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SIMAXの新譜 [ディスク・レビュー]

ノルウェーのSIMAXというレーベルは、なかなかアルバムのコンセプト作りがしっかりしている上に、優秀録音が多く、新譜を楽しみにしている大のお気に入りのレーベルでもある。 

SIMAXの録音は、PENTATONEやBISのような明らかにオーディオ的快楽を強調したテイストと比較すると、もうちょっと控えめなのだけれど、でも一聴しただけですぐにわかるその鮮度感の良さ、確固たるダイナミックレンジの広さという土台があって、やはり聴いていて録音の良さというのが際立ってよくわかる。

今回SIMAXの録音を取り上げようと思い、結局4枚購入してみたのだが、意外とSACDよりもCDのほうが多く、CDは2枚ほど購入して聴いてみたが悪くはないが凡庸でいい録音とも言えず、結構ディスクによって良し悪しのバラつきがあるなぁという印象を抱く。

その中で当たりだったのが、このディスク。 

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『つねに待ち望む心を〜クリスマスをティーネと』 ヘルセット、ボートネス、ノルウェー室内管



ノルウェーの女性トランペット奏者 ティーネ・ティング・ヘルセットのセカンド・アルバム。

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彼女の経歴の詳しいデータは調べてみたのだが、あまり見つからず、詳細は不詳なのだが、EMIからも数枚だしているようで、その後母国のノルウェーのSIMAXでお世話になっているという感じだろうか。ご覧のように容姿端麗の才女でもある。

このアルバムは、2010年に発売されたもので近年新譜ではないのだが、ノルウェー室内管弦楽団と共演し、北欧とヨーロッパ各地のクリスマスの音楽を演奏する、というとても魅力的なコンセプチャルなアルバム。クリスマスソングなので、聴いていて1曲1曲が珠玉のような作品で聴いていてとても旋律が美しい、心が洗われるようだ。

自分は正直言うとトランペットというのはあまり得意ではなく、理由は、いわゆるその音色だけで他の楽器の旋律を圧倒してしまう存在感があってそれを心配していた。自分の好みというのは主旋律の楽器に対して、他の楽器群が対等の立場・レベルでハーモニーを一緒になって奏でるそういう関係にある音楽が好きだ。大編成のオケにしても室内楽にしても。トランペットは目立ちすぎると思ったのだ。だから最初に購入するとき、トランペットかぁ?という感じでかなり躊躇した。

でもいざ聴いてみると、今回ヴァイオリンとソプラノ、そしてトランペット、そして室内管弦楽団の編成なのだが、じつに4者ともバランス(録音レベル)良く編成されていて、どれかが主張し過ぎることもなく綺麗に融合されて、その調和性が見事で聴いていてじつに気持ちがいい。秀逸な作品だと思った。トランペットも哀愁漂う音色で、夕焼けの空に向かって1人吹く、そんなイメージが湧いてきそうで、じつに美しい。

クリスマスソングの切ない旋律に見事に溶け合っている、そんな印象だ。そしてソプラノの澄んだ美声が入ったり、と.....本当に総合的にじつにバランスの取れた造型で完成度の高いアルバムだと思う。

録音もダイナミックレンジが広くて、ちょっと遠くで鳴っているような感じも受ける豊かな立体音像。
対響きのバランスも過不足もなくといったところで中庸でよろしい。そして広い空間の中での絢というか解き放たれる艶感が妙にいい。

いいアルバムだと思います。

じつはこの前に彼女のSIMAXでのデビューアルバムであるトランペット協奏曲集が出されている。こちらもSACDなので紹介しておこう。このレパートリーでも近年指折りの素敵なアルバムであったが、もちろんこのアルバムも購入したが自分としては録音のテイストや曲自体、ずっとセカンド・アルバムのほうがいい、と思ったので、日記ではセカンドのほうを主題に取り上げました。

トランペット協奏曲集 ティーネ・ティング・ヘルセット(tp)ノルウェー室内管弦楽団




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