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空間を感じる録音 [オーディオ]

ずっと以前から、オーケストラ録音は、コンサートホールでのセッション録音であれば、そのホールの空間を感じるような録音が自分の好みだということをずっと言ってきた。

オーディオ評論家の御大である菅野沖彦先生が、ジャズやポップスはオンマイク録音、クラシックはオフマイク録音が基本ということを大昔から言っていていわゆる基本中の基本なのであるが、自分もまさにそうだと思う。

でも最近クラシックの新譜を聴く上で、確かにオフマイク録音で空間を感じることはできるのだけれど、あまりにマイクから遠すぎで、ものすごい録音レベルが小さすぎで、もう音としての躍動感、鮮度感が全くないような、いわゆる死んでいるようなサウンドを聴くことが多いような気がする。

特に自分が贔屓で取り上げてきたPENTATONEの新譜にそのような録音があって、ものすごいショックで立ち直れなかった。

いわゆるワンポイント録音というのは、確かにそのホールの空間をうまく捉えることができる最適な方法なのかもしれないし、巷でも話題なのだが、いい録音のものは、それなりに感動するのだが、うまくいってない録音の場合は、既述のようにマイクが遠すぎでオケの音の解像度が悪くて、音が死んでるような感じで、自分は感心しない場合が多い。

自分は専門ではないので、どのようにするとそのような理想の録音が作れるかは語れないけれど、聴き手側からの希望を言わせてもらうと、やっぱり音そのものはそれなりに音圧があって、録音レベルが高くて解像度、鮮度感があるほうがいい。それでいながらユニゾンやトゥッティのようないっせいの合奏状態に入った時に、ぐっと沈み込むようにそのホールの空間、深さがはっきりと認識できる。そしてその空間がきちんと存在するがために、空間へ彩る、音の色彩感やグラディエーションなどが鮮やかな、そんな録音が好きである。いわゆる空間表現というものである。

一見すると、言っていることが正反対なのだが、これを実現してくれるような製作者側のスキルに期待したいのである。現に自分がいままで数多のクラシック録音を聴いてきて、それがきちんと出来ているレーベルも多いからである。

自分はクラシックのCDを聴くとき、音楽を聴くだけでなく、こういう録音の「さま」を聴いている、評価しているような性分があるので(変わった人種です。)、ここは引けないところと言うか、これによって優秀録音とか決めつけてしまう傾向がある。(もちろんもっといろいろなファクターがありますが。)

録音のテイストの原則は、ホール感、空間をはっきり感じ取れて、でも音自体は解像度が犠牲になっていなくて、音圧もしっかりと高くて鮮度感があって、いわゆる隈取がしっかり録れているような、その両方が両立してほしい。やはり基本的に音楽の全体像を捉えつつも、ソロパートや聴かせどころにはガツンと来るピックアップサウンドにして欲しい。ワンポイントとピックアップの併用などで、その後のミックス、編集でそのように両方の塩梅、さじ加減をうまく作ってほしいという希望があるのである。

好き放題のことを言って、と思われるかもしれないけれど、録音エンジニアの方も、できれば普段、コンサートの実演、生演奏を頻繁に行かれる方で、生のオケはこのように聴こえる、という耳を持っている人がいい。

スタジオ制作だけにこもりっきりの人の作る作品は、生演奏の音とあまりに乖離しすぎて、オーディオ的快楽を強調した作品、いわゆる化学調味料がいっぱいかかった作品のようにできてしまうから。自分はやはり生演奏がそのものさしの基準にある。

ちなみに、オケに声楽が入る場合は、ソリストにピックアップマイクはあったほうがいい。
それのない録音も聴いたが、もう声があまりに小さすぎて作品として聴けたものではなかった。

なぜ、こんな日記を書こうと思ったかは、やはり数多の録音を聴くと、こういう録音の「さま」というのを意識せざるを得なくて、空間のある録音が好き、とずっと言ってきたので、じゃあ、こういうマイクから遠すぎの死んでる音がいいのですか?と思われるのもしゃくだからである。(笑)

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