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サントリー音楽賞受賞記念コンサート 広上淳一&京都市交響楽団 [国内クラシックコンサート・レビュー]

今日の午後突然ひらめいた。このコンサートがあることは、1年以上前から知っていたが、訳あって今年は行けないものだと諦めていた。それでも前日、当日券があることも知っていたのだが、それでも踏ん切りがつかなかった。

本当にギリギリの午後になって、突然お告げがあったように行こうと思った。

行って本当によかった。

もうひとつの動機付けに、新装オープンになったサントリーホールの様子を確かめてみたい、という理由もあった。

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まずサントリーホールの新装オープンの様子の感想を書いてみる。

事前に知っていたところでは、ステージ床の全面張替え、座席の敷物シートの全面張替え、パイプオルガンのパイプを全部1本づつクリーニングしてのメンテナンス、そして女性トイレの増設、こんなところであった。

でも実際行ってみないとわからないことが多かった。実際見てみて、そうなっていたか!という感想が多かった。

大きな工事としては、ホールに向かって右側のほうに行くと通路があるが、その奥にさらに新しく通路が出来ていた。突貫工事で作った通路らしく、入って右側は外の通路に剥き出しになっている。(笑)

入って左側を進んで、その入り口のほうを映したアングル。
(係員の立っている向こう側が外に剥き出し。)

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この通路のところに、エレベーターが新設されていた。
障害者の方には優しい心遣いだろう。

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一番驚いて、ものすごい効果があると思ったのは、トイレの増設。
特に女性トイレ。

自分の淡い記憶だと、1階はホールに向かって左側にしかトイレがなくて、女性トイレはもちろん男性トイレもいつも長蛇の列だった。

自分はよく並んでいたのでしっかり覚えている。

それが、右側にもトイレが増設された。(奥の新しい通路のところ)男女ペアで、それが2箇所。

さらに2階のトイレも右側に男女ペアであったのを、そのエリアを女性専用に拡張して、男性トイレは、少し離れたところに。

従来よりも2倍以上、トイレが増設。特に女性トイレが大幅に増設になった。

休憩ブレイクのときに、試しにいろいろ覗いてみたが、なんと女性トイレはまったく列がなかった!ガラガラに空いていた。

男性トイレのほうが少し列ができているくらい。

そして休憩時間、男性トイレも使ってみたのだが、ここも従来より遥かに広くエリアが増設されていた。

恐るべき効果てきめん!

世界のどこのコンサートホールでも問題になるトイレの長蛇の列問題。
見事にクリアしている。画期的ですね。

その他の気づいたこと。

ホール横の通路に緩やかにスロープ(傾斜)ができたこと。


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今日の座席は最前列。


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ステージの床も見れた。もちろんピッカピッカだった。

そして座席の敷物シーツ。

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これを総入れ替えすることって、ホール音響にとって、かなりチャレンジングなことだと思っていた。シーツは吸音材で、座席の占める割合ってホールの容積のかなりの部分を占めると思うので。

でもそんなにデッドになったとか、という印象なし。お客さんが座るとその部分は隠れるからだろう。

今回の改修作業には、音響に関するメンテナンスはいっさいないようなので、もちろん音響がそんなに変わったという印象もいっさいなし。


ただサントリーの最前列は、かなりサウンド、音的にキツイ。(笑)

京都コンサートホールの最前列のほうが、ステージとの距離がかなりスペースが空いているので、ある程度バランスが取れて聴こえるのだが、サントリーは、もうステージにピッタシくっついているので、聴いていて、かなり厳しい感があった。

オケのサウンドに奥行きが出ない感がありますね。


でも、後半の大感動の演奏に、すっかりそんなことも慣れてまったく気にならなくなった。


大体そんなところです。トイレの増設は一番大きなメリットのように感じました。



今日は、サントリー音楽賞受賞記念コンサート。

毎年、その前年度においてわが国の洋楽文化の発展にもっとも功績のあった個人又は団体をサントリーから顕彰する賞で、広上淳一さんと京都市交響楽団は、2014年に受賞している。

サントリーホールで、そのお披露目演奏会なのである。


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京響をまさにここまで育て上げたのは、広上さんの渾身の10年間で、それが評価されての受賞なのだ。

自分も去年の夏、秋、そして今年の春と、地元京都で、この楽団の演奏会を堪能して、京都の美しい街並みと共に深く記憶に刻み込んだ。

そんな経緯があるので、サントリーホールでのお披露目コンサートには、ぜひ行きたいと思っていた。

最初の曲は、武満徹さんのフロム・ミー・フローズ・ホワット・ユー・コール・タイム。

TVや映像素材でしか拝見したことのなかったこの曲。
5人の打楽器奏者で、まさに武満ワールドと言える尖鋭な音と隙間のある空間の絶妙なバランスと旋律が織りなす摩訶不思議な世界。


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ステージ最前列に並べられたいろいろな打楽器の種類が、この曲独特の仕様で興味深い。

その音色も、あのカウベルを思い起こさせるものや、電子音のような音色であったり。
上の写真も、この曲仕様のステージ上の仕掛けで、あの5色の長いリボンを打楽器奏者が揺らすことで、美しい鈴の輪唱が鳴る。

なかなか実演に接することのない曲だと思うので、大変貴重な経験だった。




とにかく今日の公演は後半のラフマニノフ 交響曲第2番に尽きる。

もうこの曲は、ラフマニノフの作品の中でもダントツの人気曲で、もう始まる前から盛り上がること必須だと思っていた。

その甘美でロマンティックな旋律に彩られた、恋人とビロードのような甘い愛をささやき合うような・・・ そんな美しい曲である。一度聴けば、誰もすぐに虜になること間違いない。

自分も大好きな曲である。

この曲は広上&京響の18番の看板の曲なのだそうである。



これが超弩級の名演だった。


ここ数年の中で、もっとも心揺さぶられた演奏だったと言ってもいい。

分厚い安定した弦、音色の安定した描き方にコントロール、ともに広上さんの手中の中で、ものの見事に操られていた。

特に京響は弦セクションのレベルが非常に高いと去年から感じていることで、その安定した分厚い鳴りっぷりは感心することしきりであった。

そしてアインザッツ(音の出だし)が完璧に揃っていた。単純に音の出だしが合っている、といってもタイミングや音程や、リズムが合っているというレベルではなくて、最初の一瞬の音の震え、音の力、音の勢い、というなんとも言葉じゃ表現できない音の全てが完璧に合っている、そんな凄さがあった。

こんな安定感のあるサウンドで迫られると、後半どんどんクレッシェンドしていき、すごい高揚感に煽られ、こちらがドキドキして堪らなかった。

そして適切なフレージングの長さとブレス。このリズム、長さ加減が、微妙に聴衆の呼吸のリズムに影響するものだが、その次から次へと繰り出される甘い旋律に呼吸をしているのを忘れるかのような気持ちよさと陶酔感があった。

とにかく完璧な演奏だった。

今日のこれだけの名演の演奏レベル見せつけられると、どの都内の在京楽団も勝てんだろう。(^^;;

なぜなのか、自分のことでもないのに、ずいぶんと誇らしげな気分になって、余韻に浸りながら帰路についた。

今日は、突然のひらめきで来たのだが、本当に来てよかった。やはり音楽の神様は我を見捨ててはいなかった。

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第46回サントリー音楽賞受賞記念コンサート 広上淳一と京都市交響楽団
2017/9/18(月)18:00~ サントリーホール

武満徹:フロム・ミー・フローズ・ホワット・ユー・コール・タイム
~5人の打楽器奏者とオーケストラのための~

ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調op.27


アンコール~

チャイコフスキー:組曲 第4番作品61「モーツァルティーナ」より第3曲「祈り」




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