再訪!銀座・久兵衛 天下の久兵衛さんに.........! [グルメ]
久兵衛のお寿司はそれこそ下ごしらえに莫大な手間暇をかけたもので、歴史代々伝わる芸術品ともいえるお寿司。それを美登利寿司といっしょにするとはなにごとかっ!!!比較すること自体間違っておる!てな感じである。(笑)
予想にしなかった大反響に驚いた。やっぱり天下の久兵衛さんだけあるなぁ、という感じである。そんな想いもあって、ぜひリベンジをしたい、とかねがね考えていたのである。
1人では、なかなか入りにくい高級店なので、連れを捜していたが、そこに北海道の友人をおもてなしするプランがあがった。ぜひ連れて行こう、と思ったわけである。
じつは、ただでは終わらなく(笑)、ひとつの恐るべしチャレンジをしてみようと思っていた。前回、久兵衛さんを訪問した時に、そのスタイルを経験していた。
ここはカウンターで職人さんと向かい合って、直接オーダーする、そして握りたて一貫、一貫が出てくる、というスタイル。(テーブル席というのがないのだ。伝統あるお寿司屋さんはカウンターが基本ですよね。)
一貫、一貫出てくるので、写真もその分枚数がかさばるし、美登利寿司や他の大衆店のように、” 大皿に一緒盛り”で出てくるほうが、写真映えするというか、昨今、お寿司の写真をコレクターするのを始めているので、ぜひ天下の久兵衛さんの一緒盛りの写真を撮ってみたいなぁ、と大胆にも思っていたのである。(笑)
そんなことが可能かどうか、1か月前にお店に予約するときに、ちょっと聴いてみた。そうしたら女のお店の方が、職人さんに聴いている感じで、「できないことはないですけど、お寿司というのは握りたてをすぐに食べるほうが美味しいのですよ。一緒盛りだと鮮度が落ちてしまいます。」とのお答え。
う~ん、さすがは久兵衛さん、ポリシーがある。
でも、それでもいいです!と言って、わがままを押した。(笑)
「取材の方ですか?」と言われ、「いえ、パーソナル・ユースです」と答える。
実際当日になって、このわがままを、怒られることなく(笑)、職人さんが聴いてくれるのかどうか、ずいぶん直前になるまで不安だった。
そして当日、銀座の久兵衛。
予約席は本館の1階のカウンターの1番端っこ。
ピンクの和服で統一された女のお店の方(正式名でなんという呼び方か思い出せません、ごめんなさい。)が、予約者の私の名前を聴いた途端、にこやかに席に案内してくれて、職人さんに、「大皿に全部盛っていただきたいんだそうです。お写真を撮りたいそうで....」。
私は感動してしまった。1か月前に伝えたことを、しっかり覚えていてくれた。てっきり私は本番でもう1回説明しないと、と思っていたのである。
そして職人さんの反応。
「へっ??」ってな感じで。(笑)
そして私たちの顔を観ながら、「チーッ(笑)」と笑いながら、首をかしげる。
「どうすりゃいいのかな?」という感じで、目の前の大皿、2人前を自分の目の前に置きながら、全ネタ(16貫)をまな板の上に載せて、思考錯誤している。その際、やっぱり「いやぁ~」という感じで、笑いながら何回も首をかしげている。
シャリを握り始めて、皿の上に載せていっても、なんか順番的に思考錯誤して、何回も入れなおしたりしている。そのときに笑いながら、困った、という感じで。
お寿司の基本技術のひとつに、「盛り込み」というのがあるらしいのですが、久兵衛さんでは、このようなスタイルは、あまり、というかほとんど使わない技術なのでしょうか?あまり慣れていないような気がしました。やはり一貫一貫出すというのが本筋というか、スタイルなのでしょうかね。
思考錯誤している職人さん。
これを観ていて、私はなんか申し訳ないような感じになってしまった。
やっぱりこんなことなど普段やり慣れていないんだよね。
そのうち、1番偉いと思われるお頭さんがやってきて、「なにそれ?」という感じで、笑っていた。「いやぁ全部並んでいるもののお寿司の写真を撮りたいそうで....」
「いや、寿司というのは、握りたて一貫、一貫をすぐに提供して食べるのが1番正しい食べ方なんだよ。全部並べていると、生きが悪くなっちゃんだよね。ネタはもちろん、海苔とかも時間が少しでも経つとベタベタになるんだよ。一貫、一貫の写真が大変なら、3~4貫まとめて出してそれを撮ればいい。そのほうがずっといいよ。」
と仰る。(笑)私はひたすら「ははぁ、そうでございますねぇ。」という感じです。(笑)
「まぁ2回目はないよ。(笑)」
やっぱり天下の久兵衛さんたるもの、寿司の食わせ方、食い方にもひとつの筋が通っていて、こういう大衆的な邪道な作法はダメなのだろう。なんか、やっぱり天下の久兵衛さんに無茶なことを頼んでいるなぁ、ということをシミジミ。
そのうち職人さんたちがぞろぞろ覗きに来て、大笑い。やっぱり久兵衛さんの調理場のところで、お寿司をこうやって一緒盛りで作っていること自体、滑稽でおかしいのだろう。
なんか頼んでいる自分が恥ずかしくなってきました。
そして、じゃぁ~ん、ついに完成。
写真を撮るときに、「こうしたらいいかな?」という感じで、皿の片側の下に物を敷いて、傾斜をつけてくれる心使い。
あくまで写真を撮影することに、とまどいながらも好意的でいてくれました。ウレシー。(*^^*)
なんかお店の人だけでなくて、周りのお客さんにも笑われていたような....(笑)
そして、これ以外にもお皿に乗らないアナゴなどのネタは一貫づつ。これこそが正当な久兵衛さんのスタイルですね。
久兵衛さんのお寿司はシャリがすごい小さ目ですね。上品な感じです。ネタとの調和、本当にとろけるような美味という感じでやっぱり芸術品を食べている、という感覚がします。
「お寿司は見て楽しむ」
そんな粋な感じがします。
店内にいて、少し感心したことは、和服の女性のお店の方(正式な呼び方がわからなくてゴメンナサイ。)が非常に心遣いというか気遣いが素晴らしくて、常に我々のお客のカウンターの前に注意を払っていて、きめ細やかなサービスをしてくれることでした。
動きもすごく和の繊細な柔らかさ、しなやかさ。「こまいな~。」という感じで驚いてしまいました。お店の教育なんですね。
客のドレスコードなんて別にありません。写真を見てもらえばわかるように、みんなザックバランです。やっぱり外人の方が多いですね。
カウンターの職人さんはつねにお客さんと会話しながら、という心意気を忘れていません。私たちに対しても、非常に困った注文にも関わらず、笑いながら、首をかしげながら、楽しそうでした。
「この友人は北海道から来ていて、そのおもてなしをしているんですよ。それでこの久兵衛さんに連れてきたんです。」と言った私。
「あっそう。」
この無茶な注文も、この友人のおもてなしのせい、にしていたところもあるかもしれません。(笑)
友人もオイシイ、オイシイ、と言って大感激。
そうやってお店を出ることになりました。
「久兵衛」という名前のメニューの最高級ランクのお寿司で、2人前(私持ち)で3.5×諭吉さん、です。
このお店、お客さんが帰るときは、ご丁寧にもこの職人のお頭さん、と和服女性数名が玄関で見送ってくれます。
私は、お頭さんに、
「天下の久兵衛さんに無茶な注文をして申し訳なかったです。」
「ハハハ、2回目はないですから。(笑)」
江戸前鮨では名店中の名店で、1936年銀座に創業し、陶芸家であり食通としても名高い北大路魯山人など文化人、政財界の食通が足繁く通った江戸前鮨「久兵衛」。
そんな日本一のお寿司の名店に舌鼓を打った、と同時に無茶な注文で顔を覚えられたかもしれない(笑)幸せな夜でした。
今回のおもてなしでの最大イベントだったと思います。
ノンノン様
何時も、ワクワクしながら拝読しております。文章も毎回とても読みやすく、お写真が綺麗なのでアート雑誌のデジタル版を思わせ素敵です。
御叱りを受けたとのことですが、自腹族にとってCPは再訪するか否かが決まる重要なこと(笑)。ウィーン・フィルと一緒で、ある程度の支払いを覚悟しなければ得られない本物がある、と分かっていますが。
それにしましても、銀座久兵衛さんはお優しい。調理法ではなく、鮮度がウリの店ですから前代未聞のリクエストでしょうね。ちなみに、私が過去に訪問した幾つかの店は、何と外国人客だからと受け付けない保守派も何店かありました。更に、弟子を持たない頑固おやじ(特に京都出身)の店となると、客が従わざるを得ない状況になります。ですから、色々な意味でノンノン様の御計画は凄い!流石の愛!と感動致しました。
貴重な魚達のお写真、近々Yahoo!画像に載せられるかもしれませんね。折角なので、ノンノン様のブログ名かURLを写真内に添えられた方が宜しい気も致しますが、他の客が《貴ブログを拝見してのリクエスト》と謳い文句になっても大変ですね(笑)長々と申し訳ございませんでした。
by michelangelo (2015-04-06 23:00)
michelangeloさま、
本当に今回は久兵衛さんのご厚意あってのことでしたね。
でも後悔していないですし、最初で最後だと思います。(笑)
写真にロゴやURLをつける案はいいですね。まぁ、でも自分も結構ネットで拾ってきた写真を勝手に使っていたりしますから。(笑)
by ノンノン (2015-04-07 22:53)