グラインドボーン音楽祭 [海外音楽鑑賞旅行]
グラインドボーン音楽祭は、いまやウィンブルドンと並ぶ英国の夏の風物詩。ロンドン郊外の喉かな田園地帯のオペラハウスと、幕間ブレイクのときに楽しむピクニック・ディナー。とても英国流というか、エレガントな世界でふだんの自分とは似合わないような世界だった。(笑)
そもそも、今回の旅行は、昔住んでいたロンドンに行くことが目的で、そのときに夏の音楽祭でイギリスでやっているもの、という選択肢、そして松本音楽祭で観た小澤征爾さんの「ラヴェルの子供と魔法」の演出が、このグラインドボーンの演出と全く同じだったことなどから選んだだけであった。
でも、いろいろ準備していくにつれて、かなり英国貴族社会風な、とてもセレブな音楽祭であることがわかってきて、少し緊張したりもした。
気候に恵まれた5月から8月に開かれ、やや敷居が高い音楽祭という位置づけでもあり、そのセレブな世界は、じつに素晴らしい体験であった。
なによりも、自分が一番感動したのは、その自然の豊かさ、緑の多い、本当に田園地帯という美しい景観の中に、そこにポツンとオペラハウスが立っているという感じ。そして単にオペラを鑑賞するという目的だけではなくて、幕間休憩のときのピクニック・ディナー(これは今回教えてもらってはじめて知ったセレモニーだったのですが。)のような一種独特な英国風エレガンスな究極的な時間の過ごし方、楽しみ方があるんだな、という経験ができたことだった。
超セレブで、とてもエレガントな音楽祭だと思います。
雰囲気、その場の空気がとてもイギリス的。日本では意外と知られていない音楽祭のようなので、それが、とても残念。
さっそく、その模様をレポートしてみたい。
この音楽祭の一番のネックは会場へのアクセスだろうか?
地元の人は、自家用車で来る人も多いようなので、そういう人たちは問題ないのだろうが、私のような旅行者は結構ハードルが高い。
ロンドン郊外の南下したところにあり、ロンドンのVictoria駅からLewes駅まで、大体1時間くらい列車で揺られて移動する。そして、そのLewes駅には、音楽祭用ということでシャトルバスが待っているのだ。それに乗って会場まで行く。
ただし、行きだけという訳にはいかず、必ず帰りの往復利用することが前提。会場に着いて、バスを降りるとき、こんな復路のチケットをもらうのだ。(でも終演後にバスに乗るとき、この復路のチケットの確認などはやっていませんでした。)
復路のバスの出発時間は、終演後あまり余裕がないので、乗り過ごさないように注意が必要。もし、このシャトルバスを逃したら、超田舎のポツンとしたところなので、Lewes駅までの足がなく、途方に暮れてしまう。
これがグラインドボーン音楽祭の会場であるグラインドボーン歌劇場。歌劇場前の一面に広がる草原から撮影しています。
歌劇場は、手前の建物の、その後ろに映っている円形上の建物。
右横からのアングル。
左側には、さらにこのような建物が連なっており、これはなんなのでしょうね?
そして、これらの建物の前は一面に素晴らしい景観の草原が広がっている。
ここで、ピクニックを楽しむわけだ。
まず開演前に、この草原で場所取りをして、とか一連の作業をやる段取りだったのであるが、この日は、なんとあいにくの雨。それもかなり強烈な雨。まことに残念。
なので、開演前の儀式のピクニックはいっさいなし、ということになってしまった。
代わりにみなさん、開演まで、どこで過ごしたか、というと、建物の中になる。歌劇場の前のところが、いわゆる室内のホワイエ空間のようになっていて、その外側に、さらに屋根にテントを張って、その端のほうがバーカウンターやショップのようになっている、という感じである。
このオレンジ色の壁が歌劇場の建物になる。(正確には、ホワイエの部分。)
2Fの部分はホワイエでの室内レストランのようなエリアになっている。
左側が歌劇場、そして屋根がテントの歓談エリアがあって、その端に、バーカウンターやショップがある。
こちらは歌劇場の建物の中のホワイエというか、歓談エリア。
ここがグラインドボーン・ショップ。
ショップ内はこんな感じ。
ドレスコードは写真を見てもらえばわかるように、完璧正装。男性はタキシードが多いし、女性はドレス。自分は礼服&ネクタイでのぞんだが、問題なし。ダークスーツでも一切問題なし。
ただし、絶対に正装必須で、カジュアルはいっさい不可ということ。基本、超セレブな音楽祭なのである。
オペラハウスへの入り口は、原則地下にある。
絵画が壁に飾られている。
地上にも入り口がある。ゲートは木製でこんなにクラシック!
そして、いよいよオペラハウスの中に潜入。
じつは音楽祭創設当時のオペラハウスを立て直し、現在の建物は1994年に建て替えられたもの。キャパは、1243客席。オペラハウス自体、円形状の形になっていて、オペラハウスでは、よくみかける馬蹄型の全体の枠ラインをまん丸の円形にしたような感じ。
正直、ホール内装の写真を撮影するのに、こんなに難しいホールはない、と感じた。
全体がわかるようなフレーム撮りが、わからなくて試行錯誤で、結局、これ!という感じの写真は撮れなかった。
内装は、全体に木でできているのか、木目調な色彩で、木独特の暖かい空間が漂っていた。中は薄暗く照明が落とされていて、オレンジ色~黄色のライトニングがされている感じであった。
天井。
ピット~普通の開放型ピット。
ステージ~比較的広いステージだと思ったが、印象的だったのは、高さがかなり普通のオペラハウスよりある、ということ。自分の直感ではあるが、感じたことだった。
客席形状が円形というのは、音響コンサルタント的には、歌手の声をホール内に均一に伝わらせることに関して、結構難しいらしいのだそうだが、随所に反響面の設置など工夫がされている。
最初の前奏曲のときのオケの演奏を聴いたとき、なんたることか、ちょっとドライな響きに聴こえて、焦ったことも確かだが、全曲通して、そんなに違和感のないノーマルな音響であると感じた。
スペック的には、満席時の残響時間が1.25秒とのことであるから、自分の感じた感覚もそんなに外れでもないであろう。
今日は、ここでベルリオーズの「ベアトリスとベネディクト」を鑑賞する。
自分は、このオペラハウスで何回もオペラを観たなどという経験は、もちろんなくて、今回が初めてであるが、演出ともに非常にクオリティの高いオペラ作品を上演することに定評がある。
公演の感想は、またあとで。
そして幕間ブレイクのピクニック・ディナー。
今回自分ははじめて知ったのであるが、この音楽祭は、オペラ本番も大切だが、ある意味、目玉といえるのが、この幕間のピクニックディナーなのだそうである。 幕間の休憩は1時間20分。この間に、おもいおもいにピクニック・ディナーを楽しむ。
さきほど写真で示したように、オペラハウスの前は、一面の草原になっていて、ここで、テーブルをセットして、正装姿の紳士淑女が、この大自然の中で、ピクニック・ディナーを楽しむ。食事の準備をしてくれるポーターさん(かわいい学生の男の子や女の子がバイトでやっているようです)が料理をセッティングしたり、飲み物を注いでくれるんだそう。
草原には羊などが放牧されているときもあって、なんとも長閑。これが英国流エレガンスな過ごし方なのだそうである。
ところがあいにく、この日は雨だった!(自分の普段の行いが悪いのですね。)
ネットからの拾い絵で失礼しますが、本来であるならこんな図が展開されるはずだった。
予約番号とかあるのだが、自分の名前を言っただけで、すべてわかってくれた。
アシスタントさんが、私の分のバスケット(この中に、食事や食器が入っている。)を持って、2Fの室内レストランの予約場所まで案内してくれる。
こちらのバスケットがナイフ、フォークなどの食器とかが入っているやつだったかな?
そして、こちらが食事の入っているほう。
食事のメニューの決め方は、時代に応じていろいろあるらしいけれど、今回の自分は、あらかじめ事前にメニューをもらって、その中から選んでおくという方法だった。
前菜は野菜中心、メインは牛フィレのステーキ、デザートはラズベリークリームといったメニューを決めていた。
そして、こんな感じ。グラインドボーンのシャンペンもついています。(^^)
確かに火は使えないので、冷たい食事なのだが、そこそこに美味しかったと思う。
ディナーが終わったら、散歩がてらに劇場の前の草原を散歩してみた。
雨は止んでいた。主催者側の判断で室内ということになってしまったが、でも歩いてみたら、数人の方が草原の自然の中での食事を楽しまれていた。食事も必ずオーダーしないといけないのか、というと、そうでもなくて、各自お弁当を持参して、というのも十分にあり。この風景だと、みなさんお弁当かな、とも思いました。わずか数人しかいないけれど、こういう自然との調和の中でのディナーって、これぞ!まさにピクニックですよね。やはりイギリス的でスゴイ素敵だなと思うところ。これはグラインドボーン音楽祭じゃないと体験できないことですね。
他の音楽祭では類をみないと思います。
これはイギリス伝統の遊びなのでしょうかね? (ふつうにゲートボールかな?)
雨というアクシデントはあったけれど、散歩しながら、ほんの少し英国流エレガンスな雰囲気を楽しめた、というところであった。
さぁ、オペラ後半。
ここからオペラの公演内容の感想を少し。ベルリオーズの「ベアトリスとベネディクト」というオペラは、巷では、ほとんど予習素材がない珍しい演目である。でも去年の小澤さんの松本音楽祭のオペラで上演され、自分は観に行っていた。
さらに、そのときTVで放映されたものの録画を持っていたので、それできっちりと予習していった。この松本のオペラは、それは、それは、舞台芸術が、あまりに素晴らしくて、原色がくっきりの鮮やかな色どりの舞台装置で、オペラそのものに華を添えていた。
それと比較すると、今回のグラインドボーンの演出は、とてもモノトーンというかシルバー系で統一されたシンプルな色使いで、舞台全体に統一感があったように思う。すべてにおいて、ものすごいシンプル。
舞台装置や照明の使い方も、とてもシンプル。ただでさえ高さが異常に高いステージいっぱいに大きな箱が3つ現れて、その中に歌手がたくさん入っているという、ちょっとメルヘンチックな演出。
なんか松本音楽祭とは対極になるような作品に出来上がっていて、微笑ましい、可愛らしい感じの演出だった。
歌手も、みなさん個性的でよかった。
正直ツアー最終日のこの日、あまりに濃い体験の連日で、体調は最悪で、はやくツアー自体終わってくれないかな(早く日本への機上の人になりたいという気持ち)、という弱音を前日から感じていた、ことも確か。
願わくは、もう少しよい体調で、記念すべきこの演目を鑑賞したかった。
でも、田園地帯の中でオペラとピクニック・ディナーを楽しむ、という英国流エレガンス、十分堪能できて、一生の記念になりました。
そもそも、今回の旅行は、昔住んでいたロンドンに行くことが目的で、そのときに夏の音楽祭でイギリスでやっているもの、という選択肢、そして松本音楽祭で観た小澤征爾さんの「ラヴェルの子供と魔法」の演出が、このグラインドボーンの演出と全く同じだったことなどから選んだだけであった。
でも、いろいろ準備していくにつれて、かなり英国貴族社会風な、とてもセレブな音楽祭であることがわかってきて、少し緊張したりもした。
気候に恵まれた5月から8月に開かれ、やや敷居が高い音楽祭という位置づけでもあり、そのセレブな世界は、じつに素晴らしい体験であった。
なによりも、自分が一番感動したのは、その自然の豊かさ、緑の多い、本当に田園地帯という美しい景観の中に、そこにポツンとオペラハウスが立っているという感じ。そして単にオペラを鑑賞するという目的だけではなくて、幕間休憩のときのピクニック・ディナー(これは今回教えてもらってはじめて知ったセレモニーだったのですが。)のような一種独特な英国風エレガンスな究極的な時間の過ごし方、楽しみ方があるんだな、という経験ができたことだった。
超セレブで、とてもエレガントな音楽祭だと思います。
雰囲気、その場の空気がとてもイギリス的。日本では意外と知られていない音楽祭のようなので、それが、とても残念。
さっそく、その模様をレポートしてみたい。
この音楽祭の一番のネックは会場へのアクセスだろうか?
地元の人は、自家用車で来る人も多いようなので、そういう人たちは問題ないのだろうが、私のような旅行者は結構ハードルが高い。
ロンドン郊外の南下したところにあり、ロンドンのVictoria駅からLewes駅まで、大体1時間くらい列車で揺られて移動する。そして、そのLewes駅には、音楽祭用ということでシャトルバスが待っているのだ。それに乗って会場まで行く。
ただし、行きだけという訳にはいかず、必ず帰りの往復利用することが前提。会場に着いて、バスを降りるとき、こんな復路のチケットをもらうのだ。(でも終演後にバスに乗るとき、この復路のチケットの確認などはやっていませんでした。)
復路のバスの出発時間は、終演後あまり余裕がないので、乗り過ごさないように注意が必要。もし、このシャトルバスを逃したら、超田舎のポツンとしたところなので、Lewes駅までの足がなく、途方に暮れてしまう。
これがグラインドボーン音楽祭の会場であるグラインドボーン歌劇場。歌劇場前の一面に広がる草原から撮影しています。
歌劇場は、手前の建物の、その後ろに映っている円形上の建物。
右横からのアングル。
左側には、さらにこのような建物が連なっており、これはなんなのでしょうね?
そして、これらの建物の前は一面に素晴らしい景観の草原が広がっている。
ここで、ピクニックを楽しむわけだ。
まず開演前に、この草原で場所取りをして、とか一連の作業をやる段取りだったのであるが、この日は、なんとあいにくの雨。それもかなり強烈な雨。まことに残念。
なので、開演前の儀式のピクニックはいっさいなし、ということになってしまった。
代わりにみなさん、開演まで、どこで過ごしたか、というと、建物の中になる。歌劇場の前のところが、いわゆる室内のホワイエ空間のようになっていて、その外側に、さらに屋根にテントを張って、その端のほうがバーカウンターやショップのようになっている、という感じである。
このオレンジ色の壁が歌劇場の建物になる。(正確には、ホワイエの部分。)
2Fの部分はホワイエでの室内レストランのようなエリアになっている。
左側が歌劇場、そして屋根がテントの歓談エリアがあって、その端に、バーカウンターやショップがある。
こちらは歌劇場の建物の中のホワイエというか、歓談エリア。
ここがグラインドボーン・ショップ。
ショップ内はこんな感じ。
ドレスコードは写真を見てもらえばわかるように、完璧正装。男性はタキシードが多いし、女性はドレス。自分は礼服&ネクタイでのぞんだが、問題なし。ダークスーツでも一切問題なし。
ただし、絶対に正装必須で、カジュアルはいっさい不可ということ。基本、超セレブな音楽祭なのである。
オペラハウスへの入り口は、原則地下にある。
絵画が壁に飾られている。
地上にも入り口がある。ゲートは木製でこんなにクラシック!
そして、いよいよオペラハウスの中に潜入。
じつは音楽祭創設当時のオペラハウスを立て直し、現在の建物は1994年に建て替えられたもの。キャパは、1243客席。オペラハウス自体、円形状の形になっていて、オペラハウスでは、よくみかける馬蹄型の全体の枠ラインをまん丸の円形にしたような感じ。
正直、ホール内装の写真を撮影するのに、こんなに難しいホールはない、と感じた。
全体がわかるようなフレーム撮りが、わからなくて試行錯誤で、結局、これ!という感じの写真は撮れなかった。
内装は、全体に木でできているのか、木目調な色彩で、木独特の暖かい空間が漂っていた。中は薄暗く照明が落とされていて、オレンジ色~黄色のライトニングがされている感じであった。
天井。
ピット~普通の開放型ピット。
ステージ~比較的広いステージだと思ったが、印象的だったのは、高さがかなり普通のオペラハウスよりある、ということ。自分の直感ではあるが、感じたことだった。
客席形状が円形というのは、音響コンサルタント的には、歌手の声をホール内に均一に伝わらせることに関して、結構難しいらしいのだそうだが、随所に反響面の設置など工夫がされている。
最初の前奏曲のときのオケの演奏を聴いたとき、なんたることか、ちょっとドライな響きに聴こえて、焦ったことも確かだが、全曲通して、そんなに違和感のないノーマルな音響であると感じた。
スペック的には、満席時の残響時間が1.25秒とのことであるから、自分の感じた感覚もそんなに外れでもないであろう。
今日は、ここでベルリオーズの「ベアトリスとベネディクト」を鑑賞する。
自分は、このオペラハウスで何回もオペラを観たなどという経験は、もちろんなくて、今回が初めてであるが、演出ともに非常にクオリティの高いオペラ作品を上演することに定評がある。
公演の感想は、またあとで。
そして幕間ブレイクのピクニック・ディナー。
今回自分ははじめて知ったのであるが、この音楽祭は、オペラ本番も大切だが、ある意味、目玉といえるのが、この幕間のピクニックディナーなのだそうである。 幕間の休憩は1時間20分。この間に、おもいおもいにピクニック・ディナーを楽しむ。
さきほど写真で示したように、オペラハウスの前は、一面の草原になっていて、ここで、テーブルをセットして、正装姿の紳士淑女が、この大自然の中で、ピクニック・ディナーを楽しむ。食事の準備をしてくれるポーターさん(かわいい学生の男の子や女の子がバイトでやっているようです)が料理をセッティングしたり、飲み物を注いでくれるんだそう。
草原には羊などが放牧されているときもあって、なんとも長閑。これが英国流エレガンスな過ごし方なのだそうである。
ところがあいにく、この日は雨だった!(自分の普段の行いが悪いのですね。)
ネットからの拾い絵で失礼しますが、本来であるならこんな図が展開されるはずだった。
雨なので、主催者側も今日は、みんな室内のレストラン、というように方針転換したようである。誠に残念極まりない。
さっそくPicnic Collection Point(ピクニック貸出所)に出向く。
予約番号とかあるのだが、自分の名前を言っただけで、すべてわかってくれた。
アシスタントさんが、私の分のバスケット(この中に、食事や食器が入っている。)を持って、2Fの室内レストランの予約場所まで案内してくれる。
こちらのバスケットがナイフ、フォークなどの食器とかが入っているやつだったかな?
そして、こちらが食事の入っているほう。
食事のメニューの決め方は、時代に応じていろいろあるらしいけれど、今回の自分は、あらかじめ事前にメニューをもらって、その中から選んでおくという方法だった。
前菜は野菜中心、メインは牛フィレのステーキ、デザートはラズベリークリームといったメニューを決めていた。
そして、こんな感じ。グラインドボーンのシャンペンもついています。(^^)
確かに火は使えないので、冷たい食事なのだが、そこそこに美味しかったと思う。
ディナーが終わったら、散歩がてらに劇場の前の草原を散歩してみた。
雨は止んでいた。主催者側の判断で室内ということになってしまったが、でも歩いてみたら、数人の方が草原の自然の中での食事を楽しまれていた。食事も必ずオーダーしないといけないのか、というと、そうでもなくて、各自お弁当を持参して、というのも十分にあり。この風景だと、みなさんお弁当かな、とも思いました。わずか数人しかいないけれど、こういう自然との調和の中でのディナーって、これぞ!まさにピクニックですよね。やはりイギリス的でスゴイ素敵だなと思うところ。これはグラインドボーン音楽祭じゃないと体験できないことですね。
他の音楽祭では類をみないと思います。
これはイギリス伝統の遊びなのでしょうかね? (ふつうにゲートボールかな?)
雨というアクシデントはあったけれど、散歩しながら、ほんの少し英国流エレガンスな雰囲気を楽しめた、というところであった。
さぁ、オペラ後半。
ここからオペラの公演内容の感想を少し。ベルリオーズの「ベアトリスとベネディクト」というオペラは、巷では、ほとんど予習素材がない珍しい演目である。でも去年の小澤さんの松本音楽祭のオペラで上演され、自分は観に行っていた。
さらに、そのときTVで放映されたものの録画を持っていたので、それできっちりと予習していった。この松本のオペラは、それは、それは、舞台芸術が、あまりに素晴らしくて、原色がくっきりの鮮やかな色どりの舞台装置で、オペラそのものに華を添えていた。
それと比較すると、今回のグラインドボーンの演出は、とてもモノトーンというかシルバー系で統一されたシンプルな色使いで、舞台全体に統一感があったように思う。すべてにおいて、ものすごいシンプル。
舞台装置や照明の使い方も、とてもシンプル。ただでさえ高さが異常に高いステージいっぱいに大きな箱が3つ現れて、その中に歌手がたくさん入っているという、ちょっとメルヘンチックな演出。
なんか松本音楽祭とは対極になるような作品に出来上がっていて、微笑ましい、可愛らしい感じの演出だった。
歌手も、みなさん個性的でよかった。
正直ツアー最終日のこの日、あまりに濃い体験の連日で、体調は最悪で、はやくツアー自体終わってくれないかな(早く日本への機上の人になりたいという気持ち)、という弱音を前日から感じていた、ことも確か。
願わくは、もう少しよい体調で、記念すべきこの演目を鑑賞したかった。
でも、田園地帯の中でオペラとピクニック・ディナーを楽しむ、という英国流エレガンス、十分堪能できて、一生の記念になりました。
グラインドボーン音楽祭2016
2016/08/19 17:20
エクトル・ベルリオーズ
ベアトリスとベネディクト
制作チーム
指揮:アントネッロ・マナコルダ
演出:ロラン・ペリー
舞台:バルバラ・デ・リンブルフ
衣装:ロラン・ペリー
照明:ドゥエイン・シューラー
出演者
ベアトリス:ステファニー・ドゥストラック
ベネディクト:ポール・アップルビー
エロー:アンヌ=カトリーヌ・ジレ
クラウディオ:フィリップ・スライ
ソマローネ:ライオネル・ロート
ドン・ペドロ:フレデリック・カトン
ユルシュール:カテリーナ・ブラディック
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
グラインドボーン合唱団
2016-09-04 04:16
nice!(0)
コメント(4)
トラックバック(0)
はじめまして。
来年の8月に音楽祭に行く準備をしています。
一番参考になりました。ありがとうございます。
全然専門知識のない私ですが、オペラやバレエなどの鑑賞が好きです。
ルーズのホテルはとりあえずおさえてあります。かわいらしい街のようなので散策しようかと思っております。
おたずねしたいことがあります。だいたいいつごろチケットは手に入りましたか?HPでは年があけたらみたいに書いてありますが。。。
よろしければ教えてください。お願いします。
by mie (2017-11-20 16:41)
mieさん、コメントありがとうございました。
来年行かれますか?それは素晴らしいですね。イギリスならではのとてもエレガントな音楽祭ですので、とてもいい思い出になると思います。日本では意外と知られていないので、とても勿体ないと思います。十二分に楽しまれてください。
さて、お尋ねのチケットですが、参考になるアドバイスはできないかもしれません。じつは私の場合、公演の3週間に前に、突然行くことを決めて、そこから旅行会社のネットワークを使って、キャンセル待ちのチケットが出ないか、をトライして、渡航ギリギリで入手、チケットは旅行会社のロンドン支社で現地受け取りという慌ただしさだったのです。本当にラッキーだと思いました。ですからきちんとしたルートではないのです。人気公演は争奪戦になるかもしれませんが、公式HPの発売日に準じてトライすればきちんと入手できると思います。ザルツブルク音楽祭やバイロイト音楽祭のような、発売開始と同時に瞬殺のソールドアウトというようなことは、グラインドボーン音楽祭の場合はないんではないか、と思います。幸運をお祈りします。あまり役に立つアドバイスでなくてゴメンナサイ。
by ノンノン (2017-11-21 22:47)
お久しぶりです。
グラインドボーン音楽祭に行ってきました。
ルイスの町がとても素敵で、滞在時間を延長したほどです。
チューダー王朝時代のホテルに宿泊できました。
着物でしたので大変でしたが、贅沢三昧してきました。
他の人に知られたくないので、旅行記を書くのはやめようかなと思うほどです。
その節はありがとうございました。
by mie (2018-08-24 21:41)
mieさん
そうですか!楽しまれたようですね。よかったです。
私は普段の宿泊はロンドンで、そこからルイス駅まで行って、そこから送迎バスでしたので、ルイスの街並みは体験できませんでした。とても素敵な街だったのですね。よかったですね。
他の人に知られたくない・・・その気持ちわかります。(笑)
でもせっかく体験したその素敵な写真とかもできれば忘れないように日記にアップしたほうがいいと私は思います。たとえばSNSなら
公開範囲を自分だけにするとか・・・
とにかく楽しまれてよかったです。自分の日記もお役に立てたようなので、日記公開している甲斐がありました。(笑)
by ノンノン (2018-08-24 22:25)