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ECMレコードのクラシック録音 [ディスク・レビュー]

ECMレコードというのは、元々ジャズの録音をメインとしたレーベルで、SACDもやっていないことから、自分にとっては縁遠いイメージを持っていたのだが、じつはECMもクラシック録音をやっていて、それを2枚ほど聴いてみたら、それがあまりに優秀録音で驚いてしまった。

2chとは思えないほどのダイナミックレンジの広さ、音質的にソリッドで鋭利な寒色系な音色で、とても美音極まる。

このレーベルはユニバーサル・ミュージックの傘下にあるようで、ミュンヘンに拠点を持つ。

ジャズ録音がメインなのだが、1984年にECM New Seriesと称して、現代音楽、バロック音楽などの録音も始めるようになった。このジャンルが、彼らのECMレーベルのクラシック録音ということのようだ。

このレーベルの音作りのコンセプトとして「沈黙の次に美しい音」という表現を彼らはしている。わずかにリバーブのかかった音作りをしているそうで(これが聴く人によって賛否両論らしい。)、このレーベル独特の空気感を生み出している。

確かに聴いてみると、コンセプトの表現はうまく表現されているな、と感じるところで、特に現代音楽のタイトルを聴くと、静謐の中で鋭利な音が鳴り響く感じは、まさに尖っている感じで、すごく美しい。

ECMの特徴にその美しいジャケットデザインもある。これもどこか寒色系なシルエットで、じつにお洒落だ。試にHMVサイトのECMレーベルのところを検索してみて、彼らの一連の作品のジャケットを眺めてほしい。どれも統一のコンセプトのシルエットであることがわかるだろう。

レーベル全体が統一感をもって企画されているため、レーベル自体が固定ファンを獲得している。日本ではあまり著名とはいえないアーティストが多く所属していて、キース・ジャレットはこのレーベル随一の人気を誇るアーティストである。クラシック部門では有名どころと言えばアンドラーシュ・シフが所属している。

このように調べてみると、このECMというレーベル、じつに普通のレーベルとは少し違う、こだわりのあるポリシーを持っていて、ジャケット、そしてサウンドともにじつにカッコいい。自分の心の琴線に触れるレーベルと直感した。

ECMにクラシック録音があると知った以上、少しこのレーベルの作品を集めてみたく (いままでキースジャレットのジャズアルバム以外ほとんど持っていなかった。)、今日聴いた2作品の他、さらに5タイトルほど注文してしまった。(笑)

さっそく今日聴いた2作品を紹介してみよう。
 
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室内楽と歌曲集 バティアシヴィリ、フェルナー、エイドリアン・ブレンデル、フレストン、他 



現代イギリス音楽界を牽引する作曲家の一人、ハリソン・バートウィッスルの80歳を記念しての、室内楽と歌曲の録音。

今年の5月に発売された最新作。
まさに現代音楽そのものの作品。Vnにリサ・バティアシュヴィリ、チェロにアルフレード・ブレンデルの息子のエイドリアン・ブレンデルが参加している。

これを聴いたとき、まさに現代音楽なのだが、2chとは思えないほど空間が広くて、音圧も大きい。

この作品が、ECMのクラシック録音の初体験だったので、聴いた途端、これはイイ!と思わず私の心を鷲掴み状態。(笑)

音楽的には、かなり危険というか理解不能領域なのだが、音を聴いているだけで、もうスゴイ快感なのだ。オーディオ仲間のみなさんであれば、この心境、きっと理解いただけるであろう。(笑)

後述に紹介するディスクよりもこちらのほうがインパクトが強い。
ピアノなんて、なんかこうタメがあるというか、沈み込みが秀逸というか、じつに美しい。

響きの空間に漂う余韻も美しい。たぶんリバーブがかかっているようにも思うし、音色・響きが綺麗で空間が広く感じるのはこのリバーブ効果なのかもしれないが、自分的には違和感はないし、聴く分には心地よい。

2chでここまで空間表現が優れている、というのはある意味驚きだった。

これで私はいっぺんにECM録音のファンになってしまった。


 
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室内楽作品集~シューマン:6つのカノン風小品、3つのロマンス、ホリガー:ロマンセンドレス、他 ホリガー、ルージンガー、ケルニャック


こちらも今年の6月に発売された最新作だ。
オーボエの名手であると同時に、作曲家で指揮者でもあるハインツ・ホリガーがオーボエを吹いて、気の合う仲間と演奏した室内楽アルバム。

こちらは音だけでなく音楽自体も、じつに聴きやすい旋律でいい曲が集まっている。

普通の音楽ファンの方であれば、こちらのほうがいいだろう。

ホリガーのオーボエの音色がちょっと自分的感覚ではプラスティック的というかカチカチな感じがして、生演奏で聴くオーボエってもっと柔らかい音色だよなぁ、というのはある。真の音色なのかわからないが、加工し過ぎではないか、という感じもする。

でもピアノは相変わらず美しい。やっぱりこちらも2chとは思えない空間の広さが魅力的。音楽的にも録音的にもトータル的にバランスの取れた録音だと思う。(でも中に挿入されている現代音楽のパートはすごいインパクトなのです。(笑)なんか現代音楽の方が録音の凄さがよくわかりますね。)

普段サラウンドばかり聴いていると、その情報量の多さに耳が慣れてしまい、2ch再生を聴くとその落差にがっかりしてしまう。だから普段から2chソフトをあまり買わないようになってしまうし、2chソフトで優秀録音を探すのが不得手になってしまう。

でも世の中2chソフトの方が圧倒的だし、そういう意味で、今回のECM録音の発見は最高にうれしい。

2chでこれだけダイナミックレンジの広い録音というのはなかなかお目にかかったことがなく、今後2chソフトを聴く楽しみが増えたと思える。なんせうちの貧弱な2ch再生システムでこれだけ鳴るんですから。(笑)

普通のレーベルと違って、斜に構えているというか、こだわり抜いた感じのあるスタンスがとても魅力的で、自分好みのレーベルだと思う。


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