日本イザイ協会 [クラシック作曲家]
自分はイザイの熱心な聴き手とは言えなかった。縁があって、日本イザイ協会の存在を知って、協会主催のコンサートに招待をいただき、先日の土曜日に伺った。
素晴らしかった。
超絶技巧のイザイらしい超難関な曲で、演奏者の方々がじつに大変のように感じた。
素晴らしかった。
超絶技巧のイザイらしい超難関な曲で、演奏者の方々がじつに大変のように感じた。
見ていて、本当に息をするのを忘れてしまうかのような切羽詰まるような熱演だった。
コンサートのほうは、後述に。
イザイのイメージはヴァイオリニスト&作曲家で、バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータを強く意識した「無伴奏ヴァイオリンソナタ」がよく演奏され、エリザベート国際王妃音楽コンクールの課題の常連である、ということ。
そう!イザイはベルギーの作曲家なのだ。
自分の運命の中で、やはりどうしても避けられない、縁のある作曲家なのかな?という意識し始めたのがつい最近のこと。
そこでイザイのことをいろいろ調べてみると、とても興味深いことの連続で、設立されてまだ間もない日本イザイ協会の地道な活動&広報活動に心打たれた。
イザイの曲を聴いたのは、自分でも稀にしかなくて、最近ではアリーナ・イブラギモヴァのイザイの無伴奏ソナタ。
イブラギモヴァは、ご存知、バッハの無伴奏でブレークした人なので、バッハを取り上げたなら、その延長線上にあるイザイの無伴奏を取り上げるのも必然だったと思える。
素晴らしい演奏と超絶優秀録音だった。
彼女の演奏を聴いていても、イザイの曲は、かなり演奏するのが難しいストイックな印象を持っていた。
そんなイザイだが、ちょっと自分のためと紹介もかねて、簡単だが略歴を書いてみる。
ベルギーのヴァイオリニスト&作曲家(指揮者)。
幼少時にヴァイオリンの教育を受けて、ベルギーのリエージュ音楽院に進む。音楽院卒業後、ベンヤミン・ビルゼの楽団(ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の前身)においてコンサートマスターを務めるかたわらソリストとして演奏活動を行う。
その後、自分の冠の弦楽四重奏団を設立したり、そして指揮者としても活動した。(シンシナティ交響楽団)
晩年、ブリュッセル音楽院の教授に就任。後進の指導に力を入れた。
没後の1937年からはイザイを記念した「イザイ国際コンクール」が開催され、これがあの有名なエリザベート王妃国際音楽コンクールの前身となった。
イザイは、ベルギーのクラシック音楽界の英雄なのだ。
演奏家としては、イザイというと、とにかく”超絶技巧”といった高い技術と説得力のある表現で有名な演奏家で、作曲家としてもヴァイオリンの作品を中心に残している。
エリザーベト国際王妃音楽コンクールの常連とはいえ、このコンクールで弾かれる「無伴奏」を除いては、未だに演奏機会は少なくて、作品の演奏がおしなべて困難であることもあって作曲活動の全貌は明らかになっておらず、いまだに全集の編纂すらない。
そういった背景もあって、イザイの知名度は、世間一般的には、そう高くはないかもしれないけれど、そんな彼の活動を地道に世に広めていこうという団体が現れた。
北九州出身、在住のピアニストの永田郁代さんが2010年に「日本イザイ協会」を設立した。
協会の本部は北九州にある。そして会長として多彩な活動に奔走している。
「もっとイザイが演奏され、身近に感じられるようになってほしい」と考え、その素地を築くためにこぎ出した。
活動の柱のひとつが演奏会。
地元北九州をはじめ、ブリュッセルとの交流など。若手の演奏家がイザイを演奏する機会もふんだんに与える。そして先日のコンサートでもわかるように関東にも進出!
日本イザイ協会のサイトやページなどを閲覧してみると、今年だけでも、その活動はとても魅力的だ。
イザイの学んだリエージュ王立音楽院図書館を訪問して、イザイの自筆譜の数々が所蔵されていることを報告。その自筆譜複写、イザイによる奏法説明、エチュードなどを協会HPにアップロード。
(C)日本イザイ協会FB公式ページ
また9月には4日間に渡って、イザイを特集した国際音楽祭がベルギーのクノック・ヘイストで開催された。
音楽ディレクターはヴァイオリニスト・フィリップグラファン。
イザイの弟子ジョセフ・ギンゴールドの弟子で、孫弟子となる彼は、内容の違う1日2回コンサートとマスタークラスをおこなって、感動的な演奏で全ての聴衆を魅了したそうだ。そんなリアルな現場レポートを写真付きで日々アップしていた。
ピアニストの永田さんがイザイにのめり込むようになったきっかけが、2010年に東京で企画したショパン200周年記念公演。
ピアノ曲で有名なショパンだが、永田さんは趣向を変えてみて、室内楽作品を演奏できないか、考えた。
適切な曲がなかなか見つからず、母校の桐朋学園大の同窓会などを通じて、ほうぼう探したところ、米議会図書館に、ショパンの「バラード第1番」をヴァイオリンとピアノの二重奏に編曲した楽譜が残されているのが分かった。
その編曲者こそ、イザイだった。
イザイによる自筆譜は、判読不能な箇所も多く、すぐ演奏に使える状態ではなかった。
それを永田さんは校訂作業を進め、手がかりを求めてイザイの遺族に会うなど手を尽くすうちに、魅力あると確信してのめり込んでしまったらしい。
「個人でいくら叫ぶよりも、組織を作って普及させるのが、1番の道。」
と協会設立に至った。
協会の役員の名前を拝見すると、さすがスゴイ。
永田さんへの信頼関係の深さ、そして血と汗の努力の結晶の跡がうかがえる。
名誉顧問としてイザイの遺族。そして自筆譜校訂に携わった徳永二男さん。その他、自分が存じ上げている演奏家の方を拾ってみても、木野雅之さん、小林美恵さん、渡辺玲子さん、江口玲さん、三舩優子さん、川本嘉子さんなど蒼々たるメンバーが顧問として名を連ねている。(もちろん小森俊明さんなどイザイ研究に造詣の深い見識者の方々なども多数。)
そんなつい最近設立されて間もない日本イザイ協会の存在、活動を知って、知名度があまりない、世間のみなさんがまだあまり着目していない、そこに、これからの可能性、開拓心を強く感じたのである。
先日行ってきたその日本イザイ協会主催のコンサート。
日本イザイ協会特別企画第1弾として、「向山佳絵子+伊藤悠貴 チェロ DUO リサイタル」が、かつしかシンフォニーヒルズのアイリスホールで開催された。
ここのホールははじめて体験したが、とても品格のあるセンスのいいホールだと思った。
内装空間がとても美しい。響き過ぎでもなく、デッドでもなく、中庸な趣きの室内楽向きのホールだと思った。
イザイは、ヴァイオリンだけでなく、幼少の頃は、チェロも習っていた。今回はそんなイザイのチェロに纏わる演奏会であった。
バッハ、イザイの無伴奏チェロの曲の定番はもちろん、バリエール、ポッパー、そしてパガニーニのモーゼ幻想曲など、ほとんどあまり耳にしたことのなかった無伴奏チェロの曲を聴けたのは貴重な体験だった。
選曲は、向山さん中心に進められたようだが、特に最後のパガニーニの曲は、ウルトラ超難関の超絶技巧の曲をチェロ2本で奏でる、という思わず唸らされる、見ていて、本当に心臓が痛くなる感じで、ブラボーの一言。まさに演奏者泣かせの曲だった!
向山さんがスゴイのはもちろんのことだが、伊藤悠貴さんの演奏をはじめて拝見した。
輝かしいプロフィールに、女性に人気の出そうなイケメンで、スピーチを聞いてもとてもナイスガイ、言うことなし(笑)。
そして演奏も切れ味があって弾力性のあるパワフルな演奏スタイル。来年2018年にはロンドンのウィグモアホールでのリサイタル・デビューが決まっているそうだ。
期待のスターですね。
来年は、イザイ生誕160年。素晴らしい記念行事イヴェントも期待できそう。
来年も東京文化会館の小ホールで、この日本イザイ協会特別企画第2弾のコンサートが決まっているそうである。さらに本格的なイザイのコンサートになる。楽しみである。
自分にとって、予想もしなかった出会いであるが、これをきっかけに注目、勉強していきたい作曲家と思ったのである。
日本イザイ協会は、HPやFBの公式ページで拝見することが出来ます。
日本イザイ協会 http:// ysayeja pan.com /
コンサートのほうは、後述に。
イザイのイメージはヴァイオリニスト&作曲家で、バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータを強く意識した「無伴奏ヴァイオリンソナタ」がよく演奏され、エリザベート国際王妃音楽コンクールの課題の常連である、ということ。
そう!イザイはベルギーの作曲家なのだ。
自分の運命の中で、やはりどうしても避けられない、縁のある作曲家なのかな?という意識し始めたのがつい最近のこと。
そこでイザイのことをいろいろ調べてみると、とても興味深いことの連続で、設立されてまだ間もない日本イザイ協会の地道な活動&広報活動に心打たれた。
イザイの曲を聴いたのは、自分でも稀にしかなくて、最近ではアリーナ・イブラギモヴァのイザイの無伴奏ソナタ。
イブラギモヴァは、ご存知、バッハの無伴奏でブレークした人なので、バッハを取り上げたなら、その延長線上にあるイザイの無伴奏を取り上げるのも必然だったと思える。
素晴らしい演奏と超絶優秀録音だった。
彼女の演奏を聴いていても、イザイの曲は、かなり演奏するのが難しいストイックな印象を持っていた。
そんなイザイだが、ちょっと自分のためと紹介もかねて、簡単だが略歴を書いてみる。
ベルギーのヴァイオリニスト&作曲家(指揮者)。
幼少時にヴァイオリンの教育を受けて、ベルギーのリエージュ音楽院に進む。音楽院卒業後、ベンヤミン・ビルゼの楽団(ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の前身)においてコンサートマスターを務めるかたわらソリストとして演奏活動を行う。
その後、自分の冠の弦楽四重奏団を設立したり、そして指揮者としても活動した。(シンシナティ交響楽団)
晩年、ブリュッセル音楽院の教授に就任。後進の指導に力を入れた。
没後の1937年からはイザイを記念した「イザイ国際コンクール」が開催され、これがあの有名なエリザベート王妃国際音楽コンクールの前身となった。
イザイは、ベルギーのクラシック音楽界の英雄なのだ。
演奏家としては、イザイというと、とにかく”超絶技巧”といった高い技術と説得力のある表現で有名な演奏家で、作曲家としてもヴァイオリンの作品を中心に残している。
エリザーベト国際王妃音楽コンクールの常連とはいえ、このコンクールで弾かれる「無伴奏」を除いては、未だに演奏機会は少なくて、作品の演奏がおしなべて困難であることもあって作曲活動の全貌は明らかになっておらず、いまだに全集の編纂すらない。
そういった背景もあって、イザイの知名度は、世間一般的には、そう高くはないかもしれないけれど、そんな彼の活動を地道に世に広めていこうという団体が現れた。
北九州出身、在住のピアニストの永田郁代さんが2010年に「日本イザイ協会」を設立した。
協会の本部は北九州にある。そして会長として多彩な活動に奔走している。
「もっとイザイが演奏され、身近に感じられるようになってほしい」と考え、その素地を築くためにこぎ出した。
活動の柱のひとつが演奏会。
地元北九州をはじめ、ブリュッセルとの交流など。若手の演奏家がイザイを演奏する機会もふんだんに与える。そして先日のコンサートでもわかるように関東にも進出!
日本イザイ協会のサイトやページなどを閲覧してみると、今年だけでも、その活動はとても魅力的だ。
イザイの学んだリエージュ王立音楽院図書館を訪問して、イザイの自筆譜の数々が所蔵されていることを報告。その自筆譜複写、イザイによる奏法説明、エチュードなどを協会HPにアップロード。
(C)日本イザイ協会FB公式ページ
また9月には4日間に渡って、イザイを特集した国際音楽祭がベルギーのクノック・ヘイストで開催された。
音楽ディレクターはヴァイオリニスト・フィリップグラファン。
イザイの弟子ジョセフ・ギンゴールドの弟子で、孫弟子となる彼は、内容の違う1日2回コンサートとマスタークラスをおこなって、感動的な演奏で全ての聴衆を魅了したそうだ。そんなリアルな現場レポートを写真付きで日々アップしていた。
(C)日本イザイ協会FB公式ページ
秘密のベールに包まれたイザイの情報を、こうやって現地ベルギーに赴いて、生まれ育ち活躍したその地から直に取得して、貴重で生々しい情報を報告する、そんな組織など、いままでになかったであろう。協会としての存在価値、存分にフル回転している。
特に自分が、興味を惹かれたのは、イザイの自筆譜。
(C)日本イザイ協会FB公式ページ 秘密のベールに包まれたイザイの情報を、こうやって現地ベルギーに赴いて、生まれ育ち活躍したその地から直に取得して、貴重で生々しい情報を報告する、そんな組織など、いままでになかったであろう。協会としての存在価値、存分にフル回転している。
特に自分が、興味を惹かれたのは、イザイの自筆譜。
ピアニストの永田さんがイザイにのめり込むようになったきっかけが、2010年に東京で企画したショパン200周年記念公演。
ピアノ曲で有名なショパンだが、永田さんは趣向を変えてみて、室内楽作品を演奏できないか、考えた。
適切な曲がなかなか見つからず、母校の桐朋学園大の同窓会などを通じて、ほうぼう探したところ、米議会図書館に、ショパンの「バラード第1番」をヴァイオリンとピアノの二重奏に編曲した楽譜が残されているのが分かった。
その編曲者こそ、イザイだった。
イザイによる自筆譜は、判読不能な箇所も多く、すぐ演奏に使える状態ではなかった。
それを永田さんは校訂作業を進め、手がかりを求めてイザイの遺族に会うなど手を尽くすうちに、魅力あると確信してのめり込んでしまったらしい。
「個人でいくら叫ぶよりも、組織を作って普及させるのが、1番の道。」
と協会設立に至った。
協会の役員の名前を拝見すると、さすがスゴイ。
永田さんへの信頼関係の深さ、そして血と汗の努力の結晶の跡がうかがえる。
名誉顧問としてイザイの遺族。そして自筆譜校訂に携わった徳永二男さん。その他、自分が存じ上げている演奏家の方を拾ってみても、木野雅之さん、小林美恵さん、渡辺玲子さん、江口玲さん、三舩優子さん、川本嘉子さんなど蒼々たるメンバーが顧問として名を連ねている。(もちろん小森俊明さんなどイザイ研究に造詣の深い見識者の方々なども多数。)
そんなつい最近設立されて間もない日本イザイ協会の存在、活動を知って、知名度があまりない、世間のみなさんがまだあまり着目していない、そこに、これからの可能性、開拓心を強く感じたのである。
先日行ってきたその日本イザイ協会主催のコンサート。
日本イザイ協会特別企画第1弾として、「向山佳絵子+伊藤悠貴 チェロ DUO リサイタル」が、かつしかシンフォニーヒルズのアイリスホールで開催された。
ここのホールははじめて体験したが、とても品格のあるセンスのいいホールだと思った。
内装空間がとても美しい。響き過ぎでもなく、デッドでもなく、中庸な趣きの室内楽向きのホールだと思った。
イザイは、ヴァイオリンだけでなく、幼少の頃は、チェロも習っていた。今回はそんなイザイのチェロに纏わる演奏会であった。
バッハ、イザイの無伴奏チェロの曲の定番はもちろん、バリエール、ポッパー、そしてパガニーニのモーゼ幻想曲など、ほとんどあまり耳にしたことのなかった無伴奏チェロの曲を聴けたのは貴重な体験だった。
選曲は、向山さん中心に進められたようだが、特に最後のパガニーニの曲は、ウルトラ超難関の超絶技巧の曲をチェロ2本で奏でる、という思わず唸らされる、見ていて、本当に心臓が痛くなる感じで、ブラボーの一言。まさに演奏者泣かせの曲だった!
向山さんがスゴイのはもちろんのことだが、伊藤悠貴さんの演奏をはじめて拝見した。
輝かしいプロフィールに、女性に人気の出そうなイケメンで、スピーチを聞いてもとてもナイスガイ、言うことなし(笑)。
そして演奏も切れ味があって弾力性のあるパワフルな演奏スタイル。来年2018年にはロンドンのウィグモアホールでのリサイタル・デビューが決まっているそうだ。
期待のスターですね。
来年は、イザイ生誕160年。素晴らしい記念行事イヴェントも期待できそう。
来年も東京文化会館の小ホールで、この日本イザイ協会特別企画第2弾のコンサートが決まっているそうである。さらに本格的なイザイのコンサートになる。楽しみである。
自分にとって、予想もしなかった出会いであるが、これをきっかけに注目、勉強していきたい作曲家と思ったのである。
日本イザイ協会は、HPやFBの公式ページで拝見することが出来ます。
日本イザイ協会 http://
2017-12-12 18:57
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