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ゲット・バック・セッション [海外ロック]

ビートルズはなぜゲット・バック・セッションをやることになったのか。


これは世界中のビートルズマニアが熱く語って止まない、永遠のテーマである。もうネットで検索したら、それこそ無限に投稿があって、みんな熱く語っている。わかるなぁ、その気持ち。


この「ゲット・バック・セッション」のことだけ語っている、それだけで1冊の本になっていたりする。世の中にビートルズ研究家はたくさんいますね。


もうビートルズのビジネスは、クラシック界でいうところのフルトヴェングラー・ビジネスと同じだと思いますね。どんなに年数が経っても、なにか新しいmodifyをして、それだけで話題性、ニュースになって儲けが出る。


それを永遠に繰り返す感じだと思いますね。

本当に深い世界です。


ビートルズ・ビジネスを見るといつも思うことは、「真実はひとつ」だと思うことですね。


それは4人のビートルたちが一番知っていると思うんだけれど、マネージャー、プロデューサー含めその取り巻く環境など、みんなその真実を求めて、後年にじつは・・・だったと熱く語るという世界なんじゃないかな、と思うんですよね。


自分もご多分に漏れず、ビートルズ・ファンであった。


中学生のとき、ポール・マッカートニー&ウィングスから入っていって、そこからビートルズを知って、ビートルズの偉大さを学んだ。


えぇぇ、そりゃ夢中になりましたよ。
でも中学生のときのハンディキャップは、お小遣いが少ないということである。


ビートルズのレコード全部欲しかったけれど、お小遣いがないから、本当に欲しいのだけを買うしかなかった。自分は初期のライブ感、エネルギッシュな曲もいいけれど、やっぱりレコーディングに凝り始めた中後期が好きだった。そのレコードの作品性に存在感がある中期、後期のレコードが好きだった。


まず買ったのは、サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(以降Sgt.Papers)、アビーロード、レット・イット・ビー。これは必須だった。お小遣いが少ないから、残りは、いわゆる通称ビートルズ赤盤(1962~1966)、青盤(1967~1970)のベスト盤のLPを買った。


この赤盤、青盤の果たした役割は大きかった。お金がない子供にとってビートルズの曲を全部知るには、この赤盤、青盤は最高のレコードだったのだ。


ホワイト・アルバムとか、リボルバー、とかラバー・ソウルとか、そのレコードとしての作品性がすごく評価されていた頃のレコード欲しくて欲しくて堪らなかったけれど、買えなかったね。


でもいまハイレゾ・ストリーミングで聴いてみて、そうか!こんな作品だったんだ!と何十年ぶりに大感動!いま自分の中では秘かなるビートルズ・ブームが来ています。


その夢中になっていた子供の頃にどうしても果たせなかった夢があった。
それは映画「Let It Be」を観ていないことだった。


あの有名なアップル・コア本社ビルの屋上でのルーフトップ・コンサート(屋上ライブ)は、子供の頃、テレビの深夜放送帯で流れていたのを観たぐらい。そのとき、いやぁカッコいいなーと超憧れた。


映画「Let It Be」は1970年に公開された映画だが、パッケージメディアの作品になったのは、VHS,Beta,LaserDiscの頃だけなのだ。なぜかDVDになっていない。だから自分は入手するタイミングを逸してしまった。


なぜDVDになっていないか、というと、この映画の中でポールとジョージがケンカ口論するところがあって、それをポールが嫌って許可しないといううさぎさんの話。


そうかー、そうなればますます観たくなる。
アマゾンで調べたらあった。
さっそく購入。


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じつは、この映画「Let It Be」は公開された本編からどんどん海賊盤が出まくっている作品で、自分が買ったのはやはりどうも海賊盤らしかった。観たんだけれど、ポールとジョージの口論と思われるシーンがないんだよね。


ジョージがポールに議論をぶつけている場面はあるんだけれど、ケンカとは思えない。本編では、レコーディング中、各メンバーにあれこれ指図するポールにジョージが嫌気がさして、食って掛かる場面らしいのだが・・・。


だから、このケンカの場面はカットされているんだと思うんですよね。ボクの買った海賊盤は。。。


「ゲット・バック・セッション」のことを知る必要があったのは、この映画「Let It Be」がどういう映画で、どういう当時の彼らの環境の中で生まれた映画なのか、ということを知らなければいけなかったからだ。


この「ゲット・バック・セッション」のことはネットにいっぱい投稿があって熱く語られている。そして1冊の本にもなっているのだ。


自分は「ゲット・バック・セッション」のことを勉強したくて、こういう本を購入した。


ビートルズはなぜゲット・バック・セッションをやることになったのか、「GET BACK...NAKED 1969年、ビートルズが揺れた21日間」。


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GET BACK...NAKED 21DAYS THAT ROCK'N'ROLLED THE BEATLES IN 1969

藤本国彦





これは変に難しくなく、わかりやすく書かれていて、話の内容もかなり真実味があるというか説得力があった。なにせ、ゲット・バック・セッションの1日単位でバンドがどのようなことをやったのか日記のように詳細に記されているのだ。この著者の藤本国彦さんは、日本でもビートルズ研究の第一人者として有名な方のようだ。


「ゲット・バック・セッション」とはなんだったのか?の説明に挑戦してみる。


ホワイトアルバムをリリースした後、ビートルズのメンバー間の関係がギクシャクしてきてバンドとしての危機だったんだな。彼らはレコーディングの手法にオーヴァーダヴィングを重ねに重ね、凝りに凝った作品を作ってきたんだが、そういうバンドとしての危機にあたって、ポールがもう一回原点に戻ろう!(GET BACK)オーヴァーダヴなしの初期の頃のようなライブ一発録りでやろう。とメンバーに呼び掛けた。


そしてまたライブをやろう!


でもいまやメンバー間には当時ような覇気がなくてそれがうまくいかなくていろいろ試行錯誤の上、結局レコーディングしている模様をずっと撮影してドキュメンタリー映画にしよう。そしてライブパフォーマンスとしては、アップル・コア本社のビルの屋上でゲリラ・ライブをやって、それを映画の中に盛り込もうという感じで収まった。


でも結局その撮影した映像素材も結局放置という感じで、作品にならなくて、このままビートルズが瓦解して終わりになるのをポールが恐れて、最後にもう一回集まって、本当に最後のアルバムを作ろうと呼びかけた。


そうして録られたのが、「アビーロード」だったわけだ。


結局「ゲット・バック・セッション」で録った素材は、いったんアルバム「GET BACK」として作られ、ジャケット写真も撮影されたものの、その散漫な完成度に満足できずそのまま棚上げになってそのまま放置という感じで、ビートルズは解散するまでの間に、世に出ることはなかった。


その解散後に、プロデューサー、フィルスペクターがその放置されていた素材を「Let It Be」としてプロデュースして世に送り出した。


このフィルスペクターという氏が、フィルスペクター極悪人説というのがあるくらい、彼のプロデュースしたLet It Beはオーケストラ、コーラス入りなど装飾の色をつけ、ポールが当初ぶち上げた「原点に戻ろう(GET BACK)」というバンドらしい音とはかけ離れたサウンドだった。アルバムタイトルも当初は、「GET BACK」だったのに、「Let It Be」になった。


まっ自分が聴いてみたところ、そんなに派手な装飾がついているのは、「ザ・ロング・アンド・ワイディング・ロード」くらいのような感じがしたのだけれど。。。


このフィルスペクターがプロデュースしたコーラス入りのオーケストラアレンジありの「Let It Be」は、ポールにとって、自分のキャリアを破壊された大嫌いなバージョンであったのだ。だからずっとこのアルバムに対して積年の怨念を持っていたんだな。


2003年に、そのLet It Beを、本来のリアルなバンドサウンドに蘇らせようとしてポールが制作したのが「Let It Be...naked」というアルバム。


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さすが執念のポール。(自分はいままで知りませんでした。)


アルバムの曲順も全然オリジナルと違います。ポールの主張があります。


たしかにポールの執念だけれど、小さな中学生の頃からこれがLet It Beですよ、として聴いてきた(特にザ・ロング・アンド・ワイディング・ロード)のを、いまになって、これが本物です、と言われてもそんなに器用に立ちまわれないような・・・。(笑)長い年月が経っているから、これを自分の中に取り込めるようになるには時間がかかる。


映画「Let It Be」もその後、編集されて、公開された。


ゲット・バック・セッションは、1969年1月2日から1月30日の真冬のロンドンで彼らがおこなったセッションで、1月2日~1月16日まではトゥイッケナム映画撮影所においてリハーサル・セッションと撮影を行った。セッションをするけれど、映画のための撮影ということもあって、スタジオじゃなくて映画撮影所だったようだが、映画を見る限りでは、だだっ広い中で結構寂しい感じがした。


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だたっぴろい撮影スタジオ、そして一挙手一投足を撮影しているカメラマンに囲まれ、レコーディングはけして良い雰囲気では行なわれなかった。メンバーには破棄がなく、演奏も怠惰で、思いつくままギターをつま弾くというお粗末な感じ。


これは自分のようなビートルズマニアでビートルズが好きな人には堪んないかもしれないけれど、普通の人が観たら退屈だろうなという感じはしました。


結局ここでのセッションは、後に、フィルスペクターがプロデュースした「Let It Be」には一切使われていない。



1月20日、場所をアップル本社ビル地下にあるアップル・スタジオに場所を変え、レコーディングを再開する。メンバー間の緊張を緩和するには他者の目が必要だと考えたジョージは、キーボードとしてビリー・プレストンをセッションに招聘した。


自分は、このゲット・バック・セッションのことを勉強して、映画「Let It Be」を観て、初めてこの5人目のビートルズ(黒人です)の存在を知った。当時の瓦解寸前のビートルズの中で緩衝材的な存在だったらしい。


アップル・スタジオにおけるセッションはビリー・プレストンが緩衝材となったことなどから、トゥイッケンナム・スタジオにおけるセッションとは雰囲気が変わり、ビートルズの「魔法」が再び起こりつつあった。そして、それまでの緩慢な演奏とは異なり、改めて新曲をレコーディングするという意気込みが感じられる完成度の高いものになった。


「Let It Be」とか、「ザ・ロング・アンド・ワイディング・ロード」とか、そして屋上ライブの「GET BACK」ですね。


結局いままでのビートルズの完成度の高いアルバムに比べて、ライブ一発録りの散漫な感じに聴こえるアルバム「Let It Be」の中で、従来と変わらない完成度だったこの3曲は、この後半のセッションで生まれたことになる。


そしてゲット・バック・セッションの最終フェーズ、1969年1月30日。

あの伝説のアップル・コア本社屋上でのゲリラ・ライブであるルーフトップ・コンサート。


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これはもう最高ですね!


結局ゲット・バック・セッションの行きつくところは、この屋上ライブのシーンではないか、と思いますね。警察に予告なしのゲリラライブですから、当然市民もなんだなんだ?なんでビルの屋上から騒音が出てくるんだ?という感じで戸惑っているシーンがなんともリアルです。そして警官も集まってくる。


そして警官が屋上に上がってきたときに、思わず怖くて付き人がアンプのスィッチを切ってしまうのを、ジョージがまた入れなおすシーンとか。この部分だけ音が途切れます。(笑)


このライブセッションはとにかくカッコいい。ようやく子供の頃からの積年の夢がかない、この屋上ライブのフルバージョンを観ることができました。


ビートルズのライブパフォーマンスの中で1番格好いいです。


真冬のロンドン、寒さは半端じゃないし、風が吹きすさぶ屋上での演奏。ジョンとリンゴが。”ステージの袖”でビートルズを見守るヨーコとモーリンにそれぞれ女性用のコートを借りて演奏したのは、マニアにはよく知られた話です。


ゲリラライブで思い出しましたが、昔、郷ひろみが渋谷でゲリラライブをやって警察に逮捕されましたね。あれは、このビートルズの屋上ライブからヒントを得たのでしょうか?(笑)


ビートルズの場合も、その可能性もあったらしいですが、結局逮捕には至らなかったそうです。でもリンゴは後年、あのとき警察に連行されていたら、最高にカッコいい終わり方だったのに!と悔いています。(笑)


これが「ゲット・バック・セッション」である。

これでも簡潔に説明したつもりだが、実際はまだまだ深くてマニアックなのだ。

自分も勉強したばかりなので、マニアの方からするとこれじゃ足らない部分もあろう。
熱狂ファンはもっと細かいところを言及して痺れている。


もちろん映画「Let It Be」に使われたのは、この長い長い「ゲット・バック・セッション」の一部でしかない。


そんな風に、自分にとって「ゲット・バック・セッション」について勉強していたら、信じられないニュースが飛び込んできた!!!



「ロード・オブ・ザ・リング」で有名なピーター・ジャクソンが監督によるビートルズの新ドキュメンタリー映画「The Beatles: Get Back」が今年9月に北米で公開へ。



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「Let It Be」じゃなくて、「Get Back」だ!
ポールの初志貫徹の想いが伝わったのだろう。


ずっと廃盤になっていて残念な思いをしていた映画「Let It Be」が、新しいドキュメンタリーとして帰ってくる。


配給元はウォルト・ディズニー・スタジオ。この映画には、1969年の“ゲット・バック・セッション”からの未公開映像と、アルバム「Let It Be」のレコーディング・セッションからの未発表音源が収められている。


今後、1970年の映画「レット・イット・ビー」にも修復作業が施され、レストア版として公開される予定だ。ザ・ビートルズの歴史的名盤「Let It Be」のための親密なリハーサル風景とレコーディング・セッションに光を当てた映画「The Beatles: Get Back 」には、1969年1月にサヴィル・ロウのアップル・コア本社の屋上で行われた42分間の“ルーフトップ・コンサート”の全貌も収められている。


現存する2人のビートルのコメント。


ポール・マッカートニー


「ザ・ビートルズのレコーディングが実際にどんな様子だったかという真実を映し出したこの映画の製作のために、ピーターが僕たちのアーカイヴを掘り下げてくれたことを本当に嬉しく思っています。僕たちの友情や愛がこの作品によって蘇り、僕たちが共に過ごしたとてつもなく美しい時間を僕に思い出させてくれます」


リンゴ・スター


「この映画の公開が本当に楽しみです。ピーターは素晴らしい監督で、この作品に収められている映像全てに心が踊りました。あの頃の僕たちはただただ笑い合ったり、世に知られているヴァージョンとは似ても似つかぬような演奏をしたりして何時間も一緒に過ごしました。あの喜びに溢れていた時間を、ピーターはこの映画の中で描き出してくれることでしょう。この作品は、本来のザ・ビートルズの姿がそうであったように、平和と愛に満ちたものになると思います」。



もう超興奮だが、よく考えてみたら、ビートルズの名盤は、今が、ちょうど50周年に差し掛かってきており、Sgt.Papersも50周年記念盤を出したし、アビーロードも50周年記念盤を出したばかり。そして今回がLet It Beの50周年の番になったということだけなのかもしれない。Let It Beは、アルバムだけじゃなく映画もあるということで。


映画「Let It Be」は今までいつも復刻の話が出るのだけれど、いつも優先度の高いビジネスが優先されてしまい、後回しにされてきたようだ。でもようやく本懐を遂げた、という感じ。


なんか、急ににわかにビートルズがマイ・ブームになってきた。


COVID-19のおかげで、クラシック関連はすっかり寂しい感じなので、ちょっと浮気して、自分はこれからちょっとビートルズにふたたび熱を上げてみたいと思っている。



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いまこうやって「Let It Be」を改めてじっくりと聴いているが、やっぱりボクにとっての「Let It Be」は、このフィルスペクターがプロデュースした「Let It Be」なんだよな。(笑)








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