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ダイナミックレンジの広い録音 [オーディオ]

ダイナミックレンジというのは、信号の最小、最大の差。つまり空間の広さのひとつ指標である。

先日、友人にこれはダイナミックレンジがすごい広いいい録音だよ、ということで紹介してもらったこのPENTATONEの新譜。 
088[1].jpg
 

シュトニケ 交響曲第3番 ユロフスキー&ベルリン放送交響楽団

http://goo.gl/Vj7krg

なんかジャケットに見覚えがあると思っていたら、以前に購入していて、そのまま積読の状態になっていたことが判明。(笑)改めて封を切ってみて、聴いてみたら、確かに素晴らしいほどのダイナミックレンジの広さを認識できる。

冒頭の静寂な音など、システムの解像度がよくないときちんと聴こえないというか再生されないような微小音で始まって、次第にクレッシェンドしていってパイプオルガンの合奏になると、すごい高揚感で、その空間の高低の差は驚くばかりだ。

従来のパラメータに対して、さらに高さというか深さを感じるような魅力がある。

(録音セッションは、ベルリン放送局本館で行われて、パイプオルガンだけベルリンの聖マティアス教会で収録され、後でミキシングしているというトリックがあるみたいだが。)

こういう録音は、確かに魅かれるというか、いい録音だと思う。オーディオファンは、こういうダイナミックレンジの広い録音に弱いというか、(あくまでクラシックにおいては、ですが)優秀録音と思ってしまうケースが多い。

ダイナミックレンジが広いということと、録音レベルが小さいということは、必ずペアになる現象で、立体的に聴こえて素晴らしいのだけれど、大編成のオーケストラものなどを聴くときは、やはり自分に向かってガツンと来てほしいというか、音の実在感、躍動感が欲しいという要望が自分にはある。

なんかどこか遠くで鳴っているような感じで、自分に向かってこないサウンドは、欲求不満になる。同じクラシックでも、大編成、室内楽、声楽、現代音楽など聴くジャンルによって、こういうのは向き・不向きはありますね。

先日の日記で、空間は欲しいけれど、音の解像度や音圧は犠牲にしないで欲しい、という実際録る立場からすると相反するというか無茶とも言える要望を書いたが、こういう録音を聴くとやはり難しい要望かな、ともひしひし感じることも確か。

自分はSACDはマルチチャンネルで聴くことがほとんどであるが、2chで聴くときの落とし穴というか、疑問がかねてよりある。

現場で収録するときは、サラウンドのマイクセッティングで収録しているはずだから、そういった形で取り込んで、そこから5.0chや2chにミックスするとなると、最初から現場で2chのマイク設定でセッティングして収録したものに比べて、2chに関して言えば、その空間、音場の捉え方で、不自然というかハンディがあるんじゃないかな、と想像してしまうのだ。

ゴローさんは、サラウンドと2chのマイク設定は干渉しあって同時には両立しないと言っていたし。まさか別々にテイクする訳でもないし。(笑)

やはりサラウンドのマイク設定で収録したものは、サラウンドで聴くのが1番理想で聴けると思うが、世間は2chのマーケットのほうが大きいので、SACDを2chで聴くというのが実際の多いケースであろう。そうするとそういうこともあり得るのかな、と自分は専門じゃないけれど、そのように自分なりに考えてみただけである。(そういうご指摘があった、ということ。)

いつか時間が取れたら、そういう聴き比べもやってみたいとは思うが......



声楽ものはピックアップがあったほうがいい、と先日言ったが、BISは、室内楽のように距離をとったワンポイント・マイクで歌唱を捉えようとしているところがすごく上手で、彼らの空間表現の作り方は卓越している。

もともとBISレーベルはワンポイント録音で名を馳せたレーベルだそうなので、それもうなづける。

自分が声楽もので、じつに素晴らしい録音として自分のリファレンスにしているディスクがこれ。 

547[1].jpg
 

夏の日~スウェーデン・ロマン派歌曲集 オッター、フォシュベリ

http://goo.gl/PHR2In

これは本当に素晴らしい録音で、声楽をマイクを離して録っているのだが、それが聴いていて遠すぎることもなく、音の実在感も隈取もしっかりしていて、それでいて録れている空間もかなり広い。

ふわっという感じで部屋に音が充満する感じで、なによりも捉えている情報量がすごい多いのがよくわかる。オッターの声がみずみずしいというか潤い感溢れる感じで実に秀逸なのである。澄み切った空間の中にナチュラルな音像が浮かぶ、という感じ。


オッターのファンであるということもあるが、声楽の録音を聴くときは、このソフトはヘビロテソフトになっていて、拙宅オフ会や他人様のお宅でのオフ会でも持ち込みソフトとして持参することも多く、そのたびに、「これはいい録音だねぇ」と褒めていただける自慢のソフトなのだ。

このソフトは、2chで聴いてもじつに素晴らしいです。(笑)


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コメント 2

michelangelo

ノンノン様

来月は、いよいよオッターさんが御来日なさいますね。ご紹介頂きましたアンネ・ソフィー・フォン・オッターさんのCD、是非とも購入したいと思います。実は私も彼女の声が大好きで、何が最も至宝の再生芸術として素晴らしいか、様々なレヴューを見ては答えが出ず困っていました。と申しましても、私はゲイではなく、男性が好きな女性です(笑)

そして、以前お書きになられた「生演奏とオーディオの魅力の違い」も改めて拝読したと同時に、小林悟朗氏に関する愛溢れる御話を今更ながら発見し胸打たれました。今まで、私のような場違いが気安く貴ブログのコメント記入欄に足跡を残してしまい、申し訳ございません。

ところで、ノンノン様はゲネラルプローベには御興味は御座いませんでしょうか?やはり「満席の演奏会」と「多くの観客の洋服に音が吸収されないゲネラルプローベ」の音響には、大きな差があるとのことで関心があります。毎年ハズレの連続ですが、今年も懲りずにウィーン・フィルに応募しました。
by michelangelo (2015-08-26 00:43) 

ノンノン

michelangeloさま

オッターの来日の情報ありがとうございました。まったく気づきませんでした。さっそくチケットをゲットです。ボクらの世代では圧倒的なディーヴァでしたので、リサイタル楽しみです。彼女の生声を聴くのは何年ぶりでしょうか?

オッターのこのディスク、ぜひ聴いてみてください。
素晴らしい録音ですよ。

ゲネラルブローベは私も興味があります。やはり空席での音響は素晴らしいものがありますね。反面、満席での本番の演奏は、音響面ではちょっとデメリットでもやはりリアルな緊張感があって、本番ならではの緊張感があっていいです。自分はどちらも大好きです。
by ノンノン (2015-08-27 17:26) 

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