サラマンカホール開館25周年記念ガラ・コンサート [国内クラシックコンサート・レビュー]
さて、コンサート全般について。
とにかくこれだけの豪華な顔ぶれが集まったコンサート。
まさに祝祭コンサートといっていいほど贅沢三昧で心豊かになった。
まさに祝祭コンサートといっていいほど贅沢三昧で心豊かになった。
どの演奏が良かったか、それぞれにランク付けするのはあまりに野暮というもの。
そういうことはここではやりません。
そういうことはここではやりません。
自分が一番感銘を受けたのは、工藤重典さんと荘村清志さんによるF.ボルヌによるカルメン幻想曲。これは素晴らしかったねぇ。工藤師匠は、本当に久しぶりに実演に接しました。昔は、毎年年初に水戸芸術館で水戸室の演奏を聴いたときに、必ず工藤さんの演奏に触れていましたが、最近は予算体力がなく、ご無沙汰。
やっぱり工藤さんのフルートは本当に素晴らしいです。ホール音響の素晴らしさもあるのか、フルートの音色が天井方向に青天井に突き抜けていくような”ぬけ感”があって、凄いダイナミックレンジの広さ。フルートの音色でこのような突き抜け感ってオーディオマニアの方であれば大体想像できるでしょう。そして超絶技巧のフルート。これは聴いていてかなり痺れました。やっぱり工藤師匠はスゴイ!という感じです。荘村さんのギターバージョン用に編曲されたものだと思いましたが、カルメン幻想曲はやっぱりキラーコンテンツだと思いました。
新倉瞳さんは、デビューアルバムを始め、3枚のCDをこのサラマンカホールで録音していて、デビューリサイタルもここサラマンカホールでおこなったというとてもこのホールと所縁の深いアーティスト。こんな素敵なホールと縁が深いのは羨ましいです。
ウィーンフィルのヘーデンボルグ直樹さんと、サラマンカホール・フェステイバル・オーケストラとで、ヴィヴァルディの2つのチェロのための協奏曲。これも素晴らしかったですねぇ。自分の心を捉えました。特にヘーデンボルグ直樹さんと新倉瞳さんの丁々発止の演奏が、かなり格好良く痺れました。
つぎにライナー・キュッヒル氏、ヘーデンボルグ直樹・洋のトリオによるJ.シュトラウスの「青きドナウ」。これも素晴らしい。ウィーンフィルのニューイヤーコンサートで定番の曲ですが、それをヴァイオリン、チェロ、ピアノで編曲演奏すると、こんなに素敵な聴こえるのか、という感じで白眉でした。ウィーンでご活躍している3人の本当にウィーンの香りがしてくる素晴らしいアンサンブルでした。
ライナー・キュッヒル氏は、曽根麻矢子さん(チェンバロ)、そしてサラマンカ・フェスティバル・オーケストラとで、ヴァヴァルディの四季の秋。このときの祝祭オケの弦楽合奏を聴いて、このホール音響の大編成は本物だと確信した瞬間です。当たり前のことを言うけれど、キュッヒル氏は本当に凄い!
仲道郁代さんは、おそらく出演回数が一番多いと思われ、どれも本当に素晴らしかったけれど、その中でどれかひとつを挙げるなら、自分はサラマンカホール・フェスティバル・オーケストラとのショパンのピアノ協奏曲第1番の第2楽章「ロマンス」。この曲は本当に大好きだけれど、大体自分は第1楽章と第3楽章ばかりを注目してしまう傾向にあるんですよね。そこにこの第2楽章のじつに美しいゆったりとした旋律を聴いて、心から美しいと感じました。
最後は、J.オッフェンバックの喜歌劇「天国と地獄」序曲を今回のソリスト全員が各パートを演奏できるように倉知竜也さんが編曲した特別ヴァージョン。これはいままで演奏してきたソリストが、逐次登場して連携で演奏してくゴージャスさで、エンディングに相応しいフィナーレとなりました。
でも感動はこれでは終わらなかった。
アンコールがエルガーの威風堂々。
この曲は、自分的には年末のカウントダウン用の曲というか、特別なセレモニー的な祝祭のときに演奏される曲という印象があって、普段のレギュラーのときに演奏する曲ではないという勝手な思い込みがあった。
ところがいざ全員で演奏されるこの曲を聴いていたら、こんなに格好良い曲だったのか!
本当によくできた素晴らしい曲。
この曲、いまここで演奏されているのを聴いていたら、今日いままでたくさん演奏されてきた名演も、この曲で本当にフィナーレという感傷が胸にぐっと押し寄せてきて、大河の流れのような分厚い弦合奏の音色が心地よく、メロディーラインが格好良い。
やはり思わず目に涙が溢れてきましたよ。
これは本当に素晴らしい演奏でした。
これは本当に素晴らしい演奏でした。
この曲を本当に見直した一瞬でした。
サラマンカホール開館25周年記念ガラ・コンサート。
じつに素晴らしいメモリアルなコンサートでした。
アンコール、エルガーの威風堂々を演奏した後のカーテンコール
ボクの写真と同じで、水平が傾いています。(笑)
サラマンカホール開館25周年記念ガラ・コンサート
2019年11月16日(土)15:00~18:15
岐阜サラマンカホール
第1部
R.ジャゾット:アルビノーニのアダージョ
フルート:工藤重典、オルガン:石丸由佳
フルート:工藤重典、オルガン:石丸由佳
C.シューマン:3つのロマンス 作品22より第2曲、第3曲
ヴァイオリン:ライナーキュッヒル、ピアノ:仲道郁代
ヴァイオリン:ライナーキュッヒル、ピアノ:仲道郁代
L.v.ベートーヴェン:モーツァルト「魔笛」の主題による12の変奏曲 作品66
チェロ:ヘーデンボルク直樹、ピアノ:仲道郁代
チェロ:ヘーデンボルク直樹、ピアノ:仲道郁代
L.ポッケリーニ/J.ブリーム:序奏とファンダンゴ
ギター:荘村清志、チェンバロ:曽根麻矢子
ギター:荘村清志、チェンバロ:曽根麻矢子
A.ヴィヴァルディ:チェロ・ソナタ 第5番 ホ短調 RV.40
チェロ:新倉瞳、チェンバロ:曽根麻矢子
チェロ:新倉瞳、チェンバロ:曽根麻矢子
F.ショパン:ポロネーズ 第6番 変イ長調 作品53「英雄」
ピアノ:仲道郁代
ピアノ:仲道郁代
F.ボンヌ:カルメン幻想曲
フルート:工藤重典、ギター:荘村清志
フルート:工藤重典、ギター:荘村清志
J.シュトラウス2世:ワルツ「青きドナウ」
ヴァイオリン:ライナー・キュッヒル、チェロ:ヘーデンボルク直樹、
ピアノ:ヘーデンボルク洋
ヴァイオリン:ライナー・キュッヒル、チェロ:ヘーデンボルク直樹、
ピアノ:ヘーデンボルク洋
休憩(インターミッション)
第2部
J.ウイリアムス:スターウォーズ・メドレー
オルガン:石丸由佳
オルガン:石丸由佳
A.ヴィヴァルディ:「四季」作品8-3 ヘ長調”秋”RV.293
ヴァイオリン:ライナー・キュッヒル、チェンバロ:曽根麻矢子
弦楽合奏:サラマンカホール・フェスティバル・オーケストラ
ヴァイオリン:ライナー・キュッヒル、チェンバロ:曽根麻矢子
弦楽合奏:サラマンカホール・フェスティバル・オーケストラ
A.ヴィヴァルディ:2つのチェロのための協奏曲 ト短調 RV.531
チェロ:ヘーンベルク直樹
チェロ:新倉瞳
チェンバロ:曽根麻矢子
弦楽合奏:サラマンカホール・フェスティバル・オーケストラ
チェロ:ヘーンベルク直樹
チェロ:新倉瞳
チェンバロ:曽根麻矢子
弦楽合奏:サラマンカホール・フェスティバル・オーケストラ
F.ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 作品11 第2楽章「ロマンス」(室内楽版)
ピアノ:仲道郁代
弦楽合奏:サラマンカホール・フェスティバル・オーケストラ
ピアノ:仲道郁代
弦楽合奏:サラマンカホール・フェスティバル・オーケストラ
J.オッフェンバック/倉知竜也き:喜歌劇「天国と地獄」序曲
全員合奏
全員合奏
アンコール
E.エルガー 行進曲「威風堂々」作品39
全員合奏
全員合奏
サラマンカホール・フェスティバル・オーケストラ
第1ヴァイオリン:平光真爾、西村洋美、二川理嘉、松村宣子
第2ヴァイオリン:鳥居愛子、波馬朝加、荒巻理恵
ヴィオラ:新谷歌、太田奈々子
チェロ:福本真琴、城間拓也
コントラバス:酒井敬彰
第2ヴァイオリン:鳥居愛子、波馬朝加、荒巻理恵
ヴィオラ:新谷歌、太田奈々子
チェロ:福本真琴、城間拓也
コントラバス:酒井敬彰
2019-11-24 21:52
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