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ボウイング [クラシック演奏家]

最近、ノンノンさんはやっぱりソリストは女性奏者のほうが好きなんですか?とよく聞かれる。

その通り!(笑)

日記で取り上げるのは確かに圧倒的に女性奏者ばかり。特にアラベラ様をはじめ、女性ヴァイオリン奏者には目がないかもしれない。思うのは、男性の立場から言わせてもらうと、やっぱり女性ソリスト奏者というのは、絵になるというか華がある。

ピアノの女性奏者もスゴイ魅力的。ピアノ自体が大きいので、ピアノ+奏者というフレームで捉えられる絵柄と、ヴァイオリンを持つ女性奏者という絵柄では、それぞれ違った魅力があるのだが、いやぁ、でもやっぱり両方魅力的だ。

女性奏者の場合、特にフォトジニックである要素と、求道的な演奏力の要素と両方が求めらるケースが多いと思うが、魅力的な女性奏者は不思議とこの両方を満たしているタイプが多いと思う。

プロスポーツなどでもバレーボールやテニスは男性、女性とあるが、やっぱり女性のほうが見ていて視覚的に華がある。でも男性は、反面とにかくその圧倒的なパワー、スピード、これには本当に驚いてしまう。

これってクラシック音楽の世界でもそのまま当てはまるような気がする。

ピアニストであれば、先日取り上げたマツーエフ、彼の実演に接したときは、乱暴なんだけれど、これだけのダイナミックレンジを叩き出すのを目の前にすると、女性奏者では絶対叶わないダイナミズム、躍動感をひしひしと見せつけられるというか......

男性ヴァイオリニストで、そんな異次元の魅力を感じるのが、レオニダス・カヴァコス。

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日本ではたびたび来日してくれるのだが、自分が思うには、そのむさ苦しい風貌(失礼)からなのか、どうも人気がいまひとつのような気がする。

レオニダス・カヴァコスはギリシャ人のヴァイオリン奏者で、かなり前になるが BISレーベルで シベリウスのヴァイオリン協奏曲の初稿版をリリースして話題になった。そのシベリウスや 数年前ではカメラータ・ザルツブルクと共演したモーツァルトのヴァイオリン協奏曲集がソニーから国内盤も出ている。(最近はちょっと追っていないが.....)
 
シャイー&ケヴァントハウスとも良きパートナーで日本(サントリー)にも来日してくれて、聴きに行ったし、2012年の訪欧ではアムステルダム・コンセルトヘボウで彼らをシベリウスのコンチェルトで聴いたことがある。

そう言えばN響定期公演でもカヴァコス観たさにNHKホールで、これまたシベリウスのコンチェルトを聴きに行ったことがある。

結構自分にとって縁の深い奏者なのである。

彼の実演を観て圧巻と思うのは、そのボウイングとその音程の良さ。

右手の弓が弦に吸い付くようなボウイング。
一例をあげれば ヴァイオリンの重音奏法。
二つの弦を同時に弾けば、理論的には 音量が2倍にすることが可能のはず。
でも現実は そうではなく3度やオクターブの重音で動くパッセージでは、しばしばヴァイオリン独奏がオーケストラにもぐってしまうことが多い、とよく聞く。

ところが カヴァコスの重音奏法は 音程が素晴らしく良いので本当に独奏ヴァイオリンの音量が2倍になったかのようにオーケストラを圧して くっきりと大ホールに響きわたるのだ。 

レコーディング、録音で聴くと 技術的な完璧さは あたりまえの成果のように思え、それほどビックリしないが、変幻自在のボウイングによる彼のダイナミックな表現力は、やっぱり生演奏を聴かないとそのスゴサはわかりえないと思う。

何回も彼の実演に接しているからこそ、わかるスゴサなのだ。

トーマス・ツェートマイヤー
フランク・ペーター・ツィンマーマン
クリスチャン・テツラフ
それに レオニダス・カヴァコス

先日のヤノフスキ&ベルリン放送響のサントリー公演で、ツィンマーマンを聴いたが、もうヴァイオリンの音色がスゴイ音量で、ヴァイオリンでこれだけ絢爛でゴージャスな音色を聴いたことがない、とまで思わせ驚いた。

こうしたヨーロッパの素晴らしい男性ヴァイオリニストたちになかなか日本の音楽ファンの耳が向かないのは 残念ともいえる。

ピアノもそうだけれど、ヴァイオリンも男性に弾かせると、そのダイナミズム&パワーな魅力で、女性奏者にはなし得ない瞬発力、爆発力の魅力があるのだが、でもやっぱり自分もそうなんだけれど、どうしても視覚的美しさのほうに弱いのかなぁ。(笑)


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コメント 4

michelangelo

ノンノン様、こんばんは。

女性ソリストの衣装やヘアスタイル、化粧やジュエリー等とても華やかですから、同性である私でもハッとさせられることがあります。今度、アラベラ様の弾き姿を拝見しなければなりません。ボーイングと言えば、アリーナ・イブラギモヴァ嬢の弾き姿も大好きです

男性ヴァイオリニストについては、意外やライナー・キュッヒル氏の多様なフォーム(造形美や組み合わせにより音の行方が想像可能)は目を見張るものがあります(コンサートマスターとして着席なさるより、立って御弾きになるウィーン・リング・アンサンブルの方が分かり易いです)

ノンノン様が以前ご予定していたハーゲンSQ(海外遠征のプランの1つ)の第1ヴァイオリンを務めるルーカス・ハーゲン氏は、派手とは対極にある見た目でありながら極めて魅惑的な音を放ちます。又、もし女性ソリストの美貌に男性ソリストが戦えるものがあるとしたら、大腿四頭筋の逞しさでしょうか。弓をお持ちになる右手は、下手したら私より柔らかいです。

レオニダス・カヴァコス氏の生演奏、何時か聴いてみたいです。それにしましても、長髪のヴァイオリニストとは珍しい。ヒゲも気合が入っていますね(笑)
by michelangelo (2015-08-08 23:53) 

Herb

いつも楽しく拝見させていただいております。
フランク・ペーター・ツィンマーマン
クリスチャン・テツラフ
それに レオニダス・カヴァコス
三人とも大好きなヴァイオリニストです。正直、世界最強と思っています。日本の雑誌で、人気ヴァイオリニスト投票をやってもほとんど上位にランクされませんがなぜなんでしょうね。


by Herb (2015-08-13 22:28) 

ノンノン

Herbさま、コメントありがとうございます。

まさにおっしゃる通りで、この3人は世界最強と言っていいVn奏者ですね。私もなかなかこの3人が実力通りの世評を得ていないように感じています。日記でも書きましたが、男性奏者はどうしてもメディアに注目されにくい、女性奏者編重の傾向があるのでしょうね。(まぁそういう自分もそうなのですが。(笑))私もこれから少し男性奏者をプッシュしていきたいですね。
by ノンノン (2015-08-16 22:07) 

ノンノン

michelangeloさま、

なっなんと、michelangeloさまは女性でございましたか!!(驚)いままで男性の方とずっと思っていました。(オロオロ(滝汗))ぜひアラベラ様の演奏姿を経験してください。9月に渋谷のオーチャードホールでN響と演奏します。日記でも事前に取り上げる予定です。アリーナ嬢もホントに楽しみ!男性ソリストのmichelangeloさまの考察はなかなか興味深いですね。ハーゲンSQはボクの大好きなユニットなんですよね。カヴァコスはこうやって日記にしたら、また彼の生演奏を観たくなりました。(笑)
by ノンノン (2015-08-16 22:12) 

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