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SACDとBlu-ray Audio [オーディオ]

3Dサラウンドは、音声のコーデックがPCMのハイレゾなので、それをさらに9.0ch分とかなると、記録媒体のお皿の容量は、大きいものを使わないと、その巨大のデータを格納できない。

いままで、デジタルオーディオの記録媒体といえば、CDとSACD、そして最近になってBlu-ray  Audio(以下BD-Audio)、そして映像用のBlu-ray(以下BD)とある。


yjimage[3].jpg



SACDというのは、じつは物理媒体としては、DVDのディスクを使っているのだ。

昔、DVDフォーマット戦争のときに、ソニー・フィリップス陣営と東芝陣営が争ったときに、ソニー・フィリップス陣営が主張していたお皿を、そのままSACDの物理媒体として採用しているのだ。(SACDはソニー・フィリップスのフォーマットです。)

だから記録容量は、4.7GBしかない。

そのソニー・フィリップス陣営のDVDのお皿の中に、格納する音声信号の処理の仕方がDSD(DirectStreamDigital)を施して納めているのがSACDだ。

DSDとPCMのコーデック(信号処理)の違いはこれ。

上がPCMで下がDSD。

DSDPCM.jpg



PCMは、音声の原信号を、あるサンプリングタイム(サンプルする時間軸の幅)で振幅を、デジタイズしていくやりかた。

このサンプリングの間隔が狭くなるほど、ハイレゾな訳で、CDで、44.1KHz、ハイレゾになると48KHz,96KHz,192KHzとなっていく。

狭くなれば狭くなるほど、原波形に近い形にデジタイズできる。

一方で振幅方向の細かさは、ビット深度と言われ、CDは16bit(2の16乗の細かさ)、ハイレゾになれば、24bit,32bitとなっていく。ビット深度も大きくなればなるほど、振幅方向に細かくデジタイズ(高さの表現の細やかさ)できる。

結局PCMは、この縦(振幅)と横(時間軸)の細かさで、ハイレゾの度合いが決まる。

ハイレゾとは、縦(振幅軸)や横(時間軸)でサンプルする間隔が細かくなるので、それだけ原波形に近くなり、それイコール、デジタル化された後のデータ量は膨大になっていくことを意味する。



一方で、DSDは、音声の原信号を、ビット深度は1bitで固定、その1bit波形のパルス幅を可変させてその幅の長さで原信号を表現していく。

ある意味パルス変調みたいな感じ。サンプリング周波数(つまりこの場合は幅の長さの細かさに相当する)は、2.822MHzとかなり高い。

だから、こういう波形処理なので、DSDってある意味、原波形のアナログ波形に近い形で表現できるわけで(この波形をD/Aすればそのままアナログ)、それがSACDはアナログに近い音で、柔らかい質感と呼ばれる所以である。その原因は、その音声処理のコーデックの仕方にあった。空間が広く録れる感じもこちら。クラシックはこちら。(ジャズもSACDが多いです。)

逆にPCMは振幅単位でデジタイズして、サンプリング周波数もKHzオーダーなので、いわゆるガクガクの波形であって、いわゆるメリハリがあってアタック感がある明瞭な音の質感と言われている。ロックやポップスはこちらかな。

DSDのハイレゾは、このパルスの幅の間隔の表現が細かくなっていくことで、もちろん細かくなればなるほど、原波形に近い形で表現できることを意味する。(それイコール、データ量がどんどん多くなる。)

SACDで、2.822MHz、そしてハイレゾとして、5.6MHzと11.2MHzがある。

でもこういうパルス変調の場合、サンプリング周波数が高くなるほど、こういう変調方式で、しかもPCMと違って、もともとのサンプリング周波数が高い訳だから、それをさらに何倍かに逓倍処理したら、それこそノイジーになる傾向になるのは当たり前で、必ずしもハイサンプリングになればいいとは限らないと聞きます。サンプリング周波数をどんどん上げていくほど、音質が上がるように感じる聴感カーブは、停滞気味になるらしい。リニアじゃないのだ。これはサンプリング周波数が低いPCMハイレゾでも言えると思います。


PCMのハイレゾの2chやサラウンド5.0ch(5.1ch)、そして3Dサラウンド9.0ch(9.1ch)を格納するのがBD-Audioや映像BD。BDは、片層25GB、両層で50GBで大容量。

だからハイレゾのような大容量のデータを格納できるのはBD。ましてや3Dサラウンドのような9.0chのような多チャンネルのハイレゾの大容量データを格納できるのは、もうBDしかない。

映像ソフトの場合、5.0(5.1)サラウンドの場合、DTS HD Masterというロスレスの圧縮をかける場合が多い。これは決まったお皿の容量に、映像ソフトと音声ソフトを格納しないといけないので、音声は圧縮するためである。

3Dサラウンドの場合は、いまのところ圧縮しないで、そのままPCMハイレゾの多チャンネルで格納されている場合が多い。(たとえば、Dolby Atmosは、PCM 48/24,Auro-3DはPCM 96/24)

あくまで私観としてだが、BD-Audioはフォーマットしては、マーケット的に正直成功しているとはまったく言えないのではないか、と思っている。

再生するのに、メニュー設定でモニター画面が必要だし、静止画を見ながら音楽を聴く、というスタイルが、オーディオとも言えないし、ヴィジュアルとも言い難い、なんとも中途半端な立ち位置に感じるからだ。

でも最近、3Dサラウンドのデモソフトとして、BD Audioが見直されている。
北欧のレーベル 2Lのソフトがその最先端にある。

彼らは、マルチフォーマット音源という実験的なアプローチで、同一音源をSACD,LPCM2.0,DTS HD Master 5.0,Dolby Atmos 9.0,Auro-3D 9.0でエンコードして、SACDと後者の4フォーマットはBD Audioに収めて、2セットで提供するというスタイルを提供している。

まさにこういうケースの場合、大容量のBDという物理媒体が活躍するのは必然の経緯だと思う。

2Lは、BD Audioを最初に導入したレーベルだそうで、こういう実験的で、先進的なアプローチも納得いくところだ。

自分は、3Dサラウンドは、BD Audioとしてよりは、映像ソフトBDの音声フォーマットして採用されるケースが、ビジネスの本流だと思う。


SACDは、CDに対して差別化するマニア向けの高音質ディスクとしての路線を歩んだ。
結局、普及というよりは、高音質指向型のマイナーレーベル中心に、ニッチな市場となった。

でもBD Audioが映像機器であるBDプレーヤでの再生になってしまうのに対して、SACDは純粋にオーディオ機器としての再生という位置づけ。

やはりオーディオファイルにとってハイエンドオーディオは、映像機器と隔離するべき、という古の拘りがあって、SACDはその象徴的な位置づけでハイエンドオーディオの道を歩んできたと感じる。

(でも最近はOPPOのようなユニバーサルな機器が出てきて、そうでもなくなっている現状。でも自分は古い時代の人間なので、ユニバーサルプレーヤという発想はどうも好きになれない。)

自分はSACDの最大の魅力は、広帯域化による2.0ch再生というよりは、ダイナミックレンジの広い5.0サラウンド再生に最大の魅力を感じる。

SACDは、映像とは別次元の、音楽サラウンドの象徴的存在である。

現在も、これをモットーに最大の”SACDサラウンド”愛好家である。

DSDのハイレゾ(5.6MHz,11.2MHz)は、それを格納するお皿の物理媒体がないので、どちらかというとネット配信の世界で、その活路を見出しているように見える。ストリーミング再生、そしてファイルダウンロード再生である。


3Dサラウンドの登場で、それらの大容量を格納できる唯一の物理媒体であるBDに着目をせざるを得ず、思わず基本に戻ってみたい、と思って、日記にしてみた。

さらにその先には、UHD BDがあるんでしょう。







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