SSブログ

コンサートホールの音響のしくみと評価 その7 ~そして録音哲学 [コンサートホール&オペラハウス]

この一連の日記連載の落とし処は、結局コンサートホールごとに違う音響、ホールトーンを家庭内で再現したいというところにある。

自分が理想とする録音哲学は、コンサートホールごとに違う音響、アンビエンスをありのまま、その空間を捉えられること。そこには、ホールを一見した時点で、どのポイントに、いかようにマイクをセットすれば、その空間を切り取ってこられるか、ということを判断できること。

そしてミキシング、編集を施した後の録音(ワンポイントでミキシング編集なしのライブストリーミングでも構いません。)は、まさにそのディスクの中に、そのホールの空間、響きの情報が全部詰まっていることが条件になる。

そのディスクを再生さえすれば、部屋の中に、そのコンサートホールの空間が現れる。



ベルリンフィルハーモニーで録音したディスクを再生すれば、部屋の中にベルリンフィルハーモニーのホール空間が現れる。

ウィーン楽友協会で録音したディスクを再生すれば、部屋の中にウィーン楽友協会のホール空間が現れる。

そしてアムステルダム・コンセルトヘボウで録音したディスクを再生すれば、部屋の中にアムステルダム・コンセルトヘボウのホール空間が現れる・・・というように。



家庭内でのオーディオ再生は、ディスクに入っている情報を満遍なく出し尽くすことに専念する。
(これが簡単に言うけど、じつはかなりというか永遠のテーマで、思いっきり大変なことでもある。)

そして余計な小細工をしないこと。

だから部屋に居ながらにして世界のコンサートホールのホール空間を堪能できることが、最終的なラウンディング。

家庭内のオーディオ再生哲学は、まさに数多いるオーディオマニアによる無数のマニアックな考え方があって、それはそれで尊重されるべき。たかが趣味、されど趣味という感じで。個人が楽しむ分には、どんなにお金をかけようが、どういう再生哲学であろうが、個人の思うままに楽しまれればいい。

正解などない世界だと思っている。

自分がいままで積んできた経験を活かせるように考えるなら、ディスクに入っている情報、ホール空間の録音されたアンビエンスはそのまま出力して、それを部屋のルームチューニング、もしくは機器によるEQ調整などで、その音色(周波数)自体を変えないようにすることを心掛けることだろうか。

録音製作サイドのなんらかの意思、哲学を汲み取るべし、という考えがどこかベースにある。

たとえばルームチューニングであれば、あくまで吸音などの響き具合の調整、SP背面への回折音の処理をするぐらいにとどめるぐらいにしておく、というのがポリシー。

というか、あまりゴチャゴチャやるのは自分には向いていないと思う。基本最低限のことを抑えておいて、その限られた制限の中で最大限の努力をする感じ。

自分は、じつは、あのスカイラインのような拡散パネルがあまり好きではない。(笑)あれを部屋にベタベタ貼るのは室内デザインとして好みじゃないのだ。(部分部分はありです。)万遍なく拡散という発想は、コンサートホールやオーディオショップなどの大きな部屋には必要かもしれないが、せいぜい広くて18畳から24畳くらいのオーディオルームに、そんなに必須だろうか?基本は部屋をライブに造って吸音系だけにしたい。

かなり乱暴な意見でしょうか?(笑)
自分は部屋のインテリアはすごく重要視するので。

やはりその前提には、ディスクにはホール空間のアンビエンスがたっぷり詰まっていて、それを加工することなく、余すことなく再生できれば、部屋にそのホール空間が現れるはず。またそうあるために、現場で、しっかりと空間を捉えるように、というお約束を果たされるべきで、部屋はニュートラルと思うからである。


なんか思いっきり偉そうに風呂敷を広げているけど、じゃあ自分に何ができるの?と言ったら、それはそれで、だから自己満足の世界だと最初から言ってるでしょ?(笑)

もちろんこれらのコンサートホールの音響のしくみをそのままオーディオルームに落とし込むことを考えるのもオーディオマニアだったら当然の課題なのだけれど、これは、ちょっと自分の将来の課題にさせてください。

やっぱり自分が部屋を造る段階にならないと真剣に考えないと思うし。(笑)

そういう夢を持ち続けて毎日暮らしいく訳だし。


あと、ちらっと考えてみたのは、建築音響と室内音響では、若干考え方が違うのではないか、と思ってみたこと。

オーディオルームの室内音響では、やはり直方体、シューボックスが基本だし、それを前提として、定在波、フラッターエコーを解消できるように、どのように縦×横×高さの寸法比を決めていくか、とか床の作り方(振動対策)、壁の作り方(共振防止)とか、あと天井の作り方、そして防音や遮音、なんかそういう基礎体力のところで考えていかないといけないのでは、といまの自分の知識レベルで分かる範囲。

内装は、漆喰塗りで、瀬川冬樹先生のリスニングルーム理論に基づく、というところか!決まっているのは。。。(笑)

そのときにならないと考えられない。

コンサートホールに通い詰めてわかることは、内装空間を見て、どのような音の流れかを推測できることと、あと自分の耳でその音響の空間的印象を捉えられるということだけである。

基礎体力のところまでは、残念ながらわからない。

だからオーディオルームを造るときは、その基礎体力の部分から考えないといけないので、やっぱりそのときにならないと考えないというか、わからないんじゃないかなぁ、たぶん、と思うのです。(笑)

そんなことを指摘があったときに考えました。



長々とご静聴ありがとうございました。 





グリモー in 楽友協会.jpg


Emil Berliner Studiosによるウィーン楽友協会によるエレーヌ・グリモーのコンチェルトのセッション録音。(ブラームス・コンチェルト2番)


1719168248_96[1].jpg


アムステルダム・コンセルトヘボウではセッション録音のとき、空席だとあまりにライブ過ぎる環境のため、少しでも吸音するために、このような吸音用のカーテンをぶら下げることがあるのだそうだ。






nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。