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切手コレクション [雑感]

このペーパーレスなネット&電子化時代、いまの若いもんは、切手収集なんて根暗な奴のすることだ、なんて偏見もあるんだろうなぁ。(笑)

自分は、いまはやっていないが、子供の頃は切手を集めることが大変な趣味だった。結構みんなガキどもは全員やっていた。今のハイテクの時代、切手収集という趣味は、存在しているのだろうか?

自分もすっかり忘れていたんだが、さっきSNSの投稿で、切手コレクションのお話をしているのを偶然見て、おっ、そういえば自分もやっていたなー。確か今も持っているはずだ、と探したらあった。(笑)

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自分の切手収集の過去は、大きく2期に分かれる。

小学生のとき、向いに住んでいたお兄ちゃんに結構影響を受けていて、なんでも真似をしていたことがあって、切手収集の趣味をされていたのを見て、自分も憧れて、やり始めた。

そしてオヤジが、当時郵便局で、必ず定期的に切手を販売していて、それを買ってきてくれていた。これが子供の頃、大変な楽しみだった。

それを切手帳に入れて、それを眺めているだけで、子供心に幸せ、というか、その所有感が堪らなかったな。

でも子供の頃はお小遣いなんか、たかが知れているので、どうしても買えない憧れの切手があった。向かいのお兄ちゃんは、父親は同じ職業なのに、なぜか、うちよりもお小遣いが多いらしく、そういう自分の憧れていた切手を何枚も持っていた。

子供心にすっごい羨ましかった。(笑)

切手コレクションは、中学に入ったらピタッとやらなくなり、そこからは洋楽ロックと渓流ルアー釣りを趣味とする少年と変わった。親戚のおじさんに、「君の年代で男の子だったら、ステレオとかそういうのに興味を持つと思っていたが、釣りか~(笑)渋いな。」とか言われた。

これも向かいのお兄ちゃんがルアー釣りをやっていたので、その影響を受けた。
エサ釣りじゃダメなのだ。ルアーを集めるのが男心をくすぐるというか、やっぱり子供って特に男の子はそういう収集癖があるんだな。当時、釣りキチ三平が大流行していて、漫画もがっちり集めて、嵌った。

そして渓流なので、北海道のそんなところに行くと当然、熊の出没の危険がある訳で、そんなところに恐れも知らず、どんどん入っていった。イワナとかアメマスが主だったが、当時から幻の魚イトウは憧れた。


オヤジも大の釣り好きなので(死ぬまで趣味でした。)、その危険行為が発覚するたびに、偉い怒られた。

ステレオ?

ええ、いまやってます。(笑)


すまん、脱線した。

中学に入ってから、切手のことはすっかり忘れていて、そして社会人になって、2004年頃まで、ずっと存在そのものも忘れていた。

ところが、なんかネットで見たのかな?

子供の頃に買えなかった切手を偶然見たことに始まり、いまなら買える!(笑)

何十年ぶりかに、切手のことを思い出し、猛烈に買い始めた。
子供の頃の欲求不満を一気に晴らすかのように・・・。

猛烈に出費しました。

そして、子供の頃に欲しくて、欲しくて、堪らなかった高価な切手を片っ端から買いあさって、欲求不満を一気に晴らす。切手収集の第2期は、わずか数か月の短期間ですべて終了しました。(笑)

あれから何十年もの間に出た新しい切手は、全く興味がなく、あくまで子供の頃の憧れだった切手のみ集める、そんな感じです。


小学校の頃に集めていた切手帳は、おそらく失くしてしまったはず。
だから第2期はゼロからのスタートだった。

全部ヤフオクで買い漁ったのではないだろうか。
憧れていた切手だけでなく、子供の頃に持っていた切手も探した。
不思議とちゃんとくっきりと頭の中に覚えているもんなんだよな。

上の小さなサイズの切手帳2冊が子供の頃に使っていたやつと同じもの。
童心に戻りたかったので、ヤフオクで同じやつを探したらあった。

ずばり子供の頃に憧れていた切手というのは、「月の雁」と「見返り美人」。そして国際文通週間の「蒲原」。


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月の雁

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見返り美人

                                               

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蒲原


当時の値段で、月の雁は1万6千円、見返り美人は8千円、そして蒲原は3千円だった。

子供にはぜったい無理!当時のお小遣いって、500円や千円くらいじゃなかっただろうか?

月の雁や見返り美人は、いまでも切手収集の王者的存在ではないだろうか?

上の値段は、1枚に付きである。

第2期でシートになっているのを買ってしまった。
いまネットで見たら、月の雁のシートは、58000円、見返り美人は、40000円だ。(驚)


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子供の頃、流行っていたというか一世を風靡したのは、国際文通週間の切手だった。

浮世絵・東海道五十三次や葛飾北斎・冨嶽三十六景の切手で、子供の頃は、そんなに集めれなかったけれど、第2期で全部集めました。(右側)(左には、月の雁と見返り美人が。(笑))

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そして当然、単枚ではなく、シートでも全部揃える。
やっぱり子供の頃に憧れていた「蒲原」のシートを買えたのは、長年の夢成就で泣きました。


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左側が蒲原のシート。
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子供の頃に一気にワープする。

浮世絵関係も。

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子供の頃は、まさに大阪万博、札幌オリンピックの時期。その記念切手も当時持っていたので、必死にヤフオクで探して買いました。

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当時の切手に欠かせなかったのは、国立記念公園と国定記念公園のシリーズ。

国立記念公園シリーズ

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国定記念公園シリーズ

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全部集めました。なんせ子供の時に集めた切手帳全部失くしたので、第2期のゼロからのスタートでした。


一気に溜飲を下げました。
相当出費しました。そしてわずか数か月でコンプリート。

2004年の頃だから、自分が病気から復職したときだったな。なにを血迷ったのか。(笑)一瞬の迷いで一気に行ってしまいました。

そして今日思い出すまで、14年間、またしてもその存在を忘れていた訳です。(笑)


今日見た投稿では、大変な切手コレクション・マニアの方で、まさしく段ボールに何箱もあって、それが押し入れにぎっちり詰まっている。

そろそろ自分の終活で、どうにか処分しないといけないが、子供に譲ってあげようと思ったら、今の世代の子供なんて、切手なんてまったく興味なし。まさに大きな粗大ごみとなってしまう、ってな感じの投稿でした。(笑)

そうだよな~。いまの子供に切手なんて、全く価値わからんだろうな。
なにせペーパーレス、電子化の時代ですから。

切手って、郵便切手じゃなくて、こういう趣味用の切手っていまでも郵便局で販売されているのだろうか?

切手収集という世界って、まだ存在するのだろうか?

ちなみに、向かいのお兄ちゃん、自分とそんなに年齢違わないのに、もう亡くなられていたのを知ってショックでした。(数年前に親から聞いた。)











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ハンブルクトリオ [国内クラシックコンサート・レビュー]

結成は2013年。まさに名前の通り、ハンブルクを拠点とするピアノ三重奏団である。

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毎年作曲家ごとのピアノ三重奏曲全曲を録音し、世界各地でコンサートを行うことをコンセプトに活動している。(2015年ブラームス、2016-17年シューマン、2018年メンデルスゾーン)

当時、ハンブルク州立歌劇場管弦楽団の奏者として活躍していた塩貝みつるさんと、北ドイツ放送響(現在のNDRエルプルフィルハーモニー)のメンバーであったヴィタウタス・ゾンデキス、そして塩貝さんのもともとの知り合いだったエバーハルト・ハーゼンフラッツともに、インターネットで配信するライブ録音で、ブラームスのピアノ三重奏曲第1番を演奏したのがきっかけだった。

すごくぴったり合って、自分たちでその録音を聴いて、これは続けよう!ということになったとか。

いまやハンブルクを拠点にベルリン、カッセル、マインツなどドイツ各地で活動。新聞などで高い評価を受け、ZDF(ドイツ国営第二放送)、NDR(北ドイツ放送)に出演し知名度をあげた。

今年の2018年1月にはベルリンとハンブルクでベートーヴェンのトリプルコンチェルトを演奏し話題となった。その他、サンクトペテルブルクのフィルハーモニアホール、リュブリャナ音楽祭、ウーゼドム音楽祭に招待されている。


結成間もないフレッシュなユニットだが、今回の来日を含め、過去3回も来日している!

そうだったのか!

申し訳ございません。自分はまったく気づいてなかったです。(^^;;

このトリオの存在を認識したのは、今年に入ってから。

ヴァイオリン奏者の塩貝みつるさんとSNSで縁があるので、ぜひ実演に接してみたいとずっと思っていたところ、このハンブルクトリオの来日コンサートの報があって、これはぜひ行かねば!と思っていたのだ。

初来日が、2015年のブラームス三重奏曲で、それから2017年にシューマン三重奏曲と、本当に勿体ないことをした。かなり悔しいです。自分の過去のSNSを覗いてみると、去年の2017年のコンサートに至っては招待されていた。。。なんとアホなんだろう。(><)

このハンブルクトリオの日記を書くために、いろいろ調べていたら、なんか、かなり中身の濃いことをずっと自分はスルーしていたんだな(笑)と思いました。

まさに三度目の正直で、かなり気合を入れて今回に臨んだのだった。

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塩貝みつる(ヴァイオリン)

桐朋学園大学ソリスト・ディプロマ修了。原田幸一郎、篠崎史紀、堀正文の各氏に師事。2004年よりハンブルク国立フィルハーモニー管弦楽団、並びにハンブルク国立歌劇場の第1ヴァイオリン首席アソシエイト・コンサートミストレス。NDRエルプフィル、シュトゥッツガルト放送響、バイエルン歌劇場などで客演する。ソリストとしてもウィーン交響楽団、ハンブルク国立フィルハーモニー管弦楽団などと協演している。

ドイツ・ハンブルク在住で活動していたが、現在は国内に拠点を移し、ゲストコンサートミストレスやソリスト、室内楽奏者として日本と欧州で活躍している。




ヴィタウタス・ゾンデキス(チェロ)

リトアニア出身。1997年より、ハンブルク北ドイツ放送エルプフィルハーモニー交響楽団ソロチェリスト。サンクトペテルブルク音楽院で、故アナトリー・ニキーチン教授のもとで研鑽を積み、その後リューベック音楽院にて、デイビット・ゲリンガス氏に師事。97年ニュージーランドでの国際チェロコンクールで優勝。ソロ、室内楽奏者として世界の主要なホールで客演。




エバーハルト・ハーゼンフラッツ(ピアノ)

ドイツ生まれ。国内外の数々のコンクールに入賞。アルフォンス・コンタルスキー、セルジュ・コロ、マーティン・ロヴェット、ヘンリー・マイヤー (ラサール四重奏団)、ノーマン・シェトラーの各氏による数々の国際マスターコースで助手を務める。現在はベルリン芸術大学にて教鞭を執りながら室内楽奏者としても活躍している。





チェロのゾンデキスさんはなんと急病で突然来日できなくなった。まさに直前のできごと。急遽のピンチヒッターとしてフランクフルト放送響の団員で、個人でもピアノトリオを組んで活躍中のベテランであるウルリッヒ・ホルンさん(ホルンだけどチェリスト)が見事に勤め上げた。

なんでも本当の直前での合流で、前日にリハーサルで、ちょっと合わせた程度。さらにウルリッヒさんにとって初見の曲だったとか。

演奏家として真の力が試されるのは、こういうピンチヒッターのとき。

この日の公演で、特にウルリッヒさんに注目して見ていたが、まったく違和感なし。見事なまでにユニットに同化されていて、その役割を全うされていた。あっぱれだと思いました。

ちなみにウルリッヒさんは、2013年からバイロイト祝祭管弦楽団のメンバーでもあり、バイロイト音楽祭であのピットに入って(笑)、演奏されているのだそうだ。


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久し振りの東京オペラシティ・リサイタルホール。

今日のコンサートは、メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲全曲を聴く!というコンセプト。

コンサートは、音楽評論家の奥田佳道さんの解説プレトークが開演前とインターミッションにおこなわれる、というスタイルでおこなわれた。

奥田さんは、自分とほぼ同世代で、ヴァイオリンを学び、ドイツ文学、西洋音楽史を専攻され、1990年前半からテレビ、ラジオ、雑誌などのメディアで音楽評論活動をされている。自分にとって、奥田さんといえば、やっぱり毎年正月のウィーンフィルのニューイヤーコンサートなんですよね。解説、そして通訳として、堪能なドイツ語を駆使して、ずっと幕間のインタビューをやっている姿を、なんかず~っと昔から見ているような気がする。(笑)

柔らかい物腰で、豊かな知性に基づく解説は大変わかりやすく、この日は、メンデルスゾーンの三重奏曲については、まったく予習なしで行ったのだが、この日のコンサートのコンセプトをわかりやすく解説していただき、その場でいっぺんに背景が理解できたのはありがたかった。

硬派なクラシックファン層の方には、こういうプレトークを嫌う人もいるが、自分はまったく構わない。返って、これから聴く曲の背景がわかり、すんなり本番にのめり込める素地ができていいのではないか、と思うほどだ。

今日のコンサートのポイントは、メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲といえば、1番が圧倒的に演奏される機会が多く、およそピアノ三重奏曲というジャンルの中でも最高傑作といわれるほどの秀逸作品であること。

でもじつは2番も負けず劣らず素晴らしいんです!

2番はほとんど演奏される機会がないけれど、これを聴けるということがとても貴重なことなんですよ。

そして、この日のもっと貴重な体験は、メンデルスゾーンの姉のファニー・メンデルスゾーンの曲を聴けること。幼少の頃から弟と同じ音楽教育を受け、傑出したピアニストでもあったファニー。実は才能に恵まれた作曲家であった。

でもファニーの時代は、女性の作曲家はほとんど認められず、作曲のセンスや能力があったとしても家庭や親しい人が集うサロンでの「音楽的ふるまい」のみが許されたのだった。

そんな中、後年になって夫の後押しもあって、自作品を公表するようになる。

才能がありながら、なかなかその作品に日の目が当たることがなかったファニーの作品を聴けるということは、ある意味、今日のコンサートの1番の山場だったのかもしれない。


塩貝さんは、「音楽の友」2018/9号のインタビューで今回のメンデルスゾーン姉弟のピアノ三重奏曲を演奏することに際し、こんなことを言っている。(このインタビューを読むために、ひさびさに買ったのだ。)

「メンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲」は、「第1番」が有名ですが、第2番は聴いたこともありませんでした。今は、第2番のほうが好きです。弟のフェリックスは、構成力など、すべてがうまくいっている本当の天才。頭脳が明晰で、感情豊かなところもあり、バランスが取れています。姉のファニーは、才能があり、面白い感性もあるのですが、ちょっと足りない部分があります。それは演奏で補わなければいけません。ファニーの、全体の構成力よりも感情を重んじるところが女性的だと思います。」

深いなー。果たして自分が実演を聴いたとき、そこまでのニュアンスを感じ取れるかどうか、このインタビューを読んで不安になったことも事実。(笑)



前半に2番とファニーの作品、そして後半に1番という演目であった。

まず、とても聴くのが珍しい2番。

2番は、おそらく自分も初めて聴くが、正直とても不思議な感覚で、なにか言葉に表現するのが難しい曲だと感じた。この曲の感想をどのように日記で表現するべきなのか、聴きながらそんなことばかり頭の中をグルグル回っていた。とても技巧的な曲であることは確か。

ハ短調という調性からくる一種の独特の雰囲気はある(けっして明るくはない。)けれど、簡単な構成の曲ではない。そんなイージーに、感動しました!、いい曲でした!とはあっさりとは言えない複雑で高度な構造を持った曲のように感じた。

あくまで自分が感じたままなのだが、1番のような大衆性という点では敵わないけれど、でも作品としての構成力は決して負けず劣らずで、隠れた名曲とはこのことなのだろうと思った。


プレトークにあった、ここの第4楽章にメンデルスゾーンはバッハの旋律を引用していたのではないか、そしてそれをブラームスも、若き日のピアノソナタ第3番スケルツォにも使っていた、という箇所、とても興味深く拝聴していました。



そしてこれまた初お目見えである姉のファニーのピアノ三重奏曲。

これもいい曲だったが、なかなかどう表現したらいいのか、難しい曲であった。

率直に言うと、聴いていて冗長的に聴こえるというか、音楽的なフレーズ感がなかなか難しいと感じる曲だった。

フレーズ感やフレージングというのは室内楽では、1番大事な肝になるところで、楽譜で、ずらっと並んでいる音符のつながりを、どのように段落的にまとめるのか、解釈するかというのは結構、奏者の解釈に任されるところが多くて、それって大編成よりも室内楽のほうがより鮮明に出やすいポイント。

このフレーズ感のセンスがないと、聴いている側は、聴いていて気持ちいい音楽、音楽的に乗っていけない、楽しめない、など結構大事なキモなところなのだ。

よくオペラ歌手で、とっても素晴らしい声質、声量もあるいい才能を持っているのに、なんか歌を聴いてみると、上手くないというか、聴いていて感動しないのは、このフレーズのまとめ方が下手というか経験がないところから来ていると思うのだ。

音楽的なフレーズ感がない、とはそんなことだ。

ファニーの曲は、部分部分の旋律的にはとても感傷的でいいのだけれど、このフレーズのまとめ方が難しい曲なので、冗長的に聴こえるというか、音楽的に乗っていくのが難しかったのはそんなところにあるのでは?と後で、素人の自分なりだけれど考察してみた。

塩貝さんがインタビューで、ファニーの作品は感情的だけれど構成力で劣る、と言っていたのはそんなところにあてはまるのかもしれない。

そして、休憩を挟んで、最後の1番。

ピアノ三重奏曲というジャンルの中では、最高傑作と呼び声の高いメンデルスゾーンの1番。

やはり演奏機会の多い曲には、それなりの理由がきちんとあるものだということを再認識した。

流麗な旋律と、きちんとした曲としての構成力、聴いている側の感動を呼び起こす仕掛けなど、名曲は名曲たる所以がわかるような気がした。



ハンブルクトリオの演奏は、各メンバーがしっかりとした技術に裏付けされていて、見事なアンサンブルだと思いました。

なによりもエキサイティング!

全般的な印象からして、やっぱり塩貝さんのヴァイオリンの旋律が全体を引っ張っていっているという印象がサウンド的にも強かったです。

ちょっと残念だったのは、ここのホールの音響。やや響きがデッドなんですよね。やや不満でした。でも最初の曲からすると、段々音がホールに馴染んでくるというか、中盤から後半はだいぶ聴きやすい音になってきました。


しかし、こんなユニークなコンセプトのトリオが存在していたとは!



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ちょっとクラシックジャンルから離れて恐縮なんだが、3人編成、トリオというのは本当にカッコイイのだ。

自分が学生時代にブリティッシュ・ロックにのめり込んでいたとき、この”3人編成”のロックバンドというのがとても格好良くて、バンドは、やっぱりスリーピースが一番イケている、という信仰みたいなものがあった。

あの格好よさは、いくらルックスがよくても、いくら演奏技術がうまくても、4人編成や5人編成じゃ絶対出せない独特の雰囲気なのだ。

とくに演奏家のイメージフォトなんかは、この3人編成、スリーピース・ショットは最高に格好いいと思ってしまうのは、自分の嗜好からだろうか・・・。


3人というのは、フォト的にビシッと決まる独特のセンスがある。


それはクラシックのジャンルでも、もちろんあてはまる。

今回このハンブルクトリオにビビッとアンテナが反応してしまったのは、そんな自分の3人編成信仰から来るものだったのも、ひとつの理由かもしれない。


ハンブルクトリオの今後の活動として、

「メンデルスゾーンの次に取り組むのは、シューベルトでしょうか? ショスターコヴィチにするかもしれません。ベートーヴェン・イヤーの2020年には、ベートーヴェンのトリオ全曲を演奏しようと思っています。」

だそうです。

CDも出しています。

つい最近リリースしたばかり。

シューマン全曲のマニアックな「シューマニア」とメンデルスゾーン全曲の「ライブ イン サンクトペテルブルク」。

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シューマンは限定300枚。

メンデルスゾーンは、先日のサンクトペテルブルクのフィルハーモニーでのコンサートライブ録音で、フォンテックから10月発売予定。

メンデルスゾーンのほうのリンクを貼っておきます。


Piano Trio, 1, 2(メンデルスゾーン)
Hamburg Trio (St Petersburg 2018)

https://goo.gl/n1oG3V


ますます、このハンブルクトリオから目を離せない。




東京オペラシティのリサイタルホールは、じつに久しぶりで7年振りであった。7年前、ここでゴローさん、みつばちさんのシューマンのピアノ五重奏曲を聴いた。

このとき、ピアノはみつばちさん、2nd Vnはゴローさん、1st Vnが島田真千子さんだった。

NHKで、ゴローさんのADだったみつばちさんは、いまは、故郷岡山に帰って、結婚して子供もいる!学校の音楽教師をやりながら、ピアニストとしての演奏家活動もやっている。ときどきコンサートで東京に来ることもある。

島田さんは、水戸室のメンバーでありながら、セントラル愛知交響楽団のソロ・コンサートマスターにも抜擢され、まさに大活躍をしている。

やはり、7年という月日は重い。

あれからみんなそれぞれの道を歩んでいる。

自分もそりゃ年取るわけだ。
不条理と思うことも多々あるが、それでも自分の軸はぶれないで来ることができた、と思う。

7年!自分を取り巻く環境、人々もまさに一変した。

それは自分にとってつねに大きな負担で、逃げ出したいと思うこともある。
でもそれはまた逆に毎日の生活の大きな励みにもなっていた。

だからそういう意味でも、それは、いまの自分にとって幸せなことなんだろう・・・



ハンブルクトリオ メンデルスゾーン ピアノ三重奏曲全曲演奏会

2018.9.20(木)19:00~ 東京オペラシティ・リサイタルホール

お話

フェリックス・メンデルスゾーン ピアノ三重奏曲 第2番 ハ短調 作品66

お話

ファニー・メンデルスゾーン=ヘンゼル ピアノ三重奏曲 ニ短調 作品11

休憩

フェリックス・メンデルスゾーン ピアノ三重奏曲 第1番 ハ短調 作品66


アンコール

ブラームス ピアノ三重奏曲 第1番 第三楽章







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流鏑馬 [雑感]

流鏑馬(やぶさめ)は、もっとも鎌倉らしいというか、男らしい格好よさがあって、子供心に憧れた。NHK大河ドラマ「草燃える」でもドラマの冒頭は、この流鏑馬から始まる。

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出典 Wikipedia


流鏑馬は、疾走する馬上から鏑矢(かぶらや)を放ち、的を射る日本の伝統的な騎射の技術・稽 古・儀式。896年宇多天皇が源能有に命じ、馬上における実践的弓術のひとつとして作らせたのが始まり。

平安時代から存在したのだ。

その武芸文化を東の鎌倉に復活させたのが、源頼朝。

「吾妻鏡」には源頼朝が西に流鏑馬の教えを受け復活させたと記されている。


ちなみに「吾妻鏡」というのは、鎌倉時代に成立した日本の歴史書。まさに鎌倉時代のことが書かれた唯一のバイブル書的存在。鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝から第6代将軍・宗尊親王まで6代の将軍記という構成で、成立時期は鎌倉時代末期。

編纂者は幕府中枢の複数の者と見られている。全52巻。

子供の頃、鎌倉時代に憧れたとき、この吾妻鏡の現代語訳を読破したい、とかなり真剣に憧れた。それほど鎌倉ファンにとって、憧れの的だった歴史的資料なのだ。

鎌倉鶴岡八幡宮の流鏑馬は、1187年に源頼朝が放生会の後に奉納されたのがはじまりで、後に神事として行われるようになっている。

幕府の行事に組み込まれたことも含めて盛んに稽古・実演されたようで、北条時宗の執権時代までに、鶴岡八幡宮では47回の流鏑馬が納められたとされる。

いまは、この流鏑馬の儀式のことを、「流鏑馬神事」(やぶさめしんじ)というのが、通常の言い方である。

頼朝公が始めて以来、ずっと800年余、この鶴岡八幡宮で、この伝統ある「流鏑馬神事」の祭祀が行われてきたのである。

途中、海外遠征でこの流鏑馬神事を披露したこともあったそうだ。ロンドンとフィンランドで開かれた、と言っていた。


流鏑馬の流派として、武田流と小笠原流がある。

以下、わつなぎさんのページを引用。

https://watsunagi.jp/budo/206/2/


武田流


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鎌倉・室町時代にかけて、武田家に伝授されていたが、武田家滅亡により、姻戚の細川藤孝に伝授され、以後、竹原家が継承し現在に至っている。

春の鎌倉まつりでの鶴岡八幡宮の流鏑馬神事は武田流である。


騎射(きしゃ):「式の的」と「板小的」を騎射し、成績の良かった者が選ばれ、土器で出来た「土器三寸の的」を騎射する。

笠(かさ):ヒノキで編んだ綾檜笠(あやひがさ)

射籠手(いごて):家紋の入った黒射籠手



小笠原流

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流派の始まりは、小笠原家の初代小笠原長清、7代小笠原貞宗、遠祖の貞純親王とするものがあり、代々伝わり小笠原流の基礎が出来たとされている。江戸時代に第8代将軍・徳川吉宗の命を受け小笠原貞政が流鏑馬を制定し現在に至っている。鶴岡八幡宮の例大祭や下鴨神社の葵祭での流鏑馬神事は小笠原流である。



騎射(きしゃ):あげ装束という鎌倉時代の武士の狩装束を着た3騎と江戸時代の武士の平服にちかい装束を着た10騎ほどが行う。

笠(かさ):イグサで出来た綾藺笠(あやいがさ)

射籠手(いごて):金蘭



これを読んでざっくばらんに自分が理解した範囲で書くと、武田流と小笠原流の違いは、まず服装などのいでたちが違う。そして騎射のスタイルが違う。

武田流が、成績を競う儀式なのに対し、小笠原流は騎手は3騎~10騎と決まっている、より儀式に近いというところであろうか?

その違いは、武田流の的が、いかに中心を射るかの競技用の的になっているのに対し(残った者は土器の的を射る)、小笠原流は、ただの木の的だということなのだろうか・・・。


まさに鎌倉といえば、この流鏑馬。
ぜひ実際生で観てみたいと思っていた。

秋の鶴岡八幡宮の例大祭で、その流鏑馬神事が行われるのを知って、行ってきた。
例大祭というのは、1年に1回または2回、その神社で定められた日に行われる最も重要な祭祀の事である。

神社ごとにあるお祭りなのだ。おらが街の神社でも今のシーズン、例大祭やっている。


鶴岡八幡宮のどこで、流鏑馬をやるのか?

その流鏑馬馬場は、境内中央付近にある東の鳥居から西の鳥居かけて走る参詣道が流鏑馬馬場になるのだ。

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鶴岡八幡宮の流鏑馬馬場の長さは254m54cm。

進行方向左手に間をおいて3つの的を立てる。
「一の的」「二の的」「三の的」

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つまり騎手は、上の図で、右から左に向かって、馬に乗って走り抜け、腰には矢が3本備え付けてあり、一の的を射ったら、すぐその後に、腰の矢を取り出して、二の的を射る。そしてそれが終わったら、さらに腰の矢を取り出して、三の的を射る、という連続技の感じなのだ。


流鏑馬では、騎射が的を射抜く手前でそれぞれ違う掛け声をかける。一の的手前で「インヨーイ」と短く太く掛け、二の的手前で「インヨーイインヨーイ」と甲声でやや長く掛け、三の的手前では「インヨーイインヨーイインヨーーイ」と甲を破って高く長く掛ける。

なにせ、254m54cmもある長さなので、実際では、拡声器を使って、「いま走り始めました」「一の的的中」「二の的的中」「三の的的中」という感じで実況中継付きなので、自分の場所に近づいてきた、というのがわかる仕組みになっているのだ。


自分は、騎手が矢を射るその瞬間を自分のカメラで収めたかったので、上の図の三の的をちょっと過ぎたあたりのオレンジ丸の部分に陣取った。実際現場に行ってみてわかったことは、絶好のシャッターチャンスと思えるところは、大抵、報道陣席か招待席なのだ。(笑)

つまり、的のある向かい側は、全部報道陣席か招待席。我々一般席は、的のある側なのだ。

流鏑馬神事は、13:00~スタートなのだが、場所取りで、遅くとも11:00には行かないとというネット情報があったので、自分はしっかりと9:30には現場に着くようにした。これは正解だった。11:00じゃ全然遅い感じで、超満員だった。

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じつにひさしぶりの鶴岡八幡宮。さすが例大祭。朝9:30でもかなりの人混みでした。

流鏑馬馬場を眺めてみる。
馬の出発点の方向を眺める。

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出発地点。

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ゴール地点。

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こちらが一の的

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二の的

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三の的

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自分は三の的の横のほうに陣取った。

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場を盛り土して、的をセットします。

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巫女さんたちが招待席に名前の札を張り付けている。招待席はこんな椅子のサービスがあるのだ。我々一般席はなにもない。なにか小さな椅子か、敷物を用意したほうがいい。でも地面は結構蟻地獄だったので、座る気はなくなったが。(笑)


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招待席。みんな望遠付の素晴らしいカメラを持ってらっしゃいました。

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こちらが、今日の例大祭の小笠原流の家元の招待席です。

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続々と集まってきます。しかし、外国人の方、とても多いです。日本の伝統の神事を見たい、というのがあるのでしょうね。

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いよいよ始まります。超満員です。

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流鏑馬馬場の両端には、このような幕がかけられます。この写真は、自分に近いところですから、三の的の後の方のゴールの方です。

この方は?(笑)

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13:00になったらすぐに始まるのか、と思ったらそうでもなし。まず鶴岡八幡宮の歴史、流鏑馬の歴史など、拡声器を使って延々説明が始まる。この部分だけで、50分はかかった。その後の本番の流鏑馬はほんの20分位で終わったので、いかにこの前振りが長いか、ということだ。正直、立ったままこれをただ聴いているのは苦痛だった。それでも朝から立ちっぱなしなのに・・・。

そして主役たちの登場。
3騎手たちの前に、2名が先導をきる。
なんか、一気に800年前の鎌倉時代に戻ったような、なんか煤けた気配。(笑)
要は、まず始める前に、一周して、みんなにそのお姿をお披露目する感じである。

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そして、ついに3名の騎手たち登場。今回の流鏑馬神事に登場する3騎手は、山川芳重さん(源雅之)、廬泰和さん(源承徳)、猪谷亦三郎さん(源崇明)の3名だ。括弧内の源氏の名前は何を意味するのか、わからない。源氏の末裔としての名前なのか、はたまた。。。

この騎手たちは、毎年違うメンバーでやるのだそうだ。

まずは山川芳重さん(源雅之)

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そして廬泰和さん(源承徳)

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そして猪谷亦三郎さん(源崇明)。

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ゴール地点で、みんな勢ぞろいの図。

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そして本道を戻りながら、出発地点に向かう3騎手。


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さぁ!いよいよここからが本番!まさにこの瞬間を捉えるために、いままで準備してきた。

出発点とゴールの両端で、赤と白の扇子を持った武士が、儀式の合図をして始まる。

事前に注意があった。それはカメラのフラッシュを炊かないこと。以前、そのフラッシュに馬が驚くというアクシデントがあったそうだ。


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まっこんなもんだ。(笑)SNSサイトでは、もっと間近で、迫力ある写真を投稿されている方も多かったので、自分の不甲斐なさも感じるが、やっぱり席の良し悪しがすべてを決めると思う。


来年の鎌倉春のまつりの武田流ではもっといい席を陣取ろう。(招待されたい!(笑))


実際、生で見た流鏑馬は、かなりすごい迫力があった!タッタカタッタカ、と馬が疾走してくる迫力が凄くて、なによりも的に的中して割れたときに、バリンというすごい音が鳴ること。

そして一斉に観衆から「おぉぉぉ~!」というどよめき、大歓声と大拍手。


疾走した後、馬がかなり興奮しているのか、ゴール地点でヒヒ~ん、と大声でなく。馬の声ってすごく大きくて、びっくりする。


とにかくすごい大迫力。

流鏑馬カッコイイ!



最初の解説は長かったけれど、いざ始まってみれば、あっという間だった。
帰りの鶴岡八幡宮は、まさに年に1回の最大のお祭りの例大祭。
すごい賑わいだった。

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カッコいい!そして、すごい迫力!で驚き、感動した流鏑馬。ちょっと鎌倉ビールで、休憩。
久しぶりに鎌倉来たから、江ノ電乗っていこうかな?(笑)

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PENTATONEの新譜:アラベラさんのR.シュトラウスへのトリビュート [ディスク・レビュー]

2004年にデビュー。以来14年間のキャリアの中で17枚のアルバムをリリース。もうしっかりとした中堅どころで、レパートリーもかなり豊富。新譜を出すとしたら、あと何があるんだろう?と思っていたが、リヒャルト.シュトラウスとは! 


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ヴァイオリン協奏曲、小品集(リヒャルト・シュトラウス) 

アラベラ・美歩・シュタインバッハー
ローレンス・フォスター&ケルンWDR交響楽団

https://goo.gl/MZ7C6c


これもおそらく、企画段階から本人といろいろ話し込んだ上で決めたと思われ、心の奥深くにある想いへのトリビュート・アルバムとなった。


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アラベラさんは、音楽一家の家庭で育った。

お父さんは、バイエルン国立歌劇場のソロ・コレペティートル。(歌劇場などでオペラ歌手やバレエダンサーにピアノを弾きながら音楽稽古をつけるコーチのこと。)

そしてお母さんは歌手。

お父さんは、有名な歌手を家に招き、頻繁にR.シュトラウスの作品を歌ってもらっていたんだそうだ。シュタインバッハー家ではシュトラウスの音楽に満ち溢れており、R.シュトラウスは、アラベラさんにとって最も近い存在の作曲家となった。

お父さんもお母さんも、シュトラウスの大ファン。

なにを隠そう、アラベラさんの名前は、R.シュトラウスの歌劇「アラベラ」からその名をもらったのだ。

自分が小さい子供の頃、お父さんが歌手に稽古をつけているとき、いつも自分はグランドピアノの下に座っていて、さしずめ音楽で満ち溢れた洞窟みたいな感覚だった。

歌劇「アラベラ」からの有名な二重唱は、両親によって家の手すりに刻みこまれていて、自分が記憶にあるときから、ずっとそれは存在していた。

この二重唱への想いは、ついにR.シュトラウスの作品だけで占められたアルバムを録音しよう!という推進力となった。もちろん歌詞はないけれど、その代わり、思い切ってその部分を私のヴァイオリンで奏でようと思った。

歌手たちは許してくれると思うけど。。。


そんな想いのたけをライナー・ノーツに綴っている。

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まさか、アラベラさんにとって、R.シュトラウスが、そんなに強烈な運命の作曲家だったとは!
正直いまになって驚かされた。

もちろん、R.シュトラウスは、自分も大好きで、英雄の生涯、ドン・ファン、ばらの騎士、サロメ、そしてなによりシュトラウスで好きなのは、彼の歌曲。もうここにはあげられないくらいたくさんの曲を愛聴してきたので、いまになってそんな告白があると、正直驚かざるを得なかった。

R.シュトラウスは、ドイツの後期ロマン派の作曲家ですね。

彼の書く作品、旋律は、やっぱり感傷的で、とても叙情的。そしてドラマティックな要素もある。

西洋音楽史は、バロック時代~古典派~ロマン派(~そして現代音楽)と大きく3つに大別できると思うが、どの時代も大変魅力的だけれど、自分は、やっぱりロマン派の音楽が好きなんだなぁと思います。ラフマニノフとか。。。

古典派のかっちり型に嵌ったスタイルもいいけれど、やっぱりどこかメランコリックでロマンティックな泣かせるメロディのほうがウルっと来てしまい、感動してしまう。


今回のアルバムは、R.シュトラウスのヴァイオリン協奏曲、そしてアラベラさんが言っていた通り、たくさんのシュトラウス歌曲の数々を歌詞をつけずに、ヴァイオリンで奏でる、いわゆる編曲版、そして運命の歌劇「アラベラ」からの二重唱である「私にふさわしい人が…」で構成されている。



まさに、


アラベラ・美歩・シュタインバッハーのトリビュート・アルバム


なのだ。


本人の想いが深いアルバムは、やはり聴き手側にも心の構えが必要。
しっかり心して聴きました。(笑)

パートナーのオーケストラは、ケルンWDR交響楽団。指揮はPENTATONEでもうずっとパートナーでやってきたローレン・フォスター。

シュトラウスのヴァイオリン協奏曲は、ひょっとしたら昔聴いたことがあるかもしれないけれど、おそらく初めてだと思う。星の数ほどあるシュトラウスの有名な曲で、ヴァイオリン協奏曲って正直意外というか、ダークホースというか普段あまり聴かれないレアな曲だと思う。

シュトラウスの唯一のヴァイオリン協奏曲で、初期の作品。古典派風の協奏曲の伝統に従ったかっちり型の曲で、ある意味、シュトラウスの曲らしくない感じなのだが(初期の作品だからね。)なかなか素晴らしい。

オケの重厚な音はさすがだが、どちらかというとヴァイオリンがメロディで走ってどんどんオケを引っ張っていく感じの曲。整然とした形式への志向がある初期の時代に書かれたので、いわゆる古典派の音楽みたいなのだが、その要所要所で、シュトラウスらしい感傷的なロマン的な旋律も垣間見える感じで、不思議な魅力がある。

ヴァイオリン独奏の部分は、結構、技巧的に難しいテクニックを感じるところもあり、激しい部分、朗々と歌っている部分、しっとり聴かせる部分などの緩急のつけかた、ドラマティック。

特に第3楽章がいい!

リズミカルでアップテンポで軽快に走って、重音奏法ありなど、アラベラさんのヴァイオリンが冴えわたって疾走感ある。

レアな曲だが、とてもいい曲だと思いました。


そして、いよいよお楽しみのシュトラウス歌曲。

ここは私はうるさいですぞ。(笑)

自分は歌の世界も好きで、特にオペラ歌手のオペラアリア集みたいなものも好きだが、歌曲、いわゆるリートの世界もとても好き。

歌曲の世界は、ある意味その歌詞の部分に、その曲の価値がある場合が多く、オペラよりその比重は大きいと思う。

その歌詞の部分を削除して、ヴァイオリン1本で、その歌曲の世界を表現しようというのだから、そこに今回のアラベラさんの勝負処がある。

シュトラウス歌曲は、それこそ、エディット・マティス、エディタ・グルベローヴァ、ディアナ・ダムラウの3人が自分の定番というか愛聴盤。ほかの歌手も結構聴いているが、やはりこの3人が多いかな。

5曲の歌曲のヴァイオリン編曲。

いやぁ、どれも聴いたことあるけれど、普段馴染んで聴いている曲で、歌詞がないのはどうも最初やっぱり違和感。(笑)

あれ?って感じ。

でも何回も聴き込んでいると、ヴァイオリンでの表現もなかなか秀逸。あっという間に引き込まれました。

特に自分は、「献呈」と「ツェツィーリエ」が大好き。特に「ツェツィーリエ」はなぜか思いっきり反応してしまう。この曲は、歌で表現した曲で聴くと、その投げセリフ的な歌い方というか、メロディの良さも含め、ものすごく格好良く感じる曲で、シュトラウス歌曲の中でも大好きな曲。

そのヴァイオリン表現も素晴らしかった。

子供の頃に自分の家で歌手たちが、たくさんのシュトラウス歌曲を歌っているのを聴いて育ってきた、その歌曲をシュトラウスへのトリビュートという意味を込めて、歌詞なしでヴァイオリンで表現する!そこに彼女の想いが込められているのだ。

そして最後に運命の、歌劇「アラベラ」からの二重唱である「私にふさわしい人が…」。

自分の名前はこのオペラから付けられた。

そして自宅の手すりには、この有名な二重唱の歌詞が両親によって刻み込まれている。


じつに大河のごとく美しい曲。まさにゆったりと流れる、そこに身を任せていることがいかに心地よいか。

この曲に対する歌詞のありなしには、さほど拘らないので、ヴァイオリンの表現だけで、自分はとても幸せな気持ちになった。あらためて、オペラ「アラベラ」を見直して、この部分のアリアの二重唱を確認してみたいと思う。

アラベラさんの深い想いがつまったアルバム。

とても素晴らしかった。

しっかり受け止めました。



今回の録音は、ケルンWDR交響楽団の本拠地であるケルン・フィルハーモニーで行われたとクレジットがある。

そこに自分の謎があった。(笑)


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SNSで公開された、「いま新譜の録音中で~す。」の写真はどう見ても、ケルンフィルハーモニーではないのだ。(笑)

どこかの会館を使っているように思えてしまう。

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この写真を観たとき、ポリヒムニアによる録音、またジャン・マリー・ヘーセン氏とエルド・グロード氏による黄金タッグということで、自分は今回も安泰ということで、ホッと安堵した。

でも送られてきた新譜のクレジットを見ると、ちょっと謎だった。
まずプロデューサーが違う。いつものジョブ・マルセ氏ではない。

今回はWDRとPENTATONEの共同プロジェクトのようなのだ。
しかもいつものバランス・エンジニア&編集というクレジットではなく、レコーディング・プロデューサー&編集に、レコーディング・エンジニアにレコーディング・テクニシャンってなんだそれ?(笑)

名前のクレジットも聴いたことのない名前ばかり。

写真ではしっかりジャン・マリー・ヘーセン&エルド・グロード、映っているのに、彼らの名前は見当たらない。

この肩書って、ドイツの放送局のトーンマイスター制度にあるような名前だから、ひょっとしたら今回のポスプロの仕上げは、WDR側でやったのかもしれない。あるいはポリヒムニアいるかもだけど、若手への世代交代で育成かな?

だから、という訳ではないが。。。

最初聴いたときは、いまいちではあった。サラウンドで聴いているのだが、部屋中にふわ~と広がる音場感や縦軸の深さなど、なんかいつもより物足りない感じで、クレジットを見てみたら、やっぱりそうか!という感じだった。


でも何回も聴き込んで、そして休日の本日、大音量で聴いたら、うにゃ、いい録音じゃないか!と納得。最近の新譜はみんなこのパターン。初めのとき聴いてがっかりで、落ち込むんだが、数日後に大音量で聴くと解決するという。。。

自分のシステムのエンジンがかかるのが遅いせいかもだが、ある日、突然急激に良く鳴るようになるのだ。

鳴らし込み必要ですね。

アラベラさんの17枚のディスコグラフィーの中で、過去最高に素晴らしいと思った作品は、ひとつ前の作品のブリテン&ヒンデミットのコンチェルト。その前衛的な音楽スタイル、そしてみごとなまでのダイナミックレンジの広さなど超優秀録音だった。

彼女の最高傑作だと思った。

今回の作品は、最初聴いたときは、そこまでのインパクトはなかったが、徐々にそれに迫りつつある。ずっと聴き込んでいけば、絶対並ぶはず。

なによりもアルバムのコンセプトがとても素晴らしいので、録音も過去最高でないといけない。

ディスコグラフィーは、やはり新しい録音になっていくほど、ユーザへの説得力が増す。


今回のアラベラさんのR.シュトラウスへのトリビュート・アルバムには、絶対に2004年デビュー当初の頃では捉えることができなかった新しい「音のさま」がある。

この「新しい録音を聴こうよ!」のフレーズは、もうすっかり自分のお気に入りで定番。(笑)

来年3月には、また来日してくれるので、自分は毎年お楽しみのアラベラ・フィーバーになりそうだ。









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今年のクリスマスは仙台にて迎えます。 [国内音楽鑑賞旅行]

日記にするなら出発1週間前にリリースするのが普通だろう。でもこの心の奥底から湧き上がる喜びを、あと4か月も我慢して抑えることができない。それはあきらかに健康に悪い。嬉しいならいますぐ発散しないと。

仙台フィルを地元仙台で聴こう!

というのは、去年からずっと心に過っていた想いで、あとはいつ実行するか、だけの問題であった。

そして今年秋の10月の定期公演のチケットを購入したものの、他の公演とスケジュールがダブっていて、誠に残念ながら諦めた。

東北の冬は厳しいので、やはり行くなら夏の新緑の季節が1番いいだろうな~と漠然と思い、そうなると来年に繰り越しということに。誠に申し訳ない、という気持ちでいっぱいだった。

なぜ仙台フィルなのか?

これは心の奥深くある想いで、事情が複雑すぎて、正直あまりはっきり言いたくない。

でも、仙台フィルの公演を生で体験することは、どうしても自分が抑えておかないといけない運命のような気がしていた。数多あるクラシックの公演の中で、ここはどうしても抑えないといけない、という運命の公演って必ずありますよね。

自分にとって、初めて体験するオーケストラは、相手のフランチャイズで聴くのが礼儀。

そういう信念のもと、ずっと機会をうかがっていたわけだ。



仙台フィルの公演も、定期公演をはじめ、いろいろ企画されている。

どの公演に行くべきか?

やっぱり指揮者やソリストで選ぶのは仕方がないだろう。
そしてもちろん演目。


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仙台フィルは、1973年に市民オーケストラ「宮城フィルハーモニー管弦楽団」として誕生。
1983年4月から89年1月に芥川也寸志が音楽総監督として現在の礎を築き、1989年度から2005年度に外山雄三が音楽監督、2006年度から2017年度にパスカル・ヴェロが常任指揮者としてアンサンブルに磨きをかけてきた。

そして今年2018年から飯守泰次郎さんが常任指揮者に就任した。 

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飯守さんといえば、輝かしい経歴の中でも、自分はやっぱりワーグナーを始めとするドイツ音楽のレパートリーが得意、というイメージ。

やっぱり飯守さんはワーグナーだよね。

長年、バイロイト音楽祭の音楽助手を務めていて、日本に戻ってきても、その志を貫いている。
2014年から新国立劇場の芸術監督に就任。そしてつい最近、あのカタリーナー・ワーグナーの強烈な演出のベートーヴェン「フィデリオ」で新国の監督の有終の美を飾った。まさに衝撃そのものだった。(笑)

新国の芸術監督離任に際してのインタビューで、自分がすごく印象的だったのは、

「芸術監督の仕事の大変さは、やはりお金のやりくり。オペラはお金がかかるし、どれくらいのレベルの歌手を呼んでくるかに応じて、その費用、そして何年も前からそのスケジュールを抑えないといけない。そのオペラ演目をやるのに、ある限られた予算の中で、すべてを、その中でやりくりするのは、じつに大変なこと。芸術は、そういう下世話なことは気にしたくないものだが、芸術監督の立場になると、そこが大変だった。次期監督の大野和士君も、必ずそこに苦労するだろう。」

この部分だった。

痛いほどわかるこの事情。

芸術でこういうことを表に出すのは、気分が冷めちゃうというか、ある意味タブーなのかもしれないが、現実問題、現場を回していくには、そういうリアルな面も直視しないとだよね。こういう事情、痛いほどよくわかる。

自分が最近、飯守さんの指揮を直接体験したのは、ミューザ川崎での東京交響楽団の名曲全集。

客演していた。
もちろんワーグナーづくし。

特に涙が出るほど感動したのは、やはりリングの「神々の黄昏」。

ジークフリートの葬送行進曲!

一旦聴いたら、ずっと頭の中をループし続ける、あまりに強烈な旋律。
あまりに有名なライトモティーフですね。

このときの飯守&東響の格好よさは、相当シビレました。
いまでも鮮明に蘇ります。


仙台フィルを聴くなら、常任指揮者に就任したばかりの飯守泰次郎さんで聴きたい、という想いがまずあった。

そこからは消去法。

気持ちは来年の初夏と思っていたのだが、そこにハプニングが起こった。

SNSで仙台フィルの公演の告知を偶然観たのだが、今年の年末の第九で、仙台フィルが仙台で公演をやる。

その独唱ソリストの1人に東京二期会の金子美香さんが出演する、という。 

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金子美香さんといえば、つい先だってまでおこなれていたバイロイト音楽祭で、「ワルキューレ」でグリムゲルデ役として、「日本人歌手がバイロイト音楽祭デビュー!」ということで、一躍時の人だった。

クラシック音楽界、大変な盛り上がりで、二期会のブログや、金子さん本人、SNSで公式ページを開設、その生々しい現場実況中継。やはり嬉しいんだろうな~という感じで、自分はとても微笑ましく見ていた。

「バイロイト音楽祭に出演した日本人歌手」

これからの歌手人生を歩んでいく上で、これは大きな自分の看板になる。
人生ってなにかのきっかけでコロッといい方向に変わることがあるが、この経験は、絶対金子さんの歌手人生の大きな転機になるに違いない。

まさに時の人、旬な人だったわけだが、この仙台フィルの地元仙台での年末の第九で、これまた飯守さん指揮で、独唱ソリストとして出演する、という。

ワーグナーつながり。

なんか、自分を強烈に呼んでいるように思えた。(笑)

時来るってな感じで、いま抑えないと、このチャンスを逃したら、絶対後悔する。

神様が与えてくれたチャンスだと思い、年末のクリスマスに仙台に行くことを急遽決意した。

クリスマスに、年末最後の締めの第九を、仙台フィルで聴く。
これを今シーズンの聴き納めとする。

なんか絶好のシチュエーションのように思えた。

東北の冬は厳しいと思ったが、自分は北海道の豪雪地帯の育ち。全然大したことないだろう。
逆にクリスマスのロマンティックな雰囲気のほうがずっと勝るに違いない。

クリスマスのシーズンになると、クリスマスイルミネーションなど街全体が綺麗に飾られる。
ネットの写真を観てみると、このクリスマスの季節に、道路のアスファルトは露出した感じで、あまり雪が積もっている、という感じでもなさそう。

そして本日チケット発売日、無事チケットを確保した。

やっほぃ~!


そこで、ふたたび原点に戻ってみる。

なぜ、仙台フィルなのか?

それはずばり首席オーボエ奏者 西沢 澄博さんの勇姿を観に行くことが本当の真の目的なのだ。 

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飯守さんも金子さんも公演を選ぶ要因にしか過ぎない。
自分にとって仙台フィルを聴く目的は、西沢さんの勇姿を拝見することにあった。

なぜ?というのを説明するのは、この5~6年でいろいろ自分がお世話になって、心の支えになってきてくれた方々など、その事情が複雑すぎて、説明するのが面倒、また正直あまりはっきり言いたくもない。

西沢さんは、青森県弘前市出身。大学は上京して、東京音楽大学で学んだ。あの宮本文昭さんに師事したそうだ。とてもハンサムで若々しくて未来を託されている、まさに仙台フィルのリードオフマンなのだ。

オーボエ奏者にとって、リード作りは、自分の音色を決める、とても大切な作業。演奏現場の湿度にも影響を受け、とてもディリケートで神経質な作業だ。ご自身のSNSなどで、盛んにリード作りの投稿をしているので(笑)、”西沢さん=リード作り”のイメージがとても強い。(笑)

すべてにおいてつながっている!

どうしても彼の勇姿を観ないといけない、そういう運命なのだ。

せっかく仙台まで観に行くのだから、この公演、降り番でした、というオチはないようにお願いします。(笑)


そんな、こんな感じで、仙台に仙台フィルを聴きに行きます。

仙台は、やはり東日本大震災で被災地として大きな被害を受けた街。その復興を目指して、クラシック音楽業界も仙台フィルを応援していこうという大きなムーヴメントがあることも実際、肌で感じるところ。

仙台フィルは、SNS公式ページを拝見していても、とても若々しくて、明るいイメージですね。
とても明るい、とにかくすごくいい雰囲気。


また、仙台に音楽専用ホールを、という大きな動きもある。

現在の仙台フィルのフランチャイズは、日立システムズホール仙台・コンサートホール。
でも今回の第九の演奏会場は、ここではなく、仙台銀行ホール イズミティ21 大ホールなのだ。

とても楽しみしている。


1泊2日の強行軍なので、冬という季節柄、どこまで仙台観光できるかは、わからんが、適度に楽しんできます。

なによりもクリスマスなのが、絶対いい。

仙台に行ったら、やっぱり牛タン。
なぜ、牛タンといったら、仙台なのか、それまで、よ~く勉強しておきます。(笑)


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