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エディット・マティスの近況 [オペラ歌手]

スイスの歌姫である我が永遠のディーヴァ、エディット・マティスの初のベスト作品集がDGからCD7枚組として発売される。来年の2月11日に80歳の誕生日を迎え、それに合わせて記念発売だ。

これは嬉しいこと極まりない。
久々の自分にとってのビッグニュース!

マティスは、1960~1990年代に活躍したソプラノで、ドイツ圏のソプラノとしてはトップクラスの美貌、それもどちらかといえば愛嬌のあるルックスが大きな魅力で、初来日時の人気ぶりは今なお語り草になっている。


「とにかくキュートで可愛い!」というのが当時のマティスの大きなインパクト。


若いときはもちろんのこと、歳を重ねていってもその可愛らしさは、相応で兼ね備えているから、まさに理想的な歳のとり方かも?

彼女の声質もとても清澄なところに特徴があって、歌い方も新鮮で、新風を巻き込んだと言って過言ではない。 

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1969年当時のエディット・マティス

もちろん自分はリアルタイム世代を知らないので、後世に知ってずっと憧れていた、そんなディーヴァだった。


1938年にルツェルンに生まれ、ルツェルンの音楽大学とチューリッヒの音楽大学で学び、ドイツ語圏を代表するソプラノ。

在学中の1956年にモーツァルトの歌劇「魔笛」でデビュー。レパートリーは、やはりモーツァルトが中心で、ほとんどの役を歌っている。その他にもバッハを始め宗教曲を得意としている。


マティスのずばり得意とした分野は、ドイツ歌曲や宗教音楽、モーツァルトを中心としたドイツ・オペラの世界。

そこには、イタリア・オペラのプッチーニやヴェルディといった華やかさ、ワーグナーのような力強さのような持ち味はないかもしれない。

そういった点で、メジャーで派手というイメージの歌手ではない。

確かに、いまどきのオペラ歌手のような圧倒的な声量&声色コントロールで、観客を魅せて圧倒させる、というようなこれ見よがしのパフォーマンスはないかもしれない。(たとえば彼女自身、コロラトゥーラは歌えないと言っている。)

でもマティスには、その当時の古き良き時代の奥ゆかしさの魅力がありますね。なんでもウマければいい、というものではないと思います。その当時の時代ならではの品格があると思う。

声に硬質な芯があり、明暗をはっきりさせた楷書風の歌い方なので、ドイツ語のかっちりした響きとぴったり合致する印象があります。テンポを過剰に動かしたり、これ見よがしに技巧をひけらかしたりすることは皆無で、作品そのものを誠実に再現する。


そして40代のマティスはオペラを卒業し、ドイツ・リート(歌曲)をよく歌うようになる。

50歳を過ぎてから歌唱法が変わり、声も表情も明るくなっていく。齢を重ねて声が衰えるどころか、ますます美しくなっているのである。

リートを歌うことの重要性については、マティスは、かつてインタビューでこのようなことを言っていた。

「それと重要なことは、私がリートやオラトリオを非常にたくさん歌ってきたことです。オペラだけの歌手は安定した声のフォルムを維持することが難しいのですが、コンサートで歌うことによって矯正できるのが、大きなメリットです。リートでは、いかに大声で歌いまくるかというのではなく、声楽的にも、解釈においても芸術的な洗練ということをつねに意識しないといけないからです。リートはピアノ伴奏だけではなく、オーケストラ伴奏の場合でも事情は同じです。オラトリオ、カンタータもきちんとしたテクニックの詰めが要求されますからね。」

自分は、この晩年のリートを歌っていた頃のマティスの声が最高に輝いていて、ますます彼女の魅力を大きなものにしていたように思う。

心に浸み入ってくるような深い味わいのシューマンや、ブラームスといった作曲家の歌を聞かせてくれる、そんなリートの奥の深い世界を表現できる、そんな歌手だったと思います。

インタビューを受けるマティスは、語彙が豊富で、明晰な表現、豊かな経験に基づいた話の芯がしっかりしている感じで非常に聡明な女性のような印象を受けます。



以前にも日記にしたかもしれないが、自分にとって、マティスを永遠のアイドルとならしめたものは、シューマンの「女の愛と生涯」。 

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いまは廃盤で、ほとんど中古市場でも目にすることのない大変なプレミア盤。
この「女の愛と生涯」で、これは!という感じで自分の感性を満たしてくれる決定盤はなかなかお目にかかったことがなく、ゴローさんの日記でマティスの存在を知った。

ただこの盤は、全集の中の1枚として組み込まれていて、単売では売られていないものだった。
これを入手するのが大変だった。中古で探し回った。世界のアマゾンや中古ディスク店など。

そうしてようやく見つけた!米アマゾンにあったし、御茶ノ水のディスクユニオンの棚で偶然見つけたときは、思わず手が震えた。

恐る恐るトレイに乗せて出てきた声は、それはそれは、心に浸み入ってくるような深い味わいの妖艶な声で、この曲にかける自分の長年の想いを遂げた気分になったし、十分に満足させてくれた。

いまも宝物である。

それからマティスのディスクを買い漁ろうと、いろいろ調べてみるのだが、これが不思議なことに、じつはほとんどあまり存在しないのだ。いままでの劇場出演の経歴の多さから比較すると、録音が圧倒的に少ないと思う。

ほとんどが廃盤という形で、ほとんど手に入らなかったものが多く残念な想いをしていた。



エディット・マティスは、リートの録音があまり多くなく、一般的にはオペラのスブレット役や宗教曲の歌手というイメージがある。でも彼女はアーメリングやアーリーン・オージェ、ルチア・ポップ、バーバラ・ボニーなどと並び、歌曲演奏の叙情的な側面の魅力を最も開花させたリート歌手とも言われているのだ。

正統派ドイツ・リートにおいて彼女の存在はとてつもなく大きい。

リート歌曲で残されている録音は、このシューマン&ブラームスの歌曲集のみ。(あとはモーツァルトの歌曲集があるかな?) 


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シューマン:歌曲集、ブラームス:歌曲集 
マティス、ワイス


https://goo.gl/tmF9jS

これがじつに最高!

録音当時50台後半とは思われるのだが、彼女の声の美しさはキープされていて、高音から低音まで表現にほとんど無理はない。マティスの魅力が存分に味わえる。



自分の最高の愛聴盤なのだ。このシューマン&ブラームスの歌曲集と、シューマンの「女の愛と生涯」を、NASに格納して、PCオーディオとして、流し再生してよく聴いている。


そうやってマティスのCDが欲しいなぁとずっと恋焦がれていたときに、このビッグニュース!

これは、まさに最高の自分へのプレゼント! 

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エディト・マティスの芸術(7CD)

https://goo.gl/tSvfmr


マティスの1960年代から1982年までの録音を網羅したもので、バッハのカンタータの抜粋と「マタイ受難曲」(カール・リヒター指揮)、「フィデリオ」「ばらの騎士」、有名なカール・ベームとのモーツァルト、カルロス・クライバーとの伝説の「魔弾の射手」録音、小澤征爾とのベルリオーズの「ファウストの劫罰」、ヘンツェの1965年のオペラ「若き貴族」で演じた役など、すべて網羅!

クリストフ・エッシェンバッハとのシューマンの歌曲の全曲録音も含まれているし、また、カール・エンゲルのピアノ伴奏によるヴォルフの「イタリア歌曲集」(抜粋)はCD初発売!


この収録曲のリストを見たら、長年マティスのCDが欲しかったのに、入手できなかったファンにとっては、涙が出て止まらないといったところだろうか。

もう最高のお宝集となること間違いなしだ。

入手したら、じっくり聴き込んで、改めてレビューの日記を書きたいと思っている。


マティスのプロフィールの書かれたサイトの画像を見るとどれもかわいい。
若い頃の写真もかわいいけど、年をとってもかわいいのだ。


マティスは、やっぱり「キュートで可愛い!」。



美しい歌声と恵まれた容姿。自分はもちろんリアルタイム世代を知らないので、こうやって後で振り返って調べて知るだけなのだけど、全盛期の頃に、そのキュートな愛くるしさで人気を博したことが、その写真やYouTubeの画像を見てもとてもよく理解できるのだ。


ちょっとその写真を、ネットからの拾い絵だけれど、オンパレードしてアップしてみよう。

来日した時のソプラノ・リサイタルかな?日本語の字幕が。

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マーラー4番のソリスト・バーンスタイン指揮ですね。
マティスはカラヤンともマラ4をやってます。このときカラヤンが指揮を間違えたことは有名な話です。

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マティスの18番のモーツァルト、フィガロの結婚ですね。
                                                       
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そして晩年ですね。CDのジャケットになってしまいますが、でも歳を重ねてもその上品さが滲み出てきます。
                                                       
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これは、また逆戻りで、1番若い写真ではないかな?
                                                       
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そんなマティスに大きな悩みがあって、歯並びが悪かったのだそうだ。(笑)
こればっかりはねぇ。彼女なりに大いに悩んでいたのであろう。
映像などで顔のアップが映ったりすると、前歯を極力見せないように歌っていたりしていたそうだ。(本当かどうか不明だが。(笑))

それでも50歳過ぎてから、歯の矯正をおこなったようにも思える。
上の画像が、40代の頃。下の画像が54歳のときだそうだ。
(ネットからの情報なので、確かではありません。あしからず。)
                                                       
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それでは、今度は動画のYou Tubeで!
なんか可愛くて美声でアイドルみたいです。

モーツァルトのフィガロの結婚

                                                      


                                                              

そしてバーンスタインのマーラー4番でのソリスト。   

                                                       


                                                               

魔弾の射手 ウエーバー

                                                        


                                                            

また得意の18番のモーツァルトで魔笛です。この演目でオペラ界デビューです。  

                                                       


                                                         

そして晩年でオペラからリートに軸足を移しての映像。R.シュトラウスの歌曲。1991年の映像です。 

                                                       


                                                      

                                                      

現在80歳になろうとしている。いまはどうされているのだろうか。。。?
あの可愛らしい容姿はどんな感じになっているのだろうか?

ネットでググってみると、2009年から2014年にかけて、日本には、公開のプライベートレッスンという形で未来の日本の歌手たちの歌のレッスンをしているニュースが散見された。

そこには、なんと2014年のマティスの近影が映っていた!
(「お耳ざわりですか? 伴奏者 石井里乃の回想さん」のブログから拝借させていただいております。歌手がご職業の方なんでしょうかね?)

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なんと!あの頃のキュートな若々しさは決して輝きを失っていなかった。
あの頃の面影は十分にうかがえた!


いろいろなレッスンでのマティスの教えをピックアップしてみる。

マティスが受講者たちによく言っていたのは、フレーズがどこに向かっているのかを意識して歌うようにということ。つまり、1つのフレーズの中ですべての言葉が同等に重要なわけではない、大切に歌う目的地を目指してアーチを描くように(マティスは"Bogen"という言葉をよく使っていた)歌いなさいというのだ。


「そこでブレスを入れてもいいけれど、本当は入れずに歌う方がもっといいのではないか」「私だったらこう歌うけれど、そうしなければならないということではなく、最終的にあなた自身の歌い方を見つけてください」とも言っていた。

歌手の基本的な弱点を修正すると共に、歌い方を強制するのではなく、こういう方法もありますよとヒントを与えるという穏やかで真摯なマティスの姿勢。

う~ん、ある到達点&頂きに達した人でないと、すんなり出てこない悟りのお言葉・・・素晴らしいのひとことです。


グルベローヴァも70歳で衰えたなどと散々に言われながらも、現役で頑張ってくれているんだから、マティスも80歳でサプライズでステージに立って歌ってくれないかしら?と思ったり。



さきほどの近影を伺うと、決してステージに立っても華は失われていないと強く確信しますよ、ホントに。



どんなに衰えてもファンは嬉しいもんなんです。





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