。

同じく北海道札幌出身の高橋さんと幼馴染だそうで、小さい子供の頃から岡田さんをよく知っている間柄なのそうだ。

自分がはじめて、のだめコンサートに行った聖地の愛知県の春日井市民文化会館のときのコンサートも、この高橋さんと岡田さんのコンビ出演だった。そのとき岡田さんはラヴェルのピアノ協奏曲を演奏されていたのではなかったかな?


驚いたのは、その直後だった!

なんとベルギーのブリュッセルで開催される国際音楽コンクールであるエリザベート王妃国際音楽コンクールで、ファイナリストまで選抜されるという快挙。

自分も心底驚いてしまった。

なんでも、このエリザベート・コンクールというのは、予選からファイナリストに選抜された後は、携帯などいっさい外部と繋がるものは没収されて、外部といっさい遮断された空間で監禁状態で、ファイナリスト集団とともに暮らし、最後のコンクール試験をおこなう、という特殊なコンクールなのだそうだ。


自分の曖昧な記憶だけれど、仲道郁代さんもエリザベート・コンクールのファイナリストだったと思ったし、堀米ゆず子さんは、このエリザベート・コンクールの優勝者だったと思いました。

岡田奏さんも、見事にその仲間入り。輝かしい経歴を刻むことができたのは、自分のようにうれしい。のだめコンサートの出演者から、そういう快挙が生まれた、ということ自体がなんとも嬉しいことではないか!

そういう素晴らしいことがあった後の、のだめコンサート出演なので、ある意味、岡田奏さんにスポットライトがあたる位置なのは、ごく自然のことではないのかな?と自分は思うのです。

コンクール期間中の監禁状態にあったとき、どんな感じの様子なのかなど、MCで聴いてみたいような気がする。(笑) ボクら一般市民ははじめて聞くことと思いますので。。。

今回ののだめコンサートでは、高橋さんがベートーヴェンのソナタ《悲愴》より第2楽章、岡田奏さんとのモーツァルトの2台のピアノのためのソナタ第1楽章、そしてガーシュウィンの《ラプソディー・イン・ブルー》を弾く。

そして岡田奏さんが、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番という堂々たる大曲。

本当に楽しみだ。

のだめコンサートでのオケは、通常開催される地元のオケを使われることが多いそうだが、今回の川越公演は、主催者側の強い要望もあってほとんどオールN響選抜メンバー。(^^)

こういうときにN響のメンバーが一斉に集まってくれるのも、やはり茂木さんのN響内での信望の厚さを示しているのではないだろうか?

また、自分にとってのだめコンサートは、岡田さんのような新しい若い演奏家との出会いの場でもあったりするかもするかもしれない。新しい若い演奏家は、どんどんチャンスを与えて、クラシック界を活性化すべき、ということを過去に言及したこともあったのだが、どうしても演奏会に頻繁に足を運ぶ、という有言実行は正直できていなかった。

そういう点で、のだめコンサートは、そういう期待のホープの若手演奏家の演奏を聴ける自分にとってのいい場所なのかもしれない。

うぅぅぅ~、なんか書いていて、だんだん自分も高揚してきて、楽しみで楽しみで堪らなくなってきた。

そうして、ここからが本番当日。



堂々3時間のコンサート。期待を裏切らぬ楽しい&そしてクオリティの高いコンサートだった。

ウエスタ川越という複合施設が、去年できたばかりの新しい複合施設ということで、さらにその中の新ホールということで、自分は、まずそこがとても興味があった。

首都圏から電車で、大体1時間くらい。

ウエスタ川越

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大ホールへの入り口。

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こんなフロアが現れる。

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やっぱりのだめコンサートは客層が若い!

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原作者 二ノ宮知子さんから花束が。

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そして期待の新ホールに参入。

正面の図

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前正面から後ろをみた図

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側面

後方から前方側面を撮影

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前方から後方側面を撮影

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天井

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ネットの写真で見ると、完璧なシューボックスに見えたのだけれど、実際入ってみるとシューボックスではなかった。やはり音楽ホールがメインなのであるけれど、多目的にも利用できるみたいな幅の広い用途のホールのように思えた。

後方に行くにつれて、外側に広がっていって、上階席もある扇形のホール。

側面には、客席に反射音を返す反射板がしっかりと施されていて、天井もかなりしっかりした反射板の造りになっている。ステージ上は、客席に向かって放射状に開口する感じで、初期反射音を客席に返す仕組みも伝統的な造り。

音楽ホールとしては、さすが最新だけあって、かなりしっかりとした造りだと思った。

音響の印象は、座席が前方9列中央だったので、直接音中心のサウンドであったが、響き具合としては、ややライブ気味だけど基本は中庸、響き過ぎず、ドライでもない、という佇まいの良さで、帯域バランスは、偏っていなくて、いいバランスだったと思った。

最初ホールに入ったときの暗騒音は、客席の話し声のざわめきを聴いた限りでは、空気が澄んでいて、S/Nは良さそうで、ライブ気味な印象だった。

オケの弦楽器の音が、厚みがあって、かなりずっしりと重心が低くて、いい音響だな、と確信。

ピアノの音も、もっとライブで響きに混濁するくらいかな?と予想していたのだけれど、まったくそんな感じでなく、打鍵の音もクリアで、1音1音分離して聴こえる。

新ホールとして合格点、素晴らしい音響だと思いました。




さっ、本番ののだめコンサート。

ロッシーニのウイリアム・テルから始まる。
今回のウエスタ川越のだめスペシャルオーケストラは、大半がN響メンバーから選抜された特別なオケとなった。急遽、特別参加で、いま話題の美人チェリストの新倉瞳さんが急遽オケメンバーに参加されていたようです。

この最初のウィリアム・テルを聴いた限り、いい感じ。弦&木管&金管と、ともに安定していて、聴いていて危なげのない安心できるサウンドだった。うまいオケ!

これで、これからの3時間安心して聴けそうだ、とホッとした。
オケって、オーディオと同じで最初で、力量、素性がある程度わかるもんなんですよね。

そして高橋多佳子さん。

最初のベートーヴェンのピアノ・ソナタの悲愴、第2楽章。

高橋さんの演奏で、この曲を、のだめコンサートで聴くのは2回目だと思ったが、じつは、この曲、オヤジが他界した時、ずっと気分が地獄に落ち込んでいた時に、魂のレクイエムとして繰り返し聴いていた曲で、この曲を聴くだけで条件反射的に「どっーー!」と涙が溢れ出てきてどうにも止まらなくなる曲なのだ。

もう今回もそうだった。のだめと千秋の出会いのときのメモリアルな曲なので、このコンサートでは大切な1曲。

高橋さんの印象は、いままで通り、とても女性的な繊細なピアニストであることを再確認。

特に印象的なのは、肘から指先に至るまでの腕の部分の動きがすごい柔らかでしなやかなこと。特に手首のスナップの使い方見ていても、とても柔らかいよなぁ、と感じる。シルエットとしても女性的に見えてしまうのも、そんなところが要因なのかも?

でも、ラプソディー・イン・ブルーのときは、基本柔らかいんだけれど、あのカッコよいリズミカルに弾ける姿は、かなり格好良くシビレました。これはじつに素晴らしかった。

あっ、岡田奏さんとのモーツァルトの2台連弾のときの、原作の弾き始めで間違えるコントも素晴らしかったです。(笑)



そして岡田奏さん。

ある意味、今回の主役とも言える。

いやぁ、ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番は、これはじつに素晴らしかった。ブラボーです♪

奏さんの印象は、やっぱりパワフルで男性的な力強さが基本だと思います。ところがpp弱奏のときの弱音表現のときが、これまた打って変わって、腕、手首の動きがものすごく柔らかくて、こういう弱音表現もじつに素晴らしい。

強打腱なパワフルな表現と弱音表現の両方、力強さとしなやかさの両方、緩急の使い分けがこれだけきちんと表現分けれるのは、ちょっと驚きというか、素晴らしい才能だと思いました。ラフマニノフの2番をずっと観て、聴いていて、それが1番強く印象に残りました。

アンコールのラヴェルのピアノ協奏曲 第2楽章のあまりの美しさに涙。

いやぁ将来本当に楽しみな大器だと思います。


番外編として、今回は、おならたいそう、という笑える演出もあって、のだめコンサートらしくてよかった。

全編を通して、茂木さんのMC、手慣れた司会進行、笑いあり、博識なところもあり、安心して聴いていられた。もう自分も大分のだめコンサートに慣れてきたかな?(笑)

投影のほうも洗練された描画づくり、シナリオストーリーで素晴らしかった。ただ、思ったのは、なんかいつもよりスクリーンのある場所が、かなり高い位置にあったこと。

なにか理由があるのか、わかりませんが、いつもだと演奏を聴きながら(つまり演奏者を観ながら)、スクリーンの投影がそのまま目に入ってくるので、自然だったのですが、今回は、あまりに高い位置にあるので、意識して頭、目線を上げないと投影内容を見れず、本番は、ついつい演奏者を見てしまうので、投影のほうがついついスルーで見ていなかったり、ということがたびたびあったのが、難しいな、と感じたところでした。

ステージの背面のところには、音響反射板が設置されていて、そこに背面のスクリーンを被せては、確かに音響的には、オケの音を客席に返す初期反射音で不利に働くということも考えられるので、高い位置に上げた、というのも予想されます。

あるいは、自分の座席が1階席前方だったからかもしれませんね。広いホールなので、上階席や後方席の人には、あのくらいの高さじゃないとダメという判断だったのでしょうか?

でも自分は、やっぱりのだめコンサートの素晴らしさは、この投影の効果が大きい、と思っているので、やはりいつものスクリーン高さのほうが、演奏家を見ながら自然と投影が目に入ってくる、という点でよいのでは?と思います。

なには、ともあれ、堂々の3時間のコンサート。楽しくて、素晴らしいコンサートでした!

全国各地から招聘されて、どんどん活動の幅が広がるのだめコンサート。7月には、2回目の調布での東京公演も決まった。(自分は行けるかどうかビミョー(^^;;)

長野から初招聘の話も来ているそう。。。

この調子で、どんどん、全国制覇していってほしいと願うばかりです。


終演後のサイン会。(手前から茂木大輔さん、岡田奏さん、高橋多佳子さん)

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茂木大輔の生で聴く「のだめカンタービレの音楽会」
2017/1/21(土)14:00~16:45 ウエスタ川越 大ホール

前半

ロッシーニ 歌劇「ウイリアム・テル」序曲よりマーチ(スイス軍の行進)

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調「悲愴」op.13より第2楽章
ピアノ:高橋多佳子

モーツァルト 2台のピアノのためのソナタK448 ニ長調より第1楽章
ピアノ:高橋多佳子&岡田奏

野田恵(リアルのだめ)作詞:作曲
おならたいそう
うら:田村麻里子

ベートーヴェン 交響曲第7番 イ長調 op.92より第1楽章

ガーシュイン 「ラプソディー・イン・ブルー」(倉田典明編曲)
ピアノ:高橋多佳子

休憩

後半


ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 op.18
ピアノ:岡田奏



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