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心をつかむ歌声にある「1/fのゆらぎ」特性。 [オペラ歌手]

ヒトラーが、非人道的で残虐な言動を繰り返していたのにも拘らず、そのスピーチに大衆が酔ってしまう現象に、彼の声質に「1/fのゆらぎ」の特性が含まれているからだ、という。同じくキング牧師などの「I have a dream......」に代表される名演説などもそうだ。

人の心を動かす、感動させるには、ひとつのリズムというか韻を踏むというか、人の心を高揚させる、決まった法則のリズム態があるように思えてならない。

これは文章体にもあてはまる。

自分に手短な例でいくと、他人のコンサート評やディスク評を読んで、感動が伝わってくる文章は、それなりのリズムを持っている、と感じることがある。

音楽評論家などのプロの文章は、商業文としてはレベルが高いのかもしれないけれど、その表現方法などはすごく抽象的な言い回しで、実際どのような演奏だったのか、どのようなサウンドだったのかが自分にはイメージしにくい場合が多い。定型の美文体なのかもしれないけれど、それだけでは正直(頭の悪い自分には、ですが)感動は伝わらない。星の数ほどいる評論家の中で、自分が知っている人、お付き合いがある(ネット上含めて)人の文章は積極的に読もうとも思うが、そうでない場合は、まぁ自分の頭の許容範囲が狭いこともあるが、ほとんど読んでも頭に入ってこない場合が多い。(というか...その前に読もうとしない。)

自分が感動する、共感を感じる文章というのは、美化された抽象的な言い回し、表現ではなく、もう少し自分の言葉に近い表現で、読んでいく内にどんどん高揚していくリズムを備えている、そしてわかりやすい文章。その場にいたかのような臨場感が湧いてくるような......

まぁ頭の悪い(笑)自分の勝手気ままなご意見としてご容赦願いたい、と思うのだが.....

自分の日記の文章というのは、すごい長文で、人に読ませるというタイプだと自分でちゃんと認識している。(笑)もっと読みやすいように短文に、とも心がけるのだが、あれもこれも知って欲しい、という欲が多いもので。(笑)

久しぶりに ゴローさんの日記を読み返したとき、なんと短文なのだろう!まるでポエムみたい!詩の小作品の集まりのような感じで、それでいて毎日その日記を読んでインスパイヤーされていた訳だ。こんな短文でもみんなに感動を与えることができるのだ!と思った。思うに、やはりそこには高揚させるための文章のリズムというか、韻を踏む、というかそういうものがあるのではないか、と思ったことがある。

同時に、我々オーディオ仲間が、みんなゴローさんと面識があるから、知っている人の書いている文章だから共感を得やすいのではないか?と思うこともあった。

極端なことを言えば、ゴローさんを知らない世間一般人が読んで、果たして同じように感動するかどうか....
やっぱりその筆者を知っているかどうか、というのはかなり大きなファクターになると思う。自分の場合、知らない音楽評論家の文章が、まったく頭に入らないのと同様に......

話が大きく逸れて申し訳ない。

「1/fのゆらぎ」というのは、パワー(スペクトル密度)が周波数fに反比例するゆらぎのこと、らしい。(ただしfは0よりおおきい、有限な範囲。) ピンクノイズとも呼ばれ、具体例として人の心拍の間隔や、ろうそくの炎の揺れ方、電車の揺れ、小川のせせらぐ音などが例として挙げられている。(出典:ウィキペディア)

もう少し具体的なイメージ像を掴みたかったので、さらにネットでググってみると、

「規則正しい音とランダムで規則性がない音との中間の音で、人に快適感やヒーリング効果を与える。」、「規則的なゆらぎに、不規則なゆらぎが少し加わったもの」という表記があった。

まぁわかったような、いまいちのような表現だが(笑)。

概して言えば誰もが聴いても、そこに癒し、快感を感じる音声波形特性を持っているもの、ということは間違いないと思う。

この「1/fのゆらぎ」特性を持った声質の歌手というのが、日本歌手で言えば代表的なのが美空ひばりだという。他にもMISIA、宇多田ヒカル、松任谷由実、徳永英明、吉田美和などが挙げられている。

誰もが持てる才能でもなくて、持って生まれた声質、ある特定の歌手のみに見られるこの才能。

このネットの情報、どこまで精密に声紋解析された結果なのか信用できるのか、わからないが、これらの歌手名を見るとあながちデタラメでもなく、納得がいく感じがする。

ネット情報では日本の歌手しか情報がないのだが(それしか声紋解析できていない?)、それでは外国人歌手ではどうなのだろう?とすぐに思った。音楽のジャンルはいろいろあるので、手っ取り早く自分に1番身近なオペラ歌手だけに絞ってみた。個人的な嗜好もあるが、1/fゆらぎは交感神経の興奮を抑え、心身共にリラックスした状態を作る、とあるから、感覚的に考えると、やはり低音部よりも高音部だろう。

男性ならテノール、女性ならソプラノそしてメゾ。
自分が知っているだけでも今が旬のじつにたくさんの候補が頭に浮かぶ。

それぞれの歌手の声質(声紋)というのは、指紋と同じで、その人固有に決まっている特質。自分がファンであるオペラ歌手はいろいろいるが、それぞれ特徴的で個性的で、その声質のどのようなところが自分の好みなのか、いろいろ理由がある。

その中で今回の日記のテーマに沿って、自分が敢えて1人強引に選ぶなら、アンネ・ゾフィー・オッターかと思う。

もうご存知スウェーデンの歌姫で、一昔前の世代の人かもしれないが、ベテラン中のベテラン。オペラに限らず、リートを始め、そしてクラシックに限らずジャズ、シャンソンなど、いろいろなジャンルをこなすそのレパートリーの広さは他を卓越している才能の豊かさと言える。彼女の世代で最も優れた声楽家の一人として認められていて、世界の一流指揮者、オーケストラ、歌劇場から常に、求められ続けられている。最近は、どちらかというとオペラ(は引退?)よりもリサイタル系中心の活動のようにも思えるが、アルバムのほうもきちんと定期的にリリースしてくれるからファンとしても有難い。

自分はオーディオマニアなので、ただ劇場でオペラの実演を観る、というだけでは、満足できない。きちんと自宅のオーディオでその声を楽しめるディスクを出してくれる歌手、というのが必須条件になる。

そうするとオペラ全曲というより、歌曲集などを出してくれるのが有難くて、そちらで楽しむほうが好きだ。じつはオペラ鑑賞も、じつに体力が必要なので、どちらかというとリサイタ ルのほうが好き。オペラだとその好きな歌手が仮装して役に成り切る訳で、それよりもドレスなどの現代衣装でその歌手の素の姿で歌うリサイタルのほうが、自分に身近に感じて、気楽に声を楽しめるから好きなのだ。

オッターは、1985年から2009年までDGの専属アーティストとしてじつに膨大な録音を残している。その後2010年からパリのナイーブというレーベルと契約して現在に至る。

このDG時代の録音は、大分昔に結構な枚数を大量に購入したことがあって、それをしらみつぶしに聴いているのだが、なぜか大概が録音レベルが小さくて、なんかパッとしないものが多いのだが、結構時代を経て声質の変化というか、やはり最近などの晩年期のほうが声に柔らかさが出て、非常に耳にやさしいというか、経年による安定感というのを強く感じる。

彼女の声がいい、と思うのは、オペラでのアリアでの歌い上げるような強唱ではなくて、歌曲集で聴けるような、ちょっと力の抜けた感じの歌い方が非常に格好よいというか、ムーディーで、雰囲気があってとても素敵なのだ。

ハスキーではないと思うが、メゾの周波数帯域にあった声音域が、妙に聴いていて心地よいというか、まさに自分にとっての1/fのゆらぎによる心地よさを感じるのだ。

この日記テーマのときに真っ先に思い浮かんだ歌手だった。
DG、そしてナイーブと歩んできている彼女であるが、1回だけ自分の母国であるスウェーデンのBISからスウェーデン歌曲集を出したことがあった。 


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夏の日~スウェーデン・ロマン派歌曲集 オッター、フォシュベリ

皮肉なことに、このアルバムが彼女のライブラリーの中で、1番録音が素晴らしいと思っている。じつに素晴らしい優秀録音で、マルチチャンネル録音なのだが、質感が柔らかくて情報量が多いのがよくわかる録音で、SPから部屋中にふわっと広がるさまが素晴らしくて、オッターの声がみずみずしいというか潤い感溢れる感じで実に秀逸なのである。

彼女のライブラリーからこの1枚、というのであれば、絶対このアルバムを推薦します。絶対後悔しません!

最新のアルバムでは、パリのナイーブからフランス歌曲集を出している。 


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『優しきフランス~歌曲とシャンソン集』 オッター、フォシュベリ(2CD)

彼女のフランス語もまんざらでもない。素晴らしいと思う。
録音自体は、狭いスタジオでのセッション録音なのか、響きが少なく、空間をあまり感じないデッドな録音に聴こえるのだが、選曲の良さ、そして彼女の歌が妙に雰囲気があってとても素敵。

2枚組なのだが、特にDisc2のシャンソン特集がじつに秀逸。彼女の脱力した歌い方が格好良くて、フランスもの特有のちょっとアンニュイな雰囲気がよく出ていて、じつにこれぞシャンソン!という趣で素敵。このDisc2はお勧めです!

結局自分の好みの歌手のディスク紹介という展開になってしまったが(笑)、

「1/fのゆらぎ」、というのが万人がやすらぎを感じる、というのが前提であれば、オッターの声がみんなイイと思うかどうかは、?なのかもしれないが、でも彼女の声が嫌い、という人ははたしてそんなにいるだろうか?

外国人歌手の声紋解析で、この1/fのゆらぎの特質を持った外国人歌手をぜひ知りたいと思ってしまった。
ぜひ公式に解析してもらえないだろうか?(笑)


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