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現地至上主義 [雑感]

昨今、いろいろ言われることの多いコストパフォーマンスの高い外来オケのコンサートについて、想うところがあった。

コンサートの楽しみ方なんて、個人の価値観や、考え方、お財布事情もあるので、どれが正しいとは言えない。個人の信念の思うように楽しまれればよいか、と思う。

でもちょっと?と思うのは、チケット代金の高い外来オケを日本で聴くくらいなら、現地のホールで聴いたほうが、結局はるかにいい、と日本の高騰チケット商戦を揶揄する意見。

確かにごもっともな意見で、自分も正しいと思う。「お持ち帰りできない音」ということで、現地のフランチャイズのホールで奏でる彼らのサウンドは、東京では聴けない、と日記にしたこともあった。


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スイス・ロマンド管弦楽団のフランチャイズ・ホールのスイス・ジュネーブのヴィクトリアホール。1960年代のステレオ録音草創期のDECCAマジックと呼ばれた優秀録音の数々はこのホールで生まれた。まさに、他の国のホールでは再現できない「お持ち帰りできない音」であった。




現地指向型、現地至上主義。でもすべてがそれだけじゃないでしょ?という気持ちもある。

1番大きいと昨今感じるのは、コンサートの感想を共有する人が、国内だとたくさんいるということ。もちろん新聞、音楽評論家などのメディアでの論評もそうである。

人それぞれ感性が違うので、他人と感想が違っても仕方がないが、自分と同じポイントで感動した方のツィートや日記を読むとすごくうれしくなる。コンサートの感動が倍増する。

メディア論評についてもしかり。プロなので、あぁぁ~いいこと言ってくれる~っ!という感じで感動することも多い。

コンサート通いや生演奏に浸っていくと、自分が行った公演の、他人の方々のレビューを読むのが、結構楽しみだったりするのだ。同じ公演を、他の人はどう感じたのか?とか。

こういう共有現象は、国内でコンサートが開かれるから、実現するのであって、海外では無理だと思う。

海外現地での公演は、確かにその場では感動するかもしれないけれど、その模様をネットワーク経由SNSで日記や、ツィートとして日本に速報したとしても羨ましがられるかもしれないが、共有現象はなかなか難しいと思う。悪ければ、こちらの熱い想いにも関わらず、受け手側は、意外や、ふ~ん、そうで終わってしまっていたりすることもある。

自分もその感覚があって、海外に行くと、毎回、自分からの一方的な押し付けのようによく感じてしまう。(申し訳ないと思っているのだが、やめられない。(笑))

「生演奏の感動を共有する」というのは、とても大切な要素で、毎回再生しても、いつも同じ演奏レベルに聴こえるオーディオの世界ではありえないこと。自分はオーディオ擁護派だけれど、この点は、やはり、そのとき、その場にいた、その感動、一発勝負!という生ものである「生演奏」に軍配があがる。

外来オケ、アーティストを日本に呼んでいるのは、招聘元、招聘プロモーターさんたちの存在だ。

よく巷では、「呼び屋さん」という呼称で呼ばれることが多いが、自分は、なんか下品というか、失礼な感覚で聞こえるので、あまり好きな呼び方ではない。

ここ数年で、クラシックのオケやアーティストを日本に招待してくれる招聘元の存在が、きちんと自分でも認識できるようになった。大手から怪しげなところまで(笑)。

招待ゲストのギャラ支払い、ホテル宿泊料、およびチケット興行での収入、および広告費の支出、コンサートホールの使用料、その他、コンサート実現までにかかる諸々のプロセス、そしてそんな収支の中から自分たちの利益も出す必要があって、これはこれで、結構大変な仕組みなんだなぁ、と思う今日この頃。

特に、現地に直接自分が会いに行かないと縁のないアーティストも実際いる訳で、そのようなアーティストを日本に呼んでくれたりすると、これは招聘元様様と拝むしかないのである。

去年で言えば、グルベローヴァ招聘(今年も来ます!)と、ユリア・フィッシャーだったかな、そう感じたのは。

今年はディアナ・ダムラウでしょう。(笑)

招聘元のアンテナ感度やアーティスト選択のセンス、というのが滲み出ますね。
大変な仕事だと思います。

そんな思いをして、日本に招聘する訳で、その公演を日本の観客、日本人として鑑賞して、その感動を日本人同士で”共有する”。

それは、海外のホールで、日本人自分だけの感覚より、ずっと連帯感あって心温まるんではないかな、と。最高に感動できる公演に巡り会ったときに、その感動をみんなでシェアして全員一体となって盛り上がり、その余韻に浸れるのは、日本にいるからじゃないのだろうか?

自分の中にも現地至上主義はないと言ったらウソになるけれど、あからさまにそれだけ、じゃあまりに冷血で、淋しすぎる。


外来オケやアーティストが日本で公演をやってくれることのメリットというのも、たくさんあって、そういう点ももっと見直されるべきものなのではないか、と思っていたりしたのだ。






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