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エム5邸訪問........そしてオーディオオフ [オーディオ]

ゴローさんは、仕事で自分の作品、たとえばNHKプレミアムシアターで放映予定、もしくはNHKエンタープライズでのBD発売の素材デモ~たとえば小澤征爾さんのサイトウキネンの映像作品など。~をオンセール前にBD-Rに焼いて、よくエム5邸オーディオルームでその作品の完成度合をチェックしていたのだ。

NHKにも編集スタジオはたくさんあるのだが、やはり機材の品質や、モニター室としての広さ、グレードに限界があって、やはり世の中に出す前に、1度、一般家庭の大画面、高音質環境でどう映るのかを確認したい、という意向があって、エム5邸オーディオルームは、その用途に使われていた。(ゴローさんは毎週エム5邸に通っていたときもあったらしい。)

そこでエム5さんのスゴ耳(ゴールデンイヤー)のチェックを受けるのだそうだ。(笑)

ボクも1回だけ、そういう場面に出くわしたことがある。ゴローさんがかなり入れ込んでいたエベーヌ四重奏楽団の番組を作っていたときで、そのデモBD-Rをエム5邸で3人で観て評価した。

そんなエム5邸だが、フロント3本を観ると、L,RがN801なのに、センターが802Dと、センターが1ランク落ちているSPを使っていることに気づくだろう。


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ポリヒムニア・スタジオもまったく同じ布陣で、両サイドがN801なのに、センターがN802と1ランク落としている。これには訳がある。

映画ではなく、音楽のサラウンドをやる場合、5本のSPは全部同じSPを使うことがサラウンドの原則。

そうしないと製作者側がスタジオで意図して作った空間表現を、家庭側で同一条件で聴かないと、それを再現できないから。

でも、このサラウンドシステムは、5.0chサラウンドだけを再生するのではなく、もちろん2chステレオも再生する。そうすると、5.0サラウンドで広大な音場で再生していたものを、2.0ステレオに切り替えたときに、フロント3本が、全部同じランクだと、2.0chにしたときに、ガクッと音場感が落ちてしまう。

なので、2.0ステレオ再生で使うL,Rは少しランクを上のものを使って、Cに1ランク落としたものを使うのだ、とゴローさんに教えてもらったことがある。

エム5邸の場合、さらに2.0ch再生のときに、L,RのSPから音場が広がるため、センターの位置にSPがあるとその妨げになってしまい、そうならないために、ちょっとセンターSPをL,Rに対して、後方に下げていたりするのだ。

同一システムで、5.0サラウンドと2.0ステレオの両立って難しい。(ゴローさんのように全く別のシステムで組む、という考え方もあるけどね。)

でもじつは、もっと迫真に満ちた、ある意味こっちが本音じゃないの?という理由もある。

それは、フロント前方に、801が3本並ぶことのほうが、観た目、スゴイ暑苦しい(笑)というか、そういう美観のセンスの問題のほうが大きいようだ。

でもボクは見つけてしまっただ。(笑)

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O Ganho Do Somというミキシング&マスタリングを専門に行う会社のスタジオ。

確かに、801がずらっと3本は暑苦しいかな。(笑)
でも慣れてくると、それなりに....思えてしまうから、フシギだ。

アビーロード・スタジオの800のフロント3本は、スマートさがあって、こちらのほうがよさげですね。

さて、ようやく本題のオーディオオフの模様。

ボクは大きく3つのお題をエム5邸に持っていった。

①DG SACDの再生。
②3次元立体音響 Auro-3Dの効果。
③ベルリンフィル自主制作レーベルの再生。

エム5さんは、もちろん新進の高音質レーベルから、メジャーレーベルまで万遍なく聴かれるが、とりわけ本人が大好きなレーベルなのがDG(ドイツグラモフォン)。

エム5さんのレーベルのサウンドの好みって、ずばりガチっと骨太というか肉厚というか芯のある「骨格感」のあるサウンドが好きなのだ。エム5さんって男っぽいので、やはりなんかそういう好みってわかるなぁ、という感じ。(笑)

まさにそういうサウンドなのがDG。エム5さんの「DG愛」は、それは、それは、大変深いものがあって、拙宅に来ていただいたときも、そこら辺の話をたくさんしていただいた。

この日のオフ会でも、「PENTATONEも確かにいいんだけれど、温度感が高いというか、全体に柔ら過ぎなんだよね。やっぱりガッシリ実在感のある硬質のサウンドのDGがいいよね。」という話をした。

ボクがDGのSACDを集めようと思ったのも、そこにある。

じつに苦心して集めてきたDG SACDたち。どのトラックをかけるかのセットリストも作成した。

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そうやって万全を期して、乗り込んだんだけれど、ボクが苦労して集めたDG SACDは、結構エム5さん、持ってたりした。(爆笑)

いろいろかけたんだけれど、やっぱり音楽的というより、オーディオ的にエンタメ性があるというか、驚かせる要素があるのは、やっぱりサロネンの「中国の不思議な役人」。

これはやっぱり来るね~。冒頭の曲の低音のグイグイ彫深い音色で押し迫るように鳴ってくる、その迫力。そして「中国の~」での何とも言えないアングラというかアバンギャルドな旋律。こういうのって音楽的というより、やっぱりオーディオ的に来るものがある、という感じ。

あと、いろいろかけました。オッターのシューベルト歌曲集もよかった。あとエム5さんに録音がイイと評判がよかったのは、ガーディナー&フィルハーモニア管の「惑星」の木星(ジュピター)のトラック。これもホントにいい録音です。

DG SACDは、万遍なくかけて楽しんだ。ホントに素晴らしいサウンドでした。

このときに感じたサラウンドの鳴り方で面白かったのは、リアの効果。これはエム5さんに言われてみて、初めて気づいたのだけれど、リアって単に包囲感が出るだけなくて、このリアが加わることで、フロントの3本の鳴り方に厚みが出るというか、フロントに影響が出るもんなんだよ、ということ。

リアの前に立って音を遮ったり、逆に音を通したりすることで、フロント3本の鳴り方がずいぶん違うのが実験でわかったのだ。

これは拙宅じゃあまり意識しなかったんだけれど、エム5邸では、それがよく認識できた。
目から鱗というか、ちょっと驚きました。


お次に、3次元立体音響のAuro-3Dの再生。 
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チャイコフスキー:組曲『白鳥の湖』、ショスタコーヴィチ:組曲『黄金時代』、
ストラヴィンスキー:サーカス・ポルカ、他 

山田和樹&スイス・ロマンド管

http://goo.gl/9Vrd41

じつは、これには伏線があった。

いま考えると、その前に、長時間ずっとDG SACDでいわゆる普通のSACDサラウンドを聴いていたから、そしてその直後にこのAuro-3Dを再生したから、その違いがはっきり認識できたんだと思う。

ある意味ラッキーだったかも?

とにかく再生して出てきた出音の一発目を聴いた瞬間、エム5さんが、「(高さが)ある、ある!」。

ボクが聴いていても、ものすごくハッキリわかった。驚きとともにホッとしたというか、肩の荷が下りた感じ。

ふつうのSACDサラウンドだと、大体SPのツィーターより音場のエリアも含めたちょっと上部辺りを中心に水平に取り巻くように鳴るんだけれど、このAuro-3Dを再生した途端、その高さが、天井に向かって部屋の上位のほうから、そして下端は、いままでの水平エリアに至るまでの、幅広い上下感覚の感じで鳴るのだ。

あきらかに高さがある。

悔しいかな、拙宅ではここまではっきり認識できなくて、高さというより深さ、空間が広いのはわかる、そしてエネルギッシュに鳴ることが両立している、というところまで、だった。それがエム5邸では高さもしっかり認識できるのだ。

やはりある程度再生環境のレベルの差はありますね。

その後、メディア含めて、誰もこのことを話題にした記事を観たことがなかったので、正直持論や自分の印象に自信がなくなってきた訳だ。

1番のキモは、天井SPや対応AVアンプを使って、9.1/11.1/13.1chとかやれば、それは効果あるの当たり前でしょ?(笑)

でも映画館ならともかく、それを(特に天井SP)一般家庭に強いるのは無理があるんじゃないの?ということだった。

だから自分が知りたいのは、ロスレスで、9.1→5.1→2.0に変換できるんなら、その5.1で聴いたとき、つまりいまのふつうのサラウンドシステムで聴いたら、ちゃんと効果がある、高さがあるんですか?ということだった。

これに言及した記事は観たことがない。開発者のインタビューで、「5.1にダウンスケールするときに、高さ情報をどのくらい付加するかは、技術者に任される」、というコメントだけだった。これだと、ふつうのシステムでも効果がある、と読めるのだ。

それを確かめたかった。そして、それが見事に立証された。

ちなみに、2.0ステレオでの効果もtomoさんに確認してもらったところ、きちんと効果があるようだ。

ある意味、この結果は影響は大きい。世の中は、2.0ステレオのマーケットのほうが圧倒的なのだから、2chでも高さを感じ取れるとなると、この録音方法が浸透してこれば、2.0ステレオの音質でも高さを感じ取れる3Dオーディオが可能になる、ということだ。

なんかワクワクしてきた。

そして1番最後は、ベルリンフィルの自主制作レーベルのシューマン交響曲全集。 
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じつは、このCDはウチでは全く鳴らない。

購入当時、自主制作レーベル発足ということで、かなり期待していたのだが、期待を裏切られた感じで、かっ~と頭に血が上り、逆切れ状態の感じで怒りの日記を投稿してしまった。

その後、そのSACDが日本ファン向けということで、発売されたが、確かにCDよりも若干良さげだが、あまり印象は変わらなかった。

これをエム5邸で確認してみたかった。

事前に、エム5さんと、「もし、これで鳴っちゃったら、どうする?(笑)」という感じで笑っていた。

.....が現実となってしまった。(>_<)

なんとエム5邸の2chでは、かなりいい塩梅で鳴ってしまうのだ。
もうこのときの私の青ざめた、冷や汗タラタラと言ったら.......

もちろん万全にすべてが優秀録音という訳でもなく、若干、いままでの印象通り、音場感がやや少なくて、音像型の録音というイメージは、エム5邸でもそうだった。

でもそのつぎにかけたSACDのほうが、ものの見事にその欠点を克服すべく、見違えるように、音場感が豊かになり、潤いのある響きのあるホール感漂う相当いい録音となって化けていた。

SACDのほうが遥かに優れた録音に化けていたのだ。

もうこれには弁解の余地はない。

あえて言い訳をする訳ではないが、拙宅の2chシステムでも、きちんと鳴ってくれる2chソフトは多いのだ。だから、今回鳴らなかったときは、すぐにソフトの録音が悪いせい、と決めつけてしまった。

オーディオマニアの陥りやすい罠として、鳴らなかった場合、それをソフトの録音が悪いせい、にして、自分のシステムを疑うことをしない、ということ。大きな反省点である。

「まず自分のシステムを疑うこと。」

逆切れの投稿を、自分のブログに投稿したのが、2014年7月であるから、ほぼ2年間もの間、ベルリンフィル自主制作レーベルに対して、負のイメージを自分がずっと抱き続け、それがトラウマにもなっていた。

この罪をどうやって償っていこう.....せめての償いとして、「黙秘権を使って、聴かなかったことにしよう」ではなく、きちんとカミングアウトする、ということ。

いみしくも今週末、ベルリンフィルが来日して、彼らの最後の大仕事であるベートーヴェンの交響曲全曲演奏会がサントリーホールで開催される。これよりも前に、きちんとパブリックにしておく、というのが自分の使命だと思った。

もちろん彼ら自主制作レーベルのベートーヴェン交響曲全集も購入している。


最後にオマケとして、映像のほうも楽しんだ。

150インチのスクリーンの大画面で、持参したアラベラ・美歩・シュタインバッハー&NDRの公演の様子を楽しませてもらった。 


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彼女の演奏姿の映像作品としては、この公演がベストの作品だと思っている。

麗しき、愛しのアラベラ・美歩ちゃんのお姿を、150インチの大スクリーンで、しかもサラウンドで観れたことは最高の幸せでした。

以上が、エム5邸オーディオオフの全貌。ホントに楽しかったし、深い議論も多く勉強になりました。

ありがとうございます。

エム5邸オーディオオフをきちんと自分の日記で書くというケジメをつけられて、本当に安堵しました。

最後に、その昔、ゆうあん邸オーディオオフ直後の食事の時に、ゆうあんさんと話をしたことを......

日本全国で、超金持ちで、目が飛び出る様な超ウルトラハイエンドなオーディオ機器を買いそろえているオーディオマニアの人は、結構いるかも、だけど、その中できちんとそれらを調教して、鳴らしきって素晴らしいサウンドを出している人って、はたしてどれくらいいるのかね???

エム5さんのように、オーディオ機器、そして部屋全体を使いながら、サウンドを追い込んでいってあれだけのサウンドを出している人って日本でもほとんどいないんじゃないの?たぶん日本の3本の指の中に入ると思うよ。

.....と話していたことを思い出しました。


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コメント 2

ま~さん

大変参考になりました。奥が深いですね、オーディオは。私は部屋の制約から2.0しかないのですが、自分の知らない世界がタップリとありそうです。それとベルリンフィルのシューマン(SACD)ですが、私ノンノンさんのブログを読まないで買ってしまいました(爆)。1番を聴いて唖然としました。この録音スタッフは素人集団か・・・。気を取り直して2、3、4番を聴いたところ、これは明らかにグレードが違います。でもあの1番はヒドイ!あれ以来、このSACDに手が伸びません(爆)。でも再生環境によって、このSACDが豹変するのかなぁ。どうもサラウンドに意味があるような気がします。
by ま~さん (2016-05-07 19:57) 

ノンノン

そうでいらっしゃいましたか!やはりあの1番は、凡録音ですよね。(笑)我が意を得たりと言う感じで、安堵しました。私も、あの最初の1番を聴いて、やる気をなくて、怒りとともに、2番以降をよく聴いておりませんでした。(2番以降がいい、とは知りませんでした。)今回お邪魔したエム5邸は、サラウンドだけでなく、2chステレオも素晴らしく鳴りますので、ある意味、ハンデがあるのかも、ですが、今度のベートーヴェンの交響曲全集を購入しましたので、もう1回この自主制作レーベルと向き合いたいと思います。
by ノンノン (2016-05-08 21:02) 

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