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トッパンホール [コンサートホール&オペラハウス]

今年の秋にタベア・ツィンマーマン擁するアルカント・カルテットのチケットを確実にゲットするために、トッパンホールのゴールド会員になった。おかげでコンサートのスケジュールや出演する指揮者、演奏家などのインタビューなどが掲載されている定期誌が送られてくる。

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これをずっと眺めてきた印象では、じつにコンテンツが豊富というか、企画力、招聘力があると思うことだ。

今が旬な若手のソリストをはじめ、ベテランに至るまで、じつに魅力的なリサイタル、室内楽コンサートがふんだんに開かれている。

いままで自分の好きなソリストが来日して、そのコンサートのチケットを取るために、たまたまトッパンホールのチケットを取るというサイクルだったのが、必然と彼らの年間公演カレンダーを俯瞰できるような立場になると、じつに魅力的な公演がずらっと並んでいることに気付く。

これはコンサートホールのようなハコものを運営していくうえで、死活問題だと思う。いかにハコが優秀であっても、それに見合うだけのコンテンツがないと、そのハコのクオリティを活かせないと思う。

どんなに音響が素晴らしくても、内装空間が美しくても、演奏者が一流でないと、そのホールの響きというのも美しく生きてこない。

大容積のコンサートホールは、よくそこのレジデンスオーケストラが育てるもの、と言われるが、まさにその通りだと思う。
そこに根付く固有のホールの響きというのは、オーケストラが育んでいくもので、音響だけにフォーカスするのは間違いだと思う。 演奏者とのバランスで議論するべきかと。(オーディオマニアにありがちな間違いです。)

トッパンホールは、ご存じ凸版印刷会社が設立した室内楽専用ホールなのだが、その両輪がものの見事に両立している素晴らしいホールだと感じる。

その特徴に、普通のいわゆる小ホールというのは、大ホールの付属的な立ち位置で、ややもすればオマケ的な感じの施設に感じてしまうのだが、ここのホールは、室内楽専用ホール単体として、その存在が独立しているというか、主張している素晴らしさがある。

これは水戸芸術館にもいえる。この違いだけでもずいぶんと受ける印象が違うのではないか。

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(トッパンホールの公式HPの写真を拝借しております。)

音響面の自分が感じた印象では、木造のホールなので、響きが暖かくてマイルド。壁面の木材は、低音域をほとんど反射し、高音域を程よく吸収するので、残響時間に高音、低音でばらつきが少なく平坦になりやすく、聴衆の耳に届くときには、位相の揃った感じに聴こえて、すこぶる心地よい。

ヨーロッパの木造ホールに音響上の失敗がない、と言われているのもこれが原因。

このトッパンホールもそんな代表的な木のホールという印象だ。先日のアラベラ・美歩・シュタインバッハーのリサイタルで、彼女のヴァイオリンの音色を聴いたのだが、じつに美しかった。

発音するときに、ふっと空間が浮かび上がるように聴こえて、音色が高・中・低域にバランスよく厚みがあって、それに重畳する響きがじつに瑞々しい。

いいホールでオケを聴くときに、よくサウンドステージが浮かび上がる、という表現を使うのだが、その室内楽版という感じ。ヴァイオリンの音色が人間の耳に美しく聴こえるのは、その倍音成分を聴いているからだ、とよく言われるが、まさにそういう成分がきちんとこのホールの空間では伝わっているんだな、ということがわかる。

彼女のリサイタルを聴いているとき、あぁぁいい音響のホールだな、と確信した。

あと木造空間の音色の素晴らしさは、その視覚効果もあるのだと思う。木材を見ていると自然と心が和むし人間の五感に優しい感じがする。 そんな感じを抱かせる色彩空間の配色がこのホールにはある。

そして、コンテンツの素晴らしさ、これが同居している素晴らしいホールだと思う。

ロビーホワイエ
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ホールへの入り口
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敢えて言えば、やはり駅からロケーションの悪さだろうか、JR飯田橋駅などからもあまりに遠すぎる。

室内楽を聴く分には、銀座の王子ホールもよく使用するが、こちらはじつはあまり音響的に印象がよくない。ちょっとデッドな響きに感じるし、内装空間が美しくない。(笑)ちょっとホールとして格が落ちるかな、と思うが、でもコンテンツの招聘力はなかなかなものがある。武蔵野もホール&コンテンツ両方において、バランスがいいホールだと思う。

自分は室内楽が好きなので、このトッパンホールのゴールド会員になって本当によかったと思う。
もちろん継続していきたい。

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