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チケット券売力 [雑感]

沢田研二さんの開場間近の公演ドタキャン問題。当初はそのありえない非常識な行動に非難ごうごうの態様だったが、その後沢田研二擁護論のようなものも散見されるようになってきた。

この人の開場間近の公演中止発表理由は契約書に「客をいっぱい入れること」と書いてあったのにチケットが売れていないからとか。


なんか、擁護論では、

・ハコがでかすぎる、と事前に沢田側から興行主に指摘していた。
・契約書では9000人入れること、という条件を沢田側から申し出ていた。
・でも実際の入りは、7000人弱。
・公演当日まで、興行主はそのことを沢田側にダマテンしていた。
・当日その事実を知った沢田は、契約違反としてキャンセルに踏み切った。


ということらしい。

もちろん真偽のほどは、闇なので、それを考慮したうえでお話しする。

擁護論では、契約で具体的な人数、というかハコをいっぱいにするという約束をしているのに、それが実現できなかった。そのときに興行主から、お客さんも入っていることだし、どうかそこをお願いします、と頼まれる。

一度そういうことを許したら、これからもずっとそのたびにこのような言い訳のもとに公演をやらないといけなくなる。示しをつけるためにも、ここはやってはいけない。

そういう気持ちもわかるんだよなぁ、ということらしい。

音楽ファン、コンサート通いが好きな自分からすると、それ、もう論外である。
そういうことを絶対許してはいけない。

自分からするとあり得ないことだ。

自分なんかそうなんだが、この日のコンサートのために、高いチケット代を争奪戦のうえ、勝ち取り、数か月前から本当に楽しみにしていて、いろいろ予習もしていたりして心ときめいていたりする。

そうやって臨んだコンサートの当日、いきなり会場でそんな仕打ちにあったら、合点がいかないだろう。

さらに後日、その理由がそんなんだったら、もう憤りを感じること、間違いなしだ。

やっぱりアーティスト側、演奏家側は、どんな理由があっても、それだけの高いチケット対価を支払って、来てくれたお客さんに対して、ちゃんと誠意をみせるべきである。

期待を裏切るようなことは絶対してはいけない。

これはアーティスト側にどんな事情があろうとも、音楽ファンの自分からすると譲れない一線である。

今回のような理由は、この日のために集まった7000人のファンに対して、裏切り、失礼極まりない行為だと自分は思う。

このような仕打ちをうけると、ファンはそのアーティストに対して、今後不信感をいだくことも間違いない。


契約書に「客をいっぱい入れること」と書いてあったのにチケットが売れていないから・・・。

日本国内専門のタレントでそんな契約はあり得ないそうだ。
(ポール・マッカートニーなんかはそれが明記されているそうです)

これはある招聘元の方の投稿だが、結構生々しい実際リアルなビジネスの経験談で感心した。


公演1週間前に売れてないものは当日まで売れないことなんて関係者なら誰でも分かっていること。

クラシックも来日ポップスも、チケットは発売当日と1週間後で「イケるかコケるか」予想できる。駄目そうなら赤字覚悟で宣伝費を投入。公演1ヶ月前になっても駄目なら、関係者が出演者のプライドを守るために理由を作って延期でなく中止発表の検討に入る。

主催者は大損で、出演料は全額払うし、会場費、宣伝費、印刷費など使ったものは無駄になり、スタッフや移動滞在費のキャンセル料も請求される。そしてプレイガイドからは払い戻し手数料も。

全てはアーティストの「チケット券売力」を主催者が読み違いしたことが原因である。
しかし、アーティストは自分のギャラの高さが原因の高額チケット設定と自分の人気のなさを認めずに、しっかり契約金を受け取る。

この手のアーティストだけが儲かる企画は誰もやらなくなりますよね。

他国で人気があっても、知名度がない国ではチケット売れません。
興行主にとって実力でなく人気が命です。


・・・だそうです。

シビアだな。(笑)


nishiazabu4[1].jpg


主催者、興行主、招聘元の仕事って本当に大変だ。

音楽ファンだったら、純粋に自分の応援している演奏家、歌手などのコンサートをホールで体験したい!

その想いだけで十分。

そしてコンサート終了後には、鑑賞日記やつぶやきをして、その感動をみんなとシェアする。
それだけで人生十分すぎる。

でもそれを実現するには、本当に招聘元さんのお仕事に感謝するしかない。
もう彼らは、黒字、赤字のリアルな結果として自分に帰ってくるから、つねに真剣勝負なのだ。

そんな彼らがいるからこそ、そんな楽しい趣味の世界も成り立つ。

でも芸術の世界に、そういうお金の話を前に持ってくるのはある意味タブーというか、それはみんな当然わかっていることだし、感謝はするものの、あまりそのことを強調されると、なんか自分が卑屈に感じたり暗くなっちゃう、というようなこともあるだろう。

ある意味、因果な商売なのかもしれない。


コンサート鑑賞人生を送っていると、自分がよく思うことに、自分が秘かに心を寄せているアーティストが来日してくれないかな~、どこか誰か呼んでくれないかな~とか思ったりすることがある。

自分が応援するアーティストって、ある意味商業路線まっしぐらというよりは、かなりマニアックな類の方が多いので、そういう思いをすることが多い。

でもそれイコール、集客できるかどうか、の判断をかならず仰ぐことになるんだよね。

招聘元は、集客できるかどうか、ペイできるかどうか、かならず計算する。
でもその計算の中には、そのアーティストの将来性や、日本のマーケットで育てていきたい、というような戦略もあるのかもしれない。

そんな事情もわかるから、最近はむやみやたらと呼んでほしい~などという妄想はせずに、実際実演に接したいなら、現地まで自分が足を運ぶ、という冷静な考えをするようになった。


女性ヴァイオリニストが独奏の場合は、なぜメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲なのか?(笑)

ヴァイオリン協奏曲の場合、メンデルスゾーン、チャイコフスキー、ブラームス、ベートーヴェンと大体が相場が決まっている。

ヴァイオリン愛好家の自分なんかは、そのような曲は、もう食傷気味なので、もっとブリテンやヒンデミットとか滅多にやらない前衛的なものをやってほしい、とも思うんだが、やはり招聘元は集客できるかどうかを第一に考えて演目を決める。

前者にあげたものは、やはりお客さんが対価を払って、それで実際満足できるキラーコンテンツなんだろう。

でもそればかりだとニッチでコアなファン層の不満が溜まってくるから、その都度、ガス抜きをして、目新しさを演出、というようなことの繰り返しなのかもしれない。

いずれにせよ、主催者、興行主、招聘元というお仕事は、”いま”を読む独特のアンテナ感度が必要な職業で、それが直に自分の利益、損に帰ってくるから、本当に大変な仕事だとは思います。






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