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ロンドンのコンサートホール事情。 [海外音楽鑑賞旅行]

今回のロンドン滞在では、コンサート鑑賞は、すでに日記に書いたBBC Proms(ロイヤル・アルバート・ホール)とグラインドボーン音楽祭だけで、それはクラシック業界は、長い夏休みのオフシーズンに入っているので、ある意味仕方がないところでもあった。

もしレギュラー・シーズンであれば、せっかくロンドンに来たなら、いろいろなコンサートホールを訪問して、コンサートを聴いてみたいホールがいっぱいあった。

だったら、コンサートはないので、ホールの中には入れないけれど、せめて外観だけでも拝むのはどう?とある日、ふっと思いつき、それを実行に移すことにした。

BBC Promsのロイヤル・アルバート・ホールと、グラインドボーン歌劇場は、この日記では省略する。

こういうことを言うと、大変失礼になり、申し訳ないのだが、自分の浅い知識の中では、ロンドンでは魅力的なクラシック専用のコンサートホールというのが、あまり思い浮かばないのだ。

もし思い浮かぶなら、もうとっくに過去の音楽鑑賞旅行で行っているはずだし。

でもホールマニアで、世界のホールを制覇したいなら、このロンドンのホールもぜひ制覇しないといけない。

自分は一般社会人なので、要は先立つものが限られているし、年間の中で休みも簡単には取れなく、これも限られたタイミングで取るしかない。そうなるとどうしても先に行きたいホールの優先度って決まってしまう訳で、そこがロンドンのホールにとって悲しい運命でもある。

そんな想いもあり、せめて、ということで外観ツアーを敢行することになった。

ただし、日記では撮影してきた外観、もしくはホワイエの写真だけで、ホール内装の写真は掲載しません。やろうと思えば、ネットからの拾い絵で、できるかもしれませんが、それじゃきちんとしたケジメがつかないし、ホール内装の写真は、きちんと訪問した時に撮影する証だと思いますので。


●ロイヤル・フェスティバル・ホール

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最寄りの地下鉄は、Waterloo。ロンドンのベスト・コンサート・ホールという位置づけで、毎日でもコンサートが開かれている。コンサート(というより音楽イベント)が開催されている数からすると、どのコンサートホールよりもその数が多い、という異名もとる。

キャパは、2900席なので、かなりの大容積。

以下、ホールの音響について書くが、これは自分が調べ上げた内容に過ぎず、自分の耳で聴いた感想ではない。これ以降の各ホールの音響コメントも全部そう思っていただきたい。(なにせホール内でじかに聴いていない訳ですから。)

このホールは、「響きが不足」しており、特に低音の残響感が十分でないこと、そして低音が弱いことが、ずっと聴衆に認識されていたことだったらしい。その主な原因は、ホール設計時に、観客席に着席した聴衆による「吸音」の効果のことを考えていなかったためと言われている。

音質については、明瞭性に優れていて、ピアノ、室内楽、現代音楽には非常に良好。でも後期古典派とロマン派の音楽には向いておらず、低音の不足が最大の問題である。

それ以前に、なんと言っても、ホールの外観が、なんか萌えないんだよねぇ。(笑)

裏側から見たホール外観。
手前にテラス席がある。

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オフ・シーズンとはいえ、1Fのフロアには入れる。フロア面積はかなり広い。クラシック専門ホールという風情より、どちらかというと総合施設という趣なのだが。。。

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チケット・オフィス

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●クィーン・エリザベス・ホール

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ロイヤル・フェスティバル・ホールのすぐ隣に立っているホール。こちらも毎日のようにコンサートが開かれているようなのだが、どちらかというと、ピアノやヴァイオリンといった小編成の室内楽中心のコンサートである。

さらにこのクィーン・エリザベス・ホールの建物内にあるのが、パーセル・ルーム。サウスバンクに集まっているホールの中では一番規模が小さいホール。

室内楽の演奏が中心で、また新人のリサイタルや音楽学校の生徒たちなど、アマチュアやセミプロの演奏も聴くことができる。



●バービカン・ホール

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最寄り駅は、Barbikan。比較的、駅のすぐそばにあって徒歩5分くらい。目の前に現れた建物が上の写真。映画館、劇場などがある総合施設バービカン・センターで、コンサートホールは、この施設の中の一施設という位置づけで入っている。

バービカン・ホールは、そもそも会議場・コンファレンス会場として計画されたもので、音楽ホールとしてではないのだ。だから、できるだけステージの近くに聴衆を配置することに主眼が置かれ、その残響時間も1.4秒と短く設定された。

これがある意味、このホールの悲しい運命の始まりでもあった。

その後、コンサートホールとして使用することが決まったが、その時点で残響時間を増やすために天井を高くしたり、シューボックスに近づけるべく、横幅を狭くして奥行きを増やすという工程も無理だった。

さらに音響的な障害として、ホール天井の横方向全域に深さ3.7mの大梁が走っているのだ!

「梁」というのは建築用語で、たとえば床の下に、床の上からの重みに耐えられるように、補強する仕掛け部材のことで、その重みのエネルギーを逃がしてやるようなものでしょうか。

ふつうは床の下なのだけれど、もちろん屋根裏部屋のようなものもあって、その屋根の重さがある場合、その屋根の下(つまり下の部屋からすると天井)にこのような「梁」という仕組みを重み・振動逃しのために組み込むこともあるのだ。

今回のバービカン・ホールは、この屋根側に相当すると言っていい。バービカン・ホールの場合、屋根とその上部の屋外プラザの重みを支持するために、この「梁」という仕掛けが、ホールの天井を走っている。

だから、その内装写真を見るとあきらかなのだが、天井からの反射音を客席に返すなどというクラシックホールの基本構造は難しいのである。

これじゃあかん、ということで、1994年と2001年に大規模な改修工事があって、ステージ天井と客席上部に反射パネルが取り付けられた、ということで、かなりの改善はあったものの、残響時間1.4秒は変わらず。

なんか、ここまでくると、元々がクラシックコンサートホール専用設計ではないので、それをその用途に使うための弊害が、あっちこっちで出てきていて、無理があり、厳しいなぁという印象を感じる。

自分の周りの方やネットでの、このホールの印象も、このホールは、みんな音響がデッドだというので、上記のような過去の歴史事実を知ると、なまじっか納得のいくところでもある。


ロンドン交響楽団(LSO)とBBC交響楽団の本拠地である。


ベルリンフィルを2018年に退任予定のサー・サイモン・ラトル氏。次期職場として、LSOの首席指揮者に就任予定で、もう実際LSOのSACDを出すなど活動を始めている。

ラトルほどの輝かしい経歴を持った指揮者で、今後は、このホールをホームとして演奏と言うのも、なんか可哀想な気がする。もうちょっといいホールで活躍させてあげたいみたいな。。。


このホールが入っているバービカン・センターというのは、いわゆる総合施設そのもの。ヨーロッパ最大の文化施設だそうで、コンサートホール、劇場、映画館、アートギャラリーや、公共図書館、3つのレストランほか大学の音楽学部などが入居している。

女王エリザベス2世の名の下に「国民へのプレゼント」として建てられた。以来コーポレーション・オブ・ロンドンにより運営されているのだそうである。

もちろんフロアの中に入ることが出来て、1Fだけではあるけれど、写真に収めてきました。

フロアを歩いてみて、フロアの内装空間の印象は、とても綺麗でモダンな造りで、少し造形アートを感じるようなデザインになっている、ような気がした。

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ホールへのゲート。あちらこちらにある。

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バービカン・ショップ。

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店内は、こんな感じ。

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なんと! LSO Liveがぁぁぁあああ!

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このバービカン・ショップのすぐ横にホールへのゲートがあったりする。

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かなり近代的でモダンな施設だと思いました。

野外のテラス。

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やっぱり、コンサートホールだけは、なんとかしてあげたいなぁ、という気持ち。(笑)


●ロイヤル・オペラ・ハウス (ROH)

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最寄り駅は、Covent Garden。

この街はとても雰囲気があって、いい感じの街だなぁと思いながら歩いていた。
ちょっと自分の視覚にビビッと来るショットは、思わずパチリ。

なんでも、Covent Gardenは、ミュージカル、そして映画化もされた「マイ・フェア・レディ」の舞台となったところだそうで、その歴史事実が十分納得できるぐらい洗練された、素敵な街並みであった。このことをコメントで後で知らされたときは、それを知らずして、自分が最初にこの街に抱いた感覚が間違っていなかったことがうれしかった。 

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まさにイギリスを代表する、最も由緒あるオペラハウスでもある。

エントランスのところ。

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伝統的な馬蹄型もしくは円形の劇場で、すべて原語上映(大半はイタリア語)で、ステージ上方の幕に英語の字幕が出る。

こんなに美しい神殿のような造りとは思いもよらず感激した。その場にいると、この神殿の造りのオブジェがど~んと目の前にそびえ立つ感じで圧倒される。

ROHのオペラやバレエは、結構いままで家でDVDで観てきているので、内装空間もわかるし、ぜひ近い将来、ここでじかにオペラ観劇してみたいものです。

ちなみに、イギリスでは、オペラといえば、上流階級の楽しみということで相場が決まっているそうだ。


●ウィグモア・ホール

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今回宿泊したホテルの比較的近いロケーションにあった。

伝統的な室内楽ホールで、かなりフォーマルな雰囲気のホール。
自分がロンドンのホールでぜひ行ってみたいと思うのは、敢えて言えばこのウィグモア・ホール。

ホール内のアールヌーヴォー調のキューボラ(丸屋根)の天井画が超有名で、ぜひ直接観てみたい!

友人の投稿写真で、内装空間とか見たりしているが、なかなか雰囲気があって、自分好み。音響もよさそう。ただ、床には赤い絨毯が敷き詰められているそうで、音響的に気になることは確か。でもそんなマイナスファクターを取り除いても、素晴らしい音響なのは間違いない。

それは、このホール自体、自主制作レーベルを所有していて、ウィグモアホール自主制作ライブというCDを世に出してきている。そのCDを聴く限り、とてもいい響き、ホールトーンが、そのディスクの中に格納されていて、実際のその場の空間でもいい響きがするんだろうなぁ、ということが容易に想像できるからだ。

最近のアーティストでは、お気に入りのアリーナ・イブラギモヴァさんのCDが、ウィグモアホール自主制作ライブのCDですね。



以上、ロンドンのコンサートホール事情で、中に入れなかったホールを、実際目の前に行ってきて、特集してみました。

いつぞやか、ホールでコンサート&オペラを鑑賞したいけれど、やはりヨーロッパ&世界のホール事情の優先度からするとロンドンのホールは厳しいかなぁ。(笑)




 


グラインドボーン音楽祭 [海外音楽鑑賞旅行]

グラインドボーン音楽祭は、いまやウィンブルドンと並ぶ英国の夏の風物詩。ロンドン郊外の喉かな田園地帯のオペラハウスと、幕間ブレイクのときに楽しむピクニック・ディナー。とても英国流というか、エレガントな世界でふだんの自分とは似合わないような世界だった。(笑)

そもそも、今回の旅行は、昔住んでいたロンドンに行くことが目的で、そのときに夏の音楽祭でイギリスでやっているもの、という選択肢、そして松本音楽祭で観た小澤征爾さんの「ラヴェルの子供と魔法」の演出が、このグラインドボーンの演出と全く同じだったことなどから選んだだけであった。

でも、いろいろ準備していくにつれて、かなり英国貴族社会風な、とてもセレブな音楽祭であることがわかってきて、少し緊張したりもした。

気候に恵まれた5月から8月に開かれ、やや敷居が高い音楽祭という位置づけでもあり、そのセレブな世界は、じつに素晴らしい体験であった。

なによりも、自分が一番感動したのは、その自然の豊かさ、緑の多い、本当に田園地帯という美しい景観の中に、そこにポツンとオペラハウスが立っているという感じ。そして単にオペラを鑑賞するという目的だけではなくて、幕間休憩のときのピクニック・ディナー(これは今回教えてもらってはじめて知ったセレモニーだったのですが。)のような一種独特な英国風エレガンスな究極的な時間の過ごし方、楽しみ方があるんだな、という経験ができたことだった。

超セレブで、とてもエレガントな音楽祭だと思います。

雰囲気、その場の空気がとてもイギリス的。日本では意外と知られていない音楽祭のようなので、それが、とても残念。

さっそく、その模様をレポートしてみたい。

この音楽祭の一番のネックは会場へのアクセスだろうか?

地元の人は、自家用車で来る人も多いようなので、そういう人たちは問題ないのだろうが、私のような旅行者は結構ハードルが高い。

ロンドン郊外の南下したところにあり、ロンドンのVictoria駅からLewes駅まで、大体1時間くらい列車で揺られて移動する。そして、そのLewes駅には、音楽祭用ということでシャトルバスが待っているのだ。それに乗って会場まで行く。

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ただし、行きだけという訳にはいかず、必ず帰りの往復利用することが前提。会場に着いて、バスを降りるとき、こんな復路のチケットをもらうのだ。(でも終演後にバスに乗るとき、この復路のチケットの確認などはやっていませんでした。)

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復路のバスの出発時間は、終演後あまり余裕がないので、乗り過ごさないように注意が必要。もし、このシャトルバスを逃したら、超田舎のポツンとしたところなので、Lewes駅までの足がなく、途方に暮れてしまう。

これがグラインドボーン音楽祭の会場であるグラインドボーン歌劇場。歌劇場前の一面に広がる草原から撮影しています。

歌劇場は、手前の建物の、その後ろに映っている円形上の建物。

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右横からのアングル。

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左側には、さらにこのような建物が連なっており、これはなんなのでしょうね?

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そして、これらの建物の前は一面に素晴らしい景観の草原が広がっている。
ここで、ピクニックを楽しむわけだ。

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まず開演前に、この草原で場所取りをして、とか一連の作業をやる段取りだったのであるが、この日は、なんとあいにくの雨。それもかなり強烈な雨。まことに残念。

なので、開演前の儀式のピクニックはいっさいなし、ということになってしまった。

代わりにみなさん、開演まで、どこで過ごしたか、というと、建物の中になる。歌劇場の前のところが、いわゆる室内のホワイエ空間のようになっていて、その外側に、さらに屋根にテントを張って、その端のほうがバーカウンターやショップのようになっている、という感じである。

このオレンジ色の壁が歌劇場の建物になる。(正確には、ホワイエの部分。)

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2Fの部分はホワイエでの室内レストランのようなエリアになっている。

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左側が歌劇場、そして屋根がテントの歓談エリアがあって、その端に、バーカウンターやショップがある。

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こちらは歌劇場の建物の中のホワイエというか、歓談エリア。

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ここがグラインドボーン・ショップ。

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ショップ内はこんな感じ。

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ドレスコードは写真を見てもらえばわかるように、完璧正装。男性はタキシードが多いし、女性はドレス。自分は礼服&ネクタイでのぞんだが、問題なし。ダークスーツでも一切問題なし。

ただし、絶対に正装必須で、カジュアルはいっさい不可ということ。基本、超セレブな音楽祭なのである。


オペラハウスへの入り口は、原則地下にある。
絵画が壁に飾られている。

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地上にも入り口がある。ゲートは木製でこんなにクラシック!

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そして、いよいよオペラハウスの中に潜入。

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じつは音楽祭創設当時のオペラハウスを立て直し、現在の建物は1994年に建て替えられたもの。キャパは、1243客席。オペラハウス自体、円形状の形になっていて、オペラハウスでは、よくみかける馬蹄型の全体の枠ラインをまん丸の円形にしたような感じ。

正直、ホール内装の写真を撮影するのに、こんなに難しいホールはない、と感じた。

全体がわかるようなフレーム撮りが、わからなくて試行錯誤で、結局、これ!という感じの写真は撮れなかった。

内装は、全体に木でできているのか、木目調な色彩で、木独特の暖かい空間が漂っていた。中は薄暗く照明が落とされていて、オレンジ色~黄色のライトニングがされている感じであった。

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天井。

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ピット~普通の開放型ピット。

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ステージ~比較的広いステージだと思ったが、印象的だったのは、高さがかなり普通のオペラハウスよりある、ということ。自分の直感ではあるが、感じたことだった。

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客席形状が円形というのは、音響コンサルタント的には、歌手の声をホール内に均一に伝わらせることに関して、結構難しいらしいのだそうだが、随所に反響面の設置など工夫がされている。

最初の前奏曲のときのオケの演奏を聴いたとき、なんたることか、ちょっとドライな響きに聴こえて、焦ったことも確かだが、全曲通して、そんなに違和感のないノーマルな音響であると感じた。

スペック的には、満席時の残響時間が1.25秒とのことであるから、自分の感じた感覚もそんなに外れでもないであろう。

今日は、ここでベルリオーズの「ベアトリスとベネディクト」を鑑賞する。

自分は、このオペラハウスで何回もオペラを観たなどという経験は、もちろんなくて、今回が初めてであるが、演出ともに非常にクオリティの高いオペラ作品を上演することに定評がある。

公演の感想は、またあとで。


そして幕間ブレイクのピクニック・ディナー。

今回自分ははじめて知ったのであるが、この音楽祭は、オペラ本番も大切だが、ある意味、目玉といえるのが、この幕間のピクニックディナーなのだそうである。 幕間の休憩は1時間20分。この間に、おもいおもいにピクニック・ディナーを楽しむ。

さきほど写真で示したように、オペラハウスの前は、一面の草原になっていて、ここで、テーブルをセットして、正装姿の紳士淑女が、この大自然の中で、ピクニック・ディナーを楽しむ。食事の準備をしてくれるポーターさん(かわいい学生の男の子や女の子がバイトでやっているようです)が料理をセッティングしたり、飲み物を注いでくれるんだそう。

草原には羊などが放牧されているときもあって、なんとも長閑。これが英国流エレガンスな過ごし方なのだそうである。

ところがあいにく、この日は雨だった!(自分の普段の行いが悪いのですね。)

ネットからの拾い絵で失礼しますが、本来であるならこんな図が展開されるはずだった。

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雨なので、主催者側も今日は、みんな室内のレストラン、というように方針転換したようである。誠に残念極まりない。


さっそくPicnic Collection Point(ピクニック貸出所)に出向く。

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予約番号とかあるのだが、自分の名前を言っただけで、すべてわかってくれた。

アシスタントさんが、私の分のバスケット(この中に、食事や食器が入っている。)を持って、2Fの室内レストランの予約場所まで案内してくれる。

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こちらのバスケットがナイフ、フォークなどの食器とかが入っているやつだったかな?

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そして、こちらが食事の入っているほう。

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食事のメニューの決め方は、時代に応じていろいろあるらしいけれど、今回の自分は、あらかじめ事前にメニューをもらって、その中から選んでおくという方法だった。

前菜は野菜中心、メインは牛フィレのステーキ、デザートはラズベリークリームといったメニューを決めていた。


そして、こんな感じ。グラインドボーンのシャンペンもついています。(^^)

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確かに火は使えないので、冷たい食事なのだが、そこそこに美味しかったと思う。



ディナーが終わったら、散歩がてらに劇場の前の草原を散歩してみた。

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雨は止んでいた。主催者側の判断で室内ということになってしまったが、でも歩いてみたら、数人の方が草原の自然の中での食事を楽しまれていた。食事も必ずオーダーしないといけないのか、というと、そうでもなくて、各自お弁当を持参して、というのも十分にあり。この風景だと、みなさんお弁当かな、とも思いました。わずか数人しかいないけれど、こういう自然との調和の中でのディナーって、これぞ!まさにピクニックですよね。やはりイギリス的でスゴイ素敵だなと思うところ。これはグラインドボーン音楽祭じゃないと体験できないことですね。

他の音楽祭では類をみないと思います。


これはイギリス伝統の遊びなのでしょうかね? (ふつうにゲートボールかな?)

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雨というアクシデントはあったけれど、散歩しながら、ほんの少し英国流エレガンスな雰囲気を楽しめた、というところであった。



さぁ、オペラ後半。

ここからオペラの公演内容の感想を少し。ベルリオーズの「ベアトリスとベネディクト」というオペラは、巷では、ほとんど予習素材がない珍しい演目である。でも去年の小澤さんの松本音楽祭のオペラで上演され、自分は観に行っていた。

さらに、そのときTVで放映されたものの録画を持っていたので、それできっちりと予習していった。この松本のオペラは、それは、それは、舞台芸術が、あまりに素晴らしくて、原色がくっきりの鮮やかな色どりの舞台装置で、オペラそのものに華を添えていた。

それと比較すると、今回のグラインドボーンの演出は、とてもモノトーンというかシルバー系で統一されたシンプルな色使いで、舞台全体に統一感があったように思う。すべてにおいて、ものすごいシンプル。

舞台装置や照明の使い方も、とてもシンプル。ただでさえ高さが異常に高いステージいっぱいに大きな箱が3つ現れて、その中に歌手がたくさん入っているという、ちょっとメルヘンチックな演出。

なんか松本音楽祭とは対極になるような作品に出来上がっていて、微笑ましい、可愛らしい感じの演出だった。

歌手も、みなさん個性的でよかった。

正直ツアー最終日のこの日、あまりに濃い体験の連日で、体調は最悪で、はやくツアー自体終わってくれないかな(早く日本への機上の人になりたいという気持ち)、という弱音を前日から感じていた、ことも確か。

願わくは、もう少しよい体調で、記念すべきこの演目を鑑賞したかった。

でも、田園地帯の中でオペラとピクニック・ディナーを楽しむ、という英国流エレガンス、十分堪能できて、一生の記念になりました。

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グラインドボーン音楽祭2016
2016/08/19  17:20

エクトル・ベルリオーズ
ベアトリスとベネディクト

制作チーム
指揮:アントネッロ・マナコルダ
演出:ロラン・ペリー
舞台:バルバラ・デ・リンブルフ
衣装:ロラン・ペリー
照明:ドゥエイン・シューラー


出演者
ベアトリス:ステファニー・ドゥストラック
ベネディクト:ポール・アップルビー
エロー:アンヌ=カトリーヌ・ジレ
クラウディオ:フィリップ・スライ
ソマローネ:ライオネル・ロート
ドン・ペドロ:フレデリック・カトン
ユルシュール:カテリーナ・ブラディック

ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
グラインドボーン合唱団



BBC Proms & ロイヤル・アルバート・ホール [海外音楽鑑賞旅行]

正式名が、「ヘンリー・ウッド・プロムナード・コンサート(通称プロムス)」というもので、指揮者ヘンリー・ウッドが、貧乏な人たちにも良質なコンサートを、という主旨で、いまから100年以上も前に始められた夏の音楽祭。約2か月にわたり、リラックスした雰囲気の中で楽しんでもらおうという趣旨のとてもカジュアルな音楽祭なのだ。

2005年あたりからプロムスは、どんどんエンターティナー化していき、現在では国営放送BBCの運営にも関わらず、スポンサーがたくさんついた大がかりなイベントになっているようである。

会場は、ロイヤル・アルバート・ホールなのだが、それのみならずイギリス全国に拡大。スコットランド、アイルランド、ウェールズ、北イングランドの野外会場がロンドンと中継で結ばれるなど、本当にすごいエンターティメントぶりなのである。

登場するのは、クラシックのみならずで、ジャズやポップスも含まれていたりする。

創始者のヘンリー・ウッドは、日頃、クラシックに触れる機会も関心もない庶民を教育しよう、という使命を受けてはじめたものなのであるが、実際のところ、それに反して、どんどんエンタメ化していっているというのが実情だろう。

そういう趣旨の音楽祭なので、客層は本当にカジュアル。みんなで気軽にクラシックを楽しんでいこうという雰囲気がはっきりわかる様子だったように思う。

会場のロイヤル・アルバート・ホールには、地下鉄(Underground)の最寄り駅は、South Kensington。じつはこの駅から徒歩でかなりの距離歩く。

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手元に持っていた地図が、心もとないので、駅の前にあった地図掲示板をデジカメで撮影して、その地図のもとに歩いて行った。

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最初ちょっと曲がるが、あとはひたすら直進。でも歩いても歩いても、いつまでも姿が見えないので、確かに不安になってくる。(笑)

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そしてついに、ロイヤル・アルバート・ホール。

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カジュアルな客がたくさん長蛇の列を並んでいる。

さらにこんな感じ。(^^;;

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これは?

プロムスでは、平土間、つまりグランドフロアの座席は、すべて取り払われ、アリーナ(立ち聴き)として解放されているのだ。このチケットは、”スタンディング・チケット”の名で売られているのだが、当日券のみ。値段も5ポンド程度と安く、今日のような有名な曲、演奏家が出る日には、2時間以上も前から長蛇の列ができるらしい。

だからこの長蛇の列は、その平土間立ち聴きのための当日券の並びなんだね。

自分は歳なので、とてもコンサート中オールスタンディングは腰に来て無理だと思うが、この立ち聴きがまたいっそうコンサートのカジュアル感を醸し出している、と言っても過言ではなかった。



このホールの入り口は、やはり両サイドからだと思うのだが、自分は正面のこの入り口から、スルスルと中に入ってしまう。

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そこには、BOX OFFICEや、カフェスタイルなどがあったが、さらに進んでいくと、こうやってチケット持っている人のみのプレートが。

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まずこの前で、たぶん会場の中には、まだ入れないけれど、ホワイエなら解放というところなのだろう、チケットを係員にバーコードでスキャンしてもらって、中に入っていく。

なにせ、円形ドームなので、ホワイエ空間というものより、全体的にこんなスタイルの通路が延々と続く。

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自分のゲートはここだ!

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ここで、よく状況を把握できていなかった自分は、施錠されていないので、中にスルスルと入っていき、近くにいたホールの撮影機材スタッフと思われる人に、この座席シートってどこなの?と聞いてみたりしたのだ。

なにせ、座席表なんて気の利いたものは見つからなく、他人任せ。

そうしたらスタッフは、この扉を開けて、中に入って、最前列のほうに行ってみな?その番号あるよ。とにかく中に入ってみろ!と言うではないか!

自分は、あくまでその指示通りにしたにすぎず、中に入ると、中にいきなり空席のホール空間が一面に現れる。びっくりして大興奮。


これは、またしても、やっぱり音楽の神様が、ホール愛に満ちた自分にくれたご褒美なのか、と勝手に勘違いして(笑)、また空席のホール空間を撮影できるチャンスをものにすることができたのだ。

たぶん、まだ開場前だったと思うんだが。。。(笑)

6000人くらいのキャパの大容積。でも場内を一周して撮影してみたのだが、意外や小さく感じて、あっという間にグルッと一周できてしまう広さ。東京ドームよりももちろん全然小さいと感じる。

そして空席のホール内を一周しながら撮影した。でもプロムスは、やはり観客が入って、照明がついたほうが遥かに華やかで素晴らしい。

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天井がぶら下がっている、これはなにか?というのは後で説明する。

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これが大オルガン。

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撮影したら、満足がいって、開場までにホワイエで座って休憩したいと思い、こういう場所を見つけて休ませてもらった。

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ホール側、音楽祭側のスタッフたちが開場前で忙しく準備している。

その中で、特に右手側の白ジャケットの女性。華麗なクィーンズ・イングリッシュを流暢に話し、それが相まって見た目・スタイルともに、超カッコイイ。異性の男性である自分から見ても、いやぁイケているなぁ、と惚れてしまいました。やっぱり英語って周りがパッと明るくなる、明るいトーンというか聴き映えして、全体のオーラを輝かせると思ったひとこまであった。

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そうすると時間が来て、開場。両サイドの扉から、ぞくぞくと入場。

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ホール内は、みるみる内に観客で埋まっていき、照明もついてきて、スゴイいい雰囲気。なんか、かなり華やかな空間にいるのではないか、という印象に陥る。

これぞ、まさにBBC Proms!!!

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ブレイクのときのひとこまであるが、こんな感じ。

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そして私の座席からステージを見た光景。

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今日は、ここで、アルゲリッチ&バレンボイムで、ウェスト・イースタンディヴァン管弦楽団の演奏を聴く。もちろんプラチナ・チケット完売だ。

まず、自分のお仕事であるホールの音響面の印象について、実際、自分の耳で聴いた印象と、帰国後、この日記を書く上でいろいろ調べた結果を書いてみたい。


なにせ、ご覧のように、生音主義の直接音&間接音のクラシック専門ホールとは、まったく無縁のドーム型のホール。そして、なによりも6000人キャパの大容量。自分は完璧にPA主導型のサウンドだと思い込んでいた。

でも実際、自分の座席で聴いた印象は、Non-PAではないか?というものだった。

まずなによりもオケの音量が小さ過ぎる!ステージ周辺で鳴っているような感じで、この大空間の対容量比を満たしているものとは、到底思えなかった。

もし、PAを通しているなら、もっとホール内のあっちこっちのSPから聴こえて、ホール充満度があるからだ。またクラシックホール内でのPAにありがちな音の出どころがわかってしまう、音離れしていない、という感じでもなかった。

自分はステージで鳴っているサウンドの音を聴いて、たしかに音量は小さいけれど、この大容量のホールでふつうに演奏しているだけではないのか?PAかかっているかなぁ?と何回も思ったほど。

また音を聴いていても、いわゆるPA臭さというのも感じない。

もしくは、PAエンジニアが優秀なだけかもしれない。BBC Promosは、BBCを始め、いろいろメディアで収録、放映されているので、やはりPAを通している可能性も強い。でも自分にとって、全く違和感を感じないほど、シームレスで、終始、これPAかかっているのかなぁ?という感じで頭をひねること、しきりだった。

あくまで、ステージ周辺で鳴っている感じで、この大空間を満たしていないなぁ、と思うだけで。。。サウンドの質感も、そんなに違和感はなかった。許容範囲だった。

正直バリバリの電気くさいPAサウンドをイメージしていたので、ちょっと拍子抜けという感じでもあった。

この大容量のドーム空間の音響は、この100年以上、ずっとエコーとの闘いと言ってもいいものだった。

なにせ、この大空間、ステージからの直接音に対して、初期反射音がホール内で長い距離を伝搬するために、音量エネルギーが失われ、遠方の壁からホール前方に戻る初期反射音が、非常に大きい遅れ時間を持つので、いわゆる”エコー”が発生するのだ。

まさに大容量、大空間ならではの悩み。

ホールの音響って、やはりステージ上の発音体に対して、適切なホール容積というものがあって、直接音に対して反射音の時間差がある程度の時間差内、短いほうが心地よい、そういう許容範囲があるものなのだ。あまりお互いが分離しているというか時間差があり過ぎると、わずらわしい”エコー”になってしまう。

このロイヤル・アルバート・ホールでのウェールズ公のはじめてのスピーチでも、「すべての座席に聴こえるように、明瞭な声で発声されたところ、多くの場所で、その声が二重に聴こえ、奇妙なエコーのために次に始まる言葉に、その声が重なった」、とこのホールの歴史資料には書いてあるそうだ。(笑)

もうそこからはエコーとの闘い。

いろいろ改修デザインを試みるもエコーはなかなか解決できず、エコーが完全に解消したのは、この天井からぶらさがっている音響拡散体(フライングソーサー(空飛ぶ円盤))を設置してからなのだ。

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このソーサーの上には吸音材が貼られていて、天井からの余分な反射音を吸収する(中音域で過剰に長い残響時間のf特のフラット化)という問題解決と、あと、これは、いまのホールでも当たり前で行われているホール上空での反響板に相当する役割。。。天井までの距離が長いので、反射音が遅れてしまうので、それを、そこまで到達する前に、このソーサーで早くいち反射してしまうこと。

などが対策された。このソーサーが設置されたおかげで、遠方の座席からすると初期反射音が遠い、とか薄いというエコーの原因の最たる弱点も解消される。

満席での残響時間は、2.4秒。

やっぱり決定的なのはオケの音が弱いというか小さいということ。これは、やはり6000人も周りが人で囲んでいては、音を吸っちゃうよなぁ、というのは当たり前に思ってしまうことだ。

いまでこそ、こういうパラドックスがわかってきているから、最初から無茶なホールは設計しないけれど、このロイヤル・アルバート・ホールが設計されたのは、1800年代のこと。当時はそんな理論なんてわからないわけだから、作ってしまったものに対して、やはり試行錯誤で、ここまでつじつまを合わせてきた、という感じであろうか。

もちろん自分が聴いていた分には、このエコーは発生していなかった。

さて、いよいよ本題のBBC Promsの演奏会に移ろう。
この日の演奏会は、プロムス43というプログラム。

アルゲリッチ&バレンボイムで、ウェスト・イースタンディヴァン管弦楽団の演奏会。
アルゲリッチの大ファンでもあるし、バレンボイムも好きだ。
もうこの2人は大の仲良しですね。

この日の演奏曲は、なんとワーグナー一色なのだ。

アルゲリッチはリストのピアノ協奏曲なのだが、今回いろいろ日記を書いているうちに、よく考えると、リストって、ワーグナーの妻コジマのお父さんであるから、親戚な訳で、そうすると結局全演目ワーグナーづくし、ということだったのかなぁ、と思ったりする。

アンコールも、トリスタンとイゾルデと、ローエングリンの第3幕の前奏曲だった。(笑)

バレンボイムとワーグナーというと、自分がいつも思い出すのは、ワーグナー音楽がタブー視されているイスラエル圏内にて、強硬演奏するというチャレンジングな試みを過去に幾度かやってきた、という想い出。

話が逸れてしまうが、自分の過去の日記でも何回か、取り上げたことがある。


ワーグナーは、19世紀後半に音楽界だけでなくヨーロッパ文化に広く影響を及ぼした文化人として知られる一方で、じつは反ユダヤ人思想を持つと言われる彼の音楽は、ヒトラーのユダヤ人絶滅思想にも利用されてきた。 そのため、イスラエルにおいてはワーグナーの音楽そのものが長らくタブー視され、 今日においてもその見方が強いのだ。

現在バイロイト音楽祭の総監督で、ワーグナーの子孫にあたるカタリーナ・ワーグナーさんは、

「ワーグナーはいつも狂気の中で生きていた。常に自己崇拝しており、世間から天才として認められることを期待していた。だから自分以外に高く評価されている人は言うまでもなくライバルであり、敵であった。 若きワーグナーの前に立ちはだかる男たちがいて、メンデルスゾーンやマイヤーベイアーを代表とするユダヤ人作曲家。

彼らに対する妬みは、ワーグナーを人種差別主義者に変えていった。。。」

とインタビューで答えている。

バレンボイムという人は、こういう問題を抱える中で、2001年にエルサレムで開かれた 「イスラエル・フェスティバル」の中で、ベルリン国立歌劇場管弦楽団を指揮した彼が、アンコールにワーグナーのオペラ「トリスタンとイゾルデ」の一部を強行に演奏して、彼はアンコールの前に、「私は誰の感情も害したくはない。もし聴きたくない人がいるのならばこの会場を去って欲しい」とヘブライ語で語り演奏を始め、アンコールはスタンディング・オベイションを受けたものの、一部の観衆は「ファシスト!」などと叫んで席を 立ち、騒然となり後日大変な騒動となったという有名な事件がある。

自分は、バレンボイムとワーグナーとのかかわりの時を考えるとき、バレンボイムのイスラエル方面への力の入れ方も強い人だっただけに、どうしても、こういうチャレンジングな彼の過去の勇気ある行動をいつも思い出してしまうのだった。

今回の旅行は、なにかとワーグナーと関連性、所縁のある旅だと感じるので、ワーグナーのいい面ばかりではなく、こういうマイノリティーな部分も触れないといけないと感じた。



今日の演奏。タンホイザー序曲、神々の黄昏より-夜明けとジークフリートのラインへの旅、神々の黄昏より-葬送行進曲、ニュルンベルクのマイスタージンガー 序曲、とワーグナーづくし。もうとても満足できる演奏であった。

オーケストラの演奏レベルとしては、正直まだまだ粗削りのところもあるな、と感じるところも多々あったが、お祭りムードに支えられて、素晴らしく感動できた。観衆は、もう大歓声であった。

(コンサートマスターが、風貌を見る限り、昔ベルリンフィルにコンサートマスターをやっていて、安永さんの後任として樫本大進をベルリンフィルに誘った、あの方じゃないかな、と思った、名前はど忘れしちゃったけれど。。。~・ガイという名前だったかな?)

そして、アルゲリッチのリストのコンチェルトも素晴らしかった。彼女、ここに健在!この後のアンコールでは、なんとバレンボイムとの連弾も披露。もう自分にとってはこれ以上ないご褒美となった。BBC Promsでのこのコンビによる演奏。最高の想い出になった。

一生忘れ得ることのできない、素晴らしい夏の一夜を過ごすことが出来た。

写真は、Twitterで、Argerichfanさんの投稿のそのときの写真をお借りしています。

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BBC Proms

2016年8月17日 19:30
Royal Albert Hall  ロイヤル・アルバートホール
プログラム43

<曲目>
イェルク・ヴィトマン
コン・ブリオ

フランツ・リスト
ピアノ協奏曲第1番

リヒャルト・ワーグナー
タンホイザー序曲
神々の黄昏より-夜明けとジークフリートのラインへの旅
神々の黄昏より-葬送行進曲
ニュルンベルクのマイスタージンガー 序曲

マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
ウェスト・イースタンディヴァン管弦楽団
ダニエル・バレンボイム(指揮)



大都会で多様民族の集まりであるブリュッセル。 [海外音楽鑑賞旅行]

品格のいいバイロイトから、ブリュッセルに移動してきたときに、あきらかに、その街の風情というのが違うことが、自分の肌でわかる。目に入ってくる街の景観、通行人の”なり”から明らかに感じが違うのが、はっきりわかる。

ブリュッセルに入ってきたときは、なにか、こう退廃的というか(笑)、荒んでいる感じがしてならなかった。

やはりテロ厳戒態勢下にある感じがして、駅を始め、市街のあちこちで、通行禁止になっていて、おびただしい警官、軍隊メンバーがいたりするのを頻繁に見かけた。

なにを隠そう、我がホテルにも、たくさんの軍人が出入りして、なにごとか!と思わず聞いたら、いや、ただ休憩しているだけだ、ということだったが。(笑)

でも時間が経つにつれて、慣れてきて、いわゆるブリュッセルの街独特の雰囲気に溶け込んできて、自分も同化してくるような感覚になってくる。

やっぱり都市間の移動した瞬間は、その差というのがどうしても気になるのだが、数日間滞在していると、慣れてくる。

ベルギーではフレミッシュという言語とフランス語が話される。フレミッシュというのは、オランダ語と同じ種類の言語だが、アクセントが異なるらしい。同じベルギーの中でもフレミッシュを話す地域と、フランス語を話す地域が分かれている。

でも、このフレミッシュ、ブリュッセルなどベルギーの南に行くと使われなくなり、南側の人々はほぼフランス語しか話せないのだそうだ。

22年前、自分が住んでいたときは、ブリュッセルの街の中のレストラン・メニューは、ほとんどがフランス語で書かれていたような気がする。今回体験したレストランでは、英語&フランス語であった。

ベルギー人はほとんど英語を話すことができる。英語はきちんと通じるし、うまいと思う。

英語の普及率は高いが、授業が始まるのは日本と同じくらいのタイミングなのだそうだ。

正式には、ベルギーの公用語としては、フランス語、オランダ語、ドイツ語の3か国語となっていて、(ザーベンタム)空港の標識なんかもそういうトライリンガルな表示になっている。

わずか2日間の滞在だったが、その間にすっかり22年前の感覚を完璧に取り戻し、今回ベルギーを訪問した甲斐があったというものだ。

ブリュッセル北駅で下車して、タクシーを使って、自分のホテルに行こうとして、ホテル情報を運転手に伝えたところ、いきなり”10ユーロ!”と言われ、そのときは、意味がよくわからなかったのであるが、途中で気がついた。料金メーターがついていないことに。。。かなりラフ。(笑)

でもブリュッセル名誉回復のために、言っておくと、その後頼んだタクシーはすごい近代的で素晴らしかったです。スマホをカーオーディオのヘッドユニットにデザリング接続していて、スマホでナビをしていた。単独のナビは使っていないですね。カー業界の最先端ですね。

さて、今回宿泊したホテルは、バイロイトについで、これまた、ブリュッセルの中でも最高級クラスのホテルと思われるほどゴージャスだった。近代ホテルというより、歴史感ある感じ。


Hotel Metropole

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部屋

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フロント

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朝食をとる軽食レストラン

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エレベーターもこんなにクラシック!

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居心地は最高だった。なによりもWiFiが、かなりブロードバンドでサクサクだった。
溜まっていた写真を一気にアップロード。


ホテルから、グランプラスは本当に近い。徒歩7分程度。

ホテルからまっすぐ歩いていくと、証券取引所が現れる。

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証券取引所手前の道路は、歩行者天国状態であった。

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これを手前に左折するとすぐにグランプラスに到着。

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今回は、滞在期間が短いし、目的はフラワーカーペットなので、グランプラスから大きく離れる散策をするつもりは到底なかった。だからグランプラス周辺を散歩程度にぶらぶらした程度。

第一目標のフラワーカーペットを見た後、グランプラスから出る枝道をぶらぶら。歩いていて思い出したのだが、こちらの道路は、石畳が多いんですよね。歩いていて、足の裏がすごい痛くなってくる。

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とりあえず、その辺でベルギービールを1杯!暑いときに最高にウマい!

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天気がいいので、みんな外でカフェスタイル。ヨーロッパだねぇ。

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さらにグランプラス周辺と言えば、この定番は行かないと。

小便小僧。小さいねぇ。いや、ナニがという意味ではなく、全体が、という意味です。(^^;;

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もう大変な観光スポットで、すごい人だかりでございました。



グランプラス内にベルギービール博物館というのがある。入ってみた。

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中は、ちょっと貯蔵庫的な薄暗いアングラな雰囲気で、なかなかよい。ここに入るには、入場料的な意味合いとして、まずベルギービールを頼まないといけないのだ。

今回は、ちょっと嗜好を凝らして、レッド・ビールを。。。なんかファンタのグレープにアルコールが入っているような味がしました。

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さらに別室に行くと、ベルギービールができるまでの映画が上映されているのと、パネル展示があったりする。でも、それだけ。(笑)

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グランプラスは、それこそ、フラワーカーペットで大盛況であったが、そこは、やはりこういう感じで、軍人の方が常にパトロールしていて、テロ厳戒態勢下であることを感じさせてくれる一幕もある。

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でも、なぜか背後にGODIVA。(笑)

ベルギーと言えば、ベルギービール、GODIVAのチョコレート、ワッフル、レースなどが挙げられるだろう。

このお店もグランプラス広場に面したお店なのだが、レースのお店。

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このお店、間違いなく22年前も存在した。あきらかに覚えている。まったく変わっていないで、このまんま残っているなんて、なにか、やっぱり進化が激しい東京に住んでいると、信じられないくらい、ヨーロッパは、いつまでたっても変わらないんだなぁ、としみじみ。


グランプラスから出て、ちょっと歩いたところに、ギャルリー・サン・チュベールというショッピングアーケード街がある。ここも昔よく歩いたところだった。懐かしくて寄ってみたくなった。

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中は、まったく変わっていなかった!

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ところがなんと!驚いたことに、このアーケード街の天井に、過去20年間のフラワーカーペットの花絨毯の模様が1年単位の布製パネルになって、上からぶら下がっていたのだ!

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昔、ブリュッセルに住んでいた時に、自分が遭遇したフラワーカーペットの模様がどんな模様だったかを調べたくて、ネットでいろいろググってみたのだが、うまく見つけられず、書籍&写真集にもなっていないようだった。

それが、こんな形でお目見えしようとは。

そして見つけてしまった。
これです!

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自分が住んでいたのが、1994年。このときに開催されたフラワーカーペットの花絨毯の模様。まさに間違いない。あの当時、夜と昼の両方観たのだが、とにかく頭の中は、一面真っ黄色の記憶が、頭にこびりついてたので、このデザインを見たとき、まさにこれだ!という感じでひらめき、蘇った!

感無量です。

そうしたら、後日、フラワーカーペットの公式HPを発見しました。

http://www.flowercarpet.be/en

こちらには、過去20回のカーペット模様が全部掲載されていました。
普通に考えれば、当たり前ですよね。

こうやって過去20回の花絨毯の模様を、ずっと一気に眺めていくと、その模様は、年々洗練されていっているのがよくわかるのが面白い。


このショッピングアーケード街にとても素敵なレストランを発見。

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ムール貝を食べなあかんな、と思っていたところに、外のテラスで、老夫婦がボールのムール貝を食べているのを見つけて、おっこれだ、という感じで、このお店に入ったのでした。

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店内は、とても綺麗。ベルギー・ブリュッセルは、富裕層、貧困層含め、あらゆる階級の人が混在して、レストラン、というよりカフェスタイルも庶民的なところが多いのだが、このレストランは、客層がとても上品で上流階級の人が多そうな感じでいい。なによりも清潔感がある。そして値段も安い。

このレストランは、とても気に入りました。

さっそくボール単位のムール貝を注文。ベルギービールも。あと、ベルギーはフライドポテトも有名ですね。

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おいしかった。白ワインに貝のエキスがしみ込んでいて、最後の残された白ワインを飲むのがとても美味しい。もちろんスプーンですくう訳で、間違ってもボールごと口に持っていくことはしません。(^^)


夜のライトニングのフラワーカーペットを見るために、夜の9時頃にならないと、あたりが暗くならないので、ホテルで休養していたりしていたが、腹が減ってきたので、ガッツリいきたい気分で、結局このレストランの印象がよかったので、再訪。

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ご覧のようにガッツリいかせてもらいました。もちろんベルギービールも。結局この日1日だけでも5~6杯は飲んだのではないだろうか?下戸なのに。(笑)

いままで朝食はしっかり取って、夕食は少な目、という感じだったので、常に空腹感という感じであったが、さすがにこれには満足。

このレストラン、おススメです。ショッピングアーケード街にあります。偶然見つけました。


ブリュッセルに入った時は、退廃的なんて、大変失礼な言葉を発してしまったが、2日間過ごしてみて、すっかり慣れてきて、22年前にワープできたのと、やはりブリュッセル、すなわちベルギーという国は、いろいろな人種の多様民族の集まりだということが、通行人を眺めているだけでも、それがはっきりわかる。

そして、なによりも大都会。

こんなに道路をたくさんの人がぎっしり歩いているなんて、やはり観光都市なんだなぁ、と感じたことだった。

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ベルギー・フラワーカーペット2016 [海外音楽鑑賞旅行]

2年に1回、ベルギー・ブリュッセルの世界遺産であるグランプラスで、開催されるフラワーカーペット。

今年が第20回目(40年)の開催で、今年は、日本&ベルギー友好150周年を記念して、花絨毯模様が、日本をテーマにデザインされる。乃村工藝社の日本人デザイナー 鈴木不二絵さんのデザインによる「花鳥風月」。

鈴木不二絵さんは、北海道札幌市出身。代表作品として藤子不二雄ミュージアムのポスターや案内板などのデザインを手掛けるデザイナー。

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ブリュッセルにも現地入りして、実際の花の敷き詰め作業も手伝い、そして完成後は和服に着替えて、メディアなどのインタビューにも対応した。

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1994年ころにブリュッセルに住んでいた自分は、当時このフラワーカーペットを偶然経験したことがあって、今年日本がテーマということで、ぜひ行きたい、音楽旅行とはもう別物で、音楽抜きでぜひ行ってみたいと思っていたところ、夢が叶った。

今年は8/12~8/15の期間で開催されて、実際広場に花を敷き詰める作業は、8/12の早朝から行われたそうだ。実際始まる初日の朝にやるものなんですね。

今年の絨毯模様は日本がテーマということで、たくさんのブリュッセル在住の日本人の方が、この花の敷き詰め作業を手伝ったそうである。

じつに22年振りのグランプラス。

ホテルから徒歩7分位でグランプラスに着くのだが、この広場に入った時の興奮と言ったら、それはもう!

こんな花一面で出迎えてくれた。

広場の花絨毯に沿って一周してみる。やはり思うのは、地上から眺めている分には、花鳥風月のデザインがわかりくいな、と思ったこと。

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フラワーカーペットに使われる花は主にベゴニアの花を中心に使われる。

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このフラワーカーペットのデザインがわかるように見るには、建物の中に入って上から眺めないと、デザインがわからない。渡欧前に旅行会社スタッフと事前に打ち合わせたところ、この建物、市立博物館の2Fが外を臨むベランダになっていて、ここから見れるんではないか、という作戦を立てていた。

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実際入ってみたら博物館なので入場料8ユーロ。こちらのベランダは、あまり知られていないというか、穴場なのか、ガラガラで空いていた。

2Fから花絨毯を覗いてみたら、こんな感じで見えました。ちょっと慣れていなくて、絨毯を1枚のフレーム・アングルの中に納まりきらなくて分断で申し訳ない。

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じつは、グランプラスに居たら、この花絨毯を上から覗くのは、この市立博物館の反対向かい側にある、こちらの市庁舎のほうでも2Fのベランダを開放していることが現場でわかりました。こちらのほうは、じつは、かなり本格的で、フラワーカーペットのオフィシャル・スポンサーではないか、という感じがしました。

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なにせ、このような正式なゲートがある。そして長蛇の大行列。仕方がないので、私も並んだ。

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入場料は4ユーロ。こちらでは入場料を払うと、こんなフラワーカーペット特集の冊子も、もらえた。

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冊子の中では、過去の20回の花絨毯の模様の特集も組んでいたりする。

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この市庁舎のほうの2Fのベランダは、ご覧のように常に満員で、1日中満員御礼で空いているときがなかった。さらに、こちらのほうは、夜のライトニングのときも開放しているのだ。

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市立博物館のほうは、夕方5時で閉まってしまうので、夜はこちらの市庁舎しかソリューションがない。でも、市庁舎のほうは、いつも大変な行列で、かなり効率が悪く、市立博物館のほうが穴場だと思いました。撮れるアングルは、ほとんど同じ。

市庁舎から撮影したものは、こちら。

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さて、結局この日は、グランプラスにずっと居たり、散策したとしてもグランプラス周辺くらいしか動かなかった。早朝誰もいないときに絨毯を撮影できてよかった。

この日が最終日ということで、日中深くなってくると大変な人混みになってきた。あちこちから日本語が聞こえてくる。日本人もたくさん来ている。

地上から見ているとデザインがよくわからいので、こんなふうに撮影している方もいらっしゃいました。(笑)

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そして特設会場という感じで、高さがある程度ある台座を設置して、そこにみなさん登って撮影。今回思ったことは、自撮り棒って、スゴイ普及しているな、と思ったこと。(笑)みんな絨毯をバックに自撮り棒で撮影していた。

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日が深くなっていくにつれて、もうグランプラスは、ごった煮状態と化してきた。

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じつは、フラワーカーペットは、夜のライトニングされたほうが、さらにもっと美しいのだ!ライトニングの仕掛けは、絨毯のサイドの地面に設置されている、このライト群。このライト群がいっせいに光ることで、絨毯が闇の中で浮かび上がるようになるのだ。

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さらに市庁舎の上階のほうには、このようにライトが設置されている。これは後で説明するが、夜のあるショーのためである。

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さて、こちらヨーロッパは夏は日が長いので、暗くなるのは大体夜の9時くらい。それまで、周辺を散策したり、ホテルに帰還してひと休みしたりして時間をつぶした。


暗くなってから、ふたたびグランプラスに行くと、闇にライトニングされた花絨毯があった。感動!

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やはり、これは上から見ないといけないだろう、ということで、再び夜もやっている市庁舎の2Fのベランダに直行。みんな思いは同じで、大変な行列。写真は、手前向こう側にベランダがある。その手前の行列。

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そしてようやく、2Fベランダから撮影に成功。

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もう思い残すことなし。

再び、広場地上に降りたところ、夜のショーが始まった。グランプラスいっぱいに広がるPAサウンドで、和琴や尺八の音色で、”さくら・さくら”が流れる。そして市庁舎の上部に設置されたライトで、赤、青のビームが乱射する大サービスのショー。

もうグランプラスは大変な盛り上がりでした。

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これで、このフラワーカーペットを見に、ベルギー・ブリュッセルのグランプラスまで日本からやってきたミッションもコンプリート。

思い残すことはありません。記念すべき、2016/8/15でした。

このイベント終了後、この花絨毯をどうするか、というと掃除機でグァァ~とバキュームしてあっという間だそうです。(笑)


ベルギー・ブリュッセルのラーメン屋「やまと」。 [海外音楽鑑賞旅行]

後ろ髪魅かれる想いで、バイロイトを後にして、1日中、列車の旅。車窓からの美しい眺めに心癒される。バイロイトからニュルンベルグに出て、そこからICEでフランクフルトで乗り換えてベルギー、ブリュッセルへ。

昔住んでいたベルギー・ブリュッセル。

いまでこそ、ブリュッセルに日本料理屋と言えば、二桁の数の店舗はあると思われるが、22年前に住んでいた時は、ラーメン屋の「やまと」とお寿司屋&海鮮丼の「三辰」の2店舗しかなかったように思う。

もちろん随分入り浸してもらった。

和党の人なので、この2店舗はかなり重宝させてもらった。

22年以上経過しても、店内の様子とか、その想い出は、くっきりと頭の中に刻まれていて、今回ブリュッセルに行くなら、ぜひ寄りたいと思っていたお店だ。今回の影の主役だったりした。(笑)

当時30歳代の自分の青春時代を過ごした街で、この2店舗は外せない思い出だった。

ブリュッセルに到着したのは、18時半。
ホテルにチェックインして、部屋で一息ついて19時半くらいには出発した。

まず、向かうは、ラーメン屋「やまと」。

ホテルからは、かなり遠く、足なしでは、無理なのでタクシーで行った。

タクシーから見える風景は、ずいぶん懐かしかった。はっきり覚えていた。自分のマイカーの運転席から見ていた街の風景。

昔は、「やまと」には、マイカーで通っていた。
いま思うには、どこに車を止めていたのか覚えていないのだが。(たぶん路駐。)

そして、「やまと」到着。

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おぉぉぉ~!まったく変わっていない!
まったく、そのまんま!

ただいま、夏シーズンということで、外でも食べられるようになっている!
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店内もまったく、これっぽっちも変わっちゃいない。
22年前に自分の頭に中に刻まれていた通りの姿であった。


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スキンヘッドの方が、2代目日本人店長の若旦那。
(他のスタッフ2名は現地人。)


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お客さんは、昔からそうなのだが、じつは在住の日本人というより、現地のベルギー人の方が圧倒的に多いのだ。


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ここに待っている間の本棚があったり、待合の座席も、まったく昔の通り。


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メニュー。昔と比べてレパートリーが増えただろうか?
昔は、もっと簡単なメニューだった。


店内に入った時は、カウンター席満席で、待合座席で待っていた。
そして席が空いて、カウンターに座った時に、このスキンヘッドの日本人の方に話しかけてみた。

ノンノン「じつは22年前に、ここブリュッセルに住んでいたんですよね。そして、この「やまと」
             
によく通っていたんですよ。今回22年振りに訪れてみて、ぜひこのお店に来てみたかっ
             
たんです。」

若旦那「あ~そうなんですか?じつは、このお店を開いて開店以来ずっとやっていたオーナーの
     初代ご主人が一昨年にやめて、いったん閉店になったのですが、私が、その後を継い
     で、スープの味も引き継いでお店を再開したんですよ。店内もまったくそのまんま
              です。」

この話を聞いて合点が行った。じつは渡欧前に「やまと」のことをネットでいろいろ調べていた時に、ほとんどの記事で、「閉店した」と記載されていて、もう残念至極だったのだが、FBでは彼らの公式ページがあるし、そのTLを見ていると、なんか普通に毎日営業しているみたいなので、どこか半信半疑だったのだ。(でもぜったいお店はやっている、という確信はあった。)

三辰のことも聞いてみたが、ご主人はサマーバカンスのようでお店自体はお休みだそうだ。

これはショック!

でも、やまとの若旦那は、三辰さんは相変わらずですよ、お客さんがいらっしゃった時とな~んにも変わっていませんよ、と仰っていた。何を隠そう、この若旦那、三辰にも勤めていたらしいのだ。

じつに久しぶりに感じるこの空間。
自分がいまこの場にいることが、限りなくうれしい。

このお店のこの空間のことは、はっきり頭の中に刻まれているのだけれど、不思議とラーメンの味は、まったく思い出せないんですよね。人間の味覚って、記憶力はないと思います。(笑)


さっそくオーダー。

なにが、このお店の看板なのですか?と聞いたら、一応ウチは味噌かつラーメンが売りなんですよね、と言っていたので、それをオーダー。

「やまと」の看板メニューの味噌かつラーメン。

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食べてみたら、失礼であるが、予想以上に、かなり美味しい!

日本では、かなりの頻度でラーメンを食べているかなり麺通の自分。(かなり偏った趣味ですが。。。(^^;;)

麺は縮れ麺の細麺だったような記憶。味噌スープが、見た目よりも味噌の味が濃厚で、かなり美味しいと思った。そりゃあ、ふだん日本で美味しいラーメンを食べ尽くしている自分からすると、「美味しいラーメン」というレベルから比較すると可哀想かもしれないが、ヨーロッパでなかなかラーメンが食べれない環境下では、十分美味しいと思いました。

現地ベルギー人にも固定した人気を持っているのでしょう? もう30年以上もベルギーで活躍している老舗のラーメン屋です。

現地人は、相変わらずラーメンを食べるのが下手。(笑)

音を出して食べれないし、箸の使い方もどこかぎこちなく、麺をレンゲの中にクルクル巻いて、ふうふう冷ましながら食べている。これじゃ、回転率悪い訳だ。(笑)

私が、ラーメンの食べ方はこうするんだ!とばかり、箸で麺を大盛につまんで口に持って行って「ずずっー!」と大きな音ですする。(笑)そうやって、さっさと食べ終わったのでした。(笑)


22年振りの「やまと」。ご主人は変わっていたけれど、店内ふくめ、なんら変わっていなかったお店。ラーメンも美味しかったし、十分満足して、今回のベルギー訪問の影のミッションを完遂したのでした。

あっ、ここは餃子も美味しいらしいよ!


Yamato(ラーメン やまと)

address:Rue Francart II, 1050 Brussel
TEL: 02-502-2893


バイロイトって、こんな街。 [海外音楽鑑賞旅行]

パリCDGからニュルンベルグへのフライト。小さい飛行機なので、カートをすぐにピックアップして、そこからタクシーで、ニュルンベルグ中央駅までタクシー。そしてDB(Deutsche Bahn)在来線に乗る。その間、わずか1時間の早業。(笑)

それで、ようやくバイロイトに着いたのが、夜中の2時頃。


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バイロイト中央駅(Bayreuth Hbf)

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雨が降っていた。タクシーが1台だけ止まっていた。助かった!こんな夜中で、もしタクシーが1台もなかったら、雨に濡れて、途方にくれて最悪だったろう。

タクシーに乗って、自分のホテルまで行く。

この間がすごく嫌なのだ。見知らぬ土地に行くとき、自分のホテルまでタクシーで行く間が、なにか見知らぬ土地にふっと投げ出されたような感覚になり、方向感覚がマヒして、とても恐怖感に襲われる。

バイロイトって、すごい小さい街なのに、タクシーはグルグルといろいろ道を曲がりながら行くので、すごい恐怖感だ。


バイロイトでのホテル。

ARVENA KONGRESS HOTEL

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バイロイト市内でも超有名で高級ホテル。
お値段も素晴らしく高かった。

渡航の3週間前に捜したのに、奇跡的に空いていたバイロイト市内のホテル。祝祭劇場まで徒歩圏内ということであったが、いやはや、中央駅からかなり歩くので、そこからさらに祝祭劇場まで徒歩は厳しいものがある。でも送迎バスがある。

フロント

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そして部屋。

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なかなか雰囲気があって、とても素敵。居心地は素晴らしくよかったが、唯一の不満だったのは、WiFiが細かったことであろうか?結局パソコンで写真をアップロードできず、今回の旅行は、つぶやき中心で進めることに決定。でも結果的それがよかった。旅行中は、つぶやきぐらいがちょうどいい。


朝食、昼食を食べるレストランが、すごい豪華!
驚いてしまった。(右に映っているのがワーグナー像です。(笑))

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ピアノも置いてある。

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欧州テイストのお洒落感満載で、超高級ホテルだなぁ、という実感。
過去の音楽鑑賞旅行で、こんなに豪勢なホテルはなかったと思う。

ホテルの前には、なんとワーグナーさんが!(笑)

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さっそくバイロイトの街の散策。

バイロイトって、どんな街ということを一言で言うと、音楽祭が開催される街としては、たとえばルツェルンのような自然の風光明媚な美しさ、とか、ザルツブルクのような女性に好まれる華やかさ、という煌びやかさという輝きは、ないけれど、独特の味というか、非常に雰囲気のある、とても素敵な街だという実感。

とにかくワーグナー一色なのである。

マイスタージンガー通りだとか、タンホイザー薬局だとか、通りの名前や建物など、いろいろなところにワーグナーに関連する名前がついているし、このように、至る所にワーグナーさんの銅像が立っていたりするのだ。

実際自分はそういう類のショップに寄ることはできなかったけれど、ワーグナーの楽譜、書籍、記念グッズなど、ワグネリアンにとっては、とてもお宝となるようなものが、いっぱいある素敵な街なのだ。

女性が、自分の部屋にぬいぐるみなど、自分の好きなものでいっぱい囲まれる幸せ感、といおうか、自分の好きなワーグナー関連のもので、周りがいっぱい囲まれている幸福感というか、そんな街なのだ、バイロイトって。。。

さっそくホテルから中心街へ歩く。
観光処が集まっている中心街へはかなり歩くことになる。

ずばり中心街、つまり最初にきっかけで、中央駅まで行く基準とした通りは、この通り。

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最初、こんな風景が続くので、ずいぶん地味な街だなぁ、と。(笑)

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いきなりタンホイザー薬局。(笑)

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そして本屋を見つける。ウィンドウを覗くと、1930年代のバイロイト音楽祭のプログラムなのだろうか、ずいぶん古くて貴重な書物が陳列されている。指揮にフルトヴェングラーと書いてある。

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かなり歩いて中央駅付近の十字路に出たら右折で、中心街に向かう。

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ちょっと自分の視覚にビビッと来る建物があったら、すかさずパシャリ。いい感じのホテル。

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この通りが、たぶんバイロイトの街の中で一番大きな通りで自動車がバンバン通っている。

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さらに歩いていくと、教会のようなものが見える。
ガイド本には、お城としか書いていない。

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この教会の鐘が街に鳴り響く音って、やっぱり堪りませんね。素敵すぎる。

そうこうする内に、バイロイトの辺境伯歌劇場を見つける。

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1747年に完成したドイツに現存する唯一のバロック式劇場。絢爛豪華な装飾で埋め尽くされ、美しい内装空間を誇り、ヨーロッパで最も美しいバロック劇場のひとつとして世界遺産に登録されているのだ。

ここはぜひ観覧してみたかった。残念ながら現在修復閉館中で、外観から撮影するのみ。ワーグナーも、その昔、ここでベートーヴェンの第九を振っているのだ。

その向かいにギリシャ神話風の彫刻。

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ここから最初に目指すは、ハウス・ヴァーンフリート。

この辺境伯歌劇場のある通りであるOperanStr.をずっと登っていくと、こんな景観。

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ここのホテル&カフェはお天気のいい昼間は、テラスでお客さん、いい雰囲気。

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坂を上りきった反対から見下ろすと、こんな感じ。

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そして再び十字路。ここにも大きなテラスがある。

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ここを左折すると、ハウス・ヴァーンフリートのあるRichard Wargner Streetに出る。

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ここからRichard Wargner Streetの景観の様子。

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途中でワーグナーさんと愛犬、発見!

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あの奥に音楽祭の旗が立っている所が、ハウス・ヴァーンフリート。

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ここは、すでに前回の日記で紹介しているので、また元に十字路のところに戻って、Richard Wargner Streetと反対方向のMaximilianStr.ほうを散策する。

いきなりこの美しい景観。

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たぶん、この十字路からこのMaximilianStr.のほうを俯瞰した、このショットがバイロイト散策した中で一番気に入っている。


さきほど述べたガイド本にお城としか書いていない建物だと思うのだが、この通りまで伸びてきていて一面に大きな敷地を占めている。なんか外装が美しい。

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そこで、こんな風景も。。。

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そしてさらに歩いていく。

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歩いていると、喉が渇いたなぁ、と思っていたら、こんなところにこんなものがぁぁああ。自動販売機は助かるのだけれど、その横の屋台店が全体が赤くてお洒落。

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このBRATWURSTEってなんなのだろうなぁ?とそのときは思っていた。(ドイツ語で焼ソーセージのことなんですね。)

そうしたら、反対方向のRichard Wargner Streetでも同じような屋台店を発見!ここにもBRATWURSTE(ブラートブルスト)とある。

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はて?買って食べているお客さんの手元にあるものを見てみると、ハンバーガーの2枚のパンの中に焼ソーセージが2本くらい挟んであって、それを調味料をつけて食べるファーストフードみたいだ。ドイツでは、有名な焼ソーセージのファーストフードみたいで、あとでガイドブックで確かめてみたらきちんと載っていました。


さらに歩いていくと・・・こちらは、いまだにvodafoneなのでしょうか?(笑)

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そしてランチ用レストランということで、狙いをつけていた、オスカーというビアレストランを発見。築600年以上という館の中にあって、気軽なビアレストラン。

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さっそく中に入る。

とても素敵なお店の内装。

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ここで、まずビールを一杯、グイッと。ウマい!!

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フランケン風焼ソーセージとザウアークラウトを頼もうと思ったのであるが、ちょっと朝早すぎて、また朝食時間タイムらしく、ふつうのメニューには、あと1時間半かかると言われて、あっそう、じゃあいいや(笑)という感じ。

店を出て、さらにMaximilianStr.の奥のほうに歩いてく。

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そうすると、Marketといって、ちょっとした広場に出る。

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なんと、ここで野外バスケットをやっていた。クラシックな街だと思っていたが、なかなか。同性から見ても、たくましい体をしたお兄さんたちが、汗水流してバスケットやっていました。


ただで、やっている訳ではありません。DJの方がヒップホップの音楽をかけながら、ノリノリでやっているのです。バイロイトのイメージがぁぁあああ!(笑)

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通りに行きついたところで、教会(Spitalkirche)に遭遇。

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ここを左折する。

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雰囲気のいいカフェを発見。

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ふらっと歩いているうちに音楽祭に時間が近づいてきて、タイムアウト。Uターンしていま来た道を戻っていく。


そうするとワーグナーさん、化粧品売っていました。(笑)

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路上で、古楽器を使って喉かな演奏会。
いい雰囲気です。

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バイロイトって、こんな感じの街です。滞在期間2日間ですので、回れるところが限られましたが、十分街の雰囲気が味わえたと思います。やはり、華やかさというより、いい味出している街という表現が合っていることがわかるでしょう?(笑)

ワーグナー一色の街で小さな街ですが、とても雰囲気があって、私は大変気に入りました。音楽祭に限らず、オフシーズンでも寄ってみたい街だと思いました。


ハウス・ヴァーンフリート [海外音楽鑑賞旅行]

ワーグナー好きにとって、バイロイトの街に来たら、祝祭劇場に次いで大切なのは、ハウス・ヴァーンフリートだ。

呼称として、ヴァーンフリートだけでいいと思うのだが、現地の方に道を尋ねたときに、ヴァーンフリートでは、わかってもらえなくて、「あぁぁ、ハウス・ヴァーンフリートね!」という感じだったので(笑)、ハウス付きの呼称で今後、統一する。

自分のホテルは、中央駅から結構距離があるロケーションで、バイロイトの街で、観光処の集まっている市街地に行くには、かなり歩かないといけない。

ガイド本の地図を見ているだけでは、どうしても地理感が養えなくて、結局通行人の方に結構聞いた。

そして、辿り着いたハウス・ヴァーンフリート。

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祝祭劇場を建てるために、バイロイトに移り住んだワーグナーの住んでいた館である。

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館の前には、ワーグナーの創作活動のパトロンだったルートヴィヒ2世の胸像が立っている。ルートヴィヒ2世がいなければ、ワーグナーも後世にこれだけの功績を残せなかったであろう。

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さっそく、ハウス・ヴァーンフリートの裏庭のほうに移動する。

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ここには、ワーグナー、そして妻コジマ、さらに愛犬が眠っているのだ。

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心の中でこのように祈った。「あなた様のオペラを愛し、とうとうこの聖地までやってきました。これを機会に、より一層、陶酔感のある、あなた様の作品に向かい続けていくことを誓います。」

目的達成。もうこれで十分。(笑)

あっという間の出来事であった。

このお墓のさらに奥の裏側には、緑一面の公園が広がっている。
素晴らしい環境。

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ハウス・ヴァーンフリートの正面向かって左側の横には、息子のジークフリートの家がある。

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もう少し拡大して撮影してみると、下のほうにジークフリードの家と書いてある。
                                                                                                                                                                                         
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そして右側の横には、ワーグナー博物館とカフェがあるのだ。ワーグナー博物館のほうは後でまた説明する。お天気の中、カフェのお客さん、気持ちよさそう。

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ワーグナー博物館の中の受付で、観覧のチケットを購入して、緑のシールを胸に貼って、館内を見学する。

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ハウス・ヴァーンフリートは、ワーグナーが暮らしていた書斎やリビングなどの生活空間をそのまま残し、遺品などを展示して見学する博物館のようになっている。

館内撮影OKのようで、みなさん、バシャバシャやっていましたので、私も撮影することにしました。どうしても人が写ってしまい、肖像権NGだが、仕方がない。。。申し訳ない。


ハウス・ヴァーンフリートの最大の見どころは、ワーグナーの書斎。
入り口にワーグナーとコジマの胸像。

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入ってみると、これが、じつに素晴らしい!

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赤のカーテンに白の壁というツートンカラーの組み合わせが素晴らしく、さらに裏窓のある高級感のある雰囲気。

左右両サイド、そして背面には書籍がびっしり。
その本棚の上には、自画像の肖像画や、コジマ、ジークフリート、リストの肖像画もある。

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そして立て掛け型の大きなコジマの肖像画。

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天井は、豪勢なシャンデリアとセンスのある塗装のカラーリング。

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なんとも素晴らしい書斎空間。

驚いたのは、ここで室内楽コンサートを模様しているのだ。

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ヴァイオリンとハープの室内楽で、30分くらいのコンサートを繰り返して演奏する、という感じ。(ヴァイオリン奏者は東洋人の方のようでした。)

これが、またじつに音が素晴らしくて驚くのだ。下手な室内楽ホールよりも素晴らしいと思えるほどだ。音がすごい濃厚で、ハープの下から上までのとても広い音域を隈なく出し尽くしているという感じで、ボロロンというなんとも心地よい響きが部屋中に広がる。ヴァイオリンの音色も妖艶だ。2人のハーモニーのアンサンブルは、それは、それはとても美しい音色であった。

ここで聴いたタイスの瞑想曲は一生忘れることができないでしょう。

贅沢な瞬間。。。


さて、書斎以外の部屋も見学。


妻コジマの父は、ピアニストのフランツ・リスト。このバイロイトにもリスト博物館があり、ワーグナーとリストは切っても切れない関係にある。

所蔵のピアノの上に、ワーグナーとリストの肖像画。

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ワーグナー一家が使っていたと思われるワイングラス、コーヒーカップ、スプーンなどの食器。
博物館の中の展示は、大抵が、外気に遮断するための容器をかぶせられている。

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食卓。

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2階のほうに上がる。

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ソファ。

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椅子。

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ローエングリンの衣装。

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パルジファルの衣装。

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ワーグナーの肖像写真。

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ワーグナーとジークフリートの写真。

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直筆譜。

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そしてワーグナー一家の家系図。

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感無量である。


つぎに、このハウス・ヴァーンフリートの正面向かって右側にワーグナー博物館がある。

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受付。(ここで入館のチケットの胸のシールをもらう。)

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受付のフロア。

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展示物は、地下にある。

時代の古いもののために、暗幕で覆われていて、太陽の光、照明はいっさい入らないような部屋になっている。

まず、祝祭劇場のミニチュア。

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プロジェクター投影。

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そしてパルジファル、ローエングリンなど、一連の楽劇に使われた衣装がケースに保管されている。

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これはなんだろう?そのときはわからなかったのであるが、当時の舞台芸術のミニチュアなのだろうか?

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そしてバイロイト音楽祭で指揮をしてきた往年の名指揮者たち。(写真ボケてしまいました。)

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フルトヴェングラーやトスカニーニの姿もある。

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なぜか、日本流和風な庭園を観ながら、おそらくワーグナー音楽を聴いているリスニングルーム。

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そして往年(最近?)のバイロイト音楽祭での名シーンを撮影したショットが展示されている。

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祝祭劇場の他に、ここを観れただけで、自分はもう十分だと思いました。ワーグナーの聖地バイロイトに来たなら、このハウス・ヴァーンフリートとワーグナー博物館は、必ず訪れないといけないスポットであることは間違いなし。

もう思い残すことはありません。


バイロイト音楽祭 「トリスタンとイゾルデ」 [海外音楽鑑賞旅行]

ワーグナーの楽劇の中でも、「トリスタンとイゾルデ」はとても大好きな演目で、拙宅オーディオオフ会でも有名な第1幕への前奏曲は、よくおかけするのだ。もちろんPENTATONEのヤノフスキ&ベルリン放送響であることは言うまでもない。

この第1幕への前奏曲、そして第3幕の終結部(イゾルデの愛と死)は、ワーグナーのオペラでは、示導動機といって、この前奏曲の部分に使われた動機(モティーフ)がオペラ全体の中で何回も登場してくる。(ワーグナーの手法)

とても情感的で、美しい旋律で、この楽劇のテーマである「官能的な愛」が、とても色濃く表現されている。なにか、大きな「うねり」のようなものを感じて、大河のごとく壮大な美しさを感じる。ワーグナー音楽の代表格とも言えるドラマティックな展開なのである。

オペラ自体は、劇としては意外や動きは少なくて、延々とトリスタンとイゾルデとの熱烈な愛をお互い語り合う、愛し合うというところが多い、ある意味、ちょっと重たい部分もあるのだが、ワーグナーが「最高」としただけの作品の完成度はあると思う。

愛聴盤のPENTATONE ヤノフスキ盤では、トリスタンにシュテファン・グールド、そしてイゾルデにニーナ・ステンメというキャストで、この盤をずっと聴いてきた自分にとっては最高の当たり役というか、これが自分のリファレンスにもなっている。

今回のバイロイトでも、トリスタンは同じシュテファン・グールドで、これが楽しみで仕方がなかった。

「トリスタンとイゾルデ」は、バイロイトだけではなく、東京二期会やMETでも上演されるようで、なにか今年のひとつのキーになっている演目なのかな、と感じていて、注目の演目なのだと思うようになってきた。

東京二期会の公演もさっそくチケット購入して、観劇に行く予定である。


今回のバイロイトの「トリスタンとイゾルデ」は、バイロイト音楽祭の総監督のカタリーナ・ワーグナーさんが演出を担当、そして指揮が、クリスティアン・ティーレマン。ティーレマンは同音楽祭の音楽監督でもあって、鉄壁の両コンビで挑む。

カタリーナさんの演出家としての腕前は、どのようなものなのか?去年も披露されている演出だが、自分は敢えて情報集めはしないで頭を白紙で臨んだ。


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写真提供:Bayreuther Festspiele


第1幕。とても幾何学的&無機質なデザインな鉄筋で出来た格子状の階段&通路オブジェ。

やっぱりバイロイトの演出だなぁ、という第1印象。とても抽象的で、どういう意味があるのか観客に考えさせる舞台装置。なんでも、このセットは18世紀、イタリアの建築家で版画家としても活躍したジョヴァンニ・バティスタ・ピラネージの名作「(幻想の)牢獄」をモティーフに考案されたものなのだそうだ。

歌手たちは、この階段&通路を動きながら、ある場面になると、その心理表現に同期して、この階段&通路が縦方向にスライドしたりして、観ている側をスリリングな気持ちに陥れる。

本当に不思議な空間、そして演出効果だ。


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写真提供:Bayreuther Festspiele

トリスタンとイゾルデが「愛の薬」を飲み合う場面では、なぜか2人は薬を飲まずに捨て、薬に頼らなくても、お互い深い愛に満ちているかの如く、抱き合い、愛を確かめ合う。

ここも、原作とは一味違うスパイスを加えたカタリーナさんの演出効果なのだろうか?


じつは、この場面に限らず、数多くの部分で、原作とは違う解釈、登場人物のキャラクター設定などの妙を加えているのだが、それが決して破綻した内容ではなく、許容範囲でいい方向に作用しているように思えた。



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写真提供:Bayreuther Festspiele



第2幕のトリスタンとイゾルデの密会の場面、そして瀕死の重傷を負ったトリスタンが、イゾルデの幻影に想いを寄せ語り掛ける部分の第3幕とも、非常に簡素な舞台装置で、特に第3幕は、装置はいっさいなかった。闇の中で、写真のような投影技術をうまく使った光の三角錐の投射イメージの中に、イゾルデの幻影を映し出し、そこにトリスタンが語り掛ける。

バイロイト祝祭劇場は、ものすごい古い劇場なのだけれど、舞台装置や照明などのIT化は、近代的というか確実に進んでいて、いまの時代に合っている印象を受ける。特に第3幕での闇の中での、この光の投射効果は、とても美しくて印象的だった。

全3幕とも正直照明は、ほとんどないと言ってよく、闇の中で、そこに少ない光を巧みに使って効果を出していたようなそんな照明演出だった、ように思う。

イゾルデがかけつけると同時に絶命するトリスタン。
最大のヤマ場である「愛の死」をイゾルデが歌う。


抽象的で奇抜な演出が多いバイロイト演出の中では、演出、舞台装置、照明ともに、とてもシンプルな構成で、ある意味普通のオペラっぽいところが、とても自然でよかった。でも第1幕のようなバイロイトらしい、ちょっとした山椒のピリッと効いた仕掛けもあって、単に平凡で終わらないところが、自分にはカッコよい感じがして素晴らしい演出だと思った。

素直に感動できました。

カタリーナさんの狙いも深いところは、もちろん、もっとあるのだろうが、才能あると思います。(笑)(前回の演出のマイスタージンガーでは散々なブーイングだったようですが。。。)

バイロイトの聴衆は、かなり乱暴というか、はっきりと意思表示する、と思った。終演後の最初の歓声がブーだった。(笑)そして、その後、割れんばかりの大歓声、ブラボーと足踏み鳴らし。

ヨーロッパのオペラ聴衆は、いいものはいい、悪いものは悪いとはっきり意思表示する、と聴いてはいたが、オペラ鑑賞歴の浅い自分は、ブーを初めて聞いた。

どういう意味でのブーだったのかは、不明だが、その後の大歓声を聞くと、やや意味不明でもある。やっぱり品行方正の日本のオペラファンの聴衆とは、かなり温度感が違うと感じたところである。



歌手陣。 

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シュテファン・グールド(トリスタン)
写真提供:Bayreuther Festspiele

トリスタンのシュテファン・グールド。同役では自分のリファレンスであることを言ったが、本番の生を観てもやはりよかった。バイロイトで、自分の本懐を遂げられたと感じた。小柄ながら、いわゆる馬力型のヘンデルテノールなのかも。この人の実演は、近年では、東京・春・音楽祭でのN響ワーグナーの「タンホイザー」演奏会形式でも聴いた。ワーグナー歌手としては、もう脂が乗りきった人ですね。カーテンコールでは、出場歌手の中でダントツの大歓声、ブラボーを集めていました。 

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ペトラ・ランク(イゾルデ)
写真提供:Bayreuther Festspiele

ある意味、泣かせる官能的な旋律である「愛と死」は、このイゾルデが担わないといけない、この楽劇では本当に決め処の役。十分その大役を演じ切り、歌い切ったと思った。声質も声量も十分。安定した歌唱力。ただ、煩い自分にとって(笑)、敢えて言えばもう一息、この楽劇で大切な「うねり」の感覚、ぐぅ~っと腹の底からホール内を圧するような馬力、粘着力というか”濃さ”みたいなものがもう少し欲しい感じがした。ニーナ・ステンメはヴィブラートが強い歌手ですが、その点が、イゾルデに関しては、自分を満足させてくれる歌手なのでした。


そしてティーレマン。 

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およそ4時間の長丁場、見事にオケをドライブしてコントロール下において、素晴らしいサウンドを醸し出していた。同音楽祭の音楽監督ということもあって、ワーグナー解釈の第1人者でもある、その実力を見事に発揮していたと思う。ティーレマンという指揮者は、よく独自解釈&独特のテンポ感、うねり感を持つ人で、それが聴いている人にとっては違和感を感じる場合が多いという話もよく遭遇するのだが、今宵に関しては、まったくそういうことを感じなかった。まさに王道のトリスタンとイゾルデだった。

カーテンコールに現れたときは、もう大変であった。歌手たちを遥かに凌ぐ大歓声、ブラボー、足踏み鳴らしでホールが揺れた。

バイロイトの聴衆はよくわかっていた。

ティーレマンが、ピットに入っていたオケを全員ステージにあげてのカーテンコール。
オケメンバーは、全員私服です。(笑)

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バイロイト音楽祭2016 「トリスタンとイゾルデ」

2016/8/13 16:00~ バイロイト祝祭劇場


指揮:クリスティアン・ティーレマン
演出:カテリーナ・ワーグナー
舞台:フランク・フィリップ・シュロスマン
   マティアス・リパート
衣装:トーマス・カイザー
演劇構成:ダニエル・ウェーバー
照明:ラインハルト・トラウプ
合唱指揮:エーベルハルト・フリードリッヒ

トリスタン:シュテファン・グールド
マルケ王:ゲオルグ・ツェッペンフェルト
イゾルデ:ペトラ・ランク
クルヴェナール:イアイン・ペイターソン
メロート:ライムント・ノルテ
ブランゲーネ:クリスタ・マイヤー
羊飼い:タンゼル・アクゼイベック
舵取り:カイ・スティーファーマン
牧童:タンゼル・アクゼイベック



バイロイト音楽祭 「神々の黄昏」 [海外音楽鑑賞旅行]

バイロイト音楽祭で人生最初に鑑賞することになったのが、「ニュルンベルグの指環」の最終章の「神々の黄昏」。

事が決まって渡欧するまで、ほとんど時間がなかったので、予習素材としてDG/UNITELから出ている1980年のバイロイト音楽祭のDVDで1回さらっただけであった。

もともと指環(リング)って、神話のお話なのであるから、この予習素材は、それ相応の時代考証での舞台芸術、衣装で、好感の持てる、いわゆる保守的・伝統的な路線の演出だった。自分にとっては、とても受容的な演出だった。

オペラって、演出、舞台装置、衣装、演技、歌手の声などによる総合芸術と、よく言われるけれど、オペラを鑑賞するたびに都度思うのは、やはり演出の占める割合が、その公演の大部分の印象を決めてしまうんではないかな、ということ。

筋書は常に不変、そして作曲家ワーグナーがこの楽劇で何を伝えようとしたいのか、は固定で不変のはず。そして、なによりも音楽が不変。

でも演出家がそれをどのように表現して、あるいは読み替えたりして、どう舞台表現していくのか、の出来具合で、その作曲家の意図が歪めれられたり、観客にうまく伝わるのかが決まるのではないのか?とオペラ鑑賞歴の浅い自分でもそう感じてしまう。

今回の指環4部作の演出家は、フランク・カストルフ氏。

今回が新制作ではなく、3年前あたりから、ずっと同じ演出で毎年上演してきている。それを今年私は見た訳だ。



はっきり言おう!


カストルフ氏のリングのこの演出は、私には、全く理解不能で、「神々の黄昏」の筋書を、いま目の前で展開されている演出に、どのように解釈、結び付け、理解していくか、という頭の中の処理が、舞台進行のスピードについていけなかった。

こうやって帰国後に他人の感想を少し垣間見る感じで、はじめて、あぁそうだったのか?と理解する感じ。

3年前からずっとやっている演出なのだから、事前に情報を掴んでおくこともするべきだったかもしれないが、突然決まったことなので、そんな余裕はなかった。

ずいぶんと意味不明、理解不能でメチャメチャだなぁ、という印象で、悲しいかな、これが私のバイロイト演出の人生初の経験となった。

2,3年前のねずみのローエングリンでも、その最悪の演出ぶりが話題になったことは記憶に新しいので、やっぱりバイロイトの演出って一筋縄ではいかない、超難解・奇怪というのを、身をもって経験してしまった。

バイロイト演出は難しすぎる!

このカストルフ氏のリングの演出は、どうも私だけでなく、マスコミ、評論家あたりの評判もほぼ同様のようで、悪評にさらされているようだ。

ラインの黄金、ワルキューレ、ジークフリードなどは観ていないので、私が責任もっては言えないが、どうなのだろう?

毎年バイロイトに行かれている方であれば、この演出にも慣れて、どう読み替えられているのか、というツボがわかってその素晴らしさを評価できるのかもしれないが、人生初体験の自分には、あまりに荷が重すぎた。

時代考証は現代。舞台装置もかなり大がかりで、天井から白幕を吊るして投影したりもするのだが、その投影内容の画像も、なにかしら意味不明でどういうことを言いたのだろう?とまず考え込んでしまう。

過度の読み替え、抽象すぎて、何を表現したいのか?を常に観客に考えさせるような凝った演出なので、頭がそちらに集中しすぎて、歌手の歌声、演技、表現だとかのもう一つ大事なファクターに気が回らないのだ。


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写真提供:Bayreuther Festspiele


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写真提供:Bayreuther Festspiele


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写真提供:Bayreuther Festspiele


この日記で採用している写真は、バイロイト音楽祭の公式HPから正式に購入した写真で、著作権的にクリアされているものです。(HPの中の上のバーにあるFOTO ORDERから入っていて、写真を購入できます。過去の年度の音楽祭の写真も購入できます。)

バイロイト音楽祭公式HP
http://www.bayreuther-festspiele.de/english/english_156.html



第1幕と第2幕でのギービヒ家は、中央にケバブの売店がある。店内にはトルコの国旗とベルリンの熊のマークの旗が張られており、第2幕では一同がケバブを食べながら騒ぐ。

第3幕では、突然ニューヨークの証券取引所が出てきて、そのビルの前でラインの乙女たちが高級オープンカーの中で寝ており、(しかもラインの乙女はヤンキー女だし。)しかもそのクルマは1人の男をはねて重傷を負わせ、スクリーンではラインの女たちがその男の死体をトランクに詰め込む模様が写される。


ジークフリートが殺される前にラインの乙女のうちのひとりと、この車の上で情事に至る。

ハーゲンはジークフリートを背後から槍で刺すのではなく、金属バットで正面から殴り殺す。

ほんの一部を掻い摘んでいるにすぎないけれど、後出しじゃんけんで考えてみれば、その難解な解釈の真意がわからないでもない。でもリアルタイムには、あまりに自分の頭にある筋書のイメージと乖離しすぎて理解するには荷が重すぎた。

予習素材のDVDで見た1980年代の頃のような神話らしい時代考証の演出って、もうバイロイトでは復活することってないのだろうか?やはり現代の時代考証、そしてつねに一捻りある抽象的解釈優先なのだろうか?

でも歌手たちは、かなり善戦しているように自分には思われた。


特にカーテンコールで大歓声でブラボーで迎えられていたのは、ブリュンヒルデを歌ったキャサリン・フォスター。 

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キャサリン・フォスター(ブリュンヒルデ)
写真提供:Bayreuther Festspiele

ジークフリート亡き後の独唱は、すざましい壮絶なものがあって、まさに場を圧するという感じで、その勢いのまま、カーテンコールでのブラボーを勝ち取ったと言っても過言ではなかった。 


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シュテファン・ヴィンケ(ジークフリート)
写真提供:Bayreuther Festspiele

ジークフリートを歌ったシュテファン・ヴィンケも安定した歌唱力で、主役の大役を堂々と歌い切った。 


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シュテファン・ミリンク(ハーゲン)
写真提供:Bayreuther Festspiele


「ワルキューレ」ではブリュンヒルデというヒロインが、「ジークフリート」ではタイトルロールであるヒーローが活躍する。この「神々の黄昏」では、じつは悪役のハーゲンがそれに相応したりする。

そんな大切な役を、見事に演じたのがシュテファン・ミリンクで、悪役にふさわしい見事な役への成りきりっぷりで、バスの魅力的な声が劇場を支配していた。 




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そしてなによりも、自分にとって、この公演の大きな目玉だったのが、指揮のマレク・ヤノフスキ。

自分の音楽人生にとって、なにかと縁の深い巨匠である。彼のバイロイト・デビューの現場に立ち会えることができた、というのが、自分にとって一番大きな収穫であった。

ヤノフスキのリングの演奏は、テンポが速いとの話もあるらしいが、現地で聴いた限り、自分的には、そう?という感じであった。(笑)

「音楽だけに集中して舞台装置による解釈なしにワーグナーの楽曲の音楽的な質の高さを観客に伝えること。」と、演奏会形式のスタイルにこだわり続けてきた巨匠にとって、今回のオペラ指揮には、本人の大きな決断もあったようだ。

BR-KLASSIKでのインタビューで、ヤノフスキは、思わず本音で、このように答えている。

「自分も77歳。この機会を断ったら、あの音響が独特のオーケストラピットを味わうことは二度とできない。私は弱くなったのです。後悔はしていません。」

カーテンコールでの歓声は、1番大きかった。

相変わらず、控えめな所作であるけれど、この割れんばかりの大歓声・ブラボー、そして床の踏み鳴らしに、なにか自分が褒められているかのように嬉しく涙が止まらなかった。自分は惜しみない拍手をずっと送り続けていた。

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バイロイト音楽祭2016 「神々の黄昏」

2016/8/12 16:00~ バイロイト祝祭劇場

指揮:マレク・ヤノフスキ
演出:フランク・カストルフ
舞台:アレクサンダー・デニック
衣装:アドリアーナ・ブラガ・ペレツキ
照明:ライナー・キャスパー
撮影:アンドレアス・ダイナート&イェンス・クルル
合唱指揮:エーベルハルト・フリードリッヒ

ジークフリート:シュテファン・ヴィンケ
ギュンター:マルクス・アイヒェ
アルベリヒ:アルベルト・ドーメン
ハーゲン:シュテファン・ミリンク
ブリュンヒルデ:キャサリン・フォスター
グートルーネ:アリソン・オークス
ヴァルトラウテ:マリナ・プルデンスカヤ
ノルン1:ヴィーブケ・レームクール
ノルン2:ステファニー・ハウツィール
ノルン3:クリスティアン・コール
ヴォークリンデ:アレクサンドラ・シュタイナー
ヴェルグンデ:ステファニー・ハウツィール
フロースヒルデ:ヴィーブケ・レームクール

合唱:バイロイト祝祭合唱団
管弦楽:バイロイト祝祭管弦楽団


体験!バイロイト祝祭劇場 Nr.3 [海外音楽鑑賞旅行]

オペラハウスの音響学を考えるときに、単にステージ上の歌手の声が、客席に綺麗に聴こえるだとか、ピットのオーケストラの音が客席に豊潤に聴こえるだとか、いわゆる単に、対聴衆、対観客席という我々の目線だけで評価してはダメなのである。

オペラというのは、歌手とオーケストラとのブレンド&調和がとても大事なファクターで、歌手がオーケストラとうまく調和して歌うためには、透明でバランスの取れたオーケストラの音が歌手に聴こえないといけない。

これが実現すれば、歌手は自分の声量を適切に調節することができる。

一方、ピット内のオーケストラ奏者は他のパートの音が聴こえる必要があるし、また良好なアンサンブルを保つため、演奏者には歌手の声が聴こえる必要がある。さらに視覚的条件として、歌手と演奏者から指揮者が容易に見えることが当然のことなのである。

オーケストラ奏者と歌手にとって、お互いの音が聴こえることは、お互いに見えることよりも重要なことなのである。

我々聴衆に音を送り届ける前に、まず、歌手の声はピットに、そしてオーケストラの音を舞台に返す、という前提があること。

こういうキャッチボールが内々的に必要なのも、やはりオペラハウスの音響学の難しさなのかもしれない。

単にステージ上の音を観客席に隈なく送り届ける仕組みだけに執心すればいいコンサートホールよりも、ずっと難易度が難しいところなのだと思う。

オペラハウスのピットの形状には、つぎの大きく二つのタイプに大別される。

①開放型ピット

ごく一般のオペラハウスのピットは、みんなこのタイプ。ステージの前方にオケのエリアがあり、ある程度の深さはあるものの、観客席からは、オケの姿は見えるし、ステージ上の歌手からも視認性がいい。敷居で囲まれているとはいえ、オケのサウンドはピットから上空のほうへ伝わり、ステージ、観客席に拡がっていく。まさに開放型である。

②沈み込んだ閉鎖型ピット

これは、まさにバイロイト祝祭劇場のピットのことを言っていて、ある意味、開放型ピットのアンチテーゼとも言える。いま、これから体験するのは、こちらのピットのことで、自分はバイロイト祝祭劇場を語るときは、このピットの特殊性がとても、このオペラハウスをユニークな存在にしているのではないか、と思うほどなのだ。

バイロイト祝祭劇場のピットは、ピットの半分くらいが、ステージ舞台の真下に埋め込まれた感じの状態になっていて、残りの半分のエリアがステージの外側に出ているとはいえ、その残りのエリアの上部は天蓋によってほぼ全面が覆われている。つまりフタが締められているのだ。そしてステージとその天蓋との間にスリットが入っていて、そのスリットからオケの音が絞り出されてくる仕組みなのだ。オーディオファン、オーディオマニアからするとどうなの?これって。(笑)


ワーグナーのオペラの場合、少なくとも彼の晩年の作品については、「見えない」オーケストラによる「神秘的」な音の創造が、作曲者の劇的な構想における重要な要素となっていて、この要件によってワーグナーは、沈み込んだ天蓋に覆われたピットを考案したのである。

自分がバイロイトを経験するとなったときに一番体験してみたかったのは、こういうピットスタイルでのオケのサウンドがどう聴こえるのか、ということが最大の関心事だった。他人の聴感レビューはあまり耳を傾けないふだんの自分にとって、ここは、自分の耳で直に確認してみたかった。

まず、前回のNr.2の日記で記載したように、ここのピットの写真を自分のデジカメで絶対撮影したかった自分は、苦心の末成功した。

それが、この写真である。

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自分の一生の宝物である。バイロイトに行った!という自分の証でもある。

世界中のコンサートホール&オペラハウスを探訪する者にとって、やはり他人の写真を拝借するのはいやなものだ。(たとえ、それがプロの写真家の撮影したものでも。。。)自分のカメラで撮影することで、初めて、そのホールへの征服感というのが達成される想いなのだ。

よく見るとオケの団員達の服装は、みんな私服である。(笑)やはり観客から見えない、さらに夏のシーズンということもあって、みんな私服なのだと思う。

この写真を見ると、いままでの説明が納得いくように、スリットが入っていて、そこからオケのサウンドがでてくる、というのが理解できるであろう。

それじゃ、一部がステージ舞台の下のほうに埋め込まれていて、残りのエリアが外に出ていて、そこは天蓋に覆われている、というのは、この写真だけでは、ちょっとまだ理解しずらいところがあって、もう少し解説にトライしてみたい。

ここからは、バイロイト音楽祭のFB公式ページの写真をお借りしたいと思います。

この写真が、ステージ側から観客席の方向に向かって、スリットを通して、ピットを撮影したものである。

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真ん中に指揮台の椅子があって、その前に、プルト・譜面台と団員の座る椅子が並んでいるのが分かる。つまり、オペラ指揮者は、この方向を向いて指揮していて、やはりスリットの中から、ステージ上を覗き込んで、オペラ歌手の動きを観ながら指揮しているのが納得いく感じだ。

やっぱりオペラの指揮は、オケと歌手との調和で、それを誘っているのが指揮者の仕事なんです。これはバイロイトでも変わらないポリシー。

次の写真が、その全く反対で、観客席からステージの方向に向かって、スリットの中を覗いて撮影した写真である。

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これを見ると、指揮者のいる床から、階段状になっていて、どんどん下の方向に深く下がっているのがわかる。

つまりふつうのオーケストラの配置で考えると、一番前に弦楽器群(弦5部)、そして真ん中に木管楽器群、そして奥に金管楽器、打楽器群となると、指揮者の手前の弦楽器奏者が、一番高いところに居て、木管、金管、打楽器となっていく順番で、階段状で下に深く潜り込んでいく感じなのである。

古い写真で申し訳ないが、バイロイト・ピットで演奏しているオケは、まさに、こんな感じで演奏しているのである。(写真のクレジットを見ると、なんと指揮者がワーグナーの長男のジークフリート・ワーグナー氏で、バイロイト祝祭管弦楽団の演奏風景のようである。)


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よくバイロイト・サウンドは、弦楽器はとてもパワフルに聴こえるのだけれど、金管群が遠く感じるとか、というレビューをよく読んだことがあって、それを読んだとき、このピットスタイルで演奏しているなら、それも当然だよな、と思うところがあった。



自分は渡欧前に、イメージしていたサウンドは、ステージ上の歌手の声は直接音、オーケストラは間接音を聴いている感じというものだった。間接音なので、直接音に比べると、あちこちで反射した後で、音のエネルギー感がかなり減衰している感じで、明瞭さに欠けるというイメージだった。

そしてなによりも、間接音であるならば、歌手の声、動きに対して、時間的、位相的にディレイ(遅れ)があって、観客席から観ていて、同期していないんではないか、と考えたことだった。

でも実際聴いてみた印象は、自分の理論はあれこれ考え過ぎの、空回りのところがあって、観客席でオペラを鑑賞しているというシチュエーションをからすると、なんら違和感はない、素晴らしいものだった。(かなり安堵した。)

ちょっと肩すかしを喰らった感じでもある。

まず、ステージ上の歌手の直接音。これは非常によくホール内を通る声で、よく伸びていた。

最上階席にいても、かなり明瞭に聴こえたので、声の通りは非常にいいホールだと思う。

そしてオケのサウンドも、とてもこういう構造のピット、スリットから絞り出されている音とは思えない極めて通常のサウンドだったように思えた。

なぜか、をここで理論的に説明するのは、ちょっと不可能。たとえば、こんなピットなら、すぐ思い出すのは、籠った感じの音に聴こえるとか、というイメージがつきまとうが、そうでないのだ。本当に、本当にごく普通の音。

まぁ、ある意味、ホール内を音が廻るぐらいか、というとさすがにそうでもなく、ステージ周りでのみ音が鳴っているという感覚は確かにある。でも、このピット構造なら、それは当たり前ではないだろうか?

ホールの響き自体も、極めてニュートラル(中庸)に近いレベルだけど、ほんのりとライブ気味寄りかな、というレベルと感じた。音質自体は比較的柔らかいウォーム系の音ですね。

でも自分が一番慄いたのは、ピットのオケが見えない状態で、ステージのどこから音が鳴っているのかわからない状態、観客席から見えない状態で、伴奏のオケが鳴っていることの、何とも言えない不気味さ。

ステージで歌手たちが歌っているときに、鳴っている伴奏が、どこから聴こえているのか、わからない、演奏している場面が見えない、なんとも言えない不気味さ、というのを感じて、これが、バイロイトの醍醐味、そしてワーグナーが目指していたところではないのかな、と思ったことだった。

素晴らしい体験だった!

以上3部に分けての大特集の体験記であったが、いかがであろうか?
バイロイト祝祭劇場のミステリアスな部分、特殊性が伝われば幸いである。

死ぬ前に、もう一回くらいバイロイト詣をしよう、と心から思っている。


体験!バイロイト祝祭劇場 Nr.2 [海外音楽鑑賞旅行]

バイロイト祝祭劇場で、最初に初演されたのが、1876年の「ニュルンベルクの指環」、いわゆる指環(リング)である。そして、つぎのパルジファルが初演され、その翌年には、ワーグナーはこの世を去ってしまう。

結局、ワーグナー自身が、この劇場で自分の作品を上演したのは、指環とパルジファルの2作品だけなのである。

後は、妻コジマ、そして息子のジークフリート。そしてジークフリートの未亡人、ヴィニフレート、そしてその息子たちであるヴィンラード&ヴォルフガングの兄弟がこの音楽祭の運営にあたり、残りのワーグナー作品も上映され、子孫代々、引き継がれながら、この音楽祭は運営されてきたのである。

現在は、御大ワーグナーのひ孫で、前総監督のウォルフガンク・ワーグナーの娘であるカタリーナ・ワーグナーさんが総支配人・総監督である。 

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いま現在のバイロイト音楽祭の運営は、支配人として、このカタリーナ・ワーグナーさん、そして音楽監督として、クリスティアン・ティーレマンのタッグで、運営されているのだ。

ワーグナーが、オペラがいかに見え、いかに聴こえるべきか、という命題に対する彼の理想、考え方が盛り込まれているとのことなのだが、はたしてどのようなオペラハウスなのか?

とにかく普通のオペラハウスとは、かなり趣が違う非常にユニークな構造なので、自分が実際内部に入って、そのありようを見てくるのは、大変勇気が要り、興奮することでもあった。

バイロイト祝祭劇場の入り口は、左右にある入り口から入る。劇場の真正面についている扉は、開かずの扉である。

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今年はヨーロッパで多発しているテロに対する厳戒態勢下ということで、事前にカタリーナ・ワーグナーさん署名の通知文が発せられており、身分証明するためのパスポート持参、カバンの持ち込み禁止(携帯用であればよい。)、座布団持ち込み禁止、液体状物質の持ち込み禁止、そして検査のために最低でも1時間前には劇場に着くように、のお達しがあった。

実際は、そこまでの検査はなかったが、ただ、ホワイエには、それは驚くほどのおびただしい警備員がいたことは確かだった。

まず、この左右の入り口に入るときにチケットを見せて、入場する。そしてホールの中に入るには、さらにたくさんのゲートがあり、そのゲートには、必ず係員がいるのである。

バイロイトのチケットは、昔は記名制といって、チケットに購入者の名前がついていて、そのチケットと入場する人が同じという条件下があったこともあったらしいが、いまは、その記名制はなく、基本はチケットについているバーコードで管理されている。

その扉に立っている女性の係員は、バーコードリーダーを持っていて、それでチケットをスキャンする。

チケットの座席に応じて、入るべきゲートが決まっており、バーコードをスキャンするので、自分のチケットにあったゲートしか入場できない仕組みなのだ。

だから、違うゲートから入ってみて、ホールの内装写真を撮影してみたい、という不届き者にとっては、まったく実行不可能な仕組みなのだ。だから最前列に行きたかったなら、その最前列のチケットに当選するしかないのである。

だったら、自分のゲートから入って、ホール内を自由に動き回ればいいのではないの?という考えもあったが、これも無残にもその夢は打ち砕かれた。これについては、また後述する。

まず、ホール内部のホワイエの様子から。

音楽祭の祝祭劇場って大体このような形式になっている。これはザルツブルク祝祭大劇場でもまったく同じだな、と感じたところであった。

それは、ホールへのゲートは、原則両端左右にあって、真ん中に相当するエリアは、クロークと申し訳なさそうなホワイエ空間という感じである。

右側のゲート。
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左側のゲート。
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ホールに入るゲートは、この1階の他に、階段を上っていって上階から入るような箇所がある。

真ん中に相当するエリアのホワイエ空間。ちょっと薄暗い感じの空間などなのだが、ブラウンを基調とした、とてもシックな造りになっていて雰囲気がかなりある。そしてホワイエの奥には、クロークがある。

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そして、ホール開場とともに、ホールに入る。

自分は初日の神々の黄昏は、最上階席でとても残念賞の座席、そして2日目のトリスタンとイゾルデは平土間最後尾列で、ステージをど真ん中に見据えることのできる最高のポジションの座席であった。

幕間ブレークの時に、中にいる観客を全員外に追い出して、中を完全の空席ホールにしてしまい、扉には鍵をかけてしまうのであるが、初日の日、偶然にも、中の観客を追い出した後の空席状態のホールで、たまたまひとつの扉がふっと開いていて、私は吸い込まれるように、そろ~っと寄って思わず写真をパチリ。

まさにホール愛に満ちている自分のために、音楽の神様が自分にプレゼントしてくれたようなショットが撮れたのだ。


これが、まさにこのショット。

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これがバイロイト祝祭劇場の内装空間。

ホールの形状は、いわゆる扇型。ところが両端の側壁はおたがい平行なのである。

その両端の側壁には、ギリシャ神殿を思い出させる柱が取り付けられていて、ホール側に突き出た感じになっている。天井は平坦であるが、ギリシャ円形劇場を覆う巨大の天幕のごとく、後方から前方に向かって、天井が上昇しているように感じる。

ご覧のように、ホールの大半が1階席平土間で、その特徴は、前方から後方に至るまで、もの凄い傾斜が大きいことだ。

傾斜した床から天井までの高さは、かなり高いと感じ、そのおかげで、残響時間も比較的長い。(資料スペックには、残響時間1.55秒だとある。)これはロマン派のワーグナー音楽には、極めて好適である、といえる。

内装の仕上げは、主にプラスターで、レンガまたは木の下地の上に施工されている。天井面は水平で、これも木の上にプラスター塗り。

まぁ、ざっくり見た感じでは、正直いうとウィーン楽友協会や他のヨーロッパのコンサートホール&オペラハウスに見られるような、建築当時は、そういう概念があったかどうかは不明であるが、いま考えてみると、素晴らしい音響を生み出している要素がいっぱい散りばめられている、ある種のミステリーみたいなものは正直インスピレーションは湧いてこなかった。

とにかく、このホールに入ってみて1番驚いたのは、その客席構造。

上の写真を見てもらえばわかるように、縦のライン(通路)がまったくないのだ!

入り口は、両端左右の入り口固定。いったん中に入ってしまうと、ホールの中を縦移動して、前後に移動するということが全く不可能な構造なのだ。ホールの中を自由に動けないのだ。

これには心底驚いた。

1階席は前方から後方に至るまで傾斜が大きくて、ホール内は縦移動ができない構造なので、それぞれの高さに横からのゲートがあってまったく固定なのである。

各ゲートには常に係員がいて、チケットを確認するので、外から自分の好きな列に入ってみたいというのは、正規のルートでは無理なのある。


つまり最前列付近の座席に近寄れる人、そこに行けるのは、
そのチケットを持っているだけの人の特権という感じ。

これは正直ショックは大きかった。ホールマニアの自分にとって、このホールの内装写真を撮るなら、最前列の前方から後方を撮るアングルが欲しいと思っていたのと、あと最大の関心事として、バイロイト独特のピットの写真を撮ってみたい、と思ったからである。これを実行するには、最前列に行かないといけない。

志半ばで倒れるか!


初日は、最上階席だったので、もう完全諦めなのであるが、2日目のトリスタンとイゾルデは、最初チケットの番号と、ホワイエでのゲートの位置を確認すると、なんとゲートは、階段を何階も昇って行かないといけない、ことが判明。

この時点で、平土間1階席ではない、とあきらめの境地。

でもいざホールに入場してみると、なんと平土間の最後尾列であることが瞬時に分かったのだ。

そのとき、自分が、渡欧前にずっとイメージしていたのと、この縦のライン(通路)がまったくないホールでの唯一のウィークポイントは。。。それは一番両端左右のところは、絶対通路がついているはず、だと想像していたことなのだ。

つまりいくらなんでも、全部横側にはめ殺しの通路ではなく、一番両端は縦のラインが必ずあるはず。

想像が当たっていた。入場した瞬間、平土間だとわかった瞬間、すぐに一番端を伝って、最前列に出ようとする。

確かに通路はあるが、かなり細いし、中には列によって、まったく通路が塞がれている列もあった。

もうそういう場合は、座席をまたぐしかないのである。だから細い通路を伝わりながら、ときによっては塞いでいる座席をまたぎ、を連続して、なんと最前列に躍り出ることが出来たのだ!

もう息をきらしながら大感動。念願のピットの撮影ができたことは次回お話しするが、待望の最前列から、ホール後方に向けてのアングルを撮影することが出来た。


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最前列の中央から、ホール後方を臨んだアングル。

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天井

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トリスタンとイゾルデでは、平土間の最後尾列で、ステージをど真ん中に見据えるという最高のポジションであった。

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こうしてみると、バイロイト祝祭劇場のステージの開口率は、それほど大きいという感じでもなかった。ごくアベレージ付近で、どちらかというと小さめな感じもする。

なにせ、ワーグナーの作品しか上映しないし、原語上映が原則で、字幕掲示板などもいっさいない。



バイロイト祝祭劇場と言えば、話題になるのが、ワーグナーが長時間オペラのために眠らせないようにするために考案したという固い椅子。

最上階席での座席はこんな感じ。ケツ痛いです。(>_<)
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平土間の椅子になると、もう少し改善されていて、座るところがクッション性のものがついていたりするのだが、それでも近代のホールからするとたかがしれたもの。

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長時間固い椅子に座っているとお尻が痛くなるばかりか、腰にきたりするのだ。


バイロイト祝祭劇場で、もうひとつ驚いたことに、終演後のカーテンコールの絶大のブラボー歓声と同時に、床をドカドカ踏んで、ブラボーの意思表示をすること。これはじつにすごい音で驚いた。

床を見てみると、古いホールだから木で出来ているのだ。

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これじゃあ、ドカドカ鳴るよな。(笑)

近代の最新ホールじゃ、こんなに鳴らないですよ。彼らは、ここでは床を踏めばデカイ、ドカドカした音がするということを経験上知っているんですよ。だからブラボーの意志表示も木の床でドカドカ鳴ることが伝統で受け継がれている方法なんだと思いました。


初日の座席は、最上階席であった。こんな感じの狭いボックス的なところに押し込まれたような印象だった。よく見ると、観客の服装もカジュアルな人も結構多く、比較的低価格帯の座席なのかな、とも思った。

この最上階席から撮ったホールの内装もアップしておく。

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なんとも、こともあろうか、初日の神々の黄昏の時の座席は、こんな座席であった。(爆笑)

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柱で、舞台が見切れている座席であった。
どうりで簡単に入手できる座席だと思った。

ヨーロッパではこういう座席が普通に存在したりするのだ。つまり他の座席と比較して、極端に値段が安い座席であったり、簡単に手に入ったりするのは、やっぱり甘い話には、罠・毒があるのだという証拠であったりする。

私は、まだ右半分見えるから、まだマシなほうであるが、私の左のおばさんは、もっと最悪である。まったくステージが見えないからである。結局、他のお客さんの勧めで、空席の空いているところに移動して事なきを得ましたが。

このように死角となるデッドエリアというのは、ヨーロッパのコンサートホールでは平気で存在したりする。自分が提案するには、ホール主催側は、自分のホールのデッドエリアを認識して、この座席のチケットは販売しないようにする配慮が必要だと思うのだ。

でも値段を極端に安くしているということは、自分たちでもきちんと認識している、という証でもあるのだが。。。

空調は、悪くて蒸し暑いという定説がずっと、このホールにはあるのだが、自分はまったくそんな感じはしなかった。非常に快適であった。なによりも、私がいた滞在期間は、ものすごい極寒の気候であったのでちょうど良かったのかもしれない。

とにかく、一番驚いた縦のライン(通路)がまったくない座席構造。お客さんは、両端の左右のゲートから入場するしかないので、先に入ったお客さんは、すぐに座らないで、ずっとスタンディングのままで、待っているのも、この特殊の座席構造所以のバイロイト・マナーなのかもしれない。

このような感じ。(最上階席でのひとこま)
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とにかく、憧れのバイロイト祝祭劇場の内装空間を体験出来て、感動すること、一生の思い出になった。

そして、ついに最終章は、このオペラハウスの最大の関心事の独特のピットと、そしてオペラハウスの音響について言及します。


体験!バイロイト祝祭劇場 Nr.1 [海外音楽鑑賞旅行]

バイロイト祝祭劇場は、おそらく世界で最も特異なオペラハウスである。

そのユニークな設計思想は、作曲家ワーグナーが、オペラがいかに見え、いかに聴こえるべきか、という命題に対する彼の理想、考え方が盛り込まれているといえる。

バイロイト音楽祭は、ご存知、抽選式の音楽祭で(現在ではインターネットでも買えるようだが。)それにしても応募してから7年くらい経過しないと(この間事務局側は、この人は何年応募してきているのかを、きちんとカウントしている。)当選できない大変チケット入手が困難な音楽祭なのだ。

最近では、NHKでも生放送される機会も多いのだが、やはり祝祭劇場を含め、いまだにつまびらかにされていないという事情もあって、ミステリアスな雰囲気が、たくさんある音楽祭でもある。

ワグネリアンとまではいかなくても、ワーグナーのオペラをずっと愛してきた者にとっては、ぜひ訪問してみたい聖地であった。

バイロイト祝祭劇場は、バイロイト中央駅(Bayreuth Hbf)から徒歩15分位ずっと歩いていくと、丘の上にそびえ立っている。

自分のホテルは、中央駅から結構離れているので、行きは結構タクシーを使ったりしたが、それでも終演後(夜22時位)の足はまったくないので、祝祭劇場から中央駅まで、みんな徒歩で降りてきて、結局ホテルには徒歩で帰還したりした。

丘の上に立っているバイロイト祝祭劇場が目に飛び込んできたときのあの心臓がバクバクと鼓動する感じは、いまだに忘れることはできないだろう。

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左の横のほうから祝祭劇場を臨んだアングル。

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右の横のほうから祝祭劇場を臨んだアングル。

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幕間からの開演15分前に、この場所からファンファーレがおこなわれる。 (次幕が始まるので、座席に戻ってください、という意味の儀式。)

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祝祭劇場自体は、丘の上に立っている感じなので、その丘から下のほうを眺めるとこんな感じで、道路がまっすぐ中央駅に向かっている。

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 祝祭劇場の前は、それなりのスペースの広場になっていて、ここで紳士・淑女らが、歓談などをするのだ。

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ここの劇場前の広場にも、このようにきちんと広場の名前”ヴォルフガング・ワーグナー広場”と名付けられていたりする。

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祝祭劇場は、高いところにあるので、劇場の前のこの広場から階段で降りてきたところに、休憩のベンチがあって、自分は、ここでずっと休んでいた。目の前にバイロイト音楽祭の説明についてのパネリングがあった。

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そして、祝祭劇場の丘、そしてこの休憩用のベンチを少し降りたところの前庭には、ワーグナーの頭像がある。

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ここには、おそらくであるが、バイロイト音楽祭で名を馳せた往年のワーグナー歌手のプロフィールなどが、パネリングされているのだ。

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祝祭劇場の右横には、大きなビアレストランが全部で2棟ある。そのうち1棟は、2階立てなので、フロアとしては、室内では3フロアあることになる。

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ここは、幕間ブレイクのときに、観客がいっせいに集まって、ビール、食事などの軽食をする場所なのだ。

なにせ、祝祭劇場は、幕間ブレイクのときは、ホールの中の観客を全部追い出して、中を完全な空席ホールにして、そして扉に鍵をかけてしまい、中に入れないようにしてしまうのだ。(笑)

したがって、ホール内の観客は、ブレイクのときは、全員外に出ないといけない訳で、行き場所としては、この2棟3フロアあるビアレストランの室内か、残りの人は、みんな外で立食休憩という感じなのである。


開演1時間前近くになると、ぞくぞくと紳士・淑女たちがどんどん集まってくる。

久し振りのフォーマルな音楽祭への参加。男性なら燕尾服、タキシード、女性ならドレスなどの正装、その威圧感・存在感は間近で見ていて相当迫力があった。小柄な東洋人、日本人では出せないような大人の雰囲気と言うか、あのオーラは我々には無理だな、と思うことしきり。

また動作もおおらか、ゆったりしていて、小回りの利いてなにかカチャカチャしている我々と違って、やはり根本的に雰囲気・オーラが別世界。

客層は、身だしなみ、外観の雰囲気から、やはり上級階層の方が多いように思われ、年齢層も、かなり高いように見受けられた。バイロイト音楽祭に行けるような方は、やはりワーグナー協会会員であったり、それなりのステータスの方も多いのだろう。

それでは、音楽祭開始前に祝祭劇場の前に集まった紳士・淑女たち、そして幕間ブレイクの様子をじっくりと見てもらい、バイロイト音楽祭の雰囲気を味わってもらおう。


やはり音楽祭の雰囲気を伝えるには、このショットはどうしても必要です。

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2016年の海外音楽鑑賞旅行は、バイロイト→ベルギー→ロンドン。 [海外音楽鑑賞旅行]

2016年度も海外音楽鑑賞旅行を実行することになりました。
8/11~8/22まで、バイロイト、ベルギー、ロンドンの3都市を周遊してまいりました。

本来ですと、今年は海外旅行は充電と去年のパリでのトラブルも心の傷が癒えないことから、お休みの予定でしたが、お盆休みの3週間前のある日、突然、神降臨です。(笑)

深夜に突然思いつき、どんどん妄想モードで、あっという間に旅行計画書を作成して、翌日には旅行会社に相談して、実行に進めている自分がいたのです。

やはり音楽の神様は、自分を守ってくれたのか、わずか3週間前で、どこも音楽祭シーズンで、予約満席とも思われる中、エアー、ホテル、鉄道、そして完売プレミアのコンサートチケットも続々と決まってくれる嬉しさ。

そして、結果として、テロ、スリなどのトラブルはいっさいなく、万事計画通りの素晴らしい夏の音楽祭シーズンをヨーロッパで過ごすことができたのです。

今回の発案のきっかけは、バイロイト音楽祭でした。

応募し続けて7年くらい経過しないと当選しない困難を極める抽選式の夏の音楽祭で、これがひょんなことからチケットを入手することができたのです。

ここから自分の大妄想は、始まりました。

バイロイト音楽祭だけでは。。。ということで、他の夏の音楽祭も模索してみました。

いろいろ考える中で、今年は、自分が前職時代にヨーロッパに赴任して生活していた空間のロンドンとベルギーを訪問してみようと考えたのです。

正直言いますと、ロンドンとベルギーはクラシックという分野から見ると、どうしてもクラシックの盛んな国とは言えず、でも、自分の生涯の中で、死ぬ前に、もう一回は、ロンドンとベルギーを訪れてみたいという気持ちもある。

自分が生活していた空間の景観、そして空気を吸いたい、という気持ち。

そうするとクラシックという切り口で考えてみると、コンサートホール&オペラハウス、そしてコンテンツを基準で選んでいては、この2か国はどうしても後回しになって、いつ行けるかわからない。

行くなら、今年しかないと思ったのです。

それで、ロンドンでの夏の音楽祭ということで、BBC Promsとグラインドボーン音楽祭を選択したのです。

ベルギーは、じつは、世界遺産グランプラスで2年に1回開催されるフラワーカーペットのイベントが今年あり、それも今年は、日本&ベルギー友好150周年の記念イヤーにあたり、花絨毯の模様は、日本をテーマにした「花鳥風月」のデザイン(日本人デザイナー鈴木不二絵さんのデザイン)ということで、ぜひ日本人として、ぜひ現地に、直接観に行きたいと思っていたところでした。

もう音楽とかいっさい抜きです。

じつは1994年にベルギーに住んでいたときに、このフラワーカーペットを体験したことがあるのです。それから25年経過したいま、日本をテーマにした花絨毯、日本人ならぜひ体験したいと思っていました。

ベルギーは、音楽抜きで、このフラワーカーペットが目標でした。

このような旅行をしてまいりました。

それではイベント分野ごとに簡単に感想を述べていくことにします。


● バイロイト音楽祭

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まさしくワーグナーの聖地、バイロイト。簡単には入手できないチケット。このバイロイトの街に入ったときの緊張感。そしてバイロイト祝祭劇場を目の前にした時の感銘は、一生忘れ得ないでしょう。いまでも、心臓がバクバクしていたのを思い出します。

ホールマニアの自分としては、バイロイト祝祭劇場の内装空間や、特に他のオペラハウスとはかなり違う形式のピットに大変興味を持っていて、これを一目見たいと思っていました。またこの異様な形をしているピットから出てくるオケのサウンドはどんなものなのか?が最大の関心事でした。

ところが、このホールが他には例を見ない、かなり特殊な構造になっていて、この課題は大変困難をみることになったのです。

演目は、「神々の黄昏」と「トリスタンとイゾルデ」の2公演を観ました。前者がヤノフスキ、後者がティーレマンが指揮です。ワーグナーに関しては、ヤノフスキとは、自分の音楽人生にとって、ずっと縁のある巨匠で、彼のバイロイト・デビューを現地でじかに観れたことは、大変感慨深いものがありました。一生の想い出になることは間違いないでしょう。


● ベルギー・フラワーカーペット2016

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日本&ベルギー友好150周年の記念イヤーにあたる今年。フラワーカーペットの絨毯模様は、ペゴニアの花などを駆使して、日本を代表する「花鳥風月」のデザインで飾られたのです。

昼間はもちろん、夜のライトニングされた絨毯模様も、夜の闇の中にくっきり浮かび上がるような感じで、感動も一塩でした。

自分は最終日の8/15に閲覧したのですが、天気も快晴ということで、グランプラスはもう大変な人混みで、まだ、あまり人のいない早朝に花絨毯を写真に収めておいて、本当によかったと思いました。

あまり市街の大きな散策はせずに、ずっとグランプラス周辺、そしてグランプラスにずっと居たというのが実情でした。

● BBC Proms

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夏の音楽祭としては、最大規模のイギリス・ロンドンでおこなわれる音楽祭。ロイヤル・アルバート・ホールに初見参してきました。いわゆるドーム型ですので、生音主義の直接音&間接音のクラシック専門ホールとは違い、PA主導型のサウンドになります。客層もとてもカジュアルで、コンサート自体がとてもリラックスできて、カジュアルな音楽祭という印象を持ちました。こういうクラシックがあってもいいですね。

ここでは、アルゲリッチ&バレンボイムで、ウェスト・イースタンディヴァン管弦楽団で聴きました。アルゲリッチのリストのピアノ協奏曲以外は、ここでも、アンコール含め、全部ワーグナーづくし。(笑)今年の夏は、ワーグナーに浸りなさいという神のお告げなのですね。

● グラインドボーン音楽祭

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ロンドンの郊外で開かれる超セレブなオペラ・フェスティバル。

男性は燕尾服、タキシード、女性はドレスのフォーマル着用のドレスコード。とにかくイギリスの貴族社会風な雰囲気で超セレブ。ロケーションが、イギリスの田園地帯の緑の自然の中にあって、素晴らしい景観の中で、オペラを楽しむという趣旨の音楽祭であることが特徴になります。

地の利が悪くて、ロンドンから鉄道で1時間、そこからさらに送迎バスで、かなりアクセスが大変。

この音楽祭、じつは一番の売りは、本番のオペラというより、幕間ブレイクにあるピクニック・ディナーにあるのです。休憩になると、ホールの前一面に広がる草原の中で、テーブルをセットして、ポーターさんに食事の用意をしてもらって、その大自然の中で野外ディナーを楽しむ。 草原にはときどき羊が放牧されていることもあり、まさに素晴らしい景観の中でピクニック・ディナーを楽しめる、というところにこの音楽祭の大きな特徴、楽しみ方があるようです。

ところが、この日は、早朝からあいにく強い雨に降られ、ピクニック・ディナーの時には、雨は止んでいたのですが、主催側の判断で、大半は、室内でディナーを取る、という方針に変更されていました。

楽しみにしていただけに、本当に残念です。

それでも草原でディナーを取られている方も数名いらっしゃいました。

この日は、今回の旅行の最終日ということで、疲労が相当溜まっていてピークに達していた状態でした。自分でも最悪のコンディションで、オペラ鑑賞にも少なからず影響があったことは否めません。


大枠は、こんな感じの旅行でした。

これ以外に、街の散策など、オフの過ごし方も日記にしていきたいと思います。

それでは、これから個別に詳細に連載をしていきます。

しばらくお付き合いください。

またこの場を借りて、今回の旅行のセットアップに万全を期してくれた、旅行会社のスタッフの方には、本当に感謝する次第であります。この場で厚く御礼を申し上げます。


来年について想うこと。 [海外音楽鑑賞旅行]

帰国。

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やはりオレにはこちらのほうが似合う。これからやらないといけないことを考えるとブルーだが、今日1日だけはそっとしておいてくれ!

......当時このようにつぶやいていた。(笑)

スリの事後処理などについては、いまも継続中である。

過去5年の中でも、今年は、とりわけエキサイティングな内容であった。

でもそれに払った代償も大きかった。

いろいろ熟考した結果、いままで5年続けてきた海外音楽鑑賞旅行であるが、来年はいったんお休みしようと思っている。

もちろん今年のスリなどのトラブルも原因の一つであるが、一番大きい理由はファウンド(基金)の問題。

一般市民にとってこれを毎年続けていくのは、大変な投資で、貯金などはまったくできない。

それどころか、この海外音楽鑑賞旅行の他にも、小澤さんの松本音楽祭、水戸。国内外オケ、ソリストなどの膨大なコンサート、そしてこれまた膨大な投資をしているオーディオソフトの購入、そして年に2回はおこなう北海道への帰省(お盆、年末年始ですと北海道へは航空券代だけでも往復6万円かかります!)など、毎年大変な資金がとぶ。

これだけの投資をしながら、これまた海外音楽鑑賞旅行で膨大な額を投資するとなると、やはりかなり負担が大きい。(いままで独身貴族だからできた業と言っても過言ではない。でもその独身でもキツクなった。)

来年1年は、いったんお休み、1回クッションをおいて貯金して2017年からもう一回再開したい、そのほうが賢明なのではないか、と考えたのだ。そこにきて、今回スリのトラブルもあったので、来年以降も連続して続けるのは、精神的にもしんどいと考えて、やはりクッションを置いたほうがいいのでは?と。

2017年再開の時は、もう行くところは決めてある。

2017年は、今年頓挫したウィーンにもう一度挑戦しようと思っている。
ウィーン楽友協会、ウィーン国立歌劇場、ウィーンコンツェルトハウス、フォルクスオーパーなど。

ウィーンは音楽の都で、観光都市なので、あまりにメジャーすぎて、もう周りの人もあまりにたくさんの先人に行かれているので今更行っても自分にとって新鮮味がなくて後回しにしていたのだが、これ以上無視を続けるのもどうか、と思い,ここで決行しようと思っている。

本来であれば、来年はサントリーホール開館30周年記念ということで、サントリーホールと提携しているウィーン楽友協会&ウィーンフィルともますます盛り上がっていき、来年はウィーンフィルが熱いんではないか、と予想している。

小澤さんもウィーンフィル来日のときに客演でサントリーで振るようだし......

だからますますウィーンに行くことが、来年は、まさに”そのとき”、で旬なことだと思うのだが、でも我慢をして来年はお休み。

なので、頼むから煽らないでください。(笑)

やっぱり我慢できないから、やっぱり行くわ、ということになってしまわないように....ふふふ。

わーい、わーい、これで連載終了!これで今年の日記もオシマイ。いい年末年始を送れる。もちろん極貧生活ですので今年は帰省しません。最近はおせち料理も既製品でもじゅうぶんくらいレベルアップしているしね。(笑)


スリ騒動・顛末記 [海外音楽鑑賞旅行]

今回のオチはここだったりした。(笑)

まさかの展開だった。1990年代にヨーロッパに赴任して以来、海外旅行はずっとしてきたが、スリに会ったことは1度もなかった。パリやイタリア、スペインなどスリの温床、日本人は狙われやすい、ということはよく聞いているし、自分の旅慣れた友人もいっぱい餌食になった体験記も読んできていたが、どこか他人事だったかもしれない。

こうしてみると、やっぱり自分に責任があったんだと思う。

SNSでは速報したが、誰もが読めてしまうブログに載せることは、少しためらいがあったが、やはり自分の体験を話すことで、これから海外旅行に行く人にとって少しでも参考になればと思い、投稿することにした。

2015/10/9 朝6時に事象発生。大変な1日だった。

この朝の7時のタリス特急で、パリからアムスに移動する予定で、Gare du Nord駅に行ったところ、電子掲示板に我が電車がない。いろいろ聞き入ったところ、ベルギーでストライキがあったらしく、今日だけでなく明日までアムス行は不通とのこと。

ガーン、どうしよう??

アムスに移動できない、これは困った。

まず窓口で乗車券のリファンウド。その後、アムスに行くにはどうしたらいい?と聞いて、飛行機じゃなければバスしかないだろう?ということで、今いるところからどうやってメトロで乗り換えて、バス発車口まで行くか教えてもらう。

予想にしていないトラブルでかなり動揺していた。
やはりそこを見透かされていたんだよなぁ。

そこでオロオロと、切符のリファウンドや人に聞きまくっていたことなどが、たぶん目立っていたんだろう。日本人でしかも1人、荷物もカートを含めいっぱい抱えている。金持っている、というふうに見られたんだろう。いま考えると、自分側にも大きな責任があるような気がする。


「ヘイ、ヘイ、Youの背中にべっとりジャムがついてるぜ!」と30歳代くらいの若い男性が話しかけてくる。脱脂綿についているジャムを自分に見せる。

「とにかくジャケットを脱げ!」
と言われ、ジャケットを脱いでみる。

そうしたら確かに背中にべっとりと付いている。
 「だろう?ほ~らこんな感じ。」というように脱脂綿で拭って見せる。
 「気をつけろよ!」
と言われ、足早に立ち去った。

その瞬間、自分はすぐにピンと来て、体にたすき掛けにしていたカバンを確認したら.......見事だった。(苦笑)

スリ対策で、カバンは必ず体にたすき掛けにして、ジャケットでしかもその上から覆うように隠す、のがいいでしょう、とガイドブックにも書いてある。(笑)

彼らはその上を行っていた。

いかにジャケットを脱がせるか?

ホントに驚いたのは、ジャケットを脱ぐときに、カバンを取ったのだと思うのだけれど、たすき掛けにしていたのだから、少しは感じるものだけれど、まったく感じなかった。プロの仕業だった。

奴らはピンでは絶対やらない。自分に見えたのは、その話しかけてきた男だけだったけれど、自分が見えない背後に仲間がいたはず。そしてジャケットを脱ぐときにカバンを取っていったのはその仲間に違いない。

このジャム野郎の手口は、なんか有名らしいですよ。2人でやっているらしい。

本当に無意識のうちにスラれるんだから、これがパリの有名な洗礼のスリかぁ、と感心。

しかし事前にジャケットの背中にジャムを塗られていたとはまったく気づかず。


いつもは現金は、大金を持ち歩かず、財布を複数持って、分散させるのだが、なぜか前日、面倒くさいからひとつの財布にまとめてしまえ、とやったのがアホだった。

こういうときに限って、である。


海外でスリに会うのははじめての経験。相当動揺。


まず駅構内のポリスステーションを探した。インフォメーションのお姉さんに聞いたら、「Oh My God!」と同情されながら、駅の一番端にあるポリスステーションを紹介してくれた。

これがまたわかりにくく、途中で何回も人に聞きまくった。

そうしてようやくたどり着いて、事情を説明。

自分の担当は黒人の男性のポリスマン。

まずクレジットカードを止めろ!とアドバイスされた。

当然だ。でも電話番号を今年に限って用意していなかった。(ここにも自分の油断があった。)

黒人警官に、「三井住友VISA」と言っても、首を傾げるばかり。(笑)アメックスあたりだと通じる。日本のカード会社はダメだ、通じない、とそのとき悟る。

そしてカード会社に電話するにしても、まず黒人警官がフランス語でかけて、その後に私が英語でしゃべるなど、とにかくイライラ。これをカード枚数分、こりゃダメだ、と思う。

そこで日本の自分の旅行会社にかけることを思いつく。
幸いにも携帯はやられていなかった。


現地のSOS窓口を教えてくれて、そこでカード会社の電話番号を聞いたら一発で全カード分わかった。すぐにかけて、全部ストップ。

こんなに効率がいいとは!!!

やはり日本人相手だと恐ろしく効率がイイ。Things to Doを的確に教えてもらえるのだ! 

そこからは調書取り。現地用語では、いわゆるポリスレポート。
自分は日本人なので、英語で書かれたアンケート用紙に記入する。
住所、氏名、年齢、どこで起きたか?、スラれたもの(中に入っていたものなど詳細に。)、犯人像、など事細かく、7枚くらいあったんではないだろうか?

マークシート方式。

それを正式に警察が定型フォーマットにタイピングして印刷して、正式なポリスレポート(調書)として作成して、自分が何箇所にもサインをする。

警察用と被害者用があり、自分にもくれた。(あとで保険会社に請求するとき必要。)

なにせ、かばんごとであるから、パスポート、現金、クレジットカード、そしてなんとカートをロックする鍵もその中に入っていた。このまま見つからないとカートが開けれなく、壊さないといけない。

もうため息というレベルではない。


でもその直後にパスポートは自分のジャケットの内ポケットに入っていた。助かった!

パスポートを紛失すると、その再発行手続きを教えてもらうと、そのあまりに面倒くさいことに愕然。戸籍謄本とか例の色々な書類と顔写真などを現地にいながら日本とやりとりをして調達しないといけない。パスポートだけは絶対スラレないように気をつけないといけないのだ。仲間から聞いた話では、日本人のパスポートというのは結構いい値段で売れるらしいし......

まずは日本大使館に行け、と言われ、メトロのチケットを3枚余分にくれた。
そして日本大使館に移動。(結構距離的に離れていて、メトロ、徒歩と、この間の移動も結構疲れる、というかスリリングでした。)

はじめてのフランスの日本大使館。

凱旋門の比較的近くにある。

セキュリティチェックを受けて、はじめて中に入る。

その後に、普通の役所のようにガラス窓越しにきれいな日本人のお姉さんが2人いる。

用件を言ったら、あちらの部屋にどうぞ、と案内される。 
ガラス越しの窓口にこれまたお姉さんがまた複数いて列がでてきる。
 
まぁ、公務員というか、ホントにお役所的雰囲気ですね。

そこで、いろいろ説明を受ける。
特に現金をすられた場合の対応。一番ポピュラーで現実的なのが、クレジットカード会社による「緊急キャッシュサービス」というもの。

クレジットカード会社に電話して、大使館そばの銀行へ海外送金してもらう、というもの。

その説明を受けた後に、旅行会社から携帯に電話がある。

私のバッグが警察に届いている、という情報。たぶん現金は抜かれているだろうけど、まずは一安心。いろいろ相談をした。旅行会社がお金を貸す、という。その他、今後どうしようか、という話になって、アムスにホテルを予約してあって、コンセルトヘボウのコンサートもあるし、日本への帰国の便はアムスからを取ってあるので、それを無駄にする必要はないだろう、ということで、パスポートも無事だし、現金が調達できれば、そのままアムスに移動さえすれば旅行のかじ取りは元に戻ると思ったりする。とにかく、パリに支店があるので、そこまで移動してくれ、という。

パリ支店はガリニエ前のオペラ通りにある。

現金はないんですけど.....(笑)

迎えには行けない、という話。(がっくり)そこで、大使館(凱旋門)からパリ支社まで、重いカートを引きずりながら、歩くのかぁ~???(いま考えてもこれは無理。)

途方に暮れていたところ、大使館側の配慮でメトロのチケットをサービスしてもらった。
ここから最寄のメトロを使って、近くまで行って、そこから歩け、と。

これなら大丈夫。

なんとか、パリ支社にたどりつく。

きれいなお姉さんがたくさんいた。若いお兄さんも。

「お疲れ様、ご苦労様でした。」と一同からねぎらわれる。

「お水を一杯どうぞ。」

これがどんなにうれしかったか!!!朝6時から水も一滴も飲まずに休まずに動いていただけに.......

そして、すぐにバッグが届けられている警察にピックアップしに行く算段。
地図とパスポートと現金少々を携えて、再びその警察に行く。

その駅に着いてから地図を見るんだが、これがよくわからなくなかなかたどり着かない。(笑)
人に聞きまくって、ようやく警察の場所がわかった。

見張り番の警官に事情を説明したら、「ブラッグバッグ?」と言われ、あ~ちゃんと届いているんだな、と確信。

でも問題はここからだった。(笑)

受付のおばさんに、事情を説明して、「ピックアップしにきた。」と説明したつもりだったのだが、英語の下手なフランス人には通じていなかった。(というかオレの英語が下手なのか!)

ふつうにポリスレポート(調書)をとる算段に入った。

あれ?さっき駅の警察で作ったけれど....と説明したのだが、ここでも作る必要があると、言ったかどうか、英語が下手すぎてよく聞き取れなかった。(しかたなく従ったが......)


ここで出てきた調書は、日本語バージョンであった。
やっぱりパリはスリの日本人被害者が多いからなんだろうな、と思った。

仕方なく、またアンケートを記入。

その後、おばさんが2~3時間くらい待つかもしれないよ。ほれ、ここにこれだけ待っている人がいるんだよ。と言われた。確かにたくさん人が待っていた。

ここからひたすら退屈な待ち時間。
2~3時間くらい待ったと思う。

警官がやってきて、ようやく面接・尋問が始まった。

まさか自分が入るとは思っていなかったパリの警察署での取調室の一室.....

10畳くらいのスペースで、窓はない。オフィス用のフリーデスクにパソコンが置いてあって、警官と面向かって座る。さっき書いた調書を見ながら、警官はパソコンに打ち込んでる。(要は清書用調書作成のため。)

そしてその項目ごとに質疑応答、状況説明など。

結構長かった。警官はパソコンのキーボードがあまり打ち慣れていないようだった。(笑)

「ハイ、これでおしまい。」

と言われ.....


「へっ???」
「私のかばんは???」

「そんなものはない。」

「えーーーー!!(驚)」

警官はまったく認識していない。

話が通っていない!!!

警官は、「Youに連絡してきた旅行会社が、Youの宿泊ホテルから連絡があった、というなら、そのホテルにもう一回確認してみろ。ここには君のバッグなどない。」

「はぁぁぁ~???

それはおかしい、とかなりすったもんだ、して食い下がったが、警官は、いったん引き下がって仲間に確認してくれたようだったが、戻ってきて、「やはりバッグはここにはない。」と言われた。

もうどん底に落とされた想いだった。また振り出し???

旅行会社にもう一回電話して確認してもらったが、やはりここに届けられている、という情報。

そこで、警官をさっきの門番のお兄さんのところに連れて行って、このお兄さんは認識しているよ、と再度食い下がる。

そうすると2人でフランス語でやりとりをして、もう一回その警官は奥に引っ込んでいった。結構時間がたったが、「Youのかばんは、ここにあった!」とバッグを見せてくれたときはホントにひたすら安堵。

そこの真相になにがあったかは、もちろん私には不明です。(笑)

でもおそらく間違いなく、彼らは私がふつうに被害届を出しにきただけ、と勘違いしていた、ピックアップというニュアンスを理解していなかった、ということは確かなような....

それでまたパリ支社に帰り、即座に今日アムスに行ってRCOの公演を聴けるかどうかの検討。時間的に無理だった。

しかたなく翌日のアムス行の航空券を発券して、パリの緊急のホテルも取ってくれた。

まさに旅行会社がたまたま現地にあって、そのお世話になれたから、こんなにスムーズに行ったのだと思う。

もしこれを全部自分でやるとしたら、パリの街に路頭に迷っていたと思う。

そして帰国後、旅行会社からの請求書が届く.....入っていた保険は、病気、ケガは無制限なのだが、物損などは上限があって(しかも現金は保証外。)結局かなり自分が負担しないといけないような感じ(号泣)

保険のランクを決めるとき、どうしても病気、ケガのほうばかり目が行って、物損のほうはまったく気にしない傾向にあるのでいい経験になりました。あとで確認したところ、やはりどの保険も物損は上限が決まっている感じ。やっぱりスリは自己責任なんですよね。海外旅行するときに病気、ケガなどは絶対無制限にするのは鉄則、私が聞いた話では、保険に入っていなくて、海外でICU(集中治療室)に入るような病気、ケガをして、結局日本に帰ってから、自宅を担保にして債務生活に入ってしまった、という話はよく聞きました。だから海外旅行保険は絶対ケチっちゃダメなんですよ。でもそれはわかったけれどスリなどの物損がこんなに上限があって自己責任に近い形とは思いもよりませんでした。病気、ケガのほうばかり気にしていて盲点でした。

やっぱり海外旅行のポイントは、”リスクの分散化”。

これがすべてである。身に染みた。

こんな基本的で当たり前のこと、昔からずっと知ってはいたものの、自分が被害にあって、はじめて身に染みる。やっぱり自分に責任があったんだなぁ、とつくづく。

そういうことで、財産を失った今、冬のボーナス支給日まで、あと1か月半、瀕死の極貧、飢餓生活が待っているのでした。 (泣)

追伸:とにかくやつらは、日々いろいろなアイデアを考えるので、イタチごっこなんですね。この体験談を友人に話したら、やはり同じように被害にあった人がいて、その人はポシェットで体に括り付けていたにも関わらず、ルーブル美術館で絵画をじっと眺めていたら、ポシェットのチャックが背中側にあったので、その眺めている隙にやられた、とか....(笑)やつらはホントにつねにカモを探しているというか油断も隙もあったもんじゃないです。


スイス・ジュネーブで過ごした日々.........アムステルダムは? [海外音楽鑑賞旅行]

パリでの日程を終えて、いったんスイス・ジュネーブに移動して、そこからまたパリに戻ってくる、という変則的なハードスケジュール。

早朝5時くらいにホテルからタクシーでリヨン駅(Gare du Lyon)に行って、そこからTGVでスイス・ジュネーブに移動する。

TGV
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はじめてTGVに乗れて感動~!!

車内では、隣でパリジャンヌたちが爆睡しておりました。(笑)
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パリからスイス・ジュネーブまではTGVを使って3時間位です。

ジュネーブのコルナヴァン駅に到着。
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なんとホテルはその駅のド真ん前(笑)
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今回結局、パリとジュネーブとアムステルダムの3箇所のホテルに宿泊しましたが、1番当たりだと思ったのは、このジュネーブのホテルでした。(逆に1番外れだと思ったのは、アムステルダムのホテル。(笑))

とにかく値段が安くて、立地が良くて、WiFiが無料。この3原則は私の場合は必須条件。それにも増して、ここはすごくキレイなんです。豪華なホテルでもないのに、なんか小綺麗で、レトロな雰囲気で、ヨーロッパのテイストがあって、もの凄く気に入りました。

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フロント
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ロビー
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部屋
赤と白のツートンカラーですごいカッコイイ!
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旅行前にガイドブックでジュネーブの地図を見ていた時は、かなり複雑な入り組んだ地図に見えて、あ~これは1日しか滞在しないので、市内観光は無理だなぁと思っていたり。

しかも駅前のホテルから会場のヴィクトリアホールまで結構入り組んでいて距離があって歩くので1番不安でした。想定外だったのは、早朝にジュネーブに移動した理由は、1日しかいないので観光ができないので、なるべく早くジュネーブ入りしたかったためです。ところがホテルにチェックインして気づいたのは、部屋に入れるのはクリーニングした後の午後1時くらいなんですよね。このとき朝の9時くらいだったので、相変わらずアホだなぁ、自分と。(日本でもこんな当たり前のことを。)(笑)

仕方がないので、カートだけホテルに預けて、ホテルの前をぶらぶら散策してようと思いました。(これがじつは大成功!)

ジュネーブの街に来るなんて、ソニー在籍時代にロンドンに赴任していた時に、DVB(欧州デジタル放送規格)のWG(Working Group)の会合がジュネーブで開催されるので、それに出席するために訪れたとき以来、じつに20年振り!!!まったく覚えてないや!(笑)(そのときチーズフォンデュを食べたことは覚えていたりする。)

ジュネーブの街は、駅前の新市街とローヌ川を渡ってその向こうにある旧市街とふたつのエリアに分かれている。ホテルを出て、新市街の中心ストリートであるモン・ブラン通りをとりあえず当てもなくブラブラ南方に下がっていく。

やっぱりスイスは清潔感がある感じで、いいですね。治安もよいし。なんか、2年前のルツェルンを歩いているのと同じ感覚になった。パリに4日もいるだけで、段違いの感覚。(笑)(パリの街を歩いていて思うことは、スゴイ多国籍というかいろんな人種の集まっている国だな、と思うことです。特に黒人系の方が多いのが印象的ですね。)

ここスイス・ジュネーブは人がほとんど歩いていなくて、スリの心配もなくて断然安全な感じがする。

その道すがらの街並みの風景
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歩いていると、う~ん、地図からするとこのままいくとローヌ川にぶつかるなぁ。なんとなく地理感覚がわかる感じで楽しい。

そしてローヌ川、レマン湖にかかるモンブラン橋。
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やっぱり2年前に訪れたルツェルンもそうだったけれど、やっぱりスイスって白鳥なんだよなぁ。美しい!
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ローヌ川、レマン湖まで来ちゃったんなら、よ~し、これはヴィクトリアホールまで歩いて行っちゃえ!という感じになった。

川にぶつかったら右折してイル橋を渡る。

そこから観たレマン湖、そしてジュネーブと言えばもっとも有名なレマン湖の噴水も観れる。
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旧市街の中に入ると、建物が綺麗に区画上に整列されて並んでいるので、わかりやすい。大体おおよその見当をつけて、後は通行人に聴きまくり。(笑)

でも、それでもちゃんとたどり着く。ヴィクトリアホールは、たくさん並んでいる街の建物中に埋もれる様な感じで佇んでいる。

ヴィクトリアホール。
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よし、これで今晩のコンサートの場所はわかった。

このヴィクトリアホールの近くには、ヌーヴ広場を囲むように、ジュネーブのオペラハウスや、サクレ・クール教会があったりした。

ジュネーブのオペラハウス
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サクレ・クール教会
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ヌーヴ広場
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ついでにジュネーブの観光場所でもあるサン・ピエール大聖堂なども廻ってこようかな、とも思ったが、道に迷って悩むと困ると思い、やめておいた。

腹が空いてきた......

食事処を探そう。ガイドブックを見て、また今きた道を戻って(コンサートホールからホテルに帰る道を確認するうえでも)、新市街のほうで探そうと思い、モンブラン橋まで戻る。

ジュネーブのもっとも美しい風景であるレマン湖の噴水。
綺麗に撮りたかったが、天候が悪いのが残念過ぎる。

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どこで食べるかは、あらかじめ見当をつけた。新市街にあるスイス料理を食べさせてくれるレストランを目指した。

途中のブリュンズウィック記念碑
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そして街中に入っていく。
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日本料理店もあった。(相撲という意味のSUMOと書いてある。)なんか客層のガラが悪そうなのでやめておいた。(笑)
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そして目的のレストランに到着。

オーベルジュ・デ・サヴィエースというスイス料理のお店。
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店内。
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見た目がスゴク雰囲気がイイ。こじんまりな造りだけどいいお店。英語のメニューはあります。でもお店の人は英語はあまり通じません。

スイス料理が食べれるということで、メニューを見たらチーズフォンデュがあった。(笑)そのときに20年前を思い出して、この食べ物のことを思い出し、すかさずオーダー。

あと、このお店の看板メニューのスイス料理は,フィレット・フィッシュという魚料理??もあるみたいなのだが、もう5日目のヨーロッパ滞在でまともなものを食っていない反動で、ガッツリ食べたいという欲望がみるみるうちに湧き上がってステーキを頼んでしまった。いくら看板メニューでも魚料理じゃダメなのである。(笑)

じつに20年振りのチーズフォンデュ。
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これはうまかったなぁ。とにかくチーズがスゴイ濃厚。こんなに濃厚なチーズはちょっと日本では経験できませんね。

パンの塊をチーズにつけて食べる。

口の中で熱くてハフハフしていたら、お店のおばさんにもっと小さな塊にしろ!と注意されたりしました。(笑)これはうまかったです!


そしてメインディッシュのステーキ(何ポンドだったか忘れました。)。
いかせていただきます。
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これはヨーロッパに来て、ようやく腹いっぱいに食った、という感覚。
満足でございました、です。

それでホテルに帰って、仮眠を取って、そして夜のスイス・ロマンド管のコンサートを堪能したのでした。

翌朝、TGVでまたパリに向かう。
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私は鉄ちゃんではありませんが、でもこういう風景を見るとウキウキして楽しくなりますね。
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TGVの車内です。
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そして、3時間かけてパリのリヨン駅に到着。
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ここからタクシーでまた先ほど泊まっていたガルニエ近くのホテルに行ったのでした。そしてその日の夜にフィルハーモニー・ド・パリでパリ管を聴いて、気分は最高潮ボルテージ。興奮してこの日の寝つきが悪かった。

そして翌朝、また5時起き。(笑)

Gare du Nord駅にタクシーで向かう。この朝にタリス特急でパリからアムステルダムに移動するのだ。

そこで、”こと”は起こった。もう説明はいらないだろう。(笑)
この日は1日棒に振った。

急遽パリにもう1泊した。
このとき、精神が恐怖心で覆われていたので、自分の部屋の外で大騒ぎで話をする外人の団体に対して、いつもはなんにも感じないのに、この日だけは、ことさらコイツらに恐怖感を感じた。

そして今度は飛行機でアムスに移動。

翌朝6時起きで、タクシーでCDGに。このCDGのゲートで待っている間が、早くアムスに着きたいという気持ちでいっぱいだった。追い込まれていたんだね。
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そしてCDGからアムステルダム・スキポール空港に到着。
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よかった。無事で!
パリから脱することが出来た、安全な地に来た、という安堵で一杯だった。(でもアムスも結構危険で、さっそくぼったくりタクシーに会ってしまいましたが.....)

マチネーなので、ホテルにチェックインしてさっそくコンセルトヘボウに直行。コンサートを楽しんだ。
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そしてトラムで市内に戻り、ホテルに戻る。

もうアムス市内の観光なんてする気なんて起きないのである。
わかるでしょう?

旅行会社からMAXの現金を借りていて、もしここでまたトラブルがあったりしたら、もう日本には帰れなくなってしまう。とにかくおとなしくしていよう!無事に日本に帰れますように......とこればかり考えていた。

夕食を取りに、市内に出たときにアムステルダム中央駅(東京駅の原型です)の写真を撮影した程度。
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本当にホッとしたのは、アムステルダム・スキポール空港のKLMの日本帰国便のゲートで待っているときかな?これで無事に帰れる、と思ったのは......


パリで過ごした日々 [海外音楽鑑賞旅行]

コンサート鑑賞日記やコンサートホール探訪のいわゆる「お仕事日記」が終わったら、あとは散策、食中心に「お遊び日記」ですね。頭使わなくていいや。(笑)写真日記で一気に書き上げます。

今回初日にパリに入って、パリでの宿泊ホテルは、なんとオペラ通りのガルニエのすぐ傍でした。(イタリアン大通りのほう) 

メトロ(Opera)を使うので、毎日その地下への入り口の前に堂々とそびえ立つオペラ座・ガルニエの壮厳なるお姿を毎日拝見していた訳です。

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とにかく地の利が最高にいい。宿泊代もそこそこの値段で、もちろんWiFiも無料で使い放題。自分はホテルに全くこだわらないので、こういうところがいいですね。

周辺はカフェやレストランが山のようにあって本当に便利だな、と思いました。

ホテルは、玄関からフロントまでが多段数の階段が上がるところが閉口で、重いカートを持ち上げながら登っていくのが冗談みたいでしたが仕方がないでしょう。

結構雰囲気のあるホテルです。

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朝食をいただく憩いの場所。

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そして部屋。

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ちょっと狭すぎですね。ご覧のように、ベッドと机の間がほとんど隙間がないので、パソコンで速報を日本に送るとき、この狭いところに体を斜めにして無理やり入れ込んで苦しかったです。でも、後半もう一泊した時は、部屋が変わっていて、そのときはスゴイ広い部屋で見違えるように過ごしやすかった。

毎日ガルニエの前のこのメトロの入り口のところで、「今日のガルニエ」と称してガルニエの写真を日本に送っておりました。

こちらがガルニエからルーブル美術館のほうに向かう有名なオペラ通り。

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こちらが、ヴァンドーム広場を通ってコンコルド広場に行くほうの通り。

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なんとある日、このオペラ通りのほうで、マラソン大会が始まってしまいました。吹奏楽でランナーを煽っていたりしました。(笑)

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こちらがいつも自分の出発点であったメトロのOpera駅。

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それにしても久しぶりの3年振りのメトロ。
パリではメトロなしでは絶対生きていけません。移動するには絶対メトロが便利ですね。

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パリのメトロは、何番に乗って、終着駅がどこなのかが、コツですね。とても明快で、日本の地下鉄よりずっとわかりやすいと思います。パリのメトロは東京と全然違って、隣の駅が近くて網の目状。場所によっては次の駅が見えてたりする。 最初は分かりにくいけど慣れるとメチャ便利です。

全区間1.38ユーロ。Navigoというやつが、日本でいうSuicaなんですね。

ところが3年振りで、券売機が変わっていた。
古い券売機と新しい券売機とが混在していた。

古い券売機


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新しい券売機

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最初、新しいほうのが使い方がわからなかった。メニューをスクロールするやつが、券売機についているクルクル回すやつでスクロールするとはわからなくて3分間位悩んでいたりした。(笑)

でもこのパリのメトロはホントに移動の手段の中心ですね。

反対にパリのメトロの中は、スリ王国パリのスリの温床だったりする。メトロの中はかなり危ない。毎日相当気を付けていました。

さて、パリのカフェ事情。

ホテルの周辺はカフェ&レストランだらけで、食べ物には困らなかった。そして最近は日本の観光客も多いせいか、日本語メニューを用意してくれるところも多いですね。

でもパリのカフェって高いっすよね。毎日入ってみて、大体1品15ユーロ~20ユーロくらい。ってことは1品2000円~3000円ってこと?ちょっと普段の食事処としては、かなり不便と思いました。

ここ、ホテルのすぐそばのカフェ。

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おフランスのカフェなら、やはり外でいただくのが、ということで、そうしたら虫が寄ってきてそんなにロマンティックなものではなかったです。(笑)

チーズ&オニオンスープ。
これは美味しかったなぁ、ボリュームがあって。でも見かけが汚いな、と思いました。(笑)

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鴨のフォアグラ。
これは大したことなかったですね。高いのにフォアグラを頼むことが間違っている。

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タルタルステーキ。
これは喰えねぇ。ステーキの文字に目がくらみましたが、タルタルという言葉を見逃していました。生肉はまったく苦手です。

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で、結局どうすることが多かったか、というと、こういうことだったりするんだなぁ。(笑)

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ホテルの隣がマクドナルドだったりしました。(^^;;

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特に終演後ホテルに到着するのが、夜の11時30分くらいですから、ここからカフェ&レストランに入るのは、夜中だし安全面から怖い感じがしたし、またポアソンとかヴィアンテとかメニューと格闘しても見当違いのモノが来たりして疲れるだけで、結局最初から解りきっているもので、腹が満たされるものということでこっちの道に行ってしまうのでした。

毎日の公演後の夜食は、ほぼ毎日このホテルの横のマックで食べていましたね。


ホテルの反対の横には、こんなお店もありました。
ベルギーのムール貝を食べさせてくれるお店の「レオン」。

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なんか有名なお店みたいですね。パリ市内にもいろいろ支店があるみたいで、ここオペラ支店は、私のホテルのすぐ右隣にありました。

店内は、結構雰囲気があっていい。

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大昔にベルギーに居たことがありますが、それ以来かも......ムール貝。

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結構おなか一杯になるし、美味であったり。(中にサーモンが入ってます。)ベルギービールと併せて25ユーロ。これはとてもいい食事タイムでしたね。


FBの友人からのコメントで、ホテルがガルニエの傍ならオペラ大通りに行くと日本食レストラン街があるよ(特にラーメン屋がいっぱい!)、というコメントをもらって行ってみようかな、とも思いました。

もし海外赴任しているのなら、和食党の自分にとって日本食を食べられるところを探すのは命綱でしょうけど(笑)、たまに海外旅行に来るんであったら、やっぱりそこで日本食を食べてはダメでしょう。(笑)せっかく来たのなら、その国でしか食べれないものを食べないと!

オペラ通りをまっすぐ歩く。

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そうすると左側に入ったところに日本食レストラン街を発見!

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圧倒的にラーメン屋さんが多いですが、和食屋さん、お寿司屋さんなどたくさんありました。どこのお店もスゴイ繁盛していて、やっぱりパリ市民にとっても、日本食ってブームなんだなぁと思いました。

結局ここのラーメン屋さんに決めて入ることにしました。

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店内。

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サインがこんなにいっぱい!

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出てきたラーメン。

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はっきり申しますが、日本ではそれなりにラーメンにはうるさい美食家の自分にとって、まぁまずくはないけど大した美味しくはありませんね。でもパリにずっと住んでいたなら、きっと美味しいと思うようになるんだなぁと思いますね。


まぁパリに来たら、もっとおフランスらしいお洒落なもの食えよ、という感じかもしれませんが、食べ物にセンスありませんのでスンマセン。


パリにいるからといって、とりわけ珍しいコアなところに行った訳ではまったくなくて、初心者が行くようなところで満足。なにせコンサート通いで精いっぱいで、そんな地図で捜し歩いて、なんというのは疲れちゃうばかり。

シャンゼリゼ通りに出る。

お馴染み凱旋門。

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写真に写っている通り、いやぁその前は中国人だらけ。(笑)大変な中国人の集団でした。
一昔前の日本人ですかね。

そしてシャンゼリゼ通り。

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そしてこのシャンゼリゼ通りに来たら、必ず寄るカフェであるフーケッツ。

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シャンゼリゼ大通りとジョルジュ.サンク大通りがぶつかる一等地に存在感たっぷりの赤い屋根のカフェで、ずっとシャンゼリゼを見続けてきた老舗カフェです。パリに来たら必ず寄ります。

コーヒーとゆで卵をいただきましたが、ゆで卵はこんなにオシャレに盛り付けられるとは!

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休憩した後、エッフェル塔のほうに行く予定。忘れもしない3年前に道を間違えて迷ってしまった苦い思い出が...... 同じ間違いはしません。

トロカデロ広場のほうに無事に出て、そこから1枚。3年前のリベンジはできかたかな?

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さらにセーヌ川を渡って目の前でもう一枚。

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昔ベルギーに住んでいたころ、このパリへは車で1時間位かけて頻繁に遊びに来ていて、そのときに、このエッフェル塔の近くのクレープ屋さんでクレープを食べた記憶があったのでした。そんな想い出を巡ってクレープ屋さんを探してみました。たくさんありましたが、ここかなぁ?

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このエッフェル塔い来たらどうしてももうひとつやらないといけないことがありました。

それは有名なセーヌ川の遊覧船に乗ること。

これもあまりに有名すぎな観光場所ですが、昔ソニー在籍時に上司が出張で、パリに来て、なにをしていたか、というと、当時画面のアスペクト比でワイド画面の16:9が開発された頃で、ビクターが開発したアナモフィックレンズ、つまりノーマル画面4:3のカムコーダーにこのアナモフィックレンズを取り付けて16:9に変換して撮影する、というフィールドテストをやるのが仕事で、そのシーン撮りに、このパリのセーヌ川の遊覧船に乗って、そこから撮るシーンを16:9で撮影しいていたのでした。

それを日本に持ち帰って、その撮影シーンを見て、「あー、オレもいつかはこの遊覧船に乗ってみてー」と思ったのでした。(笑)


セーヌ川遊覧船乗り場を発見。エッフェル塔の目の前にあります。

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チケットを買う。

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遊覧船がやってくる。

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いよいよ出発!
つくづく残念だったのは、天候が曇りでやがて雨が降ってきたこと。

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オルセー美術館が見えてきました。

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そして.......もっと天候がよかったらなぁ。

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そしてルーブル美術館が見えてきました。

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ノートルダム大聖堂

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Uターンしてノートルダム大聖堂のうしろ。こっちのほうがカッコイイですね。

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まぁパリ滞在はこんな感じで過ごしていました。確かに初日、2日目とあまりにはしゃぎ過ぎて、みなさんからハイテンション過ぎると心配されましたが、案の定、3日目以降時差ボケでガクンと電池切れ。(笑)後半は大事なコンサート前はホテルで仮眠という感じでありました。

でも、コンサート鑑賞が一番の目的ですから、このくらい廻れればいいんじゃないですかね?


再訪!アムステルダム・コンセルトヘボウ [海外音楽鑑賞旅行]

早く終わりたいから1日2本。(笑)
本気モードの日記はこれでオシマイ。
旅の最終を飾るのは、もちろんアムステルダム コンセルトヘボウ。

ヨーロッパで最も慣れ親しんだコンサートホールで懐かしさいっぱい。ご承知の通り、思わぬトラブルで、このホールでロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団を聴く!という夢は破れ去ってしまった。

彼らの来日公演でリベンジします。

自分的の世界の三大ホールは、

ベルリンフィルハーモニー
ウィーン・ムジークフェライン
アムステルダム・コンセルトヘボウ


世間一般では、ベルリンフィルハーモニーではなくて、米のボストン・シンフォニーホールを挙げるのが通例。やはり音響的に有利なシューボックスで統一する、というのが常識の線だが、自分はそうは思わない。

やはりそのホールのレジデンス・オーケストラがそのクラシック界に与えてきた影響力というのを考えると、ボストン響よりもベルリンフィルだと思う。

だからワインヤードのベルリンフィルハーモニーを入れる。

確かに建築音響の世界では、いにしえよりシューボックスというのはコンサートホールの基本なのかもしれないし、音響的にも優れている。でも、観客許容席が少なくて、ステージの視認性もよくないシューボックス(後方席!)は、いまの最新鋭のホールのご時世に合わないスタイルだと思う。

いまはどちらかというと観客許容数が多いアリーナ型でありながら音響もよくするという方向のホールが今向きだと思う。

大昔に造られたヴァイオリンのストラド(ストラディヴァリウス)が、現在の最新鋭のコンピュータグラフィックスなどを駆使してなんとか真似して同じデザイン設計で、同じ音色を作ろうと努力しても決して、同じ音色は作れない、真似できない。

これはヨーロッパのコンサートホールにも当てはまると思う。

何百年というエージング(経年変化)を経験してきたホールの壁質による芳醇な響きは、いくら最新鋭の建築技術で真似して作っても同じ響きは得られない。

そういう永遠の憧憬の的だったりするのだ、特にウィーン楽友協会とアムステルダム・コンセルトヘボウは!

ウィーン楽友協会は近年訪問予定だが、もう仲間と紙面で語り尽くした感があり、行って実際聴く前から、もう頭でっかちの理論武装だったりする。(笑)

ちょこっと、ネタバレをすると、1番の特徴は、響きが豊かで美しいこと。シューボックスなので、側方四面が,二面ずつ平行に向き合っている。この平行面が音の反射の回数を多くし豊かな響きを作ってたりする。壁だけじゃなくて、天井や床も!四方だらけ。さらに、ここの座席は吸音ものをいっさい使っていないので、椅子までも!響きに囲まれている感じ。

さらに四方は艶やかな彫刻の凹凸で音が拡散して煌びやかに。

でも、じつは1番の”きも”は体育館のようにドカドカ鳴る木の床だったりするのだ。(笑)
観客席の床から階段、さらにステージの上までも全部木の床。つまり床振動で全体を鳴らすようにするため、ステージ上でオケが音を出した瞬間、音圧が上がった時に、床が木でホール全体を通して連なっているのでどっと盛大に鳴り、つまり音が化けるように出来ている。(床振動って大切で固い床ではダメなんですね。オーディオルームの床造りと同じです。)いわゆる”ハコ鳴り”というやつでハコ(ホール)全体が鳴っているように感じる。仲間の考察は鋭いと思った。

「ホールは楽器です。」という名文句はここから来ているのだと思う。

これはムジークフェライン特有かもしれませんね。

はっきり言って自分が行ってから、自分が聴いてから書けよ!(笑)という感じで、もう行く前から周りから漏れ聞くので自分的にはウィーンはもうおなか一杯だったりするのである。


そんなウィーン楽友協会とはちょっと雰囲気が違うホールであるアムステルダム・コンセルトヘボウ。外観からして壮厳たるお姿で美しいですね。

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じつは向かいにスーパーマーケットがあったりします。
私のお気に入りの調達するお店なのです。

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中は普通のスーパーマーケットですが、なんかやっぱりヨーロッパ人のスーパーマーケットってなんかすごいブツも大きくてダイナミックな感じがしますね。

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写真を撮るのを忘れましたが、コンセルトヘボウの前には、一面に広い緑の公園が一面に広がっているのです。本当に美しい。スーパーマーケットでお寿司(相変わらず(^^;;)とジュースを買って、この公園の芝生でみなさんの横に座って腹ごしらえをしていたのでした。


そして再び建物の中に入って、ボックスオフィスでチケット現地引き取り。

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さらにホールのほうに向かっていく。

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コンセルトヘボウのホール。
美しすぎる!じつはRCOの公演はこの撮影ポジションの座席から俯瞰して聴きたかったのでした。残念!

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ベルリンフィルハーモニーの幾何学的なデザインの美しさ、ウィーンムジークフェラインの黄金で煌びやかな空間、とはまた違ったコンセルトヘボウ独特の美しさがありますね。赤が基調でベージュのツートンカラーで視覚的にもすごい優しい空間。自分はこのホールが本当に好きだということを実感。


1階に降りて、ステージから後方を俯瞰した図。

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測方。

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最終日の公演は、オランダ放送フィルハーモニーの公演。座席は1階席の平土間のここでした。

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ブレーク時

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ドリンクコーナー

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なんとこのホールのドリンクはみんな無料サービスなのです!3年前はワインのサービスもありましたが、さすがに公演中に眠くなったらマズいので、今年はみんなソフトドリンクでした。

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コンセルトヘボウの座席の特徴は、後方にいくにつれて、傾斜がいっさいないこと。ずっとそのまま同じ高さが続くのである。だから後方にいくにつれて、ステージが見づらくなる。ステージの高さは異常に高くて、最前列の人は首が痛くなることでしょう。

座席に傾斜がないので、ある意味ステージから発する音は、遮られることなく(観客に吸われることなく)同じ条件で四方の壁に伝わり反射されるので、そういう点では音響面的にはすごくいい。

このホールは木造で出来ていて、壁の材質は、漆喰塗り。(ウィーン楽友協会もそうです。)漆喰はどこかの周波数にピークを持つことがなく、可聴帯域外ではブロードで減衰するので、耳で聴いている分には音の細やかさというか粒子の細やかさな感じがして秀逸なのである。(家庭のオーディオルームも漆喰がいいですね。)

またヨーロッパでは、よく木造コンサートホールに音響上の失敗は少ないと言われていて、その原因が木材が低音域をほとんど反射し、高音域を程よく吸収するため、残響時間に高音、低音でばらつきが少なく平坦になりやすいことにあったりする。

細かいうんちくな理論抜きで、安直にホールの音の印象を言うと、木造らしい非常にマイルドな暖色系の優しい音がしますね。弦楽器の音色や木管の音色を注意深く聴いているとはっきりわかります。オーケストラの音を聴くと、質感は柔らかいけれど、空間が広く感じてスケール感のある雄大なサウンドに思えます。ライブ録音に向いている音響ですね。


オランダ放送フィルハーモニーの演奏は、ワシリー・ペトレンコの指揮で、武満さんの「レクイエム」、ムソルグスキーの「死の歌と踊り」(ショスタコーヴィチ編曲)、そしてショスターコヴィチ 交響曲第8番。オランダ放送フィルハーモニーは、なかなか実演に接する機会のないオケだと思うが、オーディオで聴く分にはPENTATONEなどのディスクでときどき拝聴する程度。貴重な体験でした。

自分の中で最終日の有終の美という意識もあったのか、あまり欠点らしいところもないバランスの取れた演奏だったように思えた。満足でした。

わーい!これで本気モードの日記は全部オシマイ。
意外と早く終わった。気合で書きました。

あとは、散策、食関連含めてお遊び日記、お気軽日記の散文程度。あと2~3回で終わるかな?

この連載が無事終わったら、もう今年は日記納めといったところでしょう。

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2015年10月10日 14:15~ オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団演奏会 アムステルダム・コンセルトヘボウ

指揮:ワシリー・ペトレンコ
独唱:ミハイル・ペトレンコ(バス)
管弦楽:オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団

武満徹「レクイエム」
ムソルグスキー「死の歌と踊り」(ショスターコヴィチ編曲)
ショスタコーヴィチ 交響曲第8番 ハ短調


体験!ヴィクトリアホール アンセルメ&スイス・ロマンド管のDECCA録音の秘密。 [海外音楽鑑賞旅行]

今回のツアーで、もうひとつ大きな目標があった。スイス・ジュネーヴのヴィクトリアホールで、スイス・ロマンド管弦楽団のコンサートを聴くこと。

ツアーのスローガンはPENTATONEに纏わる旅。スイス・ロマンド管は現在、PENTATONEと契約していて、このヴィクトリアホールで数多の録音を残してきて、しかも現在進行形。最近では、このホールでヤノフスキとブルックナーの交響曲全集を完遂している。

日本の期待の若手ホープ、山田和樹氏もこのスイス・ロマンド管の首席客演指揮者で、フランス音楽集などをはじめ、このヴィクトリアホールで数々の録音をして、PENTATONEから出している。またアラベラ様のメンデルスゾーン&チャイコフスキーのPENATATONE新譜も、デュトワ&スイス・ロマンド管で、このヴィクトリアホールでセッション録音したものなのだ。

まさにポリヒムニア(PENTATONE)にとって、このヴィクトリアホールというのは、もうその音響を知り尽くしたホームグランドのようなもの。

一方でこのヴィクトリアホールは小澤さんのスイス国際アカデミーでも毎年使われるホールでもある。

まさに自分にとって生涯で、どうしても超えないといけない、体験しておかないといけないホールだったのだ。

ヴィクトリアホールは、旧市街のほうにあって、駅前の新市街の私の宿泊ホテルからはローヌ川(旧市街と新市街を隔てている川)を渡って旧市街のほうに行く感じで大体15分位歩くだろうか。いろいろ建物が立ち並んでいる街中に、埋もれるような感じで佇んでいて取り分け目立つという感じでもない。

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ホールの壁には、近々に開催予定のコンサートの告知が.....なかなか素晴らしいコンサートが盛り沢山。ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席オーボエ奏者のアレクセイ・オグリンチュク氏が招聘されていたのは驚いた。

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開場とともに、ホワイエ空間に入る。なかなかクラシックな雰囲気で、ヨーロッパの伝統的な建物のテイストがある。後で説明するが、ホール含め、建物自体が縦長なので、ホワイエ空間もそういう感じがして、正直広い空間とは言えず。

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ドリンクバーもこのようにシンプルな造り。

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ブレーク時はこんな感じになる。

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ホールへの入り口は、大きく2箇所ある。
地上の高さから入る入り口。
じつはここのホールは高い位置に造らており、この入り口から入ったとしても、階段で上のほうに上がっていかないとホールにたどり着かないのだ。

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もうひとつは左右から入るこの入り口。
ここから上がって、1階席はもとよりさらにその上の上階席(2,3階席)にあがるのだ。

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そしていよいよホール内に潜入。

事前に写真で見ていたとはいえ、その空間が実際目の前に現れると昇天してしまった。内装はじつに美しい。”ミニ・ウィーン楽友協会”という趣きで、黄金で煌びやかな彫刻が施され、そして華麗な天井画の数々。じつに美しいホール内装である。

ホール後方中央(1階席)からステージ前方を俯瞰した図。

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反対にステージ前からホール後方を俯瞰した図。

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測方。

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華麗な天井画。

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今回の私の座席。(2階席右側)

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形状に少し特徴があって、横幅が極端に狭い縦長のホール、つまりうなぎの寝床。キャパも本当に少人数で、ひょっとすると日本の大きめの室内楽ホールくらいの容積かもしれない。

この日はTVの収録があったようで、上階席左右にカメラ、そしてステージ上空には収録マイクがセッティングされていた。もちろん天井から吊るすということが困難なホール形状であるから、ホール左右側方の手すりから横断的にマイクを吊るすという全体像をキャプチャーするメインマイクに立脚のピックアップマイクという図式であった。

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スイス・ロマンド管弦楽団というのは、エルネスト・アンセルメという指揮者によって創設されたスイスのオーケストラで、じつに半世紀に渡って、アンセルメが実権を握り、まさにアンセルメの楽器とまでいわれたオーケストラでもあった。

まさにスイス・ロマンド管を一躍有名にした指揮者であり、その要因は、英DECCAレーベルと録音をかさねた膨大な数々のLP。まさに”ステレオ録音”の先駆けの時代で、DECCAに於ける”はじめてのステレオ録音”ということを具現化していき、このDECCA録音でアンセルメ&スイス・ロマンド管は、まさに世界的な名声を得たのである。(このオケが世界的に有名になったのは、このDECCA録音のおかげと言っても過言ではない。)

その膨大なライブラリーを録音した会場が、このヴィクトリアホールであった訳である。

1960年代のステレオ録音は、目の覚めるような鮮やかな管楽器、濡れたように艶やかな弦楽器といったいかにもハイファイ・高解像度を感じさせる、録音マジックと言って過言でないものだった。

1960年代の半ばに、レコード人気を背景に来日公演を行っていて東京文化会館でその演奏に接した音楽評論家の高城さんは、レコードで耳にするのとは全く異なって 普通のオーケストラのサウンドだったと記され(笑)、 DECCAのレコーディング・マジックによって「創られたサウンド」だと解説した。 つまり「レコードは、生演奏とは音色・バランスが違う」、「これぞマルチ・マイク録音だ」という例えにされたわけだ。

確かに録音の編集時にいろいろ色をつけることは可能。このような鮮やかなサウンドに感じたのはDECCAチームによる脚色であったところも大きいのだろう。

でも、いくらDECCAマジックとか言っても およそクラシックの録音では、そんなに非現実的なサウンドを創り出せるものではない。 特に1960年代前半は ミキシングといっても6本のマイクを使うのが精一杯で録音は ダイレクトに2chでテープレコーダーに記録された。 つまり アンセルメ・スイスロマンド管のDECCA録音の場合、ヴィクトリアホールで東京文化会館とは、全く異次元のサウンドが鳴り響いていたのであろう、と推測できた。

今回ホールを経験できて、そのひとつの大きな特徴を確認することが出来たのだ。

オーケストラ録音で直面するオケの大半を占める弦楽器セクションの厚い音色に対して、後方に位置する木管や金管などの管楽器、打楽器などをどのように浮かび上がらせるか、という録音技術の問題。

昔からひとつのオーケストラ録音としては大きな課題でいろいろ工夫のあるところ(代表的にはマイクの設定方法の工夫など。)なのだが、この日のヴィクトリアホールの造りを観てなるほどと合点がいった。

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ヴィクトリアホールというのは、上方のパイプオルガンからステージにむけて非常に勾配の急な”ひな壇”があるのだ。そして彼らは生演奏や録音のときも、このひな壇を利用して、木管奏者から金管奏者、そして打楽器奏者にかけて、このひな壇に座らせるのだ。もちろん現在のコンサートホールでも弦セクションに隠れないように段差はつけているが、このヴィクトリアホールの段差ほど急勾配ではないと思う。これだけ急勾配でしかもひな壇の段数も多いので、座らせる高さもいろいろ調整できると思うのである。

こうすることで、木管、金管の見通しのよい遠近感、立体感がが曇りなく見渡せる、後方から音がさらりと流れてくるような立体・空間表現も容易いと思うのだ。収録や録音の編集うんぬんで苦労するよりも。

つまりこのひな壇に管楽器・打楽器を配置することでメイン・マイクに対して 立体的に音源となる楽器を配置できるという強みがあったのだ。

彼らは、もう自分のホームグランドでこのような”よく聴こえるためのトリック”を持っていたのである。録音方法なども極端に急勾配のひな壇に楽器群からマイク迄をほぼ等距離に設置したワンポイントマイク録音、等距離だから位相差が少なくリアルに聞こえる....。ワンポイント録音方法と言う言葉が一人歩き、後のテラーク・レーベルに繋がるみたいな.....

いずれにせよこのひな壇をうまく使うのが彼らのDECCAマジックだった訳で、なんかそれをリアルに見れたという事実は、自分の大きな財産とだと思えた。

これだと確かにホームでの演奏や、録音は抜群にすばらしい評価かもしれないけれど、アウェイのホールだと化けの皮が剥がれてしまうという逸話もわかるような気がする。(笑)


ところがPENTATONEが、ヤノフスキの指揮でスイス・ロマンド管をヴィクトリアホールで定期的に録音するようになってから、ひとつの疑問が生じた。 彼らの録音で聴くブルックナーは、非常に優秀な録音であることは間違いないが、かつてのDECCA録音のような個性的な空間バランスや音色ではない。
 
ゴローさんがPENTATONEのこのヤノフスキのセッション録音に立ち会って、その回答を見つけた。このヴィクトリアホールは 数年前に改修されてステージが客席方向に向かって大きく拡張され 広くなっていたのだ。 だから最近は 合唱以外は オルガン前のひな壇を使わずにオーケストラを配置していると説明を受けたとのことだった。 録音されていたのは、2管編成のブルックナーの交響曲第1番だったので確かにひな壇は使われていなかったそうである。

でも、今日このホールに入って、スイス・ロマンドのコンサートを聴いたときに、上の写真のように程度の問題はあれ、ひな壇を使っている彼らの姿を見ることができたのは幸運だったかもしれない。


ホールの音響の印象であるが、非常に高域が煌びやかな印象で、間違いなくウィーン楽友協会と同じ理屈で壁の美しい彫刻による凹凸によって音が乱反射され、煌びやかな響きになるのだと思う。反面やや低域の量感の不足を感じた。ブルックナーのような重心の低い音作りでは、低域は重要なのだが、自分の推測ではあるが、低域というのは波長が長いので、このような縦長で狭い容積のホールでは低域は十分に再生し尽せないのだろうと思った。

コンサートホールでの生演奏では量感たっぷりに感じるオーケストラのサウンドでも、家庭のオーディオルームで聴くとあの低域が再現できないのは、その再生空間の違いで、容積が小さい空間では波長の長い低域の再生は難しいからなのだと思う。

響きは非常にライブな空間で、ひとえに煌びやか。

ただホールが狭いせいか、オケの音がトゥッティのような大音量になったときに、サチルというか飽和する感覚があった。(大音量の時にうるさく感じること。聴いている空間に余裕がないこと。)

でもここがアムステルダム・コンセルトヘボウについで第2のホームグランドと言ってもいいPENATONEの録音を聴くと、そういう現象に出会ったこともない。やはりポリヒムニアは、その音響ノウハウを知り尽くしていて、うまく録っているのかもしれない。

私が訪れたその数日後に、山田和樹氏とスイス・ロマンド管とポリヒムニアのメンバーが、新作の収録のために、このヴィクトリアホールに現地入りしたようである。フランス音楽集を録るそうで、このホールでセッション録音に入った。

最新のサラウンド技術であるAuro-3D(従来の水平方向に加えて、垂直の高さ方向の3次元ディメンジョンで音の表現ができるようになるサラウンド音響の新技術)を使って録音しているようだ。(ポリヒムニアのFBページで高々と宣言しておりました。(笑)写真を拝借します。)

録音セッションを確認している山田和樹氏とポリヒムニアのトーンマイスター、エルド・グロード氏。

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これがヴィクトリアホールを使ってのポリヒムニアのAuro-3Dでのマイクセッティング手法。

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いずれにせよ、山田和樹氏&スイス・ロマンド管の、この最新技術を駆使したPENTATONE新譜が楽しみである。

さて、コンサートの印象。

この日は、コルネリウス・マイスターという若手の指揮者に、ピアノ独奏にアレクサンダー・ガヴリリュックでシューマンのピアノ協奏曲、そして後半は、ブルックナー交響曲第7番。

ふだんオーディオで聴くスイス・ロマンド管の演奏は、特にフランス音楽を奏でさせたら、弦セクションをはじめ、その旋律の泣かせ方が非常に優雅で、卓越したものがあるという印象のあるオーケストラである。

前半のシューマンのピアノ協奏曲は、私はこの曲に相当煩いので(笑)、正直満足できる、感動できた演奏だったかというと60%くらいの満足度だろうか。ピアノとオケとの合奏であるが、どちらかというとピアノが走って、それにうまくオケが追いかけて乗っていくような軽快でリズミカルな要素が欲しい曲(特に最終盤)なのだが、どうもドタドタ感というか重い感じがして感心しなかった。特に独奏のアレクサンダー・ガヴリリュック氏のピアノに不満を感じた。もう少しコロコロ転がすように軽快な奏法が欲しかった。

後半のブルックナー7番。これは最高とまでは言えないが、満足できた演奏だった。ブルックナー特有の拍、それに合う音色の重さがよく表現できていたと思う。ヤノフスキの録音よりもずっといいと思った。(笑)

さて、帰国後の話......

ホワイエのCDショップで購入したSACD。

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mDG-GOLDという聞いたことのないレーベル。SACDサラウンドであったので、珍しいと思い購入してみた。聴いていたら、あまり感心しない録音でした。(笑)残響ばかりが多い薄いサウンドで、真の意味のサラウンドを理解していない録音ですね。

その横にあるのが、スイス・ロマンドのチケットホルダー。

カッコイイですね。すごいお洒落。このチケットホルダーの写真フォトもそうだけれど、ホールの壁にあったポスターにあるように彼らのイメージフォトってひとつの共通のテイストがありますね。スイス・ロマンドというオケは、大オーケストラではないけれど、ちょっとコンパクトな格好よさがあって、ホールも小ぶりの美しさだし、自分たちのブランドのイメージ作りがすごい上手だと思う。

もうひとつ思ったことは、このチケットホルダーにこのようにお金をかけるというセンス。これは日本にはありませんね。Eチケットがあたりまえになっている、このご時世に、チケットホルダーにこのように真心をこめてお洒落に作るセンスは、なんかヨーロッパらしい、というか、自分はこういうレトロな感覚がスゴク好き。感動した出来事でした。

そして、これだけ話題に上げて今回の一大テーマであったアンセルメ&スイス・ロマンドのDECCAレコーディングス。

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自分はアナログはやらないので、この頃の録音がCDになっているBOXがあって、思わず買いました。

フランス音楽集とロシア音楽集。

たしかに「目の覚める様なDECCAマジック」と言われても、今聴けば、所詮は1960年代の古い録音で、ナローレンジ(狭帯域)なんだけれど、デフォルメされた音作り、当時としては十分すぎるくらい異次元の音色のパレットの多彩さがよくわかる優秀録音であることが感じ取れる。いま、このBOXのサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」を聴いて、当時のホールでの実体験(ひな壇)をしみじみ思い出しているところです。


2015/10/7 20:00~ スイス・ロマンド管弦楽団演奏会 ヴィクトリアホール(スイス・ジュネーブ)

指揮:コルネリウス・マイスター
ピアノ独奏:アレクサンダー・ガヴリリュク
管弦楽:スイス・ロマンド管弦楽団

ロベルト・シューマン
ピアノ協奏曲 イ短調 作品54(1845年作曲)

アントン・ブルックナー
交響曲第7番 ホ長調 (1881-1883年作曲)


フィルハーモニー・ド・パリでパリ管弦楽団を聴く! [海外音楽鑑賞旅行]

フィルハーモニー・ド・パリでパリ管弦楽団を聴く、この日は間違いなく今回のツアーで最高ボルテージのコンサート。ホールのことだけではなく、やっぱりコンテンツ(オケ)も揃って最高のシチュエーションで聴かないと後悔が残る。

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もちろん先日のレ・デソナンスも大変素晴らしかった。でもやはりここではパリ管でぜひ聴いておかないと。

パリ管は、2年前にパーヴォ・ヤルヴィが率いてサントリーホールでおこなった公演に行ったことがあって、恐ろしく感動した経験がある。ベルリンフィルでもなければ、ウィーンフィルでもなく、この年はパリ管が1番とまで言い切った。

音の出だしなど、すべてにおいてタイミングや音程、リズムが合っているというレベルだけではなく、最初の一瞬の音の震え、音の力、音の勢い、というなんとも言葉じゃ表現できない音の全てが完璧に合っている、そんな凄さを2年前に感じた。過去の日記を読み返してみると、そんな生々しい感動がこと細やかに書いてあるのだ。その文面を読んで、本当に感動していたんだなぁ、ということがわかる。

この日のコンサートは、なんと1階席平土間のど真ん中!!!

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やれ響きが多いほうがいいから上階席がいいとか、理屈をこねていても、やっぱり人間ってこういう1階席の平土間ど真ん中だと無意識に喜んでしまいますね。(笑)視界的には最高の席でしょう。

この日の彼らの公演を改めて聴いて感じたこと......

ノーミス。やはりパリ管って弦にしろ、管楽器にしろ、打楽器にしろ彼らに苦手な部分というのがあまり見当たらないですね。

分厚くて鮮やかな弦楽器、色彩あふれる嫋やかな木管、そして圧倒的な金管の咆哮、そして炸裂感あふれる打楽器など、とにかく個々のパートの力量のレベルがとても高くて、それでいて全体の均衡なバランス、計算されたように緻密で正確なオーケストラ・サウンドの組み立てが指揮者ジェームス・カフィガンの棒のもとにものの見事に具現化されていた。

2年前に聴いたときと同じように、完璧だった。
いつ聴いても裏切られることのないオケだと思った。

この日は、交響詩(ベルギー出身だがフランスで活躍した作曲家セザール・フランクの「呪われた狩人」)、交響詩(マーラーの交響詩「葬礼」)のほかに、ピアノ協奏曲(リスト1番)、そしてガブリエル・ピエルネ(フランスの指揮者・作曲家)によるハープと管弦楽のための小協奏曲というコンチェルトも堪能できる、というフランス色もふんだんに取り込んだとても魅力的な演目だった。

マーラーの交響詩「葬礼」は、本来交響曲第2番の第1楽章の初稿ということで、とても貴重な経験をさせてもらった。

リストのピアノ協奏曲第1番は、ソリストはワーナー(エラート)一押しのピアニスト、ベルトラン・シャマユ(今年春にN響と共演)。(FBの友人に教えていただきました。)体格はふっくらしていたが、とても2枚目のルックスで見栄えのするソリストで、全体的に鍵盤のタッチが軽やかで、粒立ちの綺麗な優しい弾き方をするという第1印象だが、でも強打鍵で主張するところは主張するそういう緩急のあるピアニストだと感じた。(演目にもよるところもあるでしょう。)

ガブリエル・ピエルネによるハープと管弦楽のための小協奏曲のハープ奏者は、元バイエルン放送やウィーン・フィルのグザヴィエ・ドゥ・メストレ。ハープという楽器は、本来やはり女性奏者のほうがヴィジュアル的にもいいかな、とも思ったりするのだが、このグザヴィエ・ドゥ・メストレによるハープの奏でる音色というのは、男性が弾くとここまで切れ味鋭く弾けるものか?と思ったほど、音色が尖っているというか女性奏者では絶対出せない音、その弾けるようなつま弾き方に感心してしまった。

とにかく念願のフィルハーモニー・ド・パリでパリ管を聴けて、こんなに魅力的な演目を聴けるのだから、今回のツアーの大きな目的は、十分に達成できたのだと思う。

願わくは、日本人であれば、この組み合わせでダニエル・ハーディングで聴いておきたかった、というところだろうか......

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2015/10/8  パリ管弦楽団演奏会 フィルハーモニー・ド・パリ 大ホール 

指揮者:ジェームス・カフィガン
ピアノ独奏:ベルトラン・シャマユ
ハープ独奏:グザヴィエ・ドゥ・メストレ
管弦楽:パリ管弦楽団


セザール・フランク 交響詩「呪われた狩人」

フランツ・リスト ピアノ協奏曲第1番

休憩

ガブリエル・ピエルネ ハープと管弦楽のための小協奏曲

マーラー 交響詩「葬礼」(交響曲第2番の第1楽章の初稿)


体験!フィルハーモニー・ド・パリ Philharmonie 1 [海外音楽鑑賞旅行]

そして、フィルハーモニー・ド・パリの大ホールを経験するという今回の最大の目的を達成した。

Philharmonie1(大ホール)

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1Fの正面エントランスのやや前方に上階(2階、3階)に上がるエスカレーターがあり、こういう野外からの入り口があって、そこが大ホールへのメインエントランスなのです。

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エントランスに入った後、このようなホワイエ空間が広がる。

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フランスのコンサートホールというのは、座席番号が偶数と奇数で左右に分ける特徴があるのだ。
偶数が右、奇数が左、というように分かれている。

こちらが左側(奇数)のゲート。

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こちらが右側(偶数)のゲート。

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そしてCD販売。

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今回は大ホールでのコンサートは、レ・デソナンスというオケ(2階席右側)とパリ管弦楽団(1階席中央ど真ん中)の2公演を経験することができた。

初日の公演のときの2階席に入るゲートの前のホワイエ空間は、こんな感じ。

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このとき思ったのは、天井からぶらさがっているこの長方形の短冊みたいなもの。これはなんでしょう?天井から一斉にぶら下がっていて、私の身長(180cm)くらいのギリギリの天井の低い空間なのである。

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オーディオ仲間のコメントによると、天井からぶら下がってるのは良く録音スタジオで使われた、昔のトムヒドレー式の振動共振に依る音響エネルギー吸収拡散板なのでは?というコメントがありましたが、真偽は不明です。

さらに最終日の公演の1階席では、今回も私の身長ぐらい極端に低い天井の低さなのだが、今度はぶら下がっているものが違う。本当に不思議な空間です。

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そして、いよいよ大ホールに潜入!

ホールに入った瞬間、なんかSFの世界みたいに、フランス人らしい流線形で、ものすごいシュールな空間だなぁ、と本当に感激。ベージュと黄色と黒の配色の組み合わせで、フランス人らしい色彩センスというかお洒落感覚ですね。

こんなコンサートホールは、もちろん今まで観たことはないです。画期的だと思いました。

ホールの中は、通路がぐるっと一周してもずっとつながっているので、歩きながらホールを1周することができます。1周しながらもう夢中で写真撮影をします。


ホール後方の上階席中央からステージ前方を俯瞰する。

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まったく逆で、ステージ後方側からホール後方を俯瞰する。

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そしてグルッとホールを1周しながら撮影していく。

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ホールの天井のど真ん中にある反響板。(中心的役割)

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この天井ど真ん中にある反響板の周辺をドーナッツ円状にぐるっと取り巻くブーメラン型の浮雲(反響板)たち。

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初日のときは、2階席だったので、そこからホールをぐるっと回って撮影したときは、これらの周辺を取り巻いているブーメラン型の反響板は、もうバラバラのサイズで、それこそアシンメトリー(左右非対称)な配置のように見えたのだった。

ところが最終日の公演のときの座席が1階席中央ど真ん中であったので、天井を見上げるとホール天井の全体のシルエットが見渡せる。そうするとけっしてアシンメトリー(左右非対称)なんかではなくて、きちんと真ん中の反響板を中心に、シンメトリー(左右対称)で、ブーメラン型の浮雲たちがドーナッツ状で周りの円周をぐるっと取り巻いているのである。(このときメチャメチャな配置ではなく、きちんとシンメトリーなんだな、と思い、ホッとしました。)

フィルハーモニー・ド・パリは、アシンメトリーなホール構造で、音響バランス悪そうに第1印象感じるのだが、平土間のど真ん中に立って、天井を見上げると、真ん中を中心にブーメラン型の反響板が同心円状に取り囲んでいて、実はシンメトリーなんだよね。これで、ステージの音をホール全体に均一密度で拡散しているのです。

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上の写真は、フィルハーモニー・ド・パリのFB公式ページからお借りしています。

ふつうのコンサートホールでは、浮雲はステージ上空のみに存在する場合が多い。(ステージからの音が上空に上がったものを下に返す役割。~天井で反射するのでは戻ってくるのが時間的に遅れるため。)でもこのホールは側方、そして後方に至るまで、円周状に浮雲がホールを取り巻いているのである。

こうすることで、ホールの至るところで、音を観客席に返すように配慮されているものと思われる。


それにしても、このブーメラン型の浮雲のデザイン、なんとシュールな形なんだろう。フランス人らしいデザイン.....

ステージのサイドからみたシーン。

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それにしてもこの異様なブーメラン型の浮雲(反響板)。

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そして壁面には音の拡散用の凹凸がきちんと刻まれているのだ。

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背面からみたステージ。

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とにかくこのホールに入ったときの第1印象は、アシンメトリー(左右非対称)である、ということ。右側のこの部分には座席エリアはあるけど、左側にはなかったり。もう左右でその構造が全然違うのだ。ホール全体の容積というかその形自体が左右非対称。

この空間を観たとき、自分がサッと思い出すのは、あまりいい音響ではないのではないか?ということであった。お洒落な空間を設計することを優先するあまり、音響面の配慮が今一歩であるとか。

実際、日本にいたときに、先にこのホールを経験した自分のオーディオ仲間からは、1階席後方に座っていたけれど、サントリーホールよりも音が全然飛んでこなかったよ、と言われていたので、やっぱりな!という感じでいたのだ。

このホール内の写真を撮影しようと思ったとき、うまくフレーム内に収まらないのだ。普通のホールだと、後方席のセンター上階から見下ろすように撮影すると、そのホールの全体像を撮れる、という自分なりの経験があった。

もしくは、斜め後方から側方とステージ前方を含むように俯瞰して撮れば、じつにいいホールの写真が撮れるのだ。

でもこのホールはそれが通用しない。左右が非対称なのと、いろいろな場所で全然構造が違うので、カメラのフレームに収まらなくて、結局部分部分をバラで撮影するしかなく、つながりがわかりにくいのだ。

結局全体を俯瞰したいなら、現地で直接あなたがホールの中に入ってみてください、としか言えない。(笑)

ホントにフシギ空間......


こういうアシンメトリー(左右非対称)の構造というのは、ステージからの音の反射が左右でアンバランスになってしまうため、音像(音のフォーカス)がきちんと真ん中に定位しない、というイメージがどうしても感覚的につきまとう。

どうも精神上よろしくないのだ。

ところが、初日の2階席で聴いたときの、実際オケの音を聴いたときには、もうビックリ!
あまりに素晴らしい音響だったので、ひたすら驚くしかなかったのである。

いままで自分が聴いてきたコンサートホールでは最高の音響のように思えた。(オケの演目もドビュッシーの海、ベートーヴェンのVn協奏曲、ベートーヴェン交響曲第5番、といずれも聴き映 えするのも原因だったかもしれない。特にベートーヴェンのVn協奏曲のときは、あまりの恍惚の音響に、これはこのホールはスゴイ!と確信したのであった。)

なんで、こんなアシンメトリー(非対称)のへんちくりんな構造で、こんな凄い音が出るのか理解不能であった。

最終日には、1階席の中央ど真ん中で聴いたが、確かに1階席と2階席では音の聴こえ方が違った。(2階席のほうが天井に近いせいか、響きが豊かですね。1階席は強烈な直接音という印象であった。)

でも聴こえ方は違うにせよ、両方とも音響が素晴らしいのは間違いなかった。とにかく直接音が明瞭に聴こえてくる。ステージからのダイクレクト音がきちんと座席にパワフルに届く、というのは、もうホールの音響基準では大前提の事項なのだ!(音響の悪いホールは、このファクターが成り立っていないのが大半。)

1階席の最大の弱点は、ステージの音が真横にダイレクトに来ないということなのだが、ここはまったくそんな問題とは無関係。バッチリ音が飛んでくる。大音量で全身に音のシャワーを浴びるような快感で素晴らしいものがある。

そして鮮度がとても高い音。

直接音がこれだけパワフルに届くとなるとあとは響きの問題。ここは、とても響きが豊かでライブな空間であった。(その響きの質を決める壁の材質はなんなのでしょう?ウィーン楽友協会に代表されるように、古来では漆喰がベストと言われています。家庭のオーディオルームは漆喰がいいですね。)

特に2階席で聴いていたときは、非常に響きが豊かなのだが、その反面で直接音が響きの中で埋没して遠くに聴こえることもなく、明晰に聴こえて、きちんとその双方が両立している。

あと気づいた点では、音の余韻の空間への消えゆくさまが美しいこと。オケがジャンと音を鳴り切るとその余韻が綺麗に長時間漂う感じで、心地よい残響感というか結構ライブな空間に感じたりする。

このように聴こえることで、オケものなんか、音の広がりというかスケール感が大きくて、なんか雄大な音楽を聴いているような感覚になれるのだ。

音質のテイストはどちらかというとソリッド気味。

もちろん帯域バランスも偏っていなくて均等だが、特に低弦楽器のチェロやコントラバスなどが演奏するときの弦が摺れる臨場感というか、ゾリゾリするように聴こえる感覚は解像度が高くてとても秀逸。

基本的に、弦の音色は低弦に限らず、どれも立っていますね。秀逸です。


なんか聴いていて、あまりに意表を突く素晴らしい音響だったので、年甲斐もなく興奮してしまった。

自分は古い音響学しか知らないので、こんなアシンメトリーな空間で、こんなことが実現できてしまうのがとても不思議で、これが最新の音響技術なのかもしれませんね。

大体古来から存在するコンサートホールはみんな左右対称のシンメトリーなのです。そのほうが精神的によろしい。(笑)

日本で唯一アシンメトリーな形状のホールだと思うのはミューザ川崎。

はじめて、ここに足を踏み入れたときは、ぶったまげた。2階席などは床が傾いているのである。(笑)従来のデザインセンスに捉われないその奇想天外な左右非対称な内装デザインはホントに驚いた。(厳密にいうと非対称でなくて、きちんと対称だと思うのですが、内装デザインが従来にない奇抜で非対称っぽく見えてしまう、というのが正しいでしょうか....)

でも白い反響板などが、客席下側についていて上空に向かうにつれてらせん状に渦巻いているところ、そしてステージ側方&後方の反響板などの効果から、ステージの音がトルネードのように上空に巻き上がり、あの独特のアコースティックを実現しているのだ、と自分なりに予想していたりする。(天井の中心にある反響板を、やはりドーナッツ状に同様の反響板が円周上に取り巻いている。そしてらせん状に見えた客席下部にある白い反響板もよく見ると、その下に位置する客席に音を返すようになっているんだと思う。ステージを取り巻いている反響板も同様。とにかく、あの広いキャンパスの中で、つねにステージ上の音、そしてそれがホール空間を漂うときに、それをいかに客席にその音を返すか、という工夫が随所にされているのが、あのホールの音響が素晴らしいポイントなのだと、自分は想像する。)

やっぱり最新鋭のホール設計は、こういう従来からある古い形に捕らわれない独特のデザインから素晴らしい音響が出来上がったりするものなのだろう。

フィルハーモニー・ド・パリも、かたつむりのような流線型のデザインの内装空間も、じつは音を乱反射させ、煌びやかに聴こえるようになっていて、きちんと観客席に音が向かうように最終的にはつじつまがあっていたりするのだ、と思う。

古い我々の視覚認識が、そのセンスについていけないだけなのかもしれない。

ちなみにホール形式は、ワインヤードで、奥行きは意外と狭いです。

こちらは、ブレーク時のドリンクコーナー。(初日の2階席でのゲート近くのドリンクコーナーです。)(すみません、むさ苦しいオジサンを映しまして....)

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初体験の初日の公演は、レ・デソナンスという中規模編成のオケを聴きました。彼らは指揮者を置きません。(水戸室のように演奏します。)このカーテンコールは、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を終演のとき。もうあまりに素晴らしくて恍惚に浸っておりました。

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Bach in India (パリ室内管弦楽団) [海外音楽鑑賞旅行]

毎年、海外音楽鑑賞旅行を企画するときの自分のやり方というのは、

①まず、どこのホールを経験したいのか?
②どのようなコンテンツがいいのか?
③日程

この3つで決める。
そして大事なのは①と②がある程度決まった場合は、そのツアーをやる上で公演日程を横方向
に串刺しするポリシーみたいなものを決めてやると、もっとカッコいい。(笑)

・初年度のベルリンは、カラヤン・ベルリンフィルのルーツを巡る。
・2年目のパリ/ベルリン/アムステルダムは、ゴローさんのマネ。
・3年目のルツェルン・ザルツブルク音楽祭は、ザルツブルクではモーツァルトではなくて、カラヤンにまつわる旅をする  
    
・4年目のライプツィヒ・ドレスデンは、鈴木さん&BCJのカンタータ全集完成の偉業に敬意を払って....
・そして5年目の今年はPENTATONEにまつわる旅をする。

ってな感じ。

ハコマニアの自分にとっては、①がすべてを決める。まずなにがなんでも①が大事。
そこからさらに、1年のうちいつ決行するかは、コンテンツを選んで...というようにしたいが、ここが悩みどころで、自分は一般社会人なので、仕事に応じて休めるタイミングが限定されてしまう。

なので、いきなり②を飛び越して③を決める。まずハコを決めて、その後に日程が決まると、そこでやっている公演が自動的に決まる、というように、コンテンツを選べない。

それでも今年のパリ管、スイス・ロマンド、RCOのように最低限譲れない線はある。

そこら辺のさぐりあいをやった上で徐々に決めていくのだ。各ホール、楽団の公演カレンダーを眺めつつ、いい公演が連なるように選んでいく。このときが最高に楽しいときといっていい。(笑)

そうすると主役コンテンツ以外に、どうしてもハコ優先のためにローテーションの穴の日ができてしまう。穴といっては失礼だが、自分が知らないコンテンツを観ることになる。

今回のフィルハーモニー・ド・パリのPhilharmonie2 (小ホール)を体験したいがために、選んだコンテンツが、パリ室内管弦楽団によるBach in Indiaという公演だった。

インドというのは、事前には??だったのだが、バッハ好きの自分にとっては、フィルハーモニー・ド・パリでバッハが聴けるなんて!という感じでウキウキもんであった。

リアルタイムで現地から報告しているときは、まったく気づかなかったのだけれど、いまいろいろ時間をかけて調べながらブログにまとめていると、気になることがある。

現存するシテ・ドゥ・ラ・ミュジーク(Cite de la Musique、音楽の街)という音楽施設と一体となって、新しくフィルハーモニー・ド・パリが形成されているという図式。

奥に見えるのが、Philharmonie1(大ホール)で、右側に見えるのがシテ・ドゥ・ラ・ミュジークという音楽総合施設でPhilharmonie2(小ホール)はこの中にある。

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新設された2,400席のコンサートホ-ルはPhilharmonie1(つまり大ホール)、そしてこれまでシテ・ドゥ・ラ・ムジーク内にあった1,200席規模のホールは、今後はPhilharmonie2(小ホール)という扱い。

つまり今回新しく設計されたのは、Philharmonie1のほうで、Philharmonie2のほうは、元々の総合音楽施設の中にあったホールということのようなのだ。(リ・デザインはしているかもですが。)

そうすると気になるのは、このPhilharmonie2(小ホール)の内装空間。

今回の自分の座席から。

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いままでクラシックコンサートホールをいろいろ観てきた自分の経歴から、あまり見たことのない珍しい内装空間で、特にどうしても気になるのは、このホールの天井。

天井。

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これはどう見てもクラシックコンサートホールの天井とは思えないのだ、自分には。

クラシックのコンサートホールは生音・原音をどう扱うか、というのが”きも”なのであるから、どうしても直接音、間接音(反射音:響き)という考え方が必須で、ホールの壁、天井、床の「形状」、「材質」など、さらに「反響板」というオマケもついた関係でそのファクターで音響が決まってくる。

でもこの天井を見ると、クラシックコンサートホールというよりは、ロックやポップスなどのPAサウンドを駆使するコンサートホールのように思えるのだ。(天井がこんな感じでは反射音は期待できないだろう!)

そうすると、この音楽施設内にもともとあったこの小ホールは、じつは以前は、ロックやポップスなども考慮した総合マルチなホールとして設計されていたものなのではないのかな?と思ったりする。

それを名称をPhilharmonie2と改称して、クラシックの室内楽もここでやりましょう的なアプローチではないのかな、と思ったり。

先の写真の私の座席からのステージの写真を見てもわかるように、この日のコンサートは、ステージの上に立脚式のマイクが多数立てられており、最初録音するのかな、とも思ったが、この日のコンサートのインドの楽器ではPAを使っており、そのため、収録というよりは、オケの音もマイクを通してPAでホール内に流すというのがメインであった。

ホールの後ろには、ロックのコンサートのように、PAのコントロールルームが設置されている。

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今回のコンサートだけがそうだった、という感じであってほしいが、最初から全公演ともPAサウンドでホールに音を流すというのが前提のホールであると、もう生音・原音主義の私としては、もうこのホールはサヨウナラ、という感じになってしまう。(笑)

話を戻して、この小ホールでおこなわれたこの日のコンサートについてレビューしよう。

"Bach in India"というこのコンサートのコンセプトは、パリ室内管弦楽団とソリストによるバッハの曲と、インドの楽器を使いながらのインド音楽(?)のコラボのようなコンセプトであった。

バッハの曲は、ヴァイオリン協奏曲とシャコンヌ。でもサウンドがイマイチだった。(泣)

インド楽器の音色があまりに強烈で、あのインド独特の強烈な旋律を奏でるものだから、もうこちらのほうが完全にバッハを喰っていた感じだった。

コンサートの進行、演奏者は、大きく3つに分けられる。

・女性ヴァイオリン奏者のソリスト
・3人によるインド衣装をまとったインド楽器奏者
・オーケストラ(パリ室内管弦楽団)

最初は、女性Vnソリストとオーケストラのバッハのヴァイオリン協奏曲。指揮者なしの女性Vnソリストによる弾き振り。もうバッハの名曲中の名曲!

オーケストラの中に日本人女性Vn奏者がいたような....しかも自分の知っている奏者に見える..... なんで?という感じで、たぶん自分の勘違いだと思うので、名前は伏せておきます。

聴いてみるとこれが鳴っていないんだなぁ。(爆)

ステージのところでこじんまり鳴っている感じで、客席まで音がダイレクトにやってこない。この広いエアボリュームを音で満たしきれていないのだ。かなりの欲求不満。このホール(少なくとも1階席平土間)は、音響的にあまりいい音響ではないな、というのが第一印象。

問題なのは、そういうホールの音響面の問題を除いたとしても、奏者たちが奏でる音色そのものにも問題がある。

女性ソリスト奏者のヴァイオリンの音色は、彼女はダイナミックに弾いているのだけれど、音がシケっている、というかまったく響いてこない。ヴァイオリン特有の美しい倍音成分などまったく出ていない感じ。あまりに鳴っていないので、モダン楽器ではないのではないか、という思いもでてくる。フシギ.....

彼女の演奏・立居姿を見ている分には、凄くダイナミックで相応のスゴイ音が出ていそうな錯覚がするのだけれど、実際出ている音はショボくてそのギャップに疲れ果ててしまいました。(後半のバッハのシャコンヌも同じ印象。)

オーケストラのサウンドもどうもあまり感心しない。サウンド全体としてオケ特有の量感はそれなりに出ていたのだけれど、音色が美しくない、というか響きに潤いがないんですね。デッドなサウンドだと思いました。

中域の生々しい押し出し、鮮烈で煌びやかな高域、そして締まりとスピード&量感が両立する低域とで成り立つピラミッドバランスのとれた美しいハーモニーで聴こえてこない。(まるでオーディオ!(笑)でも、うまいオケは、必ずこれがきちんと実現されています!)

彼ら(パリ室内管弦楽団)のオーケストレーション自体は確かに非凡なものを感じる。決して凡演ではない。注意してパートごとに聴くとよく弾けていると思ったし、全体の組み立ても、問題があるとは思えなかった。

やっぱり音色なんですよね。自分の好みに合わないというか...そして自分に向かってこないので、いわゆるドッと押し寄せるようなアタック感みたいなものも希薄で印象が薄いんですよ。

ホールの音響のせいなのか(たぶんこっち)、オケそのもののせいなのか、区別がつかなかったが、はっきり正直に書くと出だしはあまり感心しない印象であった。

最後の大編成もののオケの曲は、彼らは量感はそれなりにきちんと持っているので、終盤につれて盛り上がっていき、爆発する感覚は感じ取れた。ただ私を感動させるには、もっと音色そのものが美しくないといけないし、感動できるオケのサウンドなら必ず持っている帯域バランスを彼らは、この日に限って実現できていないように思えた。

唯一感動できたのは、3人によるインド衣装をまとったインド楽器によるインド音楽。

各インド楽器はPAを通してホールに流される完全なPAサウンドなのだが、ここまで割り切られると、PAサウンド独特の気持ちよさというか、たとえばヴァイオリンにコードがついていて、弓で奏でられる音色は完璧な”電気ヴァイオリン(笑)”。

もうここまでやるなら逆にその気持ちよさに感心して酔える。特にあの独特のインド音楽のムーディな感じが、この電気の音にマッチしている。あの小太鼓のようなインドの打楽器の音色もそう。

PAサウンドを侮るなかれ!という感じで、たとえばロックコンサートのようなドームでやるような大音量で歪みまくり(割れた音)のクオリティのひどいPAとは全然違って、品質的には非常に優れたPAサウンドだったと思う。やはり演奏規模に応じた器でのサウンドはPAでも重要という同じことが言えますね。

最後は、女性Vnソリスト奏者と、このインド音楽奏者3人とオーケストラの全員での合奏は素晴らしいものがあった。サウンド的にはもちろん、いろいろ不満はあるのだけれど、コンサートの流れとして、こういう順番の組み立てなら、きちんと盛り上がるよなぁとその計算されたシナリオに感心しきりであった。

日本では絶対経験できない類のコンサートであるし、貴重な経験だったと思う。

また、このPhilharmonie2がPAサウンドもこなすロック・ポップス・クラシックのマルチなホールなのか不明なのだが、今度は純粋な生音のクラシック再生をこのホールで聴いてみたいと思った次第である。

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2015/10/4 Bach in India 16H30~ at Philharmonie de Paris

Johann Sebastian Bach
Concerto pour violon en re mineur BWV1052

Dr.Lakshminarayana Subramaniam
Carnatic Classical,pour violon seul

休憩

Johann Sebastian Bach
Chaconne pour violon seul

Dr.Lakshminarayana Subramaniam
Paris Concerto,concerto pour violon indien et orchestre-
creation Tribute to Bach,pour deux violon et orchestra



Orchetre de chambre de Paris

Josep Vicent,direction
Amandine Beyer,violon et direction

Dr.lakshminarayana Subramaniam,violon
Ambi Subramaniam,violon
Vankayala Ventaka Ramana Murthy,mridangam


体験!フィルハーモニー・ド・パリ Philharmonie 2 [海外音楽鑑賞旅行]

パリ管弦楽団の新しいフランチャイズ・ホールであるフィルハーモニー・ド・パリを経験すること。
これが今回のツアーの最大の目的といっても過言ではなかった。

パリの北の外れにあるので、交通の便が悪いとか、終演の夜遅くなった時にパリ市街に戻るのが大変そうだ、とか事前にいろいろ情報をもらっていたのだが、まったくそんな心配は無用であった。

メトロM5のPorte de Pantinで下車して地上に上がったときに、すぐ目の前に広がる公園の中に堂々とそびえ立っているのである。自分の滞在ホテルのOperaからも1回乗り換えで簡単に行ける。少し拍子抜けしたぐらい。

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ここは1980年代にラヴィレットという公園としてコンペで整備されたところで、建築界では有名なところなのだそうである。この中にシテ・ドゥ・ラ・ミュジークという音楽施設とコンセルヴァトワール(パリ音楽院)があり、このフィルハーモニー・ド・パリはその隣に出来たもの。

つまり現存するシテ・ドゥ・ラ・ミュジーク(Cite de la Musique、音楽の街)と一体となって、新しくフィルハーモニー・ド・パリと形成されているのである。

新設された2,400席のコンサートホ-ルはPhilharmonie1(つまり大ホール)、そしてこれまでシテ・ドゥ・ラ・ムジーク内にあった1,200席規模のホールは、今後はPhilharmonie2(小ホール)という扱いになる。こうしてみると今回新しく設計されたのは、Philharmonie1のほうで、Philharmonie2のほうは、元々の総合音楽施設の中にあったホールということのようだ。(リ・デザインはしているのかもしれないが。)


奥にあるのが、Philharmonie1(大ホール)、そして手前の右側に赤い枠のゲートのある施設が、シテ・ドゥ・ラ・ムジークという総合音楽施設で、この中にPhilharmonie2(小ホール)がある。

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Philharmonie1のホール設計はジャン・ヌーベルという有名な建築家で、リヨンのオペラハウスやルツェルンのコンサートホールも設計している。音響設計はニュージーランドのマーシャル・デイ社が担当し、日本の永田音響設計は設計者ジャン・ヌーベルのパーソナル・アドバイザーという立場でその音響設計に係わっているようだ。複数の音響設計者が一つのプロジェクトを担当するという複雑なデザイン・チームの構成は、やはりフランスならではのさらにこのホールの独特のユニークなデザイン設計に起因するものなのだろう。

Philharmonie1 (大ホール)

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目の前には美しい緑の芝生と公園が広がっている。

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このエスカレーターで上階に上がると、そこに大ホールのエントランスがあり、そこから大ホールに入る。これは、また後日日記にする。

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その上階に上がったところに大ホールへのエントランスがある。

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地上からは、さらにその横にこのような階段があり、それを上っていくと、この建物の側面に出る。そこには広いスペースがあるのだ。

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そこから建物を横から撮影する。

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ここがPhilharmonie1の正面エントランス。

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この中に入ると、このような空間が現れる。

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天井のこの尖った針のようなものが何本もぶらさがっているのはフランス人らしい感性なのでしょうか?

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このPhilharmonie1の建物の中には、カフェ、マルク・シャガールの画廊(スゴイ片隅スペースにあり、大したことないです。総合音楽施設の中のミュージアムの中に本格的な画廊があると思います。)、そして資料室/図書室、子供への楽器教育ルーム(私のつたないフランス語読解能力では....)などが1Fのフロアにあるわけです。

ここがカフェ。

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中はこんな感じ。

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マルクシャガールの画廊。(片隅スペースにある。)

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ここが資料室/図書室。(写真撮影禁止です。)
ここはまだ中ががらんどうでなにも入っていませんでした。

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子供への楽器教育ルーム

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次にPhilharmonie2(小ホール)の説明をおこなう。先述のように、総合施設の中に小ホールは存在する。Philharmonie1の手前側にその大きな総合施設があり、ゲートの部分は赤い枠でオシャレなセンスでいっぱい。

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中に入るとこんな空間が現れる。(写真右に見える大きな円柱状の建物がPhilharmonie2である。)

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レセプション

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セミナーなどができる会場スペース。

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そしてここが休憩カフェ。
ここはPhilharmonie2に直結していて、つまり小ホールでコンサートのブレーク休憩時に、渡り廊下を渡って、このスペースでドリンク休憩をする場所なのである。普通はスタンディングなのに、ここにはテーブルと椅子があるのが特徴ですね。もちろんここにトイレもあります。

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ブレーク時。

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ヨーロッパの休憩時にホールの外に出るときの決まりごとが面白い。日本のホールだといったん外に出るときは、チケットの半券をお持ちください、というアナウンスが流れるが、ここではこういうコインを渡してくれるのだ。そして再度入場するときそのコインを返却するのである。

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さらにCD,本などを売っているショップ。そしてミュージアム。

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大きなコンサートホールであれば、必ずあるショップ類だが、なぜかそのショップ名は、”harmonia mundi”になっていたこと。お膝元のフランスのインディーズレーベルだが、彼らの商品しか置いていないのか、と思ったが中を覗くと、CDであれば、フランスもので有名なEratoレーベル、その他DG,DECCA,EMIなど有名なレーベルの商品は全部揃っている感じでした。(PENTATONEもあった。(^^;;)本も置いてあって、バッハやモーツァルトの書籍など盛りだくさんである。


なんかこういう空間は、オーディオファンをかなり刺激しますね。記念に自分へのおみやげを買ってしまいました。

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グリモーの本、グルベローヴァさま、アネッテ・ダッシュ、ベルナルダ・フィンクの歌曲集。(なぜか女性ばかり...(^^;;)

なるべくharmonia munidレーベルのものを買いました。(笑)
ネットで買えるかも、ですが、ここで買うのが一生の記念でいいですね。

このホールで、リサイタルをやったグリモーであるが、たぶんグリモーは狼とともに暮らし、自分のコンサートの稼ぎをすべて狼の育成費に充て、それがなくなったら、またコンサートに出るというそういう人生というか狼愛....そして演奏会前にはスタインウェイのショップに現れて、心ゆくまで練習をする、なんてことが、この本には書かれているのだと思います???

この本、CDショップを突き抜けるようにしていくと、そこにミュージアムがある。入場料を払う必要があるが、ここにはマルク・シャガールの本格的な画廊があるのだと想像する。Philharmonie1のほうにあるのは簡易版だと思いますね。

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ちなみに、この施設に来た時の休憩場所というか憩いの場所は、Philharmonie1そしてその手前にある総合施設+Philharmonie2のさらに手前にあるカフェでした。ここは、カフェだけでなくレストランでもあり、公演前の時間つぶしに随分重宝しました。このコンサートホールでの大切なカフェ&レストランですね。店員さんは英語が通じません。(泣)

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いよいよPhilharmonie2(小ホール)を体験。

先述のように、総合施設のホワイエ空間の中に円柱状の建物があって、それがPhilharmonie2なのである。

Philharmonie2(小ホール)

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中に入るとホワイエ空間が現れる。

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そして、いよいよ小ホール潜入。

正面

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背面

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側方

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天井

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そして今日のコンサートはPA(拡声装置)を使うので、ホール後方にロックコンサートのようにコントロールルームがあったりするのだ。

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小ホールの内装空間だが、予想以上に大きなエアボリューム。(特に天井が高い。)日本の室内楽ホールよりずっと大きい感じがした。1200席のキャパというから、日本で言えば大ホールと室内楽ホールの中間くらいな感じだろうか。

内装デザインとしても不思議な空間で、こういうデザインは自分ではあまり観たことがないですね。単なるデザイン美なのか、音響上の仕掛けなのか判断つかないが、面白い空間でフランス人らしい設計だと思った。

この等間隔に立ってデザインされている長方形状の衝立は、自分の勘では間違いなく音響上の工夫によるもの。ぜひ近いうち解明したい。天井近い壁の部分は全方位面、なぜか吸音性の布製のカーテンで敷き詰められていたのは、とても気になって仕方なかった(笑)

それよりも、この天井の様子をみると、どうもクラシック専門ホールではないような気もする。もともとは、シテ・ドゥ・ラ・ミュジークという音楽施設の中のホールだった訳で、そこがロックやポップなどのPA施設の整った総合ホールのような趣だったんだろうという気がしてきた。今回のコンサートもPAを使用していたので、そこら辺はこのホールの範疇なのだろう、そんな感じがする。クラシックのコンサートホールではこんな天井はまずありえませんからね。

今日の室内楽コンサートは、ちょっと変わった趣向で、クラシックとインド音楽の融合のようなジャンルで、PA(拡声装置)を使うので、ホールの音響を確認するうえでは正直困った。

クラシックは生音・原音なので、ホールの音響は、直接音と間接音(反射音:響き)を聴くことで評価する。でもそこにPAサウンドが混ざってしまうと、なにを評価しているのか、わからなくなるからなのだ。ホールの素性がわからないのだ。

だから正直、音響がどうだったというのは正直ここで断言することはできない。

でもざっくばらんな評価からすると、この広いエアボリュームを音で埋め尽くすことが出来ていなかったような.....(^^;;
もっと端的に言うと客席に音が届いていないというか、ステージ上でこじんまりと音が鳴っているように聴こえる。1階席であったが、もっとステージからダイレクトに音が飛んでこないと......上空を見ると浮雲(反響板)のような工夫もないことから、観客席に音を向かわせるトリックをどこでやっているのか.....

自分の座席。

ステージを見てもらえばわかると思うが、たくさんの立脚式のマイクがセッティングされている。本公演を収録しているのか定かではないが、もし収録でないとすると単にPAを使ってホールに音を送る、そのためのマイク、そしてそれがこのホールのサウンドの作り方という考え方もできるのである。

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イベントとして凄く面白いコンサートであったが、ホールの素の音響評価が出来なかったのは、ちょっと自分にとっては残念であった。ぜひ近いうちリベンジしたい。(もしそういうホールであるのであれば...)

とにかくこの日は小ホールとはいえ、フィルハーモニー・ド・パリの建物に入れたことだけでも大興奮の1日であった。


再訪!パリ・オペラ座ガルニエ [海外音楽鑑賞旅行]

ルーブル美術館の北側というパリの中心地に堂々とそびえ立ち、ターコイズグリーンのドームと金の装飾が特徴の舞台芸術の殿堂、通称オペラ座ガルニエ。まさにパリを代表する建造物。ここも3年振りの訪問。

パリの滞在ホテルが、じつはこのガルニエのすぐそばにあったので、このガルニエの前には、メトロのOperaの駅の地下への入り口があって、毎朝出かけるときは、必ずこのガルニエの荘厳なるお姿を拝見するという夢のような生活を送っていたのだ。

こんな夢のような生活をしていたら、日本への超高速スピードの社会復帰は無理だと思ってしまった。(笑)

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じつは3年前に訪問した時に、大失敗したことがあって、それはまるでベルサイユ宮殿のような壮麗華美な廊下ホワイエがあり、そこの場所が分からなくて、写真に収めることができなかったのだ。

今回の訪問時には、ぜひこの超有名な廊下の写真を取るべく、安全を期して、 ガルニエの館内ガイドツアーに参加しようと思った。このガイドツアーに参加すれば無人のホールの写真も撮影できるし、もちろんこの廊下の場所も分かって撮影できると思ったのである。

館内ガイドツアーは、週に3回のみ実施。その日に合わせて、ガルニエのチケットオフィスに集まる。ガルニエのチケットオフィスは、ちょうど正面の入り口の真裏に存在する。

チケットオフィスのある側。(真裏にある。)
このオペラハウスの建設者であるシャルル・ガルニエの像が立っている。

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結構な人が集まっていた。日本人も多かった。ガイドツアーだけが目的ではなくて、ふつうに公演のチケットの当日券などを求める人も多いのだろうと思った。

ここでしばらく待っていた。そうしたら警備員の人が出てきて、無情の立て看板を立てる.....

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「今日は、NO VISIT DAY」

ガーン。立ち直れなかった。また今回も廊下の写真を撮影できないのか、と頭をよぎった。

でも神様は見捨てなかった。その夜、ガルニエでのバレエ公演を鑑賞しに、このホールの中に入った。エントランスのチケットをチェックするゲートを通って、階段を上がり、2階にあがる。公演のブレーク休憩時にこの2Fのドリンクコーナーで何気なくドリンクを注文。

ドリンクコーナー

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そうするとその横の奥のほうになにかしら広い空間が存在するのだ。「あっもしやして!!!」と思って胸ときめかしながら、行ってみると、やっぱりそうだった!!!こんなところにあった。2Fでホールのある側とちょうど反対方向にこの有名な廊下はあったのだ。

夢中で写真を撮った。中は凄く暗くて、焦っていたのでフラッシュをたかないで撮影したので、出来上がりは暗い写真になってしまった。

ここがまるでベルサイユ宮殿のような壮麗華美な廊下ホワイエ。
本当に美しくて圧倒される。

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撮影している場所の反対側を撮ると.....

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音楽の神様は我を見捨ててはいなかった。この幸運にひたすら感謝するばかり。これでガイドツアーに参加する必要もなくなった。今回のガルニエ訪問の目的は、これで達成された。

このガルニエは外装はもちろんのこと、この華やかさな彫刻を施され、あまりに圧倒される美しい内装空間は、もう実際訪問してみないと、その凄さは実感できないだろう。とにかく息を飲むほどスゴイ。

まずエントランスのチケットをチェックするゲートを通るとこのような階段があり、素晴らしい空間が広がる。

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この階段を上って、2Fに上がってロビー全体を俯瞰して撮影してみると、こんな感じ。

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いまこの写真を撮影している左手側の奥に、その有名な廊下ホワイエがあるのだ。

そしてホール内に潜入。

私の座席から観たステージを含むホール空間。いやぁここの内装の凄さは、毎度本当に驚く。壮麗・絢爛豪華とはまさにこのこと。なんか観劇をするだけでこういう建築物を造ってしまうのだから、現世代では全く考えられないことだと思う。

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そしてあまりに有名なシャガールの天井画「夢の花束」。この天井画の中心から大きなシャンデリア(7tもあるらしい!)が吊るされているのだが、吊っているのは棒状の物(こんな重いものは絶対紐ではない!)でこれが切れてシャンデリアが客席に落ちると大変な惨事になるな、とつまらないことを考える。(笑)

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私の座席は、3Fの後方上階席の中央のボックス席だ。馬蹄型のオペラハウスでボックス席の中に入るのも、あまり経験がない。ボックス席はこんな感じになっている。

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今回鑑賞したのは、現代バレエ。自分は、普段あまりバレエは鑑賞する機会がないのだが(ある意味オペラ以上に観ない。(^^;;)、いままで観てきたバレエというのはたとえば舞台装置・美術がかなり大がかりでしっかりしたものを使い、劇空間、ストーリー性のあるバレエ、つまり20世紀半ばのフランスなどで栄華を極めた、いわゆる「グランドバレエ」と呼ばれるものが圧倒的に多かった。

3年前のこのガルニエでもマスネの「マノン」を鑑賞した。この演目もグランドバレエである。バレエは予習素材などが乏しく予習が困難なので、今回の演目がどのような内容のバレエなのか、予習しないで本番突入したが、まったくそんなハンデを感じさせないくらい素晴らしい感動を得られた。

今回の演目は、舞台装置などはまったくない素の空間で、少し照明に工夫があるくらい。基本は音楽とダンサーたちの踊りを堪能するシンプルなものだった。

もうバレエはダンサーたちの細身&筋肉質の体形の造形美と、振付師によるその独創的なアクロバティックな振り付け、難度の高いリフトといったパフォーマンを観る芸術と言ってもよいと思う。

この夢のような内装美を誇る内装空間のホールの中で、オケの美しい調べとともに、このバレエのパフォーマンスを観劇することがいかに贅沢なシチュエーションなのか、ということをしみじみ。。

ニコ・マーリー、プロコフィエフ、チャイコフスキーの音楽による3部構成の演目であったが、ニコ・マーリーの演目は現代バレエらしいストィックな衣装に研ぎ澄まされたような硬派な、いかにも現代バレエという感じ。

最後のチャイコフスキーのバレエはさすがに盛り上がった。特に女性ダンサーの衣装が、「クラシカル チェチェ」この3部目の幕が開いたときに、チェチェ姿の女性ダンサーでステージが埋め尽くされた瞬間を見て、思わず館内は、「ウワォ~!」というどよめきが起こった。(笑)やっぱりバレエは、チェチェ姿が基本でみなに受けやすいのかな、さすがはチャイコフスキー、「バレエの王様」と思ったものだった。


ニコ・マーリーの作品

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プロコフィエフの作品

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チャイコフスキーの作品

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2015/10/5 パリ・オペラ座ガルニエ 現代バレエ

はっきりと、大声で、明るく、前へ。

音楽:ニコ・マーリー
振付:ベンジャミン・ミルビエ
空間:ユナイテッド・ビジュアル・アーティスツ
照明:ルーシー・カーター

作品19/ドリーマー

音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
   ヴァイオリン協奏曲第1番
監督:マキシム・パスカル
振付:ジェームス・ロビンス

テーマとバリエーション
音楽:ビュートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付:ジョージ・バランシン

エトワール、プリンシパルダンサーと群舞

パリ国立歌劇場管弦楽団

やっぱりオペラの舞台装置は、年々IT化がどんどん進んで手の込んだものが多くなるにつれて、ガルニエのような古いオペラハウスではその実現が難しくなって、バスティーユのような新しいオペラハウスができたのだろうけど、ガルニエのような内装空間(もちろん外装も凄い。)を持つ歴史的建造物は、もうそれだけでパリの遺産というか至宝と言える。

だからこそ今後も絶対残していくべきだと思うし、バレエ、小規模オペラというジャンルでもいいからガルニエを活用していくべきで、そういう形でバスティーユと二輪で運営していくというソリューションは彼らフランス人にとってはまさに正論なのだろうという想いを強くした。

終演後の夜のガルニエ。

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再訪!パリ・オペラ座バスティーユ [海外音楽鑑賞旅行]

2012年のときの訪問以来、じつに3年振りの再訪。相変わらずオペラハウスというより科学技術館みたい。(笑)

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前回訪問した時に比べ、ゲートらしき黒枠のところが工事中になっていたのと、建物のガラスの壁面のところにヴェルディ、シューンベルクなどの文字が貼りつけられていたこと、(現在それ関連の公演開催中ということなのでしょうか。)が異なっていた。でもそれ以外は面影は基本的には変わっていないと思う。


目の前にはバスティーユ広場が広がる。
宿泊先のホテルは、ガルニエのそばであったので、メトロではM8で1本でバスティーユに到着する。

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いつも早く到着するので、このオペラ座バスティーユのとなりにあるカフェで休憩。

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そして並ぶわけだが、3年前も間違ったのだが、エントランスは、見かけ上は、黒枠のゲートの後ろのように思えるのだが、そうではないのだ。(笑)じつは1階にあるここだったりする。

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おそらく当日券を求める人、もしくは、チケットに換券する人が並んでいる。
開場とともに、この自動発券機でチケットを発券するのだ。

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今回の演目「蝶々夫人」のプログラム冊子を売っているところ。

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そこに貼られている蝶々夫人のポスターを拝見。このポスターのデザインフォトを見るといかにもフランスらしい演出というかお洒落感覚というか、とても期待できそうな気がする。こういうテイストのカラーが、パリ・オペラ座で演出されるオペラの素晴らしさ、というかパリ色の強い演出所以だと思う。

エントランスから入ったところのホワイエの空間。近代建築らしいお洒落な空間である。

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パリのコンサートホール、オペラハウスの座席割り当ての特徴は、左右で、偶数、奇数に座席が分かれているところが特徴だと思う。(左が奇数、右が偶数)

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エントランスから入って、ホワイエの空間が現れたら、そこから左右に、偶数、奇数に応じて分かれていくのである。私は偶数なので、この右側から中に入っていく。

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上がっていくと、そこにドリンクバーなどの空間が現れる。

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そしてホール内に潜入。


ピット

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ステージ

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客席

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ヨーロッパの伝統的な馬蹄型のオペラハウスとは違っていて、どちらかというとコンサートホールに近い形状だと思う。ステージは、高さがかなり高い。そして横幅もあって奥行きもかなりある。ザルツブルク祝祭大劇場ほど横幅が広くて、奥行きがあるわけではないが、でも雰囲気が似ているというか近い感覚はあると思う。字幕はステージ左右両側と上階向け用にステージ上方にある。

ちょっとホール空間の広さや形状を考えると、上階席のほうでは、うっすらPAをかけているのかな、という疑惑もある。この疑惑は、じつは昔からこのオペラハウスには存在していて、真意のほどは定かではない。

オペラハウスの座席は、どこが1番適切なのか?という問題は1番難しい問題。

オペラ歌手のような人間の声は、ピアノと同じで、スゴイ指向性がある。だから1階席平土間が1番聴こえがいいのかな?とずっと思っていた。かたや一方では、オケはピットという深く沈みこんだ場所で、しかも囲われている場所で演奏するので、オケのサウンドは、ホール全体に行き渡ることは不可能で一種独特の”こもり”というのを感じ、正直あまり期待できない。

囲いに囲まれているので、それが邪魔で、1階の平土間には、オケのサウンドは横方向にダイレクトに届かない。こもったように聴こえるはず。こういう形式だとピットのオケのサウンドは真上に上がるのである。そうすると上階席の席のほうが、オケのサウンドは綺麗に聴こえるはず。しかも上階席でもステージ真横のボックス席のほうが、ピットに近いので、その上に上がってくる音をダイレクトに綺麗に聴こえるのかな、とも思ったりするのだ。

しかも上階席のほうがステージ全体を上から俯瞰できるので、視認性も抜群だと思うのだ。
ステージは上から観たほうが、オペラやバレエは視認性がいいように思う。(たとえば平土間から観ると、最前列の歌手陣は見えるのかもしれないけれど、奥行き方向が見えない。上階から見下ろすようにステージを観たほうが、奥行き方向の動き含め、ステージ全体の動きが俯瞰できるからである。舞台演出サイドはじつは、前面から奥行きに至るまで、その全体の役者の動き、人模様の動きがじつは舞台演出のキーだったりすることも多いので、それを隈なく俯瞰するには、やはり上階から見下ろすようにステージ全体が見えたほうがいいと自分は思う。)

もちろんセンターの後方の上階席でもいい。ボックス席の真横よりもさらにステージの視認性もいい。オケの音は少し遠いので犠牲になるが、1階平土間より音はいいと思うし、なによりもステージの視認性が最高にいいと思う。問題はオペラ歌手の声の指向性ですね。これが上まで上がっていくかどうか?

ということで、オペラハウスの座席選びと言うのは、あくまで机上の空論ではあるけれど、

オペラ歌手の声の指向性~平土間
オケのサウンド~真横の上階席>センター後方の上階席
ステージの視認性~センター後方の上階席>真横の上階席

こんな感じでなにを重要視するのか、を考え、マトリックス的に選ぶのがいいのではないか、と考えるようになった。

でも自分の今回の座席は、ここ。

1階平土間の前方かぶりつきで、ピットのすぐそばであった。(自分の座席から観たステージ)

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正直オペラ歌手の声はまったく問題なし。そしてオケの音も真横ではあるもののピットのそば、ということもあり直接音ばっちりで、迫力のあるサウンドであった。まったく不満がなかった。

前回3年前に訪問した時は、1階席後方の座席で、オケの音がどうもドライ気味でデッドに聴こえたのでイマイチの印象であった。これで3年振りに、ものの見事にリベンジできたと思う。

コンサートホールでもそうだけど、1階席というのは、ステージの音は上に上がってしまい、真横にダイレクトにこないもの。(それが真横にもダイレクトに来る、あるいはそのように感じるように観客席に音が向かうようにホールの形状、反響板含め、設計されているホールは、じつに素晴らしいホールと言えると思う。)

そして間接音(反射音:響き)は天井、側方の壁、床で反射して聴こえるはずなので、それが1階席だと,その天井、側方の壁とあまりに距離が遠すぎていて、反射した音が1階席に戻ってくるときは、そのエネルギーが減衰してしまって、1階席ではそういう響きはあまり期待できないと思うのだ。(逆を言えば、天井に近い上階席や側方の壁に近い座席のほうが響きが豊かに聴こえるはずである。ここらへんにとって直接音が遠すぎるかどうかの問題のみ。)

要は1階席は、直接音が命!

1階席はサウンド的にはハンディがある、と思う。

でもオペラ歌手の顔や、声を聴くには最高の場所なのかも、と思うのだ。

自分はそういう観点を鑑み、オペラ歌手の顔、声(オペラはこれが1番大事なファクター)を堪能出来て、1階席でも満足できる場所、ということでピットのそばの前方かぶりつきを選んだのだ。

大正解であった。

演目は、プッチーニの「蝶々夫人」。

この演目が観たくてというより、バスティーユを経験するには、スケジュール的にここしか空いてなかったというのが真相だが、でも嫌いな演目ではない。いままで数えきれないほど何度も観てきている自分にとってお馴染みの演目である。パリに来てまで西洋人が和服を着るのを観てもなぁという想いもあったが、実際の演出は、すごく近代的であった。

すでに上にアップした自分の座席から観たステージの写真を観てもらいたいのだが、舞台装置、舞台美術など全くなくてステージの後方に大きなスクリーンがあるだけの簡素なもの。この背面のスクリーンで、照明を工夫して感情の表現をその色で表すというシンプルな舞台芸術の見せ方であった。衣装は現代考証。派手すぎでもないシンプルな現代衣装。

こういう演出のほうが、絶対パリで観る蝶々夫人のイメージにはぴったりだと思い、観ていて本当にうれしくなった。本当に背後のスクリーンの色で、そのシーン、悲しいシーン、ハッとときめくシーンなど、スクリーンの照明の光を切り替えていき、じつに巧妙に演出していくのだ。

舞台装置はまったく存在しないので、役者の演技と、その身に着けた衣装、踊りと所作、そしてこのスクリーンの照明だけで、見事に蝶々夫人を表現していく。見事としか言いようがなかった。


振り付けの演出も、極めてスタンダードな演出で、現代読み替え版でもなく、従来の解釈に忠実なものであった。自分は、こういう古典的解釈による演出が、オペラを観るなら好き。


主役の蝶々さん(エルモネラ・ヤホ)とピンカートン(ピエーロ・プレッティ)の声があまりに素晴らしいので驚きであった。特にテノールのピンカートンのプレッティの声はビロードのような甘い声質で豊かな声量、相当魅力的であった。この演目では、蝶々さんは、歌手にとってはまさに終始出ずっぱり・歌のパートも長く多いため、また若く愛らしい娘の役であるにも拘らず、中低音域に重点を置いた歌唱が求められるため「ソプラノ殺し」という異名をとられる難易度の高い作品なのである。第2幕の超有名アリア「ある晴れた日に」はもう、あまりに素晴らしかった。ヤホは、これをものの見事に歌い切っていた。

ヤホに関しては、FB,mixiともにコメントをいただき、2010年のROHの来日公演「椿姫」でゲオルギューの代役で歌ったのだが、第1幕から声が出なくなってしまって、第2幕から代役に代わったという、mixiの女性のオペラ友人にとって悪夢のような歌手だったそう。

パリではまだ活躍されていたとは!もうそうそう来日はできないでしょうから(高額チケットを買って悪夢を味わった観客が多いので(笑))、パリでご覧になられたのは貴重な体験かもしれません、とまで言われてしまいました。(笑)

確かに全体から受ける印象からすると、華がないかもしれないけれど、蝶々さんという役にはじつにフィットとしていて、素晴らしいと思った。歌手では、他には、シャープレス領事のバリトンの声もじつによかったなぁ。

蝶々夫人は、じつは結構自分でも過去に観てきているオペラの演目で、最近観た中で1番印象的だったのは、3年前の小澤征爾オペラ音楽塾の塾生による「蝶々夫人」。

神奈川県民ホールと東京文化会館の両方を観に行った。完全なオペラ形式ではなく、セミ演奏会形式ということだったのだが、オケの後方にきちんとステージを作って、オペラ歌手がそこで演技をしながら歌うという、オペラ形式と言っても恥ずかしくないほど完成度が高かった。

時代考証も和服など、原作に忠実な演出で、舞台装置も和室という原作そのもの。
近年観た蝶々夫人の中では1番素晴らしいと感じた。

蝶々夫人の演出に関しては、いろいろな試みがされていて、自分が観た演劇舞台では、浅利慶太さんが演出した蝶々夫人では、最後蝶々さんが自決するとき、飛び出る血を演出するのに、赤い布がラッパ状に飛び出す、という斬新な演出を観たことがいまでも鮮烈に印象に残っている。


この演目の過去のDVDなどの映像素材も結構観ているのだが、なんか日本を馬鹿にしたような演出も多くて、同じ日本人として”つっこみどころ満載”なのだが、満足なものに出会えたことがほとんどないと言っていいだけに、パリでこのように本格的な素敵な近代演出を観れて、本当に幸せだったと言える、と思う。

この日は超満員。パリの観客は服装がしっかりしていますね。男性はスーツ、ネクタイが多かったです。(プルミエなのでしょうか。)

パリの初日の鑑賞としては最高の出だしだった。

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2015/10/3  パリ・オペラ座バスティーユ プッチーニ「蝶々夫人」

演出・キャスト陣(パリ・オペラ座HPより)

https://www.operadeparis.fr/saison-15-16/opera/madama-butterfly


2015年の海外音楽鑑賞旅行は、パリ→ジュネーブ→アムステルダム。 [海外音楽鑑賞旅行]

今年2015年は、パリ→ジュネーブ→アムステルダムの3ヶ国を周遊してきました。

帰国してから2週間くらい経過して、だいぶ高揚した気持ちも落ち着いてきたし、ようやく日記を書こうかな、という気持ちにもなってきた。またパリではものの見事に洗礼を浴びて、人生初の体験のスリを経験して、精神的なダメージも大変であった。

現在、保険含め、事後処理中である。いろいろやっていくうえで、わかってきたことは、やはりいくら保険に入っているとはいえ、病気、ケガなどは無制限でも、スリなど物損は意外と保証上限額が決まっていて、自己負担が大きいことがわかった。現金などは対象外。スリは、やはり”自己責任”といえると思う。

今回ホントによかったと思うのは、このトラブルが後半に起きたこと。目的の大半は成就していて、さほど影響がなかったこと。もし最初の頃に起こっていたら、旅行計画もメチャメチャだったろうなぁ、と思うところだ。

パリ滞在中は毎日相当気をつけていたが(特にメトロ!)、でもやられるときは、やられるものなのだ。やっぱり1990年代の欧州赴任時から一度もその経験がなかったので、海外旅行に慣れた友人が、次々とパリで餌食になっていった日記を読むたびに、どこか他人事で、油断があったのだと思う。やっぱり自分に責任がありますね。

海外の有名なコンサートホールやオペラハウスをじかに経験したい、本拠地のサウンドは、日本にはお持ち帰りできない、そんな想いからここ5年間突っ走ってきた。毎年このために大変な投資をするのだけれど(貯金なんてできません。)、自分は物欲、つまり買ったら後で自分の元に残るものにお金をかけるならいいけれど、旅行など形のないものにお金をかけるのは勿体ない、という考え方の人が多いのをよく知っている。

でも自分は、この異国の地で、自分の趣味であるコンサートホールやオペラハウスを経験できて、さらにコンサート&オペラも堪能する、というこの経験は、なににも替え難い人生の宝、財産、まさに垂涎の体験だと信じている。

帰国した時には、出発前とはもうまったくといっていいほど人生観や視野が拡がって、脳内ソフトが大きく書き換えられて、人間として一回りも二回りも大きく成長した気分になる。これは物に投資するだけでは絶対得られない経験なのだ。

いつまでやれるかわからないけれど、行けるときに行っておこう、という覚悟。

毎年貯金をして、人生設計をしっかりやるというもわかるが、そんな設計通りに人生うまく運ぶことはないんですよ。みんな結構予想もつかないハプニング、波乱万丈で計画通りにいかないのが人生なんです。それを晩年に深々と回想する、というのが常なんじゃないのかなぁ。

そんな気持ち、覚悟で毎年海外に行っている。

その経験を、写真や日記でブログに自分の作品として残しておく、というのが、自分の宝物になるのだと信じている。

今年の旅行も、これからその作品を残していきたいと思う。


SNSのほうではリアルタイムで速報という形で簡単ではあるが報告した。

今回の旅行は、大きく次の3つに集約される。

①パリ管の新しいフランチャイズ・ホールのフィルハーモニー・ド・パリを経験すること。
 (ここでパリ管を聴く!)
②ヴィクトリアホールでスイス・ロマンド管を聴くこと。
③アムステルダム・コンセルトヘボウでRCOを聴くこと。

①、②はもう大変エキサイティングで、こんなに興奮したことはなかった。

訪問したコンサートホール&オペラハウスは以下の通り。

パリ・オペラ座バスティーユ

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パリ・オペラ座ガルニエ

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フィルハーモニー・ド・パリ

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ヴィクトリアホール

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アムステルダム・コンセルトヘボウ

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その他、パリでは公演は聴けなかったけれど、外観だけでも写真を撮ってこようと思い、サル・プレイエル、シャンゼリゼ劇場、パリ・シャトレ座を訪問しようと思っていたが、疲労困憊であえなく断念。またの機会ですね。

また散策もちょっとではあるけれど、写真に収めてきました。(食中心ではありますが.....)それも紹介できれば、と思っています。

記事も、自分の最終作品として残すのであるから、SNSでの速報に比べて、もう少し加筆や訂正を加えて、最終形にふさわしい完成度に上げたいもの。

毎日連続してアップしていくのは、大変かもしれないので、のんびりペースかもしれないが、完成まで頑張ってみたいと思う。


スリ、ぼったくりタクシーなど、もろもろ......... [海外音楽鑑賞旅行]

帰国しました。先週、年に1回の海外音楽鑑賞旅行に行っておりました。パリ→スイス→オランダの3か国周遊です。帰国から2日経ちましたが、時差ボケなど強烈でかなり体調不調。今日ついに会社を全休。おかげでかなり戻ってきた感覚が.....全休にした理由は、もうひとつあって、例のパリであったスリ(人生初めての経験!)に関して、いろいろ事後処理をしたかったためである。

平日に時間がたっぷりある、というのはホントに助かる。
おかげでかなり進んだ。4つ問題点があるとしたら、3つ片付いて、残り1つが条件付きで片付くという感じ。ほぼ目安が付いた。本当に気持ちがスカッとした。

もし、これをずっと未解決のままグレーで抱えたまま、会社で仕事しないといけないと考えたら、 かなり不健康だし、絶対今日のやりかたのほうが心の健康にもいいし、賢明だと思う。

旅行の詳しい内容の日記は、もう少し落ち着いた頃から連載を始めたいと思います。(SNSのほうでは速報はしました。)

目安が付いたところで、余裕が出来たので、今回の旅行先でちょっと気づいたことなどを2,3点書き留めておきたいと思いました。

まず、オランダのスキポール空港での”ぼったくりタクシー”事件。

パリでスリに会い、大きな心の痛手を負った自分が、懸命の想いで、翌朝早朝(6時起き)にCDGからアムスのスキポール空港に降り立った時。やったー。ひとつ壁を乗り越えた、安全な地に来た、という感覚になった。(でもパリほどでないにしろ、アムスもかなり危ないんですよね。)

タクシーに乗ろうとして外に出ようとしたら、若い男が「ヘイ、アムステルダムに行くのかい?」と話しかけてきた。「そうだ。」と答えると、ついてきな、というジェスチャー。

自分は、すぐに日本でいうところの白タクか、と想像した。
このままついていっていいのか、かなりドキドキだったが、普通のタクシーは行列で待つだろうし、ま、いっか、という感じでかなり離れたところまで連れていかれ、そこで車がやってきた。

見た目ふつうのワゴンのタイプのタクシーである。

ちょっと安堵。そのまま荷物を載せて、行先を行って走り出す。
あ~ふつうのタクシーなんだな、やっぱり白タクなんだな、と思い、ちょっと安堵。
大体空港からアムス市内まで1時間位だが、30分位からだろうか、自分はふっと気づいてしまった。

料金メーターの回ることの速いこと、速いこと。(笑)
げげっ!という感じで、ちょっと尋常ではないスピードでどんどん料金が上がっていく。
うわぁこれはゴール時点ではスゴイ値段になるなぁ、とビビる。

ぼったくりかぁ~。どうりでおかしいと思った。
運転手は何食わぬ顔して、日本から来たのか?とか世間話に花が咲く。

パリの場合でも、市街からCDGまで50ユーロ位。アムスでも帰りの空港までは正規のタクシーを使って45ユーロ位。これくらいが相場である。

ところがこのぼったくりタクシーは、85ユーロにもなった。
途中で降ろせ、とも言えず、そうなってしまいますた。(>_<)

みなさん、アムスに限らず、どこの国のタクシーでもそうだと思いますが、空港での呼び込みタイプの人には絶対ついていかないようにしましょう~。

あと、もう一点気になったのは、海外の空港の荷物カウンター。

最初気づいたのパリのCDG。ボーディンパス(搭乗券)の自動発券機で発券した時に、搭乗券だけでなく、荷札もプリントしろ、と空港の人に言われ(それってカウンターの人がやってくれるんじゃないの?)?だったが、荷札もプリントして、カートに取りつける。そうして荷物カウンターに行ったら、無人なのである。

自分で搭乗券と荷札のバーコードをスキャンして、自分でベルトに乗せると自動で持って行ってくれるのである。

わぁCDGって進んでるなーと感心。

ロストバッゲージしそうな気もするが、なんとか大丈夫だった。

その後で気づいたのだが、アムスのスキポール空港でも荷物カウンターは無人。

どこの国の空港でも、もうこういう方向で進んでいるんですかね?

その割には、出発の羽田国際はそうなっていませんでした。(笑)

去年の旅行まで自分にはそういう感覚はまったくありませんでした。

あと、この自動発券機は、言語選択では昔は日本語はなかったが、いまはもう必ず日本語表記も対応している。自分の場合、ずっと英語でやっていたので、相当楽ちんになった感じがする。

それにちなんで、パリのレストランでも日本語メニューを置いてあることも多かった。

そして取り調べをされたパリの警察署でも、ポリスレポート(調書)は日本語対応だった。

面接官とのフェース to フェースの尋問はもちろん英語だが.......

やっぱりスリ王国のパリでは日本人はターゲットにされやすいのか、日本語対応をするのがあちらのモラルという感じなんでしょうかね。

ちなみにスリの解決策を見出すべく、日本大使館に行ったとき、隣の長蛇の列の日本人老夫婦が、「あのぉぉ~パスポートとクレジットカードをスラれてしまいました。」と仰っている人がたくさんおりました。


海外音楽鑑賞旅行の準備の近況報告 [海外音楽鑑賞旅行]

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写真は、手配が済んで自宅に郵送されてきたパリでのコンサートチケット。スイス・ロマンド管弦楽団の公演を除いて、あと残り全公演の手配に成功。座席も希望通り。言うことなしである。

Xデーは、10/3~10/12。

エアー、そしてホテルも速攻に決めて、入金済み。急いだ理由は、やはり円安。どんどん進んで伸ばせば伸ばすほど損をするような気がした。

この時期で、もうほとんど準備完了なのである。

mixiのほうではちょくちょくつぶやいていたが、正式な公表は、FBをはじめ、出発の1~2週間前位だろうか。

会社のほうにも正式に休暇を申請。正式に承認された。
これで正式に行けることが確定した。

本当に順調である。

当初、10/1,2あたりにはすでに渡航する予定で、山田和樹&スイス・ロマンド管弦楽団の公演を鑑賞する予定であった。そうすると規定の5日間の休みをさらに3日オーバーする申請をしないといけない。

さらにお金の仕事をしているので、月初は休めない。

休みをもらうには代わりに人を立てないといけない。

上司に相談したが、やはりここを否定された。

休みを取ることは尊重するが、社会人としてのモラル、常識を考えるなら、仕事、会社に迷惑をかけないようにすること。これが第1ではないか?

もう何も言えなかった。その通りである。

山田和樹の晴れ舞台を観たい、という気持ちで、なんとかなるんではないか、という自分の甘さをそのときに認識させられたような気がして、私は、その場で、調整し直します、と答えた。

残念ながら山田氏の晴れ舞台を見ることができない。

悔しいの一言である。

常日頃、ゴローさんがあと二十年は小澤さんクラスは出ない、と言っていたが、あと二十年すると山田和樹氏、このまま行けばバリバリの世界クラスになるハズ。

非常に頭脳明晰だし、理知的。本当に期待のホープ。そんな山田氏が憧れのヴィクトリアホールでスイス・ロマンド管を指揮するのを観れるなんて同じ日本人として誉に想うし、最高の想い出になるはずだった。

去年スイス・ロマンド管が来日した時に、山田氏が指揮したサントリー公演を観て、素晴らしいと思いつつも、指揮ふりそのものが軽い、軽薄でもっと重みが欲しいと苦言を呈した自分は、おそらく一生後悔することになるだろう、きっと。

でも削除はしません、そのときに想ったことですから。そんな自分が一生後悔するように山田氏には頑張ってほしいと思う次第である。

そこで仕切り直しして、規定の5日間の休みプラス土日祝日を入れた日程間できっちり収めたスケジュールは以下の通りになった。

10/3 日本発→パリ 夜: オペラ鑑賞 パリ・オペラ座バスティーユ          
10/4 パリ室内管弦楽団(BACH IN INDIA) フィルハーモニー・ド・パリ Philharmonie 2  
10/5 バレエ鑑賞 パリ・オペラ座ガルニエ                  
10/6 レ・デソナンス(室内楽) フィルハーモニー・ド・パリ Philharmonie 1      
10/7 パリ→スイス スイス・ロマンド管弦楽団演奏会 ヴィクトリアホール          
10/8 スイス→パリ パリ管弦楽団  フィルハーモニー・ド・パリ Philharmonie 1           
10/9 パリ→アムステルダム 夜:ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団 アムステルダム・コンセルトヘボウ  
10/10 オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団演奏会 アムステルダム・コンセルトヘボウ
10/11 アムステルダム発→日本
10/12 日本着


苦肉の策であった。これだと、10/1,10/2は会社に迷惑をかけないし、規定の日数の常識路線で収まる。

しかも、スイス・ジュネーヴのヴィクトリアホールでスイス・ロマンド管を聴くこと、パリフィルハーモニーでパリ管を聴くこと、アムステルダム・コンセルトヘボウでRCOを聴くこと、の3要素が全部満たされる。

こうしてみるとパリでの滞在が非常に大きなウェートを占める。
1番の目的は、新しいホールであるフィルハーモニー・ド・パリ(和称だとパリフィルハーモニーになるのでしょうか。)を体験すること。Philharmonie1(大ホール)とPhilharmonie2(小ホール)と両方経験する。

ラトル・ベルリンフィルが11月にこのホールで彼らの最後の大仕事であるベートーヴェン交響曲全曲演奏会をするらしい。

まだ工事中などというすでに行かれた友人の感想も観ましたが、やはり素晴らしい内装空間、音響でホントにパリらしいホールのようである。楽しみ!


このパリフィルハーモニーで、どうしてもパリ管を聴きたいので、ヴィクトリアホールでのスイス・ロマンド管の公演を無理やり入れ込むために、10/7,8,9をパリとスイスの間を何回も行き来しないといけなくなった。

自分は正直CDGがちょっと苦手で(^^;;、CDGの中自体が、もう広過ぎで焦ったぜいぜい、と言う感じになってしまうところがどうもイマイチ。またパリ市内とCDGの間は優に1時間以上かかって、時間的ロスと飛行機移動は体力がいるので,パリ→ジュネーヴ、パリ→アムステルダムは列車を利用することにした。列車であれば、コストも飛行機の2/3で収まるし、なによりも街と街の中心に直結している。

ずっと長年憧れていたTGVとタリス特急に乗ることにした。
列車の旅ってとても素敵だと思う。車窓からの美しい風景を眺めながらの旅は、飛行機よりずっとロマンティックになるに違いない。

こういう行ったり来たりしないといけない旅程が思わぬ幸運を招いた、という感じ。

パリでは他には、パリ・オペラ座(バスティーユ/ガルニエ)を再訪する。バスティーユでは蝶々夫人、ガルニエでは現代バレエ。

逆に、かねてより経験してみたいと思っていたシャンゼリゼ劇場が、この期間中は休演だった。(号泣)2年前の前回も折り合いがつかず、経験できなかったのであるが、つくづく自分はこのホールとは縁がないんだなぁと思うばかりである。

ともあれ、ほとんどのチケットを手配できて、エアー、ホテルも確保済み。休暇も予定通り取れ、正式に会社に承認された。

本当に順調そのものです!!


大丈夫か?今年の海外音楽鑑賞旅行!!! [海外音楽鑑賞旅行]

公演カレンダーをいろいろハシゴしながら、まずは目標の公演が見えてきた。1番の目標であるスイス・ジュネーヴのヴィクトリアホールでスイス・ロマンド管弦楽団を聴くことに関しては、10/1,10/2の山田和樹&フランク・ペーター・ツィンマーマンの公演にしようか、と思っている。そうするとそこから1週間を目処にパリ、アムステルダムの公演カレンダーをハシゴしていく。

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ところがパリのほうは、フィルハーモニー・ドゥ・パリの公演日程はもちろん、パリ管弦楽団やシャンゼリゼ劇場の日程も、後半シーズンの日程はまだオープンになっていないようだ。

それで1番心配していたアムステルダム・コンセルトヘボウでRCOを聴く件、これは10/9にイアン・フィッシャー指揮で見繕うことができた。

RCOがうまく日程上に公演があるか1番心配だったので、かなりホッとした。

でも問題はここからである。(笑)

スイス・ロマンド管弦楽団のほうのチケットは、シーズン券や年間シートを購入する人向けには、もう販売が始まっているようなのだが、単券に関しては、なんとわずか1ヶ月前に9月に発売開始だそうである。

これはキツイ。

そしてRCOに関しても、同様に、シーズン券や年間シートを購入する人向けには、もう販売が始まっているのだが、単券の人には6月に発売だそうである。

単券が発売になるころには、全部売り切れということもないこともない、と脅される。まぁ売り切れないにしても、こういう残り物の座席では、座席にこだわる自分にとっては、かなりツライものがある。

かなりブルー。(^^;;

そこで1番の目的であるスイス・ロマンド管弦楽団のほうは値段次第ではシーズン券も買ってしまおうかな、とも考えたりしている。そこまでしても心配なのである。今回の1番の目的ですので......

ここが取れないと意味がないのだ。

こうやって実況中継しながら盛り上げていく手法。なにか4年前のはじめてこういう音楽旅行というスタイル:海外音楽鑑賞旅行をやった最初のベルリン旅行を思い出す感じ。

1年もかけて、バーチャルトリップする旅行計画日記なるもので、盛り上げに盛り上げた挙句、肝心のベルリンフィルのチケットが取れなかった、というみんなを失意のどん底に落とし込んだ、あの罪は自分でもかなりショックでした。

見かねたゴローさんが「お~チケットよ!」という日記を書いて励ましてくれた。丸腰で現地に行ってホールの前に売人がいるもんだ、今までヨーロッパに行って、この手でチケット入手できなかったことはない、と豪語していたのを思い出す。いろいろな丸腰での現地チケット獲得大作戦、それもネットのなかった時代の経験談を日記にしてくれた。

で、結局ラトル・ベルリンフィルのマーラー6番、無事2日とも取れたのでした。
(当時のラトルのマーラー・ツィクルスは大変な人気だったんですよねぇ。)
 

確かにベルリンフィルハーモニーの前にはダフ屋でない一般売人がウヨウヨおりました。ベルリンは間違いなく丸腰でOKです。現に自分はヤノフスキ&ベルリン放送響のマイスタージンガーの演奏会形式をこの売人から安価で買い直しました。(自分が持っている座席はあまりに悪かったので....)

あれ以来、チケットをきちんと確保してからみなさんに報告しよう、というスタイルにしたのでした。(でもそれがフツーの人ですよね。(笑))

なんか、いまの自分が、あのときを思い出す。こういう途中経過を実況生中継の日記で書いていること自体に.....

幸いにも会社の計画休暇設定は6月まで待ってくれるようだ。

今年は、いっちょう自分の原点に戻り、実況生中継しながら楽しんでいこうか、とも思ったりする。

なんか毎年6月~8月くらいに行っているので、今年は秋の10月以降というのは遠いなー。(泣)


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