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ドキュメンタリーOZAWA [クラシック指揮者]

小澤征爾さんがこの夏10年ぶりにタングルウッドに戻ってこられる予定だそうだ。

7/5に小澤さんのスイス国際アカデミーでの弦楽四重奏団を率いて.....
そして7/9にボストン交響楽団とでベートーヴェンのエグモント序曲を演奏されるそう。

その後、学生たちの指導に当たられ2~3週間バークシャーに滞在される予定とも書いてある。

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このニュースを知って、遠い昔に買ってあった「小澤征爾 on DVD BOX」がまだ新品未開封で視聴していないことにふっと気づいたのだった。

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なぜこのBOXを買ったかというと、このように3枚組なのだが、その中の1枚の「ドキュメンタリーOZAWA」。

これをどうしても見たいからだった。

小澤さん50歳のときに作られたドキュメンタリーで、CAMI VIDEO INC.(私は詳しくは知らない。)が制作したもの。それをCBSソニー/NHK、そしてドイツの公共放送であるZDFが版権を持っている、そのような権利関係のドキュメンタリーであった。(このDVD BOX自体は、ソニークラシカルから出ている。)

スタッフ・クルーも当然外国人スタッフで、番組中は小澤さんもすべて英語で話している。

舞台は、アメリカ、マサチューセッツ州のタングルウッド。

小澤さんが29年間にも渡って音楽監督を務めあげたボストン交響楽団が主催するタングルウッド音楽祭。夏の野外音楽祭で、じつはクラシックだけではなく、ジャズ、ポップス、室内楽、現代音楽などじつは総合的な音楽フェスティヴァルなのだ。

演奏会場として5100席の扇型の屋根がついているだけの野外ホールと言っていいクーセヴィツキー・ミュージック・シェッドで演奏される。(最初は小屋という感じだったが、改装されて、だいぶ素晴らしくなったようである。)(以下写真はウィキペディアの写真をお借りしています。) 

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クーセヴィツキー・ミュージック・シェッド
 
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クーセヴィツキー・ミュージック・シェッドの内部

そして1994年にはセイジ・オザワホール(小澤征爾ホール)がこの土地に造られた。 


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小澤征爾ホール
 
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小澤征爾ホールの内部


典型的なシューボックス・タイプで容積もやや小ぶりなので、音響もすこぶる良さそう。
外壁はレンガ、室内は木材をふんだんに使っているのだそうだ。
(写真を見ただけで、どんな音がするか想像できそう。)

サイトウ・キネン・フェスティバル松本が、改名して、セイジ・オザワ松本フェスティバルに変わった時に、記者会見で小澤さんが真っ先に話したことは、このタングルウッドにあるセイジ・オザワホールのことだった。

「建築物含めて、自分の名前を使われることは、なんか墓場を作られている感じで、どうもなぁ(笑)」と仰っていたが、名に恥じぬよう頑張ります、とも仰っていた。

そのときに、このタングルウッドにある小澤ホールの存在を知った。いまこうやって日記を書くために調べて、初めて、その外観、内装を知ったのである。(笑)

非常に評価の高いホールで、数々の建築賞を受賞しているのだそうである。

ネットでいろいろ調べていると、この新しいホールを建てるにあたって、一番多く寄付をした人がそのホールの名前をつける権利があたえられるという流れがあったそうで、このホールはソニーの大賀典雄社長(当時)によって、タングルウッドに一番ふさわしい名前ということで小澤征爾さんの名前が付けられた、ということらしい。(この事実を知って、改めて驚き!)


話をドキュメンタリーに戻すと、内容は、このタングルウッドでの夏の講習会、そして演奏会、また小澤さんの家族ともども毎年の夏、この場所で水入らずで過ごす場面などの小澤さんの素の姿が捉えられている。

昨今の脚色豊かなドラマティックに見せよう的なあざとい作りとは程遠くて、この当時のホントの素撮りに近い感じが返って好感が持てる。

その中で小澤さんが言っていたのは、

「オレはとにかくなにをやってもついていた。斎藤秀雄先生に西洋音楽の基礎を学べた。タングルウッドに来て、いきなりクーセヴィツキー記念賞をもらった。カラヤンの弟子になれた。バーンスタインの助手になれた。とにかくすべてにおいて、オレはついていた。」

なるべくしてなる。持っている人は、やはり持っているのだ。そういう星の元に生まれている、というか。

夏の講習会で指揮を若手に教える。

その聴講生の中に準・メルクル氏の姿もあった。

そうだ!彼もタングルウッドの小澤ゼミ生出身なのだ。

若手への指揮の指導の中で、特にピックアップされていたのが、十束尚宏氏であった。

1982年タングルウッド音楽祭で、クーセヴィツキー賞指揮大賞を受賞。その後、新日本フィルから定期公演デビュー。華麗な経歴を残され、現在に至るが、不詳自分は実演に接したことがない。(不覚)

小澤さんが十束氏を自分の家に呼んで、悩みも含め、腹を割って話し合おうという感じで、家で2人でサシで話すのだが、これがスゴイ迫力なんだ。(笑)

けっして小澤さんはキツイ口調ではないのだけれど、とにかく話す内容が深くて重みがあって、TVの前で見ている自分が説教をされている感覚に陥るくらい。(笑)TVの前にいる自分がビビってしまうくらいだから、目の前にいた十束氏はさぞや。(苦笑)

やっぱり1人で戦ってきた、築き上げてきた、それに裏付けられた話は、深く、重く、説得力があるのだ。

自分は、よく人が書く文章にも例えるのだけれど、美辞麗句、難しい言葉で書き綴られている美文よりも、よっぽどシンプルでズシッと来るような.....小澤さんの言葉はそんな感じ。

「カラヤン、バーンスタインのマネをしようとする人はたくさん知っているけど、ダメなんだよ。カラヤンは、恐ろしいまでに彼独自のユニークなスタイル。バーンスタインにしてもしかり。それは彼らにしかできない。他人がマネしてもできない。結局、自分の道、スタイルは自分が築き上げないとダメなんだよ。」

自分たち一般人は、小澤さんをメディアを通じての姿しか知らない(記者会見、インタビューとか)。

でもカメラが回らないところでは、ボクらが想像できない、音楽家、演奏家たちへの指導は厳しいものがあるんだろうな、と想像する。(真を知る者同士。)

演奏会のシーンでは、ヨーヨー・マ&ボストン響との共演。(ヨーヨー・マ、若いなぁ。)
演奏後、仲良くランチ。話が笑顔で弾む。そんな中で、「東洋人に西洋音楽ができるか?」というテーマになる。2人とも同じ境遇なので、話が深くなる。

そこで、小澤さんが「ちょっとカメラ止めてくれる?」

暗い静止画のあと、場所を変えて、小澤さん、謝罪。でも止めてもらうしかなかった....

小澤さんの自分の人生についてのインタビューは、数年おきのインターバルで行われるのだけれど(最近ではNHKの100年インタビューが印象的でした。)、結局自分の人生なので、小澤さんは同じことを何回も言っているように(笑)どうしても自分には聴こえる。

その中で、「東洋人に西洋音楽ができるか?」というテーマは、もう毎回出てくる内容で、小澤さんが自分の心にずっと持っている一生涯の問題なのだと思える。

演奏会は、その他はルドルフ・ゼルキン(彼の息子であるピーター・ゼルキンは松本のサイトウキネンで聴きました。小澤さん癌療養中の時期でしたが)のベートーヴェン ピアノ協奏曲第2番、そしてジェシー・ノーマン&エディット・ワイエンスのマーラー2番の「復活」。

そして、小澤さんの人生を語る上で、避けて通れないのが、「N響ボイコット事件」。
これもインタビューで内面を語っていた。画面には、東京文化会館の誰もいないステージで1人立つ小澤さん。

「自分は日本人なのに、日本のやり方を知らなかった。西洋流。出るくぎは打たれる。」
「もう日本ではやらない。自分の道は海外でやるしかない。」とそのとき心に決める。

自分は、小澤さんフリークのように思われているかもしれないが、このボストン響時代の小澤さんは知ってはいても、正直熱心な小澤さんの聴き手とは言えなかった。

ゴローさんと出会って、はじめて小澤さんを強く意識したと言ってもよくて、だからサイトウキネンで小澤さんを観れたのはつい最近ことだった。(それも先日、米グラミー賞を取ったあの作品で!(^^))

ふっとしたニュースで、このドキュメンタリーのことを思い出して、今日1日たっぷり見て、なんともいえない気分。

近い将来、海外音楽鑑賞旅行でアメリカ進出を考えている(笑)自分にとって、ボストン・シンフォニーホールでボストン響を聴くことは小澤さんの人生をトレースするためにも避けられない運命なのだなぁ、とつくづく。

さらに他のDVDの2枚も両方とも小澤&ボストン響の演奏。

特に興味を引いたのは、プラハのスメタナ・ホールでの演奏。

プラハの街、そのもののなんともいえない美しさもさることながら、このホールの美しさ&音響の良さに惚れました。(古い録音なのにその音響の良さが分かる。)

プラハはウィーンに近いので、近い将来ウィーンに行く予定からして、急遽プラハも入れようと思いました。


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