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なぜ牛タンといえば仙台なのか? [国内音楽鑑賞旅行]

今回仙台の初代のお店「太助」で味わって自分なりにわかったことは、やっぱり牛タン発祥の元祖オリジナルのお店は、牛タンの肉の質のレベルが段違いに違うということだ。もうここで大きな差が出来てしまう。

べつに自分は仙台牛タンのことは最近知ったばかりで、ほとんど経験がないのだが(笑)、じつは仙台に行く前に、仙台牛タン定食ってどんな感じなのか、事前に東京で3回くらいフライングして経験していたのだ。もちろん夢を壊さないように内緒にしておいたのだが・・・。

そして、この東京での3回の外に、今回仙台で、太助の外に、もう1軒有名なお店で経験した結果、自分が出した結論!

わずか4回での経験しかしていないけれど、なんとなく間違いないような気がする。

それだけ発祥オリジナルの元祖のお店の味は衝撃的だった。

もう太助のを食べた瞬間、いかに東京のは、酷かったのか?ということがわかります。(店名は”仙台牛タン”で売り出していましたが。(笑))

逆を言えば、太助のを食べた瞬間、その段違いのうまさにビックらポンだったのだ。さすが、本場は全然違うな~、みたいな感じで。

自分が自ら経験したその段違いの差。


太助の本物の牛タンを食べると、他の店のは、徹底的に肉質がもう全然ダメで、あきらかに量販レベルの安いタン肉ということが、もうバレバレに分かる。元祖太助のすごさは肉の質の高さにある!と確信したのだ。


牛タンといえば、なぜ仙台なのか?

ここにその歴史がすべて書かれている。

仙台牛タウン「仙台牛タンの歴史」

http://www.gyutown.com/about/history.htm

仙台で牛タンが生まれたことだけで1冊の本になっているくらいだ。

ここで簡単に紹介してみよう。

仙台牛タンの生みの親「太助」の初代店主 佐野 啓四郎氏(故)が、洋食料理の中で使われていた素材「牛タン」の旨さのとりこになり、試行錯誤を重ねた末「牛タン焼き」が誕生した。その自慢の一品を、お店で出したのが仙台牛タン焼きの始まりなのだ。 




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「太助」初代店主 佐野 啓四郎氏


上のURL先の「仙台牛タウン」では、仙台牛タン誕生の真相を、当時の関係者の証言をもとに、明らかにしている。

以下その仙台牛タウンの記事から。


牛タン焼きの誕生は昭和20年代。
時はまさに終戦直後の混乱期、仙台市内は、失業者であふれ、慢性的な食糧難に加えて、酔っぱらいや喧嘩が多く、火事などが多発した物騒な時代であった。

中でも手軽に開業できる焼き鳥屋は大人気で、仙台市内では多く焼き鳥屋が営業していた。牛タン焼きの生みの親である(故)佐野 啓四郎氏も当時は和食の職人として、焼き鳥中心の飲食店を経営していた。

当時は食糧難ということもあり、焼き鳥屋といっても鶏肉だけではなく、豚肉や牛肉など、様々な素材を焼き料理として出していた。

そんな中、和食の職人として腕をふるっていた啓四郎氏の悩みは、焼き料理は調理方法が簡単なので、ヒット商品を出しても、周りのお店に次々と真似されてしまうことであった。

「誰にも真似のできない自分だけの料理を造りたい!」

そんな気持ちが自然と芽生えるようになった。

啓四郎氏は苦しい胸の内を、洋食屋を経営していた親友の小野氏へ相談した。それから、何日かして小野氏から「お店で牛タンを出してみたら?」と提案された。和食では通常扱うことのない素材であったが、職人としての好奇心からどんなに美味しいものかと思い、小野氏の勧めに従って、小野氏の知り合いの洋食屋に行き、タンシチューを食べてみた。

食べてビックリ「コクがあって本当に旨い!」啓四郎氏は、一口で「牛タン」の持つ素材の魅力にひかれた。しかしながらタンシチューは3日も4日もかけてじっくり煮込んで作る料理のため、焼き料理中心のお店では適さない食材。啓四郎氏の牛タン焼き造りの試行錯誤の日々が始まったのだ。


研究をはじめて、すぐに困った問題にあたった。牛タンの素材そのものが仙台市内ではほとんど売っていないのだ。牛タンを求め、宮城県内のと畜場や山形県内のと畜場へ電話をし、運良く牛タンが見つかると後日に取りに行くからとお願いして、牛タンを確保する日々が続いた。

当初は、おっかなびっくりでお客様の口に合うかどうか確かめながら販売する毎日であった。一週間かけて宮城県内や山形へ買い出しに行っても牛タンは10本も集まらなかった。牛タン1本から25枚前後しかとれないので一人前3枚限定としたりした。職人の良心にかけて、1頭に1本しかない牛タンとテールを、いかにお客様に美味しく食べていただくか、そして食べさせ続けるられるか、とにかく頑張ったのだそうだ。


連日、牛タン相手に悪戦苦闘の末、和食の職人ならではのアイデアを思いついた。それは、切り身にして塩味で寝かせて焼く現在の手法。

一人作業場へこもり、牛タンの切り身の厚さ、包丁の入れ方、熟成期間、塩の量、塩の振り方、炭火の火力、焼き加減など、あらゆる角度から研究を重ねれられた。


そして・・・・・ついに、仙台牛タン焼きが誕生したのだ。



太平洋戦争が終結し、日本が復興に向けて歩み始めた昭和23年、仙台牛タン焼きの歴史が始まったとのだから、自分の生まれた年よりずっと先に仙台牛タン焼きってこの世に存在していたんですね。

2018年の今年になるまで、まったくその存在を知らないで生きてきました。(笑)

この牛タン誕生の歴史の話に中にとても大切なことが書かれている。

それは、切り身にして塩味で寝かせて焼く現在の手法。
牛タンの切り身の厚さ、包丁の入れ方、熟成期間、塩の量、塩の振り方、炭火の火力、焼き加減など。


ここなのだ!!!


自分が太助の味と、他の店とを比較した時に圧倒的に感じるその差はなんなのか、はすべてここに隠されていると思うのだ。牛タン1枚なのに、じつはそこには人知れずの秘伝が隠されていて、この世に数多の仙台牛タン焼き屋さんが存在するにもかかわらず、元祖発祥のお店が、一味も二味も違うのは、誰にも真似できない味が実現できているのは、そこにすべてが集約されているのではないか、と思うのだ。

それこそが佐野啓四郎氏が日頃悩んでいた誰にでも真似できてしまう、誰にも真似できない自分だけの料理を造りたい!その結晶がいまの太助の味なんだろうと思う。

だって、自分がじかに食べてみて、あきらかに違うもん!(笑)
全然違う。。。


そんな仙台牛タンの発祥のお店「太助」に行ってきた。仙台観光のメインイベントである。
佐野啓四郎氏の初代の「太助」のお店は、現在は息子の「味太助」と娘婿の「旨味太助」の2店舗に分かれる。

なんか、純連とすみれみたいだ。(笑)

店舗は国分町にあって、仙台駅から地下鉄南北線で、「勾当台公園」で下車して、商店街の中にある。お互い100mもないくらい近くにある。

やはり発祥のお店なので、行列は仕方がない。でも東京の人気ラーメン店のような非常識な行列でなく分別ある程度なので、5分~10分位で入れる。

自分の感覚では、旨味太助のほうが美味しいと思う。
結局、旨味太助は2回訪問した。味太助は1回。

それをレポートしよう。

まず2回行った旨味太助。


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旨味太助の看板の上のほうに、味太助と書いてある。
これはやはり太助の正当な直系の跡取りは味太助のほうで、その傘下ですよ、という意味合いなのか・・・不明である。

でも旨味太助のほうが美味しい。(笑)

老舗だけあって、店内はすごい狭い。
最初に1回目は、カウンターは無理で、奥の座敷の方に通された。

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なんか雰囲気ある~。(^^)(笑)

当時つぶやいたときは、発祥のお店なので、天皇陛下・皇后さまが、来店なさってそのパネルがあります、とか言ったけれど、よく考えたら、こんな正装で来るはずもなし。(笑)

おそらく東日本大震災のときかあるいはなにかの時に仙台に来られた時に撮影されたものなのだろう。

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そしていよいよ発祥のお店の牛タン定食。麦めしとテールスープつき。
3枚、4枚、6枚という感じで枚数を選べるようになっている。それだけお値段は張りますが。。。
もちろん自分は6枚をオーダー。


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もうドッキドキ。(笑)

とにかく見た目がお肉が太っていて、とても美味しそう。
この太っている感覚がとても大切なのだ。(他のお店との比較で大切なポイントです。)

さっそく牛タンを口に頬張ると、その香ばしさ、とても柔らかい、そして歯ごたえととにかく食べ応えがあって、美味しい!の一言。やっぱり太っているお肉は美味しい!

自分がいままで東京で食べてきたものはなんだったんだ?という感じになってしまった。
やっぱり本場の牛タンは違うな~と思ってしまった。

不思議だったのは、これだけ太っていると、見た目太ったお肉は、人間の脳の中では必ず味覚として焼肉を連想することなのだ。

でも実際食べてみると、焼肉じゃないのだ。(笑)
一瞬あれ?と思ってしまうはず。(笑)

やっぱりタンの味なのだ。

あ~いま自分はタンを食べているんだな、とそのときに再確認してしまう。
やっぱり牛タンだよな~という感じ。

見た目丸々太っていて、ジューシーで香ばしくて、とても柔らかくて美味しいのだが、味はタン(笑)、そんな感じが太助の牛タンの味である。とにかく美味しい。

6枚ともあっという間に平らげてしまった。

麦めしなんていうものも、こんなときくらいしか食べる機会がなく、自ら好んで食べるものでもないだろう。なかなか牛タンと相性抜群であった。

テールスープというのは牛の尻尾のスープのこと。
これは珍味。薄味だけどとてもダシの効いた感じでいい味出していると思う。
骨付きの尻尾の肉や、肉だけの塊が入っている。ネギの千切りが入っていてさっぱりしていて、スープの魅力を引き出していた。

あまりに美味しく衝撃的だったので、翌日もう一回訪問した。
そうしたら運よくカウンターに座ることが出来た。

旨味太助はこんなに狭いお店なんですよね。

初代店主の啓四郎氏の額縁が飾られていますね。

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カウンターはなにがいいか、というと、大将が牛タンを網で焼いているところをじかに観れることなのだ。


焼いています。(笑)

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でも、この方は、旨味太助の店主、佐野八勇さんではありません。
ガイドブックに載っていた写真とは違います。

ちょっとここいらのノウハウ含め大切なことは、このつぎの味太助のときに説明をトライしてみよう。

もちろん今回も6枚をオーダー。
大変美味しゅうございました。(^^)

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次に息子が経営している味太助のほうを訪問した。
相変わらず昼の夜も大行列だ。

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ここも大体旨味太助と変わらない感じくらいの店内スペースだが、味太助の方が店自体古くて、狭い感じがする。

こちらも狭い。


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お店の壁には、ここにもやはり初代の佐野啓四郎氏の写真が飾られていました。
堂々と目立つところに飾っているのは、このお店、味太助こそが初代「太助」の直系である! という主張なのでしょうか?(笑)


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でも旨味太助のほうが美味しいです。(笑)


ここでもカウンターを陣取ることができて、大将が牛タンをじかに網で焼く姿を拝見することが出来た。尚、この方が佐野啓四郎氏の息子さん、店主なのかどうかは、不明です。(左利きです。)
雰囲気あるので、っぽいですが・・・。

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ここで網の横にある牛タンを乗せて山盛り状態にしてあるところに注目してほしい。
これは旨味太助のほうもこうなっていて、ここから牛タンを1枚1枚剥がして、網の上に乗せて焼いていくという感じなのだ。

これは初代「太助」からの伝統なのでしょうね。



焼いています。(笑)

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こちらも3枚、4枚、5枚とあって(なぜか6枚はなかった)5枚をオーダー。

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確かに美味しかったが、肉の太り具合、食べ応えなど旨味太助のほうが美味しいように思えた。
こちらの牛タンは、ちょっと痩せているように感じたのだ。
もちろん美味しいことは美味しいのだが。



これで終わりにしておけばよかったのだが、ガイドブックを見て、どうしても行きたい牛タン屋さんがあった。利久とか有名どころがたくさんあるのだが、喜助というお店に行ってみたかった。

発祥のお店を体験できたのだから、それで十分といえば十分なのだが、いわゆるチェーン店のような有名なお店の仙台牛タン焼きってどんな感じなのか?も体験したいと思ったのだ。

喜助は仙台市内でもたくさん存在するが、駅前中央店を選んだ。

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いかにもチェーン店らしく近代的で清潔感溢れるお店だ。

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メニューを見てオーダーするときに、女性の店員さんから、タレですか、塩、味噌、どの味になさいますか?と聞かれる。(笑)

いままでに経験のないことだ。たしかにどれもイケそうだ。

でも仙台牛タンは塩が基本なのだ!

タレとか、味噌とか邪道である。(笑)
でも味噌にしてみた。(^^;;

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もちろん美味しい。食べてとても美味しいと思うのだが、なんか違うんだな。
やっぱり一番違うと思うのは、タンの肉の質。
こちらは見た目、太っていなくて、食べてもあまり柔らかいという感じがしない。

太助で食べたような衝撃はなかった。
東京でフライングして食べた牛タンの延長線上にあるように思えた。

このときにこの日記の冒頭で述べた自分の見解を確立することができたのだ。
しみじみとそう思った。

誰にも真似できない自分だけの料理を造りたい!

そこが原点で、牛タンの肉の仕入れ先から、その仕込み、調理法含め、まさに秘伝なんだろう。
とくに肉の柔らかさというのが、太助と他のお店の徹底的に違うところだと思う。
塩でつける塩梅など、まさに秘伝ノウハウの固まりなのだろう。

仙台市内だけでも無数の牛タン屋さんがあるし、全国各地にも無数にあって、おそらくいろんなバリエーションの牛タン焼きを体験できるのだろうし、その味はそれこそ千人十色なんだろう。

そう思えば納得のいくところだ。

味太助のほうは、東京の水道橋に分店があります。
行ってみようと思っています。

仙台牛タン、知ったのは人生後半だけれど、この発祥のお店の味を知ってしまったことはある意味不幸なことだったのかもしれない。(笑)


最後に太助のお店の外に飾ってあったお店のモットーの看板を紹介しておきます。



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仙台フィルの第九 [国内音楽鑑賞旅行]

日本の年末行事、第九。まさか仙台で聴くことになるとは、予想もしなかったが、自分のクラシック鑑賞人生の中でも大きなメモリアルとなって一生記憶に残るだろう。

なぜ仙台フィルなのか?

それは前回の日記の時に深く述べたので、ここでは繰り返さない。
自分に関与すると思われる人が、いっせいにこの第九のコンサートに勢ぞろいすること、そしてクリスマスを仙台で過ごすことにとても魅力を感じたからである。

そして仙台フィルを地元で聴くことは、運命で避けられないことだと確信したこともある。

ホールは、仙台銀行ホール イズミシティ21。

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全体をフレームに収めるのは難しいので、これが精いっぱい。

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地下鉄の南北線で、一番最後の終着駅「泉中央」で下車して、すぐ。
最近は地下歩道が出来てたので、そのままその通路を歩いて行けば、地上に出て、すぐ目の前がホールだ。アクセスが抜群にいい。

ホールのジャンルとしては、多目的ホール。

コンサートやオペラ、バレエなど幅広いジャンルの大型の公演対応の大ホール、発表会やミニコンサートで密な空間を生み出す小ホール、展示会からダンスパーティ、会議まで使える展示室のほか、スタジオや練習室で構成される複合施設。

ホールを運営していくという点では、いろいろなジャンルで使える複合施設にしておくことは、スケジュールの空きを作らず、つねにコンテンツで満たされるようにビジネスをやっていくという点で必須ですね。

確かにクラシック音楽専用ホールは、究極の憧れかもしれないが、実際ホール運営を黒字で回すようにしていくには、クラシックのコンサートだけで、それだけで毎日、つねにホールを満杯にするのは、コンテンツ供給という点でやはり大変なこと。

「仙台に音楽ホールを!」という動きもあるようで、やはり音楽家の方にとっては、クラシック音楽専用ホールをフランチャイズにもつってすごく憧れることなんですよね。それも痛いほどよくわかる。

地方のホール運営は、そのコンテンツ供給問題ふくめ、運営していく上で、なかなか制約があって、難しいものがあるのだけれど、もし音楽ホール実現!となった暁には、ぜひ応援させてもらいますよ。

このホールは、市民の自主的な文化活動を促進し、もって市民の文化の振興を図ることを目的として設置されている。なので、まさに音楽専用というのではなく、広く市民の文化振興を目的としているところからも、このスタイルのホールは納得できる。

仙台市市民文化事業団・東北共立・石井ビル管理グループが管理運営を行っている。


仙台フィルは、いつもフランチャイズ・ホールとしては、日立システムズホール仙台を使うのだけれど、今回の第九でこのホールを選んだのは、大合唱団をステージに入れるには、ステージの奥行きがこちらのホールのほうがゆとりがあるように思えたからなのだが、どうだろうか?

真ん中にロビー空間があって、その両端に大ホール、小ホールがある。
なかなか新しく出来たばかりのようで、とても綺麗な施設だ。

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ホワイエ

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多目的ホールのスタンダードな形状のホール。
開口型のステージにやや扇形気味に見えるが、じっさいは平行壁関係のシューボックス。そしてホール視野のことを考えた傾斜のある客席。

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自分の座席からみたステージ(ど真ん中、前方)

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ホールの音響は、じぶんは中央ど真ん中の前方よりの座席だったので、そこでの印象なのだが、オーケストラのサウンドがとても明晰で濁りなどいっさいない、そして音伝播上の損失ロスがいっさいない、とてもクリアな音響のように感じました。

その反面、座席が前方ということで、ホール空間の音、響きが聴こえにくいこともあると思うが、オーケストラのサウンドに対して、それを取り巻くはずの反射音、響きがそんなに感じなかったような・・・

とにかくそのオケの大迫力のサウンドにびっくりした感じ。ふつう、オケのサウンド6(あるいは7)に対して、響きが4(あるいは3)ぐらいの割合で、全体のシルエットが聴こえてくる感じなのだけれど、かなり直接音主体でどちらかというとソリッドな音質で、自分に迫ってくるようなサウンドだった。

仙台ファイルのサウンドは、後述で詳しく。



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仙台フィルの第九。

仙台フィルは、毎年年末になると恒例の年末行事である第九演奏会をおこなう。定期公演とは違う「特別演奏会」という位置づけである。自分は、この日の実演に接するまで、全然知らなかったのであるが、とにかくびっくりしたのは第九合唱団のその大編成な所帯。

えぇぇぇ~?そんなに乗せる?という感じで(笑)、ステージの横幅はそんなにないけど、奥行きがあるので、そこにどんどん合唱団が何列にも重なっていくのは圧巻なものがあった。

最近の第九の合唱構成という言い切り方はできないけれど、比較的少人数編成で、前後2列~3列位がスタンダードかな?とも思うのだが、ひさしぶりの大編成な第九な合唱団を見た。

その厚みのある人の声の合唱は、じつに迫力あって、美しい調べを奏でていた。
録音より生演奏がぜったいいいと思うのは、絶対この合唱ですね。

あの合唱のホール全体に行き渡るスケール感の大きさ、そしてそれぞれ声のキーの高さが違う方々による幾重にも重ねられた声のハーモニー、和声感の美しさ。これは絶対生には敵わない。

これも今回はじめて知ったのだが、この仙台フィルの第九の合唱団として、

仙台フィルと第九をうたう合唱団
常盤木学園高等学校音楽家1・2年生
宮城学院女子大学音楽家有志

などで構成された混声合唱団だったのだ。

「仙台フィルと第九をうたう合唱団」というのは、「第九」特別演奏会での仙台フィルとの共演を目的に、オーディションを経て結成された市民参加型の合唱団。20代~70代までの幅広い年齢層で構成されていて、仙台市民に限らず、多賀城市や岩沼市、など県外などから約120名が参加している、いわゆるこの演奏会のためのボランティアなのだ。

一般参加型としては今年で12回を迎え、オーケストラをより身近に感じていただく機会として、着実にその輪を広げてきた。震災を経験して歌う喜びを分かち合いたいという思いで参加された方も多く、初めての方や何十回も歌われてきた方などさまざま。

8月から週一回練習を重ねて、本日の演奏会を迎えたのだ。

小澤さんのサイトウキネンの合唱もそう、地元松本の合唱団有志で構成されている。
都会のようにプロで生活している合唱団がいるわけではない、地方独特の事情なのだが、それにしてもその合唱のレベルの高さ。

本当に驚くばかりである。

今回のことを知るまで、まったく先入観なしに聴いていたので、仙台でプロの合唱として生活している人たちなのかな?ぐらいにしか思っていなかった自分はその素晴らしく分厚く美しいハーモニーは、当然のことと思っていたのだが、こういう背景を知ったいま、あらためて驚くしかないのである。

今回の第九のコンサートである意味もっとも自分にとって衝撃的だったのは、この合唱のパフォーマンスだったもしれない。

ソリストの澤畑恵美さん(ソプラノ)、金子美香さん(メゾ・ソプラノ)、片寄純也さん(テノール)、大沼徹さん(バリトン)もじつに素晴らしかった。ここはみなさん、さすがに二期会のプロ。自分が思い描いていた通り、まさにこの曲に対するイメージ通りの見事な歌いっぷりだった。

特にメッゾの金子美香さんは、今回の自分の主役的存在でもあり、その美声、豊かな声量を十分に堪能させていただいた。今年夏のバイロイト音楽祭の「ワルキューレ」で日本人歌手としての出場に日本中が沸いた。

今回、実演に接するのは初めてだと思う。
自分の記憶にないのだ。とても満足。今回このために仙台まで足を延ばした甲斐があったというものだ。

澤畑恵美さんは、いままでかなりの回数、実演に接していると思う。
ミューザ川崎の東響の名曲全集での第九やマーラー2番「復活」で何回も聴いたような記憶があります。独唱するパートが多く、見せ場も多く、堪能させていただきました。素晴らしかったです。



仙台フィルは、自分が予想していた以上に素晴らしいオーケストラであった。
とにかくその発音能力の高さに驚いた。大音量なのである。(笑)オーケストラとして歌う能力があるというか、鳴らす能力が十分すぎるほどある。

特に弦の厚みと、ユニゾンの美しさは卓越したレベル。オーケストラの楽器は、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロなど、その大半が弦楽器が占めている。ここにしっかりとした土台があると、オケ全体のサウンドも締まるし、オーケストラの個性の大半もそこで決まってしまうと言ってもいい。



自分の前方中央の座席で聴いていると、その弦の厚み、アンサンブルの精緻さ、アインザッツが一致している感覚とか、かなり秀逸で感心させられることが多かった。そしてとにかく大音量なのである。

木管などの管楽器の安定ぶりも素晴らしいものがあった。なによりもすべての楽器の調和から、オーケストラ全体として、とてもバランス感覚がとれているオケだと感じた。

その精緻な演奏能力と発音能力に長けていることから、第九という終盤に向けてどんどんとクレッシェンドしていく爆発力、盛り上がりは見事なまでに花開いた演出だったように思える。



敢えて及第点をつけるなら、ホールのせいなのか、座席のせいなのか、わからないが、響きがあまり感じられず、じかにシャワーのように硬質な弦のサウンドを浴びせられるものであるから、やや耳にキツく感じたことも確か。

単にアンサンブルの素晴らしさだけではない・・・なんというのかな、弦の音の解像度の高さ、まさに弦が擦れる音が聴こえてきそうなぐらいキレッキレのサウンドなのだ。ちょっと耳が痛くなる感じなくらい。(笑)

もっとシルキーで絹糸のような肌ざわりの音色の質感や強弱の緩急があると、もっと表情豊かな演奏になったかもしれない。要はちょっと潤いのサウンドが欲しかったというところです。

まっこれはハコのせいかもしれませんね。

飯守泰次郎さんは、もう大河のようにこの大きな流れにある曲をまとめきっていてさすがだと思いました。もう指揮者としても大御所。逐次細かなキューを出すわけでもなく、ある程度団員たちに任せきったような大らかで全体を俯瞰した大捌きな指揮はさすがだと思えた。


ほんの少し前まで体調を崩されていることがあって、出演をキャンセルすることがあったので、とても心配していたのであるが、この日見た限りでは、とても元気そうで安心しました。

仙台フィルを聴くなら、まず飯守さんの指揮で、というのが自分の心の中の大きな目標としてあったので、心願成就。言うことないです。

そして最後に 西沢 澄博さんの首席オーボエ奏者としての勇姿、しっかり拝見してまいりました。
調音のA(ラの音)から、すべてにおいて。真正面に座っていたので、飯守さんに重なって姿は見えなかったけれど(笑)、その嫋やかなオーボエの音はしっかり聴こえていました。

ある意味、西沢さんの勇姿を見ることが、地元仙台まで行こうと思ったキッカケなのですから、想いが遂げてよかったです。


今年の聴き納め。

そして年末の第九を仙台にて、仙台フィルで聴けたことは、今年2018年の自分のクラシック・シーズンを締めくくる上で、本当に最高の自分へのご褒美だったと言っていいと思う。



仙台フィル第九特別演奏会、二日間が終演。

合唱団は終演後解団式を行いました。常盤木学園高等学校音楽科、宮城学院女子大学、エキストラの方々、仙台フィルと第九をうたう合唱団、飯守マエストロとの記念写真です。

仙台フィルと第九をうたう合唱団は、また来年の第九を目指してオーディオションから始まるんですね。(笑)

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(c)仙台フィルと第九をうたう合唱団twitter


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仙台フィルハーモニー管弦楽団 特別演奏会「第九」
2018/12/22(土)15:00~ 仙台銀行ホール イズミシティ21

モーツァルト
歌劇「ドン・ジョバンニ」K.527 序曲

ベートーヴェン
交響曲第9番 ニ短調 作品125 「合唱つき」


指揮:飯守泰次郎

ソプラノ:澤畑恵美
メゾソプラノ:金子美香
テノール:片寄純也
バリトン:大沼徹

合唱指揮:佐藤淳一

合唱:

仙台フィルと第九をうたう合唱団
常盤木学園高等学校音楽家1-2年生
宮城学院女子大学音楽家有志

コンサートマスター:西本幸弘
客席首席ヴィオラ:中村智香子

管弦楽:仙台フィルハーモニー管弦楽団









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