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一目惚れで恋に落ちる [海外音楽鑑賞旅行]

マーラーフェスト2020の公式HPはオーガナイザーによって正式に立ち上げられた。


マーラーフェスティバル2020 (Mahler Festival 2020)



マーラーフェスト2020に関するすべての情報は、すべてここに詰め込まれる。
私がいつも開示する情報もすべてここからの情報に過ぎない。

いわゆるこの音楽祭の情報の発信源である。

ぜひ参考あれ!


ここには、マーラーフェストがどのような音楽祭なのか、どのようなイヴェント、催しがあるのか、そしてエッセイなどの寄稿、など大変興味深い記事が投稿されている。


だからちょくちょく普段から目を通しておかないと、知らない間にすごい貴重で興味深いイヴェントが企画されていたりするから要注意だ。Day By Dayでブラッシュアップされている。


本日から、このマーラーフェスト2020の公式HPで興味深い記事を自分が厳選して邦訳を贈っていきたいと思う。


こうすることで、本番の5月まで、この音楽祭の概要を理解してもらうのと、マーラーに関する知識、マーラーとアムステルダムの関係などをお知らせする。同時に自分が確認する意味があり、この音楽祭を盛り上げていきたいというのが自分の思うところである。


知る人ぞ知るユニークなフェストなので、主要なクラシックメディアにはあまり取り上げてもらえないのでは?(笑)とも心配したり・・・。


ぜひ特集してください!!!


今年は、日本のみならず世界中のクラシック業界あげて「ベートーヴェン生誕250周年イヤー」一色。その片隅でじつはマーラーもあるよ、とささやかにアピールしていきたいと思います。


言い出しっぺの自分がきちんと責任を持って盛り上げていかないとね。


翻訳して感じることは、そして、これは今回の翻訳に限らず、いつも海外のクラシック批評を翻訳したりする機会があるたびに思うことなのだが、海外のクラシックメディアの文体というのは、少し日本と趣が違いますね。少しキザというか、なにかに比喩しての礼賛の言葉が上手で、文章に独特のリズムがありますね。そして韻を踏む文体であること。


批判するときはかなり容赦なく手厳しい。


自分は日本の音楽評論家などの文体をよく知っているので(過去に渡ってまで全般とはいきませんが)、海外クラシック評論の文体とは随分雰囲気が違うよなぁと思うことしきりです。


自分には日本のほうが穏やかで配慮があって紳士的にも思えます。


今回彼らの寄稿を訳してみて、エッセイなんかは小説家が書いていて、とにかくこの音楽祭がいかに何十年に1回しか開催されない貴重な音楽祭なのか、そしてマーラーが遺していった手紙、歴史的資料に基づいて、じつにドラマティック、劇的に書き上げている。だから尚更そのように感じるのかもしれません。


第1回目は、今回のフェストのマネージング・ダイレクター サイモン・レイニンク氏が、この公式HPに寄稿をしてくれている。


前回の1995年大会のとき、サイモン氏は、父といっしょにこのマーラーフェスト1995を楽しんだ思い出がある。学生時代にそんな経験をしていたサイモン氏が、いまや今回の2020年大会では、マネージング・ダイレクターを務めるというのだから、時代の流れ、経過に感慨深いものを感じる。


ぜひサイモン氏の2020年大会への熱い意気込みを感じ取ってほしい。





●一目惚れで恋に落ちる。(Love at First Sight)




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マーラーとコンセルトヘボウは、一目惚れで恋に落ちたようなものだった。


1903年、マーラーがはじめてアムステルダムを訪れた後、こう書いている。

「アムステルダムは、私の第2の音楽の故郷だ。」


彼の人生の中で、アムステルダムほどマーラーの交響曲が賞賛されたところはなかった。20世紀初期の批評でみられた中のひとつの見解として、「マーラーは我々を魅了した。我々は、彼の音楽の魔力の虜になっていたのだ。」コンセルトヘボウ・オーケストラの首席指揮者であるウィレム・メンゲルベルクがマーラーを初めてアムステルダムに招待した。


メンゲルベルクは、マーラーがドイツのクレーフェルトという街で第3交響曲の初演をやったときに、マーラーに陶酔したのだ。


メンゲルベルクは、マーラーは彼の時代におけるベートーヴェンであると言い切った。


だが、そのときは誰もそのことに賛同しなかったし、それどころか実際その逆の批評であった。マーラーがハンス・フォン・ビューローの”葬礼”(この交響詩は後の第2交響曲の一部になる運命なのだが)のピアノ稿を弾いたとき、フォン・ビューローは耳を覆った。


長い沈黙の後、その著名な指揮者はこう言った。「もしそれが音楽であるならば、私はもうなにも理解できない。」ウィーンやベルリンのような音楽的メトロポリスが”指揮者マーラー”を盲目的に崇拝している一方で、彼らは、マーラーの交響曲を真に理解しているとは言えなかったのだ。そのため、少なくともマーラーの人生の中では、彼はアムステルダムに旅をする必要があった。


「オランダの音楽的文化は驚くべきものである。」

マーラーはそう言ってため息をついた。


「まさにここの聴衆の聴き方が自分の理想そのものである。」



●世代を通して伝えていく。


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我々の街の影響力、そしてその魅力は、マーラーがそのときに決して一時の気まぐれでそう思ったのではなく、ある世代から次の世代へと引き継がれていった。それはメンゲルベルクがロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団に演奏させたことで大成功しただけではなく、アムステルダムの熱狂的な聴衆そのものにもその要因があるのだ。


1987年の秋の10月のある夕方、私が若い学生だった頃、父がいまや伝説となってしまったレナード・バーンスタインによるマーラー交響曲第1番のコンサートに連れて行ってくれた。そのアメリカ人は、「マーラーは、交響曲の分野で、20世紀の最も重要なイヴェントになると確信している。」と予言していた。


そして私がその夕方に感じたことは、バーンスタインによれば、そのときと同じようなレベルの経験はこれからもないだろうと思われるくらいの美しさを全身にシャワーのように浴びたことだった。


それが私がその夕方に感じたことで、けっして忘れることのできない出来事であった。


その日のことは深く、そして鮮明に記憶の中に刻み込まれているので、コンサートの前に父と私がロデガ・カイザーのお店でどのような食べ物をオーダーしたのかさえも鮮明に思い出すことができる。


そしてその8年後、父と私は、忘れることのできないマーラーフェスティバル(マーラーフェスト1995)を一緒に楽しむことになったのだ。



●マーラー・ユニヴァース


いま、コンセルトヘボウは、第1回のメンゲルベルクによるマーラーフェスティバルから100年を経て、そして第2回から4半世紀25年を経て、第3回目のマーラーフェスティバルを開催することを誇りに思う。


私たちは、ふたたびそのパワフルな音楽に浸ることができるのだ。


マーラーの音楽は、他に例を見ないほど、豊かなもの、そしてその取るに足らないもの、すべてを含んでいる。そしてその音楽を体験することで、荒れ果てた谷を通っていき、そしていろいろな感情豊かな風景を見ながら、その激しい頂に到達する感覚を得ることになるのだ。


「マーラーは魂の冒険者である。」

マーラーの信頼する友人であるブルーノ・ワルターの意見である。


はたして、マーラーは、いまの喧騒の世代の階級の中で新しい旅の仲間を見つけることができるのであろうか?


フェスティバルの中心テーマは、”マーラー・ユニヴァース”である。


10日間の間、マーラー・スピリッツが、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、ミュージック・スクエア、そして近在する文化的な機関を支配する。


4つの最も優れた世界的なオーケストラ・アンサンブル、もちろんマーラーも指揮したこともあるロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン指揮するニューヨーク・フィル、そしてウィーンフィルやベルリンフィルが、彼の交響曲を通じて、マーラーを横断する旅に着手する。


2つの躍進著しいマーラーのスターたち、ブタペスト祝祭管弦楽団そしてグスタフ・マーラー・ユーゲントオーケストラも参加する。両方のオーケストラとも、彼らの燃えるだぎるようなその解釈で、コンセルトヘボウのメインホールで聴衆を魅力してきたのだ。


我々は、マーラー財団(Mahler Foundation)と、とりわけ、マーラーの孫娘のマリナ・マーラーが協力体制にあることをとても誇りに思っている。



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マーラーの孫娘マリナ・マーラー
Marina Fistoulari Mahler (1943)


マーラーの音楽は、現在、過去、そして未来をひとつに結ぶ。マーラーの遺産は、今尚、現代の人類と関連性を持ち続けているのだ。


また、カールハインツ・シュトックハウゼン(ドイツの現代音楽の作曲家)が50年前に一言でこのように言ったことを最後に添えておこう。


「もし遠い星から神様がやってきて、人間の本性について学びたいと思ったなら、まず彼もしくは彼女は、マーラーの音楽を知らずにいてはいけない。」


マネージング・ダイレクター
サイモン・レイニンク


Simon Reinink
Managing Director







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