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逝ってしまった!鈴木雅明&バッハ・コレギウム・ジャパンの教会カンタータ全集。 [ディスク・レビュー]

じゅう~まんえん!ファーストプレスのときは、正直購入しても、頻繁には聴かないだろう、という想いがあって、見逃した。それで冬のボーナスも入り、セカンドプレス(おそらくこれが最後?)のお知らせがあったとき、相当心が揺れた。

バッハの教会カンタータ全集は、じつはトン・コープマンの全集と、アーノンクール&レオンハルトの全集をすでに持っているのだ。

いずれもいまだに新品未開封。(笑)

ライプツィヒ時代に作曲されたバッハのカンタータは、あまりに曲数が膨大すぎて、普段なにげなく取り出して聴くという対象にならづらい。これは全集もの一般に言えることだけれど、やっぱり普段ラックから気軽に取り出して聴く、というものは単盤なのである。

全集の魅力とは何なのか? 

それはやはりその演奏家、音楽家の全ての作品が網羅されている、それを購入することで、達成感を得る一種の音楽ソフトマニアのコレクター癖をくすぐるような感覚なのかな?と思う。私も何を隠そう一時期は全集ものやBOX-CDを買い揃えて夢中になっていた時期があった。

逆に演奏家側や製作者側からしても、たとえばベートーヴェンの交響曲全集など、全集を録音して発売することは、ひとつの大きなイベントで、その演奏家がその作曲家に対する克服感、達成感などがあるんだと思う。コンサートならいわゆるチクルス(全曲演奏会)というやつですね。

ところが数年前から思うのは、全集を買っても普段聴かない、とうこと。(笑)
全集を取り出して聴く、というのはなぜか気が重い。

やっぱり普段聴きやすいのは単盤のもの。単盤のほうが、その盤に対する印象度や思い入れが深く印象に残りやすいからである。だから棚の膨大なソフトからアクセスする頻度が多いのは、やはり単盤のものが圧倒的に多い。

全集はいわゆる百科事典的な使い方で、この演奏家のこの年代の録音が聴きたいなどのときにとても重宝するのではないか、と思う。でも全集やBOX-CDの場合、その目的の盤を探し出すのが大変。必ず冊子として入っている目次を見ないとどのCDなのかアクセスできない。

そういう点で、自分が普段からアクセスしやすく、頻繁に再生するのも単盤が主流で全集は普段は聴かない場合が多い。

でも全集が発売されるとやはりつい買っちゃうんですよね。

私は、普通の音楽マニア以上に、音楽ソフトのコレクター癖が強い方だと思っているので余計そうなのだと思う。演奏家にとって全集はひとつの集大成といえるからである。

だから全集は販売されたら購入するけど普段は百科事典的な使い方で、普段は単盤を購入してそちらが主流というのが私の今のスタイルでしょうか?

数年前にカラヤン生誕100周年というのがあって、いろいろ貴重な音源の発売など大きなイベントがあった。

カラヤン/BPOは昔から自分のクラシックの基本であったので、昔から集めていた膨大な単盤がたくさんあるのにも関わらず、このイベントに乗って買っちゃいました。(笑)


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一番下がカラヤンのDG全集(240枚組)
真ん中がSONYから出ているカラヤンの遺産DVD全集
一番上がカラヤンのEMI全集

です。DG全集なんて数十万する凄い買い物です。
これで普段これを聴いているかというと全く.....(笑)

やっぱりカラヤンの作品はすべて揃えておきたい、コレクターしておきたい、という気持ちから揃えただけとも言える。

そういう意味で全集というのはファン心理をうまくついている、と常日頃思うのである。

全集ものにたいしてそういうイメージがあったので、最近はほとんど買ってない。

でも鈴木さん&BCJのこれは、やはり買わないといかんかなぁ、とつくづく思い、やはり思い切った。

先述のように、バッハのカンタータ全集は、すでに2セット購入している。

自分にとって、バッハのカンタータ全集といえば、絶対的にトン・コープマンだった。ベルギーに住んでいたころ、友人が住んでいたアムステルダムによく遊びに行っていたとき、このトン・コープマンであるとか、去年亡くなった18世紀オーケストラのブリュッヘンなどがそのオランダで活動していた訳で、現地で実演に接するとか、そういう古楽の世界を生体験するチャンスがいくらでもあったのに、本当に勿体ないことをした、といまだに後悔している。

やはり人生うまいようにはいかず、若いころは貴重なことである、という価値観がいまいちわかっていなくて、そういう感覚は晩年の歳を取ってきてからわかるようになる、ということだ。

バッハのカンタータ全集録音は、そう簡単に達成できる代物ではないのだ。録音年数10年以上は、軽く要し、教会録音が前提になって、その教会の確保、そしてこのような何年もかけてこういうツィクルスの録音を達成するということ自体、レーベルの理解が必要になる。

鈴木さんもステサン(季刊誌ステレオサウンド誌)のインタビュー記事で告白していたが、当初この録音をスタートさせたい旨、相談したところ、日本のレーベルはどこもノーだったという。「今はそんな時代ではありません。」と言われたという。その中で、スウェーデンのBISが興味を示した、ということらしい。即座に採算性を求めるレーベルと、先を見据えた遠い視線でものごとを考えられるレーベルとの違いなのだろう。

このようにバッハのカンタータ全集録音という作業は、大変困難な垣根の高い作業なので、過去にこの偉業を達成したのは、ほんのわずかな団体しか達成していない。トン・コープマン、ガーディナー、アーノンクール&レオンハルト、リリンク、ヤン・ペーター・リューシンクぐらいしかいない。バッハへの造詣が深い音楽家は数多いるとはいえ、全曲録音の完遂というチャンスは滅多に巡ってくるものではない。ある意味、運も必要なのだと思う。

そんな自分の中で、カンタータ全集のリファレンスになっているトン・コープマンの全集(アムステルダム・バロック・オーケストラ)。

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このトン・コープマン全集のジャケット写真が結構心惹かれるものがあって、トーマス教会の外装、内装空間の絵画が施されているのだが、これがじつに昔のトーマス教会ってこうなっているんだなぁ、と思わせるような風情である。

去年ライプツィヒに行くことができて、トーマス教会を経験できたが、その時の印象とこのジャケット写真では、かなり違和感があるというか、違う。

当時、このトン・コープマン全集、10万円以上して、本当に清水の舞台から飛び降りる思いで、思い切った。

そしてアーノンクール&レオンハルトの全集。

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こちらはトン・コープマン全集より、紙ジャケという感じでCPをあげた感じの装いで値段もずっと手ごろになった。5~6万円ぐらいだったと思う。

そして鈴木さん&BCJの全集。

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なによりも買おうと思ったその1番の大きな要因は、SACDというフォーマットで仕上げられている、ということだ。長年、運も必要なカンタータ全集で、SACDフォーマットで仕上げられている、という事実は、当然過去にはなく、バッハのカンタータを最新録音で聴けるファクターは、オーディオファイルにとって相当魅力的。

バッハのカンタータをSACDのサラウンドで聴ける!

レーベルがBISなので、当然かもしれないが、言うは簡単、これって歴史的にもかなり画期的で、それを日本の団体が達成した、という事実に限りなく誉に感じるのである。

このことが今回、大金はたいて買おうと決断した最大の要因、と言ってよい。

限定生産なので、シーズンが過ぎたら廃盤になり、あとは欲しい人は単盤で買ってください、というアプローチになる。やはり買うしかない、と思った。

じつは、この全集が発売になる前に、ステサン誌で付録のサンプラーという形でついていたディスクがあって、そのディスク1枚の中に、この全集の膨大なカンタータの中から有名な旋律の曲だけを抜粋したものが収められているのだ。

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これは非常に重宝した。拙宅オーディオオフ会でも率先しておかけした。

本当に珠玉のような作品集に仕上がっていて、ある意味、これ1枚あればいい、という感じなのだが、でも誘惑に負けて、今回全集お買い上げ、となった訳だ。

ほかにも、いまある全集を全部聴いてから買えよ~、というお言葉をたくさんいただいたが、放っておいてくださいますか?(笑)

このBOX-SET、今日届いて、さっそく聴いているが、あいにくいまマルチチャンネル用のトランスポートがドッグ入りして、サラウンドで聴けない。2chで聴いているのだが、それでもすばらしい録音であることがよくわかる。

全ディスクともBCJの本拠地である神戸松陰女子学院大学チャペルでの録音。


ここでちょっと一言おこごと言っていいですか?(笑)

すごい質感が優れているというか高級感があって素晴らしいのだけれど、ディスクに振られている番号と、パッケージの裏に書かれているナンバリングが一致していなくて、CDの検索が難しいっす。(笑)

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全集の「きも」は、百科事典的にアクセスすることなのであるから、この検索能率が劣ると命取りです。(笑)

トン・コープマン全集の購入からこういう経緯があったので、去年、鈴木さん全集が出るとわかって、ライプツィヒに行くなら、いましかない!と思ったのである。ものごとにはタイミングというのがあって、それを逸したら鮮度をかなり失う。

バッハのカンタータ作曲時代のライプツィヒに行くなら、いま(去年)しかないと思ったのが真相である。



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コメント 2

michelangelo

ノンノン様

凄~い!見事な宝の山ですね。又、其々のパッケージデザインもフォントもお洒落で、特に「鈴木氏&BCJ全集」のリブレットは(恐らく)指紋が付き難いマットな紙質で傷もつき難いでしょうか。印刷物は皆、良い香りはしますか?私は、ルネ・ヤーコプス氏で知られる、レーベル「Harmonia Mundi」のイラストデザインや紙の香りが好きで集めました。

「新品未開封」に、つきまして。私は過去に何度もビックリさせられることがあり、「直ぐ聴くOR後で聴く」を問わず、全て開封してチェックします。以前、グルベローヴァ女史のレーベル商品(3枚組)に、1枚CDが欠品していることがありまったり、輸入盤に関しては結構な確率で引っ掻き傷があり、国内外問わず返品&交換をしました(2枚を除き全て再生可能でしたが)。それでも、私の持っている安物とは違い、高級オーディオ所有者ともなると音飛びや再生が出来ないことがあるそうですよ。
by michelangelo (2015-04-19 21:21) 

ノンノン

michelangeloさま、

鈴木さんのセットは、それは、それはすごい高級感あふれる質の高いものです。Harmonia Mundiはイザベル・ファウストのCDでずいぶんお世話になっています。ここのレーベルのデザインも素晴らしいですよね。

新品未開封につきましては、まさにおっしゃる通りですね。
返品というのは、購入時から時間が経過すると難しいものですよね。それはわかっているんですが、全集ともなると根気よく全部最初に聴いてしまうということが、なかなかできない困った性格でもあります。(笑)
by ノンノン (2015-04-21 00:19) 

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